(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】モジュール式分岐内部人工器官システム、デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20241106BHJP
A61F 2/95 20130101ALI20241106BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/95
(21)【出願番号】P 2021549816
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 US2020019916
(87)【国際公開番号】W WO2020176631
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-10-18
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】フレドリック エス.コート
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0071076(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0135806(US,A1)
【文献】特表2014-526929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0296324(US,A1)
【文献】特表2010-524629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0036110(US,A1)
【文献】国際公開第2017/203056(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0153677(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0103135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00;2/02-2/80;3/00-4/00
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流端から下流端に延在している主血管を修復するように構成された拡張可能デバイスであって、
血管内で展開されるように構成された第一の拡張可能構成要素、
前記第一の拡張可能構成要素とインターフェースするように構成され
および側壁に対して凹んでいる凹部分を含む前記側壁を含む第二の拡張可能構成要素であって、
前記凹部分は支持壁中に取り込まれた少なくとも1つのステントを有する少なくとも1つの支持壁によって強化されているアパチャを含むポータルを含む第二の拡張可能構成要素、及び、
前記ポータルを通って延在することによって分岐血管と前記第二の拡張可能構成要素との間に流体接続を形成するように構成された分岐血管拡張可能構成要素、
を含み、
前記分岐血管拡張可能構成要素は、前記分岐血管の下流にインプラントされている前記第二の拡張可能構成要素に連携して前記分岐血管拡張可能構成要素を通して前記分岐血管への逆行性灌流を可能にするのに十分な長さを有するように構成され
ている、拡張可能デバイス。
【請求項2】
前記分岐血管拡張可能構成要素は、前記第一の拡張可能構成要素と、前記主血管の壁との間の前記第一の拡張可能構成要素の外部で展開されたときに、それを通る有意な流れを維持するのに十分な半径方向拡張力を有するように構成されている、請求項1記載の拡張可能デバイス。
【請求項3】
前記分岐血管拡張可能構成要素は前記第二の拡張可能構成要素に直接結合されている、請求項1~2のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
【請求項4】
前記第二の拡張可能構成要素と前記分岐血管拡張可能構成要素との間に延在しているブリッジ拡張可能構成要素であって、前記分岐血管拡張可能構成要素及び前記ブリッジ拡張可能構成要素を通した前記分岐血管への逆行性灌流を可能にするように構成されたブリッジ拡張可能構成要素をさらに含む、請求項1~2のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
【請求項5】
前記第二の拡張可能構成要素から延在して、前記第二の拡張可能構成要素を前記第二の拡張可能構成要素の下流にある1つ以上の血管に流体結合させる下流拡張可能構成要素をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
【請求項6】
前記第一の拡張可能構成要素は、本体部分、前記本体部分から分岐する第一の脚及び第二の脚を含み、前記第二の拡張可能構成要素は、前記第一の拡張可能構成要素の前記第一の脚及び前記第二の脚のうちの1つとインターフェースするように構成されている、請求項1~3のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
【請求項7】
前記第一の脚及び前記第二の脚は、互いに離れる角度に構造的にバイアスされている、請求項
6記載の拡張可能デバイス。
【請求項8】
前記第二の拡張可能構成要素は、前記第一の拡張可能構成要素の第一の脚とインターフェースするように構成され、追加の第二の拡張可能構成要素をさらに含み、前記追加の第二の拡張可能構成要素は前記第一の拡張可能構成要素の第二の脚とインターフェースするように構成され、前記第二の拡張可能構成要素の側壁にポータルを含む、請求項
6~
7のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
【請求項9】
前記ポータルを通して延在することにより第二の分岐血管と前記追加の第二の拡張可能構成要素との間に流体接続を形成するように構成された追加の分岐血管拡張可能構成要素をさらに含む、請求項
8記載の拡張可能デバイス。
【請求項10】
前記第二の拡張可能構成要素は、近位端及び遠位端、ならびに、前記近位端が前記遠位端より小さい直径を有するテーパー型構成を含む、請求項1~
9のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
【請求項11】
構成された前記第二の拡張可能構成要素と前記分岐血管拡張可能構成要素との間に配置されるように構成されたブリッジ拡張可能構成要素をさらに含む、請求項1~
10のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
【請求項12】
前記ブリッジ拡張可能構成要素は、前記第二の拡張可能構成要素のポータルと結合された第一の端部と、前記分岐血管拡張可能構成要素と結合された第二の端部とで展開するように構成されている、請求項
11記載の拡張可能デバイス。
【請求項13】
前記分岐血管拡張可能構成要素は、組織と係合するための1つ以上の組織アンカーを含む、請求項
12記載の拡張可能デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年2月26日に出願された仮出願第62/810,736号の利益を主張し、あらゆる目的のためにその全体を参照により本明細書に取り込む。
【0002】
分野
本開示は、モジュール式分岐血管内部人工器官システムを血管治療部位に管腔内デリバリーするデリバリーシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
腹腔動脈、上腸間膜動脈及び2つの腎動脈に隣接する下行大動脈を含む大動脈に影響を与える疾患を含む、分岐血管及び主血管接合部の領域における血管疾患の管腔内治療に使用される高度なデバイス、ツール、システム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
要旨
1つの例(「例1」)によれば、方法は、主血管において展開されるように構成された第一の拡張可能デバイスを提供すること、前記第一の拡張可能デバイスとインターフェースするように構成された第二の拡張可能デバイスを提供すること、ここで、前記第二の拡張可能デバイスは、その中にポータルを含む、一度拡張されると、前記ポータルを介して分岐血管と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するように構成された分岐血管拡張可能デバイスを提供すること、分岐ガイドワイヤを前記分岐血管内に配置すること、完全に展開されていない状態に維持されている間に、前記分岐血管拡張可能デバイスを前記分岐ガイドワイヤ上で前記分岐血管内に配置すること、前記第一の拡張可能デバイスを前記主血管内に配置しそして展開すること、ここで、前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスの外部に配置される、前記第二の拡張可能デバイスを前記分岐血管の下流に配置しそして展開すること、ここで、前記分岐ガイドワイヤ及び前記分岐血管拡張可能デバイスはそれぞれ、前記第二の拡張可能デバイスのポータルを通って延在している、及び、前記分岐血管拡張可能デバイスが前記第二の拡張可能デバイスのポータルを介して前記第二の拡張可能デバイスと流体結合されるように前記分岐血管拡張可能デバイスを展開すること、ここで、血液は逆行流を通じて前記分岐血管中に灌流される、を含む。
【0005】
別の例(「例2」)によれば、例1に加えて、前記分岐ガイドワイヤは腎動脈内に配置され、前記分岐血管拡張可能デバイスは、完全に展開されていない状態に維持されている間に、前記分岐ガイドワイヤ上で腎動脈内に配置され、前記第一の拡張可能デバイスは患者の大動脈内に配置されそして展開され、前記分岐血管拡張可能デバイスは前記第一の拡張可能デバイスの外部に配置されており、前記第二の拡張可能デバイスは、腎動脈の少なくとも部分的に下流に配置されそして展開され、前記分岐ガイドワイヤ及び前記分岐拡張可能デバイスは、腎動脈への血液の逆行性灌流を提供するために前記腎動脈と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するためにポータルを通って延在している。
【0006】
別の例(「例3」)によれば、例1に加えて、前記主血管は総腸骨動脈であり、前記分岐血管は内腸骨動脈である。
【0007】
別の例(「例4」)によれば、例1に加えて、前記主血管は外腸骨動脈であり、前記分岐血管は大腿動脈である。
【0008】
別の例(「例5」)によれば、いずれかの例に加えて、前記分岐血管拡張可能デバイスを前記分岐ガイドワイヤ上で前記分岐血管内に配置することは、前記第二の拡張可能デバイスが展開された後に、前記分岐血管拡張可能デバイスを前記分岐ガイドワイヤ上で前進させることを含む。
【0009】
別の例(「例6」)によれば、例5に加えて、前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第二の拡張可能デバイスが展開された後に展開される。
【0010】
別の例(「例7」)によれば、いずれかの例に加えて、前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第二の拡張可能デバイスに直接結合されている。
【0011】
