(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】スピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 9/04 20060101AFI20241106BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H04R9/04 103
H04R9/02 101B
(21)【出願番号】P 2022575747
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2022106640
(87)【国際公開番号】W WO2024000681
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】202221693879.9
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲時▼ ▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】信 星星
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0027335(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0230442(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112492469(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111641905(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/00-9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカであって、当該スピーカは、フレームと、前記フレーム内に収容された振動システム及び磁気回路システムとを含み、前記振動システムは、音膜と、前記音膜が振動発音するように駆動するボイスコイルと、フレキシブル回路板とを含み、前記磁気回路システムは、第1磁性鋼と、第2磁性鋼とを有し、前記第2磁性鋼は、前記第1磁性鋼の外周に設けられかつ前記第1磁性鋼とともに磁気ギャップを形成し、前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップ内に設けられ、前記フレキシブル回路板は、内固定部と、前記内固定部の両側に設けられた外固定部と、前記内固定部及び前記外固定部を接続する弾性アームとを含み、前記内固定部は、前記音膜に固定接続され、前記外固定部は、前記フレームに固定接続され、前記フレキシブル回路板は、前記ボイスコイルの外側に設けられ、かつ前記音膜の振動方向に沿って、前記フレキシブル回路板は、前記ボイスコイルと重なら
ず、
前記フレームは、略矩形状を呈し、前記フレキシブル回路板は、2つあり、それぞれ前記フレームの2つの長辺に沿って設置されていることを特徴とするスピーカ。
【請求項2】
前記外固定部は、前記フレームの4つの角部に固定されていることを特徴とする請求項
1に記載のスピーカ。
【請求項3】
スピーカであって、当該スピーカは、フレームと、前記フレーム内に収容された振動システム及び磁気回路システムとを含み、前記振動システムは、音膜と、前記音膜が振動発音するように駆動するボイスコイルと、フレキシブル回路板とを含み、前記磁気回路システムは、第1磁性鋼と、第2磁性鋼とを有し、前記第2磁性鋼は、前記第1磁性鋼の外周に設けられかつ前記第1磁性鋼とともに磁気ギャップを形成し、前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップ内に設けられ、前記フレキシブル回路板は、内固定部と、前記内固定部の両側に設けられた外固定部と、前記内固定部及び前記外固定部を接続する弾性アームとを含み、前記内固定部は、前記音膜に固定接続され、前記外固定部は、前記フレームに固定接続され、前記フレキシブル回路板は、前記ボイスコイルの外側に設けられ、かつ前記音膜の振動方向に沿って、前記フレキシブル回路板は、前記ボイスコイルと重ならず、
前記音膜は、内環部と、前記内環部から外へ延在するサスペンション部と、前記サスペンション部から外へ延在する外環部と、前記外環部の外側エッジから前記振動方向に沿って折り曲げて延在する外壁と、前記内環部に固定されたドーム部とを含み、前記内固定部は、前記ドーム部に固定されていることを特徴とするスピーカ。
【請求項4】
前記外壁は、環状を呈することを特徴とする請求項
3に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記ドーム部は、ドーム部本体と、前記ドーム部本体から外へ延在するドーム外縁部とを含み、前記内固定部は、前記ドーム外縁部に固定されていることを特徴とする請求項
3に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記フレームは、前記音膜に近い上面を有し、前記上面の外側から前記音膜から離れる方向に凹んだ凹溝をさらに含み、前記外壁が前記凹溝内に設けられていることを特徴とする請求項
3に記載のスピーカ。
【請求項7】
前記上面は、前記外環部に固定接続されていることを特徴とする請求項
6に記載のスピーカ。
【請求項8】
前記フレームの4つの角部には、パッドが設けられ、前記外固定部は、前記パッドに固定接続されていることを特徴とする請求項
2に記載のスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換の分野に関し、特に携帯型電子製品に応用されるスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカは、携帯型電子製品の音声再生部品として、人々の再生音声に対する要求がますます高くなることに伴い、スピーカの性能に対しても高く要求されている。どのように同等電圧でより大きな周波数応答を出力するかは、業界で一般的な研究の重点となっている。
【0003】
現在スピーカの周波数応答の出力を制限する重要な要素は、スピーカのBL(磁力)である。一般的には、スピーカのBLが高いほど、同等電圧で音膜の変位が大きくなり、それによりスピーカの感度が高くなる。従来の技術において、FPCは、部分的にボイスコイルと音膜の間に位置する、ポールプレートのエッジは、一回りの段差を押圧してFPC及び接着剤溢れを避ける必要があり、BLに損失がある。
【0004】
