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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G09F9/30 349C
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021066721
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2022161707
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】尾関 芳孝
(72)【発明者】
【氏名】上島 誠司
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-027301(JP,A)
【文献】特開2001-126628(JP,A)
【文献】特開2010-009064(JP,A)
【文献】特開2019-053097(JP,A)
【文献】特開2003-337553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0114391(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103513478(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0043895(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0293182(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133-1/1368
G09F 9/00-9/46
H01J 11/00-17/64
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に設けられた少なくとも1つの画素と、
前記第1基板に設けられた第1遮光層と、
第2基板と、
前記第2基板に設けられた第2遮光層と、
前記第1基板と第2基板との間のスペーサと、
を有し、
前記第1遮光層は、第1方向に延伸し、
前記第2遮光層は、前記第1方向と交差する第2方向に延伸し、
前記少なくとも1つの画素は、前記第1遮光層と前記第2遮光層とにより開口部が画定され、
前記第1遮光層が前記スペーサと重なる領域を遮光する遮光パターンを含み、
前記スペーサは、平面視で前記第1遮光層と完全に重なると共に、前記スペーサの第1の部分は、平面視において、前記第2遮光層と重なり、前記スペーサの第1の部分以外の第2の部分は、前記第2遮光層から露出している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1基板は、前記第1方向に延伸する走査信号線を含み、
前記第1遮光層が前記走査信号線と重なり、
前記第1遮光層の幅が前記走査信号線の幅よりも広い、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1遮光層と前記走査信号線との間に少なくとも1層の絶縁層を有し、
前記第1遮光層が前記走査信号線より前記第1基板側に設けられている、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1基板は、前記第2方向に延伸するデータ信号線を含み、
前記データ信号線が前記第2遮光層と重なる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1基板は、前記第1方向に延伸する走査信号線、及び前記第2方向に延伸するデータ信号線を含み、
前記第1遮光層が前記走査信号線と重なり、前記第1遮光層の幅が前記走査信号線の幅よりも広く、
前記第2遮光層が、前記走査信号線及び前記データ信号線、並びに前記第1遮光層と重なり、
前記第2遮光層の前記走査信号線と重なる領域の幅が、前記第1遮光層の幅よりも狭い、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの画素が複数の画素からなり、
前記複数の画素が、前記第1方向に配列された第1画素、第2画素、及び第3画素を含み、
前記第1画素、前記第2画素、及び前記第3画素のそれぞれの開口率が異なるように、前記第1遮光層の幅が前記第1方向に沿って異なっている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1画素が青色に対応する画素であり、前記第2画素が緑色に対応する画素であり、前記第3画素が赤色に対応する画素であり、
前記第1遮光層は、前記第3画素に対応する領域の幅が、前記第1画素及び前記第2画素に対応する領域の幅よりも狭い、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1遮光層が金属膜であり、前記第2遮光層が樹脂膜である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1遮光層が、少なくとも2層の金属層を含み、
前記2層の金属層において、上層の金属層の幅が下層の金属層の幅より広い、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1方向に延伸する複数の走査信号線と、前記第2方向に延伸する複数のデータ信号線と、を備え、
前記複数の走査信号線及び前記複数のデータ信号線は、断面視において、前記第1遮光層と前記第2遮光層との間に設けられている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの画素は半導体層を含み、
前記半導体層は、断面視において、前記第1遮光層と前記第2遮光層との間に設けられている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記半導体層は、前記第1遮光層と交差する、
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記半導体層は、一方の端部が前記第2遮光層と重なる、
請求項11に記載の表示装置。
【請求項14】
断面視において、前記第1遮光層と前記第2遮光層との間の液晶層を含む、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項15】
第1基板と、
前記第1基板に設けられた少なくとも1つの画素と、
前記第1基板に設けられた第1遮光層と、
前記第1基板に設けられたデータ信号線と、
前記第1基板に設けられ、前記データ信号線と重なる共通補助電極と、
第2基板と、
前記第2基板に設けられた第2遮光層と、
を有し、
前記第1遮光層は、第1方向に延伸し、
