(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】6,7-不飽和-7-カルバモイルモルヒナン誘導体含有固形製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/485 20060101AFI20241106BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20241106BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241106BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241106BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K31/485
A61P25/04
A61K9/10
A61K9/14
A61K9/16
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/20
A61K47/22
(21)【出願番号】P 2021558405
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2020042889
(87)【国際公開番号】W WO2021100728
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2019209630
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221578
【氏名又は名称】林 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】大橋 令
(72)【発明者】
【氏名】徳田 建人
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 岳士
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/172297(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/124062(WO,A1)
【文献】国際公開第99/002158(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1652752(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103877016(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101732243(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101406474(CN,A)
【文献】特表2018-500350(JP,A)
【文献】特開2018-065775(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0067339(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/485
A61P 25/04
A61K 9/10
A61K 9/14
A61K 9/16
A61K 47/02
A61K 47/12
A61K 47/20
A61K 47/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として式(IA):
【化1】
で示される化合物
のp-トルエンスルホン酸塩を含有し、さらにアスコルビン酸類、硫黄を含むアミノ酸
類およびリンゴ酸類からなる群から選択される1以上の安定化剤を含有し、
当該アスコルビン酸類はアスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステルおよび/またはL-アスコルビン酸パルミチン酸エステルであり、
当該硫黄を含むアミノ酸類はL-システイン、L-システイン塩酸塩、L-システイン塩酸塩水和物、L-メチオニンおよび/またはDL-メチオニンであり、
当該リンゴ酸類はDL-リンゴ酸および/またはDL-リンゴ酸ナトリウムである、固形製剤。
【請求項2】
安定化剤が、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩水和物、L-メチオニ
ンおよびDL-リンゴ酸からなる群から選択される1以上である、請求項1記載の固形製剤。
【請求項3】
安定化剤が、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩水和物およびL-メチオニンからなる群から選択される1以上である請求項1記載の固形製剤。
【請求項4】
安定化剤が、アスコルビン酸および/またはL-メチオニンである請求項1記載の固形製剤。
【請求項5】
安定化剤の配合量が、式(IA)で示される化合物1重量部に対して、1~2500重量部である請求項1~4のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項6】
室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁体量が4.0%以下である、請求項1~5のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項7】
式(IA)で示される化合物の類縁体のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下である、請求項6記載の固形製剤。
【請求項8】
固形製剤が、顆粒剤または散剤である、請求項1~7のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項9】
水中に懸濁することができる、請求項8記載の固形製剤。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれかに記載の固形製剤を、液中に懸濁した製剤。
【請求項11】
経口投与することができる請求項1~
9のいずれかに記載の固形製剤または、請求項
10記載の液中に懸濁した製剤。
【請求項12】
アスコルビン酸および/またはL-メチオニンによって、式(IA)
:
【化2】
で示される化合物の類縁体量の増加を抑制する方法。
【請求項13】
水中懸濁時の類縁体量の増加を抑制する、請求項
12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6,7-不飽和-7-カルバモイルモルヒナン誘導体を含有した固形製剤、特に17-(cyclopropylmethyl)-6,7-didehydro-4,5α-epoxy-3,6,14-trihydroxy-N-[2-(3-phenyl-1,2,4-oxadiazol-5-yl)propan-2-yl]morphinan-7-carboxamide 4-methylbenzenesulfonic acidの安定性を改善した固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
モルヒネ等のオピオイド受容体アゴニストは癌疼痛患者に対して非常に有効な鎮痛 剤として使用されているが、副作用として強い悪心、嘔気、嘔吐、便秘、尿閉、痒みなどを誘発する。種々の制吐薬や抗便秘薬が臨床上使用されているが、いずれも十分な効果を示すとは言えず、患者の QOL改善のためにも優れた副作用軽減剤が求められている。
【0003】
オピオイド受容体アゴニストの副作用軽減剤として、特許文献1には、6,7-不飽和-7-カルバモイルモルヒナン誘導体(以下、「本誘導体」という場合がある。)が開示されている。本誘導体のうち、特に、上記副作用軽減剤として有効な17-(cyclopropyl
methyl)-6,7-didehydro-4,5α-epoxy-3,6,14-trihydroxy-N-[2-(3-phenyl-1,2,4-oxadiazol-5-yl)propan-2-yl]morphinan-7-carboxamide 4-methylbenzenesulfonic acid(化合物A、以下、「本化合物」と言う場合がある。)が有効である。特許文献2には、本化合物を含有する固形製剤が開示されている。
【0004】
小児が、本化合物を服用する場合がある。小児が医薬品を経口で服用する際、苦味が問題となることがある。この場合、甘味を有するシロップ剤を服用する場合がある。日本薬局方製剤総則において、シロップ剤は「経口投与する、糖類又は甘味剤を含む粘稠性のある液状又は固形の製剤である。」と定義されている。シロップ剤の中には、「用時、溶解または懸濁して用いる製剤」として、ドライシロップ剤が含まれる。ドライシロップ剤は、固形状であり、水に用時溶解、懸濁して服用することができるので、液剤よりも保存性が高く携行性が良い、しかし、経時保存後、ドライシロップ剤中の有効成分が分解している場合があり、特に、ドライシロップ剤を水中に溶解または懸濁した場合、有効成分が分解される場合がある。
【0005】
製剤中の有効成分が分解する場合、分解を抑制するために、添加剤を配合する場合がある。引用文献1および2には、水中での本誘導体、本化合物の分解を抑制することは開示されていない。一方、引用文献3~6には、添加剤を配合することによって、化合物の安定性を改善した製剤が開示されている。しかし、当該文献中の化合物と6,7-不飽和-7-カルバモイルモルヒナン誘導体の化学構造は大きく異なり、添加剤を配合しても、安定性、特に水中における安定性が改善されていることは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2006/126637号国際公開パンフレット
【文献】WO2013/172297号国際公開パンフレット
【文献】特開2009-143948号公開公報
【文献】特開平11-92369号公開公報
【文献】特開2014-9226号公開公報
【文献】特表2013-514386公表公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本誘導体や本化合物の安定性、特に水中における本誘導体や本化合物の安定性を高めるとともに、経時安定性が向上した製剤の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、本誘導体や本化合物を含有する製剤において、安定性を向上させるために、鋭意検討した結果、最適な添加物を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、安定化剤として、アスコルビン酸類、硫黄を含むアミノ酸類、亜硫酸類、クエン酸類およびリンゴ酸類からなる群から選択される1以上を使用すれば、安定性、特に水中における安定性を増大することができる。
【0009】
すなわち、本発明は
(1)有効成分として式(IA):
【化1】
で示される化合物、またはその製薬上許容される塩を含有し、さらにアスコルビン酸類、硫黄を含むアミノ酸類、亜硫酸類、クエン酸類およびリンゴ酸類からなる群から選択される1以上の安定化剤を含有する固形製剤、
(2)安定化剤が、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩水和物、L-メチオニン、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、無水クエン酸およびDL-リンゴ酸からなる群から選択される1以上である、上記(1)記載の固形製剤、
(3)安定化剤が、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩水和物およびL-メチオニンからなる群から選択される1以上である上記(1)記載の固形製剤、
