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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】電線打ち込み装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/28 20060101AFI20241106BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01R43/28
H02G1/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021073350
(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公開番号】P2022167517
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】山口 修弘
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134325(JP,A)
【文献】特開2012-049068(JP,A)
【文献】特開平05-242945(JP,A)
【文献】特開2008-204779(JP,A)
【文献】特開2010-003429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/28
H02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を保持する複数の電線保持溝が長手方向に沿って間隔をあけて形成された治具の前記電線保持溝へ前記電線を打ち込む電線打ち込み装置であって、
前記治具の側方に配置され、複数の電線の先端を位置決めして前記電線保持溝上に配置させる位置決め部材と、
前記治具に向かって移動することにより、前記位置決め部材に位置決めされた前記複数の電線を前記治具の前記電線保持溝へ打ち込んで保持させる打ち込み部材と、
を備え
前記位置決め部材は、前記打ち込み部材の前記治具に向けた前記複数の電線の打ち込み方向への移動中において、前記打ち込み部材に対して前記電線保持溝の延在方向にずれた前記治具の前記側方に配置され、前記打ち込み方向において前記打ち込み部材と対向しない、
ことを特徴とする電線打ち込み装置。
【請求項2】
前記打ち込み部材は、前記位置決め部材に位置決めされた前記複数の電線から離間した位置から前記治具に向けた前記打ち込み方向への移動を開始し、前記打ち込み方向への移動中において、前記複数の電線に接触した後に前記複数の電線を前記打ち込み方向へ押し込むことで前記電線保持溝へ打ち込み、
前記位置決め部材は、前記打ち込み部材が前記打ち込み方向への移動を開始してから前記複数の電線に接触するまでの間は、移動せず、前記打ち込み部材が前記複数の電線に接触した後に、前記打ち込み部材と同期して前記ち込み方向へ移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電線打ち込み装置。
【請求項3】
前記位置決め部材は、それぞれの前記電線の先端位置を検知するセンサを備える、
請求項1または請求項2に記載の電線打ち込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線打ち込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電線の端末に端子を圧着する圧着工程では、電線の端末を治具に保持させている。この治具は、電線保持溝を有しており、この治具の電線保持溝に電線の端末を打ち込むことにより、電線の端末が治具に保持される。
【0003】
特許文献1には、無端状のベルトに設けられたクリップに対して、ブレードによって電線を押し込んで保持させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-242945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、後工程での電線への端子の圧着工程では、クリップに保持させた電線の高さ位置及び先端位置の精度が要求される。
【0006】
しかし、上記の装置は、電線の先端を位置決めしてクリップに保持させることが難しく、後工程の端子の圧着工程において、電線への端子の圧着精度が低下するおそれがある。また、クリップに対して電線を一本ずつ押し込むため、効率の向上が望まれる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、治具に対して精度良く、かつ効率的に電線を保持させることが可能な電線打ち込み装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電線打ち込み装置は、下記(1)~(3)を特徴としている。