前記第2遮光層と前記データ信号線とは、前記第1方向と交差する第2方向に延伸し、
前記少なくとも1つの画素は、前記第1遮光層と前記共通補助電極とにより開口部が画定される、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記第1基板は、前記第1方向に延伸する走査信号線を含み、
前記第1遮光層が前記走査信号線と重なり、
前記第1遮光層の幅が前記走査信号線の幅よりも広い、
請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1遮光層と前記走査信号線との間に少なくとも1層の絶縁層を有し、
前記第1遮光層が前記走査信号線より前記第1基板側に設けられている、
請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1基板は、前記第2方向に延伸するデータ信号線を含み、
前記データ信号線が前記第2遮光層と重なる、
請求項15に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明一実施形態は、表示装置の画素の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、外部から入射する光が内部で多重反射を繰り返しスイッチング素子(薄膜トランジスタ)の動作に影響を与えないように遮光膜が設けられている。表示パネルに設けられる遮光膜の構造及び配置は様々である。例えば、スイッチング素子が形成された基板に設けられた遮光膜及び対向基板に設けられたブラックマトリクスを金属膜及び黒色化された透明導電膜で形成した表示装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-206889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示パネルはカラー表示に対応していることが通常であり、一つの画素には赤色に対応した第1副画素、緑色に対応した第2副画素、青色に対応した第3副画素が含まれる。各副画素の開口率は必ずしも同一ではなく、色バランスを考慮して開口比率が調整される。この開口比率の調整は、カラーフィルタが形成される対向基板側の遮光膜(ブラックマトリクスとも呼ばれる)のパターン形状を変えることにより行われる。対向基板側の遮光膜は、通常、黒色顔料を含む樹脂材料で形成される。
【0005】
画素が高精細化すると遮光膜のパターンも微細化する必要がある。しかし、樹脂材料で形成される遮光膜は微細加工が難しいという問題がある。遮光膜は副画素の配置に合わせて格子状のパターンを有するが、コーナー部を鋭利な角度で形成することが難しく、開口部を形成する角部が湾曲した形状となり、実際の開口部が設計値より縮小してしまうという問題がある。
【0006】
さらに、遮光膜が形成された対向基板と、画素アレイが形成されたアレイ基板とを貼り合わせる際のアライメント誤差により、開口率に影響を受けることが問題となる。これらの問題により、各副画素の開口率にばらつきが生じ、色バランスがパネル毎にばらついてしまうという問題がある。
【0007】
本発明の一実施形態はこのような問題に鑑み、画素を高精細化しても開口率を精密に制御することのできる表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、第1基板に設けられた少なくとも1つの画素と、第1基板に設けられた第1遮光層と、第2基板と、第2基板に設けられた第2遮光層と、を有し、第1遮光層は第1方向に延伸し、第2遮光層は第1方向と交差する第2方向に延伸し、少なくとも1つの画素は、第1遮光層と第2遮光層とにより開口部が画定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の第1基板側の構成を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の構成を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部の構成を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の第1副画素、第2副画素、及び第3副画素の構成を示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部の構成を示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部に設けられる第1遮光層の構成を示す平面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部に設けられる半導体層の構成を示す平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部に設けられる走査信号線の構成を示す平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部に設けられるデータ信号線の構成を示す平面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部に設けられる接続電極の構成を示す平面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部に設けられる画素電極の構成を示す平面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部に設けられる共通補助電極の構成を示す平面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部に設けられる共通電極の構成を示す平面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0011】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0012】
本発明の各実施の形態において、基板上に第1導電層、第1絶縁層、半導体層がこの順に積層される場合、第1導電層から半導体層へ向かう方向を上又は上方という。逆に、半導体層から第1導電層へ向かう方向を下又は下方という。このように、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、例えば、図示されるときに基板の下側に第1導電層、第1絶縁層、半導体層がこの順に積層される場合であっても同様に第1導電層から半導体層へ向かう方向を上又は上方というものとする。以下の説明で、例えば、基板上の半導体層という表現は、上記のように基板と半導体層との上下関係を説明しているに過ぎず、基板と半導体層との間に第1導電層及び第1絶縁層のような他の層が配置されていてもよい。上方又は下方は、複数の層が積層された構造における積層順を意味するものであり、トランジスタの上方の画素電極と表現する場合、特段の限定がない限り、平面視でトランジスタと画素電極とが重ならない位置関係であってもよい。一方、トランジスタの鉛直上方の画素電極と表現する場合は、平面視でトランジスタと画素電極とが重なる位置関係を意味する。