(4)安定化剤が、アスコルビン酸および/またはL-メチオニンである上記(1)記載の固形製剤、
(5)安定化剤の配合量が、式(IA)で示される化合物1重量部に対して、1~2500重量部である上記(1)から(4)のいずれかに記載の固形製剤、
(6)室温下、水中に懸濁3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質類縁物質量が4.0%以下である、上記(1)から(5)のいずれかに記載の固形製剤、
(7)式(IA)で示される化合物の類縁物質類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下である、上記(6)記載の固形製剤、
(8)固形製剤が、顆粒剤または散剤である、上記(1)から(7)のいずれかに記載の固形製剤、
(9)水中に懸濁することができる、上記(8)記載の固形製剤、
(10)有効成分が、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩または塩酸塩のいずれかである上記(1)から(9)のいずれかに記載の固形製剤、
(11)上記(1)から(10)のいずれかに記載の固形製剤を、液中に懸濁した製剤、
(12)経口投与することができる上記(1)から(10)のいずれかに記載の固形製剤または、上記(11)記載の液中に懸濁した製剤、
(13)アスコルビン酸および/またはL-メチオニンによって、式(IA)で示される化合物の類縁物質量を低減する方法、
(14)水中懸濁時の類縁物質量の増加を抑制するものである、上記(13)記載の方法、に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の6,7-不飽和-7-カルバモイルモルヒナン誘導体含有製剤は、製剤中にアスコルビン酸類、硫黄を含むアミノ酸類、亜硫酸類、クエン酸類およびリンゴ酸類からなる群から選択される1以上を含有することによって、類縁物質量、特に本製剤を水中に懸濁した後の類縁物質量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で使用される有効成分であるオピオイド受容体アゴニストの副作用軽減剤は、通常、6,7-不飽和-7-カルバモイルモルヒナン誘導体、好ましくは前記式(IA)で示される化合物(化合物A)、またはその製薬上許容される塩である。より好ましくは、前記式(IA)で示される化合物の製薬上許容される塩である。
式(IA)で示される化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、式(IA)で示される化合物と、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等)およびアミノ酸との塩、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等)との塩が挙げられる。特に塩酸、硫酸、リン酸、酒石酸、メタンスルホン酸との塩等が挙げられる。好ましくは、酸との塩である。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
特に好ましくは、前記式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩若しくは塩酸塩であり、さらに好ましくは、前記式(IA)ので示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩の結晶、または当該塩の溶媒和物の結晶である。特に好ましくは、17-(cyclopropylmethyl)-6,7-didehydro-4,5α-epoxy-3,6,14-trihydroxy-N-[2-(3-phenyl-1,2,4-oxadiazol-5-yl)propan-2-yl]morphinan-7-carboxamide 4-methylbenzenesulfonic acidである。
前記式(IA)で示される化合物(化合物A)のp-トルエンスルホン酸の結晶は、吸湿性がなく、安定性も優れており、固形製剤中では、当該結晶状態で存在する。なお、当該化合物、化合物結晶の製造方法等はWO2006/126637の国際公開パンフレット、WO2012/063933の国際公開パンフレットの請求の範囲、明細書に記載されている。
【0012】
本発明製剤中の有効成分として、通常、式(IA):
【化2】
で示される化合物、またはその製薬上許容される塩が用いられる。好ましくは、有効成分として式(IA) で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩若しくは塩酸塩、より好ましくは、有効成分として式(IA) で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩である。
【0013】
式(IA)で示される化合物、その製薬上許容される塩、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩の製法は、国際公開第2006/126637号パンフレットおよび国際公開第2012/063933号パンフレットに開示されている。
【0014】
本化合物である前記式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩としては、17-(cyclopropylmethyl)-6,7-didehydro-4,5α-epoxy-3,6,14-trihydroxy-N-[2-(3-phenyl-1,2,4-oxadiazol-5-yl)propan-2-yl]morphinan-7-carboxamide 4-methylbenzenesulfonic acidが挙げられる。
【0015】
本発明製剤中の本誘導体である式(IA)で示される化合物、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩若しくは塩酸塩、特に本化合物の含量は、特に限定されないが、薬効を生じるような量であればよい。例えば、製剤全量に対して、0.001~10重量%、好ましくは0.001~5重量%、より好ましくは0.001~2.5重量%、特に好ましくは0.001~2重量%である。これらの配合量より多ければ、服用量が増加する恐れがあり、少なければ、有効成分の分解量が大きくなる恐れがある。
【0016】
本発明製剤中の本誘導体、本化合物、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩若しくは塩酸塩を安定化するために、本発明製剤中には、安定化剤を含有してもよい。安定化剤としては、本誘導体、本化合物を安定化でき、好ましくは日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、食品添加物公定書、米国薬局方(USP)および欧州薬局方(Ph.Eur.)に収載されているものであればよく、抗酸化剤として用いることができれば、なおよい。例えば、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸の立体異性体であるエリソルビン酸、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル等のアスコルビン酸類、L-システイン、L-システイン塩酸塩、L-システイン塩酸塩水和物、L-メチオニン、DL-メチオニン等の硫黄を含むアミノ酸類、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸類、無水クエン酸、クエン酸水和物、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム水和物、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等のクエン酸類、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム等のリンゴ酸類、エテド酸ナトリウム、エテド酸ナトリウム水和物、エテド酸カルシウム二ナトリウム、エテド酸四ナトリウム、エテド酸四ナトリウム四水塩等のエテド酸類等が挙げられる。好ましくは、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸の立体異性体であるエリソルビン酸等のアスコルビン酸類、L-システイン塩酸塩水和物、L-メチオニン等の硫黄を含むアミノ酸類、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸類、無水クエン酸等のクエン酸類、DL-リンゴ酸等のリンゴ酸類等が挙げられる。より好ましくは、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸の立体異性体であるエリソルビン酸等のアスコルビン酸類、L-システイン塩酸塩水和物、L-メチオニン等の硫黄を含むアミノ酸類である。さらに好ましくは、アスコルビン酸、L-メチオニンであり、特に好ましくはアスコルビン酸である。これらの安定化剤は、1種類のみ、または2種類以上用いてもよい。また、上記記載の添加剤は、安定化剤として用いる以外に、他の用途で用いてもよい。
【0017】
本発明製剤の安定化剤の含量は、特に限定されないが、本化合物の類縁物質量が少なく、本化合物を安定化できるような量であればよい。例えば、本化合物、特に式(IA)で示される化合物、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩若しくは塩酸塩1重量部に対し、安定化剤が1~2500重量部、好ましくは2~1250重量部、より好ましくは3~1000重量部である。製剤全量に対し、通常、0.005~30重量%、好ましくは0.01~25重量%、より好ましくは0.1~20重量%である。これらの含量より多ければ、服用量が増加する恐れがあり、少なければ、製剤中の有効成分が安定化しない恐れがある。
【0018】
本発明製剤における本化合物の類縁物質は、安定化剤によって大きく影響をうける。本化合物の主な類縁物質としては、式(IA)で示される化合物の水酸化体、式(IA)で示される化合物のカルボン酸体が挙げられる。
【0019】
本発明製剤における本化合物の類縁物質量は、イニシャルにおいて、式(IA)で示される化合物の全ての類縁物質(以下、「総類縁物質」ということがある。)の合計が、4.0%以下である。ここで、イニシャルとは、経時安定性試験開始前のことである。この類縁物質類縁物質量より多ければ、毒性が生じる恐れがある。
【0020】
本発明製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、、式(IA)で示される化合物の総類縁物質類縁物質量は、4.0%以下である。この類縁物質類縁物質量より多ければ、毒性が生じる恐れがある。
【0021】
本発明製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の水酸化体、または、式(IA)で示される化合物のカルボン酸体の量は、1.0%以下である。この量は、ICH(医薬品規制調和国際会議)Q3Bガイドラインの安全性確認の閾値を満たすものである。この類縁物質類縁物質量より多ければ、毒性が生じる恐れがある。
【0022】
なお、本発明製剤を、40℃、相対湿度75%で1週間保存した場合でも、式(IA)で示される化合物の総類縁物質量は、4.0%以下であり、また、式(IA)で示される化合物の水酸化体、または、式(IA)で示される化合物のカルボン酸体の量は、1.0%以下である。
【0023】
