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  • 特許-荷崩れ防止カバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】荷崩れ防止カバー
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/04 20060101AFI20241106BHJP
   B65D 19/38 20060101ALI20241106BHJP
   B65D 71/06 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B65D65/04 A
B65D19/38 B
B65D71/06 200
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021082722
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175937
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】小西 由幸
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3158386(JP,U)
【文献】特開2004-218153(JP,A)
【文献】特開2002-235265(JP,A)
【文献】特開平11-056564(JP,A)
【文献】特開2002-371409(JP,A)
【文献】特開2002-054058(JP,A)
【文献】特開平09-250069(JP,A)
【文献】特開2020-147865(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0025313(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/04
B65D 19/38
B65D 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維及びスパンデックス繊維を含むダブルラッセル生地からなる円筒形状の荷崩れ防止カバーであって、前記ダブルラッセル生地の厚さが0.5~1.5mmであり、前記円筒形状の軸方向の伸び率が70~120%であり、円周方向の伸び率が150~220%であることを特徴とする荷崩れ防止カバー。
【請求項2】
前記ダブルラッセル生地において、前記合成繊維の含有割合が70~90%、前記スパンデックス繊維の含有割合が10~30%であることを特徴とする請求項1に記載の荷崩れ防止カバー。
【請求項3】
前記合成繊維が、ナイロン及びポリエステルから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷崩れ防止カバー。
【請求項4】
前記ダブルラッセル生地の伸長回復率が、軸方向で80~100%であり、円周方向で80~100%であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の荷崩れ防止カバー。
【請求項5】
前記ダブルラッセル生地の防透け性が、通常時で80~100であり、100%伸張時で60~80であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の荷崩れ防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物への取付けが簡便であり、対応できる荷物の積載サイズや積載形状に自由度がある荷崩れ防止カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に荷物を搬送したり、荷物を保管したりする場合には、作業効率の向上を図ったり、保管スペースの省スペース化を図るために、荷物はパレット、荷車、カーゴなどの上に複数段積載される。このようにパレット等の上に積載された荷物は、ストレッチフィルムやベルト、シート等を荷物に巻回して固定される。
【0003】
一般的には、荷車やパレット上にある荷物であるカートンの荷崩れ防止のために、透明ラップを荷物の周囲に巻き付けることが多い。透明ラップは、どこでも入手できる部材であるが、透明ラップを荷物の周囲に装着するのにかなりの時間が必要であり、また、取り外した場合、透明ラップ自体はゴミとなる。さらに、透明ラップの巻き加減によっては荷物の潰れなども発生する場合がある。
【0004】
また、透明ラップ以外には、専用のカバーを用いる場合がある。例えば、大型のシート部材に複数のベルトを設け、ベルトによるサイズ調整及び固定を行うものがある(特許文献1参照)。しかしながら、このようなタイプは、生地自体に柔軟性はなく、その調整幅が限定されていたりして、使い勝手がよいものではない。また、カバー自体で荷物にダメージを与えてしまうものがある。
【0005】
一方、全体がネット状であり、上下端部は開口しており、上端と下端にそれぞれ1個所及び中間に少なくとも1個所、紐リングが水平方向に設定されており、しかも上端の紐リングはその他の紐リングよりも直径が小さいものである荷崩れ防止ネットにおいて、少なくとも前記下端リングに複数の係止部を設けると共に、これら複数の係止部のうちの2個を選択的に連結具で着脱可能に連結する荷崩れ防止ネットが提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、このタイプは対応できる範囲が限定的であり、取付作業にも手間がかかるという課題がある。また、取付作業時にはネットの柔軟性により荷物にフィットさせるが、固定時には荷物が動かないようにネットの柔軟性が無くなるまで引っ張るため、カバー自体で荷物にダメージを与えてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-179132号公報