(1) 電線を保持する複数の電線保持溝が長手方向に沿って間隔をあけて形成された治具の前記電線保持溝へ前記電線を打ち込む電線打ち込み装置であって、
前記治具の側方に配置され、複数の電線の先端を位置決めして前記電線保持溝上に配置させる位置決め部材と、
前記治具に向かって移動することにより、前記位置決め部材に位置決めされた前記複数の電線を前記治具の前記電線保持溝へ打ち込んで保持させる打ち込み部材と、
を備え
前記位置決め部材は、前記打ち込み部材の前記治具に向けた前記複数の電線の打ち込み方向への移動中において、前記打ち込み部材に対して前記電線保持溝の延在方向にずれた前記治具の前記側方に配置され、前記打ち込み方向において前記打ち込み部材と対向しない、
ことを特徴とする電線打ち込み装置。
【0009】
(2) 前記打ち込み部材は、前記位置決め部材に位置決めされた前記複数の電線から離間した位置から前記治具に向けた前記打ち込み方向への移動を開始し、前記打ち込み方向への移動中において、前記複数の電線に接触した後に前記複数の電線を前記打ち込み方向へ押し込むことで前記電線保持溝へ打ち込み、
前記位置決め部材は、前記打ち込み部材が前記打ち込み方向への移動を開始してから前記複数の電線に接触するまでの間は、移動せず、前記打ち込み部材が前記複数の電線に接触した後に、前記打ち込み部材と同期して前記ち込み方向へ移動する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の電線打ち込み装置。
【0010】
(3) 前記位置決め部材は、それぞれの前記電線の先端位置を検知するセンサを備える、
ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の電線打ち込み装置。
【0011】
上記(1)の構成の電線打ち込み装置によれば、位置決め部材によって先端位置が揃えられた複数の電線を、打ち込み部材によって治具の電線保持溝へ同時に打ち込み、打ち込み高さを揃えた状態で保持させることができる。また、治具に対して複数の電線を同時に打ち込んで保持させることができるので、電線の打ち込み作業時間を大幅に短縮させることができる。つまり、治具に対して精度良く、かつ効率的に電線を保持させることができる。
【0012】
上記(2)の構成の電線打ち込み装置によれば、位置決め部材が打ち込み部材と同期して複数の電線の打ち込み方向へ移動する。したがって、先端を位置決めした状態を維持させながら複数の電線を治具へ打ち込むことができ、治具に対してより高精度に電線を保持させることができる。
【0013】
上記(3)の構成の電線打ち込み装置によれば、それぞれの電線の先端位置をセンサによって検知することにより、複数の電線の先端が揃えられているか否かを迅速に判定することができる。これにより、複数の電線の先端をより高精度に揃えた状態で位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、治具に対して精度良く、かつ効率的に電線を保持させることが可能な電線打ち込み装置を提供できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係る電線打ち込み装置の構成を説明する概略側面図である。
図2図2は、電線打ち込み装置における電線の打ち込み作業位置の斜視図である。
図3図3は、打ち込み部材を説明する斜視図である。
図4図4は、電線の打ち込み作業を説明する作業工程図である。
図5図5は、電線の打ち込み作業を説明する作業工程図である。
図6図6は、電線の打ち込み作業を説明する作業工程図である。
図7図7は、電線の打ち込み作業を説明する作業工程図である。
図8図8は、電線の打ち込み作業を説明する作業工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る電線打ち込み装置の構成を説明する概略側面図である。図2は、電線打ち込み装置における電線の打ち込み作業位置の斜視図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る電線打ち込み装置100は、治具保持機構部10と、電線位置決め機構部30と、電線打ち込み機構部60と、を備えている。
【0020】
治具保持機構部10は、移動テーブル11を備えており、この移動テーブル11には、治具12が着脱される。図2に示すように、治具12は、長尺状に形成され、複数の電線保持部13が配列されている。治具12の電線保持部13には、上方側が開放された電線保持溝14が形成されており、この電線保持溝14には、その上方側から電線1が打ち込まれて保持されるようになっている。
【0021】
