(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】情報提供方法および情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241106BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241106BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241106BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20241106BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
G16Y10/40
G16Y40/20
(21)【出願番号】P 2021082715
(22)【出願日】2021-05-14
【審査請求日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2020133362
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】井上 和紀
(72)【発明者】
【氏名】阿部 朋明
(72)【発明者】
【氏名】浦中 洋
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-151546(JP,A)
【文献】国際公開第2009/104256(WO,A1)
【文献】特開2009-181289(JP,A)
【文献】特開2019-159642(JP,A)
【文献】特開2014-229228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられた車載器と路側アンテナを介して通信する情報提供システムにおける情報提供方法であって、
前記車両が前記路側アンテナを通過する前に前記車載器において前記車両が所定距離を移動する毎に蓄積された前記車両の速度情報を、前記車載器の識別情報と対応付けて前記車載器から前記路側アンテナを介して取得し、
前記蓄積された速度情報に対応する所定期間内において、前記速度情報に基づく算出値が閾値以上の差で現れる比率から得られる前記車両の急加速又は急減速の頻度を示す評価情報を、前記識別情報と対応付けて情報表示機器に表示させ
、
前記評価情報は、急加速の割合を示す軸と急減速の割合を示す軸との2軸に対してプロットしたチャートであり、
複数の異なる前記識別情報に対応付けられた前記評価情報を、前記チャートにおいて相関データとして表示させる、
情報提供方法。
【請求項2】
前記算出値は、前記車両の速度差または速度差に基づく加速度の値である、
請求項1に記載の情報提供方法。
【請求項3】
前記比率が所定比率以上である場合、前記評価情報において前記車両の急加速又は急減速の頻度が高いとする、
請求項1または2に記載の情報提供方法。
【請求項4】
前記速度情報が取得された位置情報または日時情報を取得し、
取得された前記位置情報または前記日時情報に基づいて、前記閾値を算出するための少なくとも1つの加速度を選定する、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の情報提供方法。
【請求項5】
前記速度情報が取得された位置情報または日時情報を取得し、
前記閾値は、共通する前記位置情報または前記日時情報を有する複数の異なる車両のそれぞれの前記算出値の情報に基づいて設定される、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の情報提供方法。
【請求項6】
前記算出値が所定値以上である場合、前記算出値を異常値として除外する、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の情報提供方法。
【請求項7】
前記速度情報は、人工衛星から取得する衛星測位信号に基づいて前記車両の前記所定距離ごとの移動を検知することでサンプリングして前記車載器に蓄積されている情報である、
請求項1~
6のいずれか1項に記載の情報提供方法。
【請求項8】
車両に備えられた車載器と路側アンテナを介して通信する情報提供システムであって、
前記情報提供システムは、前記車両に備えられた機器にネットワークを介して接続されており、
前記車両が前記路側アンテナを通過する前に前記車載器において前記車両が所定距離を移動する毎に蓄積された前記車両の速度情報を、前記車載器の識別情報と対応付けて前記車載器から前記路側アンテナを介して取得し、
前記蓄積された速度情報に対応する所定期間内において、前記速度情報に基づく算出値が閾値以上の差で現れる比率から得られる前記車両の急加速又は急減速の頻度を示す評価情報を、前記ネットワークを介して前記機器に送信することで前記機器から出力させ
、
前記評価情報は、急加速の割合を示す軸と急減速の割合を示す軸との2軸に対してプロットしたチャートであり、
複数の異なる前記識別情報に対応付けられた前記評価情報を、前記チャートにおいて相関データとして表示させる、
情報提供システム。
【請求項9】
車両に備えられた車載器と路側アンテナを介して通信する情報提供システムであって、
前記情報提供システムは、1つ以上の処理装置と、当該1つ以上の処理装置における動作を実行させるための情報を記録する記録装置と、を備えて構成され、
前記車両が前記路側アンテナを通過する前に前記車載器において前記車両が所定距離を移動する毎に蓄積された前記車両の速度情報を、前記車載器の識別情報と対応付けて前記蓄積された速度情報に対応する所定期間内において、前記速度情報に基づく算出値が閾値以上の差で現れる比率から得られる前記車両の急加速又は急減速の頻度を示す評価情報を、前記識別情報と対応付けて情報表示機器に表示させ
、
前記評価情報は、急加速の割合を示す軸と急減速の割合を示す軸との2軸に対してプロットしたチャートであり、
複数の異なる前記識別情報に対応付けられた前記評価情報を、前記チャートにおいて相関データとして表示させる、
情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報提供方法および情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運行中の車両から所定の周期で時系列的に収集された、車両の走行挙動を特定するための走行挙動データに基づいて、車両の運転者の運転を評価する運転評価システムが開示されている。運転評価システムは、収集された走行挙動データに基づいて、車両の走行挙動を特定し、特定された走行挙動に関連する走行挙動データから評価対象データを抽出して、評価対象である運転者を含む複数の運転者についての評価対象データを記録する。運転評価システムは、記録されている複数の運転者についての評価対象データの統計データを算出し、評価対象である運転者の評価対象データと、統計データとの関係に基づいて、所定の評価基準により、評価対象である運転者の運転を評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の運転評価システムでは、車両の角速度データおよび加速度データとGPSデータを1Hzごとにサンプリングした値を用いて運転者の運転を評価することが想定されている。ここで、例えば所定の距離ごとに設置されたITS(Intelligent Transport Systems)スポット(登録商標)等の路側機との間で無線通信するETC(Electronic Toll Collection)2.0(登録商標)を利用する車両を対象に運転者の運転を評価することを想定する。この場合、車両は、運転者の運転評価のための走行挙動データを時間的に不定期に蓄積し、路側機に接近した際にまとめて送信する。したがって、特許文献1の技術を用いても、このように時間的に不定期で車両の走行挙動データが収集される場合には車両の運転者の運転を評価することが困難であった。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、車両の走行挙動を示すデータを時間的に不定期で取得しても、車両の運転者の運転傾向を評価できる情報提供方法および情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、車両に備えられた車載器と路側アンテナを介して通信する情報提供システムにおける情報提供方法であって、前記車両が前記路側アンテナを通過する前に前記車載器において前記車両が所定距離を移動する毎に蓄積された前記車両の速度情報を、前記車載器の識別情報と対応付けて前記車載器から前記路側アンテナを介して取得し、記蓄積された速度情報に対応する所定期間内において、前記速度情報に基づく算出値が閾値以上の差で現れる比率から得られる前記車両の急加速又は急減速の頻度を示す評価情報を、前記識別情報と対応付けて情報表示機器に表示させ、前記評価情報は、急加速の割合を示す軸と急減速の割合を示す軸との2軸に対してプロットしたチャートであり、複数の異なる前記識別情報に対応付けられた前記評価情報を、前記チャートにおいて相関データとして表示させる、情報提供方法を提供する。
【0007】
また、本開示は、車両に備えられた車載器と路側アンテナを介して通信する情報提供システムであって、前記情報提供システムは、前記車両に備えられた機器にネットワークを介して接続されており、前記車両が前記路側アンテナを通過する前に前記車載器において前記車両が所定距離を移動する毎に蓄積された前記車両の速度情報を、前記車載器の識別情報と対応付けて前記車載器から前記路側アンテナを介して取得し、前記蓄積された速度情報に対応する所定期間内において、前記速度情報に基づく算出値が閾値以上の差で現れる比率から得られる前記車両の急加速又は急減速の頻度を示す評価情報を、前記ネットワークを介して前記機器に送信することで前記機器から出力させ、前記評価情報は、急加速の割合を示す軸と急減速の割合を示す軸との2軸に対してプロットしたチャートであり、複数の異なる前記識別情報に対応付けられた前記評価情報を、前記チャートにおいて相関データとして表示させる、情報提供システムを提供する。
【0008】
