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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】超音波ミスト吸入器
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/05 20200101AFI20241106BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20241106BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20241106BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20241106BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A24F40/05
A24F40/42
A24F40/10
A24F40/44
A61M15/06 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022561688
(86)(22)【出願日】2019-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2019060806
(87)【国際公開番号】W WO2021123865
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】522238642
【氏名又は名称】シャヒーン イノベーションズ ホールディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イマド ラフード
(72)【発明者】
【氏名】モハンメド アルシャイバ サレハ ガナム アルマズルーイ
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206949536(CN,U)
【文献】特表2019-528724(JP,A)
【文献】国際公開第2018/111843(WO,A1)
【文献】特表2018-504927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ミスト化される液体を受け取るように適合された液体チャンバを備える液体リザーバ構造と、
- 前記液体チャンバと流体連通している超音波処理チャンバと、を備え、
前記液体リザーバ構造が前記超音波処理チャンバを備え、前記液体リザーバ構造は、一体で作られていることを特徴とする超音波ミスト吸入器。
【請求項2】
前記液体リザーバ構造は、前記超音波処理チャンバから周囲に向かう空気通路を提供する内部ボアを備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項3】
前記液体リザーバ構造は、前記液体チャンバと前記内部ボアとの間に配置された周辺内部チャンバを備え、前記周辺内部チャンバは、前記液体チャンバと前記超音波処理チャンバとの間の流体連通を提供することを特徴とする請求項2に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項4】
前記周辺内部チャンバは、前記周辺内部チャンバと前記液体チャンバとを区画する外壁を備えることを特徴とする請求項3に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項5】
前記外壁は、前記液体チャンバと前記周辺内部チャンバとの間に流体連通を提供する少なくとも1つの開口部を備えることを特徴とする、請求項4に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項6】
前記周辺内部チャンバが、前記周辺内部チャンバと前記超音波処理チャンバとの間の流体連通を提供する円形開口部を備えることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項7】
前記周辺内部チャンバが、前記周辺内部チャンバと前記液体チャンバとを区画する内壁を備えることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項8】
前記内壁は、前記超音波処理チャンバ内で延びていることを特徴とする請求項7に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項9】
