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特許7583079モバイル端末に無線ローカルエリアネットワークへのローミングを可能にするネットワークアーキテクチャ
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  • 特許-モバイル端末に無線ローカルエリアネットワークへのローミングを可能にするネットワークアーキテクチャ 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】モバイル端末に無線ローカルエリアネットワークへのローミングを可能にするネットワークアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20241106BHJP
   H04W 8/20 20090101ALI20241106BHJP
   H04W 48/14 20090101ALI20241106BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241106BHJP
【FI】
H04W48/18 113
H04W8/20
H04W48/14
H04W84/12
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023025299
(22)【出願日】2023-02-21
(62)【分割の表示】P 2021087706の分割
【原出願日】2014-07-09
(65)【公開番号】P2023075137
(43)【公開日】2023-05-30
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】13305973.3
(32)【優先日】2013-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591034154
【氏名又は名称】オランジュ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シャオバオ・チェン
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0259881(US,A1)
【文献】特表2009-520433(JP,A)
【文献】特表2007-507125(JP,A)
【文献】SA WG2,TR 23.865: WLAN network selection for 3GPP terminals; Stage 2 (Release 12) for information (WLAN_NS), 3GPP TSG-SA#60 SP-130235,2013年06月11日,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/TSG_SA/TSGS_60/Docs/SP-130235.zip>
【文献】Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,WLAN selection for simultaneous VoIMS and home routed services[online], 3GPP TSG-SA WG2#97 S2-131751,2013年05月31日,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_97_Busan/Docs/S2-131751.zip>
【文献】China Mobile,The architecture and the high level requirement[online], 3GPP TSG-SA WG2#91 S2-122300,2012年05月25日,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_91_Kyoto/Docs/S2-122300.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ローカルエリアネットワークのためのアクセスネットワークサーバ(13)によって実行される以下のステップを含む、ホームモバイルネットワーク(21)に登録されるユーザ機器(11)のために、無線ローカルエリアネットワーク(22)へのアクセスを付与するための方法であって、
前記ユーザ機器によって送信される、前記ユーザ機器の前記ホームモバイルネットワークを識別することを可能にする第1の情報を備えるリクエストを受信するステップと、