【文献】実用新案登録第3158386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて提案されたものであり、荷物への取付けが簡便であり、対応できる荷物の積載サイズや積載形状に自由度がある荷崩れ防止カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成する本発明の第1の態様は、合成繊維及びスパンデックス繊維を含むダブルラッセル生地からなる円筒形状の荷崩れ防止カバーであって、前記ダブルラッセル生地の厚さが0.5~1.5mmであり、前記円筒形状の軸方向の伸び率が70~120%であり、円周方向の伸び率が150~220%であることを特徴とする荷崩れ防止カバーにある。
【0010】
本発明の第2の態様は、前記ダブルラッセル生地において、前記合成繊維の含有割合が70~90%、前記スパンデックス繊維の含有割合が10~30%であることを特徴とする第1の態様の荷崩れ防止カバーにある。
【0011】
本発明の第3の態様は、前記合成繊維が、ナイロン及びポリエステルから選択される少なくとも1種であることを特徴とする第1又は第2の態様の荷崩れ防止カバーにある。
【0012】
本発明の第4の態様は、前記ダブルラッセル生地の伸長回復率が、軸方向で80~100%であり、円周方向で80~100%であることを特徴とする第1から3の何れかの態様の荷崩れ防止カバーにある。
【0013】
本発明の第5の態様は、前記ダブルラッセル生地の防透け性が、通常時で80~100であり、100%伸張時で60~80であることを特徴とする第1から4の何れかの態様の荷崩れ防止カバーにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スパンデックス繊維を含む所定のダブルラッセル生地を用いることにより、その伸長特性及び回復特性により、荷物への取付けが簡便であり、対応できる荷物の積載サイズや積載形状に自由度がある荷崩れ防止カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の荷崩れ防止カバーの概略構成を表す図である。
図2】引張試験の結果を示す図である。
図3】振動試験の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の荷崩れ防止カバーは、概略構成を表す図1に示すように、円筒形状のカバー本体10からなり、軸方向の上下端部は開口11となっている。
【0017】
本発明のカバー本体10は、合成繊維及びスパンデックス繊維を含むダブルラッセル生地からなる。ダブルラッセル生地とは、ダブルラッセル編機で経て編みしたものであり、周方向に亘って縫い目はない。よって、周方向に伸張しても荷物に引っ掛かり難く、ほつれの虞の無いものである。
【0018】
本発明のダブルラッセル生地は、厚さが0.5~1.5mm、好ましくは、0.8~1.0mmである。これより薄いと荷物を支えることが困難になり、また、これより厚いと伸張するときに必要な力が大きくなり、好ましくない。
【0019】
また、本発明のダブルラッセル生地は、例えば、24~28ゲージとするのが好ましい。ここで、ゲージとは編物で一定の大きさを編むための、基準となる目と段の数のことであり、1インチ(2.54cm)の中に編み機の針が何本入っているかを示す。上記ゲージは、数値が大きいほど編み目が細かいことを示し、数値が小さいほど編み目が粗いことを示す。上記のゲージ数は、編物製品としては比較的にハイゲージであり、編目が細かい生地となる。
【0020】
また、本発明のダブルラッセル生地は、円筒形状の軸方向の伸び率が70~120%、好ましくは、100~120%であり、円周方向の伸び率が150~220%、好ましくは200~220%である。伸び率をこの範囲とすることにより、積載された荷物に簡単に被せることができ、多様な積載サイズに対応でき、荷崩れを防止することができる。
【0021】
横方向(円周方向)伸び率は以下の試算に基づくものである。なお、下記表1は、円周方向の長さが1800mm、軸方向の長さ1500mmのカバーを用い、パレットサイズを一辺1100mm、周囲寸法4400mmとし、一辺が480mm(長辺)の段ボールを28個積載した場合を想定し、カバーの伸びを変化させた場合にカバーできるか否かを試算したものである。
【0022】
荷物輸送時の振動によるカバーの伸びと伸びた後のパレットとの隙間の関係性より、好ましい伸び率が見い出される。この伸び率が低いとパレット自体に被せることがしづらく、また、伸び率が高いと大きく伸びてしまった時に隙間が空きすぎて段ボールが落下してしまうという不都合が生じる。
【0023】
一方、縦方向(軸方向)に関しては、最低値はカバーを縮めることにより対応可能であるが、最大値は、想定される最大荷物高さ3300mmを包むために、好ましくは、元の長さ1500mmに対して120%の伸び率が必要となる。
【0024】
【表1】
