(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ガット船の投入管理システムおよび投入管理方法
(51)【国際特許分類】
E02D 15/10 20060101AFI20241106BHJP
B66C 13/48 20060101ALI20241106BHJP
B66C 13/16 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
E02D15/10
B66C13/48 C
B66C13/16 Z
(21)【出願番号】P 2022024572
(22)【出願日】2022-02-21
【審査請求日】2023-09-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 東亜建設工業株式会社のホームページ(プレスリリース:人工知能(AI)画像認識技術を利用して海上土木工事の作業位置履歴の記録業務を効率化する「無線式ガット船施工支援システム」の機能拡充)、掲載アドレス(https://www.toa-const.co.jp/company/release/2021/211118.html)、掲載日2021年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219406
【氏名又は名称】東亜建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝行
(72)【発明者】
【氏名】藤山 映
(72)【発明者】
【氏名】那須野 陽平
(72)【発明者】
【氏名】宮本 憲都
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-066642(JP,A)
【文献】特開2021-147196(JP,A)
【文献】特開2014-172754(JP,A)
【文献】特開2010-261228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0198685(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/48
B66C 13/16
E02B 3/18
E02D 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガット船に搭載されたクレーンのグラブバケットを用いて施工水域に投入対象物を投入する作業の投入履歴を管理するガット船の投入管理システムにおいて、
前記施工水域の水上の画像データを逐次取得するカメラ装置と、前記クレーンのグラブバケットの平面位置情報を逐次取得する位置情報取得手段と、前記水上の画像データと前記平面位置情報が逐次入力される演算装置と、前記演算装置に接続されたモニタとを備えて、
前記演算装置は、グラブバケットが閉じた状態の画像データとグラブバケットが開いた状態の画像データとを教師データとして機械学習されたグラブバケットの開閉状態を判別する予測モデルが記憶されている記憶部と、前記予測モデルと前記水上の画像データとに基づいて前記クレーンのグラブバケットにより前記投入対象物が前記施工水域に投入されたか否かを逐次判定する判定部と、前記判定部が前記クレーンのグラブバケットにより前記投入対象物が前記施工水域に投入されたと判定した場合にその前記投入対象物が投入された時点の前記クレーンのグラブバケットの前記平面位置情報を投入履歴情報として記録する記録部と、前記記録部に記録された前記投入履歴情報を前記モニタに表示させる表示部とを有することを特徴とするガット船の投入管理システム。
【請求項2】
前記記録部は、前記施工水域を予め設定した複数の区画に区分けして、前記区画毎の前記クレーンのグラブバケットによる前記投入対象物の投入回数を前記投入履歴情報として記録し、前記表示部は、前記モニタに前記区画毎の前記投入回数を示す情報を表示させる請求項1に記載のガット船の投入管理システム。
【請求項3】
前記表示部は前記モニタに、それぞれの前記区画を区分する境界線と前記区画毎の前記投入回数を示す情報を前記水上の画像データに重ね合わせて表示させる請求項2に記載のガット船の投入管理システム。
【請求項4】
前記判定部による判定対象範囲を前記水上の画像データの任意の範囲に設定可能な構成である請求項1~3のいずれかに記載のガット船の投入管理システム。
【請求項5】
前記モニタに表示される前記水上の画像データ上で前記判定対象範囲を設定可能な構成である請求項4に記載のガット船の投入管理システム。
【請求項6】
ガット船に搭載されたクレーンのグラブバケットを用いて施工水域に投入対象物を投入する作業の投入履歴を管理するガット船の投入管理方法において、
カメラ装置により前記施工水域の水上の画像データを逐次取得するとともに、位置情報取得手段により前記クレーンのグラブバケットの平面位置情報を逐次取得し、前記水上の画像データと前記平面位置情報とを演算装置に逐次入力して、
