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特許7583026人工毛髪用繊維、それを含む頭飾製品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】人工毛髪用繊維、それを含む頭飾製品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20241106BHJP
   D06M 23/08 20060101ALI20241106BHJP
   D06M 15/59 20060101ALI20241106BHJP
   D06M 15/564 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A41G3/00 A
D06M23/08
D06M15/59
D06M15/564
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022508077
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2021000243
(87)【国際公開番号】W WO2021186852
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2020047581
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】穴原 賢
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/069751(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/045981(WO,A1)
【文献】特開2006-241665(JP,A)
【文献】国際公開第2006/121054(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
D06M 23/08
D06M 15/59
D06M 15/564
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工毛髪用繊維であって、
前記人工毛髪用繊維の表面には、樹脂粒子が0.3%omf以上1.1%omf以下付着しており、
前記樹脂粒子は、前記人工毛髪用繊維の表面にて凹凸を形成し、
前記樹脂粒子が、ポリウレタン系樹脂を含み、
前記樹脂粒子は、平均粒子径が1μm以上20μm以下であることを特徴とする人工毛髪用繊維。
【請求項2】
前記樹脂粒子は、常温で固体である請求項に記載の人工毛髪用繊維。
【請求項3】
前記人工毛髪用繊維が、ポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、アクリロニトリル系繊維、ポリアミド系繊維、及びポリフェニレンサルファイド系繊維からなる群から選ばれる一つ以上を含む請求項1又は2に記載の人工毛髪用繊維。
【請求項4】
請求項1~のいずれかに記載の人工毛髪用繊維の製造方法であって、
人工毛髪用繊維の表面に樹脂エマルジョンを塗布する工程を含み、
前記樹脂エマルジョンの平均粒子径は350nm以上であり、
前記樹脂エマルジョンの塗布量は、固形分換算で0.3%omf以上1.1%omf以下であることを特徴とする人工毛髪用繊維の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂エマルジョンの粘度は、温度30℃において、0.1mPa・s以上1000mPa・s以下である請求項に記載の人工毛髪用繊維の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂エマルジョンのpHは、4以上9以下である請求項又はに記載の人工毛髪用繊維の製造方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載の人工毛髪用繊維を含むことを特徴とする頭飾製品。
【請求項8】
頭飾製品が、ヘアーウィッグ、かつら、ウィービング、ヘアーエクステンション、ブレードヘアー、ヘアーアクセサリー及びドールヘアーからなる群から選ばれる一つを含む請求項に記載の頭飾製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人毛の代替品として使用できる人工毛髪用繊維、それを含む頭飾製品及びその製造方法に関する。詳細には、櫛通りが良く、人毛に近い光沢を有する人工毛髪用繊維、それを含む頭飾製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭飾製品においては、従来、人毛が使用されていたが、近年、人毛の入手が困難になってきている。