【0013】
1.表示装置の構成(第1基板側)
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100を構成する第1基板SUB1に設けられる各層の概要を示す断面図である。図1に示すように、第1基板SUB1には、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2、データ信号線DL、第1配線W1、第2配線W2、接続電極ZTCO、画素電極PTCO、共通補助電極CMTL、及び共通電極CTCOが設けられる。なお、TCOという記号に特段の意味はないが、本明細書でITO、ZnO、IZO等の透明導電性酸化物又はこれに類するものを示すときの用いられることがある。第1トランジスタTr1は表示装置100の画素PXに含まれる素子であり、第2トランジスタTr2は駆動回路に含まれる素子である。なお、詳細は後述するが、駆動回路は画素PXを駆動する回路である。
【0014】
1-1.第1トランジスタTr1
第1トランジスタTr1は、半導体層OS、ゲート絶縁層GI1、及びゲート電極GL1を含む。半導体層OSは、例えば、酸化物半導体層である。また、半導体層OSは、多結晶シリコン層であってもよい。ゲート電極GL1は半導体層OSに対向する。ゲート絶縁層GI1は半導体層OSとゲート電極GL1との間に設けられる。図1は、ゲート電極GL1より基板SUB側に半導体層OSが設けられたトップゲート型トランジスタを例示するが、ゲート電極GL1と半導体層OSとの位置関係が逆であるボトムゲート型トランジスタであってもよい。
【0015】
半導体層OSは、第1半導体領域OS1及び第2半導体領域OS2を含む。第1半導体領域OS1は、半導体層OSがゲート電極GL1と重なる領域であり、第1トランジスタTr1の中でチャネルと呼ばれる領域に該当する。第1トランジスタTr1は、ゲート電極GL1に印加されるゲート電圧に応じて導通状態と非導通状態とが制御される。第2半導体領域OS2はソース領域及びドレイン領域に該当する。第2半導体領域OS2は、第1半導体領域OS1から連続し、第1半導体領域OS1より電気伝導度が高い領域でもある。
【0016】
ゲート電極GL1の上に第2絶縁層IL2が設けられる。第2絶縁層IL2の上にデータ信号線DLが設けられる。データ信号線DLは、第2絶縁層IL2及びゲート絶縁層GI1に設けられた開口部WCONを介して第2半導体領域OS2に接続される。データ信号線DLは、画像の階調に関連するデータ信号を伝送する配線である。第2絶縁層IL2及びデータ信号線DLの上に第3絶縁層IL3が設けられる。第3絶縁層IL3の上に接続電極ZTCOが設けられる。接続電極ZTCOは、第3絶縁層IL3、第2絶縁層IL2、及びゲート絶縁層GI1に設けられる開口部ZCONを介して第2半導体領域OS2に接続される。接続電極ZTCOは開口部ZCONの底部において第2半導体領域OS2と接している。接続電極ZTCOは透明導電膜で形成される。
【0017】
接続電極ZTCOと第2半導体領域OS2とが接する領域を第1コンタクト領域CON1という。接続電極ZTCOは、平面視でゲート電極GL1及びデータ信号線DLとは重ならない位置に設けられた第1コンタクト領域CON1において第2半導体領域OS2に接続される。
【0018】
接続電極ZTCOの上に第4絶縁層IL4が設けられる。第4絶縁層IL4は、平坦化層とも呼ばれる絶縁層であり、第4絶縁層IL4よりも下層に設けられた半導体層OS、ゲート電極GL1等によって形成される凹凸を緩和する。第4絶縁層IL4の上に画素電極PTCOが設けられる。画素電極PTCOは第4絶縁層IL4に設けられた開口部PCONを介して接続電極ZTCOに接続される。接続電極ZTCOと画素電極PTCOとが接する領域を第2コンタクト領域CON2という。平面視で第2コンタクト領域CON2はゲート電極GL1と重なる。画素電極PTCOは、透明導電膜で形成される。
【0019】
画素電極PTCOの上に第5絶縁層IL5が設けられる。第5絶縁層IL5の上に共通補助電極CMTL及び共通電極CTCOが設けられる。共通補助電極CMTLと共通電極CTCOとは異なる平面パターンを有する。共通補助電極CMTLは金属層である。共通電極CTCOは透明導電層である。共通補助電極CMTLの電気抵抗は共通電極CTCOの電気抵抗よりも低い。共通補助電極CMTLは遮光層としても機能し、例えば、隣接する画素からの光を遮光することで、混色の発生を抑制することができる。共通電極CTCOの上に第1スペーサSP1が設けられる。
【0020】
第1スペーサSP1は、第1基板SUB1に離散して設けられる。第1スペーサSP1は全ての画素に対応して設けられるのではなく、一部の画素とそれに隣接する画素との画素間の領域に設けられる。第1スペーサSP1の高さは、セルギャップの半分の高さである。なお、第2基板SUB2にも第2スペーサが設けられている。第2基板SUB2の第2スペーサと第1基板SUB1の第1スペーサSP1とは平面視で重なるように設けられる。
【0021】
第1基板SUB1に第1遮光層LS1が設けられる。第1遮光層LS1は画素PXの領域に設けられる。図1は、第1遮光層LS1として、第1遮光層LS1a、LS1bを示す。ただし、第1遮光層LS1は第1遮光層LS1aのみ又は第1遮光層LS1bのみで形成されていてもよい。平面視で、第1遮光層LS1は、少なくともゲート電極GL1と半導体層OSとが重なる領域に設けられる。別言すれば、第1遮光層LS1は、平面視で半導体層OSと重なる領域に設けられる。第1遮光層LS1は、第1基板SUB1側から入射した光が第1半導体領域OS1に到達することを抑制する。また、第1遮光層LS1は、画素PXの開口範囲を画定する。第1遮光層LS1が導電性の膜で形成される場合、第1遮光層LS1に電圧が印加されてもよい。第1遮光層LS1に電圧が印加される場合、第1遮光層LS1とゲート電極GL1とは電気的に接続されてもよい。なお、平面視で、第1コンタクト領域CON1は第1遮光層LS1と重ならない領域に設けられる。
【0022】
1-2.第2トランジスタTr2
