(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】導電モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241106BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20241106BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K1/02 B
H05K3/28 G
H05K1/18 J
(21)【出願番号】P 2022085747
(22)【出願日】2022-05-26
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀彦
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-171970(JP,A)
【文献】特開2019-197313(JP,A)
【文献】特開2020-013767(JP,A)
【文献】特開平03-214691(JP,A)
【文献】特開2017-135346(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0010371(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 3/46
H01L 21/56
H01M 50/20 - 50/298
H01M 50/50 - 50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に実装されて前記フレキシブルプリント配線板の回路パターンに接続されている電子部品と、
前記電子部品と前記フレキシブルプリント配線板との接続部を覆う第一ポッティング剤と、
前記第一ポッティング剤に対して前記フレキシブルプリント配線板の側とは反対側から重なっており、前記第一ポッティング剤および前記電子部品を覆う第二ポッティング剤と、
を備え、
前記第一ポッティング剤は、前記第二ポッティング剤と比較して
弾性率が小さい
ことを特徴とする導電モジュール。
【請求項2】
前記第一ポッティング剤は、前記接続部および前記電子部品を一体に覆っている
請求項1に記載の導電モジュール。
【請求項3】
更に、前記電子部品を囲む枠部を有し、かつ前記枠部が前記フレキシブルプリント配線板に固定されている金属プレートを備え、
前記第一ポッティング剤および前記第二ポッティング剤によって前記枠部で囲まれた領域が充填されている
請求項1または2に記載の導電モジュール。
【請求項4】
前記第一ポッティング剤は、平面視において前記枠部で囲まれた領域の全体を覆うように充填されて第一ポッティング層を形成しており、
前記第二ポッティング剤は、前記第一ポッティング層に重ねて充填されて第二ポッティング層を形成している
請求項3に記載の導電モジュール。
【請求項5】
前記金属プレートは、電池セルに固定される接続部を有する導電性のバスバであり、
前記接続部は、前記枠部から前記フレキシブルプリント配線板の側方に向けて突出しており、
前記枠部は、前記回路パターンに接続されている
請求項3に記載の導電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブルプリント配線板を有する導電モジュールがある。特許文献1には、金属基板の表面にフレキシブル基板を介して金属体からなる各バスバを配設すると共に、各バスバにIGBTを接続し、3相インバータ回路を実装した電力回路基板を構成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブルプリント配線板に電子部品が実装される導電モジュールにおいて、電子部品とフレキシブルプリント配線板との接続部を保護できることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、電子部品とフレキシブルプリント配線板との接続部を保護できる導電モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の導電モジュールは、フレキシブルプリント配線板と、前記フレキシブルプリント配線板に実装されて前記フレキシブルプリント配線