(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】産業用携帯型装置
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G05B23/02 301Z
(21)【出願番号】P 2022069968
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2017142798の分割
【原出願日】2017-07-24
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512132022
【氏名又は名称】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スーザン エー. キャンベル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジー. カシック
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ピー. カンツェス
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-535740(JP,A)
【文献】特開2002-196850(JP,A)
【文献】特開2006-172442(JP,A)
【文献】特開2008-118476(JP,A)
【文献】特開2003-018678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用携帯型装置であって、
産業プラントのフィールドデバイスに動作可能に接続されかつそれと相互作用するように構成された機能モジュールであって、前記機能モジュールが他の機能モジュールと交換可能となるように、前記産業用携帯型装置に、取り外し可能におよび動作可能に取り付けられるように構成される、機能モジュールと、
プロセッサと、
前記プロセッサで実行され、前記機能モジュールの
第1の機能を制御するように構成された制御アプリケーションと、
電子ディスプレイと、
前記プロセッサで実行され、前記制御アプリケーションの使用方法に関するコンテンツをユーザに対し前記電子ディスプレイ上に表示するように構成されたヘルプアプリケーションと、を含む、
産業用携帯型装置。
【請求項2】
前記ヘルプアプリケーションは、前記制御アプリケーションとは独立して動作することを特徴とする、
請求項1に記載の産業用携帯型装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記制御アプリケーションとは独立して前記ヘルプアプリケーションのコンテンツ更新を行うように構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の産業用携帯型装置。
【請求項4】
前記プロセッサで実行され、前記産業用携帯型装置によ
り前記第1の機能とは異なる第2の機
能を制御するように構成された別の制御アプリケーションをさらに含み、
前記ヘルプアプリケーションは、前記産業用携帯型装置上で前記別の制御アプリケーションの使用方法に関するコンテンツを前記ユーザに対し前記電子ディスプレイ上に表示するように構成され、
前記ヘルプアプリケーションは、前記別の制御アプリケーションとは独立して動作することを特徴とする、
請求項1に記載の産業用携帯型装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記制御アプリケーション及び前記別の制御アプリケーションのそれぞれの使用に関連して、前記制御アプリケーション及び前記別の制御アプリケーションのそれぞれとは独立して、前記ヘルプアプリケーションのコンテンツ更新を行うように構成されていることを特徴とする、
請求項4に記載の産業用携帯型装置。
【請求項6】
前記機能モジュールは、前記フィールドデバイスに通信信号を送受信するように構成されたフィールドコミュニケータを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の産業用携帯型装置。
【請求項7】
前記フィールドコミュニケータは、前記フィールドデバイス及び/または前記フィールドデバイスに接続されたバスに接続するように構成された電子回路を含むことを特徴とする、
請求項6に記載の産業用携帯型装置。
【請求項8】
前記フィールドコミュニケータは、第1の通信規格を有する第1のフィールドデバイス及び/または第2の通信規格を有する第2のフィールドデバイスに接続して通信するように構成された端子を含むことを特徴とする、
請求項7に記載の産業用携帯型装置。
【請求項9】
前記端子は、前記第1のフィールドデバイスまたは前記第2のフィールドデバイスに接続して電力供給するように構成され、前記端子は、4~20mAの電流ループ上の電流を測定するように構成されていることを特徴とする、
請求項8に記載の産業用携帯型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、産業プラントのフィールドデバイスで作業するための産業用携帯型装置に関し、特に、1つ以上の産業用携帯型装置に関するヘルプ情報を提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学プロセス及び石油プロセスで使用されるようなプロセス制御システムとして、例えば、アナログ、デジタル、またはアナログとデジタルを組み合わせたアナログ/デジタル通信リンクを介した、少なくとも1つのホストまたはオペレータワークステーション及び1つまたは複数のフィールドデバイスに通信可能に接続する1つまたは複数のプロセスコントローラがあげられる。
【0003】
例えば、プラントまたは他の産業環境内に配置されるプロセスコントローラ(「コントローラ」と呼ぶこともある)は、プロセス測定値を示す信号(「制御入力」と呼ぶこともある)を受信し、これらの信号が示す情報を使用して、制御入力の内部ロジックと制御ルーチンの内部ロジックに基づいて制御信号(「制御出力」と呼ぶこともある)を生成する制御ルーチンを実行する。そして、コントローラは、フィールドデバイスの動作を制御するために、生成された制御信号をバスまたは他の通信リンクを介して送信する。場合によっては、コントローラは、HART(登録商標)、WirelessHART(登録商標)、及びFOUNDATION(登録商標)Fieldbus(「Fieldbus」と呼ぶもある)フィールドデバイスなどのスマートフィールドデバイスによって実行される制御ルーチンと協調することもできる。さらに、プラントまたは他の産業施設においてプラントまたは他の産業用装置が作動して、プロセスコントローラの直接の制御下にない振動検出デバイス、回転デバイス、発電施設等の何らかの機能を実行することも多い。
【0004】
例えばバルブ、バルブポジショナ、スイッチ、及びトランスミッタ(例えば、温度、圧力、レベル、または流量センサを含む)等の、典型的にコントローラと関連するフィールドデバイスはプラント環境内に配置され、通常は物理的機能またはプロセス制御機能を実行する。例えば、バルブは、コントローラから受信した制御出力に応答して開閉することができ、プロセスパラメータの測定値をコントローラに送信して、この測定値をコントローラが入力値として利用できるようにする。Fieldbusプロトコルに従って、フィールドデバイスなどのスマートフィールドデバイスは、制御計算、警報機能、及びプロセスコントローラ内に一般的に採用される制御機能を実行することもできる。フィールドデバイスは、様々な通信プロトコルに従ってコントローラ及び/または他のフィールドデバイスと通信するように構成することができる。例えば、従来のアナログ4~20mAフィールドデバイス、HART(登録商標)フィールドデバイス、Fieldbusフィールドデバイス、及び/またはその他のタイプのフィールドデバイスをプラント内に備えることができる。
【0005】
従来のアナログ4~20mAフィールドデバイスは、測定または制御命令を示す4~20mAのDC信号を伝送するように構成されている2線式通信リンク(「ループ」または「電流ループ」と呼ばれることもある)を介してコントローラと通信する。例えば、水位伝送器はタンクの水位(タンクレベル)を感知し、その測定値に対応する電流信号を、ループを介して送信することができる(例えば、0%満杯の4mA信号、50%満杯の12mA信号、100%満杯の20mA信号)。コントローラは、電流信号を受信し、この電流信号に基づいてタンクレベル測定値を判定し、タンクレベル測定値(例えば、入口バルブを開くか閉じる)に基づいて何らかのアクションをとる。アナログ4~20mAフィー
ルドデバイスには、通常、4線式フィールドデバイスと2線式フィールドデバイスを含む2種類がある。4線式フィールドデバイスは、通常、通信のための第1のワイヤセット(すなわち、ループ)と、電力のための第2のワイヤセットとに依存する。2線式フィールドデバイスは、通信と電力の両方のループに依存する。これらの2線式フィールドデバイスを、「ループ電源式」フィールドデバイスと呼ぶこともある。
【0006】
プロセスプラントには、シンプルな設計及び有効性のある設計のために、従来の4~20mAシステムが採用されることが多い。しかし残念なことに、従来の4~20mAの電流ループは一度に1つのプロセス信号しか送信しない。従って、材料を搬送するパイプ上の制御バルブ及び流量伝送器を含む構成は、例えば以下の3つの別々の電流ループを必要とする:(バルブを60%開に動かすための)制御命令を示す4~20mA信号を送信する第1のループ、バルブの実際の位置を示す(例えば、コントローラにバルブが制御命令に応答した程度を知らせるようにする)4~20mA信号を運ぶための第2のループ、測定された流量を示す4~20mAの信号を送信するための第3のループ。これにより、多数のフィールドデバイスを有するプラントにおける従来の4~20mA構成は、通信システムを構成し維持する際にコストがかかり、複雑さを招く大規模な配線を必要とする可能性がある。
【0007】
最近は、プロセス制御産業は、プロセス制御環境内でデジタル通信を実施する方向に移行している。例えば、HART(登録商標)プロトコルはループDC振幅を使用してアナログ信号を送受信するが、ACデジタルキャリア信号をDC信号に重畳してスマートフィールドデバイスとの双方向通信も可能にする。別の例として、Fieldbusプロトコルは、2線式バス(「セグメント」または「Fieldbusセグメント」とも呼ぶ)上での全デジタル通信を提供する。この2線式Fieldbusセグメントは、複数のフィールドデバイスと接続して電力を供給することができ(セグメント上で利用可能なDC電圧を介して)、(DC電源電圧に重畳されたACデジタル通信信号を介して)フィールドデバイスによる通信を可能にするように構成されている。一般的に言えば、接続されたフィールドデバイスは通信のために同じセグメントを使用し、並列に接続されているため、1つのフィールドデバイスだけがそのセグメントを介していつでもメッセージを送信できる。したがって、セグメント上の通信は、リンクアクティブスケジューラ(LAS)として指定されたデバイスによって調整される。LASは、セグメントに接続されたフィールドデバイス間でトークンを渡す役割を担う。特定の時間に、トークンを持つデバイスだけがセグメントを介して通信することができる。
【0008】
これらのデジタル通信プロトコルにより、一般に、より多くのフィールドデバイスが特定の通信リンクに接続され、フィールドデバイスとコントローラとの間のより高速な通信がサポートされ、及び/またはフィールドデバイスがより多くの種類の情報(フィールドデバイス自体の状態及び構成に関する情報等)をプロセスコントローラ及び制御ネットワーク内のデバイス、または制御ネットワークに接続された他のデバイスに送信することを可能にする。さらに、これらの標準的なデジタルプロトコルは、異なる製造業者によって製造されたフィールドデバイスを同じプロセス制御ネットワーク内で一緒に使用することを可能にする。
【0009】
利用される通信プロトコルにかかわらず、フィールドデバイスはフィールドでの組み立て、構成、テスト、及びメンテナンスを必要とする。例えば、フィールドデバイスがプロセス制御プラントの特定の場所に設置される前に、フィールドデバイスをプログラムする必要があり、フィールドデバイスが設置される前後にテストする必要がある。既にインストールされているフィールドデバイスは、メンテナンス上の理由から、または障害が検出され、サービスまたは修理のためにフィールドデバイスを診断する必要がある場合など、定期的にチェックする必要がある。一般に、フィールドデバイスの組み立て及びテストは
、携帯型テストデバイス(「PTD」)などの手持ち式メンテナンスツールを使用して、現場で実行される。多くのフィールドデバイスは遠隔の、到達が難しい場所に設置されているので、このような遠隔の場所に取り付けられたデバイスをテストするのに、PTDを用いるほうが、重く、嵩張り、そして可搬性がないため通常は取り付けられたフィールドデバイスを診断装置の場所まで移動させる必要がある、フル構成のテスト装置を用いるよりも、ユーザにとって便利である。
【0010】
フィールドデバイスとの保守点検及び/又は通信を行う場合、PTDは、通常、通信リンク(例えば、電流ループ又はFieldbusセグメント)に、又はフィールドに直接通信可能に接続される(例えば、フィールドデバイスの通信端末を介して)。PTDは、まず、フィールドデバイスによってサポートされる通信プロトコルを使用してループまたはセグメントに沿ってデジタル通信信号を送信及び/または受信するなどして、フィールドデバイスと通信しようと試みる。電流ループまたはセグメントが適切な動作状態にある場合、通信信号は問題なく送信及び/または受信され得る。ただし、ループ、セグメント、またはフィールドデバイスにショートや遮断などの電気的な障害が含まれていると、通信が妨げられ、ループ、セグメント、及び/またはフィールドデバイスを診断して障害を特定する必要が生じる場合がある。
【0011】
このような障害が識別されると、技術者は、フィールドデバイス及び/または通信リンクをテストするために、様々な他のツールを使用する必要がある。例えば、技術者は、隔離されたフィールドデバイスに電力を供給するために携帯型電源を使用しなければならない。また、プラント全体の停電やローカル電源の問題などの理由で、フィールドデバイスが電力を失った場合など、隔離されたフィールドデバイスに給電する必要が生じる場合がある。別の例としては、技術者は、トラブルシューティングのためにフィールドデバイスをオフラインで取るだけで、他のフィールドデバイス及びプロセス制御システムの残りの部分に悪影響を及ぼすことを避けることができる。技術者はまた、セグメントまたはループなどで利用可能な電流、電圧、抵抗、インピーダンスなどを測定するためにマルチメータを携帯する必要がある。これらのツールのそれぞれはかなりのスペースを占めることがあり、フィールドでの持ち運びに不便な場合がある。複数のツールを持ち歩かなければならないこの問題に対処するために、メーカはHARTループに電力を供給するための電源を含むPTDを開発した。しかし残念なことに、これら電源供給用PTDは、通常、Fieldbusフィールドデバイスに電力を供給することができない。さらに、典型的な携帯型電源及び電力供給用PTDは、しばしば本質的安全(IS)規格に準拠していないため、危険な領域(例えば、爆発性ガスまたは塵埃の存在のために爆発する可能性のある環境または雰囲気)では安全に使用することができない。
【0012】
さらに、フィールドデバイスが危険領域に配置されている場合、技術者は、それぞれのツールが本質的に安全な方法で動作することを検証する必要がある。したがって、危険な領域にいる場合、技術者のツールは安全な操作を保証するためにIS規格に準拠する必要がある。一般に、IS規格は、電気設備及び配線が爆発しないように危険な環境における電気設備及び配線に制限を課している。IS規格に準拠するには、一般に、電気設備は、エネルギー制限と障害耐久力の2つの中核的概念を念頭に置いて設計する必要がある。いずれにしても、ある種の用途でのISコンプライアンス要件により、上記のフィールドデバイスプロトコルの1つまたはその他で動作し、ISに準拠したフィールドメンテナンスツールが開発されている。
【0013】
同様に、上述したように、大部分のプロセスプラント及び他の産業施設(油井掘削プラットフォーム、ポンプステーションなど)として、プラントまたは工業施設内で組み立て、構成、及び維持する必要がある回転デバイス、発電または変換デバイス、振動分析デバイスなどの産業用装置もある。デバイスの設定、デバイスのテストなど、このデバイスを
サポートするためのフィールドメンテナンスツールのセットがさらに必要な場合もある。
【0014】
この結果、プラントの様々なセクション、またはその他産業施設にはプロセスプラントで使用できる様々なタイプ及びブランドのフィールドメンテナンスツールが存在する。したがって、プラントまたはその他産業施設内の様々な異なるデバイス及びループを維持及び構成する必要性があるため、プラントマネージャは、プラントメンテナンス要員が使用する複数の(一群の)携帯型メンテナンスツールを購入して保管してもよい。場合によっては、これらのデバイスは、様々な異なるメンテナンス及び他のプラント要員によって異なる時間に共有またはチェックアウトされ、必要に応じて使用される。その他、これらの携帯型装置は、人、グループなどに割り当てられて必要に応じて使用されてもよい。いずれにしても、これらの携帯型装置がより高度化するにつれて、それらは、例えば、より多くのソフトウェアのアップグレード、パスワード保護機能の使用及び管理などのセキュリティ機能の提供を含むますます多くのメンテナンス及びサポートが必要となる。プラント内で使用され得る様々な数の携帯型装置が存在し、プラント内の携帯型装置は異なるタイプのデバイスまたは異なるブランドのデバイスであってもよいため、また、携帯型装置は、異なるタイプのサポートなどを必要とする異なる特徴を有することがあるため、これらの携帯型装置のメンテナンス及び管理は迅速にし難く扱いにくい。さらに、任意の特定の携帯型装置は、任意の特定の時間に使用されてもよく、したがってそのようなアップグレードが実行されているときにサポートアップグレードで利用できなくなる可能性があり、特定の携帯型装置がアップグレードされていないか、最新のソフトウェアとファームウェア機能を受け取れない可能性がある。
