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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】位置検出センサの製法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20241106BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 660
G06F3/046 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022505858
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2021005392
(87)【国際公開番号】W WO2021182017
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020041493
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】松本 義治
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076146(JP,A)
【文献】特開2019-020448(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194543(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/142644(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げ可能な材料からなり、一面上に、複数の端子導体が形成されている端子部の領域と、センサパターン部が形成される領域と、前記端子部の領域と前記センサパターン部の領域との間の折り曲げ領域とを備える基材を用いた位置検出センサの製法であって、
前記センサパターン部の領域に、被覆導線からなる複数の電極導体を、互いの重なりを許容して、所定のパターンとなるようにして、前記基材に接着材により被着して配設すると共に、前記電極導体の端部を、前記端子部の対応する前記端子導体と接続可能となるように位置合わせして配設する第1の工程と、
前記端子部の領域において、前記基材の上に形成された前記端子部の前記端子導体のそれぞれと、前記センサパターン部の前記電極導体の端部とを電気的に接続する第2の工程と、
前記第1の工程に先立ち、あるいは前記第1の工程の後、前記第2の工程に先立ち、前記折り曲げ領域における前記複数の電極導体のそれぞれを、前記端子部と前記センサパターン部との間で伸長可能な状態にする処理を施す第3の工程と、
を有し、
前記第1の工程は、ガイドピンが配設されたピン取付板上において、前記被覆導線からなる複数の前記電極導体を、互いの重なりを許容して前記所定の導体パターンとなるように前記ガイドピンを用いて配設すると共に、前記電極導体の端部を、前記端子部の対応する前記端子導体と接続可能となるように前記ガイドピンにより位置合わせして配設することで、前記センサパターン部を配設し、
前記第3の工程では、前記電極導線を前記端子部と前記センサパターン部との間に差し渡す際に、前記折り曲げ領域に配設されている前記ピン取付板上のガイドピンに前記電極導線を巻回させるようにし、
前記第2の工程では、前記基材に前記センサパターン部を被着させた後に、前記センサパターン部が被着された前記基材を、前記ピン取付板から離間させるようにする
ことを特徴とする位置検出センサの製法。
【請求項2】
折り曲げ可能な材料からなり、一面上に、複数の端子導体が形成されている端子部の領域と、センサパターン部が形成される領域と、前記端子部の領域と前記センサパターン部の領域との間の折り曲げ領域とを備える基材を用いた位置検出センサの製法であって、
前記センサパターン部の領域に、被覆導線からなる複数の電極導体を、互いの重なりを許容して、所定のパターンとなるようにして、前記基材に接着材により被着して配設すると共に、前記電極導体の端部を、前記端子部の対応する前記端子導体と接続可能となるように位置合わせして配設する第1の工程と、
前記端子部の領域において、前記基材の上に形成された前記端子部の前記端子導体のそれぞれと、前記センサパターン部の前記電極導体の端部とを電気的に接続する第2の工程と、
前記第1の工程に先立ち、あるいは前記第1の工程の後、前記第2の工程に先立ち、前記折り曲げ領域における前記複数の電極導体のそれぞれを、前記端子部と前記センサパターン部との間で伸長可能な状態にする処理を施す第3の工程と、
を有し、
前記第1の工程は、ガイドピンが配設されたピン取付板上において、前記被覆導線からなる複数の前記電極導体を、互いの重なりを許容して前記所定の導体パターンとなるように前記ガイドピンを用いて配設すると共に、前記電極導体の端部を、前記端子部の対応する前記端子導体と接続可能となるように前記ガイドピンにより位置合わせして配設することで、前記センサパターン部を配設し、
前記第3の工程では、前記電極導線を前記端子部と前記センサパターン部との間に差し渡す際に、前記折り曲げ領域に配設されている前記ピン取付板上のガイドピンにより屈曲させるようにし、
前記第2の工程では、前記基材に前記センサパターン部を被着させた後に、前記センサパターン部が被着された前記基材を、前記ピン取付板から離間させるようにする
ことを特徴とする位置検出センサの製法。
【請求項3】
前記第1の工程及び第3の工程に先立ち、前記複数の電極導体のそれぞれの前記被覆導線の端部の被覆を剥離して導線を露出させる第4の工程を備え、
前記第2の工程では、前記端子部の前記複数の端子導体と、前記センサパターン部の前記複数の電極導体のそれぞれの前記露出された前記導線とを電気的に接続する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置検出センサの製法。
【請求項4】
前記センサパターン部の前記複数の電極導体は、前記基材の一面上において、前記被覆導線が所定回数巻回されたループコイルが、第1の方向に所定間隔で複数個配列された第1のループコイル群と、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定間隔で複数個配列された第2のループコイル群とからなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置検出センサの製法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置指示器による指示位置を検出するために、基材の上に複数の電極導体が配設される位置検出センサの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の位置検出センサにおいては、一般に、例えば特許文献1(特開2013-186784号公報)に記載されているように、複数の電極導体は、シート状基板またはフィルム状基板に、銅箔パターンを印刷や蒸着により所定のパターンとして形成するようにしている。
【0003】
この場合に、シート状基板またはフィルム状基板に複数の電極導体を配設する場合には、電極導体の重なりを避けるために、シート状基板またはフィルム状基板にスルーホールを形成して、シート状基板またはフィルム状基板の表面及び裏面の両面を使用するようにしている。
【0004】
このため、シート状基板またはフィルム状基板に対するスルーホールの形成及び両面使用による電極パターンの形成が必要となり、コスト的に高価になる。特に、大型の位置検出センサの場合には、コストが、より高額となるという問題がある。
【0005】
これに対して、特許文献2(特開平7-253840号公報)には、安価に位置検出センサを作成する方法が開示されている。すなわち、この特許文献2に記載されている方法は、所定の電極導体パターンを形成することができるようにガイドピン(布線用ピン)を平板に配設しておくと共に、被覆導線(絶縁センサ線)を、このガイドピンに順次に引っ掛け、折り返しながら布線することで、電極導体パターンを形成するものである。