したがって、上記技術的問題を解決するために、新たなスピーカを提供することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記技術課題を解決し、性能がより優れたスピーカを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、スピーカを提供し、当該スピーカは、フレームと、前記フレーム内に収容された振動システム及び磁気回路システムと、フレキシブル回路板とを含み、前記振動システムは、音膜と、前記音膜が振動発音するように駆動するボイスコイルとを含み、前記磁気回路システムは、第1磁性鋼と、第2磁性鋼とを有し、前記第2磁性鋼は、前記第1磁性鋼の外周に設けられかつ前記第1磁性鋼とともに磁気ギャップを形成し、前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップ内に設けられ、前記フレキシブル回路板は、内固定部と、前記内固定部の両側に設けられた外固定部と、前記内固定部及び前記外固定部を接続する弾性アームとを含み、前記内固定部は、前記音膜に固定接続され、前記外固定部は、前記フレームに固定接続され、前記フレキシブル回路板は、前記ボイスコイルの外側に設けられ、かつ前記音膜の振動方向に沿って、前記フレキシブル回路板は、前記ボイスコイルと重ならない。
【0007】
好ましくは、前記フレームは、略矩形状を呈し、前記フレキシブル回路板は、2つあり、それぞれ前記フレームの2つの長辺に沿って設置されている。
【0008】
好ましくは、前記外固定部は、前記フレームの4つの角部に固定されている。
【0009】
好ましくは、前記音膜は、内環部と、前記内環部から外へ延在するサスペンション部と、前記サスペンション部から外へ延在する外環部と、前記外環部の外側エッジから前記振動方向に沿って折り曲げて延在する外壁と、前記内環部に固定されたドーム部とを含み、前記内固定部は、前記ドーム部に固定されている。
【0010】
好ましくは、前記外壁は、環状を呈する。
【0011】
好ましくは、前記ドーム部は、ドーム部本体と、前記ドーム部本体から外へ延在するドーム外縁部とを含み、前記内固定部は、前記ドーム外縁部に固定されている。
【0012】
好ましくは、前記フレームは、前記音膜に近い上面を有し、前記上面の外側から前記音膜から離れる方向に凹んだ凹溝をさらに含み、前記外壁が前記凹溝内に設けられている。
【0013】
好ましくは、前記上面は、前記外環部に固定接続されている。
【0014】
好ましくは、前記フレームの4つの角部には、パッドが設けられ、前記外固定部は、前記パッドに固定接続されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスピーカにおいて、前記音膜の振動方向に沿って、前記フレキシブル回路板は、前記ボイスコイルと重ならない。ポールプレートのエッジに押圧段差がなく、それによりBLを向上させ、より大きな駆動力を提供し、感度を効果的に向上させ、スピーカの性能がより優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下に実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図3】
図1に示すスピーカの1つの視角の部分構造概略図である。
【
図4】
図1に示すスピーカの別の視角の部分構造概略図である。
【
図5】
図1におけるA―A線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明の実施形態に基づいて、当該分野の当業者が創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0018】
図1~
図5に示すように、本発明の提供するスピーカ100が示され、スピーカ100は、フレーム10と、フレーム10内に収容された振動システム20及び磁気回路システム30とを含む。
【0019】
磁気回路システム30は、下クランププレート31と、下クランププレート31に設置された第1磁性鋼32と、下クランププレート31に設置されかつ第1磁性鋼32を取り囲む、リング状を呈する第2磁性鋼33と、第1磁性鋼32に貼り付けられた第1ポールプレート34と、第2磁性鋼33に貼り付けられた第2ポールプレート35とを含む。第2磁性鋼33は、第1磁性鋼32の外周に設けられかつ第1磁性鋼32とともに磁気ギャップ36を形成し、ボイスコイル22は、磁気ギャップ36内に設けられる。
【0020】
振動システム20は、音膜21と、前記音膜21が振動発音するように駆動するボイスコイル22と、フレキシブル回路板23とを含む。
【0021】
音膜21は、内環部211と、内環部211から外へ延在するサスペンション部212と、サスペンション部212から外へ延在する外環部213と、外環部213の外側エッジから前記振動方向に沿って折り曲げて延在する外壁214と、内環部211に固定されたドーム部215とを含む。
【0022】
フレキシブル回路板23は、内固定部231と、内固定部231の両側に設けられた外固定部232と、内固定部231と外固定部232を接続する弾性アーム233とを含み、内固定部231は、音膜21に固定接続され、外固定部232は、フレーム10に固定接続され、フレキシブル回路板23は、ボイスコイル22の外側に設けられ、かつ音膜21の振動方向に沿って、フレキシブル回路板23は、ボイスコイル22と重ならない。
【0023】
好ましくは、フレーム10は、略矩形状を呈し、フレキシブル回路板23は、2つあり、それぞれフレーム10の2つの長辺に沿って設置され、FPC力アームの中心対称を実現し、ボイスコイルの振動がよりバランスを取る。他の好ましい実施形態において、フレキシブル回路板は、フレーム及び音膜の形状寸法に応じて他の数に調整されてもよい、バランスを取る支持を実現することができればよい。本実施形態において、4つの外固定部232は、フレーム10の4つの角部に固定され、2つの内固定部231は、ドーム部215に固定される。
【0024】
好ましくは、フレーム10の4つの角部には、いずれもパッド13が設けられ、外固定部232は、パッド13に溶接固定され、それによりフレキシブル回路板とフレームとの接続がより堅固になる。他の好ましい実施形態において、外固定部は、パッドに溶接されていなくてもよく、フレーム又はフレームに設けられた他の素子により固定を実現すればよい。
【0025】
好ましくは、ドーム部215は、ドーム部本体2151と、ドーム部本体2151から外へ延在するドーム外縁部2152とを含み、内固定部231は、ドーム外縁部2152に固定され、このように設置することにより、内固定部とドーム部との接触面積を増加させることができ、それによりFPCは、ドーム部との接続がより安定する。他の好ましい実施形態において、接続が安定することを保証する場合にドーム外縁部を設置しなくてもよい。
【0026】
フレーム10は、音膜21に近い上面11を有し、上面11の外側から音膜21から離れる方向に凹んだ凹溝12をさらに含み、外壁214が環状を呈し、かつ凹溝12内に設けられ、上面11は、外環部213に固定接続され、音膜とフレームは、縁取り設計され、フレームの幅がより狭く、音膜SDがより大きく、性能が向上する。
【0027】
本発明の提供するスピーカにおいて、音膜の振動方向に沿って、フレキシブル回路板は、ボイスコイルと重ならず、ポールプレートのエッジに押圧段差がなく、それによりBLを向上させ、より大きな駆動力を提供し、感度を効果的に向上させ、スピーカの性能が向上する。
【0028】
上述したのは本発明の実施形態だけであり、ここで指摘すべきことは、当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱することなく、更に改善することができるが、これらはいずれも本発明の保護範囲に属する。