前記演算装置には、グラブバケットが閉じた状態の画像データとグラブバケットが開いた状態の画像データとが教師データとして機械学習されたグラブバケットの開閉状態を判別する予測モデルを予め記憶させておき、前記演算装置を用いて、前記予測モデルと前記水上の画像データとに基づいて前記クレーンのグラブバケットにより前記投入対象物が前記施工水域に投入されたか否かを逐次判定し、前記クレーンのグラブバケットにより前記投入対象物が前記施工水域に投入されたと判定した場合には、その前記投入対象物が投入された時点の前記クレーンのグラブバケットの前記平面位置情報を投入履歴情報として記録し、その記録した前記投入履歴情報をモニタに表示させることを特徴とするガット船の投入管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガット船の投入管理システムおよび投入管理方法に関し、さらに詳しくは、ガット船に搭載されたクレーンのグラブバケットによる投入対象物の投入履歴を管理するに際して、利用するガット船の仕様に拘わらず、簡便に適用できるガット船の投入管理システムおよび投入管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガット船に積載した捨石などの投入対象物をガット船に搭載されたクレーンのグラブバケットを用いて施工水域に投入する工事が行われている。従来では、クレーンのグラブバケットによる投入対象物の投入位置と投入回数を管理者が目視で確認して投入履歴として記録していた。そのため、グラブバケットによる投入作業を監視する管理者を設ける必要があり、投入履歴の記録に多くの労力を要していた。また、管理者による目視確認では見落としなどの人為的なミスが生じる懸念があった。
【0003】
そこで、ガット船のクレーンによる投入履歴を機械的に記録する投入管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の投入管理システムでは、グラブバケットにより中詰砂が投入されたか否かを判定するために、グラブバケットの実際の開閉やグラブ開閉ワイヤの送り出しを検知するグラブ開閉センサを、グラブバケットに設置している。しかしながら、捨石などの投入工事を行う施工業者は自社ではなくレンタル会社が所有するガット船を利用する場合が多く、施工で使用するガット船が備えているクレーンのグラブバケットの仕様(開閉する仕組みや構造など)を予め把握できない場合がある。それ故、グラブバケットにグラブ開閉センサを設置する方法では、その都度使用するガット船のグラブバケットの仕様に合わせてセンサを固定する位置やセンサの感度などを調整する必要があり、センサのセッティング作業に多くの手間と時間を要する。また、グラブバケットを船倉に積載した投入対象物に着床させる際やグラブバケットの開閉を行う際には、グラブバケットは激しく振動する。そのため、グラブバケットに設置したセンサは故障や誤作動し易いという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ガット船に搭載されたクレーンのグラブバケットによる投入対象物の投入履歴を管理するに際して、利用するガット船の仕様に拘わらず、簡便に適用できるガット船の投入管理システムおよび投入管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のガット船の投入管理システムは、ガット船に搭載されたクレーンのグラブバケットを用いて施工水域に投入対象物を投入する作業の投入履歴を管理するガット船の投入管理システムにおいて、前記施工水域の水上の画像データを逐次取得するカメラ装置と、前記クレーンのグラブバケットの平面位置情報を逐次取得する位置情報取得手段と、前記水上の画像データと前記平面位置情報が逐次入力される演算装置と、前記演算装置に接続されたモニタとを備えて、前記演算装置は、グラブバケットが閉じた状態の画像データとグラブバケットが開いた状態の画像データとを教師データとして機械学習されたグラブバケットの開閉状態を判別する予測モデルが記憶されている記憶部と、前記予測モデルと前記水上の画像データとに基づいて前記クレーンのグラブバケットにより前記投入対象物が前記施工水域に投入されたか否かを逐次判定する判定部と、前記判定部が前記クレーンのグラブバケットにより前記投入対象物が前記施工水域に投入されたと判定した場合にその前記投入対象物が投入された時点の前記クレーンのグラブバケットの前記平面位置情報を投入履歴情報として記録する記録部と、前記記録部に記録された前記投入履歴情報を前記モニタに表示させる表示部とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明のガット船の投入管理方法は、ガット船に搭載されたクレーンのグラブバケットを用いて施工水域に投入対象物を投入する作業の投入履歴を管理するガット船の投入管理方法において、カメラ装置により前記施工水域の水上の画像データを逐次取得するとともに、位置情報取得手段により前記クレーンのグラブバケットの平面位置情報を逐次取得し、前記水上の画像データと前記平面位置情報とを演算装置に逐次入力して、前記演算装置には、グラブバケットが閉じた状態の画像データとグラブバケットが開いた状態の画像データとが教師データとして機械学習されたグラブバケットの開閉状態を判別する予測モデルを予め記憶させておき、前記演算装置を用いて、前記予測モデルと前記水上の画像データとに基づいて前記クレーンのグラブバケットにより前記投入対象物が前記施工水域に投入されたか否かを逐次判定し、前記クレーンのグラブバケットにより前記投入対象物が前記施工水域に投入されたと判定した場合には、その前記投入対象物が投入された時点の前記クレーンのグラブバケットの前記平面位置情報を投入履歴情報として記録し、その記録した前記投入履歴情報をモニタに表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、グラブバケットが閉じた状態と開いた状態のそれぞれの画像データが教師データとして機械学習されたグラブバケットの開閉状態を判別する予測モデルと、カメラ装置によって逐次取得された施工水域の水上の画像データとを利用して、演算装置によりクレーンのグラブバケットにより投入対象物が施工水域に投入されたか否かを逐次判定する。カメラ装置の設置位置は、施工水域の水上の画像データを取得できる位置であれば特に限定されない。それ故、クレーンのグラブバケットにセンサを設置しなくとも、グラブバケットにより投入対象物が投入された時点の平面位置情報を投入履歴情報として記録して、その投入履歴情報をモニタに表示することが可能になる。これにより、ガット船に搭載されたクレーンのグラブバケットによる投入対象物の投入履歴を管理するに際して、利用するガット船(グラブバケット)の仕様に拘わらず、簡便に適用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のガット船の投入管理システムを搭載したガット船を側面視で例示する説明図である。
【
図2】
図1の投入管理システムの構成を模式的に例示する説明図である。
【
図3】
図1のモニタに表示される画像を例示する説明図である。
【
図4】
図1のモニタに表示される別の画像を例示する説明図である。
【
図5】
図1のモニタに表示されるさらに別の画像を例示する説明図である。
【
図6】本発明のガット船の投入管理システムの別の実施形態の構成を模式的に例示する説明図である。
【
図7】
図6のモニタに表示される画像を例示する説明図である。
【
図8】
図6のモニタに表示される別の画像を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のガット船の投入管理システムおよび投入管理方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1に例示する本発明の投入管理システム1は、ガット船20に搭載されたクレーン22のグラブバケット25を用いて投入対象物30(例えば、捨石や中詰砂など)を施工水域に投入する作業の投入履歴を管理する。ガット船20は投入対象物30を積載する船倉21を備えていて、甲板上にグラブバケット25を備えたクレーン22が搭載されている。
【0012】
図1および
図2に例示するように、投入管理システム1は、カメラ装置2、位置情報取得手段3、演算装置4およびモニタ5a、5bを備えている。この実施形態の投入管理システム1は、さらに、中継器6と演算装置4に対する入力手段7を備えている。
【0013】
カメラ装置2には例えば、デジタルカメラ等が使用される。
図3および
図4に例示するように、カメラ装置2は、クレーン22のグラブバケット25による投入対象物30の投入作業が行われる施工水域の水上の画像データWDを逐次取得する。この実施形態では、ガット船20の船橋26の上にカメラ装置2を設置し、カメラ装置2の撮影方向をガット船20の船体側方の施工水域を撮影する向きに設定している。
図3はグラブバケット25が閉じた状態であるときの水上の画像データWDを例示し、
図4はグラブバケット25が開いて投入対象物30が施工水域に投入されたときの水上の画像データWDを例示している。カメラ装置2が取得した水上の画像データWDは、演算装置4に逐次入力される。
【0014】
カメラ装置2の設置位置は、施工水域の水上の画像データWDを取得できる位置であれば特に限定されない。カメラ装置2はガット船20に限らず、ガット船20以外の別の場所(例えば、他船や防波堤、岸壁、水上構造物など)に設置することもできる。また、カメラ装置2の設置台数や設置位置などは、ガット船20の構造やカメラ装置2の画角等に応じて適宜決定できる。ガット船20の構造体や積載物などにより1台のカメラ装置2で撮影できない死角が生じる場合には、カメラ装置2を複数箇所に設置して、複数方向から施工水域の水上の画像データWDを取得することもできる。