前記液体チャンバと前記超音波処理チャンバとの間に毛細管要素が配置されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項10】
前記超音波処理チャンバは、超音波振動の手段を備えることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項11】
前記超音波振動の手段は、弾性部材によって支持されていることを特徴とする請求項10に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項12】
前記内部ボアが機械的なばねを有することを特徴とする請求項2、又は、請求項2を伴う請求項~11のいずれか一項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項13】
前記液体リザーバ構造は、前記内部ボアに流体的に結合され、液体ミストがエアウェイから流出するように構成されたエアウェイを含む上端を備える、請求項2、又は、請求項2を伴う請求項~12のいずれか一項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項14】
前記液体リザーバ構造は、マウスピースと、吸入器に電力を供給し作動させるための電気部品を収容するケーシングとの間に配置されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項15】
前記液体チャンバに受容される前記液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンと30~43%(w/w)のプロピレングリコールとを含み、前記プロピレングリコールはニコチン及び香料を含む、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の超音波ミスト吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動により液体をミスト化する超音波ミスト吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子気化式吸入器は、従来のタバコに含まれるタールなどの刺激の強い化学物質を避け、ニコチンへの渇望を満たしたい喫煙者の間で人気を集めている。電子式気化吸入器には、通常、ニコチンオイル、溶剤、水、および多くの場合香料を混合した液体ニコチンが含まれていることがある。ユーザが電子気化吸入器を吸引すると、液体ニコチンが気化器に引き込まれ、そこで加熱されて蒸気になる。ユーザが電子気化吸入器に描くと、ニコチンを含む蒸気が吸入される。このような電子気化吸入器は、医療目的を有する場合がある。
【0003】
電子式気化吸入器と他の蒸気吸入器は、典型的には、類似の設計を有する。ほとんどの電子気化吸入器は、リザーバからの漏れを防ぐように液体ニコチンを保持する毛細管要素などの内膜、典型的には綿を有する液体ニコチンリザーバを備えている。それにもかかわらず、これらのタバコは、液体が膜からマウスピースに流れ出るのを防止する障害物がないため、依然として漏れが発生しやすい。電子式気化吸入器の液漏れは、いくつかの理由で問題がある。第1の欠点として、液体が電子部品に漏れ、装置に重大な損傷を与える可能性がある。第2の欠点として、液体が電子気化吸入器のマウスピースに漏れ、使用者が未気化の液体を吸入する可能性がある。
【0004】
電子気化吸入器は、吸引の間に一貫性のない用量を提供することでも知られている。前述の漏れは、膜が気化器の近くで過飽和または過少になることがあるため、投与量が一定しない原因の1つである。膜が過飽和の場合、使用者は希望する量より強い蒸気を経験することができ、膜が過少の場合、使用者は希望する量より弱い蒸気を経験することができる。使用者が吸う強さを少し変えるだけで、強くなったり弱くなったりすることがある。一貫性のない投与は、漏れとともに、ベーパリング液体のより早い消費につながる可能性がある。
【0005】
さらに、従来の電子気化吸入器は、電子タバコ内の液体を加熱するように構成された金属加熱部品の高温を誘発することに依存する傾向があり、したがって、呼吸することができる液体を気化することができる。従来の電子式気化吸入器の問題点は、金属が燃える可能性と、それに続いて燃える液体とともに金属が吸い込まれる可能性とを含む場合があることである。また、加熱された液体による焦げた臭いを好まない人もいる。
【0006】