駆動回路は第2トランジスタTr2(pチャネル型トランジスタTr2-1及びnチャネル型トランジスタTr2-2)を含む。pチャネル型トランジスタTr2-1及びnチャネル型トランジスタTr2-2は、いずれもゲート電極GL2、ゲート絶縁層GI2、半導体層Sを含む。半導体層Sは、第1半導体領域S1、第2半導体領域S2、第3半導体領域S3を含む。半導体層Sにおいて、第1半導体領域S1はチャネルを形成する領域に該当し、第2半導体領域S2はソース領域及びドレイン領域を形成する領域に該当し、第3半導体領域S3は低濃度ドレイン(LDD)を形成する領域に該当する。ゲート電極GL2は第1半導体領域S1に重なる領域を含む。ゲート絶縁層GI2は半導体層Sとゲート電極GL2との間に設けられる。図1は、第2トランジスタTr2(pチャネル型トランジスタTr2-1及びnチャネル型トランジスタTr2-2)において、ゲート電極GL2が半導体層Sの第1基板SUB1側に設けられたボトムゲート型トランジスタを例示する。第2トランジスタTr2(pチャネル型トランジスタTr2-1及びnチャネル型トランジスタTr2-2)は、しかし、半導体層Sとゲート電極GL2との位置関係が逆であるトップゲート型トランジスタであってもよい。
【0023】
pチャネル型トランジスタTr2-1は、第1半導体領域S1、第2半導体領域S2を含む。nチャネル型トランジスタTr2-2は、第1半導体領域S1、第2半導体領域S2、第3半導体領域S3を含む。第1半導体領域S1は、平面視でゲート電極GL2と重なり、pチャネル型トランジスタTr2-1及びnチャネル型トランジスタTr2-2のチャネルとして機能し、第2半導体領域S2はソース領域及びドレイン領域として機能する。nチャネル型トランジスタTr2-2の第3半導体領域S3は、第2半導体領域S2よりも高抵抗な領域であり低濃度ドレイン(LDD)とも呼ばれ、ホットキャリア劣化を抑制する機能を有する。
【0024】
半導体層Sの上に第1絶縁層IL1及びゲート絶縁層GI1が設けられる。pチャネル型トランジスタTr2-1、nチャネル型トランジスタTr2-2に対しゲート絶縁層GI1は層間膜として機能する。これらの絶縁層の上に第2配線W2が設けられる。第2配線W2は、第1絶縁層IL1及びゲート絶縁層GI1に設けられた開口を介して第2半導体領域S2に接続される。第2配線W2の上に第2絶縁層IL2が設けられる。第2絶縁層IL2の上に第1配線W1が設けられる。第1配線W1は、第2絶縁層IL2に設けられた開口を介して第2配線W2に接続される。
【0025】
ゲート電極GL2と第1遮光層LS1bとは同一層である。第2配線W2とゲート電極GL1とは同一層である。ここで、同一層とは、複数の部材が、1つの層がパターニングされることによって形成されたものであることを意味する。
【0026】
2.画素の部分的な断面構造
図2は、画素PXの部分的な断面構造の一例を示す。画素PXは、第1基板SUB1、第2基板SUB2、及び第1基板SUB1と第2基板SUB2との間の液晶層LCを含む。図1を参照して説明したように、第1基板SUB1は、第1遮光層LS1、第1トランジスタTr1、接続電極ZTCO、画素電極PTCO、共通電極CTCOを含む。第2基板SUB2は、第2遮光層BM、カラーフィルタ層CF(第1カラーフィルタ層CF1、第2カラーフィルタ層CF2)、オーバーコート層OCを含む。前述のように、第2基板SUB2には、第1スペーサSP1に対応する位置に第2スペーサSP2が設けられる。第1基板SUB1と第2基板SUB2の間隔(セルギャップ)は第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2によって一定の間隔となるように保持される。
【0027】
第2遮光層BMは、例えば黒色の顔料を含む有機樹脂材料で形成される。第2遮光層BMは、画素PXの境界領域に設けられる。また、第2遮光層BMは、第1カラーフィルタ層CF1と第2カラーフィルタ層CF2の境界領域に設けられる。第1カラーフィルタ層CF1と第2カラーフィルタ層CF2は所定の色に着色され透光性を有する層であり、それぞれ異なる色相に着色されている。カラーフィルタ層CFの上にはオーバーコート層OCが設けられる。なお、図2は、液晶層LCの初期配向状態を規定する配向膜を省略して示している。
【0028】
3.画素の平面レイアウト
表示装置100は、図2に示す要素を含む画素PXが複数配列された画素部102を有する。図3は、画素部102を第2基板SUB2側からみたときの平面模式構造を示す。図3は、画素PXが、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、第3副画素SPX3を含む態様を示す。例えば、第1副画素SPX1は青色に対応する副画素であり、第2副画素SPX2は緑色に対応する副画素であり、第3副画素SPX3は赤色に対応する副画素であるものとする。
【0029】
図3は、第1方向D1に第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、第3副画素SPX3が第1方向D1に配列される態様を示す。PX3と同じ構成の副画素を含む画素PXが、第1方向D1及び第1方向D1と交差する第2方向D2に配列される。
【0030】
第1副画素SPX1は、第1半導体層OSa、第1接続電極ZTCO1、第1画素電極PTCO1を含み、第2副画素SPX2は、第2半導体層OSb、第2接続電極ZTCO2、第2画素電極PTCO2を含み、第3副画素SPX3は、第3半導体層OSc、第3接続電極ZTCO3、第3画素電極PTCO3を含む。第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3は、第1遮光層LS1、LS2及び第2遮光層BMによって囲まれており、平面視でこれらの遮光層から露出する領域が透光性領域となる。第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、及び第3副画素SPX3は、第1遮光層LS1、LS2及び第2遮光層BMによって開口部が画定される。
【0031】
画素部102には第1方向D1に延伸する走査信号線SCLと第2方向D2に延伸するデータ信号線DL(第1データ信号線DL1、第2データ信号線DL2、第3データ信号線DL3)が配設される。走査信号線SCLは、第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、及び第3半導体層OScと交差するように配設され、その交差部分がゲート電極(GL1)として機能する。
【0032】