したがい、合成繊維を用いた人工毛髪用繊維、例えば、モダアクリル繊維などのアクリロニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエステル系繊維などへの代替が進んでいる。しかし、人工毛髪用合成繊維は、表面の光沢が強く、頭飾製品、特にヘアーウィッグ、かつらなどの頭髪製品に用いた場合、頭髪全体として違和感があり、人工毛髪用合成繊維の光沢を改善する方法が種々検討されている。例えば、特許文献1では、臭素化エポキシ系難燃剤及び酸性のリン酸化合物を含有したポリエステル系繊維が開発されている。特許文献1では、酸性のリン酸化合物をポリエステル系樹脂に添加することでポリエステル樹脂の粘度を低下させ、さらに当該ポリエステル系樹脂に配合されている臭素化エポキシ難燃剤の分散性を低下させることで、紡糸後の繊維表層部に起伏を発現させることができ、結果的に繊維の光沢を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開公報2013/180281号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の人工毛髪用繊維は、酸性のリン酸化合物の吸湿性が高いために、水分含有量のばらつきが大きく、得られる繊維の品質にばらつきが生じてしまい、光沢低減の制御が困難であるという課題があった。また、繊維表面の凹凸の制御が困難なため、得られる繊維によっては、櫛通りが悪くなってしまい、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するため、優れた櫛通り性を有するとともに、人毛に近い光沢を有する人工毛髪用繊維、それを含む頭髪製品及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1以上の実施形態において、人工毛髪用繊維であって、前記人工毛髪用繊維の表面には、樹脂粒子が0.3%omf以上1.1%omf以下付着しており、前記樹脂粒子は、平均粒子径が1μm以上20μm以下であることを特徴とする人工毛髪用繊維に関する。
【0007】
本発明は、1以上の実施形態において、前記人工毛髪用繊維の製造方法であって、人工毛髪用繊維の表面に樹脂エマルジョンを塗布する工程を含み、前記樹脂エマルジョンの平均粒子径は350nm以上であり、前記樹脂エマルジョンの塗布量は、固形分換算で0.3%omf以上1.1%omf以下であることを特徴とする人工毛髪用繊維の製造方法に関する。
【0008】
本発明は、1以上の実施形態において、前記人工毛髪用繊維を含むことを特徴とする頭飾製品に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた櫛通り性を有するとともに、人毛に近い光沢を有する人工毛髪用繊維及びそれを含む頭髪製品を提供することができる。
本発明の製造方法によれば、優れた櫛通り性を有するとともに、人毛に近い光沢を有する人工毛髪用繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施例1の人工毛髪用繊維における繊維表面の走査型電子顕微鏡写真(1500倍)である。
図2図2は、本発明の比較例1の繊維表面の走査型電子顕微鏡写真(1500倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の粒子径を有する樹脂粒子を人工毛髪用繊維の表面に、特定量付着させることで、櫛通り性を良好にしつつ、繊維表面の光沢を抑制できることを見出した。当該特定の粒子径を有する樹脂粒子が繊維表面に存在することで、容易に繊維表面に適度な凹凸が形成され、櫛通り性を妨げることなく、光沢を低減させて人毛に近い光沢を有する人工毛髪用繊維が得られると推定される。特に、所定の粒子径を有する樹脂エマルジョンを人工毛髪用繊維の表面に塗布することで、繊維表面に樹脂粒子が付着しやすくなり、樹脂が所定の粒子径を有する凝集体粒子として付着することで、繊維表面に適度な凹凸が形成されることで、櫛通り性を妨げることなく、光沢を低減させて人毛に近い光沢が得られると推定される。
【0012】
<樹脂粒子>
本発明の1以上の実施形態において、樹脂粒子は、人工毛髪用繊維表面に、0.3%omf(on the mass of fiber)以上1.1%omf以下付着している。樹脂粒子の付着量は、好ましくは0.35%omf以上1.0%omf以下であり、0.4%omf以上0.9%omf以下であることがより好ましい。樹脂粒子の付着量が0.3%omf未満の場合、繊維表面に付着する樹脂量が少ないため、光沢抑制効果が不十分なものとなってしまう。樹脂粒子の付着量が1.1%omfより大きいと付着する樹脂量が過大となり、触感や櫛通りが悪化する。
【0013】
本発明の1以上の実施形態において、人工毛髪用繊維表面における樹脂粒子の付着量は、下記の通りに測定することができる。或いは、後述するように、人工毛髪用繊維表面の樹脂エマルジョンの塗布量に基づいて算出してもよい。