電子気化吸入器は、一般に、液体ニコチンリザーバが、リザーバ内の未使用液体を加熱しないように、金属加熱部品から離れた位置に配置されるように設計されている。このような配置は、吸入装置の製造が面倒になり、より複雑なものになる。
【0007】
したがって、これらの欠点によりよく耐えることができる電子気化吸入器に対する必要性が当技術分野に存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様によれば、超音波ミスト吸入器は、
- ミスト化される液体を受け取るように適合された液体チャンバを含む液体リザーバ構造と、
- 液体チャンバと流体連通している超音波処理チャンバと、を備え、
液体リザーバ構造が、超音波処理チャンバを構成することを特徴とする。
【0009】
超音波ミスト吸入器において超音波振動のための超音波処理チャンバを使用することにより、液体チャンバと超音波処理チャンバとを組み合わせて液体リザーバ構造に入れることができる。
【0010】
本発明で使用される「ミスト」という表現は、先行技術から知られる従来の吸入器において通常行われるように液体が加熱されないことを意味することに留意されたい。実際、従来の吸入器は、液体をその沸騰温度以上に加熱して蒸気を発生させるために加熱素子を使用するが、これはミストとは異なるものである。
【0011】
実際、液体を高強度で超音波処理する場合、液体媒体中に伝播する音波は、周波数に依存して異なる速度で、高圧(圧縮)および低圧(希釈)サイクルを交互に生じる。低圧サイクルでは、高強度の超音波が液体中に小さな真空の気泡や空隙を作る。この気泡がエネルギーを吸収できない体積になると、高圧サイクルで激しく崩壊する。この現象をキャビテーションという。このとき、局所的に非常に高い圧力が発生する。キャビテーションでは、壊れた毛細管波が発生し、液体の表面張力を破った微小な液滴がミスト状になって素早く空中に放出される。
【0012】
超音波ミスト吸入器において、液体リザーバ構造は、超音波処理チャンバから周囲に向かう空気通路を提供する内径を備える可能性がある。
【0013】
超音波ミスト吸入器において、液体リザーバ構造は、液体チャンバと内部ボアとの間に配置された周辺内部チャンバを含んでよく、周辺内部チャンバは、液体チャンバと超音波処理チャンバとの間の流体連通を提供する。
【0014】
超音波ミスト吸入器において、液体リザーバ構造は、一体的に作られてもよい。
【0015】
超音波ミスト吸入器において、周辺内部チャンバは、周辺内部チャンバと液体チャンバとを区画する内壁を含んでいてもよい。
【0016】
超音波ミスト吸入器において、周辺内部チャンバは、周辺内部チャンバと液体チャンバとを区画する外壁から構成されてもよい。
【0017】
超音波ミスト吸入器において、外壁は、液体チャンバと周辺内部チャンバとの間に流体連通を提供する少なくとも開口部を含んでいてもよい。
【0018】
超音波ミスト吸入器において、周辺内部チャンバは、周辺内部チャンバと超音波処理チャンバとの間の流体連通を提供する円形開口部を含んでもよい。
【0019】
超音波ミスト吸入器において、内壁は、超音波処理チャンバ内に延在してもよい。
【0020】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、液体チャンバと超音波処理チャンバの間に調整されてもよい。
【0021】
超音波ミスト吸入器において、周辺内部チャンバは、毛細管要素で構成されてもよい。
【0022】
毛細管要素のこのような配置は、ウィックを形成し、液体チャンバから液体が無秩序に漏れるのを防止する。
【0023】
毛細管要素は、内部ボアの周囲の周辺内部チャンバ内に巻き付けられることが好ましい。
【0024】
毛細管要素は、ガーゼである可能性がある。毛細管要素は、竹繊維、好ましくは竹繊維100%で、または綿、シリカ、タバコ綿、またはそれらの任意の組み合わせで形成されてもよい。
【0025】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素はU字型断面を有していてもよい。
【0026】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は円形開口部から周辺内部チャンバへ挿入される場合がある。
【0027】
超音波ミスト吸入器において、超音波振動チャンバは、超音波振動手段で構成されている。
【0028】
「超音波振動の手段」という表現は、特許出願PCT/IB2019/055192で用いられている「超音波発振部品」という表現と類似している。