また、本開示は、車両に備えられた車載器と路側アンテナを介して通信する情報提供システムであって、前記情報提供システムは、1つ以上の処理装置と、当該1つ以上の処理装置における動作を実行させるための情報を記録装置とを備えて構成され、前記車両が前記路側アンテナを通過する前に前記車載器において前記車両が所定距離を移動する毎に蓄積された前記車両の速度情報を、前記車載器の識別情報と対応付けて前記蓄積された速度情報に対応する所定期間内において、前記速度情報に基づく算出値が閾値以上の差で現れる比率から得られる前記車両の急加速又は急減速の頻度を示す評価情報を、前記識別情報と対応付けて情報表示機器に表示させ、前記評価情報は、急加速の割合を示す軸と急減速の割合を示す軸との2軸に対してプロットしたチャートであり、複数の異なる前記識別情報に対応付けられた前記評価情報を、前記チャートにおいて相関データとして表示させる、情報提供システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、車両の走行挙動を示すデータを時間的に不定期で取得しても、車両の運転者の運転傾向を評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る車載器の内部構成例を示すブロック図
【
図2】サンプリング処理および速度差の算出処理を説明する図
【
図4】安定運転をする運転者の速度変化分布の一例を示す図
【
図5】急加減速の割合が多い運転者の速度変化分布の一例を示す図
【
図6】速度ばらつきの割合が多い運転者の速度変化分布の一例を示す図
【
図7】急減速の割合が多い運転者の速度変化分布の一例を示す図
【
図8】実施の形態1に係る運転評価処理手順例を示すフローチャート
【
図9】実施の形態1に係る運転評価処理手順例を示すフローチャート
【
図10】実施の形態1の変形例に係る運転者の速度変化分布の一例を示す図
【
図11】実施の形態1の変形例に係る運転者の加速度分布の一例を示す図
【
図12】実施の形態1の変形例に係る運転評価処理手順例を示すフローチャート
【
図13】実施の形態2に係る運転評価システムの一例を示す図
【
図14】実施の形態2に係るサーバの内部構成例を示すブロック図
【
図15】複数の車両のそれぞれの運転評価結果に基づく相関データの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る情報提供方法および情報提供システムを具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長化することを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る車載器CN1の内部構成例を示すブロック図である。実施の形態1に係る運転評価装置100の一例としての車載器は、車両を運転する運転者ごとの運転評価を実行可能な装置である。なお、
図1に示す車両の台数は複数台であるが、1台以上であればよい。
図1の説明において、複数の車両C1,…のそれぞれおよび複数の車載器CN1,…のそれぞれは同様の構成を有するため、ここでは車両C1および車載器CN1について説明する。
【0013】
車載器CN1は、車両C1内に搭載される。車載器CN1は、複数の人工衛星G1,…のそれぞれから送信される衛星測位信号を受信可能であって、受信された衛星測位信号に基づいて、車両C1の現在の位置情報および速度情報を取得する。
【0014】
車載器CN1は、GPS受信部10Bと、プロセッサ11と、メモリ12と、出力部13と、を含んで構成される。なお、DSRC通信部10Aは、実施の形態1に係る運転評価装置100としての車載器CN1の構成に必須でなく、実施の形態2に係る運転評価システム200における車載器CN1Aに含まれる構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0015】
GPS受信部10Bは、人工衛星G1,…のそれぞれから送信された衛星測位信号をGPS用アンテナANT2によって受信する。GPS受信部10Bは、受信された衛星測位信号に基づいて、車両C1が走行している位置情報(具体的に、緯度経度情報)および速度情報を算出して、衛星測位信号を受信した日時情報と対応付けてプロセッサ11における測位部11Aに出力する。なお、衛星測位信号に基づく車両C1の位置情報および速度情報の算出は、測位部11Aによって実行されてもよい。このような場合、GPS受信部10Bは、受信された衛星測位信号を測位部11Aに出力する。なお、GPS用アンテナANT2は、後述するプロセッサ11に含まれる構成であってもよい。また、GPS用アンテナANT2は、車載器CN1と一体的に構成される例に限定されず、例えば車載器CN1,…との間でデータ通信可能に接続されたカーナビゲーションシステム(不図示)に搭載されていてもよい。このような場合、車載器CN1は、カーナビゲーションシステムから送信された衛星測位信号または測位情報として車両C1の位置情報および速度情報を取得してもよい。
【0016】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、メモリ12と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ11は、メモリ12に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。ここでいう各部は、例えば測位部11A、サンプリング部11B、分布形状算出部11C、閾値保持部11D、閾値決定部11E、および評価部11F等である。プロセッサ11は、これら各部により、車両C1の運転者の運転評価を実行する。
【0017】
測位部11Aは、GPS受信部10Bから出力された車両C1の現在の位置情報および速度情報を取得してサンプリング部11Bに出力する。なお、測位部11Aは、GPS受信部10Bから衛星測位信号が出力される場合には、出力された衛星測位信号に基づいて、車両C1の現在の位置情報および速度情報を算出してサンプリング部11Bに出力する。
【0018】
サンプリング部11Bは、測位部11Aから出力された車両C1の現在の位置情報および速度情報を取得する。サンプリング部11Bは、取得された車両C1の位置情報に基づいて、前回サンプリング処理を実行した時の位置情報から車両C1が第1所定距離(例えば、100m,150m,200m等)以上移動したか否かを検知する。サンプリング部11Bは、車両C1が第1所定距離以上の移動をしたことを検知すると、この検知のタイミングで取得された速度情報をサンプリングして、サンプリング後の速度情報を分布形状算出部11Cに出力して蓄積させる。
【0019】
取得部および導出部の一例としての分布形状算出部11Cは、サンプリング部11Bから出力されたサンプリング時の速度情報を複数蓄積し、蓄積された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれが取得された位置情報に基づいて、第2所定距離(例えば、30km,40km等)分のサンプリング時の速度情報を蓄積したか否かを判定する。分布形状算出部11Cは、蓄積されたサンプリング時の速度情報が取得された位置情報に基づいて、第2所定距離分のサンプリング時の速度情報を蓄積したと判定した場合、蓄積された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれのうち時系列に隣接する2つの速度情報の差分値を算出する。具体的に、分布形状算出部11Cは、例えば150個のサンプリング時の速度情報を蓄積している場合、時系列に隣接するk(k:1以上の整数)番目のサンプリング時の速度情報が示す速度と、(k+1)番目のサンプリング時の速度情報が示す速度との速度差(以降、「差分値」と表記)を算出する。一方、分布形状算出部11Cは、蓄積されたサンプリング時の速度情報が取得された位置情報に基づいて、第2所定距離分のサンプリング時の速度情報を蓄積していないと判定した場合、上述した速度情報のサンプリング処理および蓄積処理を実行する。なお、分布形状算出部11Cは、k番目のサンプリング時の速度情報が最新のサンプリング時の速度情報である場合に、時系列に隣接するk番目のサンプリング時の速度情報が示す速度と、(k-1)番目のサンプリング時の速度情報が示す速度との速度差を算出してもよい。このような場合、kは2以上の整数となる。
【0020】
分布形状算出部11Cは、算出された複数の差分値(データ)のそれぞれを、所定範囲(例えば、0~5km/h,5~10km/h等)ごとに異なる範囲が設定された複数のグループのそれぞれにグループ分けする。なお、複数のグループのそれぞれは、所定値刻み(例えば、2km/h刻み,3km/h刻み,5km/h刻み等)に所定範囲が設定される。分布形状算出部11Cは、グループ分けの結果に基づいて、各グループに該当する差分値(データ)の数だけ各グループのカウントをインクリメントする。分布形状算出部11Cは、所定日時をもって各グループのカウント結果を0(ゼロ)に初期化する。なお、分布形状算出部11Cは、前回のグループ分けを実行したときにカウントされた各グループに該当する差分値(データ)の数の情報を蓄積している場合、この前回蓄積された各グループに該当する差分値の数に、今回のグループ分けで各グループに該当する差分値(データ)の数だけ各グループのカウント数をインクリメントする。
【0021】
分布形状算出部11Cは、各グループに該当する差分値(データ)の数をカウントした後、事前に設定された第2所定距離分の差分値(データ)をカウントしたか否かを判定する。分布形状算出部11Cは、第2所定距離分の差分値(データ)の数をカウントしたと判定した場合、差分値(データ)の総数に対する各グループに該当する差分値(データ)が占めるそれぞれの割合を算出して、各グループに該当する差分値(データ)のそれぞれの割合の情報を含む速度変化分布を生成する。一方、分布形状算出部11Cは、第2所定距離分の差分値(データ)の数をカウントしていないと判定した場合、差分値の算出処理を実行する。分布形状算出部11Cは、生成された速度変化分布を評価部11Fに出力する。
【0022】
閾値保持部11Dは、衛星測位信号に基づいて取得された車両C1の位置情報、あるいは日時情報等(以降、「パラメータ選定情報」と表記)に応じて、車両C1の運転者の運転評価を行うための各閾値を算出するための複数のパラメータのそれぞれ(例えば、加速度)を記憶する。なお、ここでいう各閾値は、車両C1の急加速を判定(検知)するための第1閾値、車両C1の急減速を判定(検知)するための第2閾値等である。
【0023】
閾値決定部11Eは、パラメータ選定情報に基づいて、閾値保持部11Dに記憶された複数のパラメータのそれぞれのうち少なくとも1つのパラメータ(例えば、加速度等)を選定する。閾値決定部11Eは、選定されたパラメータに基づく各閾値を算出して、評価部11Fに出力する。なお、閾値決定部11Eは、車両C1の運転者の運転評価に使用する各閾値を記憶していてもよい。このような場合、閾値決定部11Eは、上述したパラメータの選定処理および各閾値の算出処理を省略し、記憶された各閾値を評価部11Fに出力する。
【0024】
