(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】太陽電池および太陽電池製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20241106BHJP
H01L 31/05 20140101ALI20241106BHJP
【FI】
H01L31/04 262
H01L31/04 570
(21)【出願番号】P 2021573021
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2020048012
(87)【国際公開番号】W WO2021149438
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2020009253
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】兼松 正典
(72)【発明者】
【氏名】吉河 訓太
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/158977(WO,A1)
【文献】特開2012-142452(JP,A)
【文献】国際公開第2012/124464(WO,A1)
【文献】特開2016-018997(JP,A)
【文献】国際公開第2019/139425(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の裏面に、それぞれ第1方向に延び、第1方向と交差する第2方向に交互に設けられる複数の第1半導体層および複数の第2半導体層と、
それぞれの前記第1半導体層の裏面側に前記第1方向に延びるよう積層される複数の第1ベース電極、およびそれぞれの第2半導体層の裏面側に前記第1方向に延びるよう積層される複数の第2ベース電極と、
それぞれの前記第1ベース電極に部分的に積層され、前記第2方向に並んで配設される複数の第1接続電極、およびそれぞれの前記第2ベース電極に部分的に積層され、前記第2方向に並んで配設される複数の第2接続電極と、
前記第1接続電極の裏面側に前記第2方向に延びるよう配設される第1配線材、および前記第2接続電極の裏面側に前記第2方向に延びるよう配設される第2配線材と、
を備え、
前記第1接続電極および前記第2接続電極は、それぞれ複数の微小パターンの集合体により構成され
、
前記複数の微小パターンは、それぞれ前記第1ベース電極または前記第2ベース電極を横断し、前記第1方向に一列に並んで、且つそれぞれ前記第1方向および前記第2方向に対して傾斜する方向に延びるよう形成される、太陽電池。
【請求項2】
半導体基板の裏面側に、それぞれ第1方向に延びる複数の帯状の第1半導体層および第2半導体層を第1方向と交差する第2方向に交互に形成する工程と、
前記第1半導体層に前記第1方向に延びるよう帯状の第1ベース電極を積層するとともに、前記第2半導体層に前記第1方向に延びるよう帯状の第2ベース電極を積層する工程と、
前記第2方向に並ぶよう前記第1ベース電極にそれぞれ部分的に第1接続電極を積層するとともに、前記第2方向に並ぶよう前記第2ベース電極にそれぞれ部分的に第2接続電極を積層する工程と、
前記第2方向に延びる第1配線材により前記第1接続電極の間を接続するとともに、前記第2方向に延びる第2配線材により前記第2接続電極の間を接続する工程と、
を備え、
前記第1接続電極および前記第2接続電極を積層する工程において、導電性ペーストのスクリーン印刷により、前記第1接続電極および前記第2接続電極をそれぞれ複数の微小パターンの集合体として形成
し、
前記複数の微小パターンは、それぞれ前記第1ベース電極または前記第2ベース電極を横断し、前記第1方向に一列に並び、且つそれぞれ前記第1方向および前記第2方向に対して傾斜する方向に延びるよう形成される、太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池および太陽電池製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の裏面に交互に形成される複数の帯状の第1型半導体層および第2半導体層と、第1半導体層および第2半導体層にそれぞれ積層される複数の帯状の第1ベース電極および第2ベース電極と、第1ベース電極および第2ベース電極に互い違いに積層される複数の第1接続電極および第2接続電極(以下、まとめて接続電極ということがある)と、複数の第1接続電極の間に架け渡すよう配置される第1配線材および複数の第2接続電極の間に架け渡すよう配置される第2配線材(以下、まとめて配線材ということがある)と、を備えるバックコンタクト型の太陽電池が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接続電極は、例えば銀ペーストのスクリーン印刷によって形成され得る。