別の例(「例8」)によれば、方法は、血管内に展開されるように構成された第一の拡張可能デバイスを提供すること、前記第一の拡張可能デバイスとインターフェースするように構成された第二の拡張可能デバイスを提供すること、ここで、前記第二の拡張可能デバイスはその中にポータルを含む、前記ポータルを介して分岐血管と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するように構成された分岐拡張可能デバイスを提供すること、前記分岐血管内に分岐ガイドワイヤを配置すること、前記第一の拡張可能デバイスを前記主血管内に配置しそして展開すること、前記分岐血管の下流に前記第二の拡張可能デバイスを配置しそして展開すること、ここで、前記分岐ガイドワイヤは前記ポータルを通って延在している、前記分岐血管を、前記第一の拡張可能デバイスの外部にある前記第二の拡張可能デバイスと相互接続するために、前記分岐拡張可能デバイスを前記分岐ガイドワイヤ上に配置すること、及び、前記分岐拡張可能デバイスを展開して、前記分岐血管と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成すること、ここで、血液は、逆行流を通じて前記分岐血管内に灌流される。
【0012】
別の例(「例9」)によれば、例8に加えて、前記分岐ガイドワイヤは腎動脈内に配置され、前記第二の拡張可能デバイスは、腎動脈の少なくとも部分的に下流に配置されそして展開され、前記第二の拡張可能デバイスは前記腎動脈への血液の逆行性灌流を提供するために、前記分岐拡張可能デバイスを介して前記腎動脈と流体結合されている。
【0013】
別の例(「例10」)によれば、例8に加えて、前記主血管は総腸骨動脈であり、前記分岐血管は内腸骨動脈である。
【0014】
別の例(「例11」)によれば、例8に加えて、前記主血管は外腸骨動脈であり、前記分岐血管は大腿動脈である。
【0015】
別の例(「例12」)によれば、例8~11のいずれかに加えて、前記方法は、前記第二の拡張可能デバイスと前記分岐血管拡張可能デバイスとの間で第三の拡張可能デバイスを展開することをさらに含む。
【0016】
別の例(「例13」)によれば、例12に加えて、前記第三の拡張可能デバイスは、前記分岐ガイドワイヤ上の位置に前進される。
【0017】
別の例(「例14」)によれば、例12及び13のいずれかに加えて、前記第三の拡張可能デバイスは、前記分岐血管拡張可能デバイスが展開された後に、そして前記第二の拡張可能デバイスが展開された後に展開される。
【0018】
別の例(「例15」)によれば、上述の例のいずれかに加えて、前記第二の拡張可能デバイスは崩潰デリバリー構成で提供され、取り外し可能なガイドワイヤチューブは前記ポータルを通って延在しており、それを通る前記分岐ガイドワイヤの挿入を可能にする。
【0019】
別の例(「例16」)によれば、例15に加えて、前記方法は、前記取り外し可能なガイドワイヤチューブを通して前記第二のガイドワイヤを挿入した後に、前記取り外し可能なガイドワイヤチューブを除去することをさらに含む。
【0020】
別の例(「例17」)によれば、例16に加えて、前記方法は、前記第二の拡張可能デバイスを前記主血管内に挿入する前に、前記取り外し可能なガイドワイヤチューブを除去することをさらに含む。
【0021】
別の例(「例18」)によれば、上述の例のいずれかに加えて、前記第一の拡張可能デバイス及び前記第二の拡張可能デバイスは、前記分岐血管拡張可能デバイスを展開する前に展開される。
【0022】
別の例(「例19」)によれば、例8~17のいずれかに加えて、前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第二の拡張可能デバイスが展開される前に展開される。
【0023】
別の例(「例20」)によれば、例1~18のいずれかに加えて、前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第二の拡張可能デバイスが展開された後に展開される。
【0024】
別の例(「例21」)によれば、上述の例のいずれかに加えて、前記第二の拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスが展開された後に展開される。
【0025】
別の例(「例22」)によれば、上述の例のいずれかに加えて、前記第一の拡張可能デバイス、前記第二の拡張可能デバイス及び前記分岐拡張可能デバイスのそれぞれは、前記分岐血管の下流にある第一のアクセス部位から前進される。
【0026】
別の例(「例23」)によれば、上述の例のいずれかに加えて、前記分岐血管拡張可能デバイスは前記ポータルを介して前記第二の拡張可能デバイスに流体結合される。
【0027】
別の例(「例24」)によれば、上述の例のいずれかに加えて、前記第一の拡張可能デバイスは、前記分岐ガイドワイヤとは区別される別個の第一のガイドワイヤ上で前進される。
【0028】
別の例(「例25」)によれば、例24に加えて、前記第二の拡張可能デバイスは、前記第一のガイドワイヤ及び前記分岐ガイドワイヤのそれぞれの上で前進される。
【0029】
別の例(「例26」)によれば、上述の例のいずれかに加えて、前記ポータルは、前記第二の拡張可能デバイスの側壁に配置されている。
【0030】
別の例(「例27」)によれば、上流端から下流端に延在している主血管を修復するように構成された拡張可能デバイスは、血管内で展開されるように構成された第一の拡張可能デバイス、前記第一の拡張可能デバイスとインターフェースするように構成された第二の拡張可能デバイスであって、前記第二の拡張可能デバイスの側壁にポータルを含む第二の拡張可能デバイス、及び、前記ポータルを通って延在することによって分岐血管と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するように構成された分岐血管拡張可能デバイスを含み、ここで、前記分岐拡張可能デバイスは、前記分岐血管の下流にインプラントされている前記第二の拡張可能デバイスに連携して前記分岐血管拡張可能デバイスを通して前記分岐血管への逆行性灌流を可能にするのに十分な長さを有するように構成されている。
【0031】
別の例(「例28」)によれば、例27に加えて、前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスと、前記主血管の壁との間の前記第一の拡張可能デバイスの外部で展開されたときに、それを通る有意な流れを維持するのに十分な半径方向拡張力を有するように構成されている。
【0032】
別の例(「例29」)によれば、例27~28のいずれかに加えて、前記分岐血管拡張可能デバイスは前記第二の拡張可能デバイスに直接結合されている。
【0033】
別の例(「例30」)によれば、例27~28のいずれかに加えて、前記デバイスは、前記第二の拡張可能デバイスと前記分岐血管拡張可能デバイスとの間に延在している第三の拡張可能デバイスであって、前記分岐血管拡張可能デバイス及び前記第三の拡張可能デバイスを通した前記分岐血管への逆行性灌流を可能にするように構成された第三の拡張可能デバイスをさらに含む。
【0034】
別の例(「例31」)によれば、例27~30のいずれかに加えて、前記第二の拡張可能デバイスの側壁は、側壁に対して凹んでいる凹部分を含み、前記ポータルは、前記凹部分に位置する。
【0035】
別の例(「例32」)によれば、例27~30のいずれかに加えて、前記デバイスは、前記第二の拡張可能構成要素から延在して、前記第二の拡張可能構成要素を前記第二の拡張可能構成要素の下流にある1つ以上の血管に流体結合させる下流拡張可能デバイスをさらに含む。
【0036】
別の例(「例33」)によれば、例27~30のいずれかに加えて、前記第一の拡張可能デバイスは、本体部分、前記本体部分から分岐する第一の脚及び第二の脚を含み、前記第二の拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスの前記第一の脚及び前記第二の脚のうちの1つとインターフェースするように構成されている。
【0037】
別の例(「例34」)によれば、例33に加えて、前記第一の脚及び前記第二の脚は、互いに離れる角度に構造的にバイアスされている。
【0038】
別の例(「例35」)によれば、例33~34のいずれかに加えて、前記第二の拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスの第一の脚とインターフェースするように構成され、追加の第二の拡張可能デバイスをさらに含み、前記追加の第二の拡張可能デバイスは前記第一の拡張可能デバイスの第二の脚とインターフェースするように構成され、前記第二の拡張可能デバイスの側壁にポータルを含む。
【0039】
別の例(「例36」)によれば、例35に加えて、前記デバイスはまた、前記ポータルを通して延在することにより第二の分岐血管と前記追加の第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するように構成された追加の分岐血管拡張可能デバイスを含む。
【0040】
別の例(「例37」)によれば、例27~36のいずれかに加えて、前記第二の拡張可能構成要素は、近位端及び遠位端、ならびに、前記近位端が前記遠位端より小さい直径を有するテーパー型構成を含む。
【0041】
別の例(「例38」)によれば、例27~37のいずれかに加えて、前記第二の拡張可能デバイスのポータルは、前記第二の拡張可能デバイスの側壁におけるアパチャである。
【0042】
別の例(「例39」)によれば、例27~38のいずれかに加えて、前記デバイスはまた、構成された前記第二の拡張可能デバイスと前記分岐血管拡張可能デバイスとの間に配置されるように構成されたブリッジ拡張可能構成要素を含む。
【0043】
別の例(「例40」)によれば、例39に加えて、前記ブリッジ拡張可能構成要素は、前記第二の拡張可能構成要素のポータルと結合された第一の端部と、前記分岐血管拡張可能構成要素と結合された第二の端部とで展開するように構成されている。
【0044】
別の例(「例41」)によれば、例40のいずれかに加えて、前記分岐血管拡張可能構成要素は、組織と係合するための1つ以上の組織アンカーを含む。
【0045】
複数の実施形態が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示し、記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものと考えられるべきであり、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図面の簡単な説明
本開示の特徴及び利点は、図面と併せて解釈されるときに、以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0047】
【
図1】
図1は、2つの腎動脈及び2つの腸骨動脈を含む大動脈を示す人体解剖学的構造の断面図である。
【0048】
【
図2】
図2は、幾つかの実施形態による、
図1の人体解剖学的構造であって、その中にインプラントされたモジュール式内部人工器官システムを示す断面図である。
【0049】
【
図3】
図3は、幾つかの実施形態による、分岐した拡張可能な内部人工器官の形態の主血管拡張可能構成要素を示す。
【0050】
【
図4】
図4は、幾つかの実施形態による、分岐血管拡張可能構成要素を示す。
【0051】
【
図5A】
図5Aは、幾つかの実施形態による、ポータル拡張可能構成要素を示す。
【0052】
【
図5B】
図5Bは、幾つかの実施形態による、
図5Aのポータル拡張可能構成要素であって、それと結合された分岐血管拡張可能構成要素を備えているものを示す。
【0053】
【
図6】
図6は、幾つかの実施形態による、ポータル拡張可能構成要素であって、それを通って延在している取り外し可能なガイドワイヤチューブを有するものを示す。
【0054】
【
図7】
図7は、幾つかの実施形態による、拘束されて崩潰されたデリバリー構成における、
図6のポータル拡張可能構成要素を示す。