【0015】
施工水域が暗い夜間や天候不良時などには、照明機を使用してカメラ装置2による撮影を行うこともできる。カメラ装置2として例えば、暗所でも撮影可能な赤外線暗視カメラや低照度カメラ(高感度カメラ)等を採用することもできる。低照度カメラ(高感度カメラ)は、暗所においても撮影可能なワイドダイナミックレンジ機能(WDR機能)等の画像処理機能を搭載し、施工水域の照度が0.005Lux程度の低照度においても撮影可能である。
【0016】
位置情報取得手段3は、クレーン22のグラブバケット25の平面位置情報(平面視での2次元位置座標情報)を逐次取得する。位置情報取得手段3としては、全地球測位システムから平面位置情報を受信するGNSS受信装置などが例示できる。この実施形態では、クレーン22のブーム23の先端部23aに、位置情報取得手段3としてGNSS受信装置を設置している。グラブバケット25は吊ワイヤ24によってブーム23の先端部23aの下方に吊り下げられているので、ブーム23の先端部23aの平面位置情報を取得することで、グラブバケット25の平面位置情報を取得できる。
【0017】
この実施形態では、位置情報取得手段3(GNSS受信装置)が受信した平面位置情報は、船橋26の上に設置された中継器6に無線で逐次送信され、中継器6が受信した平面位置情報は船橋26の操船室に設置された演算装置4に無線で逐次送信される構成になっている。中継器6の設置位置は特に限定されず、他の場所に配置することもできる。中継器6は任意で設けることができ、例えば、中継器6を設けずに位置情報取得手段3(GNSS受信装置)が取得した平面位置情報を演算装置4に直接入力する構成にすることもできる。位置情報取得手段3は、グラブバケット25の平面位置情報を取得できる構成であれば、この実施形態に限定されず他にも様々な構成にすることができる。
【0018】
演算装置4には、コンピュータ等を用いる。この実施形態では、船橋26の室内に管理者用のモニタ5aを配置し、クレーン22の運転室22aにオペレーター用のモニタ5bを配置している。オペレーター用のモニタ5bは任意で設けることができる。入力手段7としては、マウスやキーボード、モニタ5aに設けられたタッチパネル機能等が例示できる。演算装置4、モニタ5aおよび入力手段7は、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータや多機能携帯端末(タブレット等)などで構成することもできる。
【0019】
図2に例示するように、演算装置4には、カメラ装置2、モニタ5a、5bおよび入力手段7がそれぞれ通信可能に接続されている。位置情報取得手段3は、中継器6を介して演算装置4に通信可能に接続されている。演算装置4には、カメラ装置2によって取得された水上の画像データWDと、位置情報取得手段3によって取得されたグラブバケット25の平面位置情報とがそれぞれ逐次入力される。演算装置4の設置位置は特に限定されない。
【0020】
演算装置4は、機能要素として記憶部4a、判定部4b、記録部4cおよび表示部4dを有している。この実施形態の演算装置4はさらに、機能要素として対象範囲設定部4eを有している。記憶部4aには、グラブバケット25が閉じた状態の画像データとグラブバケット25が開いた状態の画像データとを教師データとして機械学習されたグラブバケット25の開閉状態を判別する予測モデル(コンピュータプログラム)が記憶されている。
【0021】
記憶部4aには、教師データとして閉じた状態のグラブバケット25と開いた状態のグラブバケット25をそれぞれ様々な角度から撮影した多数の画像データが記憶されている。記憶部4aに記憶させるグラブバケット25の画像データは、投入履歴の管理を行うクレーン22のグラブバケット25を撮影した画像データに限らず、別のグラブバケット25の画像データであってもよい。
【0022】
ガット船20によって捨石などの投入工事を行う施工業者は自社ではなくレンタル会社が所有するガット船20を利用する場合が多い。そのため、ガット船20の仕様やガット船20のクレーン22が備えているグラブバケット25の仕様(種類やサイズ等)を予め把握できない場合がある。投入作業で使用するグラブバケット25は主に、多数の爪を有するオレンジピール型と、左右一対のシェルを有するクラムシェル型とに分類できるが、爪やシェルの形状は多岐にわたる。そのため、使用するグラブバケット25の仕様を事前に把握していない場合には、記憶部4aには予め様々な仕様のグラブバケット25の画像データを記憶させておくことが好ましい。グラブバケット25の画像データは、オレンジピール型やクラムシェル型などの種類毎にカテゴリー分けして記憶させておくこともできる。
【0023】
