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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】洗浄組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241106BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20241106BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20241106BHJP
   C11D 7/36 20060101ALI20241106BHJP
   C11D 7/38 20060101ALI20241106BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20241106BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20241106BHJP
   B08B 3/12 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
C11D7/26
C11D7/22
C11D7/36
C11D7/38
C11D7/32
B08B3/04
B08B3/12
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022556694
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 US2021022905
(87)【国際公開番号】W WO2021188766
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】62/991,612
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ、アビユダヤ
(72)【発明者】
【氏名】バイェステロス、カール
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、エリック
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0089891(US,A1)
【文献】特表2020-504460(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026478(WO,A1)
【文献】特表2009-531512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0351388(US,A1)
【文献】特開2018-049992(JP,A)
【文献】特表2012-508463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C11D 7/26
C11D 7/22
C11D 7/36
C11D 7/38
C11D 7/32
B08B 3/04
B08B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の第1の有機酸;
前記少なくとも1種の第1の有機酸とは異なる少なくとも1種の第2の有機酸、ここで、前記少なくとも1種の第2の有機酸はジエン酸を含む;
前記少なくとも1種の第1の酸及び第2の酸とは異なる少なくとも1種の第3の有機酸であって、アミノ酸を含む第3の有機酸
少なくとも1種のアニオン性ポリマー、ここで、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、洗浄組成物に対して約0.00001重量%~約50重量%の量で存在する;及び
水;
を含み、
約0.1~約7のpHを有する、洗浄組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の第1の有機酸がモノカルボン酸又はポリカルボン酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の第1の有機酸が、ギ酸、酢酸、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、乳酸、シュウ酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、過酢酸、酢酸カリウム、フェノキシ酢酸、安息香酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の第1の有機酸が、酢酸、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸、乳酸、シュウ酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の第1の有機酸が、前記組成物に対して約0.00001重量%~約50重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の第2の有機酸が、5~22個の炭素を有するジエン酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の第2の有機酸が、2,4-ペンタジエン酸、5-フェニルペンタ-2,4-ジエン酸、2-ヒドロキシペンタ-2,4-ジエン酸、2,4-ヘキサジエン酸、4,5-ヘキサジエン酸、4,6-ヘプタジエン酸、2,6-ジメチルヘプタ-2,5-ジエン酸、(3E,5E)-ヘプタ-3,5-ジエン酸、(2E,5Z)-ヘプタ-2,5-ジエン酸、オクタ-3,5-ジエン酸、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸、5,7-ノナジエン酸、(E,Z)-2,4-デカジエン酸、2,5-デカジエン酸、ウンデカジエン酸、ドデカジエン酸、トリデカジエン酸、テトラデカジエン酸、ペンタデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、ヘプタデカジエン酸、(9Z,12E)-オクタデカ-9,12-ジエン酸、オクタデカ-10,12-ジエン酸、(10E,15Z)-9,12,13-トリヒドロキシオクタデカ-10,15-ジエン酸、13(S)-ヒドロキシオクタデカ-9Z,11E-ジエン酸、ノナデカジエン酸、ヘニコサジエン酸、ドコサジエン酸、エイコサ-11,14-ジエン酸、又はそれらの混合物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の第2の有機酸が、前記洗浄組成物に対して約0.0001重量%~約0.5重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の第3の有機酸が、アミノカルボン酸、グリシン、ビシン、トリシン、アラニン、ヒスチジン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リシン、チロシン、又はそれらの混合物を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の第3の有機酸が、グリシン、ヒスチジン、アラニン、プロリン、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、又はそれらの混合物を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の第3の有機酸が、前記組成物に対して約0.001重量%~約20重量%の量で存在する、請求項に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーが、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、アクリル酸、アクリルアミド、リンゴ酸、メタクリル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド、アクリルアミドプロピルスルホン酸、ホスホン酸、リン酸、ビニルリン酸、ブタジエン/マレイン酸、カプロラクタ
ム、エーテルイミド、2-エチル-2-オキサゾリン、N-イソ-プロピルアクリルアミド、亜ホスフィン酸ナトリウム(sodium phosphinite)、及びそれらの共形成物(co-formed products)、並びにそれらのナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩、からなる群から選択される1種又は複数種のモノマーから形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーが、ポリ(4-スチレニルスルホン)酸(PSSA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)、アニオン性ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、アニオン性ポリアクリルアミド(PAM)、ポリアスパラギン酸(PASA)、アニオン性ポリ(エチレンスクシナート)(PES)、アニオン性ポリブチレンスクシナート(PBS)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、2-プロペン酸と2-メチル-2-((1-オキソ-2-プロペニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸一ナトリウム塩及び亜ホスフィン酸ナトリウム(sodium phosphinite)との共重合体、2-プロペン酸と2-メチル-2-((1-オキソ-2-プロペニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸一ナトリウム塩及び亜硫酸水素ナトリウムナトリウム塩との共重合体、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体、ポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体、又はそれらの混合物、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーが、ポリ(4-スチレニルスルホン)酸(PSSA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)、アニオン性ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、アニオン性ポリアクリルアミド(PAM)、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体、ポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体、又はそれらの混合物、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーが、前記洗浄組成物に対して約0.0001重量%~約0.5重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物のpHが約1~約6.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物のpHが約2~約5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の有機酸;