<樹脂粒子の付着量>
シクロヘキサンおよびエタノールの体積比1:1の混合液体35mLを抽出液とし、該抽出液に2.0gの繊維を浸漬させ、繊維表面に付着した樹脂を抽出し、その抽出液を蒸発乾固させ、残った成分の重量を、繊維に付着した樹脂粒子の付着量とする。
【0014】
人工毛髪用繊維表面において、樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上20μm以下である。樹脂粒子の平均粒子径は、1.5μm以上15μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm未満であると、繊維表面に凹凸が形成されにくく、光沢抑制効果が不十分なものとなってしまう。樹脂粒子の平均粒子径が20μmを超えると、樹脂粒子が大きすぎるため、触感や櫛通りが悪化する。
【0015】
本発明の1以上の実施形態において、人工毛髪用繊維表面における樹脂粒子の平均粒子径は、下記の通りに測定することができる。
<樹脂粒子の平均粒子径>
繊維表面を走査型電子顕微鏡で1000倍に拡大した画像を撮影し、その視野で観察される10個の樹脂粒子の粒子径を観察し、その平均値を樹脂粒子の平均粒子径とする。
【0016】
人工毛髪用繊維表面において、樹脂粒子は、常温で固体であることが好ましい。前記樹脂粒子が常温で液体の場合、繊維表面に適度な凹凸を形成しにくく、光を乱反射させる効果が発揮されず、光沢が低減されにくくなると推定される。なお、本発明における常温とは、10℃以上30℃以下を意味する。
【0017】
樹脂粒子は、光沢抑制効果を高める観点から、ポリウレタン系樹脂及びポリアミド系樹脂からなるなる群から選ばれる一つ以上の樹脂を含むことが好ましい。ポリウレタン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリウレタン、芳香族のポリウレタンなどが挙げられる。ポリアミド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミドエラストマー、ポリアミドに他の成分を共重合させた重合体などが挙げられる。
【0018】
樹脂粒子は、ポリウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂に加えて、繊維表面の光沢性を阻害しない範囲で、他の種類の樹脂を含んでもよい。他の種類の樹脂としては、例えば、ポリオキシアルキル、ジメチルシロキサンなどが挙げられる。他の種類の樹脂の付着量は、0.05%omf以上0.8%omf以下であることが好ましい。
【0019】
<人工毛髪用繊維>
人工毛髪用繊維は、特に限定されず、例えばポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、アクリロニトリル系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維などが挙げられる。
【0020】
ポリエステル系繊維は、ポリエステル系樹脂組成物で形成されている繊維である。通常、ポリエステル系樹脂組成物を溶融紡糸することにより、ポリエステル系人工毛髪用繊維を形成することができる。なお、ポリエステル系樹脂組成物は、通常、溶融混練した後、溶融紡糸する。上記ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂に加えて、難燃剤、難燃助剤、滑剤、ダル化剤、着色用の顔料などからなる群から選ばれる一つ以上の添加剤を適宜含んでもよい。
【0021】
ポリアミド系繊維は、ポリアミド系樹脂組成物で形成される繊維である。ポリアミド系樹脂組成物は、ポリアミド系樹脂に加えて、難燃剤、難燃助剤、滑剤、ダル化剤、着色用の顔料などからなる群から選ばれる一つ以上の添加剤を適宜含んでもよい。
【0022】
ポリ塩化ビニル系繊維は、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成される繊維である。ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂に加えて、可塑剤、難燃助剤、滑剤、ダル化剤、着色用の顔料などからなる群から選ばれる一つ以上の添加剤を適宜含んでもよい。
【0023】
アクリロニトリル系繊維は、ポリアクリロニトリル繊維及びモダアクリル繊維をいう。ポリアクリロニトリル繊維は、アクリロニトリルを85重量%以上100重量%以下と、他の成分を15重量%以下含むポリアクリロニトリル樹脂を原料とする繊維であり、モダアクリル繊維は、アクリロニトリルを35重量%以上85重量%未満と、他の成分を15重量%より多く、65重量%以下含むモダアクリル樹脂を原料とする繊維である。ポリアクリロニトリル繊維は、ポリアクリロニトリル樹脂組成物で形成することができる。ポリアクリロニトリル樹脂組成物は、ポリアクリロニトリル樹脂に加えて、難燃剤、難燃助剤、ダル化剤、染料、顔料などからなる群から選ばれる一つ以上の添加剤を適宜含んでもよい。モダアクリル繊維は、モダアクリル樹脂組成物で形成することができる。モダアクリル樹脂組成物は、モダアクリル樹脂に加えて、難燃剤、難燃助剤、ダル化剤、染料、顔料などからなる群から選ばれる一つ以上の添加剤を適宜含んでもよい。