グラブバケット25が閉じた状態と開いた状態とでは、グラブバケット25の爪やシェルの向き、爪どうしやシェルどうしの相対的な位置関係等が異なる。それ故、閉じた状態のグラブバケット25の画像データと開いた状態のグラブバケット25の画像データとを教師データとして用いて、グラブバケット25が閉じている状態と開いている状態との相違点を人工知能(AI)に機械学習させることで、グラブバケット25の開閉状態を判別する予測モデルを生成することが可能である。記憶部4aによる機械学習の手法としては、例えば、ディープラーニングや、ニューラルネットワーク、回帰、クラスタリング、パターンマッチングなどが例示できる。記憶部4aには、例えば、グラブバケット25のオレンジピール型やクラムシェル型などの種類毎に別々の予測モデルを生成して記憶させておくこともできる。
【0024】
判定部4bは、記憶部4aに予め記憶されている前述した予測モデルと、カメラ装置2から入力された施工水域の水上の画像データWDとに基づいて、グラブバケット25により投入対象物30が施工水域に投入されたか否かを逐次判定する。より詳しくは、判定部4bは、予測モデルにより、施工水域の水上に位置するグラブバケット25が閉じた状態から開いた状態に変わったことを検出したときに、グラブバケット25により投入対象物30が施工水域に投入されたと判定する。判定部4bは、グラブバケット25が開いた状態から閉じた状態に変わったときには、グラブバケット25により投入対象物30が施工水域に投入されたとは判定しない。
【0025】
記録部4cは、判定部4bがグラブバケット25により投入対象物30が施工水域に投入されたと判定した場合にその投入対象物30が投入された時点のグラブバケット25の平面位置情報を投入履歴情報として記録する。より具体的には、
図5に例示するように、記録部4cは、例えば、施工水域を予め設定した複数の区画Sに区分けして、区画S毎のグラブバケット25による投入対象物30の投入回数を投入履歴情報として記録する。この実施形態では、施工水域を平面視で格子状に複数の区画Sに区分けして、それぞれの区画Sの投入回数を投入履歴情報として記録している。施工水域の区分けの仕方や区画Sの数などは、入力手段7により、施工水域の広さや要求される施工精度などに応じて予め所望の条件に設定できる構成になっている。
【0026】
表示部4dは、
図5に例示するように、記録部4cに記録された投入履歴情報をモニタ5a、5bに表示させる。この実施形態では、モニタ5a、5bに投入履歴情報として、平面視で区画S毎の投入回数を表記した平面視データPDが表示される構成になっている。モニタ5a、5bには、さらに、カメラ装置2によって取得された施工水域の水上の画像データWDもリアルタイムで表示される構成になっている。
【0027】
対象範囲設定部4eは、カメラ装置2が取得する施工水域の水上の画像データWDにおける判定部4bによる判定対象範囲Jを設定する。この実施形態では、判定部4bによる判定対象範囲Jをカメラ装置2が取得した水上の画像データWDの任意の範囲に設定可能な構成になっている。
図3および
図4に例示するように、この実施形態では、モニタ5aに表示される水上の画像データWD上で判定部4bによる判定対象範囲Jを設定可能な構成になっている。
図3および
図4では、判定対象範囲Jを示す外枠を一点鎖線で示している。
【0028】
次に、この投入管理システム1を用いたガット船20の投入管理方法を説明する。
【0029】
ガット船20に投入管理システム1をセッティングする作業では、カメラ装置2を、投入対象物30の投入対象となる施工水域の水上を撮影可能な位置に設置する。カメラ装置2はガット船20に設置してもよいし、ガット船20以外の別の場所(例えば、他船や防波堤、岸壁、水上構造物など)に設置してもよい。さらに、位置情報取得手段3(GNSS受信装置)をクレーン22のブーム23の先端部23aに設置し、中継器6をガット船20の所定位置に設置する。演算装置4、モニタ5aおよび入力手段7は、管理者が投入作業の管理を行う船橋26の室内などに配置する。また、クレーン22の運転室22aにモニタ5bを配置する。
【0030】
管理者は入力手段7を用いて演算装置4(記憶部4a、判定部4b、記録部4c)に対して、施工水域の区画Sの区分けの設定と、判定対象とするグラブバケット25の種類の設定を行う。施工水域の区分けの仕方や区画Sの数、各区画Sの広さや形状などは、入力手段7を用いてモニタ5aの画面上で適宜設定することができる。
【0031】
グラブバケット25の種類の設定画面では、例えば、モニタ5aにグラブバケット25の種類を示すオレンジピール型やクラムシェル型などの選択肢が表示され、管理者は入力手段7を用いてその選択肢の中から判定対象とするグラブバケット25の種類を選択して設定する。判定部4bは、予め記憶されている予測モデルの中から、設定された種類のグラブバケット25に対応する予測モデルを選択して判定に用いる。判定対象とするグラブバケット25の種類は、判定部4bがカメラ装置2から入力された施工水域の水上の画像データWDと教師データとして予め記憶されている様々なグラブバケット25の画像データとに基づいて、水上の画像データWDに写るグラブバケット25の種類を機械的に識別し、判定部4bがその識別したグラブバケット25の種類に対応する予測モデルを自動的に選択して使用する構成にすることもできる。