板の回路パターンに接続されている電子部品と、前記電子部品と前記フレキシブルプリント配線板との接続部を覆う第一ポッティング剤と、前記第一ポッティング剤に対して前記フレキシブルプリント配線板の側とは反対側から重なっており、前記第一ポッティング剤および前記電子部品を覆う第二ポッティング剤と、を備え、前記第一ポッティング剤は、前記第二ポッティング剤と比較して高い柔軟性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る導電モジュールは、電子部品とフレキシブルプリント配線板との接続部を覆う第一ポッティング剤と、第一ポッティング剤に対してフレキシブルプリント配線板の側とは反対側から重なっており、第一ポッティング剤および電子部品を覆う第二ポッティング剤と、を備える。第一ポッティング剤は、第二ポッティング剤と比較して高い柔軟性を有する。本発明に係る導電モジュールによれば、高い柔軟性を有する第一ポッティング剤によって電子部品とフレキシブルプリント配線板との接続部を保護できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る導電モジュールの平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る導電モジュールの断面図である。
【
図3】
図3は、ポッティング層が形成される前の導電モジュールの平面図である。
【
図4】
図4は、金属プレートが取り付けられた導電モジュールの平面図である。
【
図5】
図5は、第一ポッティング剤が塗布された導電モジュールの平面図である。
【
図6】
図6は、第一ポッティング剤が塗布された導電モジュールの断面図である。
【
図7】
図7は、第一ポッティング剤が塗布された導電モジュールの平面図である。
【
図8】
図8は、第一ポッティング剤が塗布された導電モジュールの断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る導電モジュールの断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る導電モジュールの断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る導電モジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る導電モジュールにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図11を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、導電モジュールに関する。
図1は、実施形態に係る導電モジュールの平面図、
図2は、実施形態に係る導電モジュールの断面図、
図3は、ポッティング層が形成される前の導電モジュールの平面図、
図4は、金属プレートが取り付けられた導電モジュールの平面図、
図5は、第一ポッティング剤が塗布された導電モジュールの平面図、
図6は、第一ポッティング剤が塗布された導電モジュールの断面図、
図7は、第一ポッティング剤が塗布された導電モジュールの平面図、
図8は、第一ポッティング剤が塗布された導電モジュールの断面図、
図9および
図10は、実施形態に係る導電モジュールの断面図、
図11は、実施形態に係る導電モジュールの平面図である。
【0011】
図2には、
図1のII-II断面が示されている。
図6には、
図5のVI-VI断面が示されている。
図8には、
図7のVIII-VIII断面が示されている。
【0012】
図1および
図2に示すように、本実施形態の導電モジュール1は、フレキシブルプリント配線板2と、電子部品3と、金属プレート4と、ポッティング層5と、を有する。フレキシブルプリント配線板2は、可撓性を有するプリント基板である。以下の説明では、フレキシブルプリント配線板2の長手方向を「第一方向X」と称し、幅方向を「第二方向Y」と称する。
【0013】
図3には、電子部品3が実装され、かつ金属プレート4が取り付けられていないフレキシブルプリント配線板2が示されている。このときのフレキシブルプリント配線板2には、ポッティング層5が形成されていない。
【0014】