【0024】
ポリフェニレンサルファイド系繊維は、ポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物で形成される繊維である。ポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物は、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、可塑剤、難燃助剤、滑剤、ダル化剤、着色用の顔料などからなる群から選ばれる一つ以上の添加剤を適宜含んでもよい。
【0025】
人工毛髪用繊維は、非捲縮生糸状の繊維であってもよい。また、人工毛髪用繊維は、人工毛髪に適するという観点から、繊度は10~100dtexであることが好ましく、より好ましくは20~90dtexであり、さらに好ましくは35~80dtexである。
【0026】
人工毛髪用繊維は、断面形状は特に限定されないが、例えば円形、楕円形、異形、例えば馬蹄形、C字形、Y字形が挙げられる。
【0027】
<紡糸方法>
人工毛髪用繊維は、従来公知の方法で製造することができる。ポリエステル系繊維やポリ塩化ビニル系繊維の製造方法としては、通常、溶融紡糸法が用いられる。人工毛髪用繊維がポリエステル系樹脂組成物などの熱可塑性樹脂組成物で構成される場合は、熱可塑性樹脂組成物を種々の一般的な混練機を用いて溶融混練してペレット化した後、溶融紡糸することにより人工毛髪用繊維を製造することができる。紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行うことも可能である。加熱筒の温度と長さ、冷却風の温度と吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間及び引取速度は、ポリマーの吐出量及びノズルの孔数によって適宜調整することができる。例えば、ポリエステル系樹脂組成物の場合は、押出機、ギアポンプ、ノズルなどの温度を250℃以上300℃以下とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させた後、ポリエステル系樹脂のガラス転移点以下に冷却し、50m/分以上5000m/分以下の速度で引取ることにより紡出糸条(未延伸糸)が得られる。
【0028】
紡出糸条(未延伸糸)は熱延伸されることが好ましい。延伸は、紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法と、紡出糸条を巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によって行ってもよい。熱延伸は、1段延伸法又は2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。人工毛髪用繊維が原着されている場合、そのまま使用してもよい。人工毛髪用繊維が原着されていない場合、染色することができる。染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性及び難燃性を有するものも使用できる。
【0029】
前記モダアクリル繊維は、従来公知の方法で製造することができる。前記モダアクリル繊維は、通常、モダアクリル樹脂を有機溶媒に溶解した紡糸液を湿式紡糸して得ることができる。有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられる。上記湿式紡糸は、凝固工程、水洗工程及び乾燥工程を含んでもよい。また、水洗工程の前或いは水洗工程の後に行う浴延伸工程を含んでもよい。また、乾燥工程の前に行う油剤付与工程を含んでもよい。また、乾燥工程の後に行う延伸工程及び熱緩和処理工程を含んでもよい。
【0030】
人工毛髪用繊維は、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、アクリロニトリル系繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維などの全ての人工毛髪用繊維を含む。必要に応じて、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることができる。さらに、繊維表面処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合を調整して、より人毛に近づけることができる。これらの繊維表面処理剤、柔軟剤は、低光沢化を目的とした樹脂エマルジョンと混合して塗布しても、別々に塗布しても構わない。