リ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体、ポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体、又はそれらの混合物を含む少なくとも1種のアニオン性ポリマー;及び
水;
を含む洗浄組成物であって、
約0.1~約7のpHを有する、洗浄組成物。
【請求項19】
SiN、SiC、TiN、W、Ru、Mo、TEOS、Cu、TaN、Co、又はp-Siを含む表面を有するウェハを、請求項1に記載の洗浄組成物に接触させることを含む、ウェハ表面を洗浄する方法。
【請求項20】
基板を請求項1に記載の洗浄組成物に接触させることを含む、基板を洗浄する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、2020年3月19日に出願された米国仮出願番号62/991,612からの優先権を主張し、前記米国仮出願の内容は参照によりその全体が本開示に取り込まれる。
【0003】
半導体産業は、プロセス革新及び集積化の革新を通じてデバイスのさらなる小型化によりチップ性能を向上しようと継続的に駆られている。化学的機械研磨/平坦化(CMP)は、トランジスタレベルでの多くの複雑な集積化スキームを可能とし、それによって向上したチップ密度を容易化するため、強力な技術である。
【0004】
CMPは、表面ベースの化学反応と並行して研磨ベースの物理プロセスを用いて材料を除去することにより、ウェハ表面を平坦化/フラット化するために用いられるプロセスである。一般にCMPプロセスは、ウェハ表面を研磨パッドに接触させて該研磨パッドをウェハに対して動かしながら、CMPスラリー(例えば、水性化学調合物)をウェハ表面に適用することを含む。スラリーは典型的には研磨成分と溶解した化学成分とを含む。これらは、CMPプロセスの間にスラリー及び研磨パッドと相互作用することになるウェハ上に存在する材料(例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、シリコン酸化物、シリコン窒化物等の誘電材料、等々)に応じて大きく変動しうる。
【0005】
CMP処理の後には、種々の夾雑物が研磨されたウェハの表面上に存在しうる。夾雑物は、例えば、CMPスラリーからの粒子状研磨剤、パッド若しくはスラリー成分からの有機残渣、及びCMPプロセスの間にウェハから除去された材料を含みうる。研磨されたウェハの表面上に残された場合、これらの夾雑物は、さらなるウェハプロセシングステップの際に欠陥につながり得、及び/又は低下したデバイス性能につながりうる。図1は、CMP研磨後の4つの異なる欠陥態様のタイプ、つまり、スクラッチ、残留研磨剤、球塊(blob)状の有機粒子、及び塵(dust)状の有機粒子、を示す。
【0006】
したがって、ウェハがさらなるプロセシングを予測可能な形で進み、及び/又は最適のデバイス性能を達成しうるように、前記夾雑物は効率的に除去される必要がある。CMP後に、ウェハ表面のこれら研磨後夾雑物又は研磨後残渣を除去するプロセスは、CMP後洗浄と呼ばれる。このCMP後洗浄プロセスに用いられる調合物はCMP後(P-CMP)洗浄溶液又はCMP後(P-CMP)洗浄組成物と呼ばれる。これらのP-CMP洗浄溶液/調合物は、CMPステップ後にウェハ表面に残留している欠陥を可溶化し、それによりこれらの欠陥を除去してウェハ表面を清浄にすることを意図されている。そのことは、ウェハがさらなるプロセシングを受けた後でデバイス性能及びチップ収率が満足いくものであることを保証する。
【0007】
CMP後洗浄プロセスは、CMP研磨ツール上のアタッチメント/モジュールとしての(機械的作用のためのブラシを含む)ブラシボックス又はメガソニック(機械作用のための先進の超音波/超音波処理)で行うことができる。P-CMP洗浄プロセスを始めるには、ブラシボックス又はメガソニックにP-CMP洗浄組成物を満たす(flooded)。その後、CMP研磨プロセスが完了した後に、CMP研磨されたウェハを、CMP研磨ツール中の、P-CMP洗浄組成物を含むブラシボックス及び/又はメガソニックに通す。最良のケースシナリオでは、ウェハは、CMP後洗浄組成物による化学作用及びブラシ及び/又は超音波処理による磨き洗い(scrubbing)機械作用に供された後に、非常に低い欠陥状態を有し、かつ乾燥及び洗浄されたものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体チップ製造においては、ウェハ表面上の欠陥状態(defectivity)は、ウェハの収率の鍵となる。典型的なウェハは、チップが作製され、個々のダイがウェハから切り取られる前に、約1000のプロセスを通過する。これらのプロセスのそれぞれにおいて、欠陥状態はプロセス前及びプロセス後に監視される。CMPはチップ製造における重要なステップである。しかし、CMPステップは、研磨ステップ後に多くの欠陥を取り込んでしまう(図1、及び図2のpreのイメージを参照のこと)。したがって、CMP研磨ステップ後には、典型的には、欠陥を減少させるためにCMP後(P-CMP)洗浄組成物がウェハ表面に適用される(図2の処理後イメージを参照のこと)。本開示は、ウェハ欠陥を減少させるだけでなく、チップ製造のために極めて重要な種々の他の好ましい電気化学的特性を与える、新規のP-CMP洗浄組成物を一つの特色とする。例えば、これらのP-CMP洗浄組成物は欠陥状態を減少させる(それにより収率を増加させる)だけでなく、パターン形成されたウェハ上で金属と金属酸化物及び金属窒化物とかが互いに接触したときにガルバニック腐食(あるいはその他の形態の腐食)が無いことを保証もする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、半導体基板を洗浄するのに用いることができる洗浄組成物に関する。例えば、これらの洗浄組成物は、CMP等の、これらの半導体基板上における先の処理ステップで生じた欠陥を除去するのに用いることができる。特には、これらの洗浄組成物は半導体基板から欠陥/夾雑物を除去することができ、それにより基板をさらなる処理に対して適切なものとすることができる。本開示に記載される洗浄組成物は、一般に、有機酸及びアニオン性ポリマーを含み、0.1~7の範囲のpHを有する。
【0010】
一つの態様では、本開示は、少なくとも1種の第1の有機酸;該少なくとも1種の第1の有機酸とは異なる少なくとも1種の第2の有機酸であって、ジエン酸を含む前記少なくとも1種の第2の有機酸;少なくとも1種のアニオン性ポリマー;及び水を含む洗浄組成物であって、約0.1~約7のpHを有する前記組成物を1つの特色とする。
【0011】
別のある態様では、本開示は、少なくとも1種の有機酸;ポリ(4-スチレニルスルホン)酸(PSSA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体、ポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体を含むアニオン性ポリマー;及び水を含む洗浄組成物であって、約0.1~約7のpHを有する前記組成物を1つの特色とする。
【0012】
別のある態様では、本開示は、SiN、SiC、TiN、W、Ru、Mo、TEOS、Cu、TaN、Co、又はp-Siを含む表面を有するウェハを本開示に記載の洗浄組成物と接触させることを含む、ウェハ表面を洗浄する方法を1つの特色とする。
【0013】
別のある態様では、本開示は、基板を本開示に記載の洗浄組成物と接触させることを含む、基板を洗浄する方法を1つの特色とする。
【0014】
この概要記載は、以下で詳細な説明においてさらに説明される概念のうちの選抜されたものを紹介するために提供される。この概要記載は、特許請求の範囲に記載の主題の鍵となる又は必須の特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載の主題の範囲を限定する助けとして用いられることを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1:CMP後洗浄剤によるCMP後の洗浄前及び洗浄後に遭遇する種々のタイプの欠陥状態(defectivity)の例。示されたこの4つの欠陥状態態様(スクラッチ、残留研磨物、及び有機粒子(球塊(blob)及び塵(dust))が主に、ウェハ上で見られる総体的総欠陥数(TDC)に寄与する。欠陥画像は、Applied Materials SEMVision G5走査型電子顕微鏡ツールで収集した。
図2】KLA社のAIT XUVツールで収集した、シリコン窒化物ウェハ上の総欠陥数(TDC)。第1行及び第2行は、CMP後であってP-CMP洗浄組成物による処理の前の2つのウェハ(つまり、ウェハ1及びウェハ2)上のTDCを示す(pre画像とも称される)。第3行及び第4行は、P-CMP洗浄組成物による処理の後でのこれら2つのウェハ上でのTDCを示す(post画像とも称される)。TDC数は、各ウェハの脇に示されている。比較例(第1列)は、業界標準の富士フイルム和光純薬P-CMPクリーナーCLEAN-100であった。第2、第3、及び第4列は、本開示からのP-CMP洗浄組成物であるクリーナーA、B、及びCを示す。ウェハマップに見られるように、比較例は欠陥状態におけるおおよそ40%の向上を与えただけであるが、一方、本発明のクリーナーA~Cは約90%~約98%の欠陥減少を与えた。
図3】KLA社のAIT XUVツールで収集した、クリーナーCによるCMP後洗浄前(PRE TDC)及びCMP後洗浄後(PST TDC)のタングステン(W)ウェハ上及び窒化チタン(TiN)ウェハ上での総欠陥数(TDC)。
図4】KLA社のAIT XUVツールで収集した、種々の非金属/シリコン系誘電体膜上の総欠陥数(TDC)。クリーナーCによるCMP後洗浄前(PRE TDC)及びCMP後洗浄後(PST TDC)のTDCを示す。示された膜は、(左から右へと)i)TEOS(シリコン酸化物の一形態)、ii)LK(Low k誘電体)、iii)ULK(Ultra low k誘電体)、iv)HARP(シリコン酸化物の別の一形態)、v)SiN(シリコン窒化物)、及びvi)SiC(シリコン炭化物)である。
図5】KLA社のAIT XUVツールで収集した、複数の金属及び非金属膜を含むパターン形成されたウェハ上での総欠陥数(TDC)。クリーナーCによるCMP後洗浄後(PST TDC)のTDCを示す。複数のチップを含むパターン形成されたウェハは、180nm超のサイズを有する欠陥について約150のPST-TDCを有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示に開示される実施形態は、一般に、洗浄組成物、及び該組成物を基板(例えば、ウェハ等の半導体基板)の洗浄に用いる方法に関する。特には、前記洗浄組成物は、CMPプロセス後に基板を洗浄するために用いることができる。しかし、本開示に記載の洗浄組成物は、エッチングプロセス後に、アッシングプロセス後に、又はめっきプロセス後に、基板表面から残渣及び/又は夾雑物を除去することもその用途としうる。
【0017】
本開示での定義においては、残渣及び/又は夾雑物は、洗浄の対象の基板を研磨するために用いられたCMP研磨組成物中に存在する成分(例えば、研磨剤、分子状成分、ポリマー、酸、塩基、塩、界面活性剤、等々)、基板と研磨組成物との化学反応及び/又は研磨組成物の成分同士での化学反応の結果CMPプロセスの間に生成した化合物、研磨パッドポリマー粒子、研磨副生物、(CMPスラリー若しくはCMPパッドからの)有機又は無機の残渣、CMPプロセスの間に遊離した基板(若しくはウェハ)粒子、並びに/又は、CMPプロセス後に基板上に堆積することが知られている他の任意の除去可能材料、を含みうる。
【0018】
1つ又は複数の実施形態においては、本開示に記載の洗浄組成物は、(1)少なくとも1種の第1の有機酸、(2)前記少なくとも1種の第1の有機酸とは異なる少なくとも1種の第2の有機酸であって、ジエン酸を含む第2の有機酸、及び(3)少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含む。1つ又は複数の実施形態においては、本開示の洗浄組成物は、約0.00001重量%~約50重量%(例えば、約0.01重量%~約5重量%)の前記少なくとも1種の第1の有機酸、約0.0001重量%~約0.5重量%(例えば、約0.01重量%~約0.1重量%)の前記少なくとも1種の第2の有機酸、約0.00001重量%~約50重量%(例えば、約0.005重量%~約10重量%)の前記少なくとも1種のアニオン性ポリマー、及び残りの重量%(例えば、約60重量%~約99.99重量%)を占める溶媒(例えば、脱イオン水)を含んでもよい。
【0019】
1つ又は複数の実施形態においては、本開示は、使用時用(point-of-use)(POU)洗浄組成物を得るために水で20倍まで、50倍まで、100倍まで、200倍まで、400倍まで、800倍まで、又は1000倍まで希釈され得る、濃縮P-CMP洗浄組成物を提供する。好ましい実施形態では、前記POU洗浄組成物は、200倍希釈される。他の実施形態では、本開示は、基板表面を洗浄するために直接用いることができる使用時用(point-of-use)(POU)洗浄組成物を提供する。
【0020】
1つ又は複数の実施形態においては、POU洗浄組成物は、約0.00001重量%~約5重量%の少なくとも1種の第1の有機酸(例えばポリカルボン酸)、約0.0001重量%~約0.1重量%の少なくとも1種の第2の有機酸(例えばジエン酸)、及び約0.00001重量%~約5重量%の少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含んでもよい。別のある実施形態ではPOU洗浄組成物は、約0.00001重量%~約5重量%の少なくとも1種の第1の有機酸(例えばポリカルボン酸)、約0.0001重量%~約0.1重量%の少なくとも1種の第2の有機酸(例えばジエン酸)、約0.00001重量%~約5重量%の、前記第1の有機酸及び前記第2の有機酸とは異なる少なくとも1種の第3の有機酸(例えばアミノ酸)、並びに約0.00001重量%~約5重量%の少なくとも1種のアニオン性ポリマー、を含んでもよい。
【0021】
1つ又は複数の実施形態では、濃縮P-CMP洗浄組成物は、約0.01重量%~約30重量%の少なくとも1種の第1の有機酸(例えばポリカルボン酸)、約0.01重量%~約0.5重量%の少なくとも1種の第2の有機酸(例えば、ジエン酸)、及び約0.005重量%~約15重量%の少なくとも1種のアニオン性ポリマー、を含んでもよい。別のある実施形態では、濃縮P-CMP洗浄組成物は、約0.01重量%~約30重量%の少なくとも1種の第1の有機酸(例えばポリカルボン酸)、約0.01重量%~約0.5重量%の少なくとも1種の第2の有機酸(例えばジエン酸)、約0.01重量%~約5重量%の、前記第1の有機酸及び前記第2の有機酸とは異なる少なくとも1種の第3の有機酸(例えばアミノ酸)、並びに約0.005重量%~約15重量%の少なくとも1種のアニオン性ポリマー、を含んでもよい。
【0022】
1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)有機酸を含んでもよい。本開示において、用語「酸」は、酸、及びその塩(例えば、そのカリウム塩又はナトリウム塩)を包含する。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の有機酸は、カルボン酸(例えば、モノカルボン酸、ポリカルボン酸、及びジエン酸)、アミノ酸、スルホン酸、リン酸、アクリル酸、及びホスホン酸、又はそれらの塩からなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の有機酸は、ギ酸、グルコン酸、酢酸、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、乳酸、シュウ酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、アミノ酢酸、過酢酸、酢酸カリウム、フェノキシ酢酸、グリシン、ビシン、ジグリコール酸、グリセリン酸、トリシン、アラニン、ヒスチジン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アルギニン、リシン、チロシン、安息香酸、2,4-ペンタジエン酸、5-フェニルペンタ-2,4-ジエン酸、2-ヒドロキシペンタ-2,4-ジエン酸、2,4-ヘキサジエン酸(ソルビン酸)、4,5-ヘキサジエン酸、4,6-ヘプタジエン酸、2,6-ジメチルヘプタ-2,5-ジエン酸、(3E,5E)-ヘプタ-3,5-ジエン酸、(2E,5Z)-ヘプタ-2,5-ジエン酸、オクタ-3,5-ジエン酸、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸、5,7-ノナジエン酸、(E,Z)-2,4-デカジエン酸、2,5-デカジエン酸、ウンデカジエン酸、ドデカジエン酸、トリデカジエン酸、テトラデカジエン酸、ペンタデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、ヘプタデカジエン酸、(9Z,12E)-オクタデカ-9,12-ジエン酸、オクタデカ-10,12-ジエン酸、(10E,15Z)-9,12,13-トリヒドロキシオクタデカ-10,15-ジエン酸、13(S)-ヒドロキシオクタデカ-9Z,11E-ジエン酸、ノナデカジエン酸、ヘニコサジエン酸、ドコサジエン酸、エイコサ-11,14-ジエン酸、又はそれらの混合物、それらの塩、並びにそれらの混合物、からなる群から選択される酸又はその塩であってもよい。
【0023】
1つ又は複数の実施形態では、前記少なくとも1種の有機酸は、洗浄組成物に対して約0.00001%~約50重量%の量で組成物中に含まれる。例えば、前記少なくとも1種の有機酸は、本開示に記載の洗浄組成物に対して約0.00001重量%以上(例えば、約0.00005重量%以上、約0.0001重量%以上、約0.0005重量%以上、約0.001重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、又は約1重量%以上)~約50重量%以下(例えば、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、又は約1重量%以下)であってもよい。
【0024】
1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、少なくとも1種の第1の有機酸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の第1の有機酸は、カルボン酸(例えば、モノカルボン酸及びポリカルボン酸(例えば、ビカルボン酸及びトリカルボン酸))、スルホン酸、リン酸、アクリル酸、過酸、及びホスホン酸からなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の第1の有機酸は、ギ酸、グルコン酸、酢酸、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、乳酸、シュウ酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、過酢酸、フェノキシ酢酸、安息香酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される酸であってもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の第1の有機酸はトリカルボン酸(例えば、クエン酸)であってもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の第1の有機酸は、アミノ酸又はジエン酸を含まない。