【0015】
これらの手持ち式メンテナンスツールの非常に多くが、少数のよく定義されたタスクを実行するために高度に特化されているので、これまでは、フィールドでユーザがアクセスできるオンボードのヘルプ情報を大量に提供する必要性がなかった。例えば、従来は、プラント内のプロセス制御システム内のフィールドデバイスと通信するように構成された手持ち式通信機は、ヘルプコンテンツを表示するためのオプションをほとんど有していなかった。ヘルプコンテンツの多くは、画面上に単一のオプションを記述することに限定されていた。ユーザがより多くの情報を必要とする場合は、手持ち式通信機から遠隔操作で印刷物またはオンラインのマニュアルを参照する必要があった。このように、プラントで実際にタスクを実行するときに、そのようなヘルプ情報が必要なときにアクセスできないことが構成上の問題である。
【発明の概要】
【0016】
本開示のいくつかの態様によれば、プロセッサで実行され、機能モジュールの使用方法に関するコンテンツを表示するように構成されたヘルプアプリケーションを含む産業用携帯型装置を提供する。この携帯型装置の一構成において、産業用携帯型装置は、産業プラントのフィールドデバイスに動作可能に接続し相互作用するように構成された機能モジュールと、前記機能モジュールを制御するように構成されたプロセッサと、コンピュータ制御システムによって駆動され、機能モジュールに関する情報をユーザに表示するように構成された電子ディスプレイとを含む。ヘルプアプリケーションは、ディスプレイ上のコンテンツをユーザに表示するように構成することができる。
【0017】
本開示のいくつかの態様によれば、産業用携帯型装置にヘルプコンテンツを提供するシステムを提供し、このシステムは産業用携帯型装置のヘルプアプリケーションにヘルプコンテンツを提供するヘルプサーバを含む。一構成によると、このシステムは、プラント内のコンピュータネットワークを含む。コンピュータネットワークは、フリート管理ステーションと、第1の通信リンクによって動作可能に接続されたネットワークアクセスポイントを含んでもよい。この産業用携帯型装置は、プロセッサと、プラント内のフィールドデバイスとの産業用携帯型装置の機能的相互作用を制御するように構成された少なくとも1
つの制御アプリケーションと、電子ディスプレイと、電子ディスプレイ上に制御アプリケーションに関するヘルプ情報を提供するためにプロセッサで実行されるヘルプアプリケーションと、ネットワークアクセスポイントと通信するように構成された第2の通信リンクとを含む。ヘルプサーバは、コンピュータネットワークに接続され、ネットワークアクセスポイントによってアクセス可能であってもよい。ヘルプサーバは、ネットワークアクセスポイントを介して産業用携帯型装置のヘルプアプリケーションにヘルプコンテンツを提供することができる。
【0018】
これらの態様及び構成のいずれか1つまたは複数は、以下の任意の構成及び/または特徴のうちの任意の1つまたは複数をさらに含むことができる。
【0019】
産業用携帯型装置は、プロセッサで実行され、機能モジュールの1つまたは複数の機能を制御するように構成された1つまたは複数の制御アプリケーションを含む。ヘルプアプリケーションは、産業用携帯型装置上の1つまたは複数の制御アプリケーションの使用方法に関するコンテンツをディスプレイ上に表示するように構成することができる。ヘルプアプリケーションは、制御アプリケーションとは独立して動作することができる。プロセッサは、制御アプリケーションとは独立してヘルプアプリケーションのコンテンツ更新を行うように構成することができる。プロセッサは、制御アプリケーションのそれぞれとは別に、1つ以上の制御アプリケーションの使用に関するヘルプアプリケーションのコンテンツ更新を行うように構成することができる。
【0020】
機能モジュールは、フィールドデバイスへ及び/又はフィールドデバイスから通信信号を送信及び受信するように構成されたフィールドコミュニケータを形成する。フィールドコミュニケータは、フィールドデバイス及び/またはフィールドデバイスに接続されたバスに接続するように構成された電子回路を含む。フィールドコミュニケータは、HARTフィールドデバイス及び/またはFOUNDATIONFieldbusフィールドデバイスに接続して通信するように構成された端末を含む。端末は、HARTフィールドデバイスまたはFOUNDATIONFieldbusフィールドデバイスに接続して電源を供給するように構成される。端子は、4~20mA電流ループの電流を測定するように構成される。
【0021】
産業用携帯型装置は、プラント内のフィールドデバイス及び/またはバスに接続してテストするように構成された電流計を形成することができる。
【0022】
産業用携帯型装置は、本質的に安全である。
【0023】
産業用携帯型装置は、インターネット接続なしでヘルプコンテンツを受信し、及び/またはインターネット接続を介してヘルプコンテンツを受信するように構成される。請求項1に記載の産業用携帯型装置は、前記プロセッサで実行されるウェブブラウザアプリケーションを含む。プロセッサは、ウェブブラウザを備えたヘルプアプリケーションからのコンテンツを電子ディスプレイ上に表示するように構成される。ブラウザアプリケーションは、HTML形式を使用してヘルプコンテンツを表示するように構成される。
【0024】
産業用携帯型装置は、プロセッサをコンピュータネットワークに接続するように構成された通信リンクを含む。産業用携帯型装置の通信リンクとネットワークアクセスポイントにより、無線データ通信リンクが形成される。プロセッサは、通信リンクを介してリモートソースから電子ディスプレイにコンテンツの少なくとも一部をストリーミングするように構成される。ストリーミングされるコンテンツの少なくとも一部は、インストラクションビデオを含む。また、コンテンツの少なくとも一部は、プロセッサによって産業用携帯型装置にローカルに格納されてもよい。
【0025】
ヘルプコンテンツは、産業用携帯型装置上の電子ディスプレイのサイズ及び/またはタイプに応じて動的にサイズ変更するようにフォーマットされる。ヘルプアプリケーションは、電子ディスプレイのサイズ及び/またはタイプに基づいてコンテンツの表示フォーマットを動的に変更することができる。ヘルプアプリケーション及び/またはヘルプサーバは、コンテンツをHTML5形式で提供する。
【0026】
ヘルプサーバは、制御アプリケーションを変更することなくヘルプアプリケーションを更新するために産業用携帯型装置にヘルプコンテンツを提供するように構成される。
【0027】
ヘルプサーバは、プラントコンピュータネットワーク外側の外部サーバネットワークからヘルプコンテンツを受信し、受信したヘルプコンテンツを産業用携帯型装置に提供するように構成される。
【0028】
ヘルプサーバは、産業用携帯型装置の通信リンクとプラントコンピュータネットワークのネットワークアクセスポイントとの間の通信の確立時に、受信したヘルプコンテンツを産業用携帯型装置に自動的に提供するように構成される。
【0029】
さらなる任意の及び/または有益な態様、構成、特徴、及び/または技術的効果は、図面及び以下の詳細な説明の詳細な検査によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】フリート管理システムによって管理される産業用携帯型装置の使用を含むプロセスプラント内の制御システムの構成図である。
【
図2】直接的に接続された外部フリート管理サーバネットワークを使用してプロセスプラントまたは他の産業環境内に分散状態で統合するフリート管理システムの構成図である。
【
図3】間接的に接続された外部フリート管理サーバネットワークを使用してプロセスプラントまたは他の産業環境内に分散状態で統合するフリート管理システムの構成図である。
【
図4】外部ネットワーク内の他のフリート管理構成要素に接続されたフリート管理サーバを使用して、プラントまたは他の産業環境内に分散状態で統合されたフリート管理システムの構成図である。
【
図5】フリート管理サーバによって生成される例示的な画面表示の図であり、フリートマネージャが一群のデバイス内の特定のデバイスを管理することを可能にする。
【
図6】
図2と同様のフリート管理システムの構成図であり、産業用携帯型装置及び場合によってはプロセスプラント環境内の他のコンピュータ化されたデバイス資産にヘルプコンテンツを提供するためのヘルプコンテンツシステムを含む。
【
図7】ヘルプコンテンツシステムの一部としてヘルプコンテンツを取得するように構成された一美的配置による産業用携帯型装置の正面斜視図である。
【
図8】
図7の産業用携帯型装置の背面等角図である。
【
図9】産業用携帯型装置の電子ディスプレイ上に表示されたヘルプアプリケーション及び様々な制御アプリケーションを含む様々なソフトウェアアプリケーションの選択及び起動を可能にするホームスクリーンのスクリーンショットである。
【
図10】産業用携帯型装置上のフィールドコミュニケータアプリケーションに関するヘルプアプリケーションのヘルプトピック画面のスクリーンショットである。
【
図11】ヘルプアプリケーションの用語集画面のスクリーンショットである。
【
図12】ヘルプアプリケーションの検索結果画面のスクリーンショットである。
【
図13】小さな電子ディスプレイ画面上で動的にサイズ変更されたヘルプトピック画面の第1の部分のスクリーンショットである。
【
図14】小さな電子ディスプレイ画面上で動的にサイズ変更されたヘルプトピック画面の第2の部分のスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで図面を参照すると、
図1は、プロセスまたはプラント制御システムの例示的なプロセス制御ネットワーク10のブロック概略図であり、プロセス制御フィールドデバイス、制御ループ、及びプラント内の他のタイプの制御デバイスをインストール、組み立て、サービス、修理、診断及びその他の方法でサポートするために、携帯型メンテナンスツールなどの1つまたは複数の手持ち式または携帯型ツールが利用される。プロセス制御ネットワーク10が、データヒストリアン12及び1つまたは複数のホストワークステーションまたはコンピュータ13(任意のタイプのパーソナルコンピュータ、ワークステーションなど)に接続されたプロセスコントローラ11を有する有線通信ネットワークまたはリンク10Aを利用する第1のプラント制御ネットワークを含むものとして
図1に示されている。それぞれ、ディスプレイスクリーン14を有すると共に、他の様々な入出力デバイス(図示せず)を有している。プロセス制御ネットワーク10は、
図1に示す複数のフィールドデバイスを含む1つ以上のサブネットワークを含むことができる。フィールドデバイスはフィールドデバイス15~22として
図1に示されており、これらフィールドデバイス15~22は、プラント内の1つまたは複数のプラントを制御するために使用される任意のタイプであってもよい。
【0032】
図1に示すように、コントローラ11は、入出力(I/O)カード26、28を介してフィールドデバイス15~22に接続され、これによりHART、Fieldbus、CAN、Profibusなどのプロトコルのうちの1つ以上の任意の所望のプロセス制御通信プロトコルを実行する。さらに、データヒストリアン12は、任意の所望のタイプのメモリと、データを記憶するための任意の所望のまたは既知のソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアとを有する任意のタイプのデータ収集及び記憶ユニットであってもよい。コントローラ11は、
図1において、フィールドデバイス15~22に通信可能に接続され、フィールドデバイス15~22の制御、従ってプラントの制御を行う。一般に、フィールドデバイス15~22は、任意のタイプのデバイスであってもよく、I/Oカード26及び28は、任意の所望の通信プロトコルまたはコントローラプロトコルに準拠する任意のタイプのI/Oデバイスであってもよい。例えば、フィールドデバイス15~22及び/またはI/Oカード26及び/または28は、HARTプロトコルまたはFieldbusプロトコルに従って構成することができる。コントローラ11は、メモリ24に格納された1つまたは複数のプロセス制御ルーチン(またはその任意のモジュール、ブロック、またはサブルーチン)を実行または監督するプロセッサ23を含む。一般に、コントローラ11は、デバイス15~22、ホストコンピュータ13、及びデータヒストリアン12と通信して、任意の所望の方法でプロセスを制御する。さらに、コントローラ11は、一般に機能ブロック(図示せず)と呼ばれるものを使用して制御戦略または方式を実施し、各機能ブロックは、プロセス制御システム10内のプロセス制御ループを実施するために(リンクと呼ばれる通信を介して)他の機能ブロックと連携して動作する全体制御ルーチンの本体またはその他(例えば、サブルーチン)となる。機能ブロックは、典型的には、送信機、センサまたは他のプロセスパラメータ測定デバイスと関連する入力機能、PID、ファジー論理等の制御を実行する制御ルーチンに関連する制御機能、または、プロセス制御システム10内の何らかの物理的機能を実行するための、バルブのようなデバイスの動作を制御する出力機能の少なくとも1つを実行する。勿論、ハイブリッド及び他のタイプの機能ブロックが存在し、利用されてもよい。機能ブロックは、コントローラ11または他のデバイスに格納され、実行されてもよい。
【0033】
さらに、フィールドデバイスメンテナンスツール、マルチメータ、携帯型ループ電源、フィールドデバイス構成ツールなどとすることができる1つまたは複数の携帯型または手
持ち式ツール100を断続的に通信可能に、フィールドデバイス15~22のうちの1つ以上に、及び/またはフィールドデバイス15~22が接続されている1つまたは複数のバスまたは通信ライン(例えば、HARTループ、Fieldbusセグメントなど)に接続する。このような接続を
図1に点線で示す。このようなネットワーク接続に、フィールドデバイス15~22の1つまたは複数をI/Oカード26及び28に接続するハードワイヤードラインを含むことができる。あるいは、ツール100は、(例えば、フィールドデバイス15~22上に存在する通信端末を介して)フィールドデバイス15~22のうちの1つに直接的に通信可能に接続されてもよい。場合によっては、ツール100は、フィールドデバイス15~22またはそれが接続されているワイヤループに電力を供給することもできる。さらに、ツール100により、これらのフィールドデバイスがプラントに設置されたときに、ユーザが1つまたは複数のフィールドデバイス15~22と通信し、組み立て、メンテナンス作業を行い、及び/または診断することが可能となる。さらに他の場合において、ツール100は、1つまたは複数のフィールドデバイス15~22に無線で接続するために使用され得る、Bluetooth(登録商標)インターフェース、Wi-Fiインターフェース、またはWirelessHARTプロトコルを使用するような無線プロセス制御プロトコルインターフェースまたは接続などのインターフェース等無線インターフェースを含む。本明細書に記載する携帯型メンテナンスツール100は、フィールドデバイスを組み立て、サポート、及び維持するためのもとして記載する。従って、フィールドデバイスコミュニケータとして示されており、例えば、圧力、温度、レベル、流量分析センサ、流量計、バルブポジショナ等、プロセス測定デバイスをサポートするために使用してもよい。しかしながら、ツール100は、例えば、回転装置、振動検出及び分析装置、発電装置、スイッチ、モータ、ポンプ、コンプレッサー、ドライブ、タンク、パイプなどの機械的容器、配電装置、スイッチギア、モータ制御センターその他のスタンドアローン装置等(例えば、プロセスコントローラに通信可能に接続されていない機器)を含む他のタイプの装置を支持、接続、維持、通信又は他の方法で使用するために利用することができる。これらの場合、ツール100は、様々な異なるタイプの通信及び発電及び検出ハードウェア(例えば、電圧、電流、インピーダンスなどの生成及び検出デバイス)を有して、これらの他のタイプの産業機器のメンテナンス、組み立て及び/またはこれらと通信を行うこともできる。
【0034】
図2は、プラントネットワーク及び通信システム110を拡大して示しており、フリート管理システム112は、(
図1の携帯型装置100などの)携帯型装置の1つまたは複数のフリートを管理するために使用されてもよく、または場合によっては、プラント環境または他の産業環境に関連するものであるか、またはそこで使用される固定式装置を管理するために使用されてもよい。プラントネットワーク及び通信システム110(または他の産業施設または環境)は、クラウドなどの外部(プラントに対して)サイトに位置する外部サーバネットワーク114を含むか、またはこれに接続される。プラントネットワーク及び通信システム110は、プラントサイト(または複数のプラントサイトまたは位置)で相互接続された通信ネットワークをさらに含む。特に、