【0031】
<樹脂エマルジョンによる処理>
人工毛髪用繊維の表面に樹脂エマルジョンを塗布することで、人工毛髪用繊維の表面に樹脂粒子を付着させることができる。
【0032】
本発明の1以上の実施形態において、樹脂エマルジョンとは、乳化剤などを用いて樹脂を水中に分散させた分散系溶液を意味する。樹脂をエマルジョンの状態で繊維に塗布することで、樹脂粒子単体を塗布するよりも繊維表面にエマルジョン樹脂粒子が付着しやすく、エマルジョン樹脂粒子が繊維表面で凝集体を形成することで、繊維表面に樹脂粒子による凹凸が形成され、人毛に近い光沢が得られると推定される。
【0033】
樹脂エマルジョンの平均粒子径は350nm以上である。樹脂エマルジョンの平均粒子径が350nm未満の場合、樹脂エマルジョン粒子が繊維表面で凝集せず、繊維表面に均一な膜を形成してしまうため、光を乱反射させ、繊維表面の光沢を低下させる効果が小さくなってしまうと推定される。樹脂エマルジョンの平均粒子径は400nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは500nm以上900nm以下である。なお、樹脂エマルジョンの平均粒子径とは、エマルジョン中に分散している樹脂粒子の粒子径を指し、平均粒子径の測定方法は特に限定されないが、例えば動的散乱法で測定することができる。
【0034】
樹脂エマルジョンにおいて、樹脂は溶媒である水とエマルジョンを形成しており、水を蒸発させるなど行って除去した際の当該樹脂粒子は、常温で固体であることが好ましい。当該樹脂粒子が常温で液体の場合、樹脂エマルジョンが繊維表面に均一に塗布されやすく、繊維表面で凝集体を形成しにくいため、光を乱反射させる効果が発揮されず、それゆえ、光沢が低減されにくくなると推定される。
【0035】
樹脂エマルジョンは、特に限定されないが、樹脂粒子が常温で固体であり、繊維表面に適度な凹凸を形成しやすい観点から、例えばポリウレタン系樹脂を含むポリウレタン系樹脂エマルジョンやポリアミド系樹脂を含むポリアミド系樹脂エマルジョンなどが挙げられる。
【0036】
ポリウレタン系樹脂としては、特に限定されないが、脂肪族ポリウレタン、芳香族のポリウレタンなどが挙げられる。
【0037】
ポリアミド系樹脂としては、特に限定されないが、ポリアミドエラストマー、ポリアミドに他の成分を共重合させた重合体などが挙げられる。
【0038】
樹脂エマルジョンは、ポリウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂に加えて、繊維表面の光沢性を阻害しない範囲で、他の種類の樹脂を含んでもよい。
【0039】
樹脂エマルジョンは、公知の方法で調整することができます。例えば、樹脂が溶解した均一な溶液状態から乳化剤などを加えてエマルジョン粒子を分散させる凝集法、分散状態から撹拌などにより、液滴が微分散したエマルジョン粒子を形成させる分散法、さらには乳化剤の存在下で重合反応を行い、重合と同時にエマルジョン粒子を形成する乳化重合法などが挙げられる。乳化剤としては、樹脂の性状に合わせて、カチオン系、アニオン系、ノニオン系の界面活性剤を適宜用いることができる。
【0040】
樹脂エマルジョンの粘度は、特に限定されないが、例えば、繊維表面に均一に塗布できる点から、30℃で、0.1mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以上900mPa・s以下であることがより好ましく、100mPa・s以上800mPa・s以下であることがさらに好ましい。なお、本発明における粘度は、B型粘度計で測定した値をいう。
【0041】
樹脂エマルジョンのpHは、繊維表面のダメージが少ないことや、他の表面処理剤を凝集させない観点から、4以上9以下の範囲が好ましい。
【0042】
樹脂エマルジョンとしては、市販のものを用いてもよい。例えば、市販の樹脂エマルジョンをそのまま用いてもよく、さらに適宜水で希釈して用いてもよい。
【0043】
本発明の1以上の実施形態において、樹脂エマルジョンを2種以上用いてもよい。例えば、予め2種以上の樹脂エマルジョンを混合した後に繊維に付着してもよいし、各種樹脂エマルジョンを順次繊維に付着させてもよい。また、樹脂エマルジョンに、物性を損なわない範囲で、例えば増粘剤などの添加剤を添加してもよい。
【0044】
樹脂エマルジョンを繊維表面に塗布する工程は、特に制限されないが、人工毛髪用繊維で用いる油剤の塗布方法に準じた各種の手法と同様の方法を使用できる。例えば、樹脂エマルジョンを又は樹脂エマルジョンを水で希釈した溶液を表面に含んだロールに繊維を接触させる方法、繊維の上部から樹脂エマルジョン又は樹脂エマルジョンを水で希釈した溶液をを滴下する方法、樹脂エマルジョン又は樹脂エマルジョンを水で希釈した溶液をに繊維を浸漬させる方法などが挙げられる。