【0006】
この特許文献2の位置検出センサは端子部を備えず、電極導体を構成する被覆導線を単に平板から延長してリード部として導出している。このため、位置検出センサの複数の電極導体のそれぞれに対して外部回路との接続のために、リード部の被覆導線を剥離してそれぞれを半田付けするようにしなければならず、非常に手間がかかり、量産に適しないという問題があった。
【0007】
この問題を解決するため、シート状基板またはフィルム状基板からなる基材上に被覆導線を用いて電極導体を形成することでコストを削減することができるようにすると共に、同じ基材上に端子部を備えて、外部回路との接続が容易にできるした位置検出センサが提案されている(特許文献3(WO2016/194543号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013‐186784号公報
【文献】特開平7-253840号公報
【文献】WO2016/194543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、最近は、位置検出センサを表示用ディスプレイの表示画面に重畳して設けて、使用者による位置指示器を用いた表示画面上での入力操作を、位置検出センサで検出することができるようにした入力装置が提供されている。この種の入力装置では、一般に、位置検出センサの検出領域は、ディスプレイの表示画面の表示領域と丁度重なるようにして、表示画面の全域での操作入力を、操作入力として検出することができるように構成される。そして、この種の入力装置では、ディスプレイが大型であるか、小型であるかに関係なく、表示画面の外枠部分をできるだけ、狭くすることが要望されている。
【0010】
しかしながら、特許文献3に開示されている位置検出センサでは、端子部は、電極導体パターンと同じ面上に形成されているために、電極導体が形成される領域からなる検出領域の外側に存在することになる。このため、ディスプレイの表示画面と同一の大きさとされる位置検出センサの検出領域の外部に端子部の領域が存在することになり、その端子部の領域分だけ、表示画面の外枠部分の大きさが大きくなってしまうという問題がある。
【0011】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした位置検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、
折り曲げ可能な材料からなり、一面上に、複数の端子導体が形成されている端子部の領域と、センサパターン部が形成される領域と、前記端子部の領域と前記センサパターン部の領域との間の折り曲げ領域とを備える基材を用いた位置検出センサの製法であって、
前記センサパターン部の領域に、被覆導線からなる複数の電極導体を、互いの重なりを許容して、所定のパターンとなるようにして、前記基材に接着材により被着して配設すると共に、前記電極導体の端部を、前記端子部の対応する前記端子導体と接続可能となるように位置合わせして配設する第1の工程と、
前記端子部の領域において、前記基材の上に形成された前記端子部の前記端子導体のそれぞれと、前記センサパターン部の前記電極導体の端部とを電気的に接続する第2の工程と、
前記第1の工程に先立ち、あるいは前記第1の工程の後、前記第2の工程に先立ち、前記折り曲げ領域における前記複数の電極導体のそれぞれを、前記端子部と前記センサパターン部との間で伸長可能な状態にする処理を施す第3の工程と、
を有し、
前記第1の工程は、ガイドピンが配設されたピン取付板上において、前記被覆導線からなる複数の前記電極導体を、互いの重なりを許容して前記所定の導体パターンとなるように前記ガイドピンを用いて配設すると共に、前記電極導体の端部を、前記端子部の対応する前記端子導体と接続可能となるように前記ガイドピンにより位置合わせして配設することで、前記センサパターン部を配設し、
前記第3の工程では、前記電極導線を前記端子部と前記センサパターン部との間に差し渡す際に、前記折り曲げ領域に配設されている前記ピン取付板上のガイドピンに前記電極導線を巻回させるようにし、
前記第2の工程では、前記基材に前記センサパターン部を被着させた後に、前記センサパターン部が被着された前記基材を、前記ピン取付板から離間させるようにする
ことを特徴とする位置検出センサの製法を提供する。
【0013】
上述の構成の位置検出センサの製法により製造された位置検出センサは、折り曲げ可能な材料からなる基材の一面上に形成される端子部とセンサパターン部との間に折り曲げ領域が存在しているので、折り曲げ領域で折り曲げて、端子部は、基材の一面側とは反対側に位置させることができる。このため、機材の一面側は、略、センサパターン部の領域のみとすることができ、位置検出センサを表示用ディスプレイの表示画面と重畳して配設したときに、その外枠部分の大きさを狭くすることが可能である。
【0014】
そして、この場合に、センサパターン部の複数の電極導体のそれぞれの端部は、通常、折り曲げ領域を介して端子部に延伸させて、電気的に接続するようにするが、電極導体の折り曲げ領域上の延伸部分には余裕がない場合には、端子部を基材の一面側とは反対側に折り曲げたときに発生する曲げ応力によって、電極導体の端部と端子部との電気的な接続が不良になったり、電極導体が断線してしまう恐れがある。
【0015】
これに対して、上述の構成の位置検出センサの製法により製造された位置検出センサでは、折り曲げ領域における複数の電極導体のそれぞれは、端子部とセンサパターン部との間で伸長可能な状態で配設されているので、電極導体の折り曲げ領域上の延伸部分に余裕があり、端子部を基材の一面側とは反対側に折り曲げたときに発生する曲げ応力によって電極導体の端部と端子部との電気的な接続が不良になったり、電極導体が断線してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明による位置検出センサの実施形態の構成例を説明するための図である。
図2】この発明による位置検出センサの実施形態の構成例を説明するための図である。
図3】この発明による位置検出センサの実施形態に接続される位置検出回路の構成例を説明するための図である。
図4】この発明による位置検出センサの実施形態を製造する製造装置の一例を説明するための図である。
図5】この発明による位置検出センサの実施形態の製法の一例を説明するために用いる図である。
図6】この発明による位置検出センサの実施形態の製法の一例を説明するために用いる図である。
図7】この発明による位置検出センサの実施形態の製法の一例の流れを説明するためのフローチャートを示す図である。
図8】この発明による位置検出センサの実施形態の製法の一例を説明するために用いる図である。
図9】この発明による位置検出センサの実施形態の製法の一例を説明するために用いる図である。
図10】この発明による位置検出センサの他の実施形態の構成例を説明するための図である。
図11】この発明による位置検出センサの他の実施形態の製法を説明するために用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明による位置検出センサの実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0018】
[位置検出センサの実施形態]
以下に説明する位置検出センサの実施形態は、電磁誘導方式の位置検出センサであって、センサパターン部を構成する複数個の電極導体のそれぞれのパターンは、ループコイルパターンとされている。
【0019】
図1は、この実施形態の位置検出センサ1の構成を説明するための図であり、図1(A)は、位置検出センサ1のセンサパターン部13が形成されている面を、当該面に直交する方向から見た図であり、図1(B)は、位置検出センサ1の断面の構成の概念図である。
【0020】