図1に示すプラントネットワークは、最上位のネットワークまたはビジネスネットワーク116、プラント管理ネットワーク118、及び1つまたは複数の制御ネットワーク122(そのうちの1つのみが
図2に示されている)に接続されたプラントデバイスネットワーク120を含む。後に記載するように、プラントネットワーク120及び制御ネットワーク122は、
図1に示すフィールドデバイス15~22をサポートするためのネットワーク10及びそれに接続されたサブネットワークであってもよい。
【0035】
図2に示すように、ビジネスネットワーク116は、ビジネス、会計、企画などのアプリケーションを実行することができる1セットのビジネスコンピュータまたはワークステーション128を含み、このネットワーク116は、ファイアウォールデバイス130を介して外部サーバシステムまたはネットワーク114に接続される。同様に、ビジネスネ
ットワーク116は、管理ネットワーク118及びDMZ装置またはネットワーク140を介してプラントネットワーク120に接続されている。このネットワーク140は、ネットワーク間の仲介として機能する。一般的に言えば、ビジネスネットワーク116は、例えば、IEEE802.3イーサネット(登録商標)規格のような任意の適切な通信規格と整合する通信リンク142に接続された複数のワークステーション128を含む。典型的には、ワークステーション128は、例えばMicrosoft Corporationによって製造されたWindows(登録商標)などのネットワーク機能を有するオペレーティングシステムを共有する。様々な組織的役割のユーザは、ワークステーション128を操作して、プラントオペレータの活動、プラントを管理するビジネスシステムなど、プラント内の日常的な活動を実行する。例えば、プラントオペレータとして、エンジニア、会計士、マーケティングスタッフ、及び他の人員を採用することができる。ワークステーション128を操作するユーザは、通常、これらのユーザがプロセスプラントネットワーク120またはプロセス制御ネットワーク122にアクセスすることを許可しないという許可権限を有することができる。一方で、これらのユーザは、インターネット上のホストにほとんど制限のないアクセス権を有し、その結果、ウイルス、有害ソフト、ハイジャックの試み、及びその他のサイバー脅威にさらされるリスクが比較的高くなる。
【0036】
同様に、管理ネットワーク118は、任意の適切な通信規格、例えば、IEEE 802.3イーサネット(登録商標)規格のような標準規格と整合する通信リンク144を介して接続された様々なコンピュータまたはワークステーションを含む。
図1のワークステーション146として示されている1つ以上の複数のワークステーションは、
図2に示すように、プラント内の様々な携帯型装置のローカルコンテンツを格納するローカルコンテンツリポジトリ147を含む、またはそれに接続されたフリート管理ステーションとして動作する。同様に、管理ネットワーク118は、1つ以上のネットワークアクセスポイント148を含み、それは(それぞれが無線インターフェースを有する)1つ以上の携帯型装置150が無線方式でネットワーク118に接続することを可能にする無線アクセスポイントであってもよい。したがって、本明細書でより詳細に説明するように、フリート管理ステーション146に接続してコンテンツをアップロード及びダウンロードすることができる。
【0037】
同様に、プラントネットワーク120は、
図1のネットワーク10Aであってもよく、IEEE802.3イーサネット(登録商標)プロトコルなどの任意の適切な通信規格と整合する通信リンク164を介して接続された固定式資産または固定式装置の例として様々なコンピュータまたはワークステーション160、データヒストリアン162などを含む。ネットワーク120は、アクセスポイント166を介してプロセス制御ネットワーク122に接続されている。アクセスポイント166は、例えば、ファイアウォールまたは制御デバイスであってもよい。一般的に言えば、ワークステーション160は、プロセスまたは制御オペレータが、プロセス制御ネットワーク122内のデバイスの進行中の動作(コントローラ、フィールドデバイスなど)を見て、プラントまたはオンライン制御を実行することを可能にするオペレータワークステーションである。これらのワークステーションは、オペレータやメンテナンス担当者などの人員がフィールドデバイス等の制御資産や回転デバイス、振動デバイス、発電施設などの他のタイプの資産に対して様々な分析を実行することを可能にする様々なアプリケーションを含む。
図2に示すように、ワークステーション168として示されたワークステーションの1つ以上は、プラント内の様々な携帯型装置180のローカルコンテンツを格納するローカルコンテンツリポジトリ170を含む、またはそれに接続されたフリート管理ステーションとして動作する。フリート管理ステーション168は、必要に応じて管理するために動作するものであって、ローカルコンテンツリポジトリ170は、固定式装置の様々なローカルコンテンツを格納するものである。同様に、プラントネットワーク120は、無線アクセスポイントである1つ以上のネットワークアクセスポイント172を含み、1つ以上の携帯型装置180(それぞれ
が無線通信インターフェースを有する)がネットワーク120に、したがってフリート管理ステーション168に接続して、後に記載するように、コンテンツをアップロードし、ダウンロードすることを可能にする。携帯型装置150及び180は、同じタイプの複数のデバイス(例えば、フィールドコミュニケータ、オシロスコープ、電流計など)を含んでもよいし、異なるタイプのデバイス、ならびに異なる製造業者によって製造されたデバイスまたは異なる能力を有するデバイスを含んでもよい。
【0038】
後に記載するように、制御ネットワーク122は、コントローラ、入力/出力(I/O)デバイスなどの様々な制御デバイス及びサブネットワーク、HART、FOUNDATION Fieldbus、Profibus、CANなどの独自の方法で、またはプロセス制御ネットワークを介して接続されたフィールドデバイスを含み、これらのサブネットワークには、任意の所望のプロセス制御プロトコルを使用することができる。一般に、携帯型装置150及び180は、これらのデバイス及びサブネットワークに対するメンテナンス、チェック、修理、テスト、較正、及び組み立て活動を行うために使用されてもよい。同様に、プラントまたは他の産業施設は、
図2には示されていない振動分析及び監視デバイス、回転デバイス、発電施設などの他のタイプのデバイスを含んでもよい。これらのデバイスは、1つまたは複数の携帯型装置150及び180を使用して、サービスされ、メンテナンスされ、インストールされ、修復され、テストされ、較正される。
【0039】
DMZ層またはデバイス140は、プロセス制御層またはネットワーク120及び122だけでなく、プラントまたは産業用施設デバイスネットワークならびに管理ネットワーク118をインターネットまたは他の外部ネットワークまたは公衆ネットワーク、例えば産業用LANネットワーク116及び外部ネットワーク114から分離するように動作する。
図2の通信システム110の例では、
図2に示すように、プラントLAN層または業務ネットワーク116は、ルータ/ファイアウォール130を介してインターネットまたは他の公衆ネットワークに接続され、プラントDMZ層140は、DMZ140の一部としてルータ/ファイアウォールを介してプラントLAN層または業務ネットワーク116に接続される。
【0040】
プラントDMZ140は、アンチウイルスサーバ、データサーバ、及びヒストリアンサーバなどのいくつかのサーバを含む。DMZ層140は、一般に、インターネットなどのより大きなネットワークへの直接的なエクスポージャーをいくつかのホストのみに限定することによって、ネットワーク118、120及び122などのローカルネットワークまたはプラントネットワークに追加のセキュリティを提供する(すなわち、アンチウイルスサーバ、データサーバ及びヒストリアンサーバ、DNSサーバ、ウェブサーバなど)を含むことは知られている。DMZ層またはデバイス140は、一般に、セキュリティ機能を実装する1つまたは複数のホストを介してすべての着信及び発信インターネットトラフィックを指示することによって、システム118、120、122のセキュリティを向上させて通信を確保する任意の中間ネットワーク層であってもよいことに留意されたい。
【0041】
さらに、
図2のフリート管理システム112は、
図2のネットワークのうちの異なるネットワークに配置される様々な構成要素を含む。特に、フリート管理システム112は、プラントネットワークまたは他の産業ネットワーク118、120、122内で使用される携帯型装置150及び180を含み、例えば、フリート管理ステーション146及び168と、関連するローカルコンテンツリポジトリ147及び170と、エンドユーザリポジトリ190、ノーティファイア192、コンテンツ決定装置194、及びコンテンツダウンローダ196を含む外部またはクラウドベースのネットワーク114内の様々な構成要素を含み、これら構成要素は一般に一緒に動作して、携帯型装置150及び180の様々なものにダウンロードされる必要があるコンテンツを判定する。この場合、フリート管理システム112は、外部またはクラウドベースのネットワーク114にあるとして示さ
れた1つまたは複数のビジネスシステムまたはコンピュータ199に接続され、そこから情報を受信することもできる。ビジネスシステム199は、1つまたは複数の携帯型装置150及び180の新しいコンテンツを購入または取得するために使用されてもよく、ライセンスキー、コードなどの形態で、フリート管理システム112にそのような購入またはライセンスの意図を提供してもよい。同様に、様々なファイアウォール及びDMZ装置130及び140は、フリート管理ステーション146及び168と外部ネットワーク114内のフリート管理構成要素との間の安全な通信を可能にするフリート管理システム112に関するプログラミングまたは構成を含む。さらに、フリート管理ステーション146及び168は、これらのデバイスがDMZ及びファイアウォールデバイス130及び140をナビゲートして、これらの装置を介して安全な方法で外部ネットワーク114と通信することを可能にする通信ソフトウェアを含む。
【0042】
より具体的には、産業用携帯型装置150及び180は、フィールドコミュニケータ、キャリブレータ及び他のタイプの携帯型装置を含み、これらデバイスは工業プラント、プロセスプラント、油井、ポンプ場などの産業施設において使用され、回転デバイス(例えばタービン)、発電デバイス、振動解析及び検出デバイスなど、産業施設で使用される他のタイプのデバイスまたは資産等フィールドデバイスに対し、設定、トラブルシューティング、キャリブレーション、その他の操作の実行を行う。もちろん、産業用携帯型装置の異なるタイプ及びブランドであっても、同じまたは異なるメーカによって製造されてもよく、様々なタイプの産業用携帯型装置150及び180が異なる特徴及び能力を有してもよい。例えば、産業用携帯型装置150及び180のいくつかは、プラント内の様々なサブネットワーク122の1つまたは複数を介してHARTまたはFieldbusフィールドデバイスなどのフィールドデバイスと通信するフィールドコミュニケータであってもよい。産業用携帯型装置150及び180のいくつかは、フィールドデバイス及び回転デバイス、振動分析器などの他のタイプのデバイスを含む、プラント内のデバイスを較正または構成するキャリブレータまたはコンフィギュレータであってもよい。さらに、産業用携帯型装置150及び180のいくつかは、プラント内の配線や電源等他のデバイスをテストする電流計、電圧計、抵抗計、インピーダンス計、またはマルチメータなどの電気試験機能デバイスであってもよいし、電気試験機能を有してもよい。同様に、産業用携帯型装置150及び180のいくつかは、本質的に安全であり、したがって危険な環境で使用することができる。産業用携帯型装置150及び180のいくつかは、様々な製造業者によって製造された特別に構成された携帯型装置であってもよく、または、ラップトップ、電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、タブレットコンピュータなどの汎用コンピュータに実装されているか、または汎用コンピュータに接続されたソフトウェア機能またはハードウェアとして実装されてもよい。さらに携帯型装置150及び180は、例えば、機能性、使用、タイプ、製造業者、ユーザ等、またはこれらの特性と他の特性との任意の組み合わせに基づいて、例えばフリート管理ステーション146、168のうちの1つを使用して、任意の方法で携帯型装置の1つまたは複数のフリートにグループ化されてもよい。
【0043】
さらに、フリート管理ステーション146及び168は、本発明の例では、エンドユーザのサイトまたはプラントに位置して、関連するフリート管理ソフトウェア203を実行するプロセッサを有するコンピュータまたはワークステーションである。これらのデバイスは、プラントまたはフリート管理者によるユーザインターフェースとして使用され、たとえば、プラント内の産業用携帯型装置の識別された各フリートを管理する。より具体的には、これらのコンピュータは、携帯型(または固定式)デバイスのフリート管理者によって使用され、産業用携帯型装置150及び180のフリートに搭載されたコンテンツならびに必要に応じて固定式装置のフリートに搭載されたコンテンツを自動的かつ半自動的に管理することと関連して、後述するいくつかまたはすべての活動を実行する。同様に、ローカルコンテンツリポジトリ147及び170は、携帯型装置150及び180用のコ
ンテンツをローカルに格納するデータベースであり(必要に応じて固定式装置用である)、そのコンテンツは様々な携帯型装置150及び180または固定式装置にダウンロードされる前またはその後に、エンドユーザのサイトでダウンロードされる。
【0044】
さらに、エンドユーザのサイトにおける内部通信ネットワーク、例えばプラントは、通常、ビジネスネットワーク116、プラントネットワーク120、制御ネットワーク122等複数の隔離されたネットワークを含み、ネットワーク間中継またはDMZ装置140は、プラント内の既存のルータの上を走ってこれらのネットワークを相互接続するソフトウェアを実行する。一例として、DMZソフトウェアは、ネットワーク隔離を維持するが、プラントネットワーク118、120上のコンピュータまたは産業用装置が外部クラウドネットワーク114を含む外部ネットワークに安全にアクセスできるようにするポートの再指定を実行する。本明細書で使用されるように、ネットワーク116、118、120、122及びそれに接続されたデバイスは、第1または第2の場所と呼ばれる同じ一般的な場所にあるとみなしてもよく、またはこれらのネットワーク及びデバイスは、異なる場所にあるとみなしてもよい。
【0045】
しかしながら、
図2に示すような少なくとも1つの実施形態では、フリート管理システム112は、プラントネットワークの外側にある外部クラウドまたはサーバシステム(ITシステム、インフラストラクチャなど)内の構成要素を含む。この外部ネットワークには、外部クラウドのITインフラストラクチャ(サーバ、プロセッサなど)上で一般に実行されるソフトウェア機構であるコンテンツ決定装置194が含まれ、いくつかの異なる入力基準を評価し、特定のカスタマーサイトの特定の産業用携帯型装置(または特定の固定式装置が有するコンテンツ)がどのようにフィルタリングされ/ターゲット化されたコンテンツを有し、使用するかを判定する。概して言えば、コンテンツ決定装置194は、機能、プログラミング、オペレーティングシステム、アップグレードなど(すべてがコンテンツと呼ばれる)を詳述する入力を格納または受信して、産業用携帯型装置150、180または固定式装置の設定パラメータを示す設定情報を取得し、産業用携帯型装置または固定式装置のそれぞれにどのような内容が含まれているかを判定する。さらに、コンテンツダウンローダ196は、コンテンツ決定装置194に接続して、産業用携帯型装置または固定式装置が使用または配置されるプラントの外部ネットワーク及び内部ネットワークを介して、コンテンツ決定装置194によって指定されるように、コンテンツを産業用デバイスにダウンロードするための効率的で安全な接続を提供する。
【0046】
さらに、ソースコンテンツリポジトリ198は、産業用携帯型装置150及び180(または必要に応じて固定式装置)にダウンロードするために利用可能なすべてのコンテンツを格納し、プラント内の産業用携帯型装置150及び180(または固定式装置)にダウンロードされる必要があるときに、そのコンテンツをコンテンツダウンローダ196に提供する。ノーティファイア192は、コンテンツが利用可能になったとき、または特定の産業用装置にダウンロード可能であると判定されたときに、例えばコンテンツシステム194が、ビジネスシステムコンピュータ199のうちの1つを使用して新しいコンテンツが取得された(例えば、ライセンス供与された、または購入された)と判断した場合などに、ユーザに通知を送信するモジュール(例えば、プロセッサ上で実行されるソフトウェア)である。一般に、ビジネスシステムコンピュータ199は、新しいコンテンツを取得するために使用されるユーザアカウント及び認証、購入、注文管理システム、アプリケーションまたはフィーチャストアなどを含む。最後に、エンドユーザ情報リポジトリ190は、産業用携帯型装置150及び180のフリート内の各産業用携帯型装置及び/またはプラントまたは他の産業用の固定式装置のフリート内の各固定式装置のコンテンツ及びバージョンの現在の詳細なリストに関するエンドユーザ情報を収集し格納するデータベース及び通信モジュールである。