【0055】
【
図8】
図8は、幾つかの実施形態による、モジュール式内部人工器官システムをデリバリーする方法を示す。
【0056】
【
図9A】
図9Aは、下部アクセス部位を通って延在し、主血管を横断し、分岐血管内に延在しているガイドワイヤを備えた人体解剖学的構造の断面図である。
【0057】
【
図9B】
図9Bは、幾つかの実施形態による、
図9Aの人体解剖学的構造の断面図の詳細図であり、分岐血管内に配置された、拘束されて崩潰されたデリバリー構成における分岐血管拡張可能デバイスを示す。
【0058】
【
図9C】
図9Cは、幾つかの実施形態による、
図9Bの人体解剖学的構造の断面図の詳細図であり、分岐血管拡張可能デバイスの領域内で人体解剖学的構造内に配置された第二のガイドワイヤを備えている。
【0059】
【
図9D】
図9Dは、幾つかの実施形態による、
図9Aの人体解剖学的構造の断面図であり、主血管内で完全に展開された主血管拡張可能デバイスを備えている。
【0060】
【
図9E】
図9Eは、幾つかの実施形態による、
図9Dの人体解剖学的構造の断面図であり、解剖学的構造内で展開された追加の拡張可能構成要素を備えている。
【0061】
【
図10】
図10は、幾つかの実施形態による、
図8のモジュール式内部人工器官システムをデリバリーする方法に対応する工程のサブセットを示す。
【0062】
【
図11】
図11は、幾つかの実施形態による、主血管拡張可能デバイス及びポータル拡張可能デバイスが主血管内で展開されており、そして分岐血管拡張可能デバイスが分岐血管内で展開されている、人体解剖学的構造の断面図である。
【0063】
【
図12】
図12は、幾つかの実施形態による、
図11の人体解剖学的構造の断面図であり、ポータル拡張可能構成要素及び分岐血管拡張可能構成要素を通って延在しているガイドワイヤを示す。
【0064】
【
図13】
図13は、幾つかの実施形態による、
図12の人体解剖学的構造の断面図であり、ブリッジ拡張可能構成要素が展開され、ポータル拡張可能構成要素と分岐血管拡張可能構成要素との間に延在している。
【0065】
【
図14】
図14は、幾つかの実施形態による、モジュール式内部人工器官システムをデリバリーする方法を示す。
【0066】
【
図15】
図15は、幾つかの実施形態による、人体解剖学的構造の断面図であり、複数のガイドワイヤが下部アクセス部位を通って延在し、解剖学的構造内に延在している。
【0067】
【
図16】
図16は、幾つかの実施形態による、
図15の人体解剖学的構造の断面図であり、主血管内で展開された主血管拡張可能デバイスを示す。
【0068】
【
図17】
図17は、幾つかの実施形態による、
図16の人体解剖学的構造の断面図であり、拘束され崩潰されたデリバリー構成のポータル拡張可能構成要素が、ガイドワイヤに沿って人体解剖学的構造内の所望の位置に向かって進められている。
【0069】
【
図18】
図18は、幾つかの実施形態による、
図17の人体解剖学的構造の断面図であり、ポータル拡張可能構成要素が展開されている。
【0070】
【
図19】
図19は、幾つかの実施形態による、
図18の人体解剖学構造の断面図であり、分岐血管拡張可能構成要素が拘束され崩潰されたデリバリー構成で進められている。
【0071】
【
図20】
図20は、幾つかの実施形態による、
図19の人体解剖学的構造の断面図であり、主血管拡張可能構成要素、ポータル拡張可能構成要素及び分岐血管拡張可能構成要素が完全に拡張されている。
【発明を実施するための形態】
【0072】
詳細な説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された様々な方法及び装置を介して実現されうることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、すべて縮尺通りに描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定と解釈されるべきでないことにも留意されたい。最後に、本開示は様々な原理及び信念に関連して記載されうるが、本開示は理論に拘束されるべきではない。
【0073】
本明細書全体及び特許請求の範囲において、「遠位」という用語は、インプラントされたときに血流に関してさらに下流にある場所、又は管腔内デバイス(例えば、ステントグラフト)の別の部分より下流にあるデバイスの部分を指す。同様に、「遠位に」という用語は、血流の方向、又は血流の方向のさらに下流を指す。
【0074】
「近位」という用語は、インプラントされたときに、血流に関してさらに上流にある場所、又は管腔内デバイスの別の部分よりも上流にあるデバイスの部分を指す。同様に、「近位に」という用語は、血流の方向と反対の方向、又は血流の方向から上流を指す。
【0075】
近位及び遠位という用語に関してさらに、そして本開示は末梢及び/又は中央アプローチに限定されないので、この開示はこれらの用語に関して狭義に解釈されるべきではない。むしろ、本明細書に記載のデバイス及び方法は、患者の解剖学的構造に関連して変更及び/又は調整することができる。
【0076】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載のデバイス及びシステムは、逆行的に使用されるように、すなわち血流の方向と反対の方向にある標的部位にデリバリーされるように、又は、順行的に使用されるように、すなわちデバイスが血流の方向にある標的部位にデリバリーされるように構成されうる。
【0077】
様々な実施形態によるモジュール式内部人工器官システムを管腔内にデリバリーするデバイス、システム及び方法は、ヒト血管系の疾患を治療するために本明細書に開示される。様々な実施形態において、モジュール式内部人工器官システムは、以下でさらに記載されるように、一緒に結合されてモジュール式内部人工器官システムを画定する複数の拡張可能内部人工器官構成要素を含む。
図1は、下行大動脈102、腎動脈104及び106、ならびに腸骨動脈108及び110を有する大動脈100を含む血管系を示す。大動脈100は、腎動脈104及び106の下流に腹部大動脈動脈瘤112を含む。腹部大動脈動脈瘤112の位置及び構成は、本明細書に記載のモジュール式内部人工器官システムの開示の範囲又は適用可能性を制限することを意図するものではないことが理解されるであろう。本明細書に記載のモジュール式内部人工器官システムは、主血管及び分岐血管の治療が関与する血管疾患に広く適用可能である。
【0078】
したがって、本出願の記載及び図は、
図1に示される下行大動脈102を含む大動脈100の治療の関係で示されているが、本開示のデバイス、システム及び方法は、例えば、より大きな血管及び1つ以上の分岐血管が治療されるべきである任意の疾患を含む、血管系の他の部分を治療するために適用されうることが理解されるべきである。そのような治療としては、1つ以上の分岐血管を含む血管系内の領域が関与し、したがって、分岐又は非分岐構成を含む主血管内部人工器官構成要素を必要としうる治療を挙げることができる。
【0079】
様々な実施形態において、本開示のモジュール式内部人工器官システムは、モジュール式内部人工器官を集合的に形成するか、さもなければ画定するために一緒に組み立てられる、ステント及びステントグラフトなどの複数の拡張可能な内部人工器官構成要素を含む。すなわち、様々な例において、モジュール式内部人工器官は、他の区別される独立した拡張可能な内部人工器官構成要素とインターフェースするように構成された複数の区別される独立した拡張可能な内部人工器官構成要素を含む。モジュール構成は、モジュール式内部人工器官をどこでどのように使用できるか、及び、どの構成で使用されるかについての多様性を提供する。
【0080】
図2を参照すると、例えば、モジュール式内部人工器官システム200は、血管系内にインプラントされていることが示されている。示されるように、モジュール式内部人工器官システム200は、第一の又は主血管拡張可能構成要素300、分岐血管拡張可能構成要素400及び第二の又はポータル拡張可能構成要素500を含む。完全に組み立てられそして展開されるときに、主血管拡張可能構成要素300、分岐血管拡張可能構成要素400及びポータル拡張可能構成要素500の各々は、流体的に一緒に結合されている。したがって、主血管拡張可能構成要素300に入る血液は、ポータル拡張可能構成要素500を通して分岐血管構成要素400に灌流することができる。示されるように、主血管拡張可能構成要素300に入る血液は、順行流を介して主血管拡張可能構成要素300及びポータル拡張可能要素500を通って伝播し、分岐血管構成要素400を通る逆行流を介して分岐血管104及び106に伝播する。これは、ポータル拡張可能構成要素500を出て、分岐血管104及び106に向かって流れる血流が分岐血管104及び106の下流にあるポータル拡張可能構成要素500を出るためである。様々な例において、以下でさらに議論されるように、モジュール式内部人工器官システム200を集合的に画定する様々な拡張可能構成要素のそれぞれ及びすべてが、同じアクセス部位から血管系内の治療部位にデリバリーされうる。このアクセス部位は、治療領域に対して上部又は下部のアクセス部位であることができる。したがって、モジュール式内部人工器官システム200を集合的に画定する様々な拡張可能な構成要素のそれぞれ及びすべてが、逆行性デリバリーを介して(例えば、大腿アクセスを通して)治療部位にデリバリー及び展開されうることが理解されるべきである。
【0081】
任意選択的要素であるブリッジ拡張可能構成要素600も
図2に示されており、これらは、以下でさらに説明するように必須ではなく、1つ以上の下流拡張可能構成要素700も同様である。
【0082】
様々な例において、モジュール式内部人工器官システム200は、様々な構成要素の組み立て及び/又は展開が現場で起こりうるように構成されている。したがって、モジュール式内部人工器官システム200の様々な構成要素の組み立て及び/又は展開は、単一の非モジュール式展開シーケンスの代わりに、様々な構成要素のシーケンス式のデリバリー及び展開を含むことができる。したがって、モジュール式内部人工器官システム200の1つ以上の拡張可能構成要素は、拡張可能構成要素の別の1つが血管系に挿入されるか又は治療部位にデリバリーされる前に、血管系内にデリバリーされそして完全に展開されうる。
【0083】
本開示のモジュール式拡張可能構成要素は、1つ以上のモジュール式ステント又はステントグラフト構成要素を含むことができ、したがって、以下でさらに論じられるように、一般に、支持構成要素又は要素及びグラフト構成要素又は要素のうちの1つ以上を含むことができる。これらの拡張可能構成要素(モジュール式ステント及び/又はステントグラフト構成要素とも呼ばれる)は、デリバリー構成から、一連のより大きな中間構成を通って、展開構成に向かって拡張するように構成されうる。拡張可能構成要素は、互いに、及び/又は、治療部位の血管壁などの血管系の1つ以上の部分と係合するように構成されうる。拡張可能構成要素は、例えば、リング、カットチューブ、巻回ワイヤ(又はリボン)、又はチューブ状の形態に巻かれた平らなパターン化シートなどの様々な構成を有することができる。幾つかの例において、ステント及び/又はステントグラフト構成要素は、金属、ポリマー又は天然材料を含むことができ、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマーオルガノシリコンポリマー、ステンレス鋼、コバルトクロム合金及びニチノールなどの金属、及び、ウシの動脈/静脈、心膜、コラーゲンなどの生物学的に由来された材料などの従来の医療グレードの材料を含むことができる。幾つかの例において、ステント及び/又はステントグラフト構成要素は、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸/グリコール酸)ポリマー、ポリ(ヒドロキシブチレート)及びポリ(オルトエステル)などの生体吸収性材料を含むことができる。