この実施形態の位置検出センサ1においては、図1(A)及び(B)に示すように、折り曲げ可能な絶縁性材料、例えばPET(Polyethylene Terephthalate)からなる矩形のシート状あるいはフィルム状の基材(基板)11の一面11a上に、接着材12により複数個の電極導体としての複数個のループコイルからなるセンサパターン部13が被着されて配設されている。基材11は、フレキシブル基板を用いることができる。
【0021】
センサパターン部13は、この例では、矩形の基材11の一面11a上において、縦方向の大部分を占めると共に、基材11の横方向の左側の部分を除いた矩形領域ARaとされている。このセンサパターン部13の露出している表面の全体を覆うように、絶縁性材料、例えばPETからなる矩形の保護シート14が配設されている。センサパターン部13においては、電極導体部分以外は空間(空気層)となっており、保護シート14は、センサパターン部13の当該空間部を介して、接着材12により、基材11に対して接着されて接合される。
【0022】
そして、この例では、基材11の一面11a上の、センサパターン部13が配設されていない横方向の左側の部分の横方向の端部には、接着材15を介して端子部16が被着されている。すなわち、センサパターン部13が配設されている領域ARaとは重ならない、基材11の横方向の端縁部の領域ARbに端子部16が設けられている。この端子部16は、この例では、絶縁性材料、例えばPETで構成されたシート状あるいはフィルム状基板の上に、センサパターン部13の複数個の電極導体のそれぞれとの電気的な接続用の銅箔パターンからなる端子導体17が、例えば印刷などにより形成されて構成されている。
【0023】
そして、この例では、基材11の横方向において、センサパターン部13の領域ARaと、端子部16の領域ARbとの間の領域は、折り曲げ領域ARcとされている。この実施形態では、端子部16の領域ARb及び折り曲げ領域ARcの上部は、保護シート14には覆われていない。そして、折り曲げ領域ARcには、接着材15も塗られていない。折り曲げ領域ARcの基材11の横方向の長さは、当該折り曲げ領域ARcの、センサパターン部13の領域ARaの横方向の端部の近傍のところから、端子部16側を、基材11の一面11a側とは反対側に位置させるように折り曲げることが可能となるのに必要十分な長さに選定されている。
【0024】
センサパターン部13は、図1(A)に示すように、複数個の電極導体の例としての複数個のループコイルからなる。この例では、複数個のループコイルは、複数個のX軸方向ループコイル13Xと、複数個のY軸方向ループコイル13Yとで構成されている。
【0025】
X軸方向ループコイル13Xは、基材11の縦方向(位置座標のY軸方向)を長辺方向とした矩形のループコイルで構成され、このX軸方向ループコイル13Xの複数個が、基材11の横方向(位置座標のX軸方向)に、所定間隔で並べられて配設されている。また、Y軸方向ループコイル13Yは、基材11の横方向を長辺方向とした矩形のループコイルで構成され、このY軸方向ループコイルが、基材11の縦方向に、所定間隔で並べられて配設されている。
【0026】
センサパターン部13を構成する複数個のX軸方向ループコイル13X及び複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれは、この実施形態では、被覆導線18によって、互いの重なりを許容して、基材11の一面11a上に配設されている。この場合に、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれは、図1(A)に示すように、この実施形態では、基材11の一面11a上の予め定められた位置に、予め定められたパターンとなるようにして配設されている。
【0027】
そして、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eは、この実施形態では、図1に示すように、センサパターン部13の領域ARaの横方向の端子部16側の端縁において、端子部16側に向かって横方向に保護シート14からはみ出し、かつ、折り曲げ領域ARcを跨ぐようにして、端子部16の領域ARbにまで延伸するように配設される。このとき、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eのセンサパターン部13からの導出位置は、端子部16の、当該両端部18Eが接続されるべきものとして予め定められた、対応する端子導体17の位置に合致するように位置合わせされている。
【0028】
すなわち、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eは、センサパターン部13の領域ARaの横方向の端子部16側の端縁から、折り曲げ領域ARcを跨いで横方向に直線的に延長したときに、端子部16の対応する端子導体17上に丁度位置する状態となるように構成されている。
【0029】
そして、この例では、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eの先端部18Eaは、図1(B)に示すように、被覆導線18の絶縁被覆が剥離されて導線が露出されている状態とされており、当該導線が露出されている先端部18Eaが、端子部16の端子導体17上に位置するようにされている。
【0030】
そして、図示は省略するが、端子部16の端子導体17のそれぞれと、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eの先端部18Eaとが、例えば半田付けされて電気的に接続される。例えば、端子部16の端子導体17のそれぞれには予め半田が盛られており、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eの先端部18Eaが位置している端子部16の端子導体17のそれぞれの半田部分を加熱することで、端子部16の端子導体17のそれぞれと、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yの両端部18Eの先端部18Eaとが半田付けされる。
【0031】
そして、基材11の一面11aとは反対側の面の全体を覆うように、電磁シールド層の例としてのメタルシート19が被着される。メタルシート19は、この例では、アルミニウムシートとアモルファスシートとで構成される。メタルシート19のアモルファスシートは、センサパターン部13から放射される電磁波の、基材11の一面11aとは反対側の外部への放出を防ぐと共に、アルミニウムシートは基材11の一面11aとは反対側の外部からのノイズのセンサパターン部13への混入を防止する役割をする。なお、メタルシート19は、基材11の一面11aとは反対側の面の全体を覆うようにするのではなく、基材11の一面11aとは反対側の面のうちの、センサパターン部13の領域ARaの裏側の領域のみを覆うように被着するようにしてもよい。
【0032】
以上のようにして、この実施形態の位置検出センサ1においては、被覆導線18を用いて、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yからなるセンサパターン部13を形成し、このセンサパターン部13を基材11と保護シート14との間に接着材12により固着する。したがって、低コストで位置検出センサ1を製造することが可能となる。
【0033】
そして、上述の実施形態の位置検出センサ1においては、基材11の一面11a上に、予め端子導体17が形成されている端子部16が形成されており、センサパターン部13のループコイルの被覆導線18の両端部18Eの先端部18Eaが、端子部16の端子導体17の対応するものと接続可能となるように位置合わせされていて、例えば半田付けにより、端子部16の対応する端子導体17のそれぞれに容易に電気的に接続することができる。
【0034】
したがって、この実施形態の位置検出センサ1は、被覆導線18を用いて電極導体を構成していて、安価で簡単な構成の位置検出センサを提供することができると共に、外部回路との接続は、端子部16を用いることで、非常に容易になる。
【0035】