【0047】
外部クラウドネットワーク114内に配置されたフリート管理システム112の構成要素は、同じまたは異なるプラント内の携帯型及び/または固定式装置の様々な異なるフリートをサポートするために使用できることに留意されたい。すなわち、
図2のフリート管理構成要素190~199は、同じまたは異なるプラントに関する複数の異なる産業用携帯型装置のフリート情報を格納、入手、ダウンロード判定を行うように構成されている。さらに、場合によっては、フリート管理システム構成要素190~199は、ベンダーに関連付けられるか、またはベンダーによって提供されてもよく、異なるプラントによって(例えば、サブスクリプションベースで)リースまたは使用されて、異なるユーザによって所有または運営されている異なるプラント内の携帯型装置の異なるフリートをサポートしてもよい。デバイスまたは構成要素190~199は、外部ネットワーク114の一部として
図2に示され、ネットワーク116、118、120、122内のデバイスから離れているか、またはネットワーク116、118、120、122内のデバイスとは異なる場所にある。しかしながら、デバイス190~199は実際の実装において互いに物理的に分離された異なるクラウドまたはリモートネットワークの一部であってもよいが、これらのデバイスは、異なる場所またはデバイス150、180が配置されているプラントまたは産業施設の資産の場所から分散された場所にあることを示す第1または第2の場所などの単一の場所または単一のネットワーク上にあるものとしてここでは言及されてもよい。したがって、デバイス190~199は、互いに物理的に離れていてもよく、異なる遠隔ネットワークに接続されてもよく、これらのデバイスという用語が本明細書で使用される場合、単一の場所または単一のネットワークにあると見なされてもよい。
【0048】
一般に、フリート管理システム112は、2つのレベルで動作し、携帯型装置または固定式装置コンテンツの基本的な制御及び一般的な最適化は、携帯型装置または固定式装置のフリートが配置されているプラント内のフリート管理ステーション146及び168を使用して、プラント管理者によって実行されるかまたはプラント管理者によって指定されるが、コンテンツをダウンロードすることに関する判定と、プラント内のどの携帯型装置または固定式装置にどの特定のコンテンツを提供すべきかの通知と、携帯型装置または固定式装置のコンテンツトラッキングは、外部ネットワーク114内のデバイスまたはモジュールによって実行される。
【0049】
より詳細には、フリート管理者は、まず、ネットワークアクセスポイント148、172を介して、またはプラント内の通信ネットワークまたは他の産業施設を介して、フリート内の様々な携帯型装置(及び/または固定式装置)に接続し、これら携帯型装置または固定式装置から、フリート内の携帯型装置または固定式装置それぞれのコンテンツ、製造業者、能力などを定義または識別するデータを収集する。もちろん、そのようなコンテンツは、フリート管理ステーション146、168を介して、手動でフリート管理システム112に入力することもできる。このコンテンツ情報は、外部ネットワーク114に送られ、DMZ140及びファイアウォール130を介してエンドユーザ情報リポジトリ190によって取得され、エンドユーザ情報リポジトリ190に格納される。
【0050】
リポジトリ190は、識別されたフリート内の産業用携帯型装置150及び180それぞれの内容、及び/または識別されたフリート内の固定式装置それぞれの内容の指示を格納する。より具体的には、格納庫190は、メーカ、モデル番号、製造者、改定番号などの管理下にある各携帯型装置(または固定式装置)の識別に関する情報を格納するとともに、携帯型装置(アプリケーション、デバイスドライバなどを含む)に格納された使用制限、機能、ソフトウェア及びファームウェア、適用された更新またはアップグレード、構成設定または適用された設定などの指示も格納することができる。このように、格納庫190は、デバイス自体またはフリート管理ステーション146、168によって提供されそのデバイスを管理するために使用される、プラントまたは他の産業施設で使用される産業用携帯型装置または固定式装置の各フリート内の産業用携帯型装置または固定式装置そ
れぞれの現在の内容を格納する。格納庫190は、定期的にこの情報をポーリングしてもよく、またはこの情報は、フリート管理ステーション146、168によって定期的に送信されてもよく、またはフリート管理者がその情報を送信したいとき、または他の方法で新しい情報が携帯型装置150、180または固定式装置から得られたときに、送信されてもよい。
【0051】
さらに、必要に応じて、ユーザデバイス格納庫190は、1つまたは複数のフリート管理ステーション146、168から、どの携帯型装置及び/または固定式装置がどのフリートに関連づけられているかを示す構成情報を受信して、管理されたフリート内の携帯型及び/または固定式装置の更なる小グループまたはカテゴリを示す構成情報、つまり、フリートマネージャが記入して提供するフォームまたはその他構成情報を受け取ることができる。例えば、フリート管理者は、フリート内の1つまたは複数の携帯型装置または固定式装置(例えば、レベル1またはレベル2のデバイス)の構成レベルまたはグループを指定することができ、デバイスの各レベルはそれぞれ異なる構成パラメータを有するため、パラメータが許容する内容次第でデバイスの扱いも異なる。さらに場合によっては、フリート管理者は、様々なフリート内の各デバイスの使用に対してユーザ制限をかけることができる。このユーザ制限とは、どのユーザまたはユーザのグループがどのデバイスを使用できるか、どのデバイスをプラントのどの領域で使用することができるか、またはプラントまたは他のプラント環境内のどのデバイス、ネットワークなどにサービスすることができるかを示すものである。場合によっては、プラントのフリートマネージャまたは携帯型装置または固定式装置のフリートマネージャは、(たとえばフリート管理ワークステーション146、168などで)フリート内の様々なデバイスのカテゴリ、使用またはコンテンツ制限などを示すフォームに記入して、このフォーム及び情報をエンドユーザデバイス情報リポジトリ190に格納する。
【0052】
フリート管理システム112の動作中、ビジネスシステムコンピュータまたはネットワーク199に接続されているコンテンツ決定装置194は、要求に応じて定期的に、または随時、特定の産業用携帯型装置または固定式装置のビジネスシステムから得るすべての情報(利用可能または許可されている新しいコンテンツを示す)をレビューして、その内容と携帯型装置または固定式装置に実際に格納されている格納庫190が示す内容とを比較する。特定の産業用携帯型装置または固定式装置のために新しいコンテンツが利用可能であり、そのコンテンツを、格納庫190に格納されているそのデバイスの構成フォームまたは構成情報の指定に従って、携帯型装置または固定式装置に提供することができる場合、コンテンツ決定装置194は、新しいコンテンツが利用可能であること、及び/または特定の産業用携帯型装置または固定式装置に対して使用許可されているというメッセージまたは通知を送信するノーティファイア192へのメッセージを開始する。このメッセージまたは通知は、様々なネットワーク116、118、及び120ならびに様々なファイアウォールまたは仲介者130及び140を介してフリート管理ステーション146及び168に送信され、同様に、コンテンツダウンローダ196は、フリート管理ステーション146及び/または168のうちの1つによる要求に応じて、他のネットワークを使用して、格納庫198から新しいコンテンツを取得し、そのコンテンツを1つまたは複数のフリート管理ステーション146及び168にダウンロードし、フリート管理ステーション146及び168は、そのコンテンツをローカルリポジトリ147及び/または170に格納する。次に、新しいコンテンツを利用可能な携帯型装置または固定式装置が、例えば、ネットワークアクセスポイント148、172を介して、または適切なネットワーク118、120内の他のネットワーク接続を介してフリート管理ステーション146、168の1つに接続すると、フリート管理ステーション146、168は、携帯型装置150、180または固定式装置に新しいコンテンツをダウンロードして、携帯型装置または固定式装置を更新またはアップグレードすることができる。このフリート管理ステーション146、168が格納庫190にダウンロードを通知すると、格納庫190は新しい
コンテンツが産業用携帯型装置150、180内または固定式装置内に、またはその一部に現在あることを示す。もちろん、フリート管理システム112の管理者は、コンテンツ決定装置194によって判定された新たに利用可能なコンテンツに基づいて、新しいコンテンツを取得し、ダウンロードする手順を構成することができるが、自動、半自動、手動のいずれの方法でもよい。すなわち、コンテンツの更新及びダウンロードは、例えば、産業用携帯型装置または固定式装置がプラントネットワーク118、120のうちの1つに接続するときにいつでも自動的に実行され、コンテンツ決定装置194によって自動的に判定されたデバイスに新しいコンテンツが提供されてもよい。同様に、この更新は、フリート管理システム112によって、接続された産業用携帯型装置150、180または固定式装置の新しいコンテンツをチェックし、フリート管理ステーション146、168のうちの1つを介して管理者に通知される。例えば、携帯型装置にダウンロードするために新しいコンテンツが利用可能であると通知される。管理者は、フリート管理ステーション146、168のうちの1つでダウンロードを許可することができ、ダウンロードが行われる。別のシナリオでは、管理者は、特定の携帯型装置または固定式装置の新しいコンテンツのチェックを手動で実行し、新しいコンテンツが利用可能な場合にダウンロードを許可または許可することができる。
【0053】
さらに、先に示したように、フリート管理者は、ダウンロードするコンテンツを自動的に、半自動的に、手動で、またはまったくダウンロードしないように指示するフォームを設定または構成することができ、これにより、どのコンテンツがどの携帯型装置または固定式装置に送られるか、及びこのコンテンツをどのようにダウンロードするのか制御する能力がフリート管理者に与えられる。同様に、ビジネスシステムの1つが新しいコンテンツのライセンスのセットを購入するが、すべての産業用携帯型装置または固定式装置のライセンスが追い付かない状況もあり得る。この場合、フリート管理者は、例えばフリート管理ステーション146及び168内の構成モジュール201を使用して構成フォームを作り、これにより、ユーザは、どの携帯型装置または固定式装置が新しくライセンスされたコンテンツを取得すべきかまたは取得すべきではないのか、指示することができる。この構成情報は、格納庫190に送信され、コンテンツ決定装置194がこの構成情報を使用して、どの携帯型装置が新しいダウンロード可能なコンテンツを有することができるかを判定する。
【0054】
一般的に言えば、コンテンツ判定モジュール194は、フリート管理システム112に、多数の異なる基準に基づいて個々のエンドユーザの産業用デバイスにコンテンツをフィルタリング、ターゲット化する能力を提供する。例えば、購入やライセンス取得等で利用可能になる新しいコンテンツに基づいて、更新されたコンテンツがソースコンテンツリポジトリ198で利用可能にする、デバイスのフリートに関する新しい構成情報の変更または実装、フリート内の新しい産業用携帯型装置または固定式装置の取得、携帯型装置または固定式装置を新しいクラスまたはコンテンツレベルに割り当てるなどの個々のデバイス構成パラメータの変更、プラント内で新規または異なる用途に携帯型装置または固定式装置を割り当てる、携帯型装置または固定式装置に新しいセキュリティ機能を割り当てる、または不特定多数の人やそのグループによるデバイスの使用を不特定多数のフィールドデバイスまたはネットワークまたは他のタイプのデバイスなどを備えたプラント内で可能にするセキュリティ機能を持つ等の能力(すべて、構成モジュール201を使用して作成された構成テンプレートで表現または構成されている)を提供する。さらに、フリート管理システム112は、産業用携帯型装置または固定式装置から顧客システム情報を安全に抽出し、その情報を外部クラウドネットワーク114に提供し、これらのエンドユーザに付加価値を提供するために使用してもよい。さらに、コンテンツ決定装置194は、様々な基準に基づいて、適切な産業用携帯型装置または固定式装置にコンテンツをフィルタリング、ターゲット化、及びダウンロードする能力または機能を提供し、特定の顧客またはプラントのサイトにどのコンテンツをダウンロードするか、及びそのサイトの特定の産業用
携帯型装置または固定式装置にどのコンテンツをインストールするかに関する指示を出す。さらに、コンテンツ決定装置194は、中央位置で判断、意思判定を実行して、特定のカスタマーサイトならびに複数の異なるカスタマーサイトから複数の場所へのアクセスを可能にする。
【0055】
上記の説明から理解されるように、コンテンツ決定装置194は、クラウドネットワーク114内のITインフラストラクチャ(プロセッサ及びメモリ)上で実行するソフトウェアメカニズムであって(ただし、プラント内のローカルコンピュータ上で実行することができる)、多数の異なる入力基準を評価し、特定のプラントまたはカスタマーサイトの特定の産業用携帯型装置または固定式装置が受け取る資格があるフィルタリング/ターゲット化されたコンテンツを判定する。また、コンテンツ決定装置194は、入力基準として、利用可能なコンテンツ、バージョン、及び関連情報、特定の産業用デバイスそれぞれのIDまたはその他識別情報、フリート内の各産業用携帯型装置及び/または固定式装置に現在インストールされているこのコンテンツ及びそのコンテンツのバージョンに関する情報、フリート内の各産業用携帯型装置または固定式装置のサービス契約情報(例えば、各デバイスが特定の用途のために適切にライセンスされている場合、または特定のコンテンツのために適切にライセンスされている場合)、産業用携帯型装置または固定式装置を割り当てられた一人または複数のユーザ情報(ユーザとは、許可されたユーザのグループ、ユーザのタイプ、特定のユーザ、デバイスを使用することができる外部ユーザ対内部ユーザの指定、1人以上のユーザの会社または組織などとして定義される)、テンプレートの形態で提供される構成情報、例えば各特定の産業用携帯型装置または固定式装置が受信するべきコンテンツのレベルまたは性質を識別する情報、各携帯型装置または固定式装置のクラス(つまり、適切なコンテンツのクラス)等の完全なリストを利用して判定することができる。コンテンツ決定装置194からの出力には、コンテンツアイテム、バージョン、及び1つ以上の産業用携帯型装置または固定式装置に利用可能なその他の関連情報のリストが含まれるが、これに限定されるものではなく新しい権利/更新されたコンテンツが利用可能である産業用携帯型装置または固定式装置のユーザまたはフリートマネージャへの通知を含むことができる。
【0056】
コンテンツ決定装置194は、新しいコンテンツがコンテンツリポジトリ198などに追加されるなどの事象が発生したときなど、オンデマンドなどの任意の時点で、新しいコンテンツまたは異なるコンテンツが特定の産業用携帯型装置または固定式装置に適用またはダウンロードすることができる。一般的に言えば、コンテンツ決定装置194は、1つまたは複数の産業用携帯型装置または固定式装置に潜在的に影響を及ぼす状態変化があるときはいつでも、その評価をすることができる。そのような状態変化とは、コンテンツリポジトリ198に提供される新しい、アップグレードされた、または変更されたコンテンツの結果として起こるもの、例えば、ビジネスシステムコンピュータ199から、新しいコンテンツのライセンスまたは購入または取得が行われたという通知があった時、古いコンテンツの追加ライセンスが取得された時、例えば、特定の産業用携帯型装置またはそのようなデバイス用に購入されたコンテンツに対して新しい注文が処理された時、新しいサービス契約が開始された時、サービス契約が満了した時等、フリート管理ステーション146、168のうちの1つが、産業用携帯型装置または固定式装置の1つまたは複数の設定テンプレートの1つに変更を加えるかまたは提供する時、等の状態変化を言う。実装されると、コンテンツ判定モジュール194は、前に説明した入力を評価し、特定の産業用携帯型装置または固定式装置のそれぞれがどのような新しいコンテンツ及びバージョンを受け取る権利があるかを判定し、そのようなコンテンツ及びバージョンのリストを、フリート管理ステーション146、168に返して、デバイスにダウンロードさせる。
【0057】
例示的なシナリオでは、顧客またはプラントサイトの産業用携帯型装置管理者は、プラント内のフリート管理ステーション146、168から、または産業用携帯型装置150
、180から直接に、多数の産業用携帯型装置150、180に対してフリート管理活動を実行することができる。フリートマネージャは、外部クラウドネットワーク114に対して、これらの特定の産業用携帯型装置(複数可)に利用可能なコンテンツ更新のリストを要求することができる。外部クラウドネットワーク114は、コンテンツ判定モジュール194を作動させて、特定の産業用携帯型装置(複数可)に対してどのような更新、新しいコンテンツなどが利用可能であるかを判定する。次に、コンテンツ決定装置194は、格納庫190から各産業用携帯型装置に現在インストールされているソースコンテンツリポジトリ198に格納されるコンテンツ、産業用携帯型装置に関するサービス契約、フリートマネージャによって提供される産業用携帯型装置の構成情報またはデバイス自体の情報などコンテンツに関する情報を含むいくつかの入力を収集する。次に、コンテンツ決定装置194は、特定の産業用携帯型装置にこれを有する資格があるがまだこの情報に基づいていないコンテンツ及びバージョンのリストを含む応答を作成する。その後、コンテンツ判定モジュール194は、産業用携帯型装置用の新しいまたは異なるコンテンツを示す応答をアプリケーションに返す。このプロセスは、フリート内の異なる産業用携帯型装置のそれぞれについて繰り返されてもよい。