【0032】
なお、グラブバケット25の種類を区別することなく機械学習により予測モデルを生成しておき、判定部4bに対して判定対象とするグラブバケット25の種類の選定を行わずに、常に同じ予測モデルを使用する構成にすることもできる。
【0033】
管理者は、さらに、入力手段7を用いて演算装置4(対象範囲設定部4e)に対して、水上の画像データWDにおける判定部4bによる判定対象範囲Jを設定する。判定対象範囲Jは、投入対象物30を投入する施工水域の全範囲または一部の範囲に設定する。投入対象物30を投入しない範囲、具体的には例えば、ガット船20の船上や施工水域外の水域、陸上などは判定対象範囲Jに含めずに判定対象外とする。
【0034】
図3および
図4に例示するように、この実施形態では、カメラ装置2によって取得された施工水域の水上の画像データWDがモニタ5aに表示され、モニタ5aに表示される水上の画像データWD上で判定部4bによる判定対象範囲Jを設定できる構成になっている。より具体的には、入力手段7を用いて、水上の画像データWD上に重ねて表示される判定対象範囲Jを示す外枠の位置や広さを変更することで、判定対象範囲Jを水上の画像データWD上の所望の範囲に設定できる構成になっている。以上により、投入管理システム1のセッティング作業が完了する。
【0035】
クレーン22のグラブバケット25による投入対象物30の投入作業を開始し、その投入履歴の管理を行う際には、カメラ装置2により、施工水域の水上の画像データWDを逐次取得するとともに、位置情報取得手段3によりクレーン22のグラブバケット25の平面位置情報を逐次取得する。そして、取得した水上の画像データWDと平面位置情報を演算装置4にそれぞれ逐次入力する。
【0036】
そして、演算装置4を用いて、記憶部4aに予め記憶されているグラブバケット25の開閉状態を判別する予測モデルと、カメラ装置2から入力された水上の画像データWDとに基づいて、クレーン22のグラブバケット25により投入対象物30が施工水域に投入されたか否かを逐次判定する。そして、判定部4bによりクレーン22のグラブバケット25により投入対象物30が施工水域に投入されたと判定した場合には、記録部4cにより、その投入対象物30が投入された時点のクレーン22のグラブバケット25の平面位置情報を投入履歴情報として記録する。そして、表示部4dにより、その記録した投入履歴情報をモニタ5a、5bに表示させる。
【0037】
図3および
図4に例示するように、モニタ5a、5bには、カメラ装置2によって取得された施工水域の水上の画像データWDが逐次表示される。また、
図5に例示するように、モニタ5a、5bには記録部4cに記録された投入履歴情報が表示される。この実施形態では、モニタ5a、5bに投入履歴情報として、施工水域を平面視で示す平面視データPD(グリット図)が表示され、平面視データPDには区画Sを区分する境界線Lと区画S毎の投入回数を示す情報が表示される構成になっている。
図5では、区画S毎の投入回数を示す情報として数字を表示する場合を例示しているが、区画S毎の投入回数を示す情報として、例えば、投入回数毎に異なる色や模様で識別できる構成にすることもできる。
【0038】
図5に例示する投入履歴情報は、施工水域の水上の画像データWD上に重ねて表示させることもできるし、水上の画像データWDに重ねずに別の位置に表示させることもできる。管理者はモニタ5aに表示される施工水域の水上の画像データWDと投入履歴情報を確認することで、投入作業の施工状況と投入履歴を管理する。
【0039】
この実施形態では、さらに、表示部4dにより、モニタ5a(5b)に表示される水上の画像データWDに重ね合わせて判定部4bによるグラブバケット25の開閉状態の判定結果が逐次表示される構成になっている。具体的には、施工水域の水上の画像データWDにおいて判定部4bがグラブバケット25として検知している範囲を示す枠と、グラブバケット25が閉じた状態(CLOSE)であるか開いた状態(OPEN)であるかの識別結果を示す開閉識別表示IDが、水上の画像データWDに重ね合わせて表示される構成になっている。管理者はモニタ5aに表示される開閉識別表示IDを確認することで、判定部4bの判定が正常に行われているか否かをチェックすることができる。
【0040】
このように、この投入管理システム1では、予め機械学習によって生成したグラブバケット25の画像データからグラブバケット25の開閉状態を判別する予測モデルと、カメラ装置2によって取得した施工水域の水上の画像データWDとを利用することで、クレーン22のグラブバケット25にセンサを設置しなくとも、グラブバケット25により投入対象物30が施工水域に投入されたか否かを精度よく判定することが可能になる。そして、グラブバケット25により投入対象物30が投入された時点の平面位置情報を投入履歴情報として記録して、その投入履歴情報をモニタ5aに表示させることで、管理者はガット船20のクレーン22のグラブバケット25による投入対象物30の投入履歴を簡易に管理することが可能になる。投入管理システム1によってグラブバケット25による投入対象物30の投入履歴を機械的に記録できるので、管理者が目視確認で記録する場合に比して管理者の労力を大幅に軽減できる。