【0045】
樹脂エマルジョンの塗布量は、固形分換算で0.3%omf以上1.1%omf以下である。これにより、樹脂エマルジョンが平均粒子径が1μm以上20μm以下の樹脂粒子として繊維表面に付着しやすく、櫛通り性を良好に保ちつつ、光沢抑制効果を発揮することができる。樹脂エマルジョンの塗布量は、固形分換算で0.35%omf以上1.0%omf以下であることが好ましく、0.4%omf以上0.9%omf以下であることがより好ましい。
【0046】
樹脂エマルジョンを繊維表面に塗布した後、乾燥してもよい。乾燥条件は、特に限定されず、繊維や樹脂エマルジョンの種類に応じて適宜行うことができる。例えば、乾燥温度は80℃以上180℃以下であってもよく、乾燥時間は0.5分以上15分以下であってもよい。
【0047】
<頭飾製品>
本発明の1以上の実施形態において、人工毛髪用繊維は、そのまま単独で人工毛髪として用いることができる。或いは、他の人工毛髪用繊維素材、人毛、獣毛などの天然繊維と組み合わせて人工毛髪製品として用いることができる。
【0048】
本発明の人工毛髪用繊維を用いて形成した頭飾製品は、装着した場合でも違和感のない光沢を有する。上記頭飾製品としては、特に限定されないが、例えば、ヘアーウィッグ、かつら、ウィービング、ヘアーエクステンション、ブレードヘアー、ヘアーアクセサリー、ドールヘアーなどが挙げられる。
【実施例
【0049】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0050】
実施例及び比較例で用いた測定・評価方向は下記の通りである。
<樹脂エマルジョンの平均粒子径>
樹脂エマルジョンの平均粒子径は、大塚電子社製ELSZ-1000を用いて、樹脂エマルジョンを固形分濃度が1重量%になるように水で希釈した水溶液について、動的光散乱法により行った。
<樹脂エマルジョンの粘度>
英弘精機社製デジタル粘度計DV2Tを用いて温度30℃における樹脂エマルジョンの粘度を測定した。
<樹脂エマルジョンのpH>
堀場製作所製pH測定装置D73Sを用いて、樹脂エマルジョンを水で10倍希釈した溶液のpHを測定した。
<樹脂粒子の付着量>
樹脂エマルジョンの固形分の付着量を繊維表面の樹脂粒子の付着量とした。
<樹脂粒子の平均粒子径>
走査型電子顕微鏡(日本電子社製JCM6000)を用いて繊維表面を観察倍率1000倍で観察し、繊維表面に観察される樹脂粒子10個の平均の大きさを測長ソフトウェアで測定し、その平均値を樹脂粒子の平均粒子径とした。
<光沢>
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを用い、太陽光の下、目視にて以下の基準で光沢の判定を行った。
A:人毛の光沢と同等である。
B:人毛の光沢とほぼ同等である。
C:人毛の光沢と差があり、違和感がある。
<櫛通り性>
櫛通り性は、人工毛髪用繊維を長さ300mm、重量2gに束ね、この繊維束に櫛を通したときの抵抗や繊維の絡まりを評価した。
A:人工毛髪用繊維と絡まず、櫛が良く通る
B:人工毛髪用繊維と若干絡むが、櫛を通すことができる
C:人工毛髪用繊維と櫛が絡み、櫛を通すことができない
【0051】
<製造例1>
各原料を水分量100ppm以下に乾燥し、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、A-12、EAST WEST製)100重量部、臭素化エポキシ難燃剤(SR-T20000、阪本薬品工業株式会社製)20重量部、アンチモン酸ナトリウム(SAA、日本精鉱株式会社製)2重量部、分散剤(Wax CompositeG431L、クラリアントジャパン製)0.3重量部の割合でドライブレンドした。得られたポリエステル系樹脂組成物を二軸押出機(日本製鋼所株式会社製、商品名「TEX44」)に供給し、バレル設定温度270℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを水分率100ppm以下に乾燥させた。次いで、乾燥したペレットを、溶融紡糸機(シンコーマシナリー株式会社製、商品名「SV30」)に供給し、バレル設定温度270℃で、扁平比が1.4:1の繭形断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、20℃の冷却風により空冷し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を、75℃に加熱したヒートロールを用いて3.1倍に延伸し、205℃に加熱したヒートロールで熱処理し、30m/分の速度で巻き取り、単繊維繊度が約60dtex程度のポリエステル系人工毛髪用繊維(マルチフィラメント)を得た。
【0052】
<製造例2>