図2に示すように、フレキシブルプリント配線板2は、樹脂層20と、第一導電層21と、第二導電層22と、を有する。樹脂層20は、絶縁性の合成樹脂で形成されている。樹脂層20は、ベースフィルム20a、第一カバーレイ20b、および第二カバーレイ20cを有する。第一導電層21は、ベースフィルム20aの第一面23に配置されており、第二導電層22は、ベースフィルム20aの第二面24に配置されている。第一面23は、電子部品3が実装される側の面である。第二面24は、ベースフィルム20aにおける第一面23とは反対側の面である。第一カバーレイ20bは、第一導電層21および第一面23を覆う。第二カバーレイ20cは、第二導電層22および第二面24を覆う。
【0015】
第一導電層21および第二導電層22は、樹脂層20の内部に配索されている導電性の金属層であり、例えば、金属箔である。第一導電層21は、回路パターン21aを構成しており、第二導電層22は、回路パターン22aを構成している。
図3に示すように、回路パターン21aは、第一パッド21p、第二パッド21q、対向部21r、および一対のパッド21sを有する。第一パッド21pおよび第二パッド21qは、電子部品3と接続されるパッドである。第一パッド21pおよび第二パッド21qは、第一方向Xにおいて離間して配置されている。
図2に示すように、第一パッド21pは、ビアホール25dを介して第二導電層22と接続されている。
【0016】
第二パッド21qは、対向部21rと連続している。
図3に示すように、対向部21rは、第二方向Yに沿ってフレキシブルプリント配線板2の一端から他端まで延在している。一対のパッド21sは、金属プレート4が接続されるパッドである。二つのパッド21sは、第二方向Yの両端部に配置されている。パッド21sは、第一方向Xに沿って延在している。パッド21sは、対向部21rの端部とつながっている。
【0017】
図3に示すように、フレキシブルプリント配線板2において、電子部品3が実装される部分には、露出領域2aが設けられる。露出領域2aでは、第一カバーレイ20bが剥離されており、回路パターン21aおよびベースフィルム20aが露出している。すなわち、第一パッド21p、第二パッド21q、対向部21r、および一対のパッド21sは、それぞれ露出している。
【0018】
電子部品3は、フレキシブルプリント配線板2に対して実装されて回路パターン21aに接続されている。電子部品3は、第一端子部31および第二端子部32を有する部品であり、チップ部品であってもよい。電子部品3は、例えば、ヒューズ、サーミスタ、または抵抗である。第一端子部31は、第一パッド21pに対してはんだ6により接続されている。第二端子部32は、第二パッド21qに対してはんだ6により接続されている。
【0019】
金属プレート4は、金属で形成された板状の部材である。
図1および
図2に示すように、金属プレート4は、電子部品3を囲む平板状の枠部40を有する。例示された枠部40は、矩形の枠形状を有している。枠部40は、フレキシブルプリント配線板2に対して固定される。金属プレート4は、
図4に示すように、枠部40によって電子部品3を囲むようにしてフレキシブルプリント配線板2に固定される。本実施形態の枠部40は、パッド21sに対してはんだ41によって固定される。
【0020】
金属プレート4は、フレキシブルプリント配線板2を補強して電子部品3を外的ストレスから保護する。金属プレート4は、例えば、フレキシブルプリント配線板2の曲げや伸縮を規制することができる。また、金属プレート4は、電子部品3を囲んでおり、電子部品3と周囲の他部品との干渉を抑制することができる。
【0021】
電子部品3および金属プレート4がフレキシブルプリント配線板2に対して取り付けられた後に、ポッティング層5が形成される。ポッティング層5を形成する工程は、第一塗布工程、第一硬化工程、第二塗布工程、および第二硬化工程を含む。第一塗布工程は、第一ポッティング剤7を塗布する工程であり、第一硬化工程は、第一ポッティング剤7を硬化させる工程である。第二塗布工程は、第二ポッティング剤8を塗布する工程であり、第二硬化工程は、第二ポッティング剤8を硬化させる工程である。
【0022】
図5および