前記第1の情報からの前記ホームモバイルネットワークの識別に基づいて、前記ユーザ機器が接続を許可される複数の無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントをそれぞれ識別する複数のアクセス識別子を含む応答メッセージを、前記ユーザ機器に送信するステップであって、前記応答メッセージは、少なくとも1つの前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントに関する追加情報をさらに含む、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記追加情報は、前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントおよび前記ユーザ機器の間のデータリンクに関するメトリックス情報を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メトリックス情報は、ダウンリンク速度およびアップリンク速度のうち少なくとも1つを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記追加情報は、前記ユーザ機器とやり取りするデータトラフィックのために前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントが確保できる最大帯域幅、および、インターネットアクセスを提供する前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントのキャパシティ、のうち少なくとも1つを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の情報は、前記ホームモバイルネットワークの識別子を備え、具体的には、前記ホームモバイルネットワークのモバイルカントリーコードおよびモバイルネットワークコードを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ホームモバイルネットワーク(21)に登録されるユーザ機器(11)のために、無線ローカルエリアネットワーク(22)へのアクセスを付与するためのアクセスネットワークサーバー(13)であって、
前記ユーザ機器の前記ホームモバイルネットワークを識別することを可能にする第1の情報を備えるリクエストを受信することができる受信ユニットと、
前記第1の情報からの前記ホームモバイルネットワークの識別に基づいて、前記ユーザ機器が接続を許可される複数の無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントをそれぞれ識別する複数のアクセス識別子を含む応答メッセージを送信するように構成される伝送ユニットであって、前記応答メッセージは、少なくとも1つの前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントに関する追加情報をさらに含む、伝送ユニットと、
を備えるアクセスネットワークサーバー。
【請求項7】
前記追加情報は、前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントおよび前記ユーザ機器の間のデータリンクに関するメトリックス情報を備える、請求項6に記載のアクセスネットワークサーバー。
【請求項8】
前記メトリックス情報は、ダウンリンク速度およびアップリンク速度のうち少なくとも1つを備える、請求項7に記載のアクセスネットワークサーバー。
【請求項9】
前記追加情報は、前記ユーザ機器とやり取りするデータトラフィックのために前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントが確保できる最大帯域幅、および、インターネットアクセスを提供する前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントのキャパシティ、のうち少なくとも1つを備える、請求項6から8のいずれか一項に記載のアクセスネットワークサーバー。
【請求項10】
ユーザ機器(11)であって、
前記ユーザ機器のホームモバイルネットワークを識別することを可能にする第1の情報を備えるリクエストを、無線ローカルエリアネットワーク(22)のためのアクセスネットワークサーバ(13)に送信するよう構成される伝送ユニットと、
前記アクセスネットワークサーバ(13)から、前記ユーザ機器が接続を許可される複数の無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントをそれぞれ識別する複数のアクセス識別子を備える応答メッセージを受信するように構成される受信ユニットであって、前記応答メッセージは、少なくとも1つの前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントに関する追加情報をさらに含む、受信ユニットと、