接続電極を形成するためのスクリーン印刷に用いられる印刷版は、通常、印刷しようとする部分が開口し、印刷すべき銀ペーストの厚みに対応する厚みを有する乳剤をメッシュに担持させた構成とされる。このようなスクリーン印刷によって形成した接続電極は、印刷版のメッシュおよび乳剤に対する銀ペーストの付着性に起因して、その表面に凹凸が形成され、高さがばらつく可能性がある。接続電極の高さにばらつきが生じると、高さが小さい接続電極に対する配線材の接続が不確実となるおそれがある。
【0005】
本発明は、配線材の接続が確実な太陽電池および太陽電池製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る太陽電池は、半導体基板と、前記半導体基板の裏面に、それぞれ第1方向に延び、第1方向と交差する第2方向に交互に設けられる複数の第1半導体層および複数の第2半導体層と、それぞれの前記第1半導体層の裏面側に前記第1方向に延びるよう積層される複数の第1ベース電極、およびそれぞれの第2半導体層の裏面側に前記第1方向に延びるよう積層される複数の第2ベース電極と、それぞれの前記第1ベース電極に部分的に積層され、前記第2方向に並んで配設される複数の第1接続電極、およびそれぞれの前記第2ベース電極に部分的に積層され、前記第2方向に並んで配設される複数の第2接続電極と、前記第1接続電極の裏面側に前記第2方向に延びるよう配設される第1配線材、および前記第2接続電極の裏面側に前記第2方向に延びるよう配設される第2配線材と、を備え、前記第1接続電極および前記第2接続電極は、それぞれ複数の微小パターンの集合体により構成される。
【0007】
前記太陽電池において、前記複数の微小パターンは、それぞれ前記第1ベース電極または前記第2ベース電極を横断し、且つ前記第1方向に一列に並んで形成されてもよい。
【0008】
前記太陽電池において、前記微小パターンは、それぞれ前記第1方向および前記第2方向に対して傾斜する方向に延びてもよい。
【0009】
本発明の別の態様に係る太陽電池製造方法は、半導体基板の裏面側に、それぞれ第1方向に延びる複数の帯状の第1半導体層および第2半導体層を第1方向と交差する第2方向に交互に形成する工程と、前記第1半導体層に前記第1方向に延びるよう帯状の第1ベース電極を積層するとともに、前記第2半導体層に前記第1方向に延びるよう帯状の第2ベース電極を積層する工程と、前記第2方向に並ぶよう前記第1ベース電極にそれぞれ部分的に第1接続電極を積層するとともに、前記第2方向に並ぶよう前記第2ベース電極にそれぞれ部分的に第2接続電極を積層する工程と、前記第2方向に延びる第1配線材により前記第1接続電極の間を接続するとともに、前記第2方向に延びる第2配線材により前記第2接続電極の間を接続する工程と、を備え、前記第1接続電極および前記第2接続電極を積層する工程において、導電性ペーストのスクリーン印刷により、前記第1接続電極および前記第2接続電極をそれぞれ複数の微小パターンの集合体として形成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配線材の接続が確実な太陽電池および太陽電池製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池を示す裏面図である。
【
図2】
図1の太陽電池のA-A線部分断面図である。
【
図3】
図1の太陽電池の配線材を除いた裏面側斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る太陽電池製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る太陽電池を示す裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、便宜上、見やすいように調整されている。
【0013】
<第1実施形態>
先ず、本発明の第1実施形態に係る太陽電池1について説明する。
図1は、太陽電池1の構成を示す裏面図である。
図2は、太陽電池1の部分断面図である。
図3は、太陽電池1の裏面側斜視図である。
【0014】