また、閾値決定部11Eは、速度変化分布の生成に使用される複数の差分値のそれぞれのうち異常な値を有する差分値(以降、「異常値」と表記)を除外するための第3閾値を算出してもよい。ここでいう異常値は、衛星測位信号に基づいて算出された車両C1の位置情報および速度情報が誤っていることに起因した差分値の算出結果の異常を示す値である。異常値は、例えば人工衛星G1,…の配置や死角により十分な測位精度が得られない時に受信した衛星測位信号、衛星測位信号の送信から受信までの時間がマルチパスにより正確でない衛星測位信号等に基づいて、誤差を含む誤った位置情報または速度情報を算出した場合等に算出される。閾値決定部11Eは、選定されたパラメータに基づいて第3閾値を算出した場合には、算出された第3閾値を評価部11Fに出力する。
【0025】
出力部の一例としての評価部11Fは、閾値決定部11Eから出力された第3閾値に基づいて、各グループに該当する差分値のそれぞれのうち第3閾値以上の差分値を除外した速度変化分布を生成できる。ここで、評価部11Fは、各グループに該当する差分値のそれぞれのうち第3閾値以上の差分値を除外したことで第2所定距離分の差分値をカウントしていないと判定した場合、第2所定距離分の差分値をカウントするまでサンプリング部11Bにサンプリング処理を実行させ、分布形状算出部11Cに差分値の算出処理を実行させてもよい。
【0026】
評価部11Fは、分布形状算出部11Cから出力された速度変化分布と、閾値決定部11Eから出力された各閾値とに基づいて、急加速の割合を示す第1出力値および急減速の割合を示す第2出力値のそれぞれを算出する。なお、評価部11Fは、閾値決定部11Eから第3閾値が出力された場合には、速度変化分布から第3閾値以上の異常値(つまり、第3閾値以上の範囲のグループ)を除外した速度変化分布を生成する。評価部11Fは、算出された第1出力値および第2出力値に基づいて、車両C1の運転者の運転評価を実行して、運転評価結果を出力部13に出力するとともに、メモリ12に記憶させる。
【0027】
評価部11Fは、算出された第1出力値および第2出力値と、第1出力値用の閾値(評価基準)および第2出力値用の閾値(評価基準)に基づいて、運転者の運転が「急加減速が多い」(以下、急加減速)、「急加速が多い」(以下、急加速)、または「急減速が多い」(以下、急減速)のいずれであるかを判定する。例えば、評価部11Fは、第1出力値および第2出力値がともに3.0%以上であると判定した場合には、運転評価結果が急加減速であると判定し、第1出力値が3.0%以上、かつ、第2出力値が3.0%未満であると判定した場合には、運転評価結果が急加速であると判定し、第1出力値が3.0%未満、かつ、第2出力値が3.0%以上であると判定した場合には、運転評価結果が急減速であると判定する。
【0028】
なお、上述した運転者の運転が急加減速、急加速、または急減速のいずれであるかを判定するための第1出力値および第2出力値のそれぞれの閾値3.0%は、一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。第1出力値および第2出力値のそれぞれの閾値(評価基準)は、他の閾値(例えば、2.0%、5.0%、10%等)であってもよいし、第1出力値用の閾値(評価基準)と第2出力値用の閾値(評価基準)とがそれぞれ異なる値となるように設定されてもよい(例えば、第1出力値用の閾値は3.0%、第2出力値用の閾値は2.0%等)。また、評価部11Fによる運転評価方法は、上述の例に限定されず、例えば第1出力値および第2出力値の差分に基づいて、急加減速、急加速または急減速のいずれであるかを判定してもよい。
【0029】
さらに、評価部11Fにより実行される運転評価方法は、パラメータ選定情報(つまり、車両C1が走行している道路の緯度経度情報、あるいは日時情報等)に応じた評価方法が選択可能であってもよい。例えば、取得された緯度経度情報および日時情報に基づいて、緯度が高く、かつ冬の夜間であると判定した場合、評価部11Fは、運転評価を実行するための第1出力値および第2出力値のそれぞれの閾値(評価基準)として、第1出力値用の閾値が第2出力値用の閾値より大きくなるように設定されてもよい。
【0030】
メモリ12は、例えばプロセッサ11の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ11の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、プロセッサ11により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ11の動作を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ12は、車載器CN1の識別情報を記憶する。
【0031】
出力部13は、例えばLED(Light Emitting Diode)、スピーカ(不図示)等を用いて構成され、評価部11Fから出力された運転評価結果を色または音声により通知する。また、出力部13は、LCD(Liquid Crystal Display)を備えていてもよく、評価部11Fから出力された運転評価結果として急加速急減速がともに多い旨を通知するための通知情報、急加速が多い旨を通知するための通知情報、あるいは急減速が多い旨を通知するための通知情報を出力してもよい。さらに、車載器CN1は、例えばカーナビゲーション装置(不図示)との間でデータ通信可能に接続されている場合、カーナビゲーションに運転評価結果としての通知情報を出力し、カーナビゲーション装置が備えるモニタ(不図示)あるいはスピーカ(不図示)を介して、通知情報を出力してもよい。
【0032】
複数の人工衛星G1,…のそれぞれは、地上の車両C1に向けて衛星測位信号を発信する。複数の人工衛星G1,…のそれぞれは、例えば米国のGPS(Global Positioning System)、ロシアのGLONASS(Global Navigation Satellite System)、または欧州のGalileo等の世界規模の衛星測位サービス、あるいは日本の準天頂衛星システム等の地域限定型の衛星測位サービスを提供可能な人工衛星である。
【0033】
図2を参照して、サンプリング処理および速度差の算出処理について説明する。
図2は、サンプリング処理および速度差の算出処理を説明する図である。
【0034】
グラフV1は、縦軸が速度を示し、横軸が車両の移動距離を示し、GPS受信部10Bにより受信された複数の衛星測位信号に基づいて算出された車両の複数の位置情報および速度情報のうちサンプリング部11Bにより第1所定距離ごとにサンプリングされた速度情報(つまり、プローブデータ)を示すグラフである。
【0035】
グラフV2は、縦軸が速度差(つまり、差分値)を示し、横軸が車両の移動距離を示し、グラフV1に示す第1所定距離ごとにサンプリングされた複数の速度情報のうち隣接する2つのサンプリングされた速度情報の差分値を示すグラフである。また、第1閾値VC1は、車両の急加速を示す閾値である。第2閾値VC2は、車両の急減速を示す閾値である。第1閾値VC1と第2閾値VC2との間の範囲|VC1-VC2|は、車両が急加速または急減速のいずれでもなく、安定した走行をしていることを示す。
【0036】
次に、
図3を参照して、閾値の算出方法について説明する。
図3は、閾値VCの算出例を説明する図である。なお、
図3に示す算出例において閾値決定部11Eは、閾値VCを算出するためのパラメータとして、車両が道路を安定して走行可能な加速度A=0.02Gを選定した例を示す。また、
図3に示す算出例においてサンプリング部11Bは、サンプリングを約200m(第1所定距離=200m)ごとに実行する。
【0037】
図3に示すグラフVは、一定の加速度A=0.02Gで車両が走行した場合の距離D=0.2kmにおけるk番目にサンプリングされた速度情報としての初速V0と、初速V0と(k+1)番目にサンプリングされた速度情報との差分値を示す速度差Vdとの関係を示すグラフである。ここで、初速V0は、以下に示す(数式1)により算出される。
【0038】
【0039】
なお、(数式1)に示す速度差Vdは、初速V0に加速度A=0.02Gと、k番目にサンプリングされた速度情報が取得された時刻と(k+1)番目にサンプリングされた速度情報が取得された時刻との時刻差と、を乗算して算出される。
【0040】
ここで、
図3に示す車両が安定して走行可能な加速時における速度差Vdの上限は、初速V0が正の値であるため、初速V0=0(ゼロ)km/hの時の速度差Vd=31.87km/hであると算出される。よって、閾値決定部11Eは、安定走行であると判断される加速度A=0.02Gにおいて、距離=200mごとの加速時における速度差は、約30km/h未満でなければならないと算出する。また同様に、閾値決定部11Eは、安定走行であると判断される加速度A=0.02Gにおいて、距離=200mごとの減速時における速度差は、約-30km/h未満でなければならないと算出する。なお、ここでいう-30km/h未満は、減速した速度差の絶対値が30km/h(-30km/hの絶対値)未満になることを示す。以上により、閾値決定部11Eは、算出された速度差30km/hに基づいて、急加速の判定に用いる第1閾値VC1を30km/h、急加速の判定に用いる第2閾値VC2を-30km/hと算出する。
【0041】
以上により、実施の形態1に係る閾値決定部11Eは、第1閾値および第2閾値の算出を行う。また、安定走行であると判定される速度差Vdは、加速度Aの値が大きくなるにつれて大きくなり、加速度Aの値が小さくなるにつれて小さくなる。つまり、第1閾値および第2閾値は、パラメータとしての加速度Aの値が大きいほど急加速または急減速であると判定されにくい値が設定され、加速度Aの値が小さいほど急加速または急減速であると判定されやすい値が設定される。また、第3閾値においても同様に、加速度Aの値が大きいほど大きい値が設定され、加速度Aの値が小さいほど小さい値が設定される。
【0042】
なお、上述した閾値の算出方法は、一例であってこれに限定されない。例えば、加速度は、パラメータ選定情報としての位置情報に含まれる緯度経度情報(例えば、南半球であるか北半球であるか)、あるいは日時情報(例えば、冬であるか否か、夜間または早朝であるか否か)等に基づいて、第1閾値の算出に使用される加速度と、第2閾値の算出に使用される加速度との値が異なってもよい。また、
図3では第1閾値の絶対値と第2閾値の絶対値とが同じ値となるように設定する例について説明したが、異なる値が設定されてもよい。
【0043】
次に、
図4~
図7を参照して、分布形状算出部11Cにより生成された速度変化分布の例を説明する。なお、