本発明製剤は、賦形剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、食品添加物公定書、米国薬局方(USP)および欧州薬局方(Ph.Eur.)に収載されている賦形剤を使用することができる。例えば、賦形剤として、糖誘導体、デンプン誘導体、セルロース誘導体、無機系賦形剤、βーシクロデキストリン、ステアリン酸マグネシウム、クロスポビドン、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、トラガント末、アラビアゴム、デキストラン、プルラン等が挙げられる。
糖誘導体としては、糖類、糖アルコールがあり、糖類としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖,麦芽糖(マルトース)等が挙げられ、また、糖アルコールとしては、D-マンニトール、D-ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、粉末麦芽糖水あめ、マルチトール、トレハロース等が挙げられる。また、他の糖誘導体としては、フラクトオリゴ糖、パラチノース、麦芽糖(マルトース)、還元麦芽糖、粉飴、水飴、ラクチュロース、還元乳糖ラクチトール、蜂蜜糖が挙げられる。
デンプン誘導体としては、デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン、コムギデンプン、カルボキシスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、低置換度カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチ等が挙げられる。
セルロース誘導体としては、結晶セルロース、粉末セルロース、カルメロースナトリウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルエチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
無機系賦形剤としては、ケイ酸塩誘導体、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酸化マグネシウム、酸化チタン、乳酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、タルク、カオリン、乾燥水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ベントナイト等が挙げられる。
ケイ酸塩誘導体としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等の二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
リン酸塩としては、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、無水ケイ酸等が挙げられる。
炭酸塩としては、沈降炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。硫酸塩としては、硫酸カルシウム等が挙げられる。
本発明製剤の賦形剤として、好ましくは、D-マンニトールが挙げられる。
これらの賦形剤は、1種類のみ、または2種類以上用いてもよい。また、上記記載の添加剤は、賦形剤として用いる以外に、他の用途で用いてもよい。
【0024】
本発明製剤の賦形剤の粒度は、製剤を製造できる粒度であればよい。賦形剤の粒度としては体積平均粒子径が1~1000μm、好ましくは、10~750μm、より好ましくは50~500μm、特に好ましくは75~250μmである。これよりも粒度が大きければ、顆粒剤、散剤としての製剤を製造することが困難となる恐れがあり、粒度が小さければ、製造時において粉末の飛散が大きく、有効成分の含量にも影響する恐れがある。
【0025】
本発明製剤の賦形剤の含量は、特に限定されないが、製剤全量に対し、通常、50~99.9重量%、好ましくは60~99.5重量%、より好ましくは70~99.0重量%である。これらの含量より少なければ、本製剤は、製剤を形成する可能性が困難となる恐れがある。賦形剤を2種以上使用する場合、賦形剤の全量が、上記含有量の範囲であればよい。
【0026】
本発明製剤は、崩壊剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、食品添加物公定書、米国薬局方(USP)および欧州薬局方(Ph.Eur.)に収載されている崩壊剤を使用することができる。例えば、崩壊剤として、セルロース系崩壊剤、デンプン系崩壊剤、ビニル系崩壊剤およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等がある。セルロース系崩壊剤として、例えば、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、粉末セルロース等が挙げられる。デンプン系崩壊剤として、例えば、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、バレイショデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、コーンスターチ、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン等が挙げられる。ビニル系崩壊剤として、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。好ましくは、セルロース系崩壊剤、ビニル系崩壊剤であり、セルロース系崩壊剤の場合、より好ましくはクロスカルメロースナトリウム、カルメロースナトリウム、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム等のナトリウム塩である。さらに好ましくは、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンであり、特に好ましくはクロスカルメロースナトリウムである。これらの崩壊剤は、1種類のみ、または2種類以上用いてもよい。また、上記記載の添加剤は、崩壊剤として用いる以外に、他の用途で用いてもよい。
【0027】
本発明製剤中の崩壊剤の含有量は、特に限定はされないが、製剤全量に対して、通常、0.01~10.0重量%、好ましくは0.05~7.5重量%、より好ましくは0.1~5.0重量%である。また、本発明製剤に用いられる化合物1重量部に対して、崩壊剤は、1~100重量部、好ましくは、5~80重量部、より好ましくは、10~60重量部である。これらの含量より多ければ、服用量が増大する恐れがあり、少なければ、製剤の崩壊性や溶出性が十分得ることができない恐れがある。崩壊剤を2種以上使用する場合、崩壊剤の全量が、上記含有量の範囲であればよい。
【0028】
本発明製剤は、薬物を水中で懸濁させる懸濁化剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、食品添加物公定書、米国薬局方(USP)および欧州薬局方(Ph.Eur.)に収載されている剤を使用することができる。懸濁化剤は、懸濁剤という場合もある。例えば、懸濁化剤として、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カオリン、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、グリセリン脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、マクロゴール4000、マクロゴール6000、メチルセルロース、モノラウリン酸エチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット等である。好ましくは、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、より好ましくは、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロースであり、特に好ましくはヒプロメロースである。これらの懸濁化剤は、1種類のみ、または2種類以上用いてもよい。また、上記記載の添加剤は、懸濁化剤として用いる以外に、他の用途で用いてもよい。
【0029】
本発明製剤中の懸濁化剤の含有量は、特に限定はされないが、製剤全量に対して、通常0.01~10.0重量%、好ましくは0.05~5.0重量%、より好ましくは0.1~2.5重量%である。また、本発明製剤に用いられる化合物1重量部に対して、崩壊剤は、1~100重量部、好ましくは、2.5~50重量部、より好ましくは、5~25重量部である。これらの含量より多ければ、服用量が増大する恐れがあり、少なければ、薬物が十分に水中で懸濁することができない恐れがある。懸濁化剤を2種以上使用する場合、懸濁化剤の全量が、上記含有量の範囲であればよい。
【0030】
本発明製剤は、結合剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、食品添加物公定書、米国薬局方(USP)および欧州薬局方(Ph.Eur.)に収載されている結合剤を使用することができる。例えば、結合剤として、セルロース系結合剤、デンプン系結合剤、ビニル系結合剤、ポリオール、アラビアゴム、アラビアゴム粉末、アラビアゴム末、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ショ糖、ゼラチン、デキストリン、プルラン、トラガント、トラガント末、キサンタンガム、ペクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、寒天、オウバク末、グァーガム、軽質無水ケイ酸、硬化油等が挙げられる。
セルロース系結合剤としては、カルボキシメチルセルロース(カルメロース、CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(HPMC)、メチルセルロース(MC)、結晶セルロース、微結晶セルロース、エチルセルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
デンプン系結合剤としては、澱粉、α化デンプン、部分α化デンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、有孔デンプン、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム(カルボキシメチルスターチナトリウム) 等が挙げられる。
ビニル系結合剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(ポビドン)(PVP)、カルボキシビニルポリマー、コポリビドン等が挙げられる(下位概念)。
ポリオールとしては、マクロゴール(ポリエチレングリコール)200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000、グリセリン、ポリオキシエチレン[105]ポリオキシプロピレン[5]グリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
好ましくは、セルロース系結合剤であり、より好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)であり、特に好ましくは、ヒプロメロースである。これらの結合剤は、1種類のみ、または2種類以上用いてもよい。また、上記記載の添加剤は、結合剤として用いる以外に、他の用途で用いてもよい。
【0031】
本発明製剤中の結合剤の含有量は、特に限定はされないが、製剤全量に対して、0.01~10.0重量%、好ましくは0.05~5.0重量%、より好ましくは0.1~2.5重量%である。また、本発明製剤に用いられる化合物1重量部に対して、結合剤は、1~30重量部、好ましくは、2.5~25重量部、より好ましくは、5~20重量部である。この量の範囲外ならば、製剤の製造が困難になるおそれがある。結合剤を2種以上使用する場合、結合剤の全量が、上記含有量の範囲であればよい。