【0084】
様々な実施形態において、グラフト要素の潜在的な非限定的材料としては、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエステル、ポリウレタン、ペルフルオロエラストマー、ポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマー、シリコーン、ウレタン、超高分子量ポリエチレン、アラミド繊維及びそれらの組み合わせが挙げられる。グラフト要素材料は、追加的又は代替的に、超高分子量ポリエチレン繊維(例えば、Spectra(登録商標)、Dyneema Purity(登録商標)など)又はアラミド繊維(例えば、Technora(登録商標)など)などの高強度ポリマー繊維を含むことができる。カテーテルを介してデリバリーされうる任意のグラフト要素は本開示に係るものである。幾つかの例において、グラフト要素は生物活性剤を含むことができる。幾つかの例において、ePTFEグラフトは、その血液接触面に沿って炭素成分を含む。ステント、グラフト要素及びステントグラフトの材料及び一般構造のさらなる詳細は、一般に、米国特許第6,042,605号明細書、同第6,361,637号明細書及び同第6,520,986号明細書(すべてMartinら)に開示されている。
【0085】
様々な実施形態において、支持構成要素及び/又はグラフト要素は治療用コーティングを含むことができる。これらの実施形態において、支持構成要素及び/又はグラフト要素の内部及び/又は外部は、例えば、CD34抗原でコーティングされることができる。さらに、とりわけ、例えばヘパリン、シロリムス、パクリタキセル、エベロリムス、ABT-578、ミコフェノール酸、タクロリムス、エストラジオール、酸素フリーラジカルスカベンジャー、ビオリムスA9、抗-CD34抗体、PDGF受容体遮断薬、MMP-1受容体遮断薬、VEGF、G-CSF、HMG-CoAレダクターゼ阻害薬、iNOS及びeNOSの刺激薬、ACE阻害薬、ARB、ドキシサイクリン、サリドマイドなどを含む任意の数の薬物又は治療剤を使用してグラフト要素をコーティングすることができる。
【0086】
本明細書に記載のデバイス、システム及び方法の多様性に関する上記の記載と一貫し、一方、
図2に示されるモジュール式内部人工器官システム200が分岐主血管拡張可能構成要素300を含んでいるが、非分岐拡張可能構成要素は、分岐構成要素が必要でない用途で使用することができる。例えば、非分岐主血管拡張可能構成要素は、主血管構成要素から複数の分岐血管への専用の灌流が必要とされない用途で使用されうる。「AUI」(Aorto-uni-iliac)治療は、一般に、腹部大動脈から直接1つの腸骨動脈にのみに血液を供給することを含む。というのは、第二の腸骨動脈はすでに閉塞しているか、又は、医師により救済不能と宣言されている可能性があるからである。幾つかの例において、医師は、例えば、主血管拡張可能構成要素300及び分岐血管拡張可能構成要素400と組み合わせてポータル拡張可能構成要素500を使用することができ、一方、腹部大動脈から直接他の腸骨動脈を有効に灌流しない。代わりに、第二の腸骨動脈の灌流は、患者の外腸骨動脈又は大腿動脈の間に直接延びる外科的バイパスグラフトによって達成される。
【0087】
図2に示されるように、様々な実施形態において、モジュール式内部人工器官システム200は、解剖学的構造及び実施される特定の血管治療の必要性に基づいて、追加の拡張可能構成要素を含むことができる。モジュール式内部人工器官システム200は、例えば、ポータル拡張可能構成要素500と分岐血管拡張可能構成要素400との間で延在し、それらを流体結合するように構成された任意選択的要素であるブリッジ拡張可能内部人工器官208を含む。幾つかの例において、ブリッジ拡張可能内部人工器官600は、ポータル拡張可能構成要素500と分岐血管拡張可能構成要素400との間の距離を増加させるために利用され、これは、患者の解剖学的構造の特定の構成に基づいて必要とされることがあり、及び/又は、使用される特定のデリバリーシーケンスの結果として必要とされることがある。
図2に示されるモジュール式内部人工器官システム200はまた、下流拡張可能構成要素700を含み、そのうちの1つ以上は、場合により、ポータル拡張可能構成要素500をポータル拡張可能構成要素500の下流の1つ以上の血管に流体結合するために使用されうる。
【0088】
図3~
図5は、モジュール式内部人工器官システム200の様々な拡張可能構成要素の幾つかを示している。例えば、
図3は、支持構成要素302及びグラフト構成要素304を含む主血管拡張可能構成要素300を示している。主血管拡張可能構成要素300は、
図2及び
図3に分岐内部人工器官として示されているが、上記のように、非分岐内部人工器官構成も考えられる。主血管拡張可能構成要素300は、本体部分306(幹部分とも呼ばれる)、対側脚308(本明細書では第一の脚又は第二の脚とも呼ばれる)及び同側脚310(本明細書で、対側脚308の呼称に応じて、第二の脚又は第一の脚と呼ばれる)を含む。様々な例において、主血管拡張可能構成要素300は、管腔内デリバリーのための崩潰デリバリー構成、及び、前記崩潰デリバリー構成よりも大きい拡張構成を提供する。
【0089】
様々な例において、グラフト構成要素304は、一般に、1つ以上の支持構成要素を部分的又は実質的に覆うように構成された任意の管腔外(すなわち、外側の血管表面)又は管腔(すなわち、内側の血流表面)カバリングである。様々な実施形態において、グラフト構成要素304などのグラフト構成要素はePTFEを含む。しかしながら、グラフト構成要素のための他の有用な材料は、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリシロキサン及び他の生体適合性材料のうちの1つ以上、又は、上記の他のグラフト要素材料のいずれかを含むことができる。
【0090】
様々な例において、グラフト構成要素304は、例えば、テーピング、熱収縮、接着及び当該技術分野で知られている他の方法のうちの1つ以上を使用して、単一又は複数の場所で支持構成要素の管腔外又は管腔表面にしっかりと固着されるか、又は他の方法で結合される。幾つかの実施形態において、複数のグラフト構成要素を使用し、支持構成要素の管腔外表面及び管腔表面の両方に結合することができる。他の実施形態において、複数のグラフト構成要素は支持構成要素を「サンドイッチ」し、グラフト構成要素は、支持構成要素の空隙内で互いに取り付けられている。
【0091】
様々な実施形態において、支持構成要素302(ステント構成要素とも呼ばれる)は、主血管拡張可能構成要素のグラフト構成要素304及び/又は治療される血管系のための構造的支持を提供する。支持構成要素302は、らせん構成を含むワイヤを含むステントであることができ、又は1つ以上のリングを含むことができる。他の構成の中で、ワイヤ又はリング自体は、線形であるか、正弦波又はジグザグパターンを有することができる。幾つかの例において、支持構成要素302は、チューブから切り取られ、治療に適した任意のパターンを有することができる。
【0092】
支持構成要素302は、ニチノールなどの形状記憶材料を含むことができる。しかしながら、他の実施形態において、支持構成要素302は、様々な金属(例えば、ステンレス鋼)、合金及びポリマーなどの、自己拡張可能又は他の方法で拡張可能な(例えば、従来のバルーンカテーテル又はばね機構を備えた)他の材料を含むことができる。
【0093】
様々な例において、1つ以上の本体部分306、ならびに第一の脚及び第二の脚308及び310の断面は、円形、卵形、又は、湾曲した特徴を伴う又は伴わない多角形の特徴であることができる。これらの断面形状はまた、それぞれの軸方向の長さに沿って実質的に一定又は可変のいずれかであることができる。例えば、分岐内部人工器官の実施形態において、本体部分306の断面は、その遠位端で実質的に円形であることができるが、第一の脚及び第二の脚308及び310に隣接するその分岐領域においてより小さな断面積を有する卵形の矩形の断面を有するように先細になることができる。
【0094】
第一の脚及び第二の脚308及び310は、一般に、本体部分306から分岐し、本体部分306と管腔内連通しているものとして示されている。示されるように、第一の脚及び第二の脚のそれぞれは、本体部分306の端部に接続され又はさもなければそれと一体になっている第一の端部、及び、本体部分306及び第一の端部から離れて延在している第二の端部を含む。第一の端部及び第二の端部308及び310はまた、治療されるそれぞれの血管に面するか又は向けるように、Y構成のように、互いに離れる角度に構造的にバイアスされうる。構造的バイアスは、グラフト構成要素304及び支持構成要素302のいずれか又は両方から生じうる。さらに、示されるように、第一の脚及び第二の脚308及び310の軸方向長さは同じであっても又は異なっていてもよい。様々な例において、第一の脚及び第二の脚308及び310が結合される本体部分306の端部の反対側の本体部分306の端部は、主血管拡張可能構成要素300の近位端312を画定し、一方、本体部分306に結合された第一の脚及び第二の脚308及び310の端部の反対側の第一の脚及び第二の脚308及び310の端部の1つ以上は、主血管拡張可能構成要素300の遠位端314を画定する。幾つかの例において、主血管拡張可能構成要素300の近位端312は、血管壁などの血管系に対して又は血管系に固定するように構成され、一方、遠位端314は、以下でさらに論じるように、1つ以上の他の拡張可能構成要素とインターフェースするように構成されている。幾つかの例において、近位端312は、1つ以上の他の拡張可能な構成要素とインターフェースするように構成されうる。分岐血管拡張可能構成要素を含む主血管拡張可能構成要素の適切な例は、米国特許第7,682,380号明細書、同第8,474,120号明細書、同第8,945,200号明細書、同第8,267,988号明細書及び同第9,827,118号明細書に見出すことができる。
【0095】
図4に示されるように、分岐血管拡張可能構成要素400は、一般に、支持構成要素402及びグラフト構成要素404を含む。分岐血管拡張可能構成要素400は、近位端406及び遠位端408を含み、テーパー化又は非テーパー化構成を有することができる。近位端及び遠位端406及び408は、モジュール式内部人工器官システム200の1つ以上の他の拡張可能構成要素とインターフェースするように構成されうる。幾つかの例において、モジュール式内部人工器官システム200の1つ以上の他の拡張可能構成要素は、近位端及び/又は遠位端406及び408で分岐血管拡張可能構成要素400の管腔内で展開されうる。したがって、幾つかの例において、分岐血管拡張可能構成要素400は、近位端及び/又は遠位端406及び408で分岐血管拡張可能構成要素の管腔内での別の拡張可能構成要素の展開に対応するように構成されうる。追加的又は代替的に、分岐血管拡張可能構成要素400は、その近位端及び遠位端406及び408のうちの1つ以上がモジュール式内部人工器官システム200の別の拡張可能構成要素の管腔内で展開されうるように構成されうる。
【0096】
支持構成要素402及びグラフト構成要素404は、上記の支持構成要素及びグラフト構成要素302及び304と同様の構造であることができ、また、上記の方法を含む、当該技術分野で知られている任意の適切な方法で互いに結合されうる。様々な例において、分岐血管拡張可能構成要素400は、管腔内デリバリーのための崩潰デリバリー構成、及び、崩潰デリバリー構成よりも大きい(例えば、直径及び/又は長さが大きい)拡張された展開構成を提供する。分岐血管拡張可能構成要素の適切な例は、2015年11月24日に出願された「BALLOON EXPANDABLE ENDOPROSTHESIS」という発明の名称のBohnらの米国公開番号第2016/0143759号明細書に見出すことができる。
【0097】
図5Aに示されるように、ポータル拡張可能構成要素500は、主管腔504を有する本体502を含む。ポータル拡張可能構成要素500の本体502は、対向する第一の端部及び第二の端部506及び508と、前記第一の端部及び第二の端部506及び508の間に概して長手方向に延在している壁510を有する。ポータル拡張可能構成要素は、テーパー化されていても又はテーパー化されていなくてもよい。壁510は、主管腔504を画定する内面512を有する。壁510はまた、内面512の反対側の外面514を有する。主血管拡張可能構成要素300及び分岐血管拡張可能構成要素400に関する上記の議論に一貫して、ポータル拡張可能構成要素500は、支持構成要素及びグラフト構成要素を含むことができる(明確化の目的で示されていない、例えば、
図6を参照されたい)。幾つかの例において、壁510は、ポータル拡張可能構成要素500の1つ以上の支持構成要素及びグラフト構成要素によって画定される。したがって、ポータル拡張可能構成要素500の支持構成要素及びグラフト構成要素は、上記の主血管拡張可能構成要素300及び分岐血管拡張可能構成要素400の支持構成要素及びグラフト構成要素と同様の構造であることができ、また、上記のものを含む任意の適切な方法で互いに結合されうる。様々な例において、ポータル拡張可能構成要素500は、管腔内デリバリーのための崩潰されたデリバリー構成、及び、崩潰されたデリバリー構成よりも大きい拡張構成を提供する。さらに、分岐血管拡張可能構成要素400と同様に、ポータル拡張可能構成要素500は、その第一の端部及び第二の端部506及び508で1つ以上の他の拡張可能構成要素とインターフェースするように構成されうる。
【0098】
様々な例において、ポータル拡張可能構成要素500は、ポータル拡張可能構成要素500の第一の端部及び第二の端部506及び508の間の壁510に沿って配置された少なくとも1つのポータル516を含む。様々な例において、ポータル516は、管腔504に暴露される壁510における開口部518として画定される。したがって、ポータル516は、モジュール式内部人工器官システム200の1つ以上の補助拡張可能構成要素をポータル拡張可能構成要素500の管腔504と流体結合しうるように、ポータル拡張可能構成要素500の管腔504へのアクセスを提供する。例えば、
図2に示されるように、分岐血管拡張可能構成要素300は、ポータル516を介してポータル拡張可能構成要素500と結合される。ポータル516は、ポータル拡張可能構成要素500の壁510にアパチャを含むことができるが、他の幾つかの例において、ポータル516は代替構成を含むことができる。
【0099】
例えば、幾つかの例において、壁510は、壁510の外面514に対して凹んでおり、本体502の第一の端部及び第二の端部506及び508の間に配置されている凹部分520を含む。幾つかのそのような例において、ポータル516は、
図5Aに示されるように、凹部分520内の開口部518として形成される。
【0100】
幾つかの例において、ポータル516は、強化された構成を含むことができる。例えば、幾つかの例において、ポータル516は、支持壁522などの1つ以上の支持壁を含むことができる。支持壁は、任意の好ましい長さ、直径、壁厚、又は、楕円形、多角形又は「D字型」などの二次管腔形状を有することができる。幾つかの例において、支持壁は、示されるように、ステントなどの支持部材を取り込むことができる。追加的又は代替的に、支持壁は、フックアンカー、フレアステント頂点又は当該技術分野で一般に知られている他の固定手段などの分岐部材取り付け特徴部に支持壁を取り込むことができる。
図5Aに示されるように、支持壁522は、各開口部518から本体502の第一の端部及び第二の端部506及び508の1つに向かって延在している。したがって、支持壁522は、分岐血管拡張可能構成要素300などの、モジュール式内部人工器官システム200の1つ以上の補助拡張可能構成要素を受け入れるように構成されている二次管腔524を形成する。
【0101】
図5Aに示されるポータル拡張可能構成要素500は、単一のポータル516を含むが、ポータル拡張可能構成要素500は、例えば、複数の支持壁522及び二次管腔524を含む複数のポータル516を含むことができ、ここで、複数の支持壁は、ほぼ同じ方向に配向されることができ、又は、ポータル拡張可能構成要素500の長手方向軸に対してほぼ相反する(非平行)方向に配向されることができる。例えば、幾つかの例において、第一のポータルの第一の支持壁は、ポータル拡張可能構成要素500の第一の端部506に向かって延在していることができ、一方、第二のポータルの第二の支持壁は、ポータル拡張可能構成要素500の第二の端部508に向かって延在している。そのような1つの例において、第一の配向を有する第一の支持壁及び二次管腔は、したがって、第一の血流方向を画定する。
【0102】
「血流方向」は、支持壁によって画定される二次管腔に入るときの血流によって規定される方向と定義される。したがって、逆に、第二の異なる配向を有する第二の支持壁及び二次管腔は、第一の血流方向とは異なる第二の血流方向を規定する。所望ならば、第一の血流方向及び第二の血流方向は、必要に応じて、互いに0°~180°の間に配向されることができる。拡張可能内部人工器官の本体における開口部又はポータルを通って延在している分岐部材を支持するための内部支持壁及びポータル構成に関するさらなる詳細は、米国特許第6,645,242号明細書及び同第9,314,328号明細書に開示されている。
【0103】
図5Bは、
図5Aのポータル拡張可能構成要素を示しており、分岐血管拡張可能構成要素400がポータル516を介してそれに結合されている(
図20に示される構成と一貫する)。示されるように、ポータル516を介してポータル拡張可能構成要素500と結合された分岐血管拡張可能構成要素400では、分岐血管拡張可能構成要素400及びポータル拡張可能構成要素500の管腔は流体的に一緒に結合される。
【0104】
上記のように、幾つかの例において、ポータル拡張可能構成要素は、ポータル拡張可能構成要素の管腔から分岐血管に血流の一部を向けるために、それを通してそれぞれの分岐血管構成要素を受け入れるための複数のポータルを含むことができる。そのような分岐ポータルは、同じ方向又は反対方向(例えば、近位方向、遠位方向、半径方向外向き、管腔軸に対する任意の角度、又はそれらの任意の組み合わせなど)に対で向くように配置されうる。
【0105】
本明細書に開示される様々な実施形態によるデリバリーシステム及び方法は、取り外し可能なガイドワイヤチューブを利用して、治療部位への管腔内デリバリーのためのデリバリー構成に向けて拡張可能なインプラントをコンパクト化した後に、ガイドワイヤカニューレ挿入を容易にするのを助けることができる。そのような取り外し可能なガイドワイヤチューブは、拡張可能構成要素の主管腔、拡張可能構成要素の分岐管腔及び/又は拡張可能構成要素のポータルを通って延在することができる。
図6に示されるように、例えば、第一の取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100は、ポータル拡張可能構成要素500のポータル516を通して挿入されうる。取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100の両端1102及び1104は、ポータル拡張可能構成要素500の第一の端部及び第二の端部506及び508を超えて軸方向に延在することができる。取り外し可能なガイドワイヤチューブは、カテーテル材料について本明細書に記載されているのと同じ材料を含むことができる。取り外し可能なガイドワイヤチューブの材料及び一般的な構造のさらなる詳細は、Hamerらの米国特許第8,273,115号明細書に記載されている。
【0106】
図7は、拘束シース1200を備えたコンパクト化デリバリー構成におけるポータル拡張可能構成要素500を示している。示されているように、ポータル拡張可能構成要素500は、デリバリーカテーテル1300に結合され、その上で支持されている。拘束シース1200は、ポータル拡張可能構成要素500の上に延在し、コンパクト化デリバリー構成に向けて解放可能に拘束する。拘束シース1200は、既知の方法に従って、ポータル拡張可能構成要素から取り外すことができる。拘束スリーブの材料及び一般構造の詳細は、Leopoldらの米国特許第6,352,561号明細書に見出すことができる。
【0107】
図7に示されるように、コンパクト化デリバリー構成において、取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100の両端1102及び1104は、拘束シース1200のそれぞれの両端1202及び1204を超えて延在し、ポータル拡張可能構成要素500が拘束シース1200によってデリバリー構成にある間に半径方向内向きに圧縮されるか、又はさもなければ覆われている場合でも、ガイドワイヤを、取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100を介してポータル拡張可能構成要素500のポータル516を通って配線することができる。様々な実施形態において、モジュール式内部人工器官を管腔内デリバリーする方法は、第一のガイドワイヤをアクセス部位を通って血管系内に、そして治療される血管系内に挿入することを含むことができる。
【0108】
図8は、本開示によるモジュール式内部人工器官を管腔内デリバリーするための方法を示す流れ図である。
図8に示されるように、工程8002で、第一のガイドワイヤは主血管を通って分岐血管に進められる。
図9Aは、アクセス部位114を通して大腿動脈内に挿入され、腸骨動脈108の1つを通って下行大動脈内に、そして第一の分岐血管104内に配線された第一のガイドワイヤ1000を示す。
図9Aに示されるように、第一のガイドワイヤ1000の第一の端部1002は、第一の分岐血管104内に配置され、一方、第一のガイドワイヤ1000の第二の端部1004は、患者の外部の位置まで延在している。したがって、第二の端部1004は、患者の体の外部からアクセス可能であり、以下でさらに記載されるように、モジュール式内部人工器官システム200の後続の構成要素をデリバリーするために使用されうる。第一の分岐血管104内の第一のガイドワイヤの第一の端部1002の配置は、例示のみを目的とすることが意図されており、限定として解釈されるべきではない。したがって、第一のガイドワイヤ1000の第一の端部1002は、患者の解剖学的構造内の主血管から任意の分岐血管内に配置されることができ、大動脈の分岐血管に限定されないことが理解されるべきである。また、既知の方法に従って、第一のガイドワイヤ1000を解剖学的構造に導入し、分岐血管に進めることができることも理解される。第一のガイドワイヤ1000は、逆行方向(すなわち、血流に逆らって、「上流」に進んでいるとも呼ばれる)に進められるものと
図9に示されている。
【0109】