図4~
図7に示す速度変化分布は、一例としてヒストグラムである例を示すが、ヒストグラムに限定されなくてもよい。なお、
図4~
図7に示す例において、評価部11Fは、速度差Vd=0(ゼロ)km/hにおけるグループのデータ数を安定運転している割合として算出するが、第1閾値VC1と第2閾値VC2との間の範囲|VC1-VC2|を安定している割合として算出してもよい。
【0044】
また、
図4~
図7に示す速度変化分布HG1,HG2,HG3,HG4のそれぞれは、一例として-40km/h~50km/hの速度差Vdにおいて、速度差Vdが5km/h刻みで20グループが設定され、算出された複数の差分値のそれぞれを該当するグループにグループ分けし、各グループに該当する差分値の数をカウントして生成された例を示す。さらに、
図4~
図7に示す速度変化分布HG1,HG2,HG3,HG4のそれぞれは、車両の急加速の割合(つまり、第1出力値)を算出するための第1閾値VC1=30km/hと、車両の急減速の割合(つまり、第2出力値)を算出するための第2閾値VC2=-30km/hとが設定された例を示す。
【0045】
図4は、安定運転をする運転者AAの速度変化分布HG1の一例を示す図である。速度変化分布HG1は、縦軸が各グループの割合を示し、横軸が速度差Vdを示す。評価部11Fは、速度変化分布HG1に基づいて、運転者AAの運転評価を実行する。
【0046】
評価部11Fは、
図4に示す速度変化分布HG1において、急加速を示す第1出力値SA1が占める割合が1.1%であり、急減速を示す第2出力値SD1が占める割合が1.5%であり、安定運転している割合SF1が42.8%であると判定(評価)した運転評価結果に基づいて、車両の急加速の割合(第1出力値)および急減速の割合(第2出力値)がともに少なく、安定した運転であると判定する。評価部11Fは、この運転評価結果をメモリ12に記憶し、出力部13への運転評価結果の出力を省略する。なお、車載器は、
図4のように運転評価結果が急加減速、急加速または急減速のいずれでもない(つまり、安定した運転をしている)場合であっても、運転評価結果を出力部13に出力し、運転者AAに安定した運転をしている旨の通知を行ってもよい。
【0047】
図5は、急加減速の割合が多い運転者BBの速度変化分布HG2の一例を示す図である。速度変化分布HG2は、縦軸が各グループの割合を示し、横軸が速度差Vdを示す。評価部11Fは、速度変化分布HG2に基づいて、運転者BBの運転評価を実行する。
【0048】
評価部11Fは、
図5に示す速度変化分布HG2において、急加速を示す第1出力値SA2が占める割合が4.2%であり、急減速を示す第2出力値SD2が占める割合が3.5%であり、安定運転している割合SF2が32.7%であると判定(評価)した運転評価結果に基づいて、車両の急加速の割合(第1出力値)および急減速の割合(第2出力値)がともに多い(つまり、急加減速が多い)と判定する。評価部11Fは、この運転評価結果をメモリ12に記憶するとともに、出力部13への運転評価結果の出力を行う。出力部13は、急加減速が多い旨の運転評価結果を含む画面を生成してLEDに表示、あるいは運転評価結果を通知する音声をスピーカ(不図示)から音声出力して、運転者BBに通知する。
【0049】
図6は、速度ばらつきが多い運転者の速度変化分布HG3の一例を示す図である。速度変化分布HG3は、縦軸が各グループの割合を示し、横軸が速度差Vdを示す。評価部11Fは、速度変化分布HG3に基づいて、運転者CCの運転評価を実行する。
【0050】
評価部11Fは、
図6に示す速度変化分布HG3において、急加速を示す第1出力値SA3が占める割合が3.0%であり、急減速を示す第2出力値SD3が占める割合が2.1%であり、安定運転している割合SF3が23.8%であると判定(評価)する。評価部11Fは、この運転評価結果に基づいて、車両の速度が安定している割合が低く、車両の速度が不安定であると判定し、運転者CCが速度のばらつきの割合が多いと判定する。評価部11Fは、この運転評価結果をメモリ12に記憶し、出力部13への運転評価結果の出力を省略する。なお、車載器は、運転評価結果を出力部13に出力し、運転者CCに速度が不安定である旨の通知を行ってもよい。
【0051】
図7は、急減速の割合が多い運転者DDの速度変化分布HG4の一例を示す図である。速度変化分布HG4は、縦軸が各グループの割合を示し、横軸が速度差Vdを示す。評価部11Fは、速度変化分布HG4に基づいて、運転者DDの運転評価を実行する。
【0052】
評価部11Fは、
図7に示す速度変化分布HG4において、急加速を示す第1出力値SA4が占める割合が1.9%であり、急減速を示す第2出力値SD4が占める割合が3.5%であり、安定運転している割合SF4が36.5%であると判定(評価)した運転評価結果に基づいて、車両の急減速の割合(第2出力値)が多いと判定する。評価部11Fは、この運転評価結果をメモリ12に記憶するとともに、出力部13への運転評価結果の出力を行う。出力部13は、急減速が多い旨の運転評価結果を含む画面を生成してLEDに表示、あるいは運転評価結果を通知する音声をスピーカ(不図示)から音声出力して、運転者DDに通知する。
【0053】
次に、
図8および
図9を参照して、車載器CN1,…により実行される運転評価処理手順例について説明する。
図8は、実施の形態1に係る運転評価処理手順例を示すフローチャートである。
図9は、実施の形態1に係る運転評価手順例を示すフローチャートである。なお、
図8および
図9の説明では、車両C1に搭載された車載器CN1により実行される運転評価手順例について説明する。
【0054】
車載器CN1は、GPS受信部10Bにより、人工衛星G1,…のそれぞれから送信された衛星測位信号を受信し、受信された衛星測位信号に基づいて、測位情報としての車両C1が走行している位置情報および速度情報を算出して取得する(St1)。なお、位置情報および速度情報の算出処理は、GPS受信部10Bに限定されず、測位部11A(つまり、プロセッサ11)により実行されてもよい。取得された位置情報および速度情報のそれぞれは、測位部11Aを介してサンプリング部11Bに出力される。
【0055】
サンプリング部11Bは、車両C1の現在の位置情報および速度情報を取得し、車両C1の位置情報に基づいて、車両C1が事前に設定された第1所定距離(例えば、100m,150m,200m等)以上移動したことを検知すると、この検知のタイミングで取得された速度情報をサンプリングする(St2)。サンプリング部11Bは、サンプリング処理の後、複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれを分布形状算出部11Cに出力して蓄積させる。
【0056】
分布形状算出部11Cは、蓄積された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれが取得された位置情報に基づいて、事前に設定された第2所定距離(例えば、30km,40km等)分のサンプリング時の速度情報を蓄積したか否かを判定する(St3)。
【0057】
分布形状算出部11Cは、蓄積された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれを、第2所定距離分蓄積したと判定した場合(St3,YES)、蓄積された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれのうち時系列に隣接する2つの速度情報(つまり、k番目にサンプリングされた速度情報および(k+1)番目にサンプリングされた速度情報)の差分値(速度差)を算出する(St4)。なお、分布形状算出部11Cは、k番目のサンプリング時の速度情報が最新のサンプリング時の速度情報である場合に、時系列に隣接するk番目のサンプリング時の速度情報が示す速度と、(k-1)番目のサンプリング時の速度情報が示す速度との速度差を算出してもよい。このような場合、kは2以上の整数となる。
【0058】
一方、分布形状算出部11Cは、蓄積された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれを、第2所定距離分蓄積していないと判定した場合(St3,NO)、ステップSt1の処理に戻り、サンプリング部11Bから出力されるサンプリング時の速度情報のそれぞれの蓄積処理を継続する。
【0059】
分布形状算出部11Cは、算出された複数の差分値(速度差)のそれぞれを、事前に設定された所定範囲(例えば、0~5km/h,5~10km/h等)ごとに異なる範囲が設定された複数のグループのそれぞれにグループ分けする(St5)。
【0060】
分布形状算出部11Cは、グループ分けの結果に基づいて、各グループに該当する差分値の数だけ各グループのカウントをインクリメントする(St6)。なお、分布形状算出部11Cは、後述するステップSt7の処理で、第2所定距離分の差分値(データ)をカウントしていないと判定した場合等、前回のグループ分けを実行したときにカウントされた各グループに該当する差分値の数の情報を蓄積している場合、この蓄積された前回の各グループのカウント数に、今回のグループ分けで各グループに該当する差分値の数だけ各グループのカウント数をインクリメントする。
【0061】
分布形状算出部11Cは、各グループに該当する差分値(データ)の数をカウントした後、カウントされた差分値(データ)の数に基づいて、事前に設定された第2所定距離分の差分値(データ)をカウントしたか否かを判定する(St7)。これにより、車載器CN1は、車両C1の運転者の運転評価のために必要なデータ数が収集されているか否かを判定でき、運転評価結果の精度の低下を抑制できる。
【0062】
分布形状算出部11Cは、各グループに該当する差分値(データ)の数をカウントした後、カウントされた差分値(データ)の数に基づいて、事前に設定された第2所定距離分の差分値(データ)をカウントしたと判定した場合(St7,YES)、各グループに該当する差分値(データ)が占めるそれぞれの割合を算出して(St8)、各グループに該当する差分値のそれぞれの割合情報を含む速度変化分布を生成する。分布形状算出部11Cは、生成された速度変化分布を評価部11Fに出力する。なお、速度変化分布の生成処理は必須でなく、算出各グループに該当する差分値(データ)が占めるそれぞれの割合が評価部11Fに出力されてもよい。
【0063】
一方、分布形状算出部11Cは、各グループに該当する差分値(データ)の数をカウントした後、カウントされた差分値(データ)の数に基づいて、事前に設定された第2所定距離分の差分値(データ)をカウントしていないと判定した場合(St7,NO)、ステップSt4の処理に移行する。
【0064】
閾値決定部11Eは、パラメータ選定情報に基づいて、閾値保持部11Dに記憶された複数のパラメータのそれぞれのうち少なくとも1つのパラメータを選定して取得する(St9)。なお、閾値保持部11Dに記憶されたパラメータは、1つであってもよい。
【0065】
閾値決定部11Eは、選定されたパラメータに基づく各閾値(第1閾値および第2閾値)を算出して(St10)、評価部11Fに出力する。なお、閾値決定部11Eは、選定されたパラメータに基づいて、第3閾値を算出して、評価部11Fに出力してもよい。
【0066】
評価部11Fは、分布形状算出部11Cから出力された速度変化分布と、閾値決定部11Eから出力された各閾値(第1閾値および第2閾値)とに基づいて、第1閾値以上のグループのデータの割合(つまり、急加速の割合)を示す第1出力値と、第2閾値以上のグループのデータの割合(つまり、急減速の割合)を示す第2出力値とを算出する(St11)。なお、評価部11Fは、閾値決定部11Eから第3閾値が出力された場合には、速度変化分布から第3閾値以上の差分値(つまり、第3閾値以上の範囲のグループ)を除外した速度変化分布を生成して、生成された速度変化分布と、閾値決定部11Eから出力された各閾値とに基づいて、急加速の割合を示す第1出力値および急減速の割合を示す第2出力値のそれぞれを算出する。これにより、車載器CN1は、車両C1の運転者の運転評価を実行する際においてノイズとなる異常値を除去できるため、より高精度な運転評価結果を得ることができる。
【0067】
評価部11Fは、算出された第1出力値および第2出力値に基づいて、急加減速が多いか否かを判定する(St12)。例えば、ステップSt12の処理における評価部11Fは、第1出力値および第2出力値がともに急加減速であることを示す所定の評価基準(閾値)以上(例えば、3.0%以上、5.0%以上等)であるか否かを判定する。なお、所定の評価基準は、第1出力値用の評価基準(閾値)と第2出力値用の評価基準(閾値)とでそれぞれ異なる評価基準が設定されてもよい。
【0068】
評価部11Fは、急加減速が多い(つまり、第1出力値および第2出力値がともに多い)と判定した場合(St12,YES)、運転評価結果として急加減速が多い旨の通知を生成して、出力部13に出力させる(St13)。
【0069】
一方、評価部11Fは、急加減速が多くない(つまり、第1出力値および第2出力値の少なくともいずれかが多くない)と判定した場合(St13,NO)、算出された第1出力値に基づいて、急加速が多いか否かを判定する(St14)。例えば、ステップSt14の処理における評価部11Fは、第1出力値のみがステップSt12の処理で使用した所定の評価基準(閾値)以上であるか否かを判定したり、第1出力値が第1出力値用の評価基準(閾値)以上であるか否かを判定したりする。
【0070】
評価部11Fは、急加速が多い(つまり、第1出力値が多い)と判定した場合(St14,YES)、運転評価結果として急加速が多い旨の通知を生成して、出力部13に出力させる(St15)。
【0071】
一方、評価部11Fは、急加速が多くない(つまり、第1出力値が多くない)と判定した場合(St14,NO)、算出された第2出力値に基づいて、急減速が多いか否かを判定する(St16)。例えば、ステップSt16の処理における評価部11Fは、第2出力値のみがステップSt12の処理で使用した所定の評価基準(閾値)以上であるか否かを判定したり、第2出力値が第2出力値用の評価基準(閾値)以上であるか否かを判定したりする。
【0072】
評価部11Fは、急減速が多い(つまり、第2出力値が多い)と判定した場合(St16,YES)、運転評価結果として急減速が多い旨の通知を生成して、出力部13に出力させて(St17)、ステップSt1の処理に戻り、再度運転評価を実行するために測位情報の取得処理を実行する。
【0073】
一方、評価部11Fは、急減速が多くない(つまり、第2出力値が多くない)と判定した場合(St16,NO)、ステップSt1の処理に戻り、再度運転評価を実行するために測位情報の取得処理を実行する。
【0074】
車載器CN1は、ステップSt16またはステップSt17の処理からステップSt1の処理に戻るタイミングで、最新の運転評価結果をメモリ12に記憶するとともに、最新の運転評価の実行に使用された各種データ(取得した測位情報、蓄積されたサンプリング時の速度情報、各グループの差分値(データ)のカウント数、各閾値の情報、速度変化分布等)を消去する。なお、車載器CN1は、各種データと運転評価とを対応付けてメモリ12に記憶してもよい。また、メモリ12に記憶された場合、各種データの記憶は、事前に設定された所定の有効期限(例えば、1週間、1カ月、3カ月等)ごとに定期的に削除されてもよい。
【0075】
さらに、車載器CN1は、パラメータ選定情報に変化がない場合には、次回の運転評価を実行する時にカウントされる各グループの差分値(データ)を、最新の運転評価に使用された各グループの差分値(データ)のカウント数に合算して次回の運転評価に使用するデータのサンプリング数(つまり、母数)を増やしてもよい。これにより、車載器CN1は、より高精度に運転者の運転評価を実行できる。
【0076】
なお、上述した各種データの処理については、後述する実施の形態2に係るサーバS1により実行される運転評価手順においても同様である。
【0077】
(実施の形態1の変形例)
上述した実施の形態1に係る車載器CN1,…は、車両C1,…のそれぞれの速度情報に基づく差分値(速度差)を用いて速度変化分布を生成し、生成された速度変化分布に基づいて、運転者の運転評価を実行する。実施の形態1の変形例に係る車載器CN1,…は、車両C1,…のそれぞれの速度情報に基づいて、車両C1,…のそれぞれの加速度を算出し、算出された加速度を用いて加速度分布を生成し、生成された加速度分布に基づいて、運転者の運転評価を実行する例について説明する。
【0078】
なお、実施の形態1の変形例に係る運転評価装置100は、実施の形態1に係る車載器CN1,…と同様の構成を有するため説明を省略する。以降で説明する実施の形態1の変形例に係る運転評価装置100は、実施の形態1に係る車載器CN1,…と異なる構成および処理について説明する。
【0079】
また、以下で説明する実施の形態1の変形例に係る車載器CN1,…により実行される各種処理は、実施の形態2におけるサーバS1により実行されてよい。
【0080】
図10は、実施の形態1の変形例に係る運転者の速度変化分布HG5の一例を示す図である。実施の形態1に係る車載器CN1,…は、
図10に示すように運転者の速度変化分布HG5を生成し、生成された速度変化分布HG5に基づいて、運転手の運転評価を実行する。
【0081】
例えば、車載器CN1,…は、
図10に示す速度変化分布HG5において、第1閾値VC1以上であり、急加速を示す第1出力値SA5が占める割合と、第2閾値VC2以上であり、急減速を示す第2出力値SD5が占める割合とをそれぞれ算出する。運転評価装置100は、算出された第1出力値SA5の割合と、第2出力値SD5の割合とに基づいて、運転手の運転評価を実行し、運転評価結果を生成する。
【0082】
ここで、(数式1)を変形し、加速度Aの算出式を得る。なお、以下に示す(数式2)は、k番目にサンプリングされた速度と(k+1)番目にサンプリングされた速度との速度差が、等加速度時の速度差であると仮定する。
【0083】
【0084】
実施の形態1の変形例において、車載器CN1,…における分布形状算出部11Cは、例えば150個のサンプリング時の速度情報を蓄積している場合、時系列に隣接するk番目のサンプリング時の速度情報が示す速度と、(k+1)番目のサンプリング時の速度情報が示す速度との速度差Vdに基づいて、(数式2)により加速度Aを算出する。
【0085】
分布形状算出部11Cは、算出された複数の加速度A(データ)のそれぞれを、所定範囲(例えば、0~0.005G、0.005~0.01G等)ごとに異なる範囲が指定された複数のグループのそれぞれにグループ分けし、各グループに該当する加速度Aの数だけ各グループのカウントをインクリメントする。
【0086】
分布形状算出部11Cは、各グループに該当する加速度A(データ)の数をカウントした後、事前に設定された第2所定距離分の加速度A(データ)をカウントしたか否かを判定する。分布形状算出部11Cは、第2所定距離分の加速度A(データ)の数をカウントしたと判定した場合、加速度A(データ)の総数に対する各グループに該当する加速度A(データ)が占めるそれぞれの割合を算出して、各グループに該当する加速度A(データ)のそれぞれの割合の情報を含む加速度分布HG6(
図11参照)を生成する。一方、分布形状算出部11Cは、第2所定距離分の加速度A(データ)の数をカウントしていないと判定した場合、差分値の算出処理を実行する。分布形状算出部11Cは、生成された加速度分布HG6を評価部11Fに出力する。
【0087】
ここで、
図11を参照して、加速度分布HG6について説明する。
図11は、実施の形態1の変形例に係る運転者の加速度分布HG6の一例を示す図である。なお、
図11に示す加速度分布HG6は一例であって、これに限定されない。
【0088】
実施の形態1の変形例に係る車載器CN1,…は、取得された車両の速度情報に基づいて、加速度を算出する。車載器CN1,…は、算出された加速度(データ)に基づいて、運転者の加速度分布HG6を生成する。
【0089】
車載器CN1,…は、加速度Aが急加速を示す値である第4閾値VC3以上である第4出力値SA6が占める割合を算出する。また、車載器CN1,…は、加速度Aが急減速を示す値である第5閾値VC4以上である第5出力値SD6が占める割合を算出する。車載器CN1,…は、算出された第4出力値SA6が占める割合と、第5出力値SD6が占める割合とに基づいて、運転手の運転評価を実行する。
【0090】
例えば、
図11に示す例において、車載器CN1,…は、車両C1,…が道路を安定して走行可能な加速度A=+0.02Gを第4閾値VC3に、加速度A=-0.02Gを第5閾値VC4に設定される。なお、第4閾値VC3および第5閾値VC4のそれぞれは、第1閾値VC1および第2閾値VC2と同様の方法で決定されてよい。また、第4出力値用の閾値および第5出力値用の閾値は、それぞれ第1,第2出力値用の閾値と同様の方法で決定されてよい。
【0091】
次に、
図12を参照して、実施の形態1の変形例に係る運転評価処理手順について説明する。
図12は、実施の形態1の変形例に係る運転評価処理手順例を示すフローチャートである。なお、
図12に示す運転評価処理手順は、
図8に示す運転評価処理手順のステップSt1~ステップSt3およびステップSt7のそれぞれと略同様であるため、説明を省略する。