【0025】
1つ又は複数の実施形態では、前記少なくとも1種の第1の有機酸は、本開示に記載の洗浄組成物に対して、約0.00001重量%以上(例えば、約0.00005重量%以上、約0.0001重量%以上、約0.0005重量%以上、約0.001重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、又は約1重量%以上)~約50重量%以下(例えば、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約8重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下)であってもよい。
【0026】
1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、前記少なくとも1種の第1の有機酸とは異なる、少なくとも1種の第2の有機酸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の第2の有機酸はジエン酸(つまり、ジエンを含む酸)であってもよい。いくつかの実施形態では、前記ジエン酸は、5個~22個の炭素(例えば、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、又は22個)の炭素を有してもよい。いくつかの実施形態では、前記ジエン酸は、5個~12個(例えば、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、又は12個)の炭素を有してもよい。いくつかの実施形態では、前記ジエン酸は、ジエンを含むカルボン酸、例えば、2,4-ペンタジエン酸、5-フェニルペンタ-2,4-ジエン酸、2-ヒドロキシペンタ-2,4-ジエン酸、2,4-ヘキサジエン酸(ソルビン酸)、4,5-ヘキサジエン酸、4,6-ヘプタジエン酸、2,6-ジメチルヘプタ-2,5-ジエン酸、(3E,5E)-ヘプタ-3,5-ジエン酸、(2E,5Z)-ヘプタ-2,5-ジエン酸、オクタ-3,5-ジエン酸、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸、5,7-ノナジエン酸、(E,Z)-2,4-デカジエン酸、2,5-デカジエン酸、ウンデカジエン酸、ドデカジエン酸、トリデカジエン酸、テトラデカジエン酸、ペンタデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、ヘプタデカジエン酸、(9Z,12E)-オクタデカ-9,12-ジエン酸、オクタデカ-10,12-ジエン酸、(10E,15Z)-9,12,13-トリヒドロキシオクタデカ-10,15-ジエン酸、13(S)-ヒドロキシオクタデカ-9Z,11E-ジエン酸、ノナデカジエン酸、ヘニコサジエン酸、ドコサジエン酸、エイコサ-11,14-ジエン酸、又はそれらの混合物であってもよい。
【0027】
1つ又は複数の実施形態では、前記少なくとも1種の第2の有機酸は、本開示に記載の洗浄組成物に対して、約0.0001重量%以上(例えば、約0.0005重量%以上、約0.001重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、又は約0.05重量%以上)~約0.5重量%以下(例えば、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.08重量%以下、約0.06重量%以下、約0.05重量%以下、約0.04重量%以下、約0.03重量%以下、約0.02重量%以下、約0.01重量%以下、又は約0.005重量%以下)であってもよい。
【0028】
理論に拘束されることを望むものではないが、前記の量範囲で第2の有機酸(例えばジエン酸)を含むことは、CMP後の洗浄プロセスの際における基板上の特定の金属及び金属含有膜(例えば、W、Cu、TaN、又はTiN)の防食を向上することができると考えられる。後述の実施例に示されるように、ジエン酸(例えばソルビン酸)を含むいくつかの実施形態についての電気化学的試験は、ジエン酸を含まないP-CMP組成物よりも良好な金属(例えばW)腐食保護を示した。
【0029】
1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、前記少なくとも1種の第1の有機酸及び第2の有機酸とは異なる、少なくとも1種の第3の有機酸を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の第3の有機酸は、アミノ酸(例えば、天然アミノ酸又は非天然アミノ酸)であってもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の第3の有機酸は、アミノカルボン酸 (例えば、アミノ酢酸)、グリシン、ビシン、トリシン、アラニン、ヒスチジン、バリン、フェニルアラニン,プロリン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リシン、チロシン、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0030】
1つ又は複数の実施形態では、前記少なくとも1種の第3の有機酸は、本開示に記載の洗浄組成物に対して、約0.001重量%以上(例えば、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、又は約1重量%以上)~約20重量%以下(例えば、約18重量%以下、約16重量%以下、約15重量%以下、約14重量%以下、約12重量%以下、約10重量%以下、約8重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又は約0.5重量%以下)であってもよい。
【0031】
1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、2種の有機酸、例えば、(1)クエン酸とヒスチジン、又は(2)クエン酸とグリシン、を含む。いくつかの実施形態では、前記洗浄組成物は、3種の有機酸、例えば(1)クエン酸と、ヒスチジンと、ソルビン酸、又は(2)クエン酸と、ヒスチジンと、グリシン、を含む。いくつかの実施形態では、前記洗浄組成物は、4種の有機酸、(例えば、クエン酸と、ヒスチジンと、ソルビン酸と、グリシン)を含む。
【0032】
1つ又は複数の実施形態では、前記洗浄組成物は、少なくとも2種又は少なくとも3種の有機酸(例えば、カルボン酸、アミノ酸、及び/又はジエン酸)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前記第1の有機酸(例えば、カルボン酸)は、本開示に記載の洗浄組成物に対して約0.0005重量%~約10重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、前記第2の有機酸(例えば、ジエン酸)は、本開示に記載の洗浄組成物に対して約0.0005重量%~約0.5重量%の量で存在する。さらに他のいくつかの実施形態では、前記第3の有機酸(例えば、アミノ酸)は、本開示に記載の洗浄組成物に対して約0.005~約5重量%の量で存在する。
【0033】
1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種の又は3種の)アニオン性ポリマーを含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、1つ又は複数のアニオン性基を含んでもよく、その例としてはカルボキシレート基、サルフェート基、及びホスフェート基が挙げられる。1つ又は複数の実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、アクリル酸、ビニルホスホン酸、ビニルリン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド、アクリルアミドプロピルスルホン酸、及び亜ホスフィン酸ナトリウム(sodium phosphinite)からなる群から選択される1種又は複数種のモノマーから形成される。よる具体的な実施形態においては、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、ポリ(4-スチレニルスルホン)酸(PSSA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)、ポリエチレンイミン(PEI)、アニオン性ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アニオン性ポリアクリルアミド(PAM)、ポリアスパラギン酸(PASA)、アニオン性ポリ(エチレンスクシナート)(PES)、アニオン性ポリブチレンスクシナート(PBS)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、2-メチル-2-((1-オキソ-2-プロペニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸一ナトリウム塩及び亜ホスフィン酸ナトリウムとの2-プロペン酸共重合体、2-メチル-2-((1-オキソ-2-プロペニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸一ナトリウム塩及び亜硫酸水素ナトリウムナトリウム塩との2-プロペン酸共重合体、並びに2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体、ポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体、並びにそれらの混合物、からなる群から選択されてもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、前記アニオン性ポリマーは、疎水性の研磨材料及び/ウェハ表面上の欠陥を可溶化することができ、CMP後洗浄プロセスの際におけるその除去を促進すると考えられる。