【0025】
また、本発明のダブルラッセル生地は、伸長回復率が、軸方向で80~100%、好ましくは、90~100%であり、円周方向で80~100%、好ましくは、90~100%であることが好ましい。伸長回復率をこの範囲とすることにより、積載された荷物に被せた後、荷崩れを防止でき、これが多様な積載サイズで実現できる。
【0026】
本発明のダブルラッセル生地は、合成繊維とスパンデックス繊維とを含むが、合成繊維の含有割合が70~90%、好ましくは、80~90%であり、スパンデックス繊維の含有割合が10~30%、好ましくは、10~20%であることが望ましい。
【0027】
本発明のダブルラッセル生地は、スパンデックス繊維を上述した範囲で含むことにより、上述した伸び率及び伸長回復率を有するものとなる。
【0028】
ここで、スパンデックス繊維とは、ポリウレタン弾性繊維である。また、合成繊維は、ナイロン及びポリエステル、ポリエチレンから選択される少なくとも1種であるが、特にナイロンが好ましい。
【0029】
本発明のダブルラッセル生地において、合成繊維とスパンデックス繊維とを上述した範囲とするには、このような割合で含む糸を用いてダブルラッセル編機で編んでもよいが、合成繊維の糸と、スパンデックス繊維の糸又は合成繊維及びスパンデックス繊維を含む糸とを用いてダブルラッセル編機で編んでもよい。
【0030】
本発明のダブルラッセル生地は、スパンデックス繊維を上述した範囲で含み、糸の太さ、編み方の条件により、上述した伸び率及び伸長回復率を有するものとし、厚さを所定範囲とすることができる。
【0031】
本発明のダブルラッセル生地は、防透け性が、通常時で80~100、好ましくは、80~90であり、100%伸張時で60~80、好ましくは、70~80であることが好ましい。このような防透け性を有することにより、積載した荷物に被せた際に容易に荷物を確認することができ、好ましい。なお、このような防透け性を実現しているのは、合成繊維とスパンデックス繊維を所定の割合で含みダブルラッセル生地とし、所定の厚さとしたことによる。
【0032】
以上説明したように、本発明の荷崩れ防止カバーは、所定の伸び率と伸長回復率とに優れたダブルラッセル生地を用いることにより、対象物となる積載された荷物に被せる際に柔軟に変形させることができるので、装着性に優れ、また装着後は伸長回復率により対象物にフィットし、荷崩れを確実に防止することができる。
【0033】
また、積載した荷物に本発明の荷崩れ防止カバーを装着した状態で運搬等したときに衝撃を受けて荷物が移動した場合には、ダブルラッセル生地の優れた伸長回復率により荷崩れが有効に防止される。
【0034】
また、荷物に対して常に一定荷重で包み込んでいて、荷物に対する負荷変動がなく、その荷重自体も小さく、荷物に対してダメージを与えないものである。
また、縦方向も伸び性があるので、高さがある荷物にも対応ができる。
また、1サイズで荷車にもパレットにも使用できる。
【0035】
さらに、本発明の荷崩れ防止カバーを積載された荷物に被せる際に、より強固にカバーする場合には、装着後に上下の開口の端部をつまんで結ぶことにより、荷崩れ防止性能が向上する。
【0036】
また、所定の防透け性を有するので、ある程度の透明性があり、内側の荷物を容易に確認することができる。
【0037】
また、繋ぎ目のない1枚生地で円筒形状となっているので、均等に圧力がかかり、荷物への負担が少なく、カバー自体も破れにくいという利点がある。
【0038】
また、透明性があるがダブルラッセル生地なので、ネット素材とは異なり、外部からの汚れや直接的な濡れもある程度は防ぐことが可能である。
【0039】
ダブルラッセル生地はカットしてもほつれにくい生地なので、荷台のスイッチなどに対応する箇所に穴を容易に後加工可能である。
【0040】
また、端部ほつれもしづらい生地なので、カバー自体からの汚れ(糸クズ他)も発生しづらいという利点もある。
ダブルラッセル生地は、横編生地と比較しても摩耗強度が高く、耐久性に優れている。
勿論、洗濯も可能であり、繰り返し使えるという利点もあり、経済的である。
【0041】
本発明の荷崩れ防止カバーは、伸張して上部から積載された荷物に被せるだけなので、非常に容易に装着ができ、荷車で約10秒程度、パレットでも30秒程度で装着が可能である。例えば、透明ラップを用いる場合には数分を要することもあり、他のカバーでは、このような短時間で装着できるものはない。
【0042】
また、透明ラップや他のバンドタイプなどは、荷物に対して巻く動作で作業者自身も移動が必要であるが、本製品は、上下方向の動作のみであり、非常に容易にカバーできるものである。
【0043】
また、本発明の荷崩れ防止カバーは、不要時も荷車やパレット自体に収縮させて装着可能となっているので、不使用時においても邪魔にならないという利点もある。
ダブルラッセル生地は、防水、撥水、帯電防止、色染など後加工もできるものである。
【実施例
【0044】
次に、以下の実験例を参照して、本発明を更に詳細に説明する。
【0045】
(実施例)
幅900mm(周囲1800mm)で軸方向の長さ1500mmの円筒形状の荷崩れ防止カバーを作製した。荷崩れ防止カバーは、ダブルラッセル編機で経て編みしたダブルラッセル生地(24ゲージ)であり、目付216g/m、厚み0.9mmである。このダブルラッセル生地は、ナイロン繊維及びスパンデックス繊維を含み、ナイロン繊維88%、スパンデックス繊維12%とした。