図8に戻って参照すると、工程8004において、分岐血管拡張可能構成要素は、それが分岐血管内に適切に配置されるまで、第一のガイドワイヤに沿って前進される。分岐血管拡張可能構成要素は、一般に、上記のように、半径方向に拘束された、又はコンパクト化されたデリバリー構成で、第一のガイドワイヤに沿って前進することによってデリバリーされる。
図9Bに示されるように、(例えば、拘束シース1210により)半径方向に拘束されたコンパクト化デリバリー構成の分岐血管拡張可能構成要素を備えた患者の解剖学的構造の断面の詳細図であり、ここで、分岐血管拡張可能構成要素400は、デリバリー部材1220(例えば、カテーテル)の周りに配置される。様々な例において、分岐血管拡張可能構成要素400の適切な位置決めは、分岐血管拡張可能構成要素400の少なくとも一部が分岐血管104内に配置され、その結果、分岐血管拡張可能構成要素400がデリバリー後の構成に拡張されると、分岐血管拡張可能構成要素400は、分岐血管(例えば、血管又は組織壁)と係合して、分岐血管拡張可能構成要素400と分岐血管104との間の結合を維持するように操作可能である。
【0110】
図8に戻って参照すると、工程8006で、第二のガイドワイヤは主血管内に配置される。様々な例において、第二のガイドワイヤは、分岐血管拡張可能構成要素が配置される分岐血管に近接する領域で主血管内に配置される。例えば、
図9Cに示されるように、第二のガイドワイヤ1050は主血管100内に配置される。示されるように、第二のガイドワイヤ1050は、第二のガイドワイヤ1050の端部1052が、分岐血管拡張可能構成要素400が配置される分岐血管104の上流にあるように配置される。
【0111】
図8を参照すると、工程8008及び8010において、主血管拡張可能構成要素は、第二のガイドワイヤに沿って主血管内の位置まで前進され、次いで、適切に配置されると展開される。様々な例において、主血管拡張可能構成要素の適切な配置は、主血管拡張可能構成要素の端部が、分岐血管拡張可能構成要素が配置される分岐血管の上流で主血管に着地するか又はさもなければ主血管と係合するように主血管拡張可能構成要素を配置することを含む。そのような構成は、分岐血管拡張可能構成要素が、主血管拡張可能構成要素の端部の周囲の血管壁又は組織に係合する主血管拡張可能構成要素の端部と干渉せず、それにより、主血管拡張可能構成要素が他の拡張可能構成要素からの干渉なしに、主血管壁に対してシールすることを提供する。
図9Dは、主血管拡張可能デバイス300の近位端312が分岐血管104の上流の主血管の血管壁と係合するように、主血管100内で展開された主血管拡張可能デバイス300を示す。さらに、
図9Dに示されるように、主血管拡張可能構成要素300の遠位端314は、分岐血管104の下流に配置される。
【0112】
図8に戻って参照すると、工程8012及び8014において、ポータル拡張可能構成要素は主血管内に配置され、ポータル拡張可能構成要素が主血管拡張可能構成要素と流体結合され、分岐血管拡張可能構成要素がポータル拡張可能構成要素と流体結合されるように展開される。
図9Eは展開構成におけるポータル拡張可能構成要素500を示し、ここで、ポータル拡張可能構成要素500は(例えば、脚308を介して)主血管拡張可能構成要素300と流体結合され、ポータル拡張可能構成要素500は(例えば、ポータル516を介して)分岐血管拡張可能構成要素400と流体結合され、その結果、主血管拡張可能構成要素300は分岐血管拡張可能構成要素400と流体結合される。
図9Eに示される構成において、ポータル拡張可能構成要素500は、ポータル516が分岐血管104の下流に配置されるように、主血管拡張可能構成要素300と結合される。示されるように、ポータル拡張可能構成要素500の第一の端部506は、主血管拡張可能構成要素300の遠位端314で、主血管拡張可能構成要素300の第一の脚308の管腔内で展開されている。分岐血管拡張可能構成要素400が配置される分岐血管104の下流に配置されたポータル516で、分岐血管拡張可能構成要素400を介した分岐血管への血流は逆行を起こす。
【0113】
対応する拡張可能構成要素を分岐血管106にデリバリー及び展開するために、上記と同様の方法を実施することができることを理解されたい(例えば、複数の分岐血管が関与する例については
図2を参照されたい)。複数の分岐血管(例えば、腎動脈)が関与する幾つかの例において、主血管拡張可能構成要素の展開の前に、分岐血管拡張可能構成要素は各分岐血管内に配置されることを理解されたい。
【0114】
上記のように、工程8014において、ポータル拡張可能構成要素は、ポータル拡張可能構成要素が主血管拡張可能構成要素と流体結合され、分岐血管拡張可能構成要素がポータル拡張可能構成要素と流体結合されるように展開される。幾つかの例において、分岐血管拡張可能構成要素は、ブリッジ拡張可能構成要素を介してポータル拡張可能構成要素と流体結合されている。ポータル拡張可能構成要素500は、既知の方法に従って、主血管拡張可能構成要素300と結合されうる。同様に、分岐血管拡張可能構成要素400は、既知の方法に従って、ポータル拡張可能構成要素500と結合されうる。
【0115】
図2に示されるように、ブリッジ拡張可能構成要素600は、分岐血管拡張可能構成要素400とポータル拡張可能構成要素500との間に配置される。したがって、様々な例において、ブリッジ拡張可能構成要素600は、分岐血管拡張可能構成要素400及びポータル拡張可能構成要素500のそれぞれと係合するように構成されている。ブリッジ拡張可能構成要素600は、例えば、支持構成要素、グラフト構成要素、及び、第一の端部及び第二の端部を通って延在している管腔を有する第一の端部及び第二の端部を含む、上記の分岐血管拡張可能構成要素400と一貫する構造を有する。示されるように、ブリッジ拡張可能構成要素600は、治療部位にデリバリーされそして展開され、第一の端部がポータル拡張可能構成要素500のポータル516と結合され、第二の端部が分岐血管拡張可能構成要素400と結合されるように構成されている。幾つかの例において、分岐血管拡張可能構成要素400は、分岐血管104の組織(例えば、血管壁)と係合するための1つ以上の組織アンカーを含む。
【0116】
幾つかの例において、ブリッジ拡張可能構成要素600は、少なくとも部分的に分岐血管拡張可能構成要素400の管腔内で、そして少なくとも部分的にポータル拡張可能構成要素500内で展開されるように構成されている。幾つかのそのような例において、ブリッジ拡張可能構成要素600は、ブリッジ拡張可能構成要素600がポータル拡張可能構成要素500と流体結合されるように、ポータル516を通って延在する。
【0117】
図10は、分岐血管拡張可能構成要素400及びポータル拡張可能構成要素500をブリッジ拡張可能構成要素600を介して流体結合するための
図8の工程8014と一貫する例示的な方法を概説するフローチャートを示す。工程8014(A)において、ポータル拡張可能構成要素は、ポータル拡張可能構成要素が主血管拡張可能構成要素と係合され、流体結合されるように展開される。
図11は、ポータル拡張可能構成要素500が、
図9Eに関する上記の議論と一貫して、主血管拡張可能構成要素300と係合され、流体結合されるように展開されたポータル拡張可能構成要素500を示す。示されるように、ポータル拡張可能構成要素500は、ポータル516が分岐血管104に対して下流に配置されるように展開される。幾つかの例において、ポータル拡張可能構成要素500は、主血管拡張可能構成要素300のゲートの少なくとも部分的に内部に配置され(例えば、主血管拡張可能構成要素300の脚308及び310のうちの少なくとも1つとオーバーラップ関係にある)、その結果、ポータル拡張可能構成要素500の展開時に、ポータル516が主血管100の管腔に流体的にアクセス可能/それと結合される。
【0118】
再び
図10を参照すると、工程8014(B)において、分岐血管拡張可能構成要素は展開される。分岐血管拡張可能構成要素は、ポータル拡張可能構成要素を展開する前又は後に展開されうる。
図11は、展開構成における分岐血管拡張可能構成要素400を示している。示されるように、分岐血管拡張可能構成要素400は、分岐血管拡張可能構成要素400の第一の端部406が分岐血管内に配置され、第二の端部408が主血管内に配置されるように展開されている。したがって、ポータル拡張可能構成要素500は、ポータル516が分岐血管拡張可能構成要素400の第一の端部406に対して下流に配置された状態で展開される。幾つかの例において、分岐血管拡張可能構成要素400は、分岐血管拡張可能構成要素400の第一の端部及び第二の端部406及び408が分岐血管内に配置されるように展開されうる。
【0119】
再び
図10を参照すると、工程8014(C)において、ブリッジガイドワイヤは、ブリッジガイドワイヤがポータル拡張可能構成要素の管腔内に、ポータルを通って、そして分岐血管拡張可能構成要素の管腔内に延在するように配置されている。
図12は、患者の体の外側から主血管100内、ポータル拡張可能構成要素500の管腔内、ポータル516を通って、そして分岐血管拡張可能構成要素400の管腔内に延在しているブリッジガイドワイヤ1400を示している。
【0120】
再び
図10を参照すると、工程8014(D)及び8014(E)において、ブリッジ拡張可能構成要素は、ポータル拡張可能構成要素と分岐血管拡張可能構成要素との間に延在する位置まで前進され、ブリッジ拡張可能構成要素がポータル拡張可能構成要素及び分岐血管拡張可能構成要素と流体結合されるように展開される。ブリッジ拡張可能構成要素600は、既知の方法に従って、分岐血管拡張可能構成要素400及びポータル拡張可能構成要素500と結合されうる。
【0121】
図13は、ポータル拡張可能構成要素500及び分岐血管拡張可能構成要素400と流体結合するブリッジ拡張可能構成要素600を示す。示されるように、ブリッジ拡張可能構成要素600は、ポータル拡張可能構成要素500からポータル516を通って延在し、分岐血管拡張可能構成要素400の第二の端部408に近接している分岐血管拡張可能構成要素400と結合する。幾つかの例において、ブリッジ拡張可能構成要素600の一部が分岐血管拡張可能構成要素400の管腔内に配置されるように、ブリッジ拡張可能構成要素600は展開される。そのように構成された主血管拡張可能構成要素300、分岐血管拡張可能構成要素400、ポータル拡張可能構成要素500及びブリッジ拡張可能構成要素600により、モジュール式内部人工器官システム200は、血流が分岐血管拡張可能構成要素400及びブリッジ拡張可能構成要素600を通した逆流により分岐血管104に供給されうることを提供する。上記のように、血液は、順行性流により、主血管拡張可能構成要素300及びポータル拡張可能構成要素500を通って伝播する。したがって、モジュール式内部人工器官システム200は、それを通る血流が第一の領域で順行性であり、第二の領域で逆行性であることができるように構成されることが理解されるべきである。
【0122】
図14は、本開示のモジュール式内部人工器官をデリバリーするための別の例示的な方法を概説するフローチャートを示す。工程14002及び14004において、第一のガイドワイヤ及び第二のガイドワイヤは、それぞれ、分岐血管内及び主血管内に配置される。幾つかの例において、第一のガイドワイヤは、第二のガイドワイヤが主血管内に配置される前に分岐血管内に配置され、他の例において、第一のガイドワイヤは、第二のガイドワイヤが主血管内に配置された後に分岐血管内に配置される。
図15は、それぞれ、分岐血管及び主血管104及び100内に配置された第一のガイドワイヤ及び第二のガイドワイヤ1000及び1050を示している。
【0123】
再び