前記アクセス識別子のうちの1つを用いて、前記ユーザ機器を前記複数の無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントのうちの1つと接続するように構成される処理ユニットであって、前記追加情報は、どの無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントと接続するかを決定するときに用いられる、処理ユニットと、
を備えるユーザ機器。
【請求項11】
前記追加情報は、前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントおよび前記ユーザ機器の間のデータリンクに関するメトリックス情報を備える、請求項10に記載のユーザ機器。
【請求項12】
前記メトリックス情報は、ダウンリンク速度およびアップリンク速度のうち少なくとも1つを備える、請求項11に記載のユーザ機器。
【請求項13】
前記追加情報は、前記ユーザ機器とやり取りするデータトラフィックのために前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントが確保できる最大帯域幅、および、インターネットアクセスを提供する前記無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントのキャパシティ、のうち少なくとも1つを備える、請求項10から12のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項14】
前記第1の情報は、前記ホームモバイルネットワークの識別子を備え、具体的には、前記ホームモバイルネットワークのモバイルカントリーコードおよびモバイルネットワークコードを備える、請求項10から13のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか一項に記載のユーザ機器(11)と、前記ユーザ機器に無線ローカルエリアネットワーク(22)に対するアクセスを付与するための請求項6から9のいずれか一項に記載のアクセスネットワークサーバー(13)とを備えるネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信分野に関し、特に、無線ローカルアクセスネットワークに対するモバイルユーザの接続に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルネットワーク、特に、いわゆる「3GPPネットワーク」(即ち、3GPP標準規格において定義されるようなモバイルネットワーク)とのWLAN(即ち、「無線ローカルアクセスネットワーク」)のインターワーキングは、様々な標準化文書において定義されている。3GPP IPアクセスネットワークとして定義されるWLANを考える場合、(非特許文献1)は、他の3GPPネットワークとのインターワーキングの局面を定義しているのに対して、(非特許文献2)は、移動性局面を定義している。
【0003】
3GPPネットワークと非3GPPネットワーク(例えば、非3GPPネットワーク事業者又はサービスプロバイダによって提供されるWiFiネットワーク)との間のローミングに対応する必要性は、3GPP無線アクセスネットワーク過負荷又は3GPPネットワーク有効範囲不足の状況において、3GPPネットワークの有効範囲及び容量を向上させるために認識されている。かかる必要性は、屋内及び公共の場のために非3GPPネットワーク事業者によって運営されるプライベート及び公衆WiFiネットワーク、並びに略全てのスマートフォンと、タブレット及びノートパソコン等の携帯用デバイスにおける内蔵WiFiアクセスの増え続けるアクセス可能性と関連している。
【0004】
かかる必要性を説明するために、例示的な使用事例は、3GPPモバイルデバイスを国内又は国外ローミングで非3GPPネットワーク事業者によって提供されるWiFiネットワークにシームレスに接続することを、そのホーム3GPPネットワークによって管理される必要なアクセス資格情報を含むそのサブスクリプションプロファイルを用いることによって、少なくとも最初の接続に対して、WiFiネットワークに接続するために今日行われるべき明示的な手動設定を行うこと無く、可能にすることである。
【0005】
既存の標準化技術((非特許文献3)に記載されているような)は、3GPPネットワークとインターワークする非3GPPアクセスネットワークとのかかるローミングに対応している。言い換えれば、非3GPPネットワークへのローミングアクセスは、既存の3GPP標準規格において、非3GPPネットワークが3GPPネットワークに固定されるインターワーキングを有する3GPP PLMN(「公衆陸上移動ネットワーク」)を介してのみ対応される。
【0006】
図1A及び1Bは、(非特許文献3)に定義されているような2つのローミングシナリオを示している。
【0007】