アクリロニトリル46重量%、塩化ビニル52.0重量%、及びスチレンスルホン酸2.0重量%からなるモダアクリル樹脂を、紡糸ノズル(孔径0.3mm、孔数1250個)を用いて20℃、62重量%のDMSO水溶液からなる凝固浴中に押出して凝固させて繊維化した後、80℃、50重量%のDMSO水溶液からなる延伸浴中で3倍に延伸した。水洗した後、モダアクリル繊維を油剤(脂肪酸エステル系油剤とポリオキシエチレン系界面活性剤)及び油剤100重量部に対してジメチルスルホンを0.5重量部添加した混合物が導入されている油剤槽(60℃)に3~5秒間浸漬してモダアクリル繊維に油剤及びジメチルスルホンの混合物を含浸させた後、140℃で乾燥してから2倍に延伸し、160℃にて20%緩和処理を施して単繊維繊度が約46dtexのモダアクリル繊維を得た。
【0053】
<製造例3>
塩化ビニル単独重合体(カネカ社製、品名「S-1001」)100重量部に、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(カネカ社製、品名「K1F」)1.4重量部、可塑剤0.9重量部、熱安定剤1.1重量部、加工助剤2.93重量部及び滑剤0.88重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌混合し、ポリ塩化ビニル系樹脂コンパウンドを得た。該コンパウンドを、口径40mmの単軸押出機のホッパー部へ投入し、シリンダー温度170℃、ノズル温度180±15℃の範囲で、コンパウンドを押し出し溶融紡糸した。ノズルの孔形状が繭型のノズルを用いた。押出されたフィラメントをノズル直下に設けた加熱筒内(330℃雰囲気)で約0.5~1.5秒熱処理し、熱処理後の未延伸糸を引取ロールによってボビンに巻いた。次に、未延伸糸を110℃に温度調整した熱風循環箱を通して約2~4倍へ延伸した。次に、110℃に温度調整した熱風循環箱の中で連続的に38%の緩和処理を実施し、マルチフィラメントを巻き取ることでポリ塩化ビニル系繊維(単繊維繊度約72dtex)を得た。
【0054】
(実施例1)
製造例1で得られたポリエステル系繊維を、ポリウレタン系樹脂を含み、平均粒子径、粘度及びpHが表1に示す通りのポリウレタン系樹脂エマルジョンに浸漬した後、脱水処理を行い、固形分の塗布量を0.4%omfに調整することで、ポリウレタン系樹脂粒子が繊維表面に0.4%omf付着した人工毛髪用繊維を作製した。
【0055】
(実施例2)
樹脂エマルジョンの固形分の塗布量を0.6%omfとし、ポリウレタン系樹脂粒子が繊維表面に0.6%omf付着するようにした以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0056】
(実施例3)
ポリアミド系樹脂を含み、平均粒子径、粘度及びpHが表1に示す通りのポリアミド系樹脂エマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0057】
(実施例4)
樹脂エマルジョンの固形分の塗布量を0.6%omfとし、ポリアミド系樹脂粒子が繊維表面に0.6%omf付着するようにした以外は、実施例3と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0058】
(実施例5)
製造例2で得られたモダアクリル繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0059】
(実施例6)
製造例2で得られたモダアクリル繊維を用いた以外は、実施例3と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0060】
(実施例7)
製造例3で得られたモダアクリル繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0061】
(実施例8)
製造例3で得られたモダアクリル繊維を用いた以外は、実施例3と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0062】
(比較例1)
ポリエステル系樹脂を含み、平均粒子径、粘度及びpHが表1に示す通りのポリエステル系樹脂エマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0063】
(比較例2)
ポリウレタン系樹脂を含み、平均粒子径、粘度及びpHが表1に示す通りのポリウレタン系樹脂エマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0064】
(比較例3)
シリコーン系樹脂を含み、平均粒子径、粘度及びpHが表1に示す通りのシリコーン系樹脂エマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0065】
(比較例4)
樹脂エマルジョンの代わりにアルミナ懸濁液を用いた以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0066】