【0029】
断面U字型の2つの側部は周辺内部チャンバ内に挿入されることが好ましく、中央部は超音波振動手段に面接触している。
【0030】
超音波ミスト吸入器において、周辺内部チャンバの円形開口部は、超音波振動手段に面していてもよい。
【0031】
超音波ミスト吸入器では、超音波振動の手段は、弾性部材によって支持されている。
【0032】
弾性部材は、環状の板状ゴムから形成されている。
【0033】
弾性部材は、超音波振動手段を維持するための溝が設計された内孔を有する。
【0034】
この場合、弾性部材が超音波振動手段に線接触しているため、液体リザーバ構造の振動の抑制をより効果的に防止することができる。したがって、ミスト化部材によってミスト化された液体の微粒子をより遠くまで噴霧することができる。
【0035】
超音波ミスト吸入器において、超音波振動の手段に高周波電圧を印加して超音波振動の手段を超音波振動させ、それによって超音波振動の手段の一部に供給された液体をミスト化して噴霧することができる。
【0036】
このような超音波ミスト吸入器によれば、比較的小さなサイズを有する超音波振動の手段によってミスト化された液体の微粒子を遠くまで噴霧することができる。
【0037】
その超音波振動手段は、変換器であってもよく、円形の板状に優先的に設計されている。圧電変換器の材質は、セラミックであることが望ましい。
【0038】
超音波ミスト吸入器において、内部ボアは機械的なばねを有していてもよい。
【0039】
好ましくは、機械的なばねは、表面接触を確実にするために、毛細管要素の中央部分を超音波振動の手段に押し付ける。
【0040】
超音波ミスト吸入器において、超音波処理チャンバは、超音波処理チャンバを閉じる底板を有していてもよい。
【0041】
超音波ミスト吸入器において、底板は、弾性部材を支持するように構成されてもよい。
【0042】
超音波ミスト吸入器において、底板は、超音波振動の手段に電力を供給するためのコネクタを受け入れるように配置されてもよい。
【0043】
超音波ミスト吸入器において、第1のコネクタと第2のコネクタとを備え、第1のコネクタは、ばね式のコンタクトプローブであり、第2のコネクタは、弾性部材を横切るサイドピンである。ばね式のコンタクトプローブは、超音波振動の手段との恒久的な接触を実現する。
【0044】
好ましくは、金属板は、第2のコネクタと超音波振動手段との間の電気的接触を確実にする。
【0045】
超音波ミスト吸入器において、液体リザーバ構造は、内部ボアに流体的に結合され、液体ミストがエアウェイから流出するように構成されたエアウェイを含む上端を有していてもよい。
【0046】
超音波ミスト吸入器において、液体リザーバ構造は、マウスピースと、吸入器に電力を供給し作動させるための電気部品を収容するケーシングとの間に配置されてもよい。
【0047】
底板は密閉されているため、超音波処理チャンバからケーシングへの液体の漏れは防止されている。
【0048】
超音波ミスト吸入器において、液体リザーバ構造の上端は、マウスピースと結合されてもよく、マウスピースは、エアウェイから周囲に流れ出る液体ミストを吸引できるように構成されている。
【0049】
有利には、液体リザーバ構造は、マウスピース及びケーシングから着脱可能である。
【0050】
液体リザーバ構造およびマウスピースまたはケーシングは、互いに係合するための相補的な配置を含んでもよく、さらにそのような相補的配置は、バヨネット型配置、ねじ係合型配置、磁気配置および摩擦嵌合配置のいずれかを含んでもよく、液体リザーバ構造は配置の一部分を含み、マウスピース1またはケーシングは、配置の相補的部分を含んでいる。
【0051】
このような設計により、液体リザーバ構造を使い捨てにすることができる。液体リザーバ構造は、必要なときに取り外して再装置することができる。この特徴は、完全に使用するか、または未使用の液体を廃棄しなければならないという制限なしに、フレーバーを交換する自由をユーザに与えるものである。
【0052】
さらに、このような設計は、超音波処理チャンバ内の超音波振動手段の疲労のリスクを排除し、疲労のリスクを防止する使い捨ての超音波振動手段及びフレーバーの混合のリスクを防止する使い捨ての毛管要素を有する。
【0053】
超音波ミスト吸入器において、集積回路は、液体リザーバ構造の下端に結合され、超音波振動の手段に通信可能に結合されてもよく、集積回路は、超音波振動の手段を振動させるように構成される。
【0054】
好ましくは、超音波振動の手段は、コネクタを介して、集積回路と電気的に通信している。