【0041】
さらに、投入工事を行う施工業者は自社ではなくレンタル会社が所有するガット船を利用する場合が多いが、この投入管理システム1では、ガット船20(グラブバケット25)の仕様に拘わらず、簡便に適用することが可能である。即ち、グラブバケット25にグラブ開閉センサを設置する従来方法では、ガット船20(グラブバケット25)の仕様に合わせてその都度センサを固定する位置やセンサの感度などを調整する必要があるが、この投入管理システム1ではそのような手間や時間のかかるセッティング作業を行う必要がない。それ故、施工前のセッティング作業をより簡易に短時間で完了することができ、セッティング作業に要する労力も大幅に軽減できる。クレーン22による投入作業をより速やかに開始できるので、投入工事の工期短縮を図るにも有利になる。
【0042】
さらに、この投入管理システム1では、グラブバケット25にセンサを設置する必要は無く、投入管理システム1を構成する各機器(カメラ装置2など)は振動の少ない位置に簡易に設置できる。それ故、投入管理システム1を構成する各機器が故障や誤作動するリスクも低い。それ故、この投入管理システム1は施工業者にとって非常に有用である。
【0043】
この実施形態のように、記録部4cが施工水域を予め設定した複数の区画Sに区分けして、区画S毎のクレーン22のグラブバケット25による投入対象物30の投入回数を投入履歴情報として記録し、表示部4dがモニタ5a(5b)に区画S毎の投入回数を示す情報を表示させる構成にすると、投入対象物30が投入された位置と投入回数を非常に把握し易くなる。
【0044】
モニタ5aに記録部4cが記録した投入履歴情報とともに、カメラ装置2が取得した施工水域の水上の画像データWDを表示させる構成にすると、管理者はモニタ5aを見るだけで、投入作業の投入履歴情報とともに投入作業の施工状況をリアルタイムで把握することが可能になる。それ故、投入作業の管理に要する管理者の負担を軽減するにはより有利になる。
【0045】
クレーン22の運転室22aに配置したモニタ5bに管理者用のモニタ5aと同様に、記録部4cが記録した投入履歴情報を表示させる構成にすると、管理者とともにクレーン22のオペレーターが投入履歴情報を共有して把握することが可能になるので、投入工事をより円滑に行い易くなる。
【0046】
判定部4bによる判定対象範囲Jを水上の画像データDWの任意の範囲に設定可能な構成にすると、カメラ装置2が取得した水上の画像データDWに施工水域ではないガット船20の船上などが写り込んでいる場合にも、判定部4bによる判定対象範囲Jを施工水域に限定し、施工水域に該当しないその他の範囲を判定部4bによる判定を行わない判定対象外に設定することが可能になる。これにより、グラブバケット25により船倉21に積載された投入対象物30を掴み上げる際のグラブバケット25の開閉動作などを、施工水域に投入対象物30を投入する作業として誤って記録するリスクをより低くできる。また、カメラ装置2のセッティング時に撮影方向や画角を細かく調整せずとも、判定対象範囲Jの設定を行うだけで、投入履歴として記録する範囲を簡易に短時間で設定することが可能になる。それ故、投入管理システム1のセッティング作業に要する時間や労力を低減するにはより有利になる。
【0047】
さらに、この実施形態のように、モニタ5aに表示される水上の画像データDW上で判定対象範囲Jを設定可能な構成にすると、水上の画像データDW上でより直感的に判定対象範囲Jを設定することが可能になるので、判定対象範囲Jの設定作業をより行い易くなる。また、水上の画像データDWに対して直接的に判定対象範囲Jを設定することで、水上の画像データDWにおいてグラブバケット25が判定対象範囲J内に位置しているか否かを識別するコンピュータプログラムを比較的簡素に構成できる。
【0048】
なお、判定対象範囲Jの設定方法は前述した方法に限定されず、例えば、ガット船20とその周辺水域を平面視で例示する平面座標図上で判定対象範囲Jを設定する構成にすることもできる。この場合には、例えば、判定部4bは、カメラ装置2の設置位置および撮影方向に基づいて、平面座標図上で設定された判定対象範囲Jに対応する水上の画像データWD上の範囲を判定対象範囲Jとして判定を行う。また、例えば、判定部4bは、位置情報取得手段3により取得したグラブバケット25の平面位置情報が、平面座標図上で設定された判定対象範囲J内の座標上にあるときにだけ判定を行う構成にする。
【0049】
投入管理システム1は、例えば、