【0034】
1つ又は複数の実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、約250g/mol以上(例えば、約500g/mol以上、約1000g/mol以上、約2,000g/mol以上、約5,000g/mol以上、約50,000g/mol以上、約100,000g/mol以上、約200,000g/mol以上、又は約250,000g/mol以上)~約500,000g/mol以下(例えば、約400,000g/mol以下、約300,000g/mol以下、約200,000g/mol以下、約100,000g/mol以下、又は約50,000g/mol以下、又は約10,000g/mol以下)の範囲の重量平均分子量を有していてもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、約1000g/mol以上~約10,000g/mol以下の範囲の重量平均分子量を有していてもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、約2000g/mol以上~約6,000g/mol以下の範囲の重量平均分子量を有していてもよい。さらにいくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、約5,000g/molの重量平均分子量を有してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、ポリ(ビニルホスホン酸),2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体,又はポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体等の1種のアニオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、(1)ポリ(4-スチレニルスルホン)酸及びポリ(アクリル)酸、又は(2)2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体及びポリ(アクリル)酸等の2種のアニオン性ポリマーを含む。
【0036】
1つ又は複数の実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、洗浄組成物に対して約0.00001%~約50重量%の量で組成物中に含まれる。例えば、前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーは、本開示に記載の洗浄組成物に対して、約0.00001重量%以上(例えば、約0.00005重量%以上、約0.0001重量%以上、約0.0005重量%以上、約0.001重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、又は約1重量%以上)~約50重量%以下(例えば、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、又は約1重量%以下)であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記洗浄組成物は、2種以上の又は3種以上のアニオン性ポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記第1のアニオン性ポリマーは本開示に記載の洗浄組成物に対して約0.0005重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、前記第2のアニオン性ポリマーは本開示に記載の洗浄組成物に対して約0.0005重量%~約30重量%の量で存在する。さらに他のいくつかの実施形態では、前記第3のアニオン性ポリマーは、本開示に記載の洗浄組成物に対して約0.0005重量%~約10重量%の量で存在する。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記洗浄組成物のpH値は、約7以下(例えば、約6.5以下、約6以下、約5.5以下、約5以下、約4.5以下、約4以下、約3.5以下、約3以下、約2.5以下、又は約2以下)~約0.1以上(例えば、約0.2以上、約0.5以上、約1以上、約2以上、約2.5以上、約3以上、又は約3.5以上)の範囲であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、本開示に記載の洗浄組成物が上記範囲の酸性pHを有している場合、洗浄組成物は、基板のCMP研磨から生成した有機残渣を可溶化するのに十分なプロトンを供給でき、そして不活性金属(例えば、W、Cu)を含む研磨副生物を可溶化するのに十分な洗浄作用を提供することができると考えられる。
【0039】
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示に記載の洗浄組成物は、半導体産業で現在用いられている従来のクリーナー(例えば、CLEAN-100)よりもはるかに少ない濃度/量の単一の化学材料又は全体としての化学材料群を含むことができながらも、依然としてより良い性能(例えば、より良い洗浄効率及び/又は基板上の露出した材料のより低い腐食)を達成することができると考えられる。例えば、本開示に記載の洗浄組成物は、従来のクリーナー(例えば、CLEAN-100)における同じ化学材料(例えば、有機酸若しくはアニオン性ポリマー)に対して、又は化学材料群の総量に対してたった約5~20重量%(例えば、約5~15重量%)である化学材料を、又は化学材料群の総量を、含むことができる。この結果、本開示に記載の洗浄組成物は、従来のクリーナー(例えば、CLEAN-100)と比べた場合に、よりコスト効率が高くまた環境に優しく、そしてはるかに良好な使用現場での総体的所有コストを与える(なぜなら前記洗浄組成物が高度に希釈可能(例えば200×まで)であるため)と考えられる。
【0040】
1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、有機溶媒、pH調整剤、4級アンモニウム化合物(例えば、塩若しくは水酸化物)、アルカリ塩基(例えばアルカリ水酸化物)、フッ素含有化合物、シラン(例えば、アルコキシシラン)、窒素含有化合物(例えば、アミノ酸、アミン、若しくはイミン、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)等のアミジン)、ポリオール、塩(例えば、ハロゲン化物塩若しくは金属塩)、ポリマー(例えば、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、若しくは水溶性ポリマー)、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、若しくは硝酸)、界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非ポリマー性界面活性剤、若しくはノニオン性界面活性剤)、可塑剤、酸化剤(例えば、H)、防食剤(例えば、アゾール防食剤若しくは非アゾール防食剤)、電解質(例えば高分子電解質)、及び/又は研磨剤(例えば、シリカ/セリア研磨剤、ノニオン性研磨剤、表面修飾研磨剤、若しくは負帯電/正帯電研磨剤)等の、1種又は複数種の特定の成分を実質的に非含有であってもよい。前記洗浄組成物から排除してもよいハロゲン化物塩としては、アルカリ金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化ナトリウム若しくはハロゲン化カリウム)又はハロゲン化アンモニウム(例えば塩化アンモニウム)が挙げられ、塩化物、臭化物、又はヨウ化物であってもよい。本開示においては、洗浄組成物において「実質的に非含有」の成分とは、前記洗浄組成物に意図的には添加されていない成分を指す。いくつかの実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、洗浄組成物において上記成分のうち実質的に非含有である1種又は複数種を、約1000ppm以下(例えば、約500ppm以下、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下、又は約1ppm以下)有していてもよい。いくつかの実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、上記成分のうちの1種又は複数種について完全に非含有であってもよい。
【0041】
1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は殺生物剤を含んでもよい。例示的な殺生物剤としては、イソチアゾリノン(例えばベンゾイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、及びメチルクロロイソチアゾリノン)、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、過酸化水素、並びにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、前記殺生物剤は、本開示に記載の洗浄組成物に対して約1000ppm以下(例えば、約500ppm以下、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、又は約10ppm以下)~約1ppm以上の量で存在してもよい。
【0042】
CMP後洗浄操作に適用される場合、本開示に記載の洗浄組成物は通常、CMP処理ステップ後に基板表面に存在する夾雑物を除去するために用いることができる。1つ又は複数の実施形態では、欠陥状態を生じさせる夾雑物は、研磨剤、粒子、有機残渣、研磨副生物、スラリー副生物、スラリー誘導有機残渣、無機研磨基板残渣、パッドデブリ、及びポリウレタン残渣、等々からなる群から選択されてもよい。1つ又は複数の実施形態では、本開示の洗浄組成物は、水に不要であってそのためにCMP研磨ステップ後にウェハ表面に残る有機粒子からなる有機残渣を除去するために用いられてもよい。別の実施形態では、本開示の洗浄組成物は、研磨剤残渣/粒子、及び/又は研磨副生物を除去して、CMP研磨ステップ後のウェハ表面に欠陥状態を生じるスクラッチを減少させるために用いられてもよい。