太陽電池1は、いわゆるヘテロ接合バックコンタクト型の太陽電池セルである。太陽電池1は、半導体基板11と、半導体基板11の裏面(光の入射面と反対側の面)に配設される複数の第1半導体層21および複数の第2半導体層22と、第1半導体層21および第2半導体層22の裏面にそれぞれ配設される複数の第1ベース電極31および複数の第2ベース電極32と、第1ベース電極31および第2ベース電極32にそれぞれ複数配設される複数の第1接続電極41および複数の第2接続電極42と、第2方向に並ぶ第1接続電極41間および第2接続電極42間をそれぞれ接続する第1配線材51および第2配線材52と、を備える。なお、
図3では、第1接続電極41および第2接続電極42を見やすくするために第1配線材51および第2配線材52は省略されている。
【0015】
半導体基板11は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。半導体基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子および正孔)を生成する光電変換基板として機能する。半導体基板11の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であっても比較的高出力(照度によらず安定した出力)が得られる。
【0016】
第1半導体層21および第2半導体層22は、互いに異なる導電型を有する。例として、第1半導体層21はp型半導体から形成され、第2半導体層22はn型半導体から形成される。第1半導体層21および第2半導体層22は、例えば所望の導電型を付与するドーパントを含有するアモルファスシリコン材料で形成することができる。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられ、n型ドーパントとしては、例えば上述したリン(P)が挙げられる。
【0017】
第1半導体層21および第2半導体層22は、それぞれ第1方向に延びる帯状に形成される。太陽電池1では、複数の第1半導体層21および複数の第2半導体層22が第1方向と交差する第2方向に交互に設けられる。第1半導体層21および第2半導体層22は、半導体基板11の略全面を覆うように配設されることが好ましい。第1ベース電極31および第2ベース電極32は、第1半導体層21および第2半導体層22からそれぞれ電荷を収集する。
【0018】
第1ベース電極31および第2ベース電極32は、導電性粒子とバインダーとを含む導電性ペーストから形成することができる。具体的な導電性ペーストとしては、代表的には銀ペーストを挙げることができる。導電性ペーストを用いることによって、電気抵抗を小さくできるような十分な厚みを有する第1ベース電極31および第2ベース電極32を比較的安価に形成することができる。また、第1ベース電極31および第2ベース電極32は、半導体基板11の裏面側全体を覆うよう積層された金属層をレジストパターンを用いたエッチングによりパターニングすることで形成してもよい。この場合の金属層は、例として、スパッタリング、無電解メッキ等により形成したシード層に電気メッキによって金属を積層することで形成することができる。
【0019】
第1接続電極41は、それぞれの第1ベース電極31に部分的に積層され、第1方向および第2方向に間隔を空けて並んだ行列状に配列される。第2接続電極42は、それぞれの第2ベース電極32に部分的に積層され、第1方向および第2方向に第1接続電極41と互い違いに間隔を空けて並ぶ行列状に配列される。第1接続電極41は、第1ベース電極31と第1配線材51との間に介在して第1配線材51を第2ベース電極32から離間させる。第2接続電極42は、第2ベース電極32と第2配線材52との間に介在して第2配線材52を第1ベース電極31から離間させる。
【0020】
第1接続電極41および第2接続電極42は、例えば銀ペースト等の導電性ペーストから形成されることができ、第1ベース電極31および第2ベース電極32との接着性を向上するために、第1ベース電極31および第2ベース電極32と同種の材料によって形成されることが好ましい。
【0021】
第1接続電極41および第2接続電極42は、それぞれ複数の微小パターン(第1接続電極41の第1微小パターン411および第2接続電極42の第2微小パターン421)の集合体により形成される。第1接続電極41および第2接続電極42をそれぞれ複数の第1微小パターン411および複数の第2微小パターン421に分割して形成することによって、第1接続電極41および第2接続電極42の高さのばらつきを抑制することができる。
【0022】