この実施形態では、端子部16に対して、フレキシブル基板21を介して、回路基板22が接続されている。この場合に、フレキシブル基板21には、端子部16の端子導体17のそれぞれと電気的に接続される導電パターン21aが形成されており、この導電パターン21aの一端側が、端子部16の端子導体17のそれぞれに電気的に接続されると共に、他端側が、回路基板22のコネクタ端子部の各端子導体(図示は省略)と電気的に接続されている。回路基板22には、後述するような位置検出回路が形成されている。
【0036】
そして、図2(A)及び(B)に示すように、位置検出センサ1は、基材11が折り曲げ領域ARcの位置で一面11a側とは反対側に折り曲げられて、この例では、端子部16、フレキシブル基板21及び回路基板22が、基材11の一面11a側とは反対側に位置するように構成される。なお、図2(A)は、図2(B)に示す位置検出センサ1の折り曲げ状態を明確にするための図であり、図1(B)と同一の図である。
【0037】
したがって、基材11の端子部16の領域ARb及び折り曲げ領域ARcの大部分は、基材11の一面11a側とは反対側に位置するようになり、基材11の一面11a側は、ほぼセンサパターン部13のみが占めるようにすることができる。このため、この実施形態の位置検出センサ1を、表示デバイスの表示画面に重畳して配設する際の枠領域の大きさを狭くすることが可能となる。
【0038】
この場合に、センサパターン部13のX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eは、折り曲げ領域ARcを介して、端子部16の領域ARbまで延伸させられて、端子部16と電気的に接続される。この場合に、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eを、折り曲げ領域ARcを介して、端子部16の領域ARbにまで、直線状に延伸させるようにすると、折り曲げ領域ARcにおける両端部18Eの延伸部分には余裕がなく、端子部16を基材11の一面11a側とは反対側に折り曲げたときに発生する曲げ応力によって、両端部18Eの先端部18Eaと端子部16の端子導体17との電気的な接続が不良になったり、被覆導線18が断線してしまう恐れがある。
【0039】
この点に鑑み、この実施形態では、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eは、センサパターン部13と端子部16との間を直線状に結ぶように配設するのではなく、端子部16とセンサパターン部13との間の折り曲げ領域ARcにおいて伸長可能な状態となるようにして配設するようにしている。
【0040】
すなわち、この実施形態では、端子部16とセンサパターン部13との間の折り曲げ領域ARcの範囲内で、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eは、折り曲げ領域ARcにおいて非直線部からなる余裕部を備える構成とされて、折り曲げ領域ARcにおいて伸長可能な状態となるように配設される。
【0041】
図1の例では、非直線部からなる余裕部は、折り曲げ領域ARcにおけるX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eの被覆導線18が1回あるいは複数回、コイル状に巻回された巻回余裕部18Eb及び18Ecで構成される。この巻回余裕部18Eb及び18Ecは、この実施形態では、後述するように、センサパターン部13にX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yをパターニングする際に用いるガイドピンに被覆導線を巻き付けることで形成するようにする。
【0042】
このように、折り曲げ領域ARcにおけるX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eは、端子部16とセンサパターン部13との間の折り曲げ領域ARcで伸長可能な状態となる巻回余裕部18Eb及び18Ecを有するように成型されて配設されている。したがって、この実施形態の位置検出センサ1の基材11を、折り曲げ領域ARcの位置で、当該基材11の一面11a側とは反対側に折り曲げたときにも、折り曲げ領域ARcにおけるX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eの被覆導線18には、巻回余裕部18Eb及び18Ecの存在により、曲げ応力に対する余裕が生じ、両端部18Eの先端部18Eaと端子部16の端子導体17との電気的な接続が不良になったり、被覆導線18が断線してしまうことを防止することができる。
【0043】
[実施形態の位置検出センサを用いた位置検出回路について]
次に、上述の実施形態の位置検出センサ1の回路基板22に形成されている電磁誘導方式の位置検出回路200の構成例を、図3を用いて説明する。なお、この実施形態の位置検出センサ1と共に使用する、ペン型の位置指示器3は、図3に示すように、コイル31と、このコイル31に並列に接続されるコンデンサ32とから構成される共振回路を内蔵している。
【0044】
この場合、図3の例においては、X軸方向ループコイル13Xは、X軸方向に配列されたn(nは2以上の整数)本の矩形のループコイル13X1~13Xnからなっており,また、Y軸方向のループコイル13Yは、Y軸方向に配列されたm(mは2以上の整数)本のループコイル13Y1~13Ymからなっている。
【0045】
図3の例においては、位置検出回路200は、選択回路201と、発振器202と、電流ドライバ203と、送受信切替回路204と、受信アンプ205と、指示位置検出回路206と、処理制御部207とを備えて構成されている。
【0046】
選択回路201は、複数のX軸方向ループコイル13X及び複数のY軸方向のループコイル13Yのうちの一のループコイルを順次選択して、当該選択されたループコイルにより、位置指示器3に対して信号を送信させると共に、位置指示器3から帰還される信号を受信させる。
【0047】
選択回路201に対しては、処理制御部207により切替制御される送受信切替回路204が接続される。この送受信切替回路204が送信側端子Tに接続されるときには、発振器202から交流信号が選択回路201に供給され、受信側端子Rに接続されるときには、選択回路201からの信号が、受信アンプ205を通じて指示位置検出回路206に供給される。
【0048】
指示位置検出回路206は、位置検出センサ1のループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をディジタル信号に変換し、処理制御部207に出力する。処理制御部207は、指示位置検出回路206からのデジタル信号、すなわち、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置指示器3のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0049】
[実施形態の位置検出センサ1の製法の実施形態]
次に、実施形態の位置検出センサ1の製法の実施形態について説明する。図4及び図5は、位置検出センサ1の製法の実施形態を説明するための図である。図4は、この実施形態の製法を実行する位置検出センサの製造装置の構成例を示す図である。この例の位置検出センサの製造装置は、配線供給ユニット100と、前処理ユニット110と、配線ユニット120とからなる。
【0050】
配線ユニット120は、位置検出センサ1を形成するための作業台121と、当該作業台121上に設けられる2軸移動配線装置122とからなる。2軸移動配線装置122は、位置検出センサ1のX軸方向(図3の矢印Axの方向参照)に摺動移動する移動橋1221と、位置検出センサ1のY軸方向(図3の矢印方向Ayの方向参照)に摺動移動する配線ノズル機構1222とを備える。
【0051】
移動橋1221は、2本の脚部1221a及び1221bと、この2本の脚部1221a及び1221bの間を、位置検出センサ1をそのY軸方向に沿う方向に跨いで橋絡する橋絡部1221cとを備える。移動橋1221の2本の脚部1221a及び1221bは、作業台121において、X軸方向に設けられている2本のレール121a及び121bのそれぞれの上に載置されており、移動橋1221は、橋絡部1221cがY軸方向に平行な状態を維持した状態で、この2本のレール121a及び121bに案内されてX軸方向に摺動移動する。