【0092】
分布形状算出部11Cは、蓄積された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれを、第2所定距離分蓄積したと判定した場合(St3,YES)、蓄積された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれのうち時系列に隣接する2つの速度情報(つまり、k番目にサンプリングされた速度情報および(k+1)番目にサンプリングされた速度情報)に基づいて、加速度(データ)を算出する(St4A)。なお、分布形状算出部11Cは、k番目のサンプリング時の速度情報が最新のサンプリング時の速度情報である場合に、時系列に隣接するk番目のサンプリング時の速度情報が示す速度と、(k-1)番目のサンプリング時の速度情報が示す速度とに基づいて、加速度を算出してもよい。このような場合、kは2以上の整数となる。
【0093】
分布形状算出部11Cは、算出された複数の加速度(データ)のそれぞれを、事前に設定された所定範囲(例えば、0~0.005G、0.005~0.01G等)ごとに異なる範囲が設定された複数のグループのそれぞれにグループ分けする(St5A)。
【0094】
分布形状算出部11Cは、グループ分けの結果に基づいて、各グループに該当する加速度の数だけ各グループのカウントをインクリメントする(St6A)。なお、分布形状算出部11Cは、後述するステップSt7の処理で、第2所定距離分の加速度(データ)をカウントしていないと判定した場合等、前回のグループ分けを実行したときにカウントされた各グループに該当する加速度(データ)の数の情報を蓄積している場合、この蓄積された前回の各グループのカウント数に、今回のグループ分けで各グループに該当する差分値の数だけ各グループのカウント数をインクリメントする。
【0095】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1に係る運転評価装置100は、車両C1,…に搭載された車載器CN1,…によって車両C1,…の運転者の運転評価を実行する例を示した。実施の形態2に係る運転評価システム200は、複数の車両C1,…のそれぞれに搭載された車載器CN1A,…から各車両のサンプリング時の速度情報を収集したサーバS1によって複数の車両C1,…の運転者のそれぞれの運転評価を実行する例について説明する。以降の実施の形態2に係る運転評価システム200の説明では、実施の形態1に係る運転評価装置100と異なる構成および処理について説明する。
【0096】
図13は、実施の形態2に係る運転評価システム200の一例を示す図である。
図13の説明において、複数の車両C1,…のそれぞれおよび複数の車載器CN1A,…のそれぞれは同様の構成を有するため、ここでは車両C1および車載器CN1Aについて説明する。
【0097】
実施の形態2に係る運転評価システム200は、人工衛星G1,…と、少なくとも1台の車両に搭載された車載器と、路側機R1,…,RNのそれぞれと、ネットワークNW1と、サーバS1と、を含んで構成される。なお、
図13に示す端末装置P1は、サーバS1と別体に構成される例を示すが、一体的に構成されてもよい。また、複数の路側機R1,…,RNのそれぞれとサーバS1との間には、中間サーバ(不図示)あるいは中継サーバ(不図示)が1台以上設けられてもよく、この中間サーバあるいは中継サーバを介したデータの通信が実行されてもよい。
【0098】
複数の路側機R1,…,RNのそれぞれは、車載器CN1Aとの間で無線通信可能に接続されるとともに、ネットワークNW1を介してサーバS1との間で無線通信または有線通信可能にデータ通信可能に接続される。なお、複数の路側機R1,…,RNのそれぞれとサーバS1との間には、通信されるデータを中継する中間サーバあるいは中継サーバが存在してもよい。複数の路側機R1,…,RNのそれぞれは、車載器CN1Aから送信された車両C1のサンプリング後の速度情報、この速度情報が取得された位置情報、車載器CN1Aの識別情報等を取得し、取得されたこれらの情報を車載器CN1Aの識別情報に対応付けてサーバS1に送信する。
【0099】
運転評価システムの一例としてのサーバS1は、ネットワークNW1を介して、複数の路側機R1,…,RNのそれぞれ、または端末装置P1との間でデータ通信可能に接続される。サーバS1は、複数の路側機R1,…,RNのそれぞれを介して複数の車載器CN1A,…のそれぞれから送信された1以上のサンプリング後の速度情報、位置情報、および車載器の識別情報を取得する。サーバS1は、取得されたサンプリング後の速度情報および位置情報をストレージ23に出力して、車載器の識別情報ごとに記憶(格納)する。また、サーバS1は、取得された各車両のサンプリング後の速度情報に基づいて、車両(つまり、車両を運転する運転者)ごとの運転評価を実行する。
【0100】
端末装置P1は、例えばPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等であって、ネットワークNW1を介してサーバS1との間でデータ通信可能に接続される。端末装置P1は、少なくともモニタ(不図示)を含む構成であって、サーバS1から送信された運転評価結果を取得して、出力(表示)する。
【0101】
ネットワークNW1は、複数の路側機R1,…,RNのそれぞれ、サーバS1および端末装置P1のそれぞれとの間で無線通信または有線通信を通じてデータ通信可能に接続する。ここでいう無線通信は、例えば無線LAN(Local Area NetWork)、無線WAN(Wide Area NetWork)、4G(第4世代移動通信システム)、5G(第5世代移動通信システム)、またはWi-Fi(登録商標)等の無線通信規格に準じて提供されるネットワークである。
【0102】
また、実施の形態2に係る車載器CN1Aは、DSRC通信部10Aと、GPS受信部10Bと、プロセッサ11AAと、メモリ12と、を含んで構成される。また、実施の形態2に係る車載器CN1Aのプロセッサ11AAは、測位部11Aと、サンプリング部11Bとを含んで構成される。
【0103】
実施の形態2に係る車載器CN1A(つまり、運転評価装置100)は、
図8および
図9に示す運転評価処理手順例において、ステップSt1~ステップSt2までの処理を実行し、サンプリング時の速度情報と、この速度情報が取得された位置情報と、車載器の識別情報とを対応付けて複数の路側機R1,…,RNのそれぞれに送信する。
【0104】
実施の形態2に係る車載器CN1Aは、複数の路側機R1,…,RNのそれぞれとの間でデータ通信可能に接続されて、サンプリング部11Bによるサンプリング後の速度情報と、この速度情報が取得された位置情報と、車載器CN1Aの識別情報とを対応付けて送信する。なお、車載器CN1Aは、このサンプリング後の速度情報が取得された時のパラメータ選定情報(例えば、日時情報等)を、サンプリング後の速度情報と、位置情報と、車載器CN1Aの識別情報とに対応付けて複数の路側機R1,…,RNのそれぞれに送信してもよい。複数の路側機R1,…,RNのそれぞれに送信されたサンプリング後の速度情報、位置情報、および車載器CN1Aの識別情報のそれぞれは、ネットワークNW1を介してサーバS1に送信される。
【0105】
なお、車載器CN1Aは、サンプリング後の速度情報、位置情報、および車載器CN1Aの識別情報の送信を、DSRC通信部10Aにより実行する。DSRC通信部10Aは、DSRC用アンテナANT1によって、ITSスポット(登録商標)またはETC2.0路側機等の複数の路側機R1,…,RNのそれぞれにサンプリング後の速度情報、位置情報、および車載器CN1Aの識別情報を送信する。なお、DSRC用アンテナANT1は、プロセッサ11に含まれる構成であってもよい。
【0106】
複数の路側機R1,…,RNのそれぞれは、例えば、高速道路および一般道路等の路側に設置されたITS(Intelligent Transport Systems)スポット(登録商標)、あるいは経路情報収集等を可能としたETC(Electronic Toll Collection)2.0(登録商標)路側機である。複数の路側機R1,…,RNのそれぞれは、無線通信方式としてDSRC(Dedicated Short Range Communication)を使用しており、高速かつ大容量の情報伝送を可能としている。DSRCは、路側機R1,…,RNのそれぞれと車載器CN1Aとの間で行われる狭域通信であり、信号伝送範囲は数m~30mである。また、DSRCは、周波数帯5.8GHz帯を利用している。
【0107】
さらに、車載器CN1Aは、無線通信部(不図示)を含む構成であってもよい。このような場合、車載器CN1Aは、複数の路側機R1,…,RNのそれぞれ(つまり、DSRC)を介さず、無線通信部から携帯通信網を介してサンプリング後の速度情報、位置情報、および車載器CN1Aの識別情報をサーバS1に送信してもよい。
【0108】
次に、
図14を参照して、サーバS1の内部構成例について説明する。
図14は、実施の形態2に係るサーバS1の内部構成例を示すブロック図である。なお、
図13に示すサーバS1は、端末装置P1と別体に構成される例を示すが、一体的に構成されてもよい。実施の形態2に係るサーバS1は、
図8および
図9に示す運転評価処理手順例において、ステップSt3~ステップSt17までの処理を実行し、車載器CN1A,…のそれぞれによりサンプリングされて送信された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれに基づいて、車両の運転者ごとの運転評価を実行する。
【0109】
サーバS1は、通信部20と、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、を含んで構成される。なお、ストレージ23は、サーバS1と別体に構成されてもよい。
【0110】
通信部20は、ネットワークNW1を介して端末装置P1との間でデータ通信可能に接続され、ネットワークNW1を介して複数の路側機R1,…,RNのそれぞれとの間でデータ通信可能に接続される。なお、複数の路側機R1,…,RNのそれぞれとサーバS1との間には、通信されるデータを中継する中間サーバあるいは中継サーバが存在してもよい。通信部20は、ネットワークNW1を介して複数の路側機R1,…,RNのそれぞれから送信された複数の車両C1,…のサンプリング後の速度情報、位置情報、および車載器CN1A,…の識別情報をプロセッサ21における分布形状算出部21Aに出力する。また、通信部20は、プロセッサ21から出力された複数の車両C1,…の運転者の運転評価結果を端末装置P1に送信する。