本発明者らが検証した結果、第1接続電極41および第2接続電極42を導電性ペーストの印刷によって形成する際に、印刷版の開口が大きい程メッシュの撓み等の影響によって形成される第1接続電極41および第2接続電極42の表面の凹凸が大きくなることが分かった。このため、第1接続電極41および第2接続電極42を複数の第1微小パターン411および複数の第2微小パターン421に分割することによって、第1接続電極41および第2接続電極42の高さを均一にすることができると考えられる。
【0023】
本実施形態において、第1微小パターン411および第2微小パターン421は、それぞれ第1ベース電極31または第2ベース電極32を第2方向に横断し、且つ第1方向に一列に並んで形成されている。つまり、本実施形態において、微小パターン411,421は、それぞれ第2方向に延びる細長いブロック状に形成されている。
【0024】
一定の厚みを有する印刷版を用いて導電性ペーストを印刷しても、印刷された導電性ペーストのブロックは、導電性ペーストの流動により、肩(断面視で上側の角)が丸くなるように形状が崩れる。微小パターン411,421を細長いブロック状に形成することによって、印刷されたブロックの長手方向の崩れが抑制される。これにより、形成される微小パターン411,421の上面に一定の長さを有する面を形成することができるので、微小パターン411,421の高さのばらつきをさらに抑制できる。
【0025】
微小パターン411,421の第1方向の幅の下限としては、微小パターン411,421の崩れを抑制するために、30μmが好ましく、50μmがより好ましい。一方、微小パターン411の第1方向の幅の上限としては、微小パターン411,421の高さのばらつきを抑制するために、200μmが好ましく、150μmがより好ましい。
【0026】
微小パターン411,421の間隔の下限としては、印刷版の形成を可能とするために、50μmが好ましく、80μmがより好ましい。また、微小パターン411,421の間隔の上限としては、集合体として1つの第1接続電極41または第2接続電極42として機能、つまり個々の微小パターン411,421の位置を考慮せずに第1配線材51および第2配線材52を接続可能とするために、200μmが好ましく、150μmがより好ましい。
【0027】
第1配線材51は、第1接続電極41の裏面側に第2方向に延びるよう配設され、第2方向に並ぶ複数の第1接続電極41の間を電気的に接続する。第2配線材52は、第2接続電極42の裏面側に第2方向に延びるよう配設され、第2方向に並ぶ複数の第2接続電極42の間を電気的に接続する。
【0028】
第1配線材51および第2配線材52は、例えば銅線等の線状乃至帯状の導体によって形成することができる。第1配線材51および第2配線材52と第1接続電極41および第2接続電極42とは、例えばはんだ、導電性接着材等によって接続することができる。第1配線材51および第2配線材52として、外面を第1接続電極41および第2接続電極42と接続するためのはんだで被覆した金属線を用いてもよい。
【0029】
以上のように、太陽電池1は、第1接続電極41および第2接続電極42を複数の第1微小パターン411および複数の第2微小パターン421に分割したことで、第1接続電極41および第2接続電極42の高さのばらつきが抑制される。したがって、太陽電池1は、第1接続電極41および第2接続電極42への第1配線材51および第2配線材52の接続が確実であるため、信頼性が高い。
【0030】
続いて、太陽電池1を製造する方法について説明する。太陽電池1は、
図4に示す太陽電池製造方法によって製造することができる。
図4の太陽電池製造方法は、本発明に係る太陽電池製造方法の一実施形態である。
【0031】
本実施形態の太陽電池製造方法は、半導体基板11の裏面側に、それぞれ第1方向に延びる複数の帯状の第1半導体層21および第2半導体層22を第1方向と交差する第2方向に交互に形成する工程(ステップS1:半導体層形成工程)と、第1半導体層21に帯状の第1ベース電極31を積層するとともに、第2半導体層22に帯状の第2ベース電極32を積層する工程(ステップS2:ベース電極積層工程)と、第2方向に並ぶよう第1ベース電極31にそれぞれ部分的に第1接続電極41を積層するとともに、第2方向に並ぶよう第2ベース電極32にそれぞれ部分的に第2接続電極42を積層する工程(ステップS3:接続電極積層工程)と、第1半導体層21、第2半導体層22、第1ベース電極31、第2ベース電極32、第1接続電極41および第2接続電極42を焼成する工程(ステップS4:焼成工程)と、第1配線材51により複数の第1接続電極41の間を接続するとともに、第2配線材52により複数の第2接続電極42の間を接続する工程(ステップS5:配線材接続工程)と、を備える。
【0032】