【0055】
有利には、集積回路は、直流電流を高周波の交番電流に変換するように設計されている。
【0056】
超音波振動の手段は、コネクタを介してケーシングの電気部品から電力を供給されてもよい。
【0057】
ケーシングは、電気貯蔵装置を含むように構成されることが好ましく、集積回路の少なくとも一部を包囲してもよい。
【0058】
ケーシングは、特許出願PCT/IB2019/055192に記載された全ての特徴を有していてもよい。
【0059】
発明に係る超音波ミスト吸入器において、前記の液体チャンバに受容される前記の液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンと30~43%(w/w)のプロピレングリコールとを含み、前記のプロピレングリコールはニコチン及び香料を含む。
【0060】
超音波ミスト吸入器または個人用超音ミスト化装置は:
- ミスト化される液体を受け取るように適合された液体チャンバまたはカートリッジを含む液体リザーバ構造と、
- 液体チャンバまたはカートリッジと流体連通している超音波処理チャンバと、を含み、
前記液体チャンバに受容される前記液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンおよび30~43%(w/w)のプロピレングリコールを含み、前記のプロピレングリコールはニコチンおよび香料を含む。
【0061】
いくつかの実施形態は、添付図面の図に例として示され、限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1図1は、本発明の実施形態に係る超音波ミスト吸入器の構成要素を示す分解斜視図である。
図2図2は、発明の実施形態による吸入器液体リザーバ構造の構成要素の分解斜視図である。
図3図3は、図1による吸入器液体リザーバ構造の構成要素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
詳細な説明
前述の概要、および本発明の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、より良く理解されるであろう。
【0064】
本明細書で使用される場合、単数形で記載され、単語「a」または「an」が先行する要素は、そのような除外が明示されない限り、当該要素の複数を除外しないものとして理解されるべきである。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除すると解釈することを意図していない。さらに、反対のことを明示的に述べない限り、特定の特性を有する要素又は複数の要素を「含む」又は「有する」実施形態は、その特性を有さない追加のそのような要素を含むことができる。
【0065】
本発明は、超音波ミスト吸入器に関するものである。本発明の説明及び添付の図は、電子気化吸入器の実施形態に向けられるが、他の実施形態、例えば、水タバコ、フレーバー液、薬、及びハーブサプリメント用の吸入器が想定される。さらに、この装置は、タバコというよりオブジェクトのように見えるようにパッケージ化することができる。例えば、この装置は、パイプ、水パイプ、スライドなどの別の喫煙具30に類似している可能性があり、あるいは、この装置は、別の非喫煙関連物体に類似している可能性がある。
【0066】
超音波ミスト吸入器は、使い捨てまたは再利用可能のいずれかである。本書で使用される「再利用可能」という用語は、エネルギー貯蔵装置が再充電可能または交換可能であること、または液体が再充填または液体リザーバ構造の交換のいずれかによって補充可能であることを意味する。あるいは、いくつかの実施形態では、再利用可能な電子装置は、再充電可能であり、液体を補充することができる両方である。まず、使い捨ての実施形態について説明し、次に再利用可能な実施形態について説明する。
【0067】
従来の電子気化吸入器は、吸入器内の液体を加熱するように構成された金属部品の高温を誘発し、したがって、吸い込むことができる液体を気化させることに依存する傾向がある。液体は、通常、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)の溶液にブレンドされたニコチンおよび香料を含み、これらは、高温で加熱部品を介して気化される。従来の吸入器の問題点として、金属が燃える可能性があり、その後、燃えた液体と一緒に金属を吸い込む可能性がある。また、加熱された液体による焦げた臭いや味を好まない人もいる。