図6に示すように、第一ポッティング層51は、少なくともはんだ6を覆うように形成される。第一ポッティング層51は、第一ポッティング剤7によって形成される層である。第一ポッティング剤7は、絶縁性を有しており、例えば、樹脂を主体として構成されている。第一ポッティング剤7は、例えば、ディスペンサーによって塗布される。本実施形態では、はんだ6および電子部品3を一体に覆うように第一ポッティング剤7が塗布される。第一ポッティング剤7は、例えば、平面視において電子部品3、はんだ6、第一パッド21p、および第二パッド21qを含む領域に塗布される。第一ポッティング剤7の塗布領域は、例えば、矩形の領域である。
【0023】
図6に示すように、第一ポッティング剤7は、ドーム形状を有するように塗布される。第一ポッティング剤7は、電子部品3の上面、はんだ6の外側面、第一パッド21pの上面、および第二パッド21qの上面を一体に覆う。言い換えると、電子部品3、はんだ6、第一パッド21p、および第二パッド21qが第一ポッティング剤7によって外部空間から遮蔽される。
【0024】
第一ポッティング剤7を塗布する第一塗布工程が完了すると、第一ポッティング剤7を硬化させる第一硬化工程が実行される。第一ポッティング剤7は、熱硬化型であってもよく、紫外線硬化型であってもよく、空気中で自然に硬化するものであってもよく、その他の手段によって硬化するものであってもよい。
【0025】
第一ポッティング剤7が硬化すると、第二ポッティング剤8が塗布されて第二ポッティング層52が形成される。第二ポッティング剤8は、絶縁性を有しており、例えば、樹脂を主体として構成されている。第二ポッティング剤8の樹脂は、第一ポッティング剤7の樹脂とは異なっていてもよい。例えば、固化した後の剛性や弾性で比較した場合に、第二ポッティング剤8の樹脂は、第一ポッティング剤7の樹脂よりも固くてもよい。第二ポッティング剤8は、外部からの機械的ストレス、結露、水没、湿度等から電子部品3およびはんだ6を保護することができる。
【0026】
図2に示すように、第二ポッティング剤8は、第一ポッティング剤7に対してフレキシブルプリント配線板2の側とは反対側から重ねるように塗布される。第二ポッティング剤8は、第一ポッティング剤7および電子部品3を覆う。本実施形態の第二ポッティング剤8は、枠部40によって囲まれた領域を充填するように塗布される。第二ポッティング剤8は、例えば、枠部40の上面40uまで充填される。第二ポッティング剤8の塗布が完了すると、第一ポッティング剤7および第二ポッティング剤8によって枠部40で囲まれた領域が充填される。
【0027】
第二ポッティング剤8を塗布する第二塗布工程が完了すると、第二ポッティング剤8を硬化させる第二硬化工程が実行される。第二ポッティング剤8は、熱硬化型であってもよく、紫外線硬化型であってもよく、空気中で自然に硬化するものであってもよく、その他の手段によって硬化するものであってもよい。第二ポッティング剤8が硬化すると、第一ポッティング層51および第二ポッティング層52を含むポッティング層5が完成する。ポッティング層5は、電子部品3及びはんだ6を覆い、電子部品3及びはんだ6を保護する。
【0028】
本実施形態の第一ポッティング剤7は、第二ポッティング剤8と比較して高い柔軟性を有する。すなわち、硬化した第一ポッティング剤7は、硬化した第二ポッティング剤8よりも柔らかい。硬化後の第一ポッティング剤7は、硬化後の第二ポッティング剤8と比較して弾性率が小さくてもよく、剛性が小さくてもよい。硬化後の第一ポッティング剤7は、硬化後の第二ポッティング剤8と比較して熱膨張係数が小さくてもよい。
【0029】
第二ポッティング剤8と比較して高い柔軟性を有する第一ポッティング剤7は、電子部品3とフレキシブルプリント配線板2との電気的な接続部を適切に保護することができる。電気的な接続部は、例えば、はんだ6である。導電モジュール1において熱膨張や熱収縮が生じる場合に、第一ポッティング剤7は、はんだ6に作用する応力を緩和することができる。比較例として、第二ポッティング剤8のみによって構成されるポッティング層について検討する。
【0030】
熱によってポッティング層が膨張し、あるいは収縮することにより、はんだ6に応力が作用する。はんだ6に大きな応力が作用すると、はんだ6の劣化を招きやすくなる。本実施形態のポッティング層5は、比較例のポッティング層と比較してはんだ6に作用する応力が軽減される。柔軟性が高い第一ポッティング剤7は、第二ポッティング剤8とはんだ6との間で応力を吸収することができる。よって、本実施形態の導電モジュール1は、電子部品3とフレキシブルプリント配線板2との電気的な接続部を保護し、信頼性を向上させることができる。