【0032】
本発明製剤は、滑沢剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、食品添加物公定書、米国薬局方(USP)および欧州薬局方(Ph.Eur.)に収載されている滑沢剤を使用することができる。
例えば、滑沢剤として、ステアリン酸およびステアリン酸金属塩、無機系滑沢剤、疎水性滑沢剤、親水性滑沢剤、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
ステアリン酸およびステアリン酸金属塩としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ポリオキシル40等が挙げられる。
無機系滑沢剤としては、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
疎水性滑沢剤としては、カカオ脂、カルナウバロウ、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油、サラシミツロウ、ダイズ硬化油、ミツロウ、セタノール、ラウリル酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
親水性滑沢剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(マクロゴール)等が挙げられる。
好ましくは、ステアリン酸金属塩、無機系滑沢剤であり、より好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムであり、特に好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、タルクである。これらの滑沢剤は、1種類のみ、または2種類以上用いてもよい。また、上記記載の添加剤は、滑沢剤として用いる以外に、他の用途で用いてもよい。
【0033】
本発明製剤中の滑沢剤の含有量は、特に限定はされないが、製剤全量に対して、0.01~5.0重量%、好ましくは0.02~2.5重量%、より好ましくは0.05~2.0重量%である。また、本発明製剤に用いられる化合物1重量部に対して、滑沢剤は、0.1~50重量部、好ましくは、0.5~40重量部、より好ましくは、1~30重量部である。この量の範囲外ならば、製剤が十分流動しないおそれがある。滑沢剤を2種以上使用する場合、滑沢剤の全量が、上記含有量の範囲であればよい。
【0034】
本発明製剤は、製剤の固化を防止し、包装や輸送および消費を容易にするために、固化防止剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、食品添加物公定書、米国薬局方(USP)および欧州薬局方(Ph.Eur.)に記載されている添加剤を固化防止剤として使用することができる。例えば、固化防止剤として、粉末セルロース,ステアリン酸ナトリウム,タルク、二酸化ケイ素,コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム,ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム,酸化マグネシウム等が挙げられる。好ましくは,タルクである。これらの固化防止剤は、1種類のみ、または2種類以上用いてもよい。また、上記記載の添加剤は、固化防止剤として用いる以外に、他の用途で用いてもよい。
【0035】
本発明製剤中の固化防止剤の含有量は、特に限定はされないが、製剤全量に対して、0.1~5.0重量%、好ましくは0.2~2.5重量%、より好ましくは0.25~2.0重量%である。また、本発明製剤に用いられる化合物1重量部に対して、固化防止剤は、0.1~50重量部、好ましくは、0.5~40重量部、より好ましくは、1~30重量部である。この量の範囲外ならば、製剤が十分流動しないおそれがある。固化防止剤を2種以上使用する場合、固化防止剤の全量が、上記含有量の範囲であればよい。
【0036】
本製剤は、色素または着色剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されている色素や着色剤を使用することができる。例えば、酸化鉄、タール色素および天然色素等が挙げられる。酸化鉄としては、三二酸化鉄、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄等がある。タール色素としては、食用黄色4 号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用青色1 号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色102号、食用赤色2号、食用赤色3号等がある。天然色素としては、ウコン抽出液、β-カロテン、カロチン液、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、ハダカムギ緑葉エキス末、裸麦緑葉青汁乾燥粉末、裸麦緑葉抽出エキス等がある。
【0037】
本製剤は、さらに必要であれば、上述以外の添加剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されている添加剤を使用することができる。また、これらの添加剤の含量は、任意の割合でよい。上述以外の添加剤としては、例えば、香料、流動化剤、矯味剤等が挙げられる。
香料として、例えば、オレンジエッセンス、オレンジ油、カラメル、カンフル、ケイヒ油、スペアミント油、ストロベリーエッセンス、チョコレートエッセンス、チェリーフレーバー、トウヒ油、パインオイル、ハッカ油、バニラフレーバー、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、ペパーミントエッセンス、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、メントール、レモンパウダー、レモン油、ローズ油等が挙げられる。
流動化剤として、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、タルク等が挙げられる。
矯味剤として、例えば、アスパルテーム、スクラロース、グリシン、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸、希塩酸、クエン酸およびその塩、無水クエン酸、L-グルタミン酸およびその塩、コハク酸およびその塩、酢酸、酒石酸およびその塩、炭酸水素ナトリウム、フマル酸およびその塩、リンゴ酸およびその塩、氷酢酸、イノシン酸二ナトリウム、ハチミツ等が挙げられる。
添加剤としては、有効成分の安定性が低減しない範囲であれば、通常、任意の量を単独あるいは混合して使用することができる。
【0038】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および安定化剤を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、安定化剤、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0039】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびアスコルビン酸類を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、アスコルビン酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0040】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および硫黄を含むアミノ酸類を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、硫黄を含むアミノ酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含む固形製剤がある。
【0041】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および亜硫酸類を含有する固形製剤がある。例えば。式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、亜硫酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0042】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびクエン酸類を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、クエン酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0043】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびリンゴ酸類を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、リンゴ酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0044】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびアスコルビン酸を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、アスコルビン酸、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0045】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびL-アスコルビン酸ナトリウムを含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、L-アスコルビン酸ナトリウム、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0046】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびエリソルビン酸を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、エリソルビン酸、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0047】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびL-システイン塩酸塩水和物を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、L-システイン塩酸塩水和物、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0048】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびL-メチオニンを含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、L-メチオニン、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0049】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびピロ亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0050】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、亜硫酸ナトリウム、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0051】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩または当該化合物若しくは当該塩の溶媒和物、および無水クエン酸を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、無水クエン酸、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0052】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物の製薬上許容される塩または当該化合物若しくは当該塩の溶媒和物、およびDL-リンゴ酸を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、DL-リンゴ酸、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0053】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、安定化剤、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0054】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、アスコルビン酸、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0055】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、L-アスコルビン酸ナトリウム、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0056】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、エリソルビン酸、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0057】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、L-システイン塩酸塩水和物、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0058】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、L-メチオニン、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0059】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0060】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、亜硫酸ナトリウム、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0061】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、無水クエン酸、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0062】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、DL-リンゴ酸、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0063】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および安定化剤を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0064】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびアスコルビン酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0065】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および硫黄を含むアミノ酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0066】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および亜硫酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0067】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびクエン酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0068】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびリンゴ酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、
室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0069】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびアスコルビン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0070】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびL-アスコルビン酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0071】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびエリソルビン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を
室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0072】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびL-システイン塩酸塩水和物、を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0073】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびL-メチオニンを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0074】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびピロ亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0075】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0076】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および無水クエン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0077】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびDL-リンゴ酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0078】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および安定化剤を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0079】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびアスコルビン酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0080】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および硫黄を含むアミノ酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0081】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および亜硫酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0082】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびクエン酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0083】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびリンゴ酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0084】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびアスコルビン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0085】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびL-アスコルビン酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0086】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびエリソルビン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0087】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびL-システイン塩酸塩水和物を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0088】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびL-メチオニンを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0089】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびピロ亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0090】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0091】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および無水クエン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0092】