【0058】
この機構により、フリート管理システム112は、コンテンツを特定の産業用携帯型装置150、180(または固定式装置)に適合させ、適切なコンテンツが携帯型装置または固定式装置にダウンロードされることを確実にし、そのコンテンツのみが携帯型装置にダウンロードされることを確実にすることが知られている。さらに、このメカニズムは、多様なソースからの多様な入力を収集し、評価を行い、特定の産業用携帯型装置または固定式装置用が有する資格のあるコンテンツ及びバージョンのリストを作成し、戻す。
【0059】
本明細書に記載するフリート管理システム112は、(プラントなどの)産業用施設で使用されるフィールドコミュニケータ、キャリブレータなどの産業用携帯型装置を構成し、トラブルシューティングし、較正しプロセス計測デバイス、バルブ、ポジショナなどのフィールドデバイスに対してその他の操作を実行し、その他のデバイスや資産を、ソフトウェア、ドライバなどの更新を管理することを含め、整然と、また容易に確認できるように、維持管理することができる。さらに、フリート管理システム112は、異なる携帯型装置及び固定式装置をフリート内にカスタマイズさせて効率的に構成することを可能にする。これにより、産業用携帯型装置及び固定式装置がより複雑化され、より多くの機能、ソフトウェアアプリケーション、機能などを有するようになるので好ましい。
【0060】
同様に、フリート管理システム112は、複数の、または様々な産業用携帯型装置または固定式装置を所有することが多いユーザが、これらのデバイスを容易に管理することを可能にする。具体的には、フリート管理システム112は、エンドユーザが産業用携帯型装置及び固定式装置のコンテンツを容易かつ整然と更新することを可能にする。よって、エンドユーザは有効的に効率的にコンテンツ更新することができ、最新のソフトウェア、ドライバ、その他のコンテンツなどを使用することによって、産業用携帯型装置と固定式装置の確実な動作が保証される。このシステムにより、ユーザは産業用携帯型装置及び固定式装置に搭載されたコンテンツを、ユーザが必要とするものだけに限定することも可能になる。余分なソフトウェア、フィールドデバイスドライバ、及びその他のコンテンツは、産業用携帯型装置または固定式装置に混乱を与え、デバイスを使用するのをより困難にする。結果として、フリート管理システム112は、フリートマネージャが、アプリケーション及びドライバのような頻繁に使用されるターゲット化されたコンテンツを、産業用装置のフリートの全部または一部に提供または指定することを可能にするので、ユーザ効率の点で有利である。同様に、ユーザは、異なるクラスのユーザ、異なる個々のユーザ、異なるクラスまたはタイプの使用などのために、産業用携帯型装置または固定式装置の1つまたは複数をカスタマイズすることができる。
【0061】
さらに、フリート管理システム112により、管理者が複数の産業用携帯型装置(または固定式装置)の基本的な及び様々な高レベルの構成及び構成パラメータを定義する構成テンプレートを作成した上で組み立て、再使用することが可能となるため、効率性を図ることができる。つまり、管理者は、(例えば、フリート管理ステーション146、168のプロセッサで実行する)構成モジュール201のうちの1つを使用して、携帯型装置または固定式装置に搭載されるコンテンツを定義するテンプレートを作成し、それによって、プラントまたは他の産業施設でも使用できる特定のタイプまたはレベルのデバイスを得ることができる。さらに、このテンプレートを使用して作成したレベルで2つ以上の産業用携帯型装置または固定式装置をセットで構成することができる。また、その他のテンプレートを作成または設定して、異なるレベルまたはタイプのデバイスを作成することもできる。また、管理者は、構成テンプレートを単に変更して、そのテンプレートを使用するすべてのデバイスの内容を変更し、その新しい構成テンプレートをユーザデバイス情報リポジトリ190にアップロードし、フリート管理システム112は、更新されたテンプレートに定義されたように、また、更新されたテンプレートに適用可能な、または更新されたテンプレートによってカバーされるデバイスに対して新しいコンテンツが利用可能であると自動的に判断して、新しいコンテンツをダウンロードすることができる。このプロセスは、テンプレートから機能またはコンテンツを削除することによって、逆に機能することもできる。つまり、フリート管理システム112は、この構成テンプレートを使用して、産業用携帯型装置または固定式装置からソフトウェア、機能、または他のコンテンツを除去またはアンインストールすることができる。いずれにしても、このテンプレートベースの構成により、管理者は様々なテンプレートを使用して、同一または異なるデバイス群を自動的に構成することができる。
【0062】
さらに、例えば、そのコンテンツまたはそのコンテンツに関連するアプリケーションの特定のライセンスが失効したとき、産業用携帯型装置または固定式装置のサービス契約が満了したときなど、フリート管理システム、特にコンテンツ決定装置194は、1つまたは複数の産業用携帯型装置または固定式装置からコンテンツを自動的に除去することができる。この場合、提供された入力に基づいて、コンテンツ決定装置194は更新されたライセンス情報に基づいて、特定のデバイスが過剰なコンテンツを有するか、または承認されていないコンテンツを有するかを認識し、もはや許可または許可されていないコンテンツを除去するためにデバイスを管理しているフリート管理ステーションへそのようにメッセージを送る。
【0063】
さらに他の場合では、フリート管理システム112は、例えば、デバイスがリセットされたとき、クリーニング(アップグレード)されたとき、または致命的なメモリ故障を被ったときに、デバイス群内の特定のデバイスを自動的に復元または再構成するために使用されてもよい。ここで、コンテンツリポジトリ198は、管理またはサービス下にあるデバイス群内の携帯型装置または固定式装置の構成情報を格納してもよい。このような構成情報は、例えば、オペレーティングシステム設定、特定のアプリケーション設定、セキュリティ設定、ユーザインターフェース設定、周辺デバイス接続設定などを含むデバイス及びアプリケーション設定を含んでもよい。このように、ソースコンテンツリポジトリ198は、ユーザ作成コンテンツ(例えば、デバイス群内のデバイスのユーザによって作成または生成され、フリート管理システム112に送信されるコンテンツ)と、(例えば、デバイスメーカ、アプリケーションプロバイダなどの第三者によって開発されたコンテンツ、及び/または第三者によって提供されたコンテンツ)を、デバイス群に含まれるデバイスにダウンロードすることができる。いずれにしても、デバイス群内のデバイスがメモリ障害を被り、リセットされ、アップグレードされ、コンテンツ等を削除するようにサービスされると、デバイスは、オンラインになった後のある時点で、そのデバイスに現在サービスしているフリート管理ステーションに、現在そのデバイスに搭載される新しいコンテンツを(またはセットコンテンツを減らして)通知する。もちろん、フリート管理ステー
ションは、この情報のためにデバイスをポーリングしてもよい。フリート管理ステーションは、そのコンテンツの新しいリストをエンドユーザ情報リポジトリ190に提供し、エンドユーザ情報リポジトリ190はこの情報を格納する。次に、コンテンツ決定装置194が動作して、新しいコンテンツがそのデバイスに利用可能かどうかを判断すると、コンテンツ決定装置194は、不具合により、またはサービス操作で削除されたコンテンツがダウンロード可能であると判断し、そのコンテンツを上記の方法でデバイスにダウンロードさせる。このプロセスの一部として、コンテンツ決定装置194は、コンテンツリポジトリ198に現在格納されているデバイスの構成コンテンツが、エンドユーザ情報リポジトリ190に提供されるデバイスの現在の構成とは異なることを認識することができ、ダウンロードの一部としてコンテンツリポジトリ198に格納された構成情報をデバイスに提供することができる。このようにして、デバイスは、障害の前の元のコンテンツ及び構成状態に復元され、デバイスの回復がずっと簡単になり、時間の節約になる。
【0064】
さらに、フリート管理システム112は、プラントまたはその他産業環境内の産業用携帯型及び固定式装置の構成において、許容または使用される、「柔軟性のレベル」対「携帯型装置構成の一貫性」対「携帯型装置制御」、を定義するための能力を、デバイスまたはプラント所有者が有することができるように、高レベルな管理者制御を提供する。また、フリート管理システム112は、産業用携帯型装置150、180のような産業用携帯型装置及び固定式装置の構成及び使用におけるセキュリティを実施する。例えば、産業用携帯型装置及び固定式装置は、産業用携帯型装置150、180及び固定式装置にダウンロードされる新しいコンテンツへの安全なアクセスを有するフリート管理ステーション146、168を介してのみ変更または変更することができる。同様に、フリート管理システム112は、管理者が、可搬式または固定式の携帯型装置または固定式装置の使用権限を設定することを可能にし、ユーザデバイス情報リポジトリ190に格納された構成テンプレート及び他の構成データを使用してこれらの特権を維持することができるようにする。このように、管理者は、特定の職員(例えば、ユーザ及びパスワード)だけでなく、プラントの特定の場所または地点において、個々の携帯型装置または固定式装置を使用するように構成することができ、(危険でない環境においてのみ)、またはそれらの任意の組み合わせで使用することができる。さらに、本明細書に記載するフリート管理システム112は、携帯型装置「及び/または固定式装置内のすべてのコンテンツ(持ち運び可能または固定式装置に搭載されるコンテンツと、持ち運び可能または固定式装置から取り出されるコンテンツを制限することを含む)を管理し、産業用携帯型装置及び固定式装置内で限られたメモリ及びリソースを節約できる。
【0065】
本明細書で使用される産業用携帯型装置「コンテンツ」は、産業用携帯型装置に搭載される任意のソフトウェアアイテムを含むものとされ、(1)ソフトウェアアプリケーション、(2)デバイスディスクリプタ(DD)などのフィールドデバイスドライバ、(3)デバイスパッケージ、及び産業用携帯型装置が有線または無線で接続できる他のタイプのデバイス用ドライバのようなその他ドライバ、(4)ユーザマニュアル、オンラインヘルプ、教示用ビデオなどを含むユーザアシスタント、(5)技術ベースのアーティファクト(ナレッジベースの記事、サポート書込みなど)、(6)新しいソフトウェアやファームウェア機能などのアップグレードされた機能、(7)産業用携帯型装置または固定式装置の構成情報等を含むがこれらに限定されない。したがって、上述のように、コンテンツは、デバイス製造業者、アプリケーションプロバイダ、アプリケーションまたはデバイスのライセンサまたはサービス提供者などによって提供されるような第三者のコンテンツを含むことができ、デバイス、オペレーティングシステム、アプリケーション、デバイスドライバ、セキュリティなどの構成コンテンツ、デバイスを使用または管理するユーザまたはフリートマネージャによってつくられる設定などのユーザ作成コンテンツを含むことができる。
【0066】
したがって、本明細書に記載する産業用携帯型装置用のフリート管理システム112は、一般に、産業用携帯型装置または固定式装置からコンテンツまたはコンテンツの記述を集中型記憶デバイス及び構成システムまたはリポジトリにアップロードするステップと、産業用携帯型装置または固定式装置に搭載されたコンテンツを管理する集中型サーバシステムから産業用携帯型装置または固定式装置に新しいコンテンツをダウンロードするステップと、プラントオペレータまたはユーザの制御下にある1つまたは複数のフリート管理ステーションを使用して、フリート内の各産業用携帯型装置または固定式装置のコンテンツ、セキュリティ、ユーザ履歴などを制御するステップ、とを含む。勿論、本明細書に記載するフリート管理システム112には多数の異なる展開が存在し得る。このソリューションが提供する主な機能として、(1)エンドユーザの内部ネットワークの外側にあるITまたは外部クラウドインフラストラクチャなどのソースからコンテンツを安全に全面的に更新する機能、(2)プラントネットワーク内の産業用携帯型装置または固定式装置から顧客システム情報を安全に抽出し、その情報を外部クラウドネットワーク内のフリート管理デバイスまたはモジュールに提供する機能、(3)フリート内の産業用携帯型装置及び固定式装置に搭載されているコンテンツと搭載されていないコンテンツを制御する機能(フリート内の特定の産業用携帯型装置及び固定式装置のコンテンツをターゲット化すること)などがある。このような制御は、ライセンス、サービス契約の施行によるダウンロード制御、及びエンドユーザのカスタマイズを介して、例えば、管理者または産業用携帯型装置または固定式装置のエンドユーザが、複数の産業用携帯型装置または固定式装置またはユニットに適用可能で個々のユニットをカスタマイズし、しかも、認証された管理者及びエンドユーザのみがカスタマイズできるテンプレートまたは構成フォームを使用できるようにすることによって、また、フィールドデバイスまたは他のタイプのプラントまたは産業用装置へのアクセスを制御するためのユーザ認証及びフィールドデバイスアクセスを、産業用携帯型装置及び固定式装置から提供することによって、提供される。
【0067】
さらに、このシステムに従って、個々の産業用携帯型装置及び固定式装置に対しユーザ認証/ログイン手順を提供、実施、及び制御することによって、また、産業用携帯サービスデバイス及び固定式装置からユーザ認証とフィールドデバイスアクセスを提供してフィールドデバイスまたはその他のタイプのプラントまたは産業用装置へのアクセスを制御することによって、セキュリティ管理が提供される。同様に、外部ネットワーク、カスタマーオフィスネットワーク、及び顧客プラントネットワーク間のネットワーク分離を提供することによって、異なるプラントネットワークレベルで安全なソリューションが提供される。つまり、暗号化、コンテンツ署名などによってコンテンツの安全性が提供され、通信パイプの安全性によって、メッセージとファイルを安全に通信し、異なるネットワーク間で転送することができる。
【0068】
特定の用途の例として、本明細書に記載のフリート管理システム112は、顧客が新しいコンテンツを購入した後、1つ以上の産業用携帯型装置をターゲットコンテンツで更新するように動作することができる。この場合、
図2に示すように、顧客(またはプラント所有者または管理者)は、例えば外部クラウドネットワーク114内のビジネスシステムコンピュータ199を介して新しいコンテンツを注文する。コンテンツの購入(またはライセンスまたは他の取得)が完了すると、ビジネスシステムコンピュータ199は、コンテンツ注文モジュール194に、産業用携帯型装置150及び180の1つまたは複数の新規注文または利用可能なコンテンツを通知する。次に、コンテンツ判定モジュール194は、例えば、(1)コンテンツダウンローダモジュール196を介してソースコンテンツリポジトリ198から利用可能なコンテンツ及びバージョンの完全なリスト、(2)エンドユーザデバイス情報リポジトリ190からの1つまたは複数の産業用携帯型装置150及び180の現在のコンテンツ及びバージョンの完全なリストならびにこれらデバイスの構成テンプレート、(3)業務システムコンピュータ199からのサービス契約情報、(4)ビジネスシステムコンピュータ199からコンテンツが購入された特定の産業用携
帯型装置(提供または指定されている場合)用の1つ以上のデバイスID、(5)ソースコンテンツリポジトリ198に格納されたデバイスの現在の構成情報、等を必要に応じて収集する。次に、コンテンツ判定モジュール194は、1つ以上の産業用携帯型装置の評価を行い、その特定の産業用携帯型装置のそれぞれについて新しいコンテンツが利用可能であるかどうか、そして構成テンプレートと現在の構成情報または設定によって許可されているかどうかを判断し(特定のデバイスIDが提供されている場合)、1つまたは複数の産業用携帯型装置が新しいコンテンツを有することができるとき、通知モジュール192に通知する。次に、通知モジュール192は、電子メール、テキストメッセージ、または何らかの他の電子通知方法を介して、例えば、1つまたは複数の産業用携帯型装置150、180のためにダウンロード可能な新しいコンテンツが存在することを示す安全なネットワーク間通信を介して、フリート管理ステーション146及び168のうちの1つのフリート管理者に通知を送信する。
【0069】
次に、フリート管理ステーション146、168のうちの1つを使用して、顧客管理者は、外部クラウドネットワーク114へ「更新のためのチェック」要求を開始し、更新のためのチェック要求を受信し、その要求をコンテンツ決定装置194に送る。コンテンツ決定装置194は、利用可能なコンテンツ及びバージョンの完全なリストをソースコンテンツリポジトリ198から集め、つまり、特定の産業用携帯型装置の現在のコンテンツ及びバージョンの完全なリストをエンドユーザデバイス情報リポジトリ190から集め、サービス契約情報をビジネスシステムコンピュータ199から取得し、及び特定の産業用携帯型装置のデバイスIDをビジネスシステムコンピュータ199から受信し、1つ以上の産業用携帯型装置に提供される新しいコンテンツに関する評価を再び行う。次いで、判定モジュール194は、特定の産業用携帯型装置のそれぞれが受信する権利があるターゲットコンテンツ及びバージョンのリストをフリート管理ステーション146、168に送り返す。