また、移動テーブル11には、複数の電線振り分け棒16が立設された電線振り分け部17を有している。この電線振り分け部17は、移動テーブル11に装着される治具12に沿って設けられており、一対の電線振り分け棒16の間が振り分け空間18となっている。この電線振り分け空間18には、治具12の電線保持部13における電線保持溝14に打ち込まれる電線1が挿通される。
【0022】
治具12が着脱される移動テーブル11は、台座19上に支持されており、治具12の長手方向に沿って移動可能となっている。治具保持機構部10には、例えば、ステッピングモータ等によって駆動する移動機構(図示略)が設けられており、この移動機構によって移動テーブル11が移動される。この移動機構によって移動される移動テーブル11は、装着される治具12の4つの電線保持部13毎に移動される。
【0023】
電線位置決め機構部30は、昇降機構31と、進退機構32とを有している。進退機構32は、昇降機構31に支持されており、この昇降機構31によって昇降される。進退機構32は、位置決め部33を有しており、この位置決め部33を、治具保持機構部10に装着された治具12に対して進退させる。
【0024】
位置決め部33は、位置決め部材35を有している。図2に示すように、位置決め部材35は、4つの電線挿入孔36を有している。位置決め部材35は、下板37と、上板38とから構成されており、これらの下板37と上板38との間に電線挿入孔36が設けられている。下板37は、上板38から張り出す張出部40を有しており、この張出部40には、電線挿入孔36へ向かって次第に窄まるテーパ溝41が形成されている。
【0025】
この位置決め部材35は、下板37の張出部40を有する前方側が電線挿入側となっており、この電線挿入側から電線挿入孔36へ電線1が挿入可能とされている。この電線挿入孔36へ電線1を挿入する際に、電線1は、張出部40のテーパ溝41に案内されて電線挿入孔36へ円滑に導かれるようになっている。
【0026】
また、位置決め部材35における電線挿入側と反対側の後方側には、4つの近接センサ(センサ)42が設けられている。これらの近接センサ42は、それぞれ電線挿入孔36の開口部分に配置されており、電線挿入孔36に挿入された電線1を検知する。つまり、これらの近接センサ42によって、電線挿入孔36における電線1の有無が検知可能となっている。
【0027】
位置決め部材35を構成する下板37及び上板38には、それぞれ一対の孔部45が形成されている。これらの孔部45は、それぞれ電線挿入孔36に連通している。位置決め部33には、位置決め部材35の下方側及び上方側における下板37及び上板38に形成された孔部45に対応する位置に、それぞれ一対の押圧棒46が設けられている。これらの押圧棒46は、例えば、ウレタンゴム等の弾性を有する材料によって形成されたもので、シリンダ47によって進退可能となっている。位置決め部材35の下方に設けられた押圧棒46は、シリンダ47によって進退されることにより、位置決め部材35の下板37に形成された孔部45に挿抜される。そして、この押圧棒46が下板37の孔部45に挿し込まれると、電線挿入孔36に挿入されている電線1が押圧棒46と上板38とで挟持されて保持される。位置決め部材35の上方に設けられた押圧棒46は、シリンダ47によって進退されることにより、位置決め部材35の上板38に形成された孔部45に挿抜される。そして、この押圧棒46が上板38の孔部45に挿し込まれると、電線挿入孔36に挿入されている電線1が押圧棒46と下板37とで挟持されて保持される。
【0028】
電線位置決め機構部30は、昇降機構31に、上昇位置検知センサ51及び下降位置検知センサ52が設けられており、進退機構32に、前進位置検知センサ53及び後退位置検知センサ54が設けられている。上昇位置検知センサ51は、進退機構32が上昇位置に到達したことを検知し、下降位置検知センサ52は、進退機構32が下降位置に到達したことを検知するようになっている。前進位置検知センサ53は、位置決め部33が治具保持機構部10側の前進位置に到達したことを検知し、後退位置検知センサ54は、位置決め部33が治具保持機構部10から離れて後退位置に到達したことを検知するようになっている。
【0029】
電線打ち込み機構部60は、ロッド61を進退させる昇降シリンダ62を備えている。この昇降シリンダ62は、支柱63に固定されたフレーム64に支持されている。昇降シリンダ62は、治具保持機構部10の移動テーブル11に装着される治具12の上方に配置されており、ロッド61が治具12へ向かって延在している。
【0030】
図3は、打ち込み部材を説明する斜視図である。
図3に示すように、昇降シリンダ62のロッド61には、その先端に、打ち込み部材65が固定されている。打ち込み部材65は、ロッド61の端部に固定される固定板部66と、固定板部66の両縁部から下方へ延びる一対の押圧側板部67とを有している。押圧側板部67同士は、治具12の幅よりも僅かに広い間隔に配置されている。また、打ち込み部材65には、押圧側板部67同士の間に、複数の隔壁68が間隔をあけて形成されている。これにより、打ち込み部材65には、治具12の電線保持部13が嵌合可能な複数の凹部69が形成されている。