有効成分である式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、およびDL-リンゴ酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0093】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および、安定化剤を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、安定化剤、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0094】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸類を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、アスコルビン酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0095】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および硫黄を含むアミノ酸類を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、硫黄を含むアミノ酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含む固形製剤がある。
【0096】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および亜硫酸類を含有する固形製剤がある。例えば。式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、亜硫酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0097】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびクエン酸類を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、クエン酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0098】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびリンゴ酸類を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、リンゴ酸類、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0099】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、アスコルビン酸、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0100】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびL-アスコルビン酸ナトリウムを含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、L-アスコルビン酸ナトリウム、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0101】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびエリソルビン酸を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、エリソルビン酸、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0102】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびL-システイン塩酸塩水和物を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、L-メチオニン、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0103】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびL-メチオニンを含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、L-メチオニン、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0104】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびピロ亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0105】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、亜硫酸ナトリウム、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0106】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および無水クエン酸を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、無水クエン酸、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0107】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびDL-リンゴ酸を含有する固形製剤がある。例えば、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、DL-リンゴ酸、ならびに賦形剤、崩壊剤、懸濁化剤、結合剤、滑沢剤および固化防止剤からなる群から選択される1以上を含有する固形製剤がある。
【0108】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、安定化剤、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0109】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、アスコルビン酸、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0110】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、L-アスコルビン酸ナトリウム、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0111】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、エリソルビン酸、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0112】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、L-システイン塩酸塩水和物、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0113】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、L-メチオニン、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0114】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0115】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、亜硫酸ナトリウム、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0116】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、無水クエン酸、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0117】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、DL-リンゴ酸、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを含有する固形製剤がある。
【0118】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および安定化剤を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0119】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0120】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および硫黄を含むアミノ酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0121】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および亜硫酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0122】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびクエン酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0123】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびリンゴ酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0124】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0125】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびL-アスコルビン酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0126】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびエリソルビン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0127】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびL-システイン塩酸塩水和物を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0128】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびL-メチオニンを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0129】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびピロ亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0130】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0131】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および無水クエン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0132】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびDL-リンゴ酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の総類縁物質の量が4.0%以下の固形製剤である。