【0111】
プロセッサ21は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ22と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ21は、メモリ22に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。ここでいう各部は、例えば分布形状算出部21A、閾値保持部21B、閾値決定部21C、および評価部21D等である。なお、実施の形態2におけるサーバS1の分布形状算出部21A、閾値保持部21B、閾値決定部21C、および評価部21Dのそれぞれは、
図8および
図9に示す実施の形態1に係る運転評価処理手順例における分布形状算出部11C、閾値保持部11D、閾値決定部11E、および評価部11Fにそれぞれ対応した処理を実行し、運転評価処理を実現する。
【0112】
メモリ22は、例えばプロセッサ21の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ21の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ21により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ21の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
【0113】
ストレージ23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)によって構成される。なお、ストレージ23は、サーバS1と別体で構成される場合には、ネットワークNW1を介してデータ通信可能に接続されたオンラインストレージにより実現されてもよいし、メモリカード(例えばSDカード)等の外部記憶媒体として実現されてもよい。
【0114】
プロセッサ21は、1以上のサンプリング時の速度情報、位置情報、および車載器の識別情報をストレージ23に出力する。ストレージ23は、車載器の識別情報ごとに1つ以上のサンプリング時の速度情報を記憶(格納)する。また、プロセッサ21は、複数の運転者の運転評価結果、あるいは複数の運転者のそれぞれの第1出力値および第2出力値に基づいて、統計データあるいは相関データ(
図15参照)の生成を実行してもよい。
【0115】
分布形状算出部21Aは、車載器の識別情報ごとにストレージ23に蓄積された1以上のサンプリング時の速度情報のそれぞれについて、各速度情報が取得された位置情報に基づいて、事前に設定された第2所定距離(例えば、30km,40km等)分のサンプリング時の速度情報を蓄積したか否かを判定する。分布形状算出部21Aは、蓄積されたサンプリング時の速度情報が取得された位置情報に基づいて、第2所定距離分のサンプリング時の速度情報を蓄積したと判定した場合、蓄積された複数のサンプリング時の速度情報のそれぞれのうち時系列に隣接する2つの速度情報の差分値(つまり、k番目にサンプリングされた速度情報と(k+1)番目にサンプリングされた速度情報との速度の差分値)を算出する。なお、分布形状算出部21Aは、k番目のサンプリング時の速度情報が最新のサンプリング時の速度情報である場合に、時系列に隣接するk番目のサンプリング時の速度情報が示す速度と、(k-1)番目のサンプリング時の速度情報が示す速度との速度差を算出してもよい。このような場合、kは2以上の整数となる。一方、分布形状算出部21Aは、蓄積されたサンプリング時の速度情報が取得された位置情報に基づいて、第2所定距離分のサンプリング時の速度情報を蓄積していないと判定した場合、蓄積処理を継続して実行する。
【0116】
分布形状算出部21Aは、算出された複数の差分値(データ)のそれぞれを、所定範囲(例えば、0~5km/h,5~10km/h等)ごとに異なる範囲が設定された複数のグループのそれぞれにグループ分けする。なお、複数のグループのそれぞれは、所定値刻み(例えば、2km/h刻み,3km/h刻み,5km/h刻み等)に所定範囲が設定される。分布形状算出部21Aは、グループ分けの結果に基づいて、各グループに該当する差分値(データ)の数だけ各グループのカウントをインクリメントする。なお、分布形状算出部21Aは、前回のグループ分けを実行したときにカウントされた各グループに該当する差分値(データ)の数の情報を蓄積している場合、この前回蓄積された各グループに該当する差分値(データ)の数に、今回のグループ分けで各グループに該当する差分値の数だけ各グループのカウント数をインクリメントする。
【0117】
分布形状算出部21Aは、各グループに該当する差分値(データ)の数をカウントした後、カウントされた差分値(データ)の数に基づいて、事前に設定された第2所定距離分の差分値(データ)をカウントしたか否かを判定する。分布形状算出部21Aは、第2所定距離分の差分値(データ)の数をカウントしたと判定した場合、差分値(データ)の総数に対する各グループに該当する差分値(データ)が占めるそれぞれの割合を算出して、各グループに該当する差分値(データ)のそれぞれの割合の情報を含む速度変化分布を生成する。一方、分布形状算出部21Aは、第2所定距離分の差分値(データ)の数をカウントしていないと判定した場合、差分値の算出処理またはサンプリングされた速度情報の蓄積処理を実行する。分布形状算出部21Aは、生成された速度変化分布を評価部21Dに出力する。
【0118】
閾値保持部21Bは、車両C1,…の運転者ごとの運転評価を行うための各閾値を算出するための複数のパラメータのそれぞれ(例えば、加速度)を記憶する。なお、閾値保持部21Bは、パラメータ選定情報に応じて、複数のパラメータのそれぞれ(例えば、加速度)を記憶してもよい。なお、閾値保持部21Bに記憶されたパラメータは、1つであってもよい。
【0119】
閾値決定部21Cは、パラメータ選定情報に基づいて、閾値保持部21Bに記憶された複数のパラメータのそれぞれのうち1つのパラメータを選定する。閾値決定部21Cは、選定されたパラメータに基づく各閾値を算出して、評価部21Dに出力する。
【0120】
なお、閾値決定部21Cは、選定されたパラメータに基づいて、速度変化分布の生成に使用される複数の差分値のそれぞれのうち異常値を除外するための第3閾値を算出してもよい。閾値決定部21Cは、算出された第3閾値を評価部21Dに出力する。
【0121】
なお、閾値決定部21Cは、算出された第3閾値を分布形状算出部21Aに出力してもよい。このような場合、分布形状算出部21Aは、閾値決定部21Cから出力された第3閾値に基づいて、各グループに該当する差分値のそれぞれのうち第3閾値以上の差分値を除外して速度変化分布を生成し、評価部21Dに出力する。ここで、分布形状算出部21Aは、各グループに該当する差分値のそれぞれのうち第3閾値以上の差分値を除外したことで第2所定距離分の差分値をカウントしていないと判定した場合、差分値の算出処理またはサンプリングされた速度情報の蓄積処理を実行してもよい。
【0122】
評価部21Dは、分布形状算出部21Aから出力された速度変化分布と、閾値決定部21Cから出力された各閾値とに基づいて、第1出力値および第2出力値のそれぞれを算出する。なお、評価部21Dは、閾値決定部21Cから第3閾値が出力された場合には、速度変化分布から第3閾値以上の差分値(つまり、第3閾値以上の範囲のグループ)を除外した速度変化分布を生成する。評価部21Dは、算出された第1出力値および第2出力値に基づいて、車両の運転者の運転評価を実行して、運転評価結果と車載器の識別情報とを対応付けて通信部20に出力するとともに、ストレージ23に記憶(格納)させる。通信部20は、評価部21Dから出力された運転評価結果および車載器の識別情報を、ネットワークを介して端末装置P1に送信し、出力させる。なお、評価部21Dは、運転評価結果および車載器の識別情報の他に、パラメータ選定情報等を対応付けて、通信部20に出力してもよい。また、評価部21Dは、生成された統計データ、相関データ等に基づいて、共通あるいは類似するパラメータ選定情報を有する車両の運転評価に使用される各閾値、各評価基準を算出してもよい。
【0123】
なお、評価部21Dにより実行される他の具体的な運転評価方法は、実施の形態1における車載器CN1の評価部11Fにより実行される運転評価方法と同様であるため、説明を省略する。
【0124】
ストレージ23は、車載器CN1,…の識別情報ごとに生成された運転評価結果と、評価部21Dにより生成された統計データ、相関データ等を格納する。
【0125】
次に、
図15を参照して、サーバS1により生成される複数の車両C1,…のそれぞれの第1出力値および第2出力値の相関データDTについて説明する。
図15は、複数の車両C1,…のそれぞれの運転評価結果に基づく相関データDTの一例を示す図である。
【0126】
相関データDTは、サーバS1により生成されて、ネットワークNW1を介して端末装置P1に送信される。
図15に示す相関データDTは、複数の車両C1,…のそれぞれの運転者の運転評価結果としての第1出力値および第2出力値をプロットして生成されたデータであり、縦軸が第1出力値(急加速)の割合を示し、横軸が第2出力値(急減速)の割合を示す。領域RA1は、急減速および急加速のいずれの割合も多い領域である。領域RA2は、急減速および急加速のいずれの割合も少ない領域である。
【0127】
なお、サーバS1は、共通するパラメータ選定情報を有する複数の車両C1,…のそれぞれの運転者の運転評価結果を収集して相関データDTを生成することにより、所定のパラメータ選定情報における運転評価において、より最適なパラメータまたは各閾値を導出したり、より最適な運転評価の評価基準としての第1出力値用の閾値(評価基準)および第2出力値用の閾値(評価基準)を導出したりできる。
【0128】
なお、上述した実施の形態2に係る運転評価システム200は、車両C1,…のそれぞれの速度情報に基づく差分値(速度差)を用いて速度変化分布を生成し、生成された速度変化分布に基づいて、運転者の運転評価を実行する例について説明したが、車両C1,…のそれぞれの速度情報に基づいて、車両C1,…のそれぞれの加速度を算出し、算出された加速度を用いて加速度分布を生成し、生成された加速度分布に基づいて、運転者の運転評価を実行してもよいことは言うまでもない。このような場合、サーバS1は、実施の形態1の変形例で説明した方法と同様の方法で、運転者の運転評価を実行する。
【0129】