【0046】
(製品特性)
(1)伸び率
試験方法:JISL1018B法
元の長さ(cm)をL0、500gの荷重を加えて1分間保持した後の長さ(cm)をL1としたとき、伸び率Ep(%)は以下の式で求めた。
伸び率Ep(%)={(L1-L0)/L0}×100
測定の結果は以下のとおりであった。
軸方向(縦):110%(原寸の2.1倍)
周方向(横):220%(原寸の3.2倍)
【0047】
(2)伸長回復率
試験方法:JISL1018B法
元の長さ(cm)をL0、500gの荷重を加えて1分間保持した後の長さ(cm)をL1、荷重を除去して1分後の長さ(cm)をL2としたとき、伸長回復率(%)は以下の式で求めた。
伸長回復率(%)={(L1-L2)/(L1-L0)}×100
測定の結果は以下のとおりであった。
軸方向(縦):90%
周方向(横):90%
【0048】
(3)残留歪率
元の長さ(cm)をL0、500gの荷重を加えて1分間保持した後の長さ(cm)をL1、荷重を除去して1分後の長さ(cm)をL2としたとき、残留歪率(%)は以下の式で求めた。
残留歪率(%)={(L2-L0)/L1}×100
【0049】
(比較結果)
伸び率、伸張回復率及び残留歪率を市販の製品A及び製品Bと比較した結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
(4)引張特性
試験方法:引張速度200mm/minにて生地を引張り、その時の荷重を測定する。
結果は、断面積を、生地厚さ:平均0.93mmとして算出し、引張応力に換算した。
結果は、図2に示すとおりであった。
縦方向((a))では、伸び率が120%を超えたあたりから引張応力が急激に上昇するが、横方向((b))では、伸び率と引張応力とがほぼ比例関係にあった。
これにより、横方向伸び率の大きさが何れの場合でも、引張応力に大きな変化がなく、一定に上昇するだけなので、例えばどんな大きさのパレットに対しても装着が容易であり、また、縦方向伸び率が120%以下の範囲で、カートンを容易に包み込むことができ、効果的に荷崩れを防止することができることがわかった。なお、伸び率120%というのは、想定されるカートンはその範囲の上限付近高さとなっている。
【0052】
(5)防透け性
試験方法:JISL1923 計器法
防透け指数を以下の式より算出して、防透け指数を防透け性として求めた。
防透け指数=(黒色バッキング使用時の明度/白色バッキング使用時の明度)×100
防透け性は以下のとおりであった。
実施例:87.1、2倍伸び時72.9
製品A:87.9
製品B:99.7
【0053】
(装着試験)
(1)パレット装着時
パレットやロールボックスパレットは約1100mm角のものが多く使われている。
実施例の荷崩れ防止カバーは、幅900mm(周方向1800mm)、長さ1500mmの円筒形状である。
一辺が1100mmの正方形状(周囲4400mm)のパレットに装着したところ、2.5倍に伸ばして容易に装着できた。
装着後は、90%回復し、全体にフィットしたカバーとなった。
【0054】
なお、装着時の応力は最大値では抵抗を感じるが、生地を2倍(伸び率100%)に伸ばした時でも引張応力は0.1MPa程度であり、また、その後も引張応力は微増状態であり、容易に装着できた。
【0055】
(2)荷物への装着時
多数の段ボールの荷物を多段に積載した荷物群に装着したところ、縦方向の特性110%にて包み込んで良く伸ばしながら被せた結果、スムーズに装着が可能であった。
なお、装着後は、回復率特性90%にて、元の製品長さに戻ろうとした。
この時の装着時の引張応力は、生地を1.8倍(伸び率80%)に伸ばした時でも0.1MPa程度であり、容易に装着できた。また、これ以上でも装着は可能であった。
高さ方向は元の長さが1500mmあり、伸び率120%にて、3300mmまでの高さまで対応できる。
【0056】
(3)荷物の確認
カバーが伸ばされた状態で梱包されているが、カバーの防透け性が73であり、目視にて内側の荷物の判断が可能であった。
【0057】
(4)荷物輸送時
(2)で装着した荷物群の輸送時には、荷物に対する荷重を横方向の伸び率220%にての伸びと、回復率90%にての縮みを繰り返し、荷重を分散することができ、荷崩れが有効に防止できた。
なお、この荷重分散は、縫製部分がなく生地全体で分散できているので、カバーへの不可も少なく荷重が集中する箇所の破れなどのリスクも少ない。
また、荷物への応力も、ほぼ0.1MPa以内でキープされるので、荷物自体への荷重はほぼないと推定される。
【0058】
(振動試験)
多段に段ボールを積載した荷物に荷崩れ防止カバーを装着試験の(4)と同様に装着し、JISZ0200に従い、振動試験を行った。
図3には、試験前の状態((a))と、試験後の状態((b))を示す。
この結果、跳ね上がり振動試験レベル3合格特性が確認できた。
跳ね上がり振動試験レベル3は、国内の輸送環境を再現しており、実際の現場でもこの特性であれば、荷崩れ防止に対応することができることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の荷崩れ防止カバーは、パレットやロールボックスパレット、台車に積載した荷物など、多彩な荷物に対応でき、荷崩れを有効に防止することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 カバー本体
11 開口
図1
図2
図3