【0070】
フリート管理ステーション146、168において、顧客管理者は、様々なサイトネットワーク及びファイアウォール130及びDMZ140を介した安全な通信を使用して、外部クラウドネットワーク114内のソースコンテンツリポジトリ198からコンテンツダウンロードを開始する。次に新しいコンテンツがダウンロードされ、ローカルコンテンツリポジトリ147、170に搭載される。次に、特定の産業用携帯型装置が無線ネットワーク接続デバイスまたはアクセスポイント148、172を介して適切なフリート管理ステーション146、168に接続されると、フリート管理者は、そのコンテンツをローカルのコンテンツリポジトリ147、170からその産業用携帯型装置にインストールすることを開始する。コンテンツが特定の産業用携帯型装置にインストールされると、フリート管理ステーション146、168はコンテンツがこの特定の産業用携帯型装置にインストールされていることを外部クラウドネットワーク114に通知し、特にエンドユーザデバイス情報リポジトリ190に通知する。次いで、エンドユーザデバイス情報リポジトリ190は、その産業用携帯型装置のファイルまたは記録を、新しいコンテンツを含むものとして更新し、ソースコンテンツリポジトリ198は、構成設定などが変更された場合に、デバイスの更新された構成情報を格納する。勿論、フリート管理システム112は、同じように動作して、産業用携帯型装置から必要に応じてコンテンツを取り除いてもよく、または同時にコンテンツをインストールすることもできる。
【0071】
別のシナリオでは、フリート管理システム112は、例えば、ソースコンテンツリポジトリ198に新しいコンテンツバージョンが利用可能にされた後、1つ以上の産業用携帯型装置150、180をターゲットコンテンツで更新することができる。この場合、ソフトウェアアプリケーションなどの特定のコンテンツアイテムの新しいバージョンが、外部クラウドネットワーク114内のソースコンテンツリポジトリ198に追加される。次いで、ソースコンテンツリポジトリ198は、新しいコンテンツアイテムバージョンをコン
テンツ決定装置194に通知し、コンテンツ決定装置194は、産業用携帯型装置のうちのどれがその新しいコンテンツを受け取るべきかを判定するために、上述のタスクのすべてを実行する。その後、システム112は、上述した方法で、新しいコンテンツアイテムバージョンを1つ以上の産業用携帯型装置に提供する。
【0072】
別の例示的な実施形態では、フリート管理システム112は、例えば、エンドユーザのビジネスネットワークまたはプラントLAN116と外部クラウドネットワーク114との間のネットワーク接続をセキュリティ目的で排除するように構成することができる。この場合、フリート管理システム112は、
図3に示すように構成することができる。
図3において、同様の要素は
図2と同じ参照番号を付す。しかし、注目されるように、
図3のシステム112は、ファイアウォール130及びネットワーク114と116との間の接続が除去されるので、外部ネットワークまたはシステム114とプラントまたはエンドユーザサイトとの間の情報及びコンテンツの手動フローが必要となる。代わりに、製造ステーション210がネットワーク114に接続され、ネットワーク114は、ダウンロードされるべきコンテンツ、特に携帯型装置または固定式装置に搭載されたコンテンツのダウンロードまたは変更の通知を受信する。製造ステーション210は、そのコンテンツ及び情報を、ハードドライブ、フラッシュドライブ、CD、または何らかの他の外部記憶媒体または可搬型記憶媒体上のセキュアフォルマントに格納するために使用される。そして、これらコンテンツ及び情報はフリート管理ステーション146、168のうちの1つに、外部駆動機構を介して手動で提供される。
【0073】
したがって、1つのシナリオとして、
図3のフリート管理システム112を使用して、
図3に示すように、産業用携帯型装置150、180または固定式装置は、ユーザが切断された展開環境で新しいコンテンツを購入した後、ターゲットコンテンツで更新されてもよい。ここで、顧客は、例えば外部クラウドネットワーク114内の外部ビジネスシステムコンピュータ199を介して新しいコンテンツを注文する。ビジネスシステムコンピュータ199は、コンテンツ注文モジュール194に新しい注文を通知する。次いで、コンテンツ決定装置194は、この新しいコンテンツ購入に基づいて、1つまたは複数の産業用携帯型装置または固定式装置に新しいコンテンツを提供するかどうかを判定するために必要な情報を収集する。もちろん、コンテンツ判定モジュール194は、利用可能なコンテンツ及びバージョンの完全なリストをソースコンテンツリポジトリ198から収集し評価することができ、特定の産業用携帯型装置または固定式装置の現在のコンテンツ及びバージョンの完全なリストをエンドユーザデバイス情報リポジトリ190から収集し評価することができ、サービス契約情報を業務システムコンピュータ199から収集し評価することができ、フリートマネージャによって作成され、例えば、特定の携帯型装置または固定式装置に搭載されるべきコンテンツのタイプを定義するエンドユーザデバイス情報リポジトリ190に格納された構成フォームまたはテンプレート、特定の産業用携帯型装置または固定式装置のデバイスID、及び格納庫198に格納されているデバイスの現在の構成の設定等を必要に応じて収集し評価することができる。コンテンツ判定モジュール194が評価を行った後、特定の産業用携帯型装置に新しいコンテンツが利用可能であると判断すると、通知モジュール192をトリガする。次に、通知モジュール192は、顧客または顧客の産業用携帯型装置に利用可能な新しいコンテンツがあることを示す通知を製造ステーション210の製造者に送信する。この通知は、例えば、電子メール、ツイッター(登録商標)、テキスト、またはネットワーク116、118、120を直接使用しない他の電子フォーマットを介して提供されてもよい。
【0074】
あるいは、後の時点で、製造ステーション210の製造者は、外部クラウドネットワーク114に対して「更新のためのチェック」要求を開始することができる。外部クラウドネットワーク114は、「更新のためのチェック」要求を受信し、その要求をコンテンツ決定装置194に廻す。コンテンツ決定装置194は、利用可能なコンテンツ及びバージ
ョンの完全なリストをソースコンテンツリポジトリ198から再び取得し、特定の産業用携帯型装置内の現在のコンテンツ及びバージョンの完全なリストをエンドユーザデバイス情報リポジトリ190から再び取得し、デバイス構成テンプレートをエンドユーザデバイス情報リポジトリ190から再び取得し、サービス契約情報、特定の産業用ポータブルまたは固定デバイスのデバイスIDをビジネスシステムコンピュータ194から再び取得し、特定の産業用携帯型装置または固定式装置の現在の構成の設定を再び取得する。コンテンツ判定モジュール194は、1つまたは複数の産業用携帯型装置また固定式装置にコンテンツを適用する必要があるかどうかの評価を行い、特定の産業用携帯型装置または固定式装置が製造ステーション210に戻す権利があるターゲットコンテンツ及びバージョンのリストを送信する。当然のことながら、ノーティファイア192からの元の通知は、産業用携帯型装置にダウンロードされる新しいコンテンツのリストを含むことができ、製造デバイス210は、コンテンツ判定部194に新しいコンテンツを再評価させる必要はない。しかし、通知とダウンロードとの間に所定の時間が経過した場合、この再評価が望ましい場合もある。これは、
図2の直接接続された実施形態にも当てはまる。
【0075】
いずれにせよ、製造ステーション210の製造者は、外部クラウドネットワーク114内のソースコンテンツリポジトリ198からコンテンツダウンロードを開始し、コンテンツをダウンロードした後、このコンテンツを携帯型メディアに焼き付け、プラントのフリート管理者に出荷またはその他の方法で物理的に提供または搬送される。必要に応じて、コンテンツ判定モジュール194は、製造者が特定のコンテンツをダウンロードすることを可能にするためのキー、パスワード、コード、または他のセキュリティ認証を提供することができ、このキーまたは認証がダウンロードを開始する際に必要となり、それによって不正なダウンロードを防止する。
図2のコンテンツ判定モジュール194もまた、このアクションを再度実行する。さらに、ダウンロードされたコンテンツは、コンテンツ決定装置194がそのコンテンツを許可した産業用携帯型装置または固定式装置(デバイスID)にのみインストールされることを可能にするように符号化することができる。
【0076】
その後、フリート管理者は携帯型メディアを受信し、フリート管理ステーション146、168を使用して、フリート管理ステーションのローカルコンテンツリポジトリ146、170に搭載されたコンテンツを更新する。次に、特定の産業用携帯型装置が、例えばネットワークアクセスポイント148、172のうちの1つを介してネットワーク118または120、またはフリート管理ステーション146、168に接続されると、または特定の固定式装置がネットワーク118または120に接続するか、またはネットワーク118または120上で利用可能であるとき、フリート管理者は、ローカルコンテンツリポジトリ147、170に格納されているように、その産業用携帯型装置または固定式装置へのコンテンツのインストールを開始する。コンテンツがインストールされると、フリート管理ステーション146、168は、コンテンツがこの特定の産業用携帯型装置または固定式装置にインストールされたことを生産者に報告するか、または(電子メール、テキストメッセージ、または他の電子メッセージを介して製造者に戻す)ために、フリート管理者に産業用携帯型装置の現在の状態に関する最新情報を送信するように促す。フリート管理者は、現在のデバイスコンテンツ状態の最新情報を電子メール、テキストメッセージ、または他の手段を介して製造者に送信し、製造者は製造ステーション210を介してこの情報を外部クラウドネットワーク114システムに入力する。次いで、外部クラウドネットワーク114は、エンドユーザデバイス情報リポジトリ190を産業用携帯型装置または固定式装置の最新の現在の状態(デバイスIDを有する)で更新する。
【0077】
2つの異なるフリート管理システムの配備及び通信が本明細書で説明されているが、当然のことながら本明細書に記載のフリート管理システム112の基本構成要素を使用して実行できる他の多くの適用可能な配備方法がある。例えば、携帯型装置150、180は、プラント接続を介して外部クラウドネットワーク114に直接接続され、更新されたま
たは新しいコンテンツの判定を受信または処理し、すべてのフリート管理活動を外部クラウドネットワーク114に提供することができ、外部クラウドネットワーク114内のモジュール及びデバイスのいくつかまたはすべてをプラントネットワーク内で実行することができる。
【0078】
より詳細には、
図4は、
図2及び
図3で説明したものと同様の要素を有するフリート管理システムの別の例を示す。
図2及び
図3には、同じ参照番号が付されている。
図4のシステムにおいて、産業用携帯型装置150及び180(及び必要に応じていくつかの固定式装置)は、外部ネットワーク114に直接接続することができ、この場合、フリート管理ステーション146または168は、クラウドなどの外部ネットワーク114内に、または離れたサービスサイトに設けられてもよい。
図4に示すように、携帯型装置150、180は、ファイアウォール及びDMZ装置130及び140を介して、または直接インターネットまたは他の公衆ネットワーク接続(点線で示す)を介してフリート管理ステーション146に接続することができ、フリート管理ステーション146が公衆または他の外部ネットワーク接続を介してデバイス150及び180と接続する以外は上述したのとほぼ同じ方法で動作するフリート管理ステーション146と通信しフリート管理ステーション146から情報を受信する。携帯型装置150と180(またはプラントまたはその他産業施設内のその他固定式装置)との間の通信は、電子メール、テキストメッセージなどを介して実行することができる場合があるが、ファイルのダウンロード(及び/またはメッセージング)は、直接的に保護された接続を介してのみ実行される場合もある。さらに、ファイルのダウンロードは、電子メールまたは他の非安全通信チャネルを介して実行されてもよいが、これらの通信は、上述のようにセキュリティコードを介して暗号化され、保護されてもよい。
【0079】
さらに、本明細書に記載のフリート管理システム112の様々な構成要素は、他の場所に配置されてもよい。
図4に示すように、フリート管理ステーション146、168のうちの1つまたは複数は、クラウド内に提供されてもよく、または遠隔地で実行されてもよい。これら及び他の場合であっても、ローカルリポジトリ147、170は依然としてプラントまたは他の業務フィールドに配置され、外部ネットワーク接続を介してフリート管理ステーション146、168と通信する。同様に、フリート管理ステーションユーザインターフェース(例えば、フリート管理ステーション146、168とのユーザインターフェース活動を実施するユーザインターフェース)は、構成モジュール201及びフリート管理ソフトウェアアプリケーション203を実行するコンピュータデバイスに対してリモートインターフェースを提供するシンクライアントアプリケーションを使用して実行されることは理解すべきである。結果として、これらのシンクライアントインターフェースは、無線デバイス、他のワークステーションなどで、同じ場所またはフリート管理コンピュータデバイスまたはサーバとは異なる場所に設けられてもよい。別の例として、エンドユーザ情報リポジトリ190などのデバイスまたは構成要素190~199のいくつかまたはすべては、必要に応じて、
図2~4のプラントまたは他の産業施設内のネットワークのうちの1つに設け、フリート管理構成要素の大部分またはすべてが同じプラントまたは場所内にあるようにする。もちろん、構成要素190~199の任意の特定のものは、プラントネットワーク内にあってもよく、他の構成要素はクラウドまたはリモートネットワーク内にあってもよい。
【0080】
図5は、(例えば、
図2~
図4のソフトウェアモジュール201及び203を実行することにより)フリート管理ステーション146、168によってユーザに提供される例示的なユーザインターフェース画面500を示し、ユーザが様々なデバイスを管理して、1つまたは複数のデバイスに対して新しいコンテンツが利用可能であるかどうかをチェックできるようにして新しいコンテンツのダウンロードを可能にし、例えば、ユーザ作成コンテンツ及び構成コンテンツを遠隔地にアップロードすることを可能にして1つ以上の構成
フォームなどに含まれる構成情報を生成または指定する。特に、
図5の画面部501は、プラント内の一組の産業用携帯型装置の各々に関する情報を表示し、または通常画面502で、デバイスのグラフィカルアイコンを含む特定のフリートに関連付けて表示してもよく、このアイコンは、フリート内の異なるタイプのデバイスに対して異なるものであってもよい。このようにして、管理下にあるデバイスのタイプをユーザに指示することができる。画面部501はまた、デバイスのシリアル番号(504)、構成可能なデバイスのニックネーム(506)、及びデバイスが管理されているフリート内の一部であるか否かの指定(508)を含む。指定508内上部のアイコンは、デバイスが管理されているフリートの一部であることを示し、これらのアイコンの選択によってデバイスをフリートから取り外すか、または除去することを可能にする。同様に、指定508内下部のアイコンは、利用可能であるが現在のフリートに関連しないデバイスを示し、アイコンを選択することによって、これらのデバイスとフリートとの関連性を示すことができる。
【0081】
さらに、アイコン502は、フリート管理ステーションが現在そのデバイスと有する通信接続のタイプを示す。この場合、第1のデバイスはUSB接続され、第2、第4、第5のデバイスはWi-Fi接続され、第3のデバイスは現在接続されていない。
図5に示されないが、アイコン502はまた、サブアイコンを含むことができるし、画面500内の1つまたは複数のデバイスが利用可能な新しいコンテンツを有するか否かを示すとともに利用可能なコンテンツの種類を示すさらなるウィンドウを提供する(ホバーイベントを介して選択またはアクセスされた場合)。これらのサブアイコンは、コンテンツを削除する必要があることを示す場合もある。
【0082】
同様に、画面500は、ユーザまたはフリートマネージャが、画面部501で選択された、特定のデバイスまたはデバイスのグループに対してアクションを行うことを可能にするアクションメニュー510を含む。例えば、メニュー510内の項目を選択することにより、ユーザは(本明細書で前述したように)更新をチェックすることができ、アプリケーションやその他の新しいコンテンツを購入することができ、ローカルコンテンツリポジトリ(
図2~
図4の格納庫147、170など)にあるものを見るため、ローカルコンテンツリポジトリへ(
図2~
図4のコンテンツリポジトリ198、または、ローカルリポジトリのいずれかから、ローカルリポジトリへ)コンテンツをローカル記憶デバイスにインポートすることができ、選択されたフリート内のデバイス、またはユーザ情報リポジトリ190または