【0068】
これに対して、本開示の態様は、超音波振動によって液体をミスト化する超音波ミスト吸入器を含み、これにより、液体中に微小水泡が生成される。この気泡が周囲の空気分子と接触すると、約0.25~0.5ミクロンの水滴が空気中に噴霧され、ミストを吸うように呼吸によって吸収される微小水滴が発生する。
【0069】
発熱体を使用しないため、発熱体の焦げ付きがなく、副流煙の影響を低減することができる。
【0070】
図1は、本発明の使い捨て超音波ミスト吸入器の実施形態100を描いている。図1から分かるように、超音波ミスト吸入器100は、直径「D」に比べて比較的長い長さ「L」を有する円筒形の本体を有する。形状および外観の点で、超音波ミスト吸入器100は、典型的なタバコの外観を模倣するように設計されている。例えば、吸入器は、主にタバコのタバコ棒部分を模擬する第1の部分101と、主にフィルタを模擬する第2の部分102とを備えることができる。発明装置の使い捨て実施形態のでは、第1部分と第2部分とは、単一の、しかし分離可能な装置の領域である。第1部分及び第2部分という呼称は、各部分に主に含まれる構成要素を便宜的に区別するために用いられる。
【0071】
図1から分かるように、超音波ミスト吸入器は、マウスピース1、液体リザーバ構造2、およびケーシング3から構成されている。第1部分101はケーシング3を構成し、第2部分102はマウスピース1およびリザーバ構造2を構成する。
【0072】
第1の部分101には、電源エネルギーが含まれている。
【0073】
蓄電装置30は、超音波ミスト吸入器100に電力を供給する。蓄電装置30は、リチウムイオンバッテリ、アルカリバッテリ、亜鉛-炭素バッテリ、ニッケル水素バッテリ、ニッケル-カドミウムバッテリなどのバッテリ、スーパーキャパシタ、またはこれらの組み合わせとすることができるが、これらに限定されるわけではない。使い捨ての実施形態では、電気貯蔵装置30は再充電可能ではないが、再使用可能な実施形態では、電気貯蔵装置30は再充電可能であるように選択されるであろう。使い捨ての実施形態では、電気貯蔵装置30は、主に、吸入器100の寿命にわたって一定の電圧を供給するように選択される。そうでなければ、吸入器の性能は時間とともに劣化することになる。装置の寿命にわたって一定の電圧出力を提供することができる好ましい電気貯蔵装置には、リチウムイオンバッテリおよびリチウムポリマーバッテリが含まれる。
【0074】
電気貯蔵装置30は、一般に正端子に対応する第1の端部30aと、一般に負端子に対応する第2の端部30bとを有する。負極端子は、第1端部30aまで延びている。
【0075】
蓄電装置30は第1部分101に位置し、液体リザーバ構造2は第2部分102に位置するので、接合部は、それらの構成要素の間に電気的な通信を提供することが必要である。本発明では、第1の部分101が第2の部分102に締め付けられるときに一緒に圧縮される少なくとも電極またはプローブを用いて電気通信が確立される。
【0076】
この実施形態では、再利用可能とするために、蓄電装置30は充電可能である。ケーシング3には、充電口32が設けられている。
【0077】
集積回路4は、近位端4aおよび遠位端4bを有する。電気貯蔵装置30の第1端30aの正端子は、フレキシブル集積回路4の正リードと電気的に連通している。電気貯蔵装置30の第2の端部30bの負端子は、集積回路4の負リードと電気的に通信している。集積回路4の遠位端4bは、マイクロプロセッサを含んで構成されている。マイクロプロセッサは、センサからのデータを処理し、ライトを制御し、第2の部分102における超音波振動5に電流の流れを指示し、予めプログラムされた時間の後に電流の流れを終了させるように構成されている。
【0078】
センサは、超音波ミスト吸入器100が使用されているとき(使用者が吸入器を吸引したとき)を検出し、マイクロプロセッサを作動させる。センサは、圧力、空気流、または振動の変化を検出するように選択することができる。優先実施形態では、センサは圧力センサである。デジタル実施形態では、センサは連続的な読み取りを行い、その結果、デジタルセンサは連続的に電流を引き込む必要があるが、その量は小さく、全体のバッテリ寿命は無視できるほど影響されるだろう。
【0079】
さらに、集積回路4は、高周波で直流を交流に変換するために優先的に4つのMOSFETによって形成されてもよいHブリッジを構成している可能性がある。
【0080】