特に、図1Aは、(非特許文献3)の図4.2.3-3に定義されているような「ホームルーティングされる」シナリオにおけるローミングアーキテクチャを示している。かかるローミングアーキテクチャにおいて、非3GPPネットワークは、ユーザ端末に信頼できない非3GPP IPアクセスを提供する場合の(ePDGゲートウェイを介する)訪れた3GPPネットワークと、又は、このユーザ端末に信頼できる非3GPP IPアクセスを提供する場合の(PDNゲートウェイを介する)このユーザ端末のホーム3GPPネットワークとのどちらか一方と必ずインターワークする。
【0008】
その一方で、図1Bは、(非特許文献3)の図4.2.3-5に定義されているような「ローカルブレイクアウト」シナリオにおけるローミングアーキテクチャを示している。この他のローミングアーキテクチャにおいて、非3GPPネットワークは、ユーザ端末に信頼できない非3GPP IPアクセスを提供する場合のePDGゲートウェイを介するか、又は、このユーザ端末に信頼できる非3GPP IPアクセスを提供する場合のPDNゲートウェイを介するかのどちらか一方で、訪れた3GPPネットワークと必ずインターワークする。
【0009】
言い換えれば、現在の3GPP標準規格の既存のローミングシナリオ全てにおいて、ユーザ端末は、ローミングパートナーの3GPPネットワークと固定される(又は「インターワーキング」する)(即ち、PDNゲートウェイ及び/又はePDGゲートウェイのどちらか一方に固定される)非3GPPアクセスに対して接続のみできる。
【0010】
かかるシナリオは、ユーザ端末がそのホームPLMN(図1A及び1BにおけるHPLMN)によって提供されるサービスにアクセスするか、ホームルーティングされるトラフィックにアクセスするか、訪れたPLMN(図1A及び1BにおけるVPLMN)によってローカルに提供されるサービスにアクセスすることを望む場合の使用事例に適用可能である一方で、3GPPネットワークと非3GPPネットワークとの間に直接的なインターワーキングが無い場合のシナリオが存在する。
【0011】
その上、ユーザ端末が、ユーザ端末の3GPPホームネットワークと何の取引関係も無い非3GPPネットワークのアクセスポイントに接続することを望む場合、例えば、3GPPユーザ端末が、PLMNネットワークの有効範囲が少ししか又は全く無いが、非3GPPサービスプロバイダによって運営されるWiFiネットワークの良好な有効範囲が存在するエリアにローミングする場合の状況が存在する。
【0012】
従って、モバイルユーザに、モバイルネットワークのホームPLMNのPDNゲートウェイ、又はモバイルネットワークの訪れたPLMNのPDN/ePDGゲートウェイのどちらか一方を通ることなく、無線ローカルエリアネットワークへの直接的なアクセスを提供するための(例えば、彼らに、より高い帯域幅又は良好な有効範囲によるインターネットへのアクセスを可能にするよう)高い必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】3GPP TS23.234
【文献】3GPP TS23.327
【文献】3GPP TS23.402
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、上で特定した欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、無線ローカルエリアネットワークに位置するアクセスネットワークサーバによって実行される以下のステップを含む、ホームモバイルネットワークに登録されるユーザ機器のために、無線ローカルエリアネットワークへのアクセスを付与するための方法であって、
ユーザ機器のホームモバイルネットワークを識別することを可能にする第1の情報を備えるプローブリクエストを受信するステップと、
前記第1の情報からの前記ホームモバイルネットワークの識別に基づいて、前記ユーザ機器が接続を許可される無線ローカルエリアネットワークの少なくとも1つのアクセスポイントを決定するステップと、
無線ローカルエリアネットワークの前記少なくとも1つのアクセスポイントを識別する少なくとも1つのアクセス識別子を備える応答メッセージを送信するステップと、
を含む方法が提供される。
【0016】
かかるアクセス方法により、ユーザ機器にモバイルネットワークに固定されるインターワーキングを全く持たない無線ローカルエリアネットワークへのアクセスを付与することが可能である。従って、標準規格において現在対処されていない状況において、無線ローカルエリアネットワークに対するアクセス認可の問題に取り組むことが可能である。
【0017】
本発明の実施形態において、プローブリクエストは、無線ローカルエリアネットワークのアクセスポイントを介してユーザ機器から伝送され、応答メッセージは、このアクセスポイントを介してユーザ機器に伝送される。これにより、ユーザ機器は、この無線ローカルエリアネットワークの有効範囲下にあれば、無線ローカルエリアネットワークへの接続を要求することが可能となる。