【0043】
理論に拘束されることを望むものではないが、研磨後に基板表面に堆積し、不溶であるがゆえにウェハ表面に夾雑物として残留する研磨組成物成分から有機粒子が形成されると考えられる。これらの夾雑物の存在は、ウェハ表面上における欠陥カウントを生じる。これらの欠陥カウントは、欠陥測定ツール(例えば、KLA社から入手可能なAIT-XUVツール)によって分析した場合、個々の欠陥カウントの全ての合計である総欠陥カウント(TDC)を与える(図2を参照せよ)。1つ又は複数の実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物は、研磨/CMPプロセス後に基板表面に残る総欠陥カウント(TDC)の約30%以上 (例えば、約50%以上、約75%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.9%以上)~約100%以下を除去する。CMP後洗浄組成物によるウェハ表面からのTDC除去は、洗浄組成物の洗浄効率と呼ばれ、パーセントで表される。パーセントが高いほど、洗浄効率はより良好であり、洗浄組成物はより高能力/強力/有効である。
【0044】
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の洗浄組成物の成分には驚くべきものでありかつ予測不能な相乗作用が存在すると考えられる。例えば、前記有機酸はスクラッチを減少させ、スクラッチ形成を引き起こしうる金属酸化物及びシリカ含有残渣(例えば、ウェハ上の研磨剤残渣)を可溶化させ、前記アミノ酸は金属(例えばタングステン)のための防食剤として働き、そして前記アニオン性ポリマーはCMPプロセス後に基板表面に残された疎水性有機残渣のための優れた可溶化剤である。さらに、有機トリカルボン酸(例えばクエン酸)とジエン酸(例えばソルビン酸)との組み合わせは、任意に(optionally)アミノ酸(例えばヒスチジン又はグリシン)及びアニオン性ポリマーと共に、CMP後に洗浄された基板の収率を向上させるための鍵である金属ガルバニック腐食の顕著な減少を示すと考えられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示は、基板(例えばウェハ)を洗浄する方法を1つの特色とする。この方法は、基板を本開示の洗浄組成物と接触させることを含むことができる。CMP後洗浄用途においては、前記洗浄組成物は、洗浄の対象となる基板に任意の適切なやり方で適用することができる。例えば、前記洗浄組成物は、広範な従来の洗浄ツール及び技術(例えば、ブラシ磨き(brush scrubbing)、スピンリンス乾燥、等々)と共に用いることができる。1つ又は複数の実施形態では、CMP研磨ステップ後に、本開示に記載の洗浄組成物はApplied Materials Reflexion 300mm CMP研磨ツールのメガソニッククリーナーモジュール又はブラシボックス1若しくはブラシボックス2において用いてもよい。前記ブラシボックスは、磨き(scrubbing)作用のためのブラシを有しており、一方で前記洗浄組成物は欠陥を除去する化学的作用を提供する。前記洗浄組成物は、前記ブラシボックス又は前記メガソニック中のウェハ表面上に、20℃~60℃の範囲の温度で、約5秒~約10分(例えば約15秒~5分)の範囲の時間にわたり適用してもよい。
【0046】
前記ブラシボックス及び/又はメガソニッククリーナーに加えて、本開示に記載の洗浄組成物は、研磨パッド上に前記洗浄組成物が存在する状態でソフトパッド上のウェハをバフ研磨することにより欠陥状態を除去するために、Reflexion研磨機上のウェハのプラテン上でのバフ研磨のための研磨剤非含有バフ研磨化学材料として用いられてもよい。他の実施形態では、前記洗浄組成物はバフ研磨ステーション内において、4プラテンのApplied Materials Reflexion Prime 300 mmCMP研磨ツールのバフ研磨ステーションモジュール内のソフトポロメリックパッド上でバフ研磨をするために用いられてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、洗浄される基板は、洗浄プロセスの際に前記洗浄組成物に曝されうるウェハ表面上に、low-k誘電体(例えば、k<3.5の多孔性シリコン酸化物)、ultralow-k誘電体(例えば、k<2.5の超多孔質シリコン酸化物)、タングステン、窒化チタン、窒化タンタル、シリコン炭化物、シリコン酸化物(例えばTEOS)、シリコン窒化物、銅、コバルト、モリブデン、ルテニウム、及びポリシリコンからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含んでいてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示に記載の洗浄組成物を用いる前記方法は、前記洗浄組成物で処理された基板から、1つ又は複数のステップを経て、半導体デバイスを製造することをさらに含んでいてもよい。本開示の洗浄組成物で処理された基板から半導体デバイスを製造するために、例えば、フォトリソグラフィー、イオン注入、ドライ/ウェットエッチング、プラズマエッチング、堆積(例えば、PVD、CVD、ALD、ECD)、ウェハマウンティング、ダイ切断、パッケージング、及び試験を用いてもよい。
【0049】
以下では、ほんの数例の例示的実施形態が記載されるが、当業者は、本発明から本質的に逸脱すること無しに、以降の例示的実施形態において多くの改変が可能であることを当業者は容易に理解するであろう。したがって、そのような改変は全て、本願クレームに定義された本開示の範囲に含まれることが意図される。
【実施例
【0050】
本開示のCMP後洗浄組成物及び方法の能力をさらに例示するために実施例が与えられる。与えられた実施例は、本開示の範囲を制限するものと解釈されることを意図したものではなく、またそのような解釈を行うべきでない。列挙されたパーセントは、特に断りの無い限り重量基準(重量%)である。実施例に記載のアニオン性ポリマーは種々のサプライヤーから入手したものであり、いくつかの場合には、炭素鎖長及び分子量において些細な相違がある。本開示に示される実施例は代表的なものであって、本発明の開示の完全な広い範囲を網羅(encompass)することはできない。
【0051】
実施例1:シリコン窒化物ウェハ上における欠陥状態減少及びCMP後洗浄組成物のCMP後洗浄効率の実証
この実施例では、対照/比較CMP後洗浄組成物は、産業での主力製品であり、銅相互接続の洗浄のために10年超にわたり産業での標準的CMP後洗浄組成物として用いられてきた富士フイルム和光純薬CLEAN-100であった。和光純薬CLEAN-100は、クエン酸、非ポリマー性界面活性剤、及び水を含むことが一般に知られている。図2及び表1に示すように、本開示からのp-CMPクリーナーの4つの代表的な例(つまり、クリーナーA、B、C、及びD)をCLEAN-100と比較した。クリーナーAは1種類のアニオン性ポリマー(つまり、ポリ(ビニルホスホン酸))並びに2種類の有機酸(つまり、クエン酸及びグリシン)を含んでいた。クリーナーBは、2種類のアニオン性ポリマー(つまり、ポリ(4-スチレンスルホン)酸及びポリ(アクリル)酸))並びに3種類の有機酸(つまり、クエン酸、ソルビン酸、及びヒスチジン)を含んでいた。クリーナーCは、1種類のアニオン性ポリマー(つまり、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体)並びに3種類の有機酸(つまり、クエン酸、ソルビン酸、及びヒスチジン)を含んでいた。クリーナーDは、1種類のアニオン性ポリマー(つまり、ポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体)並びに1種類の有機酸(つまりクエン酸)を含んでいた。
【0052】
比較例のCLEAN-100は100倍に希釈されて使用時用(point-of-use)(POU)洗浄組成物を得た。一方、本開示の実施例、つまりクリーナーA~D、はそれぞれ200倍に希釈してPOU CMP後洗浄組成物を得た。
【0053】
CMP後洗浄性能試験のために、SiN 12インチウェハ上の生成された欠陥状態(洗浄前TDC)を測定した。その後、Applied Materials Reflexion 研磨機を用いて前記12インチ SiNウェハを研磨した。前記研磨機(PVAブラシを含む)のブラシボックスに、P-CMP洗浄組成物を(CLEAN-100又はクリーナーA~Dを;異なるSiNブランケットウェハ上で別個の独立したCMP研磨ランにおいて)満たした。CMP研磨後に、SiNウェハをP-CMP洗浄組成物を含む前記ブラシボックスを通して移動させた。化学的作用及び機械的作用の組み合わせによって洗浄された後に、SiNウェハは乾燥状態で排出され(dry-in及びdry-outツール)、洗浄後欠陥状態(洗浄後TDC)をKLA社によるAITツールで測定した。洗浄前TDC及び洗浄後TDCを後述の表1にまとめ、また図2に示す。具体的には、図2は、シリコン窒化物(SiN)ウェハ上に対してCLEAN-100及びクリーナーA~Cを用いた洗浄の前(pre-)及び後(post-)の総欠陥カウント(TDC)ウェハマップを表示する。表1は、CLEAN-100及びクリーナーA~Dの結果をまとめ、また定量化する。
【0054】
表1に見られるように、比較例であるCLEAN-100はSiNブランケット膜上で40%の洗浄効率を示した。言い換えれば、SiNウェハ上のTDCは、CMP後洗浄組成物としてCLEAN-100を用いた後では40%減少した。典型的には、良好なCMP後洗浄組成物のためには、洗浄効率は>60%であるべきである。驚くべきことに、本開示のP-CMP洗浄組成物は、SiNウェハ表面を洗浄する上で特に有効であった。表1に見られるように、クリーナーA~Dの洗浄効率は、それぞれ、89%、97%、98%、及び92%であった。洗浄効率は以下の式により計算された。
洗浄効率=[(洗浄前TDC-洗浄後TDC)/洗浄前TDC]×100
【0055】
表1.SiNブランクウェハの欠陥状態並びに洗浄前及び洗浄後における総欠陥カウント(TDC)
【表1】
【0056】