第1遮光層LS1は、第1方向D1に延伸するパターンを有する。第1遮光層LS1は、第1方向D1に延伸する走査信号線SCLと重なる位置に設けられる。走査信号線SCLの幅は第1遮光層LS1の幅よりも小さい。走査信号線SCLは第1遮光層LS1のパターンの内側の領域に配置される。第1遮光層LS1、LS2は二層構造を有していてもよく、下層側の第1遮光層LS1a及び上層側の第1遮光層LS1bから構成されてもよい。第1遮光層LS1aに対して第1遮光層LS1bが幅広である。第1遮光層LS1の幅を画定する両側端部は、第1方向D1に沿って配列される第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3と重なる。第1遮光層LS1に隣接する第1遮光層LS2も同様のパターンを有し(図3はその一部を示す)、幅方向の端部が第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3と重なるように設けられる。別言すれば、第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3は、第1方向D1に平行な両端が第1遮光層LS1、LS2と重なるように設けられる。
【0033】
第2遮光層BMは、第2方向D2に延伸するパターンを含む。第2遮光層BMは、第2方向D2に延伸する第1データ信号線DL1、第2データ信号線DL2、第3データ信号線DL3と平面視で重なる形状を有する。また、第2遮光層BMは、第1方向D1に延伸し、走査信号線SCLと重なるパターンが含まれてもよい。第1方向D1に延伸するパターンは第2方向D2に延伸するパターンから連続するパターンである。第2遮光層BMの第1方向D1に延伸する部分は、第1遮光層LS1、LS2よりも狭い幅を有する。第2遮光層BMは、第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3の第2方向D2に平行な両辺と重なるように設けられる。
【0034】
上記のように、第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3は、平面視で第1遮光層LS1、LS2、及び第2遮光層BMに囲まれている。ここで、第1遮光層LS1、LS2が第1画素電極PTCO1と重なる領域の面積と、第2画素電極PTCO2及び第3画素電極PTCO3と重なる領域の面積とは異なっている。具体的には、第1遮光層LS1、LS2が第1画素電極PTCO1と重なる面積は、第1遮光層LS1、LS2が第2画素電極PTCO2及び第3画素電極PTCO3と重なる面積より大きい面積を有する。第1遮光層LS1、LS2が第2画素電極PTCO2と重なる面積は、第1遮光層LS1、LS2が第1画素電極PTCO1と重なる面積より小さく、第3画素電極PTCO3と重なる面積より大きい面積を有する。また、第1遮光層LS1、LS2が第3画素電極PTCO3と重なる面積は、第1遮光層LS1、LS2が第1画素電極PTCO1及び第2画素電極PTCO2と重なる面積より小さい面積を有する。
【0035】
図4は、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、及び第3副画素SPX3の拡大図を示す。第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3は、平面視で第1遮光層LS1、LS2、及び第2遮光層BMによって囲まれている。そして、第1副画素SPX1は第1遮光層LS1、LS2から露出する第1開口部OP1を有し、同様に第2副画素SPX2は第2開口部OP2を有し、第3副画素SPX3は第3開口部OP3を有する。
【0036】
ここで、第1開口部OP1、第2開口部OP2、及び第3開口部OP3の大きさ(面積)は、開口部ごとに第1遮光層LS1、LS2の幅が変更されていることにより異なる。すなわち、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、及び第3副画素SPX3の第1方向D1の幅X1は、3つの画素で同じであるのに対し、第2方向D2の幅は、第1副画素SPX1がY1の長さを有し、第2副画素SPX2がY2の長さを有し、第3副画素SPX3がY3の長さを有するとき、Y1<Y2<Y3の関係を有している。各副画素において、第2方向D2の長さに違いは第1遮光層LS1、LS2の幅(第2方向D2の長さ)が異なることに基づいている。第1遮光層LS1、LS2は、第1方向D1において、第1副画素SPX1に対応する部分の幅が大きく、第3副画素SPX3に対応する部分の幅が小さく、第2副画素SPX2に対応する部分がその中間の幅となっている。
【0037】
このように、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、及び第3副画素SPX3を挟む第1遮光層LS1及び第1遮光層LS2の一方又は両方の幅を第1方向D1において異ならせることで、各画素の開口部の面積を異ならせることができる。すなわち、第1遮光層LS1及び第1遮光層LS2幅を調整することによって、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、及び第3副画素SPX3の開口率を異ならせることができる。なお、本実施形態は、第1遮光層LS1、LS2の幅を異ならせる例を示すが、これに加えて、第2遮光層BMの幅も同時に異ならせてもよい。なお、開口率とは、一つの画素(又は副画素)が占める面積に対し、遮光層で遮蔽されていない面積の割合をいうものとする。
【0038】
第1副画素SPX1が青色に対応する画素であり、第2副画素SPX2は緑色に対応する副画素であり、第3副画素SPX3は赤色に対応する副画素である場合、第1遮光層LS1によって、赤色に対応する副画素の開口率(又は開口部の面積)を、青色に対応する副画素及び緑色に対応する副画素の開口率(又は開口部の面積)に比べて大きくすることができる。
【0039】
第1遮光層LS1、LS2は、第1方向D1に配列する画素電極ごとに、画素電極と重なる面積を異ならせるために、第1方向D1に沿ってパターン幅が変化している。
【0040】
第1遮光層LS1は、また、スペーサSPが設けられる領域を遮光するために用いられる。図5は、第1スペーサSP1が設けられる領域の第1遮光層LS1のパターンを示す。第1遮光層LS1は、第1方向D1に沿って周期的に幅が変化するパターンを有するが、第1スペーサSP1が設けられる領域においては変則的なパターンを有する。すなわち、第1スペーサSP1が設けられる領域を遮光するため他の領域より幅広のパターンを有する。
【0041】
一方、第2遮光層BMは、第1スペーサSP1が設けられる領域においても第1遮光層SL1のような変則的なパターンを有さず、他の領域と同じパターンを有する。第1スペーサSP1は第2遮光層BMから一部が露出することになるが、第1遮光層LS1によって遮光されるため画像の表示には何ら影響が生じない。第2遮光層BMは樹脂材料で形成されるため微細で精密なパターンを形成することが難しい。仮に、第2遮光層BMで第1スペーサSP1を遮光しようとするとマージンを考慮して遮光部分の面積を広く設計する必要がある。しかしこの問題を第1遮光層LS1の精密なパターンによって補うことができ、画素の開口率を必要以上に小さくしないようにすることができる。
【0042】