【0018】
本発明の実施形態において、方法は更に、前記第1の情報を備えるアクセスネットワークリクエストを、ユーザ機器のホームモバイルネットワークに位置する第1のアクセスネットワーク発見及びサーバ機能エンティティに伝送するステップと、前記アクセスネットワーク発見及びサーバ機能エンティティから応答で受信するステップであって、アクセスネットワーク応答がネットワーク選択ルールを備える、ステップとを含み、前記少なくとも1つのアクセスポイントは、前記ネットワーク選択ルールを用いて、アクセスネットワークサーバによって決定される。
【0019】
かかる実施形態により、モバイルネットワークは、例えば、特定の無線ローカルエリアネットワークを禁止するか、幾つかの無線ローカルエリアネットワークを他のものよりも優先させることによって、その登録されたユーザ機器の1つが、このモバイルネットワークと固定されてインターワーキングしない他の無線ローカルエリアネットワークにアクセスできる範囲に関して、ある程度の制御を維持できる。
【0020】
無線ローカルエリアネットワークがユーザ機器のホームモバイルネットワークとインターワーキングする訪れるモバイルネットワークに接続される本発明の実施形態において、アクセスネットワークリクエストは、第1のアクセスネットワーク発見及びサーバ機能エンティティに転送される前に、訪れるモバイルネットワークに位置する第2のアクセスネットワーク発見及びサーバ機能エンティティによって受信される。
【0021】
本実施形態は、モバイルネットワークに、その登録されたユーザ機器の1つが、このホームネットワークと固定されてインターワーキングしない他の無線ローカルエリアネットワークにアクセスできるが、このモバイルネットワークとインターワーキングする別のモバイルネットワークに接続される範囲に関して、ある程度の制御を維持することを可能にする。
【0022】
本発明の別の実施形態において、プローブリクエストは、ユーザ機器のホームモバイルネットワークに位置するアクセスネットワーク発見サーバ及び機能エンティティによって伝送され、応答メッセージは、前記アクセスネットワーク発見サーバ及び機能エンティティに伝送される。これにより、ユーザ機器は、このホームモバイルネットワークの有効範囲下に依然としてある間に、無線ローカルエリアネットワークへの接続を要求することが可能となる。
【0023】
具体的な特徴によれば、第1の情報は、無線ローカルエリアネットワークのアクセスネットワークサーバによって行われるアクセス認可決定を簡略化するために、ホームモバイルネットワークの識別子である。第1の情報がユーザ機器の識別子である別の具体的な特徴によれば、方法は、更に、ユーザ機器の前記識別子に基づいて、ホームモバイルネットワークの識別子を取得するステップを含む。これにより、ユーザ機器が、未知の無線ローカルエリアネットワークを調べる場合に、そのホームネットワークの識別情報を明らかにすることを防いでいる。
【0024】
本発明の第2の目的によれば、ホームモバイルネットワークに登録されるユーザ機器のために、無線ローカルエリアネットワークへのアクセスを付与するための装置であって、
ユーザ機器のホームモバイルネットワークを識別することを可能にする第1の情報を備えるプローブリクエストを受信することができる受信ユニットと、
前記第1の情報からの前記ホームモバイルネットワークの識別に基づいて、前記ユーザ機器が接続を許可される無線ローカルエリアネットワークの少なくとも1つのアクセスポイントを決定するよう構成される制御ユニットと、
無線ローカルエリアネットワークの前記少なくとも1つのアクセスポイントを識別する少なくとも1つの識別子を備える応答メッセージを送信するよう構成される伝送ユニットと、を備える装置が提供される。
【0025】
この装置の実施形態において、伝送ユニットは、更に、ユーザ機器のホームモバイルネットワーク内部に位置するアクセスネットワーク発見サーバにポリシーリクエストを送信するよう構成され、受信ユニットは、更に、前記アクセスネットワーク発見サーバから、ネットワーク選択ルールを備えるポリシー応答メッセージを受信するよう構成され、制御ユニットは、更に、前記ネットワーク選択ルールに従って、無線ローカルエリアネットワークの前記少なくとも1つのアクセスポイントを決定するよう構成される。
【0026】
本発明の第3の目的によれば、ユーザ機器であって、
前記ユーザ機器のホームモバイルネットワークを識別することを可能にする第1の情報を備えるプローブリクエストを、無線ローカルエリアネットワークのアクセスネットワークサーバに送信するよう構成される伝送ユニットと、
前記アクセスネットワークサーバから、無線ローカルエリアネットワークの少なくとも1つのアクセスポイントを識別する少なくとも1つのアクセス識別子を備える応答メッセージを受信するよう構成される受信ユニットと、