クリーナーCが最も有効なCMP後洗浄組成物であったため、他の実施例において、Cu&TaNの組(実施例2)、W&TiNの組(実施例3)、並びにシリコン酸化物(TEOS&HARP)、シリコン窒化物、及びシリコン炭化物等の非金属(実施例4)といった他の膜上においてクリーナーCをさらに試験した。クリーナーCは、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体(アニオン性ポリマー)、クエン酸(第1の有機酸)、ソルビン酸(第2の有機酸、ジエン酸)、及びヒスチジン(第3の有機酸、アミノ酸)を含んでいた。前記アニオン性ポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸とアクリル酸との共重合体であって、本開示では「2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体」と称され、CAS番号40623-75-4を有する。
【0057】
CMP後洗浄プロセスにおける(複数の金属及び非金属膜を含む)パターン形成されたウェハ上でのクリーナーCの性能を実施例5に記載する。実施例2、3、4、及び5については、クリーナーCは200倍に希釈してPOU CMP後洗浄組成物を得た。
【0058】
Cu及びWは半導体プロセシングにおける2つの最も重要な金属であることから、クリーナーCを用いた場合のこれらの金属組については、ウェハマップを欠陥状態について調べただけでなく、電気化学的性質も調べた。クリーナーCは、非金属/シリコン系誘電膜上でも、TDC及びCMP後洗浄効率について調べた(実施例4を参照せよ)。
【0059】
実施例2:Cu&TaN組上での、クリーナーCによるCMP後洗浄性能及び電気化学的性質
この実施例では、本発明に係る組成物であるクリーナーCを、ブランケット銅(Cu)ウェハ及びブランケット窒化タンタル(TaN)ウェハ上で、欠陥状態性能/TDCの減少について、及び電気化学的特性/ガルバニック腐食特性について調べた。Cuは典型的にはバックエンド相互接続構造で見られ、トランジスタの配線を担う。Cuは、Cu配線を通って移動する電子の漏れを防ぐTaNと共に、多層金属付与(multi-level metallization)の状態で存在する。したがって、Cu金属をTaNバリア金属窒化物に囲まれた状態で目にするのは典型的なことである。そのため、CuウェハとTaNウェハの両方を本実施例では試験した。
【0060】
洗浄前及び洗浄後のCuブランケットウェハ上及びTaNブランケットウェハ上での平均TDCをKLA社のAIT XUVツールで測定し、結果を表2にまとめた。表2に示されるように、クリーナーCは驚くべきことに、TaNブランケットウェハに対して高い洗浄効率(つまり、89%)を示した。
【0061】
表2.Cuブランケットウェハ上及びTaNブランケットウェハ上での、クリーナーCの欠陥状態減少性能
【表2】
【0062】
Cuブランケットウェハ及びTaNブランケットウェハ上におけるクリーナーC、ジエン酸を含まない場合のクリーナーC、及び比較のCLEAN-100の電気化学的性質を表3にまとめる。表3に見られるように、ジエン酸を含まない場合のクリーナーC及び(アニオン性ポリマーもアミノ酸もジエン酸も含んでいない)CLEAN-100と比べて、クリーナーCは非常に低い静的エッチング速度(SER)、つまりCu膜上で9.2A/分、及びTaN膜上で0.2A/分を示した。加えて、クリーナーCは、ジエン酸を含まない場合のクリーナーC及びCLEAN-100と比較して、約735mVという、より小さいガルバニック腐食カップリング電流(ΔEcorr.)を示した。これらの結果は、ジエン酸を含まない場合のクリーナーC及びCLEAN-100と比較して、クリーナーCはCMP後洗浄の後において顕著に減少したCu及びTaNの腐食を示したことを示唆している。言い換えると、ジエン酸を含まない場合のクリーナーC及びCLEAN-100と比較して、CMP後クリーナーCは良好な電気化学的特性を示した。理論に拘束されることを望むものではないが、ジエン酸を含まない場合のクリーナーC及びCLEAN-100と比較した場合、クリーナーC中のアミノ酸(ヒスチジン)及びジエン酸(ソルビン酸)(これらは、一緒に、Cu及びTaNの表面保護及びパッシベーションのためのデュアル防食剤として相乗的に作用する)の相乗効果が、クリーナーCの場合のずっと低いSER及び腐食電位を与えたと考えられる。
【0063】
表3.本発明の調合物(クリーナーC)及び比較の調合物(CLEAN-100)についての、銅(Cu)等のバックエンドオブライン(BEOL)金属及び窒化タンタル(TaN)等のライナーの静的エッチング速度(SER)及び電気化学的特性/腐食特性
【表3】
【0064】
実施例3:WとTiNの組に対する、クリーナーCによるCMP後洗浄性能及び電気化学的特性
この実施例では、本発明に係る組成物であるクリーナーCを、タングステン(W)ブランケットウェハ及び窒化チタン(TiN)ブランケットウェハ上で、欠陥状態性能/TDCの減少について、及び電気化学的特性/ガルバニック腐食特性について調べた。Wは典型的には、フロントエンド金属ゲート領域に、及びコンタクト、ビア、及びプラグに存在する。Cuを除けば、Wは半導体における最も広く見られる金属である。Wは典型的には、W金属ゲート、プラグ、コンタクト、又は配線を通って移動する電子の漏れを防ぐTiNバリアと共在(occurs in tandem with)する。したがって、W金属をTiNバリア金属窒化物に囲まれた状態で目にするのは典型的なことである。そのため、WとTiNの両方を本実施例では試験した。
【0065】
表4:Wブランケットウェハ及びTiNブランケットウェハ上における、クリーナーCの欠陥状態減少性能
【表4】
【0066】
洗浄前及び洗浄後のWブランケットウェハ及びTiNブランケットウェハ上の平均TDCを表4にまとめ、図3に示した。表4に示すように、W膜に対するクリーナーCのCMP後洗浄性能は93%と高かったことから、クリーナーCはWウェハの洗浄に驚くほど効果的であった。
【0067】
Wブランケットウェハ及びTiNブランケットウェハ上におけるクリーナーC、ジエン酸(ソルビン酸)を含まない場合のクリーナーC、及び比較のCLEAN-100の電気化学的性質を表5にまとめる。表5には2つの組成物であるクリーナーE及びFも含まれるが、これらは、クリーナーCで用いられたヒスチジンが等量のグリシン及びアスパラギン酸にそれぞれ置き換えられたこと以外はクリーナーCと同じである。表5に見られるように、試験された洗浄組成物のうちでも、クリーナーCは比較的低い静的エッチング速度(SER)、つまり1.48A/分をW膜上で、0.068A/分をTiN膜上で示した。加えて、クリーナーCは、約119mVという最小のガルバニック腐食カップリング電流電圧(ΔEcorr.)、及び(アニオン性ポリマーもアミノ酸もジエン酸も含んでいない)CLEAN-100若しくはジエン酸を含まない場合のクリーナーCと比べてより低いSERを示したが、このことは、CLEAN-100若しくはジエン酸を含まない場合のクリーナーCと比べた場合に、クリーナーCを用いたCMP後洗浄の後では実質的により少ないW及びTiNの腐食が存在することを示している。理論に拘束されることを望むものではないが、クリーナーCにおいて存在する第1の有機酸(カルボン酸)、第2の有機酸(ジエン酸)、及び第3の有機酸(アミノ酸)の相乗的組み合わせは、SERを顕著に低下させ、金属防食を向上させることができると考えられる。結論として、クリーナーCがより低いガルバニック腐食及びずっと低いSERを有したことから、(ジエン酸を含む)CMP後クリーナーCは、CLEAN-100と比べて最も良好な電気化学的特性を示した。
【0068】
表5.本発明に係る調合物及び比較調合物(CLEAN-100)についての、タングステン(W)等のフロントエンド(FEOL)金属及び窒化チタン(TiN)等のライナーの静的エッチング速度(SER)及び電気化学的特性/腐食特性
【0069】
【表5】
【0070】
実施例4.クリーナーCによる非金属/シリコン系誘電体上でのCMP後洗浄性能
典型的なパターン形成されたウェハ/デバイスウェハ上で、Cu及びW等の金属は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、及びシリコン炭化物等の非金属/絶縁体と共に存在する。金属/配線は電気/電子を通し、非金属/絶縁体は金属を囲むことで電子の漏れを防ぐ。最も重要な金属は一般的にCu及びWであり、一方、最も重要な絶縁体/誘電体は一般的にシリコン酸化物及びシリコン窒化物である。したがって、洗浄組成物がこれらの絶縁体/非金属上で効果的な洗浄性能を有することが望ましいことになる。なぜなら、それら絶縁体/非金属は、いかなる半導体チップ上でも金属と混じり合っているからである。
【0071】
この実施例では、本発明に係る組成物であるクリーナーCを、シリコン系誘電体膜として一般に見られる種々の非金属上で試験した。具体的には、試験したシリコン系誘電体膜は、i)TEOS(シリコン酸化物の一形態)、ii)LK(low k誘電体;例えば、k<3.5の多孔質シリコン酸化物)、ULK(ultra-low k誘電体;例えば、k<2.5の超多孔質シリコン酸化物)、iv)HARP(シリコン酸化物の別の形態)、v)SiN(シリコン窒化物)、及びvi)SiC(シリコン炭化物)であった。クリーナーCによる洗浄前及び洗浄後の誘電体ブラケットウェハ上の平均TDC及びこれら6つの膜上でのクリーナーCの洗浄効率を表6にまとめた。
【0072】
半導体デバイス用のCu導電体及びW導電体に対する絶縁体として注目される主たるシリコン系誘電体はシリコン酸化物(TEOS及びHARP)並びにシリコン窒化物(SiN)である。表6に見られるように、クリーナーCは驚くべきことに、卓越した洗浄効率を両方のシリコン酸化物上で(TEOSについて99%、HARPについて99.8%)並びにシリコン窒化物上で(91%)示した。
【0073】
表6.非金属/シリコン系ブランケットウェハ上でのクリーナーCの欠陥状態減少性能
【表6】
【0074】
実施例5.クリーナーCによるパターン形成されたデバイスウェハ上でのCMP後洗浄性能