第1画素電極PTCO1が第1遮光層LS1、LS2及び第2遮光層BMから露出する領域が透光性領域となる。この透光性領域が第1副画素SPX1の開口部に相当する。すなわち、第1副画素SPX1の開口率は、第1遮光層LS1、LS2及び第2遮光層BMによって画定される。同様に、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3の開口率も第1遮光層LS1、LS2及び第2遮光層BMによって画定される。第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、及び第3副画素SPX3の開口率は異なっている。各画素の開口率の違いは、第1遮光層LS1、LS2が画素電極と重なる面積の違いによって規定される。
【0043】
ここで留意すべきは、第1遮光層LS1、LS2が第1基板SUB1に設けられ、第2遮光層BMが第2基板SUM2に設けられる点である。図1及び図2に示すように、第1遮光層LS1は、走査信号線SCL(及びゲート電極GL1)及び画素電極PTCOより下層側に設けられる。第1遮光層LS1は、第1基板SUB1上に金属膜を形成し、フォトリソグラフィー工程を経て上記のようなパターンが形成される。第1遮光層LS1は、第1基板SUB1に最初にパターニングされる層であり、以降の工程で形成される走査信号線SCL(及びゲート電極GL1)及び画素電極PTCOは、第1遮光層LS1と同じ層で形成されるアライメントマーカーにより位置が画定される。第1遮光層LS1は、無機材料である金属膜をドライエッチング又はウェットエッチングして形成されるため精細なパターンで形成することが可能である。また、画素電極PTCOは、第1基板SUB1上に形成された透明導電膜を、フォトリソグラフィー工程を経て所定の形状に形成される。第1遮光層LS1と画素電極PTCOとの相互の位置は、露光装置におけるフォトマスクのアライメント精度に依存し、高精度に位置合わせをすることができる。一方、第2遮光層BMは黒色の顔料を含む有機樹脂材料で形成される。第2遮光層BMは、第1遮光層LS1のような高精細なパターンを形成することは向いていないが、工程数が少なく大面積の領域に安価に製造することができる。
【0044】
ここで、第2基板SUB2側に形成された第2遮光層BMのみで画素の開口率を調整しようとすると、第1基板SUB1と第2基板SUM2を張り合わせるときのアライメント精度が問題となる。この問題に対し、本実施形態に係る表示装置100は、上記のような2種類の遮光層を組み合わせることで、画素の開口率を精密に制御している。すなわち、画素の開口率を第2基板SUB2側の第2遮光層BMのみによって画定するのではなく、第1基板SUB1側に形成される第1遮光層LS1と第2基板SUB2側に形成される第2遮光層BMの両方を使い、開口する部分の調整を第1遮光層LS1によって行うことで各画素の開口率の制御を精密に行うことができる。これにより、画素が高精細化した場合であっても(画素の寸法が縮小した場合であっても)、画素の開口率を精密に制御することができる。
【0045】
4.画素を構成する各層の詳細なレイアウト
以下に、画素PXを構成する各層の詳細なレイアウトを説明する。
【0046】
4-1.第1遮光層
図6は、第1遮光層LS1、LS2、LS3を示す。第1遮光層LS1、LS2、LS3は第1方向D1に延伸するパターンを有する。図3を参照して説明したように、第1遮光層LS1は、画素の配置に合わせてパターン幅が異なっている。すなわち、第1遮光層LS1は、第1方向D1に沿って幅が広い部分と、その幅が広い部分に比べて狭い部分を含む。例えば、図3に示すような第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、及び第3副画素SPX3が第1方向D1に沿って周期的に配列される場合、第1遮光層LS1は周期的に変化するパターンを有する。第1遮光層LS2、LS3についても同様である。
【0047】
第1遮光層LS1は、図1に示すように、第1遮光層LS1aと、第1遮光層LS1bの二層構造を有していてもよい。第1遮光層LS1を金属膜の二層構造とすることで遮光性を高めることができる。
【0048】
4-2.半導体層
図7に示すように、第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、第3半導体層OScは、第2方向D2に延びる島状パターンを有する。第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、及び第3半導体層OScは、第1遮光層LS1の上層側に配置される。第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、及び第3半導体層OScは、第1遮光層LS1と一部が重なるように設けられる。
【0049】
4-3.走査信号線
図8は走査信号線SCLを示す。走査信号線SCLは、第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、及び第3半導体層OScと交差するように第1方向D1に延伸する。走査信号線SCLが第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、及び第3半導体層OScと交差する部分はゲート電極(GL1)として機能する。走査信号線SCL(ゲート電極GL1)のパターンは第1遮光層LS1のパターンの内側に設けられる。
【0050】
4-4.データ信号線
図9は、第1データ信号線DL1、第2データ信号線DL2、第3データ信号線DL3を示す。第1データ信号線DL1、第2データ信号線DL2、及び第3データ信号線DL3は、第2方向D2に延伸し、走査信号線SCLと交差するように設けられる。図9に示すように、開口部WCONは、第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、及び第3半導体層OScの島状パターンの一方の端部の付近において、第1データ信号線DL1、第2データ信号線DL2、第3データ信号線DL3と重なる領域に設けられる。第1半導体層OSaの主たる部分は第1データ信号線DL1と第2データ信号線DL2との間に配置され、第2方向D2に延びている。第1半導体層OSaの一方の端部は、第1データ信号線DL1及び第2データ信号線DL2に挟まれた部分から開口部WCONの方向に向かって屈曲するパターンを有する。第1データ信号線DL1は、開口部WCONと重なるように配設される。第1半導体層OSaは、開口部WCONにおいて第1データ信号線DL1と接続される。第2半導体層OSb及び第3半導体層OScについても同様である。
【0051】
4-5.接続電極