【0052】
配線ノズル機構1222は、移動橋1221の橋絡部1221cに対して、その橋絡方向(位置検出センサ1のY軸方向(図4の矢印方向Ayの方向参照))に移動可能に取り付けられている。配線ノズル機構1222の、作業台121の面との対向部には、配線ノズル1222aが取り付けられている。配線ノズル1222aは、前処理ユニット110によって前処理がなされた被覆導線を、その射出口から外部に繰り出す。
【0053】
以上の構成により、配線ノズル1222aは、2軸移動配線装置122における移動橋1221のX軸方向の摺動移動と、配線ノズル機構1222のY軸方向の摺動移動とにより、作業台121の2次元平面上において、任意の方向に移動することが可能となる。
【0054】
2軸移動配線装置122は、図4では図示を省略した移動制御部を備え、この移動制御部により、移動橋1221のX軸方向の摺動移動と、配線ノズル機構1222のY軸方向の摺動移動とが制御されるように構成されている。そして、この実施形態では、移動制御部は、複数個のX軸方向ループコイル13Xのそれぞれと、複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれとを配設するように配線ノズル1222aを移動させる移動軌跡の情報を予め記憶している。
【0055】
2軸移動配線装置122の移動制御部は、その記憶している情報に基づいて、移動橋1221のX軸方向の摺動移動と、配線ノズル機構1222のY軸方向の摺動移動とを制御して、配線ノズル1222aを、複数個のX軸方向ループコイル13Xのそれぞれと、複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれとを配設するように移動制御する。
【0056】
配線ユニット120の作業台121には、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yを、被覆導線によりパターンとして形成するようにガイドするためのガイドピンが配設されているピンテーブル123が設けられている。
【0057】
図5は、このピンテーブル123の構成例を説明するための図である。図5の上方に示すように、ピンテーブル123は、ガイドピン取付板1231と、中間板1232と、剥離シート1233とからなる。そして、ピンテーブル123は、これらガイドピン取付板1231と、中間板1232と、剥離シート1233とが図5の下方に示すように、結合されて構成される。なお、図5の下方のピンテーブル123の図は、図5の上方の図において、点線で囲んで示す領域の対応する領域の拡大図である。
【0058】
ガイドピン取付板1231には、配線ノズル1222aから排出される被覆導線によって、複数個のX軸方向ループコイル13Xのそれぞれ及び複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれを形成するように案内するための多数個のガイドピン124が取り付けられている。図5においては、ガイドピン124は、説明のために、ガイドピン取付板1231の端部にのみ取り付けられているように示されているが、実際上は、少なくとも、複数個のX軸方向ループコイル13Xのそれぞれ及び複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれを屈曲させるポイント位置のそれぞれに設けられている。
【0059】
中間板1232は、ガイドピン取付板1231と、剥離シート1233との間に設けられるもので、図5に示すように、ガイドピン取付板1231に設けられているガイドピン124のそれぞれと対応する位置には、透孔125が形成されている。
【0060】
剥離シート1233は、ガイドピン取付板1231と被着された中間板1232の上に設けられる。このとき、ガイドピン124は剥離シート1233を突き刺すようになり、かつ、ガイドピン124の先端が剥離シート1233上に突出している状態となる。なお、ガイドピン124の先端は、この例では、針状に尖らせておくものである。
【0061】
以上のようにして、ガイドピン取付板1231と、中間板1232と、剥離シート1233とが、図5の下方に示すように結合されて、多数個のガイドピン124が所定の位置に植立されているピンテーブル123が構成される。
【0062】
そして、このピンテーブル123の剥離シート1233の上に、配線ノズル機構1222の配線ノズル1222aから繰り出される被覆導線によって、複数個のX軸方向ループコイル13X及び複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれが、所定のループコイルパターンとして形成されて、センサパターン部13が形成される。剥離シート1233の表面は、形成されたセンサパターン部13を、ピンテーブル123から容易に引き剥がすことができるような加工が施されている。
【0063】
以上のような構成を備える位置検出センサの製造装置を用いて、位置検出センサ1が、以下に説明するような手順で製造される。なお、図4の位置検出センサの製造装置は、図示を省略したシーケンス制御部により、配線供給ユニット100、前処理ユニット110、配線ユニット120のそれぞれの動作をシーケンス制御することで、位置検出センサ1の製造を実行する。
【0064】
この実施形態の位置検出センサの製法の工程の全体の流れを説明する前に、1個のY軸方向ループコイル13Y及びX軸方向ループコイル13Xを形成するために必要なピンテーブル123のガイドピン124の配設位置及びそれらのループコイル13Y及び13Xのパターン生成について、図6を参照して説明する。
【0065】
まず、Y軸方向ループコイル13Yの場合について説明する。図6に示すように、ピンテーブル123の、基材11のセンサパターン部13の領域ARaが対応する領域には、横長の矩形形状のY軸方向ループコイル13Yを形成するための4個のガイドピン124a,124b,124c,124dと、Y軸方向ループコイル13Yの両端部18Eの導出位置を規定するための2個のガイドピン124e,124fとが設けられる。
【0066】
そして、折り曲げ領域ARcには、非直線部からなる余裕部の例としての巻回余裕部18Eb及び18Ecを形成するためのガイドピン124g及び124hが設けられる。
【0067】
後述もするように、被覆導線18が、ガイドピン124a~124d及び124e、124fに、図6に示すように巡らされることで、センサパターン部13の領域ARaに、矩形形状のY軸方向ループコイル13Yが形成されると共に、センサパターン部13の領域ARaから折り曲げ領域ARcを介して端子部16の領域ARbに延伸される当該Y軸方向ループコイル13Yの被覆導線18の両端部18Eが形成される。
【0068】
この場合に、図6に示すように、Y軸方向ループコイル13Yの両端部18Eは、一方の端部18Esと他方の端部18Etとからなり、一方の端部18Esの導出位置が、端子部16の対応する端子導体17の位置となるようにされている。したがって、Y軸方向ループコイル13Yの両端部18Eの当該一方の端部18Esを、折り曲げ領域ARcを跨いで直線状に延伸させることで、端子部16の端子導体17と接続することが可能な状態となる。しかし、この実施形態では、当該一方の端部18Esは、直線状に配設されるのではなく、図6に示すように、折り曲げ領域ARcのガイドピン124gに対して、1回あるいは複数回、巻回されて構成された巻回余裕部18Ebを有するように構成されている。
【0069】
また、Y軸方向ループコイル13Yの両端部18Eの他方の端部18Etも、図6に示すように、折り曲げ領域ARcのガイドピン124hに対して、1回あるいは複数回、巻回されて構成された巻回余裕部18Ecを有するように構成されている。
【0070】