前記少なくとも1つのアクセス識別子を用いて、ユーザ機器を前記無線ローカルエリアネットワークと接続するよう構成される処理ユニットと、を備えるユーザ機器が提供される。
【0027】
本発明の第4の目的によれば、前で説明したようなユーザ機器と、ユーザ機器に無線ローカルエリアネットワークに対するアクセスを付与するための、前で説明したような装置を備えるネットワークシステムが提供される。
【0028】
本発明の第5の目的によれば、コンピュータプログラムであって、このコンピュータプログラムがプロセッサ上で実行される場合、無線ローカルエリアネットワークへのアクセスを付与するための、上で説明したような方法のステップを実行するためのコード命令を備えるコンピュータプログラムが提供される。また、かかるコンピュータプログラムを格納する記録媒体も提供される。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、既に検討した図1A及び1Bに加えて、添付図面を参照して、非制限の例示的な実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】(非特許文献3)の図4.2.3-3に定義されているような「ホームルーティングされる」シナリオにおけるローミングアーキテクチャを示す。
図1B】(非特許文献3)の図4.2.3-5に定義されているような「ローカルブレイクアウト」シナリオにおけるローミングアーキテクチャを示す。
図2図2は、本発明によるネットワークアーキテクチャの第1の実施形態を示す。
図3図3は、本発明によるネットワークアーキテクチャの第2の実施形態を示す。
図4図4は、本発明によるネットワークアーキテクチャの第3の実施形態を示す。
図5図5は、本発明によるネットワークアーキテクチャの第4の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の幾つかの実施形態を、添付図面を参照して、より詳細に説明する。
【0032】
本発明者らはここで、本発明によるネットワークアーキテクチャの第1の実施形態を示す図2を参照する。
【0033】
この実施形態において、ネットワークアーキテクチャは、ユーザ機器11(通常、モバイルネットワーク無線インタフェース及び無線ローカルエリアネットワーク無線インタフェースを有するスマートフォン、タブレット、又は何れかのモバイルデバイス等のモバイル端末)のホームモバイルネットワークであるモバイルネットワーク21、即ち、ユーザ機器11が登録される(通常、このユーザ機器11のユーザが加入した)モバイルネットワークを備えている。かかるモバイルネットワーク21は、通常、3GPPモバイルネットワーク、即ち、3G又は4Gモバイルネットワーク等の3GPP標準規格に従って動作するモバイルネットワークである。
【0034】
ネットワークアーキテクチャは更に、通常、IEEE802.11x標準規格に定義されているような伝送技術及びプロトコルを用いるWiFiネットワークである、WLANネットワークとも呼ばれる無線ローカルエリアネットワーク22を備えている。かかるWLANネットワークは、建物の内部に位置する1つ又は幾つかのアクセスポイントを備える屋内ローカルエリアネットワーク、又は、都市内の特定の地域をカバーする「ホットスポット」とも呼ばれる幾つかのアクセスポイントを備える屋外のローカルエリアネットワークであってもよい。
【0035】
このWLANネットワーク22は、WLANネットワーク22のアクセスポイントに対するモバイル端末のアクセスを制御するアクセスネットワークサーバ13に接続される1つ以上のアクセスポイント12(ここでは簡素化するために、1つだけを図示している)を備える。
【0036】
アクセスネットワークサーバ13は、WiFi Alliance(WFA)技術委員会によって発行された技術仕様書「Hotspot 2.0(リリ-ス2)バージョン1.03」に定義されているようなANQPプロトコル(「アクセスネットワーククエリプロトコル」の略)を用いるサーバとして通常実装されてもよい。かかるANQPプロトコルにより、モバイル端末がWLANアクセスポイントを見つけ出し、それらの識別子、それらの容量、又はそれらのWANメトリックス等のこれらのアクセスポイントに関する異なる種類の情報を問い合わせることが可能となる。
【0037】
この第1の実施形態において、WLANネットワーク22へのアクセス付与プロセスは、以下のように実行される。
【0038】