図14を参照すると、工程14006及び14008において、主血管拡張可能構成要素は、第二のガイドワイヤ1050に沿って主血管内の位置まで前進され、次いで、適切に配置されると展開される。幾つかの例において、工程14006及び14008は、工程8008及び8010に対応する。したがって、上記で説明したように、様々な例において、主血管拡張可能構成要素の適切な配置は、主血管拡張可能構成要素の端部が分岐血管の上流で主血管に着地するか又はさもなければ係合するように主血管拡張可能構成要素を配置することを含み、これは、分岐血管拡張可能構成要素が、主血管拡張可能構成要素の端部の周囲の血管壁又は組織に係合する主血管拡張可能構成要素の端部と干渉しないこととし、それにより、他の拡張可能構成要素からの干渉なしに、主血管拡張可能構成要素が主血管壁に対してシールすることを可能にする。
図16は、主血管拡張可能デバイス300の近位端312が分岐血管104の上流の主血管の血管壁と係合するように、主血管100内に展開された主血管拡張可能デバイス300を示す(例えば、主血管拡張可能デバイス300の展開に関する上記の議論を参照されたい)。さらに、
図16に示されるように、主血管拡張可能構成要素300の遠位端314は、分岐血管104の下流に配置される。主血管拡張可能デバイス300の近位端312は、とげなどのアンカーを含む主血管の血管壁に係合する既知の手段を使用することができる。
【0124】
再び
図14を参照すると、工程14010において、ポータル拡張可能構成要素は、それが主血管拡張可能デバイスに対して主血管内に適切に配置されるまで、第一のガイドワイヤ及び第二のガイドワイヤ1000及び1050のそれぞれに沿って前進される。
図17は、上記の議論と一貫する、拘束されコンパクト化されたデリバリー構成におけるポータル拡張可能構成要素500(拘束シース1200によって
図17の視界から隠されている)を示す。示されるように、ポータル拡張可能構成要素500は、第一のガイドワイヤ及び第二のガイドワイヤ1000及び1050に沿って前進され、ここで、第一のガイドワイヤ1000は、ポータル516(拘束シース1200によって
図17の視界から隠されている)及びポータル拡張可能構成要素500の管腔を通って延在している。
図17に示される例において、第一のガイドワイヤ1000は、ポータル拡張可能構成要素500のポータル及び管腔を通って延在する取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100を通って延在している。しかしながら、上記のように、取り外し可能なガイドワイヤチューブは必要なわけではなく、したがって任意選択的であり、必須ではない。さらに、第二のガイドワイヤ1050は、ポータル516を通って延在せず、ポータル拡張可能構成要素500の管腔を通って延在する(例えば、ポータル拡張可能構成要素500の第一の端部506から第二の端部508まで管腔を通って延在する)。
【0125】
再び
図14を参照すると、工程14012において、適切に配置されると、ポータル拡張可能構成要素は、ポータル拡張可能構成要素が主血管拡張可能構成要素と流体結合されるように展開される。
図18は、ポータル拡張可能構成要素500が展開され、ポータル拡張可能構成要素500が主血管拡張可能構成要素300と流体結合され、ポータル516が分岐血管104の下流に配置されることを示す。ポータル拡張可能構成要素500は展開され、上記の議論と一貫して主血管拡張可能構成要素300と結合される(例えば、
図9E及び11に関する議論を参照されたい)。さらに、
図18に示されるように、第一のガイドワイヤ1000は、ポータル拡張可能構成要素500の管腔内に延在し、ポータル516を通って分岐血管104内に延在する。
【0126】
幾つかの例において、ポータル拡張可能構成要素500が展開された後に、取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100は、以下により詳細に説明されるように、第一のガイドワイヤ1000に沿ってポータル拡張可能構成要素500から取り外すことができ、将来の使用のために第一のガイドワイヤを残す。あるいは、幾つかの例において、取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100は、ポータル拡張可能構成要素500を第一のガイドワイヤ1000に載置した後に、ポータル拡張可能構成要素500を患者の血管系に進める前に取り外すことができる(例えば、事前カニューレ挿入のみに使用される)。すなわち、取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100を使用して、ポータル拡張可能構成要素500及びそのデリバリー部材を第一のガイドワイヤ1000に載置することができるが、患者の血管系内でそれを前進させる前に取り外すことができる。幾つかの例において、取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100は、第二の端部1104をつかみ、血管系内に取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100を前進させるためとは反対の方向に(例えば、下部アクセス部位に対して遠位方向に)取り外し可能なガイドワイヤチューブ1100を引き出すことにより医師により取り外すことができる。
【0127】
再び
図14を参照すると、工程14014において、分岐血管拡張可能構成要素は、ポータル拡張可能構成要素及び分岐血管に対して適切に配置されるまで、第一のガイドワイヤに沿って前進される。様々な例において、分岐血管拡張可能構成要素は、拘束され、崩潰されたデリバリー構成に維持されながら前進される(上記の議論を参照されたい)。さらに、様々な例において、分岐血管の適切な配置は、展開時に、分岐血管拡張可能構成要素が分岐血管及びポータル拡張可能構成要素と係合して、それにより、分岐血管拡張可能構成要素は分岐血管及びポータル拡張可能構成要素を一緒に流体結合するように、分岐血管拡張可能構成要素を配置することを含む。
図19は、第一のガイドワイヤ1000に沿って前進されている分岐血管拡張可能構成要素400を示す。示されるように、分岐血管拡張可能構成要素400(拘束シース1210によって視界から隠される)は、第一のガイドワイヤ1000に沿って図示の位置に前進されたデリバリーカテーテル1220と結合され、その結果、分岐血管拡張可能構成要素400は、少なくとも部分的に、その一部が分岐血管内で展開されうる。モジュール式内部人工器官システム200の任意の1つ以上の構成要素及び/又はデリバリー部材上で放射線不透過性マーカーを利用する従来の蛍光透視技術を利用して、治療部位でのモジュール式内部人工器官システム200の様々な拡張可能構成要素の配置を容易にすることができる。例えば、放射線不透過性マーカーは、拡張可能構成要素の端部又はその近く、及び/又は、ポータル拡張可能構成要素500のポータル又はその近く、及び/又は、分岐内部人工器官の脚又はその近く又はそれに沿って、及び/又は、デリバリー部材に沿った任意の位置で配置することができ、モジュール式内部人工器官システム200の拡張可能構成要素と治療される患者の解剖学的構造の領域との間の配向及び相対的位置決めを容易にする。放射線不透過性マーカーは、本明細書で論じられる構成要素のいずれにおいても利用されうることを理解されたい。
【0128】
再び
図14を参照すると、工程14016において、分岐血管拡張可能構成要素が分岐血管104及びポータル拡張可能構成要素500に対して適切に配置された状態で、分岐血管拡張可能構成要素は、分岐血管拡張可能構成要素400を介して分岐血管がポータル拡張可能構成要素500と流体結合されるように展開される。
図20は、完全に展開された構成の分岐血管拡張可能構成要素400を示しており、ここで、分岐血管はポータル拡張可能構成要素500と流体結合されている。したがって、分岐血管104は、分岐血管拡張可能構成要素400を通る逆行流によりモジュール式内部人工器官を通って流れる血液を供給することができる。すなわち、分岐血管拡張可能構成要素400は、主血管拡張可能構成要素300を通って流れる血液が、ポータル拡張可能構成要素500に流れ込み、次に分岐血管拡張可能構成要素400に流れ込むことによって分岐血管104に入ることができることとし、ここで、ポータル拡張可能構成要素500を通る血流は順行流であり、分岐血管拡張可能構成要素400を通る血流は逆行流である。上記のように、腎動脈104への灌流に加えて、又は腎動脈104への灌流の代替として、他の腎動脈106への灌流(例えば、
図2を参照されたい)は、第二の(又は追加の)ポータル拡張可能構成要素500及び第二の(又は追加の)分岐血管拡張可能構成要素400、ならびに、場合により、ブリッジ拡張可能構成要素600を介して達成され、ここで、このような構成要素のデリバリー及び展開は、上記の説明と一貫するが、分岐血管の104の代わりに分岐血管106内にアクセス及び展開するためのものである。
【0129】
様々な例において、本明細書で言及され、開示されたシステム及び方法で使用可能なカテーテル、イントロデューサシース、ハブ、ハンドル及び他の構成要素は、任意の適切な製造プロセス又は工具を使用して、任意の適切な医療グレードの材料又は材料の組み合わせを使用して構築することができる。適切な医療グレードの材料としては、例えば、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマーオルガノシリコンポリマー、Pebax(登録商標)ポリエーテルブロックアミド、及び、ステンレス鋼及びニチノールなどの金属を挙げることができる。カテーテルはまた、金属編組の層などの補強部材を含むことができる。
【0130】
本発明の主旨又は範囲から逸脱することなく、本発明において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、本発明は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内にあるかぎり、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。
(態様)
(態様1)
主血管において展開されるように構成された第一の拡張可能デバイスを提供すること、
前記第一の拡張可能デバイスとインターフェースするように構成された第二の拡張可能デバイスを提供することであって、前記第二の拡張可能デバイスは、その中にポータルを含む、提供すること、
一度拡張されると、前記ポータルを介して分岐血管と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するように構成された分岐血管拡張可能デバイスを提供すること、
分岐ガイドワイヤを前記分岐血管内に配置すること、
完全に展開されていない状態に維持されている間に、前記分岐血管拡張可能デバイスを前記分岐ガイドワイヤ上で前記分岐血管内に配置すること、
前記第一の拡張可能デバイスを前記主血管内に配置しそして展開すること、
前記第二の拡張可能デバイスを前記分岐血管の下流に配置しそして展開すること、及び、
前記分岐血管拡張可能デバイスが前記第二の拡張可能デバイスのポータルを介して前記第二の拡張可能デバイスと流体結合されるように前記分岐血管拡張可能デバイスを展開すること、
を含み、
前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスの外部に配置されており、
前記分岐ガイドワイヤ及び前記分岐血管拡張可能デバイスはそれぞれ、前記第二の拡張可能デバイスのポータルを通って延在しており、
血液は逆行流を通じて前記分岐血管中に灌流される、
方法。
(態様2)