【0031】
電線打ち込み機構部60は、昇降シリンダ62に、打ち込み部材65の高さ位置を検知する下限位置検知センサ71、中間位置検知センサ72及び上限位置検知センサ73が設けられている。下限位置検知センサ71は、打ち込み部材65が下降して治具12に電線1を打ち込む打ち込み位置に到達したことを検知するようになっている。中間位置検知センサ72は、打ち込み部材65が治具12の直上の中間位置に到達したことを検知するようになっている。上限位置検知センサ73は、打ち込み部材65が上昇して治具12の上方の待機位置に到達したことを検知するようになっている。
【0032】
上記構成の電線打ち込み装置100は、制御部80を備えており、この制御部80によって治具保持機構部10、電線位置決め機構部30及び電線打ち込み機構部60の駆動が制御される。また、この制御部80には、電線位置決め機構部30の近接センサ42、上昇位置検知センサ51、下降位置検知センサ52、前進位置検知センサ53及び後退位置検知センサ54が接続されている。さらに、制御部80には、電線打ち込み機構部60の下限位置検知センサ71、中間位置検知センサ72及び上限位置検知センサ73が接続されている。制御部80は、これらのセンサからの検知信号に基づいて、治具保持機構部10、電線位置決め機構部30及び電線打ち込み機構部60の駆動を制御し、治具12の電線保持部13に電線1を打ち込んで保持させる。
【0033】
上昇位置検知センサ51、下降位置検知センサ52、前進位置検知センサ53、後退位置検知センサ54、下限位置検知センサ71、中間位置検知センサ72及び上限位置検知センサ73としては、近接センサを用いることができる。なお、これらのセンサとして、磁石を有するピストンの磁力によってオン/オフするセンサをシリンダに設けたシリンダセンサを用いてもよい。
【0034】
次に、電線打ち込み装置100による治具12への電線1の打ち込み作業について説明する。
ここでは、一対の電線1が外被で被覆されたシールドタイプのツイスト線の両端から露出された電線1を治具12に保持させる場合を例示する。
図4図8は、それぞれ電線の打ち込み作業を説明する作業工程図である。
【0035】
待機状態の電線打ち込み装置100に対して、治具保持機構部10の移動テーブル11に治具12を装着させる(図1参照)。
【0036】
図4に示すように、ツイスト線の一端側の一対の電線1を位置決め部材35の電線挿入孔36へ先端が突き当たるまで挿し込む。電線挿入孔36に電線1が挿し込まれて近接センサ42が電線1を検知すると、シリンダ47によって押圧棒46が位置決め部材35の孔部45に挿し込まれ、電線挿入孔36に挿し込まれた電線1が保持される。同様に、ツイスト線の他端側の一対の電線1を位置決め部材35の電線挿入孔36へ先端が突き当たるまで挿し込む。すると、電線挿入孔36に挿し込まれた電線1が近接センサ42によって検知され、シリンダ47によって押圧棒46が位置決め部材35の孔部45に挿し込まれ、電線挿入孔36に挿し込まれた電線1が保持される。
【0037】
4本の電線1が位置決め部材35の電線挿入孔36に挿し込まれて全ての近接センサ42によって電線1が検知されたら、スタートボタン(図示略)を押下して打ち込み動作を開始させる。なお、全ての近接センサ42によって電線1が検知されることにより、制御部80によって打ち込み動作を自動で開始させるようにしてもよい。
【0038】
図5に示すように、打ち込み動作が開始されると、電線打ち込み機構部60の昇降シリンダ62が駆動し、中間位置検知センサ72からの検知信号に基づいて、打ち込み部材65が治具12の直上の中間位置に配置され、打ち込み部材65が電線1に接触される。
【0039】
図6に示すように、電線打ち込み機構部60の昇降シリンダ62と電線位置決め機構部30の昇降機構31とが同期して駆動することにより、打ち込み部材65が下限位置である打ち込み位置へ向かって下降するとともに、位置決め部材35が打ち込み部材65とともに下降する。このとき、昇降シリンダ62及び昇降機構31は、下降位置検知センサ52及び下限位置検知センサ71により検知される下限位置まで下降する。
【0040】
すると、打ち込み部材65によって電線1が治具12へ向かって押し下げられ、治具12の電線保持部13が打ち込み部材65の凹部69に嵌合される。これにより、各電線1は、先端位置が位置決め部材35によって位置決めされて揃えられた状態で、治具12の電線保持部13の電線保持溝14へ規定の高さ位置まで打ち込まれる。
【0041】
シリンダ47が駆動して位置決め部材35の孔部45から押圧棒46が抜き出され、位置決め部材35における電線1の保持が解除される。