【0031】
また、第二ポッティング剤8と比較して小さな熱膨張係数を有する第一ポッティング剤7は、電子部品3とフレキシブルプリント配線板2との電気的な接続部に作用する応力を軽減させることができる。
【0032】
なお、第一ポッティング剤7の熱膨張係数は、第二ポッティング剤8の熱膨張係数と比較して、はんだ6の熱膨張係数と近い値を有していてもよい。この場合、はんだ6および第一ポッティング剤7の膨張量や収縮量の差が小さくなる。よって、熱膨張や熱収縮によってはんだ6に作用する応力の軽減を図ることができる。
【0033】
図2に示すように、第二ポッティング剤8は、第一ポッティング剤7の全体を覆っている。第二ポッティング剤8は、第一ポッティング剤7と比較して固く、高い弾性率や高い剛性を有する。よって、第二ポッティング剤8は、電子部品3やはんだ6を外的ストレスから保護することができる。第二ポッティング剤8は、例えば、第一ポッティング剤7、電子部品3、およびはんだ6を外部からの衝撃や振動から保護することができる。また、第一ポッティング剤7は、外部からの衝撃や振動に起因する応力を吸収し、電子部品3およびはんだ6を保護することができる。
【0034】
なお、第一ポッティング層51および第二ポッティング層52の形状および塗布範囲は任意である。
図7から
図9には、ポッティング層5の他の例が示されている。
図7および
図8に示すように、第一ポッティング剤7は、平面視において枠部40で囲まれた領域の全体に塗布されてもよい。
図7には、第一ポッティング剤7の塗布範囲Ax,Ayが示されている。塗布範囲Axは、第一方向Xの範囲であり、枠部40で囲まれた領域の一端から他端までの範囲である。塗布範囲Ayは、第二方向Yの範囲であり、枠部40で囲まれた領域の一端から他端までの範囲である。つまり、第一ポッティング剤7は、枠部40で囲まれた領域の全体を覆うように塗布される。
【0035】
図8に示すように、第一ポッティング剤7は、側面視において台形の形状となるように塗布される。第一ポッティング層51の両端部は、斜面51aを有する。第一ポッティング剤7は、電子部品3、はんだ6、第一パッド21p、および第二パッド21qを一体に覆う。
図8に示す第一ポッティング剤7の幅Wx1は、はんだ6と隣接する部分の幅であり、かつ第一方向Xの幅である。幅Wx1は、フレキシブルプリント配線板2へ近づくに従って大きくなる。言い換えると、枠部40で囲まれた領域の底部へ近づくに従って第一ポッティング剤7の幅Wx1が大きくなる。
【0036】
第一ポッティング剤7が硬化すると、第二ポッティング剤8が塗布される。
図9に示すように、第二ポッティング剤8は、第一ポッティング剤7に対してフレキシブルプリント配線板2の側とは反対側から塗布される。
図9に示す第二ポッティング剤8の幅Wx2は、第一ポッティング剤7に隣接する部分の幅であり、かつ第一方向Xの幅である。幅Wx2は、フレキシブルプリント配線板2へ近づくに従って小さくなる。言い換えると、枠部40で囲まれた領域の底部へ近づくに従って第二ポッティング剤8の幅Wx2が小さくなる。
【0037】
図9に示す幅Wxは、ポッティング層5の幅であり、はんだ6の外側面から枠部40の内壁面までの距離と等しい。ポッティング層5の幅Wxにおいて、幅Wx1の割合は、フレキシブルプリント配線板2へ近づくに従って大きくなる。このように構成されたポッティング層5は、はんだ6を適切に保護することができる。
【0038】
図10には、ポッティング層5の他の例が示されている。
図10に示す第一ポッティング剤7は、
図7から
図9に示す第一ポッティング剤7と同様に、平面視において枠部40で囲まれた領域の全体を覆うように塗布されている。
図10に示す第一ポッティング剤7は、第一ポッティング層51の上面51uが第一方向Xと平行となるように塗布される。また、第一ポッティング剤7は、上面51uがはんだ6の全体よりも上側に位置するように塗布される。
図10に示す第一ポッティング剤7は、上面51uが電子部品3よりも上側に位置するように塗布されている。
【0039】