図10に示すように、開口部ZCONは第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、及び第3半導体層OScの島状パターンと重なるように設けられる。開口部WCONが第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、及び第3半導体層OScの一方の端部の側に設けられるのに対し、開口部ZCONは第1半導体層OSa、第2半導体層OSb、及び第3半導体層OScの他方の端部の側に設けられる。また、開口部ZCONは走査信号線SCLと重ならない位置に設けられる。
【0052】
接続電極ZTCOは、第1データ信号線DL1と第2データ信号線DL2との間に配置され、第1半導体層OSaと重なるように設けられる。接続電極ZTCOは、開口部ZCON(第1コンタクト領域CON1)において第1半導体層OSaと接続される。第2半導体層OSb及び第3半導体層OScについても同様に接続電極ZTCOと接続される。接続電極ZTCOは、第2方向D2に沿って伸びるパターンを有し、開口部ZCONが形成される部分から走査信号線SCLを越える領域まで延伸するように設けられる。
【0053】
4-6.画素電極
図11は、第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3を示す。第1画素電極PTCO1は開口部PCONにより第1接続電極ZTCO1と接続され、第2画素電極PTCO2は開口部PCONにより第2接続電極ZTCO2と接続され、第3画素電極PTCO3は開口部PCONにより第3接続電極ZTCO3と接続される。開口部PCONは第1接続電極ZTCO1、第2接続電極ZTCO2、第3接続電極ZTCO3のパターンの上端付近であって、走査信号線SCL(ゲート電極GL1)のパターンと重なる領域に設けられる。第1画素電極PTCO1は、第1データ信号線DL1と第2データ信号線DL2との間において、走査信号線SCL(ゲート電極GL1)、半導体層OS1a、及び第1接続電極ZTCO1と重なり、第2方向D2に延伸するように設けられる。第2画素電極PTCO2及び第3画素電極PTCO3についても同様である。
【0054】
4-7.共通補助電極
図12は、共通補助電極CMTLを示す。共通補助電極CMTLは、第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3の周囲を囲む格子状のパターンを有する。共通補助電極CMTLは、第1データ信号線DL1、第2データ信号線DL2、及び第3データ信号線DL3と重なるように第2方向D2に延伸するパターンと、開口部PCONと重なり第1方向D1に延伸するパターンとを含む。共通補助電極CMTLの第1方向D1に延伸するパターンの幅は、第1遮光層LS1の幅よりも狭い。共通補助電極CMTLは画素部102の全体に亘って設けられる。換言すると、共通補助電極CMTLは、第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3を露出する開口部を有する。
【0055】
共通補助電極CMTLは金属膜で形成される。共通補助電極CMTLは、この上に透明導電膜で画素部102の略全面に形成される共通電極CTCOの抵抗を低減する補助電極として用いられる。
【0056】
上記の構成によれば、共通補助電極CMTLの幅を調整することで、第1画素PX1、第2画素PX2、及び第3画素PX3の第1方向D1の開口幅を画定することもできる。すなわち、共通補助電極CMTLの幅を広げることによって、第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3と重なる領域を形成することができ、遮光層としての機能を付加することができる。別言すれば、第2基板SUB2に設けられる第2遮光層BMの機能を、共通補助電極CMTLが代替することができる。
【0057】
図3は、第1遮光層LS1と第2遮光層BMとによって画素の開口部を画定する例を示すが、図12に示すように第1遮光層LS1と共通補助電極CMTLによっても画素の開口の大きさ(開口率)を画定することができる。共通補助電極CMTLは、第1遮光層LS1と同様にフォトリソグラフィーでパターニングされるため、画素PXが微細化しても開口率を精密に画定することができる。
【0058】
4-8.共通電極
図13は、共通電極CTCOを示す。共通電極CTCOは、複数の画素に対して共通に設けられる。共通電極CTCOは、第1画素PX1、第2画素PX2、及び第3画素PX3の開口部に対応する領域にスリットSLが設けられる。スリットSLは湾曲した形状(縦に長いS字形状)を有しており、先端ほど延伸方向に対する幅が小さくなる形状を有している。以上のようにして、IPSモード(横電界モード)で液晶を駆動する画素PXが作製される。
【0059】
4-9.画素を構成する各部材の材質
第1基板SUB1及び第2基板SUB2として、ガラス基板、石英基板、およびサファイア基板など、透光性を有し、可撓性を有しない剛性基板を用いることができる。一方、第1基板SUB1及び第2基板SUB2が可撓性を有する必要がある場合は、基板材料としてポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、またはフッ素樹脂基板など、樹脂を含み、可撓性を有するフレキシブル基板を用いることができる。第1基板SUB1及び第2基板SUB2の耐熱性を向上させるために、上記の樹脂に不純物を導入してもよい。
【0060】
走査信号線SCL(ゲート電極GL1)、ゲート電極GL2、データ信号線DL、第1配線W1、第2配線W2、第1遮光層LS1、及び共通補助電極CMTLとして、金属材料を用いることができる。例えば、これらの部材として、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、及びこれらの合金又は化合物が用いられる。上記の部材として、上記の材料が単層で用いられてもよく、積層で用いられてもよい。
【0061】
ゲート絶縁層GI1、GI2及び第1絶縁層IL1、第2絶縁層IL2、第3絶縁層IL3、第4絶縁層IL4、第5絶縁層IL5として、絶縁層性材料を用いることができる。例えば、第1絶縁層IL1、第2絶縁層IL2、第3絶縁層IL3、第5絶縁層IL5として、として、酸化シリコン(SiO)、酸化窒化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化窒化アルミニウム(AlO)、窒化アルミニウム(AlN)などの無機絶縁層を用いることができる。これらの絶縁層として、欠陥が少ない絶縁層を用いることができる。第4絶縁層IL4として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はシロキサン樹脂などの有機絶縁材料を用いることができる。なお、ゲート絶縁層GI1、GI2及び第1絶縁層IL1、第2絶縁層IL2、第3絶縁層IL3、第5絶縁層IL5として、上記の有機絶縁材料が用いられてもよい。上記の部材として、上記の材料が単層で用いられてもよく、積層で用いられてもよい。