【0133】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および安定化剤を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0134】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0135】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤の別の態様として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および硫黄を含むアミノ酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0136】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および亜硫酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0137】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびクエン酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0138】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびリンゴ酸類を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0139】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0140】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびL-アスコルビン酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0141】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびエリソルビン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0142】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびL-システイン塩酸塩水和物を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0143】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびL-メチオニンを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0144】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびピロ亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0145】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および亜硫酸ナトリウムを含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0146】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および無水クエン酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0147】
有効成分である式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、および添加剤を含有する固形製剤として、式(IA)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩、およびDL-リンゴ酸を含有する固形製剤があり、当該固形製剤を、室温下、水中に3時間懸濁した場合、式(IA)で示される化合物の類縁物質のうち、式(IA)で示される化合物の水酸化体および/またはカルボン酸体の量が1.0%以下の固形製剤である。
【0148】
本発明製剤の剤形は、固形製剤であればよい。例えば、顆粒剤、散剤、錠剤、細粒剤、丸剤等であればよいが、好ましくは顆粒剤または散剤である。日本薬局方第17改正によれば、顆粒剤とは、経口投与する粒状に造粒した製剤であり、散剤とは、経口投与する粉末状の製剤である。
【0149】
本発明製剤のうち、顆粒剤または散剤の製造方法は、特に制限されないが、以下の方法で製造することができる。例えば、本化合物、粒状または粉末状の賦形剤、崩壊剤等の添加剤を混合して、顆粒剤または散剤を製造する方法、別の態様として、本化合物、賦形剤、崩壊剤等の添加剤を混合した混合末を水等で練合した後、押し出し造粒する方法、別の態様として、本化合物、賦形剤、崩壊剤等の添加剤を混合した混合末に、水等を噴霧し、流動層造粒する方法、別の態様として、本化合物、賦形剤、崩壊剤等の添加剤を混合した混合末に、水等を噴霧し、撹拌造粒する方法、別の態様として、本化合物、賦形剤、崩壊剤等の添加剤を混合した混合末に、水等を噴霧し、転動造粒する方法、別の態様として、本化合物、賦形剤、崩壊剤等の添加剤を混合した混合末に、水等を噴霧し、転動流動造粒する方法等があるが、これらに限られるものではない。顆粒剤を得る場合、水以外にも有機溶媒(エタノール、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール等)、および水と有機溶媒の混合溶媒のいずれで造粒してもよい。また、顆粒剤を製造後、当該顆粒剤にコーティング剤を被覆することによって、顆粒剤を被覆することもできる。
【0150】
本発明製剤の平均粒子径は、特に制限されないが、体積平均粒子径で1~1000μm、好ましくは5~500μm、より好ましくは10~250μm、特に好ましくは100μmである。
【0151】
本発明製剤中の式(IA)で示される化合物の投与量は、通常、成人には本化合物として1回0.01~1.0mg、好ましくは、0.2mgを1日1回経口投与する。
【0152】
本発明製剤は、直接経口投与してもよいが、水に懸濁してもよい。
【0153】
本発明製剤は、製造初期において、目視で凝集塊を認めない。
【0154】
本発明製剤中の式(IA)で示される化合物含量の平均値は、95~105%である。また、個々の含量の標準偏差は、4.0%以下である。
【0155】
本発明製剤の溶出性は、日本薬局方 溶出試験法に準拠し、溶出試験第2液で試験を行った結果、試験開始15分後の溶出率は80%以上である。
【0156】
本発明製剤の水中懸濁性は良好である。本発明製剤 約500mgに対し、水5mLを添加した際に、容器を振とうすれば、特に約15秒間容器を振とうすれば、目視で均一な懸濁剤を得ることができる。
【実施例】
【0157】
以下、実施例、比較例および参考例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。実施例、比較例および参考例の製剤は、下記方法によって、製造した。
【0158】
(1)50℃、2週間 経時安定性試験における製剤中の安定化剤の影響
50℃、2週間保存後の経時安定性試験における製剤中の安定化剤の影響を調べるために、表1記載の製剤を製造した。安定化剤としては、実施例1、7、9、比較例1~9の安定化剤を用いた。
a.製剤製造法
式(IA)で示される化合物のトシル酸塩を60メッシュの篩で篩過した。D-マンニトール(Pearlitol 100SD(ROQUETTE社製))、クロスカルメロースナトリウム(AcDiSol,FMC社製)、ヒプロメロース(TC-5,信越化学工業社製)、ステアリン酸マグネシウム(MALLINCKRODT社製)及びタルク(MERCK社製)を30メッシュの篩で篩過した。
一部のD-マンニトール及び式(IA)で示される化合物のトシル酸塩を、ポリエチレン袋で予備混合した後、30メッシュの篩で篩過した。この混合末を以下「原薬予備混合末」という。
一方、一部のD-マンニトールで金網及び受け容器をリンスした。リンスに使用したD-マンニトールを含めて、ポリエチレン袋で予備混合した。
原薬予備混合末及びD-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム及びヒプロメロースを8LV型混合機によって混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム及びタルクを投入し,8LV型混合機によって混合した。この混合末を以下「原薬混合末」という。
一部の原薬混合末及び安定化剤をポリ袋で予備混合した後、30メッシュの篩で篩過した。その後、一部の原薬混合末及び安定化剤をポリ袋で混合した。なお、それぞれの安定化剤の1日最大投与量を考慮し、製剤中には、安定化剤として、表2~7の実施例1、7、9、比較例1~9に示す量を配合した。また、製剤中に安定化剤を配合しない製剤を比較例12とし、安定性を評価した。
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
b.安定性試験法
本発明製剤を褐色ガラス瓶閉栓状態で、50℃、2週間保管した。本発明製剤を所定量採取し、その試料中の式(IA)で示される化合物の類縁物質量を測定した。
(試料液調製方法)
試料を0.5g採取し、遠沈管に投入した.安定化剤1.0gを水/メタノール(3:1)混液1000mLに溶かした溶液10mLを正確に量り、試料を入れた遠沈管に投入した。遠沈管を室温で5分間振とうした後、時々振り混ぜながら2分間超音波照射した。そして、遠心分離 (3000rpm,10分間) した後の上澄みを、シリンジを用いて孔径0.45μmのメンブランフィルター(クロマトディスク25N、非水系)でろ過し、初流3mLを捨て、試料溶液とした。
(測定方法)
以下の方法、条件によって、液体クロマトグラフで、化合物の量を測定した。
・検出器:紫外吸光光度計 (測定波長:240nm)
・カラム:L-column ODS(充填剤3μm、4.6×100mm、化学物質評価研究機構製)
・カラム温度:45℃付近の一定温度
・移動相:pH6.1の20mmol/Lリン酸塩緩衝液/HPLC用アセトニトリル/HPLC用メタノール混液(13:6:1)
・移動相の送液:1.0mL/分
類縁物質量は、HPLCチャートのクロマトグラムのピーク面積の合計を100%とし、その量に対する割合(%)を算出した。
【0167】
c.結果
本発明製剤を50℃下、褐色ガラス瓶閉栓において2週間保存した。本発明製剤(実施例1、7、9、比較例1~9、12)を所定量採取し、その試料中の式(IA)で示される化合物の類縁物質量を測定した。表7には、安定化剤、安定化剤の配合量、個々の類縁物質量の最大値(%)、最大値を示した類縁物質及び総類縁物質量を示す。その結果、比較例2、6、8で総類縁物質量が4.0%以上であり、個々の類縁物質量の最大値は、1%以上であったが、それ以外の実施例1、7、9、比較例1、3~5、7、9および12の総類縁物質量は4%以下であり、実施例1、7、9、比較例1、3、5、7、9および12の個々の類縁物質量の最大値は、1%以下であった。
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
(2)水中における製剤の安定性試験
本化合物を含有する製剤における水中における安定化剤の影響を調べるために、表2~7記載の製剤の水中における安定性試験を行った。
a.製剤製造法
製剤として、表12記載の製剤を製造した。一部のD-マンニトール(Pearlitol 100SD(ROQUETTE社製))および式(IA)で示される化合物のトシル酸塩を、ポリエチレン袋 で予備混合した後、30メッシュの篩で篩過した。この混合末を以下「原薬予備混合末」という。