第二ポッティング剤8は、第一ポッティング剤7に対してフレキシブルプリント配線板2の側とは反対側から塗布される。第二ポッティング剤8は、第一ポッティング層51の上面51uから枠部40の上面40uまでの範囲に塗布される。
図10に示す第二ポッティング層52は、厚さが均一となるように形成されている。
【0040】
図10に示すポッティング層5では、はんだ6と枠部40との間の隙間43が第一ポッティング剤7によって充填されている。つまり、はんだ6の側方の空間が高い柔軟性を有する第一ポッティング剤7によって充填されている。よって、はんだ6に作用する応力が適切に軽減される。
【0041】
本実施形態のポッティング層5を有する導電モジュール1は、バスバモジュールとして用いられてもよい。
図11に示す導電モジュール1は、バスバモジュールとして構成されている。導電モジュール1は、電池モジュール100に配置される。電池モジュール100は、複数の電池セル110を有する。導電モジュール1は、第一方向Xを電池セル110の並び方向に一致させて電池セル110に載置される。
【0042】
図11に示す金属プレート4は、導電性の金属で形成されたバスバである。金属プレート4は、枠部40および接続部42を有する。枠部40および接続部42は、例えば、同じ母材から一体に形成されてもよく、異なる部材が接合されて形成されてもよい。接続部42の形状は、例えば、平板形状である。接続部42は、枠部40から第二方向Yに沿ってフレキシブルプリント配線板2の外側に突出している。つまり、接続部42は、枠部40からフレキシブルプリント配線板2の側方に向けて突出している。
【0043】
接続部42は、二つの電極120に対して接続される。一つの電極120は、一つの電池セル110が有する電極であり、他の一つの電極120は、他の一つの電池セル110が有する電極である。二つの電極120は、陽極と陰極の組み合わせであってもよい。
【0044】
図11に示す枠部40は、第二パッド21qに対して電気的に接続されている。つまり、
図11の金属プレート4は、電子部品3の第二端子部32と電極120とを接続する。この場合、電子部品3の第一端子部31は、電池モジュール100の状態を監視する制御部に接続されてもよい。電子部品3は、例えば、チップヒューズである。
【0045】
図11に示す導電モジュール1では、金属プレート4が複数の機能を有する。機能の一つは、バスバとしての機能である。機能の他の一つは、フレキシブルプリント配線板2の補強部品としての機能である。機能の更に他の一つは、ポッティング層5を収容する機能である。よって、導電モジュール1に金属プレート4とは別の補強板が用いられる場合と比べて部品数の削減が可能である。なお、導電モジュール1は、フレキシブルプリント配線板2および金属プレート4を収容するケースを有していてもよい。
【0046】
フレキシブルプリント配線板2に実装される電子部品3は、ヒューズには限定されない。電子部品3は、電池セル110の温度を検出するサーミスタであってもよい。この場合、枠部40は、電子部品3に接続されていなくてもよく、金属プレート4はバスバでなくてもよい。電子部品3は、チップ抵抗であってもよく、その他の電子部品であってもよい。
【0047】
フレキシブルプリント配線板2には、複数の電子部品3が実装されていてもよい。この場合、それぞれの電子部品3に対して異なる金属プレート4が配置されていてもよい。複数の電子部品3は、異なる部品を含んでいてもよい。例えば、複数の電子部品3の一部はチップヒューズであってもよく、複数の電子部品3の他の一部はサーミスタであってもよい。
【0048】
一つの枠部40は、複数の電子部品3を囲んでいてもよい。例えば、一つの枠部40は、チップヒューズおよびサーミスタを囲んでいてもよい。この場合、枠部40に充填されるポッティング層5は、チップヒューズおよびサーミスタの両方を覆うことが好ましい。第一ポッティング剤7は、チップヒューズとフレキシブルプリント配線板2との電気的な接続部を覆い、更に、サーミスタとフレキシブルプリント配線板2との電気的な接続部を覆うことが好ましい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の導電モジュール1は、フレキシブルプリント配線板2と、電子部品3と、第一ポッティング剤7と、第二ポッティング剤8と、を有する。電子部品3は、フレキシブルプリント配線板2に実装されてフレキシブルプリント配線板2の回路パターン21aに接続されている。第一ポッティング剤7は、電子部品3とフレキシブルプリント配線板2との接続部を覆う。第二ポッティング剤8は、第一ポッティング剤7に対してフレキシブルプリント配線板2の側とは反対側から重なっている。第二ポッティング剤8は、第一ポッティング剤7および電子部品3を覆う。