図2および図3を参照すると、実施形態による液体リザーバ構造2の図解が示されている。液体リザーバ構造2は、ミスト化される液体を受け取るように適合された液体チャンバ21と、液体チャンバ21と流体連通している超音波処理チャンバ22とからなる。
【0081】
図示の実施形態では、液体チャンバ21と超音波処理チャンバ22は単一のアセンブリの一部であり、液体が入口開口部21aから液体チャンバ21内に取り込まれる。
【0082】
センサ位置の一例として、超音波処理チャンバにセンサを配置してもよい。
【0083】
液体リザーバ構造2は、口金1とケーシング3との間に配置され、口金1およびケーシング3に対して着脱可能である。
【0084】
液体リザーバ構造2およびマウスピース1またはケーシング3は、互いに係合するための相補的な配置を含んでもよく、さらにそのような相補的配置は、バヨネット型30配置、ねじ係合型配置、磁気配置および摩擦嵌合配置のいずれかを含んでもよく、液体リザーバ構造2は配置の一部分を含み、マウスピース1またはケーシング3は、配置の相補的部分を含んでいる。
【0085】
再使用可能な実施形態では、構成要素は実質的に同じである。使い捨ての実施形態に対する再使用可能な実施形態の違いは、液体リザーバ構造2を交換するためになされる収容である。
【0086】
図3に示すように、液体リザーバ構造2は、周壁26から延びる天壁23、中壁24、底壁25を有する。
【0087】
上壁23及び中壁24は、周壁26とともに、液チャンバ21の外側を規定する。中壁24と底壁25は、周壁26とともに、超音波処理チャンバ22の外側を規定する。中壁24は、液体チャンバ21と超音波処理チャンバ22とで共通の壁であることを意味する。
【0088】
液体リザーバ構造2は、超音波処理チャンバ21から周囲に向かう空気通路を提供する内部ボア28を備える。
【0089】
さらに、液体リザーバ構造2は、液チャンバ21と内部ボア28との間に配置された周辺内部チャンバ27から構成されている。周辺内部チャンバ27は、液体チャンバ21と超音波処理チャンバ22との間の流体連通を提供する。
【0090】
周辺内部チャンバ27は、周辺内部チャンバ27と液チャンバ21とを区画する外壁27cを有している。周辺内部チャンバ27は、周辺内部チャンバ27と内部ボア28とを区画する内壁27bをさらに有している。より詳細には、内部ボア28は、内壁27bによって形成されている。
【0091】
外壁27cは、複数の横方向に延びる開口部27’を画定している。開口部27’は、液体チャンバ21から周辺内部チャンバ27の厚みを通って超音波処理チャンバ22に至る毛細管を形成する。開口27’は、直径を変えることができる(毛管開口の直径は、流体の粘性によって大きく規定される。より粘性の高い流体は、漏れることなくより大きな直径の毛管を有することができるが、より粘性の低い流体は、より小さな直径の毛管を必要とする)。一般に、開口部27’の直径は、まだミスト状になっていない流体の通過を容易にするのに十分な大きさである。開口部27’は、円形または様々な幾何学的形状の他のいずれでもよい。
【0092】
周辺内部チャンバ27の円形開口部27aは、周辺内部チャンバ27と超音波処理チャンバ22との間の流体連通を提供する。
【0093】
周辺内側チャンバ27の内側壁27cは、超音波処理チャンバ22内を越えて延びている。
【0094】
液体リザーバ構造2の上壁23は、内部ボア28に流体的に結合された空気路を構成し、液体ミストが空気路から流出することを可能にするように構成される。
【0095】
液体リザーバ構造2の頂壁23は、マウスピース1と結合されてもよく、マウスピース1は、エアウェイから流出したミスト液体を周囲に吸引できるように構成されている。
【0096】
液体リザーバ構造2の底壁25は、液体リザーバ構造2と超音波処理チャンバ22とを閉鎖する底板25である。底板25は密閉されているため、超音波処理チャンバ22からケーシング3への液体の漏れは防止されている。
【0097】
周辺内部チャンバ27は、空洞を規定する。図3に描かれているように、空洞に挿入され、開口部27’に接触しているのは、毛細管要素7である。毛細管要素7は、開口部27’を介して液チャンバ21から液体を吸収する。毛細管要素7は、ウィックである。毛細管要素7は、毛細管現象によって液体を超音波処理チャンバ22に輸送する。毛管要素7は竹繊維で作られていることが好ましいが、綿、紙、または他の繊維ストランドをウィック材料に使用することができる。
【0098】
超音波ミスト吸入器100の一実施形態では、毛細管要素7は、周辺内部チャンバ27に挿入される2つの側部7aと、超音波振動手段5と面接触する中央部7bとを有するU字型の断面を有している。