ステップS1の半導体層形成工程では、半導体基板11の裏面に、第1半導体層21および第2半導体層22を第2方向に交互に並ぶよう形成する。具体的には、第1半導体層21および第2半導体層22は、半導体基板11の裏面にマスクを形成し、例えばCVD等の成膜技術によって半導体材料を積層することによって順番に形成することができる。
【0033】
ステップS2のベース電極積層工程では、第1の導電性ペーストを積層することにより、第1半導体層21の裏面側にそれぞれ第1方向に延びる複数の第1ベース電極31を形成するとともに、第2半導体層22に積層の裏面側にそれぞれ第1方向に延びる第2ベース電極32を形成する。第1の導電性ペーストは、スクリーン印刷によって選択的に積層することができる。また、ベース電極積層工程では、第1の導電性ペーストに含まれる溶剤を揮発させ、形成した第1ベース電極31および第2ベース電極32が容易に変形しないようにするための乾燥を行うことが好ましい。この乾燥の条件は、例えば150℃で3分間程度とすることができる。
【0034】
ステップS3の接続電極積層工程では、スクリーン印刷によって第2の導電性ペーストを積層することにより、第1ベース電極31の裏面側に第1接続電極41を形成するとともに、第2ベース電極32の裏面側に第2接続電極42を形成する。第1接続電極41および第2接続電極42は、それぞれ第1方向および第2方向に並ぶ行列状に配列され、且つ第1方向および第2方向に交互に配置されるよう形成される。また、接続電極積層工程でも、第2の導電性ペーストに含まれる溶剤を揮発させ、形成した第1接続電極41および第2接続電極42が容易に変形しないようにするための乾燥を行うことが好ましい。この乾燥の条件も、例えば150℃で3分間程度とすることができる。
【0035】
第2の導電性ペーストは、第1ベース電極31および第2ベース電極32に対する高い密着性を得るために、第1ベース電極31および第2ベース電極32を形成する第1の導電性ペーストと同種の材料を用いることが好ましく、同一の材料を用いることがより好ましい。
【0036】
接続電極積層工程では、第1接続電極41および第2接続電極42をそれぞれ複数の微小パターン411,421の集合体として形成する。これにより、各微小パターン411,421を形成する印刷版の開口幅が小さくなるので、印刷版のメッシュの撓みを小さくすることができる。これにより、撓んだメッシュと乳剤とが形成する鋭角な角が印刷版を持ち上げる際に局所的に導電性ペーストを抱き込んで上方に持ち上げることによって第1接続電極41および第2接続電極42に局所的に高さが大きい部分を形成することが抑制されると考えられる。これにより、第1接続電極41および第2接続電極42の高さのばらつきが小さくなる。
【0037】
接続電極積層工程で用いる印刷版は、形成しようとする第1接続電極41および第2接続電極42の高さに対応する厚みを有し、印刷領域が開口した乳剤と、乳剤を担持するメッシュとを有する構成とされる。メッシュとしては、通常平織りの網が用いられる。メッシュの開口幅は、導電性ペーストの通過を阻害せず、微細なパターンを形成した場合にも乳剤を担持することができるよう、例えば50μm以上100μm以下とすることができる。
【0038】
ステップS04の焼成工程では、加熱により、第1ベース電極31、第2ベース電極32、第1接続電極41および第2接続電極42を形成する導電性ペーストを硬化させる。この焼成の条件は、例えば180℃で60分間程度とすることができる。
【0039】
ステップS5の配線材接続工程では、第2方向に延びる第1配線材51および第2配線材52によって第2方向に並ぶ第1接続電極41の間および第2接続電極42の間をそれぞれ接続する。これによって、
図1の太陽電池1を得ることができる。第1配線材51および第2配線材52としてはんだで被覆した金属線を用いる場合、第1配線材51および第2配線材52を配置して加熱することで、はんだを溶融させて第1配線材51を第1接続電極41に、第2配線材52を第2接続電極42に接続することができる。
【0040】
以上の太陽電池製造方法では、第1接続電極41および第2接続電極42を複数の微小パターン411,421に分割して形成するため、第1接続電極41および第2接続電極42の高さを均一化できるため、第1配線材51および第2配線材52が第1接続電極41および第2接続電極42から浮いて接続不良となることを抑制できる。したがって、本実施形態に係る太陽電池製造方法は、第1配線材51および第2配線材52の接続が確実で信頼性が高い太陽電池1を製造することができる。