【0050】
第一ポッティング剤7は、第二ポッティング剤8と比較して高い柔軟性を有する。本実施形態の導電モジュール1では、高い柔軟性を有する第一ポッティング剤7が電子部品3とフレキシブルプリント配線板2との接続部を覆っている。第一ポッティング剤7は、第二ポッティング剤8と接続部との間で応力を吸収することができる。よって、本実施形態の導電モジュール1は、電子部品3とフレキシブルプリント配線板2との接続部を適切に保護することができる。
【0051】
本実施形態の第一ポッティング剤7は、電子部品3とフレキシブルプリント配線板2との接続部および電子部品3を一体に覆っている。よって、第一ポッティング剤7は、電子部品3および電気的な接続部の両方を適切に保護することができる。
【0052】
本実施形態の導電モジュール1は、金属プレート4を有する。金属プレート4は、電子部品3を囲む枠部40を有し、かつ枠部40がフレキシブルプリント配線板2に固定されている。枠部40で囲まれた領域は、第一ポッティング剤7および第二ポッティング剤8によって充填されている。金属プレート4は、フレキシブルプリント配線板2を補強して電子部品3および電気的な接続部を外的ストレスから保護することができる。
【0053】
第一ポッティング剤7は、平面視において枠部40で囲まれた領域の全体を覆うように充填されて第一ポッティング層51を形成してもよい。第二ポッティング剤8は、第一ポッティング層51に重ねて充填されて第二ポッティング層52を形成してもよい。枠部40で囲まれた領域の全体を覆うように充填された第一ポッティング剤7は、電子部品3や電気的な接続部を適切に保護することができる。
【0054】
なお、導電モジュール1は、金属プレート4を有していなくてもよい。すなわち、ポッティング層5は、電子部品3とフレキシブルプリント配線板2との接続部を覆うように形成された第一ポッティング層51と、第一ポッティング層51を覆うように形成された第二ポッティング層52と、を有していればよい。この場合、第二ポッティング層52は、
図8に示す第一ポッティング層51のように側面視において台形の形状となるように塗布されてもよい。
【0055】
フレキシブルプリント配線板2は、複数の導電層21,22を有していなくてもよい。例えば、フレキシブルプリント配線板2は、第二導電層22および第二カバーレイ20cを有していなくてもよい。
【0056】
第一ポッティング剤7は、電子部品3の一部を露出させるように塗布されてもよい。例えば、電子部品3の頂部が第一ポッティング層51から露出していてもよい。第一ポッティング剤7は、二つ以上の領域に分けて塗布されてもよい。例えば、第一ポッティング剤7は、一つのはんだ6を覆う部分と、他の一つのはんだ6を覆う部分とに分けて塗布されてもよい。
【0057】
電子部品3とフレキシブルプリント配線板2とを接続する接続部は、はんだ6には限定されない。電子部品3とフレキシブルプリント配線板2の回路パターン21aとがはんだとは異なる方法で接合されてもよい。
【0058】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 導電モジュール
2:フレキシブルプリント配線板、 2a:露出領域、
3:電子部品、 4:金属プレート
5:ポッティング層、 6:はんだ
7:第一ポッティング剤、 8:第二ポッティング剤
20:樹脂層、 20a:ベースフィルム、 20b:第一カバーレイ
20c:第二カバーレイ
21:第一導電層、 21a:回路パターン、 21p:第一パッド
21q:第二パッド、 21r:対向部、 21s:パッド
22:第二導電層、 22a:回路パターン、 23:第一面、 24:第二面
25d:ビアホール
31:第一端子部、 32:第二端子部
40:枠部、 40u:上面、 41:はんだ
42:接続部、 43:隙間
51:第一ポッティング層、 52:第二ポッティング層
X:第一方向、 Y:第二方向