一方、一部のD-マンニトールで金網及び受け容器をリンスした。リンスに使用したD-マンニトールを含めて、ポリエチレン袋 で予備混合した。
原薬予備混合末およびD-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム(AcDiSol,FMC社製)、ヒプロメロース(TC-5,信越化学工業社製)を8LV型混合機 によって混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(MALLINCKRODT社製)及びタルク(MERCK社製)を投入し,8LV型混合機によって混合した。なお、それぞれの安定化剤の1日最大投与量を考慮し、製剤中には、安定化剤として、表2~7に示す量を配合した。
【0173】
【0174】
b.水中における安定性試験法
本発明製剤は、水中に懸濁する場合がある。そこで、本発明製剤を水道水中に懸濁し、安定性を改善することができる安定化剤を検討した。
(試験方法)
表1中の化合物Aのトシル酸塩および安定化剤以外の添加剤を含有する製剤1.875g、及び所定量の安定化剤を、100mLの容器に投入した。本容器に約70gの水道水を投入し、攪拌した。攪拌後に、水道水の投入量が合計75gとなるように追加で水道水を投入し、懸濁液を得た。水道水投入3時間後に、30秒間スターラーを用いて攪拌を行い、容器中央部から試料を採取し、その試料中の式(IA)で示される化合物の類縁物質量を測定した。
(試料液調製方法)
試料6mLをホールピペットで採取し、遠沈管に投入した。L-アスコルビン酸1.0gを水/メタノール(150:250)混液400mLに溶解した溶液4mLを正確に量り、試料を入れた遠沈管に投入した。遠沈管を室温で5分間振とうした後、時々振り混ぜながら2分間超音波照射した。そして、遠心分離 (3000rpm,10分間) した上澄みを、シリンジを用いて孔径0.45μmのメンブランフィルター(クロマトディスク25N,非水系)でろ過し、初流3mLを捨て、試料溶液とした。
(測定方法)
以下の方法、条件によって、液体クロマトグラフで、化合物の量を測定した。
・検出器:紫外吸光光度計 (測定波長:240nm)
・カラム:L-column ODS(充填剤3μm、3.0×100mm、化学物質評価研究機構製)
・カラム温度:45℃付近の一定温度
・移動相:pH6.1の20mmol/Lリン酸塩緩衝液/HPLC用アセトニトリル/HPLC用メタノール混液(13:6:1)
・移動相の送液:0.4mL/分
類縁物質量は、HPLCチャートのクロマトグラムのピーク面積の合計を100%とし、その量に対する割合(%)を算出した。
【0175】
c.結果
本発明製剤投入3時間後に、容器中央部から試料を採取し、その試料中の式(IA)で示される化合物の類縁物質量を測定した。表13~18には、安定化剤、個々の類縁物質量の最大値(%)および最大値を示した類縁物質を示す。その結果、実施例1~9の製剤では、いずれも個々の類縁物質の最大量が1.0%未満であり、この量は、ICH(医薬品規制調和国際会議)Q3Bガイドラインの安全性確認の閾値を満たすものであった。一方、比較例1~11の製剤、および安定化剤なし(比較例12)では、個々の類縁物質の最大量が1.0%以上であり、いずれも高い値を示した。
また、比較例1、3、5、7、9および12の製剤を50℃、2週間保存した場合、前述の通り、個々の類縁物質量の最大値は、1.0%以下であったが、これらの製剤を室温下、水中に3時間懸濁した場合、個々の類縁物質量の最大値は、1.0%以上であった。また、製剤によっては、50℃、2週間保存した場合と水中に3時間懸濁した場合で、最大値を示した類縁物質が異なる場合もあった。以上から、室温下、水中に3時間懸濁した場合の安定性は、50℃、2週間保存した場合の安定性とは異なる場合があり、経時安定性試験から水中における安定性を予想することは困難であると考えられた。
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
(3)安定化剤としてアスコルビン酸およびL-メチオニンを含有した製剤の安定性試験
安定化剤として優れた効果を有する、アスコルビン酸およびL-メチオニンをそれぞれ配合した製剤の安定性を検討するために、表19記載の製剤を製造した。
a.製剤製造法
原薬以外の原料を30メッシュで篩過した。一部のD-マンニトール及び抗酸化剤の混合末を製造するため,2Lハイスピードミキサー (アーステクニカ社) を用いて,水を添加しながら混合した 。その後、乾燥機MP-01 (パウレック社) で乾燥した 。この混合末を以下「抗酸化剤混合末」という。
式(IA)で示される化合物のトシル酸塩を60メッシュの篩で篩過した。一部のD-マンニトール及び式(IA)で示される化合物のトシル酸塩をポリエチレン袋で予備混合した後、30メッシュの篩で篩過した。一部のD-マンニトールで金網及び受け容器をリンスした。リンスに使用したD-マンニトールを含めて、ポリエチレン袋で予備混合した。この混合末を以下「原薬予備混合末」という。
原薬予備混合末及び一部のD-マンニトール、抗酸化剤混合末、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロースをポリエチレン袋内で混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム及びタルクを袋内に投入し、混合した。
【0183】
【0184】
b.安定性試験法
(試験方法)
本発明製剤を褐色ガラス瓶開栓状態で、40℃、75%相対湿度下、1週間保管した。本発明製剤を所定量採取し、その試料中の式(IA)で示される化合物の類縁物質量を測定した。
(試料液調製方法)
試料を0.5g採取し、遠沈管に投入した.L-アスコルビン酸1.0gを水/メタノール(3:1)混液1000mLに溶かした溶液10mLを正確に量り、試料を入れた遠沈管に投入した。遠沈管を室温で5分間振とうした後、時々振り混ぜながら2分間超音波照射した。そして、遠心分離 (3000rpm,10分間) した後の上澄みを、シリンジを用いて孔径0.45μmのメンブランフィルター(クロマトディスク25N、非水系)でろ過し、初流3mLを捨て、試料溶液とした。
(測定方法)
以下の方法、条件によって、液体クロマトグラフで、化合物の量を測定した。
・検出器:紫外吸光光度計 (測定波長:240nm)
・カラム:L-column ODS(充填剤5μm、4.6×250mm、化学物質評価研究機構製
・カラム温度:45℃付近の一定温度
・移動相:pH6.1の20mmol/Lリン酸塩緩衝液/HPLC用アセトニトリル/HPLC用メタノール混液(13:6:1)
・移動相の送液:1.0mL/分
類縁物質量は、以下の式から算出した
個々の類縁物質の量 (%)
= MS × (AT × F) / AS × 1/200000 × 1 / 0.02604 × 100 / Mt
MS:式(IA)で示される化合物の標準品の秤取量 (mg)
AT:試料溶液から得られる水酸化体より後に溶出するピークのうち,白試料由来以外の個々の類縁物質のピーク面積
F:感度係数 水酸化体;1.3,その他;1.0
AS:標準溶液から得られる式(IA)で示される化合物のピーク面積
1/200000:希釈倍率
0.02604:1 unit中の式(IA)で示される化合物の表示量 (mg)
Mt:試料採取量 (g)
【0185】
c.結果
本発明製剤を40℃、75%相対湿度下、褐色ガラス瓶開栓において、イニシャルおよび1週間保管後の総類縁物質量を表20に示す。ここで「イニシャル」とは、経時安定性試験開始前を意味する。その結果、実施例10および11の製剤の総類縁物質量は、イニシャル、1週間放置後とも、4.0%以下であった。
【0186】
【0187】
(4)安定化剤の含有量の検討
安定化剤であるアスコルビン酸を配合した製剤について、式(IA)で示される化合物の安定性が高くなり、類縁物質の生成が抑えられる、アスコルビン酸の含有量を検討するために、表21、22記載の製剤を製造した。
a.製剤製造法
原薬以外の添加剤を30メッシュで篩過した。原薬及び一部のD-マンニトールをポリエチレン袋内 で混合した後、30メッシュの篩で篩過した。一部のD-マンニトールで金網及び受け容器をリンスしたのち,ポリエチレン袋内で混合した。残りのD-マンニトール及びヒプロメロースを、袋に投入して、ポリエチレン袋内で混合した。その後、袋内にステアリン酸マグネシウム及びタルクを投入し、ポリエチレン袋で混合した。この混合末および所定量のアスコルビン酸をポリエチレン袋内で混合したのち、30メッシュの篩で篩過し、再び混合した。
【0188】
【0189】
【0190】
b.安定性試験法
(試験方法)
本発明製剤1.875gを100mLの容器に投入した。本容器に約70gの水道水を投入し、攪拌した。攪拌後に,水道水の投入量が合計75gとなるように追加で水道水を投入し、懸濁剤を得た。水道水投入3時間後に、30秒間スターラーを用いて攪拌を行い、容器中央部から試料を採取し、その試料中の式(IA)で示される化合物の類縁物質量を測定した。
(試料液調製方法)
試料を6mLホールピペットで採取し、遠沈管に投入した。L-アスコルビン酸1.0gを水/メタノール(150:250)混液400mLに溶かした溶液4mLを正確に量り、試料を入れた遠沈管に投入した。遠沈管を室温で5分間振とうした後、時々振り混ぜながら2分間超音波照射した。そして、遠心分離 (3000rpm,10分間) した上澄みを,シリンジを用いて孔径0.45μmのメンブランフィルター(クロマトディスク25N、非水系)でろ過し、初流3mLを捨て,試料溶液とした。
(測定方法)
以下の方法、条件によって、液体クロマトグラフで、化合物の量を測定した。
・検出器:紫外吸光光度計 (測定波長:240nm)
・カラム:L-column ODS(充填剤3μm、3.0×100mm、化学物質評価研究機構製)
・カラム温度:45℃付近の一定温度
・移動相:pH6.1の20mmol/Lリン酸塩緩衝液/HPLC用アセトニトリル/HPLC用メタノール混液(13:6:1)
・移動相の送液:0.4mL/分
(類縁物質量の算出)
類縁物質量は、以下の式から算出した。
個々の類縁物質の量 (%)
= MS × (AT × F) / AS × 1/200000 × 1 / 0.02604 × 100 / Mt
MS:式(IA)で示される化合物の標準品の秤取量 (mg)
AT:試料溶液から得られる水酸化体より後に溶出するピークのうち,白試料由来以外の個々の類縁物質のピーク面積
F:感度係数 水酸化体;1.3,その他;1.0
AS:標準溶液から得られる式(IA)で示される化合物のピーク面積
1/200000:希釈倍率
0.02604:1 unit中の式(IA)で示される化合物の表示量 (mg)
Mt:6mLホールピペットで採取した試料に含まれる製剤量 (g)
【0191】
c.結果
本発明製剤投入3時間後に、容器中央部から試料を採取し、その試料中の式(IA)で示される化合物の類縁物質量を測定した。表23には、参考例1~3、実施例12~14の総類縁物質量を示す。その結果、参考例1~3の製剤では、総類縁物質量が検出されたが、製剤中にアスコルビン酸が10mg以上含有する実施例12~14の製剤は、いずれも類縁物質は検出されなかった。従って、製剤中のアスコルビン酸の量が増加するに応じて、総類縁物質量が低減することが明らかとなった。
【0192】
【産業上の利用可能性】
【0193】
式(IA)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩を含有する本発明製剤は、安定化剤を種々の検討することによって、水中での安定性や経時安定性を向上することができた。これによって、本発明製剤を水中に懸濁することができ、小児でも本発明製剤を容易に服用することができる。