【0099】
図3から分かるように、超音波振動手段5は、毛細管要素7の直下に配置されている。
【0100】
周辺内部チャンバ27の円形開口部27aは、超音波振動手段5と向き合っている。
【0101】
超音波振動の手段5は、変換器であってもよい。例えば、超音波振動の手段5は、圧電変換器であってもよく、円形の板状に設計されているのが好ましい。圧電変換器の材質は、セラミックであることが望ましい。
【0102】
また、超音波振動手段5には、様々な変換器材料を使用することができる。
【0103】
超音波振動手段5は、弾性部材8によって支持されている。弾性部材8は、超音波振動手段5を維持するための溝が設計された内孔8’を有する環状板状のゴムから形成されている。
【0104】
底板25は、弾性部材8が配置される突出部25aを有し、この突出部25aが弾性部材環状板内に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている。
【0105】
天壁23と底壁25は、ネジ、接着剤、摩擦などの固定手段により、液体リザーバ構造2に固定されている。
【0106】
図3に描かれているように、弾性部材は超音波振動の手段5と線接触しており、超音波振動の手段5と吸入器の壁との接触を防ぐことで、液体リザーバ構造の振動の抑制がより効果的に防止される。したがって、ミスト化部材によってミスト化された液体の微粒子をより遠くまで噴霧することができる。
【0107】
内部ボアは、機械式スプリング9で構成されている。
【0108】
中央部分7bを超音波振動手段5に押し付けることによって、機械的なばね9は、それらの間の接触面を確保する。
【0109】
超音波振動の手段5は、電気接触器101a、101bと電気的に連絡している。注目すべきは、集積回路4の遠位端4bは、内側電極と外側電極を有することである。内側電極は、スプリングコンタクトプローブである第1の電気接触子101aに接触し、外側電極は、サイドピンである第2の電気接触子101bに接触する。集積回路4を介して、第1の電気接点101aは、マイクロプロセッサにより蓄電装置30の正極端子と電気的に通信し、第2の電気接点101bは、蓄電装置30の負極端子と電気的に通信している。
【0110】
電気接点101a、101bは、底板25を横断している。底板25は、液体リザーバ構造2の周壁26の内側に受けられるようになっている。底板25は、相補的な隆起の上に載っており、それによって、超音波処理チャンバ21を形成している。
【0111】
液体リザーバ構造2及び底板25は、様々な熱可塑性材料を用いて作ることができる。
【0112】
同時に、液体は毛細管現象によりリザーバチャンバ21から複数の開口部27’を通り、毛細管要素7に吸い込まれる。毛細管要素7は、液体を吸入器100の超音波振動手段5と接触させる。また、使用者の吸引により、圧力センサが集積回路4を作動させ、集積回路4が超音波振動の手段5に電流を導く。このように、使用者が吸入器100のマウスピース1に描画すると、2つの動作が同時に起こる。まず、センサが集積回路4を作動させ、これが超音波振動の手段5が振動を開始するきっかけとなる。第2に、引き金は、開口部27’を通る液体の流れが始まるように、リザーバチャンバ21の外の圧力を低下させ、これが毛管要素7を飽和させる。毛細管要素7は、液体を超音波振動手段5に搬送し、超音波振動手段5によって毛細管路内に気泡を形成させ、液体をミスト化させる。そして、ミスト化された液体を使用者が吸引する。
【0113】
本開示の超音波ミスト吸入器100は、現在の携帯医療用ネブライザーをより強力にしたもので、現在の電子タバコの形状およびサイズで、効果的な気化のための特定の構造を有するものである。タバコや現行の電子タバコ製品に代わる、より健康的な製品である。
【0114】
本開示の超音波ミスト吸入器100は、禁煙およびニコチン依存症の軽減の手段として電子吸入器を使用する人に特に適用可能である。超音波ミスト吸入器100は、ニコチンの投与量を徐々に漸減させる方法を提供する。
【0115】
本発明超音波ミスト吸入器100の他の実施形態は、薬物送達装置を含めて容易に想定される。
【0116】
上記の説明は、例示的なものであり、制限的なものではないことが理解されよう。例えば、上述した実施形態は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、その範囲から逸脱することなく、多くの修正を行うことができる。
図1
図2
図3