図2~
図4のコンテンツリポジトリ198のいずれかへコンテンツをローカルリポジトリからエクスポートすることができる。さらに、
図5に示すように、メニュー510は、ユーザが1つまたは複数のデバイスを更新することによって、またはフリートを撤去または追加することによって、フリートに対してデバイスを取り外したり追加したりする前述のデバイス設定フォームを作成または変更するユーザのフリート管理が可能となる。もちろん、
図5の画面500は単に情報のタイプの1例を示すものであって、フリートマネージャに情報を表示して、フリートマネージャが本明細書に記載するような行動を取ることを可能にする。このような情報及びその他の情報を表示し、本明細書に記載する様々なフリート管理措置を取る能力をフリート管理者に提供するその他の多くの方法があることは理解されよう。
【0083】
図6は、カスタマーサイトのプラント内の産業用携帯型装置150及び/または180にヘルプコンテンツを提供するためのシステムを示す。このシステムは、プラント内のコンピュータネットワークに接続されたヘルプサーバ250を含み、ヘルプコンテンツを、産業用携帯型装置150/180の1つまたは複数のヘルプアプリケーションに提供するように構成される。ヘルプサーバ250は、プラント内の様々なコンピュータ化されたデバイスへのヘルプコンテンツの配信を格納及び/または制御する。ヘルプコンテンツは、当技術分野で一般的に理解されている任意の方法で、コンピュータ化されたデバイス及び/またはコンピュータ化されたデバイスに格納されたコンピュータアプリケーションの使
用に関する情報を含むデジタルファイルの形態であってもよい。
【0084】
このシステムは、
図2~
図5のいずれかに示されるフリート管理システムの特徴のいくつかまたはすべてを含む。説明を簡単にするために、このシステムは、ヘルプサーバ250が
図2の拡張プラントネットワーク及び通信システム110に追加された状態で図示されている。しかし、このシステムは、拡張プラントネットワーク及び
図3~
図4の通信システム110内で同様の方法で実施することもできる。簡潔にするために、
図2~
図4の例と共通の特徴の説明はここでは繰り返さないが、読者は、その個々の特徴に関連した詳細について本明細書中の先の説明を参照すればよい。
【0085】
ヘルプサーバ250は、プラント内のコンピュータネットワークに接続されている。図示の例では、ヘルプサーバ250はプラント管理ネットワーク118に接続されている。しかし、ヘルプサーバ250は、プロセス制御ネットワーク122及び/またはビジネスネットワーク116のようなプラント内の他のコンピュータネットワークに接続されてもよい。好ましくは、プラントコンピュータネットワークは、146または168などの少なくとも1つのフリート管理ステーションと、148または172などの少なくとも1つのネットワークアクセスポイントとを含む。追加のデバイスは、例えば、本明細書で先に説明したように、コンピュータネットワークに接続することができる。フリート管理ステーション及びネットワークアクセスポイントは、142、144、または164などの通信リンクによって接続される。プラント管理ネットワーク118に接続されたヘルプサーバ250は、以下で詳細に説明する。しかしながら、ヘルプサーバ250はプラント内の他のコンピュータネットワークに接続することもでき、ここでの説明はこれらの他のコンピュータネットワークとの接続にも等しく適用可能であることが理解されよう。
【0086】
ヘルプサーバ250は、ネットワークアクセスポイント148を介してプラント内でアクセス可能となるように、例えば通信リンク144にコンピュータネットワークに接続されている。ヘルプサーバ250はまた、フリート管理ステーション146によってアクセス可能である。したがって、フリート管理ステーション146は、ヘルプサーバ250へのヘルプコンテンツのダウンロード及び/または利用可能性を制御するように構成することができる。加えて、または代替として、ヘルプサーバ250は、フリート管理ステーションを形成及び/または組み合わせて、ヘルプサーバ250との間でのコンテンツのダウンロード及び/または利用可能性を制御するように構成されてもよい。ヘルプコンテンツは、任意の動作上十分な方法でヘルプサーバ250にロードすることができる。いくつかの構成では、サーバ上のヘルプコンテンツは、先に説明した原理に従ってフリート管理システム112によって制御されてもよく、及び/またはヘルプコンテンツは、他の手段によってヘルプサーバ250に提供されてもよい。
【0087】
産業用携帯型装置150及び180は、多くの異なる形態のいずれかをとることができ、デバイス150の以下の説明も、デバイス180に等しく適用される。好ましくは、産業用携帯型装置150は、少なくともプロセッサと、プラント内のフィールドデバイス(例えば、フィールドデバイス15~22)と産業用携帯型装置との機能的相互作用を制御するように構成された1つ以上の制御アプリケーションと、ユーザに情報を表示する電子ディスプレイと、1つまたは複数の制御アプリケーションを表示する電子ディスプレイに関するヘルプ情報をユーザに提供するためにプロセッサで実行するヘルプアプリケーションと、ネットワークアクセスポイント148及び/または172と通信するように構成された通信リンクとを含む。好ましくは、通信リンク及びネットワークアクセスポイント148は、産業用携帯型装置150などのWi-FiまたはBluetooth接続のようなネットワークアクセスポイント148との間の無線データ通信リンクを形成するために、無線データトランシーバを含む。ヘルプコンテンツを提供するためにシステムとともに使用するように構成された1つの例示的な産業用携帯型装置を、以下にさらに詳細に説明
する。しかしながら、ヘルプコンテンツを提供するためのシステムは、以下に説明する例示的な産業用携帯型装置に限定される必要はなく、本明細書に開示された原理に従えば他の産業用携帯型装置も使用することができることは当業者にも容易に理解されよう。
【0088】
ヘルプサーバ250は、ネットワークアクセスポイント148を介して産業用携帯型装置150に常駐するヘルプアプリケーションにヘルプコンテンツを提供する。産業用携帯型装置150に常駐するヘルプアプリケーションは、産業用携帯型装置に常駐する様々な制御アプリケーションとは別個であり異なるため、ヘルプサーバ250は、制御アプリケーションを変更することなく、産業用携帯型装置150にヘルプコンテンツを提供するように構成される。このようにして、例えば、ヘルプアプリケーションからユーザに利用可能なヘルプコンテンツは、制御アプリケーションへの任意の更新とは無関係に更新することができる。
【0089】
ある構成では、ヘルプサーバ205は、プラントコンピュータネットワーク外側の外部コンピュータネットワークからヘルプコンテンツを受信するように構成されている。例えば、ヘルプサーバ250は、フリート管理システム112からヘルプコンテンツを受信するように構成されてもよい。フリート管理システム112は、本明細書で既に説明したように、ヘルプ情報がヘルプサーバ250に提供され、最終的には任意に個々の産業用携帯型装置150に提供されるように制御することができる。また、他の構成では、ヘルプサーバ250は、産業用携帯型装置の通信リンクとネットワークアクセスポイント148との間の通信が確立されると、受け取ったヘルプコンテンツを産業用携帯型装置150に自動的に提供するように構成される。したがって、例えば、ヘルプサーバ250で新しいヘルプアップデートが利用可能であるがまだその産業用携帯型装置にインストールされていない場合、ヘルプサーバ250及び/またはフリート管理ステーション146は、特定の産業用携帯型装置150にヘルプアップデートを自動的に送信するように構成することができる。さらに、ヘルプアプリケーションは、ヘルプ更新が適用可能な基礎となる制御アプリケーションとは別個に独立しているため、産業用携帯型装置へのヘルプアップデートの自動ダウンロードする際に、ヘルプアップデートが適用可能なそのデバイス内の他の基礎となる制御アプリケーションを更新及び/または変更する必要がない。
【0090】
図7及び
図8は、回転デバイス、固定式装置、及び/または配電デバイスのような任意の適切なデバイス等のプラント内の設備資産に対する1つまたは複数の予め選択されたタスクを実行するための例示的な産業用携帯型装置150(または180)を示す。好ましくは、産業用携帯型装置150は、プロセス制御システムの一部分に対して、例えば、様々なフィールドデバイス及び/またはプラント内の制御及び/または電力ループまたはバスなどに対して、また、食品加工、製造、または同様のプラント内の様々な用途に対して、予め選択されたタスクを実行するように構成される。参照を容易にするために、プロセス制御システム及びフィールドデバイスに関連する産業用携帯型装置150のさらなる説明は、プラント内の任意の他の設備資産も含むことは他に明確に記載されていない限り明らかである。産業用携帯型装置150は、本明細書に記載の様々な特徴を含むように構成され、本明細書で開示する例示的な美的配置に限定されない多くの異なる美的形状、サイズ、及びレイアウトを有することができる。
【0091】
産業用携帯型装置150は、手持ち式ベース214及び1つまたは複数の機能モジュール216を含む。1つまたは複数の機能モジュール216は、取り外し可能であり、手持ち式ベース214に動作可能に取り付けられるか、または「プラグイン」されて、手持ち式ベース214の固定部分となる。異なる機能モジュール216が取り外し可能に設けられることによって、産業用携帯型装置150を用いて実行する必要がある特定の機能的タスクに応じて機能モジュール216を手持ち式ベース214から取り外す(すなわち交換する)ことができる。各機能モジュール216は、具体的には、プロセス制御システムの
1つ以上の部分に対して1つ以上の予め選択された機能を実行するように構成されている。例えば、異なる機能モジュール216は、手持ち式ベース214に動作可能に取り付けられたときに、メンテナンスツール212がプラント全体に配置された様々なフィールドデバイスに関する無線周波数識別(RFID)タグを読み取ることを可能にし、デバイス資産から振動データを収集し、HARTプロトコル制御/電力ループ及び/またはFieldbusプロトコル制御/電力バス及び/または4~20mAアナログシグナリングループなどの通信及び/または電力バスまたはループを介して1つまたは複数のフィールドデバイスと通信し、電流計として機能し、及び/またはプラント内の1つまたは複数の送信機及び/または受信機と無線で通信する。しかしながら、他の構成では、産業用携帯型装置150は、特定の機能的タスクを実行するための専用構成要素を有することができ、1つ以上の固定機能モジュールを有する方を選んで、1つ以上の交換可能な機能モジュール216を任意に省略することができる。
【0092】
手持ち式ベース214は、コンピュータプロセッサ(外部ハウジング内には見えない)と、コンピュータプロセッサからユーザへの情報を表示するための電子ディスプレイ222とを含む。コンピュータプロセッサ、電子ディスプレイ222、及び電源は、第1の筐体228内に単一の手持ち式ユニットとして共に動作可能に搭載される。物理的プッシュボタンまたは仮想ボタンなどの入力キー232は手持ち式ベース214に形成され、命令及び/または他の情報がユーザによって手持ち式ベース214に入力されることを可能にする。当該技術分野で理解されるように、本明細書において様々に記載する様々な機能のうちの1つまたは複数を実施するため、コンピュータプロセッサは、好ましくは、制御回路、メモリストレージ、I/Oデバイス、ドライバ、及び/またはソフトウェアなどのすべての適切な電子ハードウェアを含む。電子ディスプレイ222は、例えば、LED、LCD、プラズマ、及び/または任意の他のタイプの電子ディスプレイなどの表示画面を含むことができ、そのための任意の適切なハードウェア及び/またはソフトウェアドライバを含むことは当業者に容易に理解されよう。手持ち式ベース214と動作可能に接続されたときに機能モジュール216を電気的に接続するため、手持ち式ベース214及び機能モジュール216のそれぞれに相補的な電気コネクタ(図示せず)が交換可能な形態で提供され、手持ち式ベース214と機能的に接続された機能モジュール216との間のデータ、制御、及び/または電力信号の伝送を行う。
【0093】
ソフトウェアモジュールの形態の1つ以上の制御アプリケーションは、コンピュータプロセッサがアクセス可能である。制御アプリケーションは、手持ち式ベース214に常駐させることができ、すなわち、手持ち式ベース214に搭載されたコンピュータプロセッサのメモリ及び/またはASIC内など、手持ち式ベース214内のコンピュータ回路上に直接配置することができる。各制御アプリケーションは、異なる機能タスクを実行するように構成されている。例えば、ある制御アプリケーションは、フィールドコミュニケータツールとしての産業用携帯型装置の使用を制御するように構成されたフィールド通信制御アプリケーションであってもよく、例えば、HARTまたはFOUNDATIONFieldbusデバイスに接続し、電力供給するように構成されてもよい。また、別の制御アプリケーションは、産業用携帯型装置のループ診断ツールとしての使用を制御するように構成されたFieldbus診断制御アプリケーションであってもよく、FOUNDATIONFieldbusセグメント内のDC電圧、ノイズ、及び/または信号を測定し、及び/またはFOUNDATIONFieldbusデバイスに電力を供給するように構成されてもよい。また、ある制御アプリケーションは、フィールド診断ツールとしての産業用携帯型装置の使用を制御するように構成されたループ診断制御アプリケーションであってもよく、ループ電流及び電圧を測定し、電流を制御し、及び/またはHARTデバイスに電力を供給するように構成されてもよい。また、ある制御アプリケーションは、バルブコントローラのための診断ツールとして産業用携帯型装置の使用を制御するように構成されたValveLink Mobile制御アプリケーションであってもよく、例え
ば、HART及び/またはFOUNDATIONFieldbusデジタルバルブコントローラのためのバルブ診断を実行するように構成されてもよい。他の制御アプリケーションも可能である。制御アプリケーションは、ソフトウェア、ASIC、及び/またはハードウェアなど、任意の十分な方法で実行することができる。
【0094】
図9に示すように、電子ディスプレイ222に表示される「ホーム」画面には、いくつかの異なるアイコン230が表示される。
図9は、ホーム画面が、フィールドコミュニケータ制御アプリケーション、Fieldbus診断制御アプリケーション、ループ診断制御アプリケーション、及びValveLinkモバイル制御アプリケーションのアイコンを表示する例を示す。したがって、より多くのまたはより少ない制御アプリケーション及び適切なアイコン230を提供することができる。ユーザは、ディスプレイ222上の適切なアイコン230をタッチするか他の方法で選択することによって使用可能にするために、制御アプリケーションのいずれか1つを選択して開始することができる。特定のアイコン230が選択された場合(及びオプションで対応する機能モジュール216が手持ち式ベース214に動作可能に取り付けられている場合)産業用携帯型装置150は、選択されたソフトウェアモジュールによって駆動される特定のメンテナンス及び/または他の機能を実行する手持ち式メンテナンスツールとして使用することができる。
【0095】
機能モジュール216は、例えば、手持ち式ベース214と動作可能に接続されたときに、その特定の機能モジュールに関連する1つまたは複数の機能タスクを実行するように構成された1つまたは複数のコンピュータ制御回路を含むことができる。コンピュータ制御回路は、機能モジュール216の特定の機能を提供して1つ以上の予め選択された機能的タスクを実行する命令、データ、及び/または回路を有する、例えばソフトウェア、ASIC、及び/またはハードウェアを含むことができる。コンピュータ制御回路はまた、オプションとして、コンピュータデータ記憶メモリを含むこともできる。
【0096】
産業用携帯型装置150はまた、オプションで、プロセス制御システムにおけるフィールドデバイス及び/または制御ループに動作可能に接続するための1つまたは複数のインターフェース接続部240を含むことができる。図面の例示的な構成では、インターフェース接続部240は、機能モジュール216の一部である。予め選択された機能タスクまたは機能モジュール216に関連するタスクに応じて、インターフェース接続部240は、好ましくは、コンピュータ制御回路との自己完結型ユニットとして第2ハウジング238に搭載される。インターフェース接続部240の具体的なタイプ及び形態は、プロセス制御システムのフィールドデバイスに対する機能モジュール216によって実行される機能タスクまたは複数のタスクに依存する。したがって、インターフェース接続部240は、FOUNDATIONFieldbus及び/またはHARTコネクタ、データ収集コネクタ;電源コネクタ等を含むことができる。機能モジュール216の中には、インターフェース接続部240を有していないものもある。しかしながら、産業用携帯型装置150が取り外し可能な機能モジュール216を含まない構成では、インターフェース接続部240は、産業用携帯型装置150の取り外し不可能な部分の一部であってもよい。
【0097】