前記分岐ガイドワイヤは腎動脈内に配置され、前記分岐血管拡張可能デバイスは、完全に展開されていない状態に維持されている間に、前記分岐ガイドワイヤ上で腎動脈内に配置され、前記第一の拡張可能デバイスは患者の大動脈内に配置されそして展開され、前記分岐血管拡張可能デバイスは前記第一の拡張可能デバイスの外部に配置されており、前記第二の拡張可能デバイスは、腎動脈の少なくとも部分的に下流に配置されそして展開され、前記分岐ガイドワイヤ及び前記分岐拡張可能デバイスは、腎動脈への血液の逆行性灌流を提供するために前記腎動脈と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するためにポータルを通って延在している、態様1記載の方法。
(態様3)
前記主血管は総腸骨動脈であり、前記分岐血管は内腸骨動脈である、態様1記載の方法。
(態様4)
前記主血管は外腸骨動脈であり、前記分岐血管は大腿動脈である、態様1記載の方法。
(態様5)
前記分岐血管拡張可能デバイスを前記分岐ガイドワイヤ上で前記分岐血管内に配置することは、前記第二の拡張可能デバイスが展開された後に、前記分岐血管拡張可能デバイスを前記分岐ガイドワイヤ上で前進させることを含む、先行の態様のいずれか1項記載の方法。
(態様6)
前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第二の拡張可能デバイスが展開された後に展開される、態様5記載の方法。
(態様7)
前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第二の拡張可能デバイスに直接結合されている、先行の態様のいずれか1項記載の方法。
(態様8)
血管内に展開されるように構成された第一の拡張可能デバイスを提供すること、
前記第一の拡張可能デバイスとインターフェースするように構成された第二の拡張可能デバイスを提供することであって、前記第二の拡張可能デバイスはその中にポータルを含む、提供すること、
前記ポータルを介して分岐血管と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するように構成された分岐拡張可能デバイスを提供すること、
前記分岐血管内に分岐ガイドワイヤを配置すること、
前記第一の拡張可能デバイスを前記主血管内に配置しそして展開すること、
前記分岐血管の下流に前記第二の拡張可能デバイスを配置しそして展開すること、
前記分岐血管を、前記第一の拡張可能デバイスの外部にある前記第二の拡張可能デバイスと相互接続するために、前記分岐拡張可能デバイスを前記分岐ガイドワイヤ上に配置すること、及び、
前記分岐拡張可能デバイスを展開して、前記分岐血管と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成すること、
を含み、
前記分岐ガイドワイヤは前記ポータルを通って延在しており、
血液は、逆行流を通じて前記分岐血管内に灌流される、
方法。
(態様9)
前記分岐ガイドワイヤは腎動脈内に配置され、前記第二の拡張可能デバイスは、腎動脈の少なくとも部分的に下流に配置されそして展開され、前記第二の拡張可能デバイスは前記腎動脈への血液の逆行性灌流を提供するために、前記分岐拡張可能デバイスを介して前記腎動脈と流体結合されている、態様8記載の方法。
(態様10)
前記主血管は総腸骨動脈であり、前記分岐血管は内腸骨動脈である、態様8記載の方法。
(態様11)
前記主血管は外腸骨動脈であり、前記分岐血管は大腿動脈である、態様8記載の方法。
(態様12)
前記第二の拡張可能デバイスと前記分岐血管拡張可能デバイスとの間で第三の拡張可能デバイスを展開することをさらに含む、態様8~11のいずれか1項記載の方法。
(態様13)
前記第三の拡張可能デバイスは、前記分岐ガイドワイヤ上の位置に前進される、態様12記載の方法。
(態様14)
前記第三の拡張可能デバイスは、前記分岐血管拡張可能デバイスが展開された後に、そして前記第二の拡張可能デバイスが展開された後に展開される、態様12及び13のいずれか1項記載の方法。
(態様15)
前記第二の拡張可能デバイスは崩潰デリバリー構成で提供され、取り外し可能なガイドワイヤチューブが前記ポータルを通って延在しており、それを通る前記分岐ガイドワイヤの挿入を可能にする、先行の態様のいずれか1項記載の方法。
(態様16)
前記取り外し可能なガイドワイヤチューブを通して前記第二のガイドワイヤを挿入した後に、前記取り外し可能なガイドワイヤチューブを除去することをさらに含む、態様15記載の方法。
(態様17)
前記第二の拡張可能デバイスを前記主血管内に挿入する前に、前記取り外し可能なガイドワイヤチューブを除去することをさらに含む、態様16記載の方法。
(態様18)
前記第一の拡張可能デバイス及び前記第二の拡張可能デバイスは、前記分岐血管拡張可能デバイスを展開する前に展開される、先行の態様のいずれか1項記載の方法。
(態様19)
前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第二の拡張可能デバイスが展開される前に展開される、態様8~17のいずれか1項記載の方法。
(態様20)
前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第二の拡張可能デバイスが展開された後に展開される、態様1~18のいずれか1項記載の方法。
(態様21)
前記第二の拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスが展開された後に展開される、先行の態様のいずれか1項記載の方法。
(態様22)
前記第一の拡張可能デバイス、前記第二の拡張可能デバイス及び前記分岐拡張可能デバイスのそれぞれは、前記分岐血管の下流にある第一のアクセス部位から前進される、先行の態様のいずれか1項記載の方法。
(態様23)
前記分岐血管拡張可能デバイスは前記ポータルを介して前記第二の拡張可能デバイスに流体結合される、先行の態様のいずれか1項記載の方法。
(態様24)
前記第一の拡張可能デバイスは、前記分岐ガイドワイヤとは区別される別個の第一のガイドワイヤ上で前進される、先行の態様のいずれか1項記載の方法。
(態様25)
前記第二の拡張可能デバイスは、前記第一のガイドワイヤ及び前記分岐ガイドワイヤのそれぞれの上で前進される、態様24記載の方法。
(態様26)
前記ポータルは、前記第二の拡張可能デバイスの側壁に配置されている、先行の態様のいずれか1項記載の方法。
(態様27)
上流端から下流端に延在している主血管を修復するように構成された拡張可能デバイスであって、
血管内で展開されるように構成された第一の拡張可能デバイス、
前記第一の拡張可能デバイスとインターフェースするように構成された第二の拡張可能デバイスであって、前記第二の拡張可能デバイスの側壁にポータルを含む第二の拡張可能デバイス、及び、
前記ポータルを通って延在することによって分岐血管と前記第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するように構成された分岐血管拡張可能デバイス、
を含み、
前記分岐拡張可能デバイスは、前記分岐血管の下流にインプラントされている前記第二の拡張可能デバイスに連携して前記分岐血管拡張可能デバイスを通して前記分岐血管への逆行性灌流を可能にするのに十分な長さを有するように構成されている、拡張可能デバイス。
(態様28)
前記分岐血管拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスと、前記主血管の壁との間の前記第一の拡張可能デバイスの外部で展開されたときに、それを通る有意な流れを維持するのに十分な半径方向拡張力を有するように構成されている、態様27記載の拡張可能デバイス。
(態様29)
前記分岐血管拡張可能デバイスは前記第二の拡張可能デバイスに直接結合されている、態様27~28のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
(態様30)
前記第二の拡張可能デバイスと前記分岐血管拡張可能デバイスとの間に延在している第三の拡張可能デバイスであって、前記分岐血管拡張可能デバイス及び前記第三の拡張可能デバイスを通した前記分岐血管への逆行性灌流を可能にするように構成された第三の拡張可能デバイスをさらに含む、態様27~28のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
(態様31)
前記第二の拡張可能デバイスの側壁は、側壁に対して凹んでいる凹部分を含み、前記ポータルは、前記凹部分に位置する、態様27~30のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
(態様32)
前記第二の拡張可能構成要素から延在して、前記第二の拡張可能構成要素を前記第二の拡張可能構成要素の下流にある1つ以上の血管に流体結合させる下流拡張可能デバイスをさらに含む、態様27~30のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
(態様33)
前記第一の拡張可能デバイスは、本体部分、前記本体部分から分岐する第一の脚及び第二の脚を含み、前記第二の拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスの前記第一の脚及び前記第二の脚のうちの1つとインターフェースするように構成されている、態様27~30のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
(態様34)
前記第一の脚及び前記第二の脚は、互いに離れる角度に構造的にバイアスされている、態様33記載の拡張可能デバイス。
(態様35)
前記第二の拡張可能デバイスは、前記第一の拡張可能デバイスの第一の第二の脚とインターフェースするように構成され、追加の第二の拡張可能デバイスをさらに含み、前記追加の第二の拡張可能デバイスは前記第一の拡張可能デバイスの第二の脚とインターフェースするように構成され、前記第二の拡張可能デバイスの側壁にポータルを含む、態様33~34のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
(態様36)
前記ポータルを通して延在することにより第二の分岐血管と前記追加の第二の拡張可能デバイスとの間に流体接続を形成するように構成された追加の分岐血管拡張可能デバイスをさらに含む、態様35記載の拡張可能デバイス。
(態様37)
前記第二の拡張可能構成要素は、近位端及び遠位端、ならびに、前記近位端が前記遠位端より小さい直径を有するテーパー型構成を含む、態様27~36のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
(態様38)
前記第二の拡張可能デバイスのポータルは、前記第二の拡張可能デバイスの側壁におけるアパチャである、態様27~37のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
(態様39)
構成された前記第二の拡張可能デバイスと前記第一の拡張可能デバイスとの間に配置されるように構成されたブリッジ拡張可能構成要素をさらに含む、態様27~38のいずれか1項記載の拡張可能デバイス。
(態様40)
前記ブリッジ拡張可能構成要素は、前記第二の拡張可能構成要素のポータルと結合された第一の端部と、前記第二の拡張可能デバイス構成要素と結合された第二の端部とで展開するように構成されている、態様39記載の拡張可能デバイス。
(態様41)
前記分岐血管拡張可能構成要素は、組織と係合するための1つ以上の組織アンカーを含む、態様40記載の拡張可能デバイス。