(比較例5)
樹脂エマルジョンの代わりにシリカ懸濁液を用いた以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0067】
(比較例6)
樹脂エマルジョンの固形分の塗布量を0.2%omfとし、ポリウレタン系樹脂粒子が繊維表面に0.2%omf付着するようにした以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0068】
(比較例7)
樹脂エマルジョンの固形分の塗布量を1.2%omfとし、ポリウレタン系樹脂粒子が繊維表面に1.2%omf付着するようにした以外は、実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0069】
(比較例8)
製造例2のモダアクリル繊維を用いた以外は、比較例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0070】
(比較例9)
製造例2のモダアクリル繊維を用いた以外は、比較例7と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0071】
(比較例10)
製造例3のモダアクリル繊維を用いた以外は、比較例1と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0072】
(比較例11)
製造例3のモダアクリル繊維を用いた以外は、比較例7と同様にして人工毛髪用繊維を作製した。
【0073】
実施例及び比較例の人工毛髪用繊維について、光沢及び櫛通り性を上述したとおりに評価した。その結果を下記表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
図1に、実施例1で得られた人工毛髪用繊維表面のSEM写真を示した。また、図2に比較例1で得られた人工毛髪用繊維表面のSEM写真を示した。図1において、繊維表面に所定の大きさの凝集体(樹脂粒子)が見られ、光沢を抑制する効果を示していると考える。
【0076】
一方、樹脂粒子の粒子径が小さい比較例1~3では、繊維表面を被覆するように粒子が付着し、明確な凹凸が見られず、人工毛髪用繊維に特有の高い光沢を有する結果となった。また、比較例4~5では、懸濁液中に分散した無機粒子が繊維表面に付着しているため、がさがさとした触感となり、外観や櫛通りが悪い結果となった。また、比較例6では、繊維表面に付着する粒子の量が少なすぎるため、十分な光沢抑制効果が得られなかった。比較例7は、繊維表面に付着した樹脂粒子の量が過剰であったために櫛通り性が悪化する結果となった。
【0077】
本発明は、特に限定されないが、例えば、下記の1以上の実施形態を含んでもよい。
[1] 人工毛髪用繊維であって、
前記人工毛髪用繊維の表面には、樹脂粒子が0.3%omf以上1.1%omf以下付着しており、
前記樹脂粒子は、平均粒子径が1μm以上20μm以下であることを特徴とする人工毛髪用繊維。
[2] 前記樹脂粒子は、常温で固体である、[1]に記載の人工毛髪用繊維。
[3] 前記樹脂粒子が、ポリウレタン系樹脂及びポリアミド系樹脂からなる群から選ばれる1つ以上の樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の人工毛髪用繊維。
[4] 前記人工毛髪用繊維が、ポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、アクリロニトリル系繊維、ポリアミド系繊維、及びポリフェニレンサルファイド系繊維からなる群から選ばれる一つ以上を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の人工毛髪用繊維。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の人工毛髪用繊維の製造方法であって、
人工毛髪用繊維の表面に樹脂エマルジョンを塗布する工程を含み、
前記樹脂エマルジョンの平均粒子径は350nm以上であり、
前記樹脂エマルジョンの塗布量は、固形分換算で0.3%omf以上1.1%omf以下であることを特徴とする人工毛髪用繊維の製造方法。
[6] 前記樹脂エマルジョンの粘度は、温度30℃において、0.1mPa・s以上1000mPa・s以下である、[5]に記載の人工毛髪用繊維の製造方法。
[7] 前記樹脂エマルジョンのpHは、4以上9以下である、[5]又は[6]に記載の人工毛髪用繊維の製造方法。
[8] [1]~[4]のいずれかに記載の人工毛髪用繊維を含むことを特徴とする頭飾製品。
[9] 頭飾製品が、ヘアーウィッグ、かつら、ウィービング、ヘアーエクステンション、ブレードヘアー、ヘアーアクセサリー及びドールヘアーからなる群から選ばれる一つを含む、[8]に記載の頭飾製品。
図1
図2