産業用携帯型装置150は、好ましくは危険領域での使用のために本質的に安全であるように構成されている。したがって、例えば、手持ち式ベース214及び機能モジュール216は、好ましくは、使用のために本質的に安全であるように、及び/または危険な領域で動作可能な接続及び/または接続を解除するように構成される。好ましくは、手持ち式ベース214は、いかなる機能モジュール216とも本質的に安全であるように構成される。すなわち、各異なる機能モジュールに動作可能に取り付けられた手持ち式ベース214の各組み合わせは、爆発性雰囲気で点火するのに十分な熱またはスパークを生成することができないように設計されている。好ましくは、手持ち式ベース214と機能モジュール216のそれぞれの組み合わせは、別々にまたは動作可能に一緒に接続されて、本質
的に安全である、すなわちANSI/NEC分類システムの下のクラスI、ディビジョン1エリア、または可燃性または爆発性雰囲気の同様のエリアなど危険な領域で使用するのに安全であると認定されている。
【0098】
図面の例では、産業用携帯型装置150は、フィールドデバイスと通信信号を送受信するように構成されたフィールドコミュニケータとして構成されている。機能モジュール216は、1つまたは複数の通信プロトコルでフィールドデバイスと通信するための取り外し可能なフィールド通信モジュールである。機能モジュール216は、フィールドデバイスまたは制御ループまたはバスに接続するためのインターフェース接続部240を含む。インターフェース接続部240は、HART制御ループまたはデバイスに接続するためのHART通信端子と、FOUNDATIONFieldbus制御バスまたはデバイスに接続するための通信端子とを含む。いくつかの構成では、端末は、WirelessHART、PROFIBUS PA、PROFIBUS DP、または他のプロトコルのような他の工業プロトコルとの接続のために構成及び/または提供されてもよい。
【0099】
この構成の産業用携帯型装置150はまた、取外し可能なパワーモジュール246とオプションの折り畳みスタンド248とを含む。電力モジュール248は、手持ち式ベース214及び/または手持ち式ベース214に動作可能に取り付けられた1つまたは複数の追加の機能モジュールに電力を供給するように構成されたバッテリなどの電源を含む。いくつかの構成では、手持ち式ベース214は、パワーモジュール246とは別個のバッテリのような埋め込み型電源を含むことができる。折り畳みスタンド248は、好ましくは、背面カバープレートに対する平坦な位置と背面カバープレートからの外向きに枢動された位置との間でヒンジを中心として枢動して、産業用携帯型装置150を直立位置に支える。
【0100】
ヘルプアプリケーションは、産業用携帯型装置150上に搭載され、産業用携帯型装置の他の制御アプリケーションとは別個に独立して設けられる。
図9に示すように、別のヘルプアイコン260が、産業用携帯型装置150に搭載された様々な制御アプリケーションを開始するために使用するアイコン230とは別のホームスクリーン上に表示される。ヘルプアプリケーションは、好ましくはソフトウェアとして実行されるが、ハードウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実行されてもよい。ヘルプアプリケーションを開始して実行するために、ユーザは、例えば、電子ディスプレイ222上のヘルプアイコン260に触れることによって、または入力ボタン232を使用してヘルプアイコン260を選択する。1つ以上の制御アプリケーションは、ヘルプアプリケーションから独立して開始され、実行されてもよい。同様に、ヘルプアプリケーションは、他の制御アプリケーションとは独立して開始及び実行することができる。したがって、制御アプリケーションを実行する場合、ヘルプアプリケーションを実行する必要はなく、ヘルプアプリケーションを実行しても、制御アプリケーションを実行する必要はない。さらに、ヘルプアプリケーションは、産業用携帯型装置150内で使用可能な複数の、好ましくはそれぞれの制御アプリケーションをどのように使用するかについて、電子ディスプレイ222を介してユーザにヘルプコンテンツを表示するように構成することができる。
【0101】
ヘルプアプリケーションは、他の制御アプリケーションとは別個に独立しているので、例えば、本明細書で前述したヘルプサーバ250及び/または産業用携帯型装置150に常駐するコンピュータプロセッサで、他の制御アプリケーションを実行及び/または変更することなく実行することができる。同様に、ヘルプアプリケーションを変更することなく、制御アプリケーションを更新及び/またはインストール及び/またはアンインストールすることができる。いくつかの構成では、ヘルプアプリケーション及び1つまたは複数の制御アプリケーションを同時に更新することができる。したがって、様々な制御アプリケーションとは別個にヘルプアプリケーションを提供することは、産業用携帯型装置15
0に実装される様々なコンピュータアプリケーション及び/または機能タスクの柔軟性及び/またはモジュール性に関して都合がよい。
【0102】
図10~
図14は、電子ディスプレイ222上のヘルプアプリケーションによって表示されるヘルプコンテンツの表示のいくつかの例示的なスクリーンショットを示す。いくつかの構成では、電子ディスプレイ222上にヘルプアプリケーションを表示するために、コンピュータプロセッサでウェブブラウザアプリケーションが実行される。例えば、ウェブブラウザは、Windows(登録商標)埋め込みコンパクト2013インターネットウェブブラウザであってもよい。ただし、他のWebブラウザを使用することもできる。さらに、他の構成では、ヘルプアプリケーションは、ウェブブラウザ以外の異なるタイプのディスプレイドライバによって表示されてもよい。
【0103】
ヘルプアプリケーションが実行されているとき、ヘルプアプリケーションによって表示される画面は、ヘルプアプリケーション内に含まれる様々なヘルプコンテンツ情報をナビゲートするために使用されるメインメニューペイン263と、電子ディスプレイ222上に特定のヘルプコンテンツ情報を表示するために使用される読取ペイン268の2つの主要なペインに分割される。メインメニューペイン263は、コンテンツアイコン264、用語集アイコン272、及び/または検索アイコン282などの様々なナビゲーションアイコンを表示する。読み取りペイン268は、メインメニューペイン263内の様々なナビゲーションアイコンから選択された、ヘルプトピックエントリまたは用語集エントリのテキスト及び図面を表示する。
【0104】
好ましくは、ヘルプアプリケーションは、現状の電子ディスプレイのサイズ及び/またはタイプに基づいて、電子ディスプレイ222上の表示コンテンツの表示フォーマットを動的に変更するように構成される。例えば、電子ディスプレイ222がラップトップコンピュータ上に通常見られるようなより大きな画面である場合、ヘルプアプリケーションは、例えば、
図10~
図12に示すように互いに隣接して、メインメニューペイン263及び読み取りペイン268を同時に表示する。しかしながら、電子ディスプレイ222が、手持ち式フィールドメンテナンスツール上に通常見られるようなより小さな画面である場合、ヘルプアプリケーションは、
図13及び
図14に示すようにメインメニューペイン263または読み取りペイン268のうちの1つだけを電子ディスプレイ222上に一度に表示する。1つの構成では、ヘルプアプリケーション、コンピュータプロセッサ、及び/またはヘルプサーバ250は、HTML5形式のヘルプコンテンツをフォーマットして提供するため、ヘルプコンテンツが表示されている電子ディスプレイ222のサイズ及び/またはタイプに応じて、ヘルプコンテンツ及びメインメニューペイン263及び読み取りペイン268の表示フォーマットを動的に変更するのに特に適している。しかしながら、ヘルプコンテンツの表示フォーマットを動的に変更するのに適した他のデータフォーマットも使用することができる。
【0105】
図10は、メインメニューペイン263からコンテンツアイコン264を選択することによってヘルプコンテンツルーチンがヘルプアプリケーションで開始されたときに、より大きな電子ディスプレイ画面に表示されるヘルプコンテンツページ262を示す。コンテンツアイコン264を選択すると、予め選択されたヘルプトピックアイコン266のドロップダウンメニューが開く。各ヘルプトピックアイコン266は、予め選択されたヘルプトピックのうちの特定のものに対する特定のヘルプコンテンツを得るために選択されてもよい。したがって、例えば、
図10に示すように、「フィールドコミュニケータ」アプリケーションヘルプトピックアイコンを選択し、産業用携帯型装置150をフィールドコミュニケータとしてどのように使用するかについての詳細なヘルプ情報を読取り枠268内に表示してヘルプトピックエントリ267を表示する。同様の方法で、対応するヘルプトピックアイコン266を選択することによって、「ループ診断アプリケーション」、「F
ieldbus診断アプリケーション」などの他の予め選択されたヘルプトピックに関する詳細情報を取得し、読み取りペイン268に表示することができる。さらに、各ヘルプトピックアイコン266は、所定のヘルプトピックについてのさらに別のサブ分類のための更なるドロップダウンメニューを導くことができる。
【0106】
図11は、メインメニューペイン263から用語集アイコン272を選択することによってヘルプアプリケーションにおいて用語集ルーチンが開始されたときに表示される用語集ページ270を示す。用語集アイコン272を選択すると、予め選択された用語集トピックアイコン274のドロップダウンメニューが開く。各用語集トピックアイコン274は、予め選択された用語集トピックの1つに関する特定の情報を得るように選択されてもよい。例えば、「アクティブ化」用語集トピックアイコン274を選択すると、ヘルプアプリケーション内及び産業用携帯型装置150の他の場所で使用される「アクティベーション」という用語に関する詳細情報が付いた用語集エントリ276が表示される。詳細な情報は、読取り枠268に表示される。用語集エントリの多くは、比較的短いため、いくつかの異なる用語集エントリが読取り枠268に表示され、選択された用語集トピックアイコン264の用語集エントリは、読み取りペイン268の上部に表示されてもよい。他の表示構成も可能である。
【0107】
図12は、検索項目を検索入力ウィンドウ282に入力することによってヘルプルーチン内で検索ルーチンが開始されたときに表示される検索ページ280を示す。検索エントリウィンドウ282に入力された検索語に対するヘルプエントリタイトル284は、メインメニューペイン263内の検索アイコン286の下に表示される。ヘルプエントリタイトル284のうちの1つを選択すると、選択されたヘルプエントリタイトル284に対応する読み取りペイン268内の特定のヘルプエントリが表示される。図示の例では、検索項目「フィールドコミュニケータ」が検索入力ウィンドウ282に入力される。ヘルプアプリケーションに利用可能なヘルプ情報の検索は、検索ルーチンによって実行され、検索用語に関連するいくつかのヘルプエントリタイトル284が、検索アイコン286下のメインメニューペイン263に表示される。ここでは、「フィールドコミュニケータプリケーション」のヘルプエントリタイトルが選択され、フィールドコミュニケータアプリケーションの対応するヘルプトピックエントリ267が読み取りペイン268に表示される。
【0108】
図13は、小さな電子ディスプレイ画面222に表示されたときのメインメニューペイン263のレイアウトを示す。ここで、コンテンツのフォーマットは動的に変更され、メインメニューペイン263のみが表示される。ヘルプトピックエントリ267または用語集エントリ276のうちの1つのような、特定の詳細なヘルプエントリに対応するナビゲーションアイコンの1つが選択されると、ディスプレイは
図14に示すように読み取りペイン268のみを示すように変化する。図示の例では、
図13は、「デバイスコミュニケータプラス通信モジュールに搭載の電流計」というタイトルのヘルプトピックエントリに対応するヘルプトピックアイコン266が選択されていることを示している。ヘルプトピックアイコンが選択されると、ディスプレイは、「デバイスコミュニケータプラス通信モジュールに搭載の電流計」というタイトルのヘルプトピックエントリ267からのヘルプ情報と共に、読み取りペイン268のみを示すように変化する。このより小さい表示形式では、メインメニューアイコン288が読取ペイン268に設けられている。メインメニューアイコン288を選択すると、例えば
図13に示すように、ヘルプアプリケーションがメインメニューペイン263を表示するように最初に戻る。
【0109】
いくつかの構成では、産業用携帯型装置150及びヘルプアプリケーションは、産業用携帯型装置150にヘルプコンテンツを直接ダウンロードし、産業用携帯型装置150内にローカルに、例えばコンピュータプロセッサのメモリにコンテンツを格納するように構成される。いくつかの構成では、産業用携帯型装置150、より具体的にはそこに搭載さ
れるコンピュータプロセッサは、産業用携帯型装置内の通信リンクを介して遠隔ソースから電子ディスプレイ222にヘルプコンテンツを流すように構成される。例えば、ヘルプアプリケーションは、例えば、ネットワークアクセスポイント148とのWi-FiまたはBluetooth接続を介して、特定の選択されたヘルプトピックのインストラクションビデオを産業用携帯型装置150に直接流すように構成される。他の構成では、産業用携帯型装置150は、例えばWi-FiまたはBluetooth接続を介したインターネット接続を含み、ヘルプコンテンツをインターネットから直接産業用携帯型装置150にダウンロード及び/またはストリーミングするように構成される。更に別の構成では、産業用携帯型装置150及びヘルプアプリケーションは、例えば、通信リンク144及びネットワークアクセスポイント148を介してヘルプサーバ250から直接など、アクティブなインターネット接続なしにヘルプコンテンツを受信するように構成され得る。アクティブなインターネット接続のないこのような構成では、ヘルプアップデートはフリート管理ソフトウェアにインポートされ、その後、産業用携帯型装置150に転送される。
【0110】
本明細書に記載するフリート管理システム112及びヘルプシステムは、産業用携帯型装置管理システムの文脈で説明したが、資産管理システム、回転デバイス管理システムなどに使用されるパーソナルコンピュータ、手持ち式デバイスなどの他の産業用装置の管理にも使用できる。さらに、フリート管理システム112は、工業プラントなどの産業施設で使用されるフィールドコミュニケータ、キャリブレータ、メータ、振動アナライザなどの多くのタイプの産業用携帯型装置をサポートするために使用され、フィールドデバイス(プロセス計測デバイス、バルブ、ポジショナなど)、回転機械、及びその他のデバイスの設定、トラブルシューティング、較正、測定及びその他の操作を実行することができる。同様に、フリート管理システム112は、プラント及び制御システムなどで使用されるユーザまたはオペレータワークステーション、データヒストリアン、資産管理ステーション、振動解析ステーション、回転デバイスステーション、プロセスコントローラ、プロセスで使用される入力/出力デバイスなどのプラント内の固定デバイスをサポートするために使用することができる。
【0111】
この特許は、「自動化」、「工業制御」、「プロセス制御」、または「業務制御」と互換的に呼ばれる業務プロセス制御システム、環境、及び/またはプラントで使用するように構成された携帯型フィールドメンテナンスツールを管理するためのフリート管理システムを記載している。典型的には、そのようなシステム及びプラントは、物理的な材料または製品を製造、精製、変換、または生成するように動作する1つまたは複数のプロセスを分散して制御するが、これらのプラントは、他の方法で動作することもできる。その場合もここに記載する管理構造が使用される。
【0112】
さらに、フリート管理システム112及びヘルプシステムの様々な構成要素について、本明細書に記載するソフトウェア及びハードウェアは、プロセッサ及びメモリを内蔵する汎用コンピュータまたはワークステーション内に実装されるものとして説明したが、これらの構成要素の一部または全部は、専用コンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)などの他のタイプのコンピュータを使用して実装することもできる。さらに、これらの構成要素は、本明細書に例示されたものより多かれ少なかれコンピュータデバイス内にあるように構成することができ、例えば、本明細書に記載のフリート管理システム構成要素の複数のものを同じコンピュータプロセッサまたはシステム内に格納して実装することもでき、複数のコンピュータデバイス間で分割することができる。同様に、これらの構成要素は、任意の標準または既知のコンピュータソフトウェアプログラミング技術を使用して作成または構成することができ、相互に通信するための任意の標準または既知の通信技術を実行することができる。
【0113】
本発明の好ましい実施形態の前述の記載は、例示及び説明のために提示されたものであ
って、包括的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上述の教示に照らして明らかな変更または変形が可能である。本実施形態は、本発明の原理及びその実際的な適用の最良の例を提供するために選択され、記載されており、それによって、当業者が、様々な実施形態において、意図された特定の用途に適した様々な変更形態で本発明を利用することが可能になる。すべての修正及び変形例は、それらが公正、法的及び公平に権利を与えられている幅に従って解釈されるとき、添付の請求項によって決定される本発明の範囲内であるものとする。