実施例1~4は、CMP後洗浄組成物に曝された材料を1種類しか含まないブランケット膜上でのクリーナーCの性能を示した。しかし、実際のチップ/デバイスは典型的には多くの金属及び非金属の膜種を単一のチップ上に含む。これらの多膜ウェハはパターン形成されたウェハと呼ばれ、これらは、パターン形成されたウェハに対して全ての作製/プロセシングが行われたら、ダイ/個々のチップへと切断される。
【0075】
実施例5では、クリーナーCの性能を、CMPプロセスによって研磨されたパターン形成済ウェハ上で試験した。クリーナーCを用いた洗浄後、総欠陥カウント(TDC)をKLA社のAIT-XUV欠陥状態測定ツールで解析した。使用時用(POU)希釈として200倍希釈したクリーナーCによって洗浄された後のパターン形成済ウェハのTDCマップを図5に示す。図5から分かるように、パターン形成済ウェハは非常に清浄で、非常に低い欠陥状態を有していた。パターン形成済ウェハについてのTDCは、180nm超のサイズを有する欠陥が約150個と低いものであった。これはさらに、本開示の洗浄組成物のパターン形成されたウェハ/デバイスウェハ上での高い欠陥状態洗浄効率を確認するものである。
【0076】
本開示を、本開示に記載の実施例について説明してきたが、添付の特許請求の範囲に規定の本開示の精神及び範囲から逸脱すること無しに、他の改変及びバリエーションが可能であることが理解される。
本開示に係る態様には、以下の態様も含まれる。
<1>
少なくとも1種の第1の有機酸;
前記少なくとも1種の第1の有機酸とは異なる少なくとも1種の第2の有機酸、ここで、前記少なくとも1種の第2の有機酸はジエン酸を含む;
少なくとも1種のアニオン性ポリマー;及び
水;
を含み、
約0.1~約7のpHを有する、洗浄組成物。
<2>
前記少なくとも1種の第1の有機酸がモノカルボン酸又はポリカルボン酸を含む、<1>に記載の組成物。
<3>
前記少なくとも1種の第1の有機酸が、ギ酸、酢酸、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、乳酸、シュウ酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、過酢酸、酢酸カリウム、フェノキシ酢酸、安息香酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、<1>に記載の組成物。
<4>
前記少なくとも1種の第1の有機酸が、酢酸、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸、乳酸、シュウ酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、<1>に記載の洗浄組成物。
<5>
前記少なくとも1種の第1の有機酸が、前記組成物に対して約0.00001重量%~約50重量%の量で存在する、<1>に記載の組成物。
<6>
前記少なくとも1種の第2の有機酸が、5~22個の炭素を有するジエン酸を含む、<1>に記載の組成物。
<7>
前記少なくとも1種の第2の有機酸が、2,4-ペンタジエン酸、5-フェニルペンタ-2,4-ジエン酸、2-ヒドロキシペンタ-2,4-ジエン酸、2,4-ヘキサジエン酸、4,5-ヘキサジエン酸、4,6-ヘプタジエン酸、2,6-ジメチルヘプタ-2,5-ジエン酸、(3E,5E)-ヘプタ-3,5-ジエン酸、(2E,5Z)-ヘプタ-2,5-ジエン酸、オクタ-3,5-ジエン酸、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸、5,7-ノナジエン酸、(E,Z)-2,4-デカジエン酸、2,5-デカジエン酸、ウンデカジエン酸、ドデカジエン酸、トリデカジエン酸、テトラデカジエン酸、ペンタデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、ヘプタデカジエン酸、(9Z,12E)-オクタデカ-9,12-ジエン酸、オクタデカ-10,12-ジエン酸、(10E,15Z)-9,12,13-トリヒドロキシオクタデカ-10,15-ジエン酸、13(S)-ヒドロキシオクタデカ-9Z,11E-ジエン酸、ノナデカジエン酸、ヘニコサジエン酸、ドコサジエン酸、エイコサ-11,14-ジエン酸、又はそれらの混合物を含む、<6>に記載の組成物。
<8>
前記少なくとも1種の第2の有機酸が、前記洗浄組成物に対して約0.0001重量%~約0.5重量%の量で存在する、<1>に記載の組成物。
<9>
前記少なくとも1種の第1の酸及び第2の酸とは異なる少なくとも1種の第3の有機酸であって、アミノ酸を含む第3の有機酸を更に含む、<1>に記載の組成物。
<10>
前記少なくとも1種の第3の有機酸が、アミノカルボン酸、グリシン、ビシン、トリシン、アラニン、ヒスチジン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リシン、チロシン、又はそれらの混合物を含む、<9>に記載の組成物。
<11>
前記少なくとも1種の第3の有機酸が、グリシン、ヒスチジン、アラニン、プロリン、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、又はそれらの混合物を含む、<9>に記載の組成物。
<12>
前記少なくとも1種の第3の有機酸が、前記組成物に対して約0.001重量%~約20重量%の量で存在する、<9>に記載の組成物。
<13>
前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーが、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、アクリル酸、アクリルアミド、リンゴ酸、メタクリル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド、アクリルアミドプロピルスルホン酸、ホスホン酸、リン酸、ビニルリン酸、ブタジエン/マレイン酸、カプロラクタ
ム、エーテルイミド、2-エチル-2-オキサゾリン、N-イソ-プロピルアクリルアミド、亜ホスフィン酸ナトリウム(sodium phosphinite)、及びそれらの共形成物(co-formed products)、並びにそれらのナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩、からなる群から選択される1種又は複数種のモノマーから形成される、<1>に記載の組成物。
<14>
前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーが、ポリ(4-スチレニルスルホン)酸(PSSA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)、アニオン性ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、アニオン性ポリアクリルアミド(PAM)、ポリアスパラギン酸(PASA)、アニオン性ポリ(エチレンスクシナート)(PES)、アニオン性ポリブチレンスクシナート(PBS)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、2-プロペン酸と2-メチル-2-((1-オキソ-2-プロペニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸一ナトリウム塩及び亜ホスフィン酸ナトリウム(sodium phosphinite)との共重合体、2-プロペン酸と2-メチル-2-((1-オキソ-2-プロペニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸一ナトリウム塩及び亜硫酸水素ナトリウムナトリウム塩との共重合体、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体、ポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体、又はそれらの混合物、を含む、<1>に記載の組成物。
<15>
前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーが、ポリ(4-スチレニルスルホン)酸(PSSA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)、アニオン性ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、アニオン性ポリアクリルアミド(PAM)、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体、ポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体、又はそれらの混合物、を含む、<1>に記載の組成物。
<16>
前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーが、前記洗浄組成物に対して約0.00001重量%~約50重量%の量で存在する、<1>に記載の組成物。
<17>
前記組成物のpHが約1~約6.5である、<1>に記載の組成物。
<18>
前記組成物のpHが約2~約5である、<1>に記載の組成物。
<19>
少なくとも1種の有機酸;
ポリ(4-スチレニルスルホン)酸(PSSA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体、ポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体、又はそれらの混合物を含む少なくとも1種のアニオン性ポリマー;及び
水;
を含む洗浄組成物であって、
約0.1~約7のpHを有する、洗浄組成物。
<20>
前記少なくとも1種のアニオン性ポリマーが、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-アクリル酸共重合体、又はポリ(4-スチレンスルホン酸-co-アクリル酸-co-ビニルホスホン酸)三元重合体、又はそれらの混合物、を含む、<19>に記載の組成物。
<21>
SiN、SiC、TiN、W、Ru、Mo、TEOS、Cu、TaN、Co、又はp-Siを含む表面を有するウェハを、<1>に記載の洗浄組成物に接触させることを含む、ウェハ表面を洗浄する方法。
<22>
基板を<1>に記載の洗浄組成物に接触させることを含む、基板を洗浄する方法。
図1
図2
図3
図4
図5