ユーザ端末11がWLANネットワーク22のアクセスポイント12の有効範囲に入った場合、それは、このアクセスポイントによって発せられるビーコン信号を受信するため、認識する。かかるビーコン信号の検出に続いて、ユーザ端末11は、プローブリクエスト(通常、無線信号フォーマット内のANQPプローブリクエスト)を、このアクセスポイント12に向けて送信でき(ステップ101)、かかるプローブリクエストは、アクセスポイント12によって、WLANネットワーク22内部のアクセスネットワークサーバ13に転送される(ステップ103)。アクセスポイント12とアクセスネットワークサーバ13との間のネットワーク接続性に応じて、プローブリクエストは、無線信号として保持されるか、アクセスポイント12によって、このネットワーク接続性と、並びに、ユーザ機器11とアクセスネットワークサーバ13との間で用いられるプロトコルメッセージフォーマットと互換性がある別の信号フォーマットに変換されてもよい。
【0039】
このプローブリクエストは、好ましくは、セキュアなアクセス認可プロセスによりユーザ機器のホームモバイルネットワークを一意に識別する方法で、ユーザ機器11のホームモバイルネットワーク21を識別することができる第1の情報を備えている。
【0040】
実施形態において、この第1の情報は、このホームモバイルネットワーク21の識別子、例えば、そのPLMN識別子(即ち、MCCモバイルカントリーコード+MNCモバイルネットワークコード)である。かかる場合において、アクセスネットワークサーバ13は、この情報からホームモバイルネットワークを直接識別できる。
【0041】
別の実施形態において、第1の情報は、ユーザ機器11を用いる加入者のIMEI番号である。かかるIMEI番号を用いて、アクセスネットワークサーバ13は、それらのモバイルネットワークの識別子と共にマッピングされたIMEI番号を格納するリモートデータベースからその識別情報を取得することによって、ホームモバイルネットワーク21を間接的に識別できる。一実施形態において、このマッピングは、ホームモバイルネットワーク21がアクセスネットワークサーバ13によって伝送されるこのIMEI番号を受信した後に、ホームモバイルネットワーク21に位置するアクセスネットワーク及び発見サーバ機能エンティティによって解決されてもよい。別の実施形態において、このマッピングは、ホームモバイルネットワーク21がWLANネットワーク22に位置するアクセス及び認可サーバ(例えば、AAAサーバ)からこのIMEI番号を受信した後に、ホームモバイルネットワーク21内部のHSSサーバによって解決される。
【0042】
従って、アクセスネットワークサーバ13がこのプローブリクエストを受信すると、それは、前で説明したように、第1の情報に基づいてユーザ機器11のホームモバイルネットワーク21の識別情報を判断し、アクセスを、このホームモバイルネットワーク21と登録されるユーザ機器に付与できるか否かを決定する。かかる決定は、例えば、WLANネットワーク22とモバイルネットワーク21との間の取引関係の存在に基づいて行うことができる。代替として、WLANネットワークは、ブラックリストに記載されたものを除いて、何れかのモバイルネットワークに登録されているモバイルユーザに対してアクセスを自動的に付与できる。
【0043】
特定の実施形態において、プローブリクエストはまた、事前にユーザ機器11自体又はこのユーザ機器内部に位置するSIM/USIMカードに格納され、ユーザ機器11がそのホームモバイルネットワーク21によって接続することを可能とされるWLANネットワークのリストを示す、WLANネットワーク識別子のリスト(いわゆる「好ましいWiFiネットワーク」)も備えている。他の言葉では、モバイルネットワーク21の事業者は、そのユーザが現在のプロセスにより自動的に接続してもよいWLANネットワークを制限してもよく、ユーザ機器11内でのかかる制限リストの記憶、及び、ユーザ機器11によって送信されるプローブリクエスト内へのこの制限リストの挿入を課してもよい。かかる場合において、アクセスネットワークサーバ13はまた、それ自体の要件に加えて、そのWLANネットワーク21がこのネットワークのリストに属していることもチェックし(例えば、それ自体のWLAN識別子がプローブリクエスト内のWLAN識別子のリストに属していることをチェックすることによって)、これがその場合である時のみ、ユーザ機器11にアクセスを付与する。
【0044】
一方で、仮にアクセスネットワークサーバ13が、ユーザ機器11はWLANネットワーク22に対するアクセスを付与されるべきではないと判断すると、アクセスネットワークサーバ11は、アクセスポイント12を介してユーザ機器11に否定応答メッセージを送信することによって明示的に、又は、プローブリクエストに対して全く応答しないことによって暗黙的に、のどちらか一方でアクセスを拒否できる。この最後の場合、ユーザ機器11は、決定された期間の期限後、又は、ANQPサーバからプローブリクエストの多数の繰り返される伝送後、ユーザ機器が何の応答も全く受信していない場合に、かかるアクセス拒否を導出する。
【0045】
他方で、仮にアクセスネットワークサーバ13が、ユーザ機器11がWLANネットワーク22に対するアクセスを付与