以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例、および実施の形態2に係るサーバS1は、車両C1,…に備えられた車載器CN1,…,CN1A,…と路側機R1,…,RN(路側アンテナの一例)を介して通信する情報提供システムであって、車両C1,…が路側機R1,…,RNを通過する前に車載器CN1,…,CN1A,…において車両C1,…が所定距離を移動する毎に蓄積された車両C1,…の速度情報を、車載器CN1,…,CN1A,…の識別情報と対応付けて車載器CN1,…,CN1A,…から路側機R1,…,RNを介して取得し、蓄積された速度情報に対応する所定期間内において、速度情報に基づく算出値(第1~第2出力値、あるいは第4~第5出力値)が閾値以上(つまり、第1閾値VC1あるいは第2閾値VC2以上、または、第4閾値VC3あるいは第5閾値VC4以上)の差で現れる比率から得られる車両C1,…の急加速又は急減速の頻度を示す評価情報を、識別情報と対応付けて情報表示機器に表示させる。
【0130】
なお、ここでいう情報表示機器は、機器の一例であり、車両C1,…内に備えられ、路側機R1,…,RNとの間で無線通信可能に接続された機器であって、例えば、車載器CN1,CNA1、カーナビゲーション装置(不図示)、モニタ(不図示)、スピーカ(不図示)、HUD(Head-Up Display)等、あるいはサーバS1との間でデータ通信可能に接続された端末装置P1が備えるモニタ(不図示)、スピーカ(不図示)である。
【0131】
これにより、実施の形態1、実施の形態1の変形例、および実施の形態2に係るサーバS1は、車両C1,…の走行挙動を示すデータとしてのサンプリング後の速度情報を時間的に不定期で取得しても、車両C1,…の運転者の運転傾向(例えば、急加減速が多い、急加速が多い、急減速が多い等)を評価できる。
【0132】
また、以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例、およびに実施の形態2に係るサーバS1により算出される算出値は、車両C1,…速度差または速度差に基づく加速度の値である。これにより、実施の形態1、実施の形態1の変形例、および実施の形態2に係るサーバS1は、車両の急加速または急減速の頻度を評価するための指標値としての速度差、加速度に基づいて、車両の運転者の運転傾向(例えば、急加減速が多い、急加速が多い、急減速が多い等)を評価できる。
【0133】
また、以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例、および実施の形態2に係るサーバS1は、比率が所定比率以上である場合、評価情報において車両の急加速又は急減速の頻度が高いとする。これにより、実施の形態1、実施の形態1の変形例、およびに実施の形態2に係るサーバS1は、速度差、加速度(指標値の一例)に基づいて、車両の運転者の運転傾向が急加速または急減速の頻度が高いと判定した場合、車両の運転者の運転傾向が急加速または急減速の頻度が高いことを通知する通知を生成して情報表示機器に出力させることができる。
【0134】
なお、ここでいう所定比率(閾値)は、任意の比率(閾値)であってよく、例えば、ユーザにより設定された比率(閾値)であってもよいし、第1閾値VC1、第2閾値VC2等のように所定の条件により決定される比率(閾値)であってもよいし、任意の比率(閾値)であってもよい。
【0135】
また、以上により、実施の形態2において評価情報は、急加速の割合を示す軸(例えば、
図15に示す相関データDTの縦軸)と急減速の割合を示す軸(例えば、
図15に示す相関データDTの横軸)の2軸に対してプロットしたチャートであり、複数の異なる識別情報に対応付けられた評価情報を、チャートにおいて相関データとして表示させる。これにより、実施の形態2に係るサーバS1は、複数の車両C1,…の運転者のそれぞれの運転評価結果に基づいて生成された相関データを端末装置P1に表示させることにより、サーバS1の管理者であるユーザに提示(表示)できる。また、サーバS1あるいはユーザは、提示された相関データに基づいて、共通するパラメータ選定情報(位置情報、日時情報等)を有する道路を走行する複数の車両C1,…のそれぞれで使用される各閾値(つまり、第1閾値VC1~第5閾値VC4のそれぞれ)をより適切に設定できる。
【0136】
また、以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例、およびに実施の形態2に係るサーバS1は、速度情報が取得された位置情報または日時情報を取得し、取得された位置情報または日時情報に基づいて、閾値(つまり、第1閾値VC1あるいは第2閾値VC2、または、第4閾値VC3あるいは第5閾値VC4)を算出するための少なくとも1つの加速度を選定する。これにより、実施の形態1、実施の形態1の変形例、およびに実施の形態2に係るサーバS1は、車両C1,…が走行しているパラメータ選定情報に基づいて、運転評価に使用するパラメータの選定および各種閾値(つまり、第1閾値VC1~第5閾値VC4のそれぞれ)の算出を実行できるため、運転者の運転傾向をより適切に評価できる。例えば車両C1,…が走行している位置情報が示す緯度が高く、かつ日時情報が示す季節が冬季であり、かつ時刻が夜間である場合、車載器CN1,…、またはサーバS1は、選定するパラメータ(つまり加速度)の値を、位置情報が示す緯度が低く、かつ日時情報が昼間である時のパラメータ(加速度)よりも小さい値に設定することでより適切な運転者の運転評価を実行できる。
【0137】
また、以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例、および実施の形態2に係るサーバS1は、速度情報が取得された位置情報または日時情報を取得する。閾値(つまり、第1閾値VC1あるいは第2閾値VC2、または、第4閾値VC3あるいは第5閾値VC4)は、共通する位置情報または日時情報を有する複数の異なる車両のそれぞれの算出値に基づいて設定される。これにより、実施の形態1、実施の形態1の変形例、および実施の形態2に係るサーバS1は、より適切な閾値(つまり、第1閾値VC1~第5閾値VC4のそれぞれ)を設定することで、複数の車両C1,…の運転者のそれぞれに対して実行される運転評価の精度を向上できる。
【0138】
また、以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例、およびに実施の形態2におけるサーバS1は、算出値が第3閾値(所定値の一例)以上である場合、算出値を異常値として除外する。これにより、実施の形態1、実施の形態1の変形例、およびに実施の形態2に係るサーバS1は、人工衛星からの電波伝搬遅延、衛星配置、あるいはマルチパス等により衛星測位信号の受信時刻に時刻のずれが生じたりして、取得された速度情報が誤っている場合であっても、この速度情報を使用して算出された異常値である差分値(データ)を除去した速度変化分布または加速度分布を生成できる。
【0139】
また、以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例、およびに実施の形態2における速度情報は、人工衛星から取得する衛星測位信号に基づいて車両C1,…の所定距離ごとの移動を検知することでサンプリングして取得される。これにより、実施の形態1、実施の形態1の変形例、およびに実施の形態2に係るサーバS1は、サンプリング後の速度情報を時間的に不定期で取得しても、車両C1,…の運転者の運転傾向(例えば、急加減速が多い、急加速が多い、急減速が多い等)を評価できる。
【0140】
以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例に係る車載器CN1,…,CN1A,…は、車両C1,…に備えられ、路側機R1,…,RN(路側アンテナの一例)を介して通信する情報提供システムである。情報提供システムは、車両C1,…に備えられた機器にネットワークNW1を介して接続されており、車両が路側機R1,…,RNを通過する前に車載器CN1,…,CN1A,…において車両C1,…が所定距離を移動する毎に蓄積された車両C1,…の速度情報を、車載器の識別情報と対応付けて車載器から路側アンテナを介して取得し、蓄積された速度情報に対応する所定期間内において、速度情報に基づく算出値(第1~第2出力値、あるいは第4~第5出力値)が閾値(つまり、第1閾値VC1あるいは第2閾値VC2以上、または、第4閾値VC3あるいは第5閾値VC4以上)以上の差で現れる比率から得られる車両C1,…の急加速又は急減速の頻度を示す評価情報を、ネットワークを介して機器に送信することで機器から出力させる。
【0141】
以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例、および実施の形態2に係るサーバS1は、車両C1,…に備えられた車載器CN1,…,CN1A,…と路側機R1,…,RN(路側アンテナの一例)を介して通信する情報提供システムである。情報提供システムは、1つ以上の処理装置(例えば、プロセッサ21)と、当該1つ以上の処理装置における動作を実行させるための情報を記録装置(例えば、メモリ22あるいはストレージ23)とを備えて構成され、車両C1,…が路側機R1,…,RNを通過する前に車載器CN1,…,CN1A,…において車両C1,…が所定距離を移動する毎に蓄積された車両の速度情報を、車載器CN1,…,CN1A,…の識別情報と対応付けて蓄積された速度情報に対応する所定期間内において、速度情報に基づく算出値(第1~第2出力値、あるいは第4~第5出力値)が閾値(つまり、第1閾値VC1あるいは第2閾値VC2以上、または、第4閾値VC3あるいは第5閾値VC4以上)以上の差で現れる比率から得られる車両C1,…の急加速又は急減速の頻度を示す評価情報を、識別情報と対応付けて情報表示機器に表示させる。
【0142】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本開示は、車両の走行挙動を示すデータを時間的に不定期で取得しても、車両の運転者の運転傾向を評価できる情報提供方法および情報提供システムとして有用である。
【符号の説明】
【0144】
10A DSRC通信部
10B GPS受信部
11,11AA,21 プロセッサ
11A 測位部
11B サンプリング部
11C,21A 分布形状算出部
11D,21B 閾値保持部
11E,21C 閾値決定部
11F,21D 評価部
12,22 メモリ
13 出力部
20 通信部
23 ストレージ
100 運転評価装置
200 運転評価システム
C1 車両
CN1,CN1A 車載器
DT 相関データ
G1 人工衛星
HG1,HG2,HG3,HG4 速度変化分布
NW1 ネットワーク
P1 端末装置
S1 サーバ
R1,R2,RN 路側機