そして、この例の位置検出センサ1においては、複数のY軸方向ループコイル13Yの両端部18Eの他方の端部18Etのそれぞれは、互いに共通に接続されてアース線部GDとされ、図1(A)に示すように、端子部16のアース電極に接続される端子導体に接続される。他方の端部18Etの巻回余裕部18Ecは、折り曲げ領域ARcにおいて、センサパターン部13からの導出位置とアース線部GDとの間に形成される。
【0071】
次に、X軸方向ループコイル13Xの場合についても同様にして、図6に示すように、ピンテーブル123の、基材11のセンサパターン部13の領域ARaが対応する領域には、縦長の矩形形状のX軸方向ループコイル13Xを形成するための4個のガイドピン124i,124j,124k,124lと、X軸方向ループコイル13Xの両端部18Eの導出位置を規定するための2個のガイドピン124m,124nとが設けられる。
【0072】
そして、被覆導線18が、ガイドピン124i~124l及び124m、124nに、図6に示すように巡らされることで、センサパターン部13の領域ARaに、矩形形状のX軸方向ループコイル13Xが形成されると共に、センサパターン部13の領域ARaから折り曲げ領域ARcを介して端子部16の領域ARbに延伸される当該X軸方向ループコイル13Xの被覆導線18の両端部18Eが形成される。
【0073】
そして、図6に示すように、X軸方向ループコイル13Xの両端部18Eの一方の端部18Esの導出位置が、端子部16の対応する端子導体17の位置となるようにされ、当該一方の端部18Esを、折り曲げ領域ARcを跨いで直線状に延伸させることで、端子部16の端子導体17と接続することが可能な状態となる。
【0074】
そして、Y軸方向ループコイル13Yと同様に、このX軸方向ループコイル13Xの両端部の一方の端部18Es及び他方の端部18Etは、図6に示すように、折り曲げ領域ARcのガイドピン124o及び124pのそれぞれに対して、1回あるいは複数回、巻回されて構成された巻回余裕部18Eb及び巻回余裕部18Ecを有するように構成されている。
【0075】
そして、複数のX軸方向ループコイル13Xの両端部18Eの他方の端部18Etのそれぞれの先端部は、アース線部GDに共通に接続され、図1(A)に示すように、端子部16のアース電極に接続される端子導体17に接続される。
【0076】
以上のようにして折り曲げ領域ARcにおいて、Y軸方向ループコイル13Y及びX軸方向ループコイル13Xの両端部18Eに形成された巻回余裕部18Eb及び18Ecは、ガイドピン124g、124h、124o,124pから抜き取られることで空芯コイル状のものとなり、基材11の横方向に伸長変位可能な余裕部として働く。したがって、前述したように、基材11が折り曲げ領域ARcで折り曲げられたときに、被覆導線18の伸長余裕部となり、曲げ応力による前述したような不具合を防止できる。
【0077】
次に、この実施形態の位置検出センサの製法の工程の流れを、図7のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の各ステップの処理は、位置検出センサの製造装置のシーケンス制御部の制御により実行される。
【0078】
先ず、シーケンス制御部は、配線供給ユニット100から、被覆導線18を前処理ユニット110に繰り出すように指示する(ステップS101)。前処理ユニット110では、配線供給ユニット100からの被覆導線18を、X軸方向ループコイル13XまたはY軸方向ループコイル13Yのそれぞれに合わせた長さに切断すると共に、そのX軸方向ループコイル13XまたはY軸方向ループコイル13Yの両端部18Eの先端部18Eaの被覆を剥離して導線を露出させる前処理を行う。そして、前処理ユニット110は、その前処理を行った被覆導線18を、配線ユニット120の配線ノズル機構1222に送る(ステップS102)。
【0079】
配線ユニット120は、2軸移動配線装置122の移動制御部により、配線ノズル機構1222の配線ノズル1222aを移動制御することにより、ピンテーブル123上で、被覆導線18をガイドピンに引っ掛けながら、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれを形成すると共に、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eに、折り曲げ領域ARcにおいて、余裕部、この例では、巻回余裕部18Eb及び18Ecを形成するようにする(ステップS103)。
【0080】
この場合に、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yの、被覆導線18の被覆を剥離して導線を露出させた両端部18Eの先端部18Eaは、図8に示すように、ピンテーブル123から、基材11の横方向(X軸方向)に突出するようにされている。そして、この両端部18Eの先端部18Eaの位置は、ガイドピン124に案内されて被覆導線18が配設されることで、前述の図1の説明で示したように、端子部16の対応する端子導体17の上に位置するように、位置合わせされた状態とされる。
【0081】
1個のX軸方向ループコイル13XまたはY軸方向ループコイル13Yの形成が終了したら、シーケンス制御部は、ピンテーブル123上において、複数個のX軸方向ループコイル13X及び複数個のY軸方向ループコイル13Yの全ての形成を終了して、センサパターン部13が完成したか否か判別する(ステップS104)。
【0082】
このステップS104で、センサパターン部13が完成してはいないと判別したときには、シーケンス制御部は、処理をステップS101に戻し、複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれについて、ステップS101~ステップS103と同様の処理を行うように制御する。
【0083】
ステップS104で、センサパターン部13が完成したと判別したときには、図8に示すように、ピンテーブル123上のセンサパターン部13の上に、例えば両面テープからなる接着材12を介して、基材11を位置合わせして押し付け、ピンテーブル123上のセンサパターン部13を基材11に接着材12により被着させるようにする(ステップS105)。
【0084】
この場合、図8に示すように、基材11のピンテーブル123と対向する面11aには、複数個の端子導体17(図8では省略。図1参照)が形成されている端子部16が、予め被着されて形成されている。この実施形態では、図1に示したように、基材11は、この端子部16が形成されている領域ARbと、折り曲げ領域ARcと、センサパターン部の領域ARa(図8で点線で示す領域参照)を備えている。
【0085】
この実施形態では、接着材12を構成する両面テープは、このセンサパターン部13の領域ARaの大きさに対応した大きさとされ、この例では、端子部16が形成されている領域ARb及び折り曲げ領域ARcの上には、接着材12が存在しないように位置決めされる。そして、基材11が、そのセンサパターン部13の領域ARaに、ピンテーブル123のセンサパターン部13が対応するように位置決めされて、ピンテーブル123の上に、接着材12を介して押し付けられる。
【0086】
接着材12としての両面テープ及び基材11の位置決めは、ピンテーブル123上に突出しているガイドピン124の所定のもの(例えば領域ARaの4隅位置に対応するもの)により行われる。なお、接着材12は、予め、基材11の領域ARaに被着しておくようにしてもよい。
【0087】
一方、ピンテーブル123上のセンサパターン部13は、図8に示すように、複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eが折り曲げ領域ARc上に導出されると共に、当該両端部18Eの導線が露出された先端部18Eaが、端子部16の対応する端子導体17のそれぞれと接続されるように、センサパターン部13の領域ARaから、折り曲げ領域ARcを跨いで、端子部16の方向に突出する状態となっている。
【0088】