図6に例示するような構成にすることもできる。この実施形態では、先に例示した実施形態の投入管理システム1に加えて、さらに、AR表示用カメラ装置8と方位計9を備えている。その他の構成は先に例示した実施形態の投入管理システム1と同じである。
【0050】
AR表示用カメラ装置8は、カメラ装置2の近傍に、カメラ装置2と同じ撮影方向で設置されて、施工水域の水上の画像データを逐次取得する。方位計9はガット船20に設置されて、ガット船20の平面位置情報と船首方位情報を逐次取得する。AR表示用カメラ装置8と方位計9はそれぞれ演算装置4(表示部4d)に通信可能に接続されている。AR表示用カメラ装置8によって取得された施工水域の水上の画像データと、方位計9によって取得されたガット船20の平面位置情報および船首方位情報は逐次演算装置4に入力される。
【0051】
この実施形態では、
図7および
図8に例示するように、演算装置4の表示部4dが、AR表示用カメラ装置8から入力された施工水域の水上の画像データと、方位計9から入力されたガット船20の位置情報および船首方位情報とに基づいて、モニタ5aに、それぞれの区画Sを区分する境界線Lと区画S毎の投入回数を示す情報とを、水上の画像データDWに重ね合わせて表示させる構成にしている。この実施形態では、区画S毎の投入回数を模様(ハッチング)で識別できる構成にしているが、投入回数を区画Sに付された色の違いや色の濃淡、数字などで識別できる構成にすることもできる。
【0052】
モニタ5a、5bにこのような拡張現実映像を表示させる構成にすると、実際の施工状況が写る映像上で、投入履歴情報をより直感的に把握できるので、投入工事の管理やオペレーターへの作業指示をより行い易くなり、投入工事の施工効率を向上させるにはより一層有利になる。
【0053】
この実施形態ではさらに、施工水域の水上の画像データWDに重ね合わせて、グラブバケット25を開いた場合に投入対象物30が落下する水面位置に落下予測位置表示FPを表示する構成になっている。
図7および
図8では、落下予測位置表示FPとして水面上にグラブバケット25の中心を示す投影印を表示しているが、例えば、落下予測位置表示FPとしてグラブバケット25が位置している区画Sの表示(例えば、色や模様)を他の区画Sと異ならせる構成にすることもできる。このように、水上の画像データWD上に落下予測位置表示FPを重ねて表示させると、グラブバケット25がどの区画Sに位置しているのかをより把握し易くなるので、管理者はクレーン22のオペレーターへの作業指示をより行い易くなり、オペレーターはグラブバケット25の位置合わせをより行い易くなる。
【0054】
上記で例示した実施形態では、1台のカメラ装置2が取得した水上の画像データWDに対して判定部4bが判定を行う場合を例示したが、例えば、2台以上のカメラ装置2がそれぞれ取得した水上の画像データWDに対して判定部4bがそれぞれ判定を行う構成にすることもできる。この場合には、複数のカメラ装置2で取得された少なくともいずれかの水上の画像データWDにおいて、判定部4bがクレーン22のグラブバケット25により投入対象物30が施工水域に投入されたと判定した場合に、その投入対象物30が投入された時点のクレーン22のグラブバケット25の平面位置情報を記録部4cが投入履歴情報として記録する。このように、1台のカメラ装置2では撮影できない死角となる範囲が生じるような場合にも、別のカメラ装置2でその死角となる範囲を撮影することで、投入履歴をより確実に記録することが可能になる。
【0055】
また、上記で例示した実施形態では、判定部4bによる判定を行う判定対象範囲Jを設定する場合を例示したが、例えば、判定部4bによる判定を行わない判定対象外範囲を設定することで、水上の画像データWDにおいて判定部4bによる判定を行う範囲を限定する構成にすることもできる。また、上記で例示した実施形態では、演算装置4と管理者用のモニタ5aをガット船20の船橋26に配置した場合を例示したが、例えば、ガット船20の外部に演算装置4と管理者用のモニタ5aを配置することもできる。この場合には、例えば、カメラ装置2が取得した水上の画像データWDと位置情報取得手段3が取得したグラブバケット25の平面位置情報を、インターネット回線などを利用してガット船20の外部に配置された演算装置4に逐次送信することで、ガット船20の外部から投入作業の管理を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0056】
1 投入管理システム
2 カメラ装置
3 位置情報取得手段
4 演算装置
4a 記憶部
4b 判定部
4c 記録部
4d 表示部
4e 対象範囲設定部
5a、5b モニタ
6 中継器
7 入力手段
8 AR表示用カメラ装置
9 方位計
20 ガット船
21 船倉
22 クレーン
22a 運転室
23 ブーム
23a 先端部
24 吊ワイヤ
25 グラブバケット
26 船橋
30 投入対象物
WD 水上の画像データ
J 判定対象範囲
ID 開閉識別表示
FP 落下予測位置表示
PD 平面視データ
L 境界線
S 区画