【0041】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態に係る太陽電池1Aについて説明する。
図5は、本実施形態に係る太陽電池1Aの構成を示す裏面図である。なお、
図5の太陽電池1Aについて、
図1の太陽電池1と同様の構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
太陽電池1Aは、半導体基板11と、半導体基板11の裏面に配設される複数の第1半導体層21および複数の第2半導体層22と、第1半導体層21および第2半導体層22の裏面にそれぞれ配設される複数の第1ベース電極31および複数の第2ベース電極32と、それぞれの第1ベース電極31に1つずつ、第2方向に並んで配設される複数の第1接続電極41A、およびそれぞれの第2ベース電極32に1つずつ、第1方向の位置が第1接続電極41Aと異なるよう第2方向に並んで配設される複数の第2接続電極42Aと、第2方向に並ぶ第1接続電極41A間および第2接続電極42A間をそれぞれ接続する第1配線材51および第2配線材52と、第1ベース電極31の第2接続電極42Aと第2方向に並ぶ領域を被覆する第1絶縁部61および第2ベース電極32の第1接続電極41Aと第2方向に並ぶ領域を被覆する第2絶縁部62と、を備える。
【0043】
図5の太陽電池1Aの第1接続電極41Aおよび第2接続電極42Aの構成は、平面形状を除いて、
図1の太陽電池1の第1接続電極41および第2接続電極42の構成と同様である。第1接続電極41Aおよび第2接続電極42Aは、それぞれ複数の微小パターン(第1接続電極41Aの第1微小パターン411Aおよび第2接続電極42Aの第2微小パターン421A)の集合体により形成される。
【0044】
本実施形態において、第1微小パターン411Aおよび第2微小パターン421Aは、それぞれ第1ベース電極31または第2ベース電極32を第2方向に対して傾斜する方向に横断するよう延びる。個々の第1接続電極41Aおよび第2接続電極42Aにおいて、第1微小パターン411Aまたは第2微小パターン421Aは、それぞれ第1方向に一列に並んで形成されている。
【0045】
第1微小パターン411Aおよび第2微小パターン421Aが第2方向に対して傾斜していることによって、第1配線材51および第2配線材52の径が小さい場合にも、第1配線材51および第2配線材52が第1微小パターン411A間の隙間または第2微小パターン421A間の隙間に配置されて第1接続電極41Aまたは第2接続電極42Aと接触不良となることを防止できる。
【0046】
第1絶縁部61は、第1ベース電極31と第2配線材52との間を絶縁し、第2絶縁部62は、第2ベース電極32と第1配線材51との間を絶縁する。第1絶縁部61および第2絶縁部62を有することによって、第1接続電極41Aおよび第2接続電極42Aの高さを小さくしても、第1配線材51の第2ベース電極32との接触による短絡および第2配線材52の第1ベース電極31との接触による短絡を防止できる。
【0047】
第1絶縁部61および第2絶縁部62は、絶縁性を有するペースト状の材料の印刷および焼成によって形成することができる。第1絶縁部61および第2絶縁部62を形成する材料としては、例えばエポキシ樹脂等を主成分とする熱硬化性樹脂組成物を用いることができる。第1絶縁部61および第2絶縁部62を形成するペースト状の材料の焼成は、第1ベース電極31、第2ベース電極32、第1接続電極41Aおよび第2接続電極42Aを形成する導電性ペーストの焼成と同時に行ってもよい。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、本発明に係る太陽電池製造方法において、第1接続電極および第2接続電極を構成する複数の微小パターンは、それぞれ第2方向に並んで配設されてもよい。また、本発明に係る太陽電池は、上述した構成要素以外に、真性半導体層、パッシベーション層、反射防止膜、保護フィルム等のさらなる構成要素を備えてもよい。
【0049】
本発明に係る太陽電池製造方法において、第1ベース電極および第2ベース電極を印刷および焼成した後に第1接続電極および第2接続電極を印刷および焼成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,1A 太陽電池
11 半導体基板
21 第1半導体層
22 第2半導体層
31 第1ベース電極
32 第2ベース電極
41,41A 第1接続電極
42,42A 第2接続電極
51 第1配線材
52 第2配線材
61 第1絶縁部
62 第2絶縁部
411,411A 第1微小パターン
421,421A 第2微小パターン