以上のようにして、基材11の一面11a側を、位置合わせさせた状態でピンテーブル123に対して押し付けると、ガイドピン124は、基材11を貫通して突き刺さる状態となるが、センサパターン部13が、基材11の領域ARaに接着材12により被着される状態となる。そして、図9に示すように、複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの、被覆導線18の被覆が剥離されて導線が露出された両端部18Eの先端部18Eaは、端子部16の対応する端子導体17の上に位置する状態とされる。
【0089】
こうして、基材11の一面11aに、センサパターン部13を接着材12により被着したら、基材11を、ピンテーブル123から引きはがすようにする(ステップS106)。この場合に、図示は省略するロボットハンドなどを用いた持ち上げ機構により、中間板1232及び剥離シート1233の部分と共に基材11が、ガイドピン取付板1231から離間されて持ち上げられて、ガイドピン124から外される。なお、中間板1232及び剥離シート1233の部分と共に基材11を持ち上げるのではなく、図示は省略するロボットハンドなどで、中間板1232及び剥離シート1233の部分と共に基材11を保持した状態において、ガイドピン取付板1231を、下方にガイドピンの高さ以上、下降させることで、基材11ガイドピン124から外すようにしてもよい。
【0090】
その後、ガイドピン124から外された、剥離シート1233付きの基材11は、表裏が反転されて、ピンテーブル123とは別の載置テーブル(図示は省略)上に載置される。そして、基材11の一面11aに被着されているセンサパターン部13から、剥離シート1233が剥離される。
【0091】
以上のようにして、ピンテーブル123から取り外された基材11の一面11aには、センサパターン部13が被着されていると共に、前述したように、複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eの、被覆導線18の被覆が剥離されて導線が露出された先端部18Eaは、端子部16の対応する端子導体17の上に位置する状態となっている。
【0092】
この実施形態では、図9に示すように、基材11の一面11a上の端子部16の各端子導体17上には、予め半田17aが盛られている。そして、この実施形態では、当該端子部16の各端子導体17の半田17aの部分を加熱することで、当該半田17aを溶融させ、被覆導線18の被覆が剥離されて導線が露出された両端部18Eの先端部18Eaを、端子部16の対応する端子導体17に対して半田付けして、電気的に接続する(ステップS107)。
【0093】
次に、この実施形態では、基材11の一面11aの領域ARaのセンサパターン部13の上に保護シート14(図1参照)を接着材により被着して覆うようにする(ステップS108)。次に、この実施形態では、基材11の一面11aとは反対側の面に、電磁シールド層を構成するメタルシート19を被着する(ステップS109)。
【0094】
そして、この実施形態では、端子部16に対してフレキシブル基板21を接続して、端子部16の端子導体17のそれぞれと、回路基板22のコネクタ端子部とを接続するようにする(ステップS110)。
【0095】
以上により、この実施形態の位置検出センサ1を製造することができる。そして、この実施形態の位置検出センサ1を、例えば入力装置の表示画面に重畳して、当該表示画面の裏側に配設する際には、位置検出センサ1は、前述したように、折り曲げ領域ARcのところで折り曲げて、配設するようにする。
【0096】
なお、保護シート14を被着するための接着材は、接着材12とは別個に使用するようにしてもよいし、センサパターン部13以外に部分に存在する接着材12(センサパターン部13の領域内の、ループコイルパターンを形成する被覆導線が存在していない部分の接着材12)を、保護シート14を基材11の一面11aに接着するためのものとして利用するようにしてもよい。
【0097】
以上のようにして、この実施形態の位置検出センサの製法によれば、被覆導線を用いてセンサパターン部13を簡単に基材の一面11a上に配設すると共に、端子部16の端子導体17と、センサパターン部13の各ループコイルとの電気的接続も簡単にできる位置検出センサ1を製造することができる。そして、この実施形態の製法を用いることにより、位置検出センサ1の量産化も可能となる。
【0098】
[折り曲げ領域ARcにおける余裕部の他の例]
上述の実施形態の位置検出センサ1では、折り曲げ領域ARcにおける被覆導線の非直線部からなる余裕部は、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eに、巻回余裕部18Eb及び18Ecを形成することで実現した。しかし、折り曲げ領域ARcにおける非直線部からなる余裕部は、この例に限られるものではない。
【0099】
図10及び図11は、折り曲げ領域ARcにおける非直線部からなる余裕部の構成が、上述の実施形態の位置検出センサ1とは異なる位置検出センサ1Aの例を説明するための図であり、この例は、余裕部を、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eに、屈曲部を形成することで実現する例である。
【0100】
図10は、上述の実施形態の位置検出センサ1の図1に対応する図であり、図10(A)は、位置検出センサ1Aのセンサパターン部13が形成されている面を、当該面に直交する方向から見た図であり、図10(B)は、位置検出センサ1Aの断面の構成の概念図である。また、図11は、上述の実施形態の位置検出センサ1における図6に対応する図であり、それぞれ1個のY軸方向ループコイル13Y及びX軸方向ループコイル13Xのパターン生成及び折り曲げ領域ARcでの余裕部の生成を説明するためのである。
【0101】
以下に説明するこの例の位置検出センサ1Aにおいて、上述の実施形態の位置検出センサ1の構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0102】
図10(A)及び(B)並びに図11に示すように、この例の位置検出センサ1Aにおいて、Y軸方向ループコイル13Y及びX軸方向ループコイル13Xの矩形のループコイルパターンを生成する部分及び端子部16の部分の構成は、上述の実施形態の位置検出センサ1と同様である。
【0103】
この例の位置検出センサ1Aにおいては、折り曲げ領域ARcには、Y軸方向ループコイル13Y及びX軸方向ループコイル13Xの両端部18Eの一方の端部18Esと他方の端部18Etのそれぞれに屈曲部18Edを形成するための2個づつのガイドピン124q、124r及び124s,124tを設ける。
【0104】
そして、Y軸方向ループコイル13Y及びX軸方向ループコイル13Xの両端部18Eの一方の端部18Esと他方の端部18Etのそれぞれは、図11に示すように、これらのガイドピン124q、124r及び124s,124tに巡らされることで、折り曲げ領域ARcにおいて折れ線状に屈曲する屈曲部18Edが形成される。
【0105】
なお、この例の場合には、図11に示すように、X軸方向ループコイル13Xについては、その両端部18Eをセンサパターン部13から折り曲げ領域ARcへ導出する位置にも、ガイドピン124u及び124vが設けられるものである。その他は、上述の実施形態の位置検出センサ1と同様に構成される。
【0106】
以上のようにして折り曲げ領域ARcにおいて、Y軸方向ループコイル13Y及びX軸方向ループコイル13Xの両端部18Eに形成された屈曲部18Edは、ピンテーブル123から抜き取られたときには、折り曲げ領域ARcにおいて弛みとなり、基材11の横方向に伸長変位可能な余裕部として働く。したがって、前述したように、基材11が折り曲げ領域ARcで折り曲げられたときに、被覆導線18の伸長余裕部となり、曲げ応力による前述したような不具合を防止できる。
【0107】
なお、折り曲げ領域ARcにおける被覆導線の非直線部からなる余裕部は、上述の例のような巻回余裕部や屈曲部に限られるものではなく、基材11が折り曲げられるときに応力がかかる方向、この例では基材11の横方向に伸長変位可能な余裕部として働くものであれば、どのような形状であってもよい。