【0042】
この状態で、図7に示すように、電線位置決め機構部30の進退機構32が後退位置検知センサ54により検知されるまで駆動することにより、位置決め部材35が後退位置へ移動する。
【0043】
図8に示すように、電線打ち込み機構部60の昇降シリンダ62が、上限位置検知センサ73により検知されるまで駆動して、打ち込み部材65が上限位置である待機位置に配置される。また、電線位置決め機構部30の昇降機構31が、上昇位置検知センサ51により検知されるまで駆動して、位置決め部材35が上昇位置に配置される。
【0044】
さらに、治具保持機構部10の移動テーブル11が移動することにより、治具12における電線1が保持された4つの電線保持部13が打ち込み作業位置から外れ、隣接する4つの電線保持部13が打ち込み作業位置に配置される。
【0045】
また、電線位置決め機構部30の進退機構32が駆動して位置決め部材35が前進位置に配置され、次の電線1の打ち込み作業の待機状態となる(図1参照)。
【0046】
上記の電線打ち込み作業を繰り返し行い、治具12に規定数の電線1を打ち込んだら、治具保持機構部10の移動テーブル11から治具12を取り外す。
【0047】
以上、説明したように、本実施形態に係る電線打ち込み装置100によれば、位置決め部材35によって先端位置が揃えられた複数の電線1を、打ち込み部材65によって治具12の電線保持溝14へ同時に打ち込み、打ち込み高さを揃えた状態で保持させることができる。また、治具12に対して複数の電線1を同時に打ち込んで保持させることができるので、電線1の打ち込み作業時間を大幅に短縮させることができる。つまり、治具12に対して精度良く、かつ効率的に電線1を保持させることができる。
【0048】
しかも、位置決め部材35が打ち込み部材65と同期して複数の電線1の打ち込み方向へ移動する。したがって、先端を位置決めした状態を維持させながら複数の電線1を治具12へ打ち込むことができ、治具12に対してより高精度に電線1を保持させることができる。
【0049】
また、それぞれの電線1の先端位置を近接センサ42によって検知することにより、複数の電線1の先端が揃えられているか否かを迅速に判定することができる。これにより、複数の電線1の先端をより高精度に揃えた状態で位置決めすることができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、ツイスト電線の両端でそれぞれ露出された一対の電線1を治具12へ同時に打ち込む場合を例示したが、治具12へ打ち込む電線のタイプはツイスト電線に限らない。
【0051】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0052】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る電線打ち込み装置の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 電線(1)を保持する複数の電線保持溝(14)が長手方向に沿って間隔をあけて形成された治具(12)の前記電線保持溝(14)へ前記電線(1)を打ち込む電線打ち込み装置(100)であって、
前記治具(12)の側方に配置され、複数の電線(1)の先端を位置決めして前記電線保持溝(14)上に配置させる位置決め部材(35)と、
前記治具(12)に向かって移動することにより、前記位置決め部材(35)に位置決めされた前記複数の電線(1)を前記治具(12)の前記電線保持溝(14)へ打ち込んで保持させる打ち込み部材(65)と、
を備える、
ことを特徴とする電線打ち込み装置。
【0053】
[2] 前記位置決め部材(35)は、前記打ち込み部材(65)と同期して前記複数の電線(1)の打ち込み方向へ移動する、
ことを特徴とする上記[1]に記載の電線打ち込み装置。
【0054】
[3] 前記位置決め部材(35)は、それぞれの前記電線(1)の先端位置を検知するセンサ(近接センサ42)を備える、
ことを特徴とする上記[1]または[2]に記載の電線打ち込み装置。
【符号の説明】
【0055】
1 電線
10 治具保持機構部
11 移動テーブル
12 治具
13 電線保持部
14 電線保持溝
31 昇降機構
32 進退機構
33 位置決め部
35 位置決め部材
36 電線挿入孔
41 テーパ溝
42 近接センサ(センサ)
46 押圧棒
47 シリンダ
51 上昇位置検知センサ
52 下降位置検知センサ
53 前進位置検知センサ
54 後退位置検知センサ
62 昇降シリンダ
65 打ち込み部材
67 押圧側板部
68 隔壁
69 凹部
71 下限位置検知センサ
72 中間位置検知センサ
73 上限位置検知センサ
80 制御部
100 電線打ち込み装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8