【0062】
なお、絶縁層の一例として、ゲート絶縁層GI1として厚さが100nmのSiOが用いられる。また、第1絶縁層IL1として総厚さが600nm~700nmのSiO/Si/SiOが用いられる。ゲート絶縁層GI2として総厚さが60~100nmのSiO/Siが用いられる。第2絶縁層IL2として総厚さが300nm~500nmのSiO/Si/SiOが用いられる。第3絶縁層IL3として総厚さが200nm~500nmのSiO(単層)、Si(単層)、又はこれらの積層が用いられる。第4絶縁層IL4として厚さが2μm~4μmの有機層が用いられる。第5絶縁層IL5として厚さが50nm~150nmのSi(単層)が用いられる。
【0063】
半導体層OSとして、半導体の特性を有する酸化金属(酸化物半導体)を用いることができる。半導体層OSは透光性を有する。例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び酸素(O)を含む酸化物半導体を用いることができる。特に、In:Ga:Zn:O=1:1:1:4の組成比を有する酸化物半導体を用いることができる。ただし、本実施形態で使用されるIn、Ga、Zn、及びOを含む酸化物半導体は上記の組成に限定されるものではなく、上記とは異なる組成の酸化物半導体を用いることもできる。例えば、移動度を向上させるためにInの比率を上記より大きくしてもよい。また、バンドギャップを大きくし、光照射による影響を小さくするためにGaの比率を上記より大きくしてもよい。
【0064】
In、Ga、Zn、及びOを含む酸化物半導体に他の元素が添加されていてもよい。例えば、当該酸化物半導体にAl、Snなどの金属元素が添加されていてもよい。上記の酸化物半導体以外にもIn及びGaを含む酸化物半導体(IGO)、In及びZnを含む酸化物半導体(IZO)、In、Sn及びZnを含む酸化物半導体(ITZO)、並びにIn及びWを含む酸化物半導体などが半導体層OSとして用いられてもよい。半導体層OSはアモルファスであってもよく、結晶性であってもよい。半導体層OSはアモルファスと結晶の混相であってもよい。
【0065】
接続電極ZTCO、画素電極PTCO(第1画素電極PTCO1、第2画素電極PTCO2、及び第3画素電極PTCO3)、及び共通電極CTCOとして、透明導電層が用いられる。当該透明導電層として、酸化インジウム及び酸化スズの混合物(ITO)及び酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物(IZO)を用いることができる。当該透明導電層として、上記以外の材料が用いられてもよい。
【0066】
5.表示装置の構成
図14は、本発明の一実施形態に係る表示装置100の構成を示す。表示装置100は、第1基板SUB1、第2基板SUB2、ドライバIC110、及びフレキシブルプリント回路基板112を含む。本実施形態で示すように、第1基板SUB1には第1遮光層LS1を含む画素PXが設けられ、第2基板SUB2には第2遮光層BM及びカラーフィルタ層CFが設けられる。第1基板SUB1と第2基板SUB2との間には図示されないシール材が設けられる。第1基板SUB1と第2基板SUB2とはシール材で張り合わされる。
【0067】
第1基板SUB1は、複数の画素PXが配列される画素部102と、画素部102の外側の領域に設けられる走査信号線駆動回路104、データ信号線選択回路106、及びフレキシブルプリント回路基板112と接続を形成する端子部108を含む。フレキシブルプリント回路基板112にはドライバIC110が実装される。画素PXは、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、第3副画素SPX3を含む。走査信号線SCLは走査信号線駆動回路104と接続され、第1データ信号線DL1、第2データ信号線DL2、第3データ信号線DL3はデータ信号線選択回路106に接続される。
【0068】
図1に示す第1トランジスタTr1は第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、第3副画素SPX3に設けられる。第2トランジスタTr2は走査信号線駆動回路104、データ信号線選択回路106に適用される。また、図3及び図5に示す第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、第3副画素SPX3によって画素部102が形成される。
【0069】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0070】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0071】
100:表示装置、102:画素部、104:走査信号線駆動回路、106:データ信号線選択回路、108:端子部、110:ドライバIC、112:フレキシブルプリント回路基板、BM:第2遮光層、CF:カラーフィルタ層、CF1:第1カラーフィルタ層、CF2:第2カラーフィルタ層、CMTL:共通補助電極、CON1:第1コンタクト領域、CON2:第2コンタクト領域、CTCO:共通電極、DL:データ信号線、DL1:第1データ信号線、DL2:第2データ信号線、DL3:第3データ信号線、GI1:ゲート絶縁層、GI2:ゲート絶縁層、GL1:ゲート電極、GL2:ゲート電極、IL1:第1絶縁層、IL2:第2絶縁層、IL3:第3絶縁層、IL4:第4絶縁層、IL5:第5絶縁層、LC:液晶層、LS、LS1a、LS1b:第1遮光層、OC:オーバーコート層、OS:半導体層、OSa:第1半導体層、OSb:第2半導体層、OSc:第3半導体層、OS1:第1半導体領域、OS2:第2半導体領域、PCON:開口部、PTCO:画素電極、PTCO1:第1画素電極、PTCO2:第2画素電極、PTCO3:第3画素電極、PX:画素、SPX1:第1副画素、SPX2:第2副画素、SPX3:第3副画素、S:半導体層、S1:第1半導体領域、S2:第2半導体領域、S3:第3半導体領域、SCL:走査信号線、SP1:第1スペーサ、SP2:第2スペーサ、SUB1:第1基板、SUB2:第2基板、Tr1:第1トランジスタ、Tr2:第2トランジスタ、Tr2-1:pチャネル型トランジスタ、Tr2-2:nチャネル型トランジスタ、W1:第1配線、W2:第2配線、WCON:開口部、ZCON:開口部、ZTCO:接続電極、ZTCO1:第1接続電極、ZTCO2:第2接続電極、ZTCO3:第3接続電極
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