【0108】
<位置検出センサの製法の他の実施形態>
上述の実施形態の位置検出センサの製法では、ガイドピン124が形成されたピンテーブル123を用いるようにしたが、ピンテーブル123を使用せずに、位置検出センサ1あるいは位置検出センサ1Aを形成することもできる。
【0109】
この位置検出センサの製法の他の実施形態では、基材11の一面11a上に接着材12の層を設け、その接着材12の層に上に、端子部16と、センサパターン部13とを、配線ノズル機構により配設するようにする。その場合の配線ユニットの配線ノズル機構は、ガイドピンに引っ掛けるようにしてループコイルパターンを形成するのではなく、被覆導線18を、基材11の一面11aの接着材12側に押し付けて被着させながら、配線ノズルを移動させることにより、ループコイルパターンを形成するようにする。そのための構成は、周知のものを使用することができるので、ここでは、その構成例は省略する。そして、折り曲げ領域ARcにおいても、被覆導線18を押し付けながら、非直線部からなる余裕部を形成するようにする。その他は、位置検出センサの製法の上述の実施形態と同様である。
【0110】
なお、上述の位置検出センサの製法の他の実施形態では、基材11の上に接着材の層を塗布した後、被覆導線をその接着材の層に被着するように説明したが、接着材層を塗布する代わりに、被覆導線として例えば熱により溶融する接着材付きのものを用いて、被覆導線の接着材を熱により溶融させながら基材上に被着するようにしてもよい。ただし、折り曲げ領域ARcにおける両端部18Eについては、基材11の一面11aに接着しないようにする。
【0111】
[その他の実施形態または変形例]
上述の実施形態の位置検出センサ1では、端子部16は、絶縁性材料、例えばPETで構成されたシート状あるいはフィルム状基板の上に、センサパターン部13の複数個の電極導体のそれぞれとの電気的な接続用の端子導体17が、例えば銅箔パターンが印刷などにより形成したものとして構成し、その端子部16を基材11上に接着材により被着する構成とされている。しかし、上述の端子部16の構成および端子部16を基材11上に形成する方法は一例であり、上述の例に限られるものではない。例えば、基材11の一面11a上に、直接的に、例えば銅箔パターンからなる端子導体17を印刷などにより形成することで端子部を形成するようにしてもよい。
【0112】
また、上述の実施形態では、端子部16には、端子導体17のみを形成し、この端子部16にフレキシブル基板21を介して回路基板22を接続するようにしたが、端子部16に、図3に示した位置検出回路200の各回路部品を設けたり、IC化した位置検出回路200を設けたりするようにしてもよい。このように端子部16に、位置検出回路200の各回路部品を設けたり、IC化した位置検出回路200を設けたりした場合には、位置検出センサ1、1Aの当該端子部16と、外部のデバイスとの接続用としては、処理制御部207に対する入出力の接続用端子と、電源供給用の接続用端子とを設ければよい。
【0113】
また、上述の実施形態においては、保護シート14は、センサパターン部13のみを覆うように被着するようにした。しかし、保護シート14は、センサパターン部13の上だけでなく、端子部16の上も覆うように被着するようにしてもよい。ただし、この場合に、端子部16の、位置検出センサ1と外部のデバイスとの接続用の導体部分の上は、保護シート14で覆わないようにする。
【0114】
なお、上述の製法の例では、端子部16の端子導体17と、複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部との半田付けの処理は、保護シート14でセンサパターン部13の上を覆うように被着する前に行ったが、保護シート14で、センサパターン部13の上を覆った後に、端子部16における半田付けの処理を行うようにしてもよい。
【0115】
また、上述の実施形態では、端子部16の端子導体17のそれぞれと、複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部とは、半田付けにより電気的に接続したが、当該端子部16の端子導体17の部分上を、接着材により保護シートで覆うようにする場合には、当該保護シートで複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部18Eの先端部18Eaが、端子導体17のそれぞれに接触した状態で、保護シートにより押さえ付けられるので、半田付け処理を省略してもよい。
【0116】
また、上述の実施形態では、位置検出センサは、外形が矩形形状であったが、外形は矩形に限らず、どのような形状であってもよい。また、基材は平面形状としたが、曲面形状であってもよい。また、ループコイルのパターン形状も上述の実施形態の矩形形状に限られるものではないことは言うまでもない。
【0117】
また、ループコイルは、X軸方向及びY軸方向の両方向に複数配列されるようにしたが、一方向のみに、複数配列されていてもよい。
【0118】
また、上述の位置検出センサの製法では、配線ユニット120により被覆導線によるセンサパターン部を形成する前に、前処理ユニット110で、電極導体のパターンに合わせて、当該電極導体の端部となる被覆導線部分の被覆を剥離して、内部の導線を露出させるようにした。
【0119】
しかし、この発明においては、電極導体のパターンの端部が、端子部16の対応する端子導体と位置合わせされていればよいので、前処理ユニット110で、センサパターン部を形成する処理を行う前に、電極導体のパターンの端部となる被覆導線部分の被覆を剥離することは必須ではない。例えば、センサパターン部13を形成した後に、センサパターン部13の複数個の電極導体のパターンの両端部18Eのそれぞれの被覆導線部分の被覆を剥離する処理を行うようにしてもよい。あるいは、電極導体のパターンの両端部18Eの被覆導線18部分が、端子部16の対応する端子導体17と位置合わせされている状態で加熱することで、被覆導線18の被覆部分を溶かして除去することで導線を露出させ、端子導体17に盛られている半田により、その露出した導線と端子導体17とを電気的に接続するようにしてもよい。
【0120】
なお、上述の位置検出センサの製法の実施形態では、配線ユニットの配線ノズル機構を2次元平面上で移動させることにより、被覆導線を電極導体の所定のパターン形状に形成するようにしたが、予め、被覆導線を、電極導体の所定のパターン形状(折り曲げ領域ARcにおける余裕部も含む)に成形したものの複数個を用意しておき、その所定のパターンに成形した電極導体を、基材11上に接着材により接着するようにしてもよい。
【0121】
その場合に、所定のパターンに成形した電極導体を、1個ずつ、基材11上に被着するようにしてもよいし、所定のパターンに成形した電極導体の複数個(センサパターン部の全部でもよいし、その一部でもよい)を、予め互いに接着したものを、基材11上に接着するようにしてもよい。そして、接着材は、基材11上に塗布しておくようにしてもよいし、被覆導線の被覆部分に付与されている接着材(熱溶融型であってもよいし、被覆導線に塗布されるものであってもよい)を用いるようにしてもよい。
【0122】
上述の実施形態の位置検出センサは、電磁誘導方式で位置検出を行う場合であって、電極導体がループコイルパターンとされる場合であったが、この発明の位置検出センサは、電磁誘導方式に限らず、静電結合方式やその他の方式の位置検出センサにも適用可能である。
【符号の説明】
【0123】
1,1A…位置検出センサ、3…位置指示器、11…基材、12…接着材、13…センサパターン部、14…保護シート、15…接着材、16端子部…、17…端子導体、18…被覆導線、18E…ループコイルの両端部(被覆が剥離されて露出された導線)、18Eb,18Ec…巻回余裕部、18Ed…屈曲部、19…メタルシート、21…フレキシブル基板、22…回路基板、200…位置検出回路、ARa…センサパターン部の領域、ARb…端子部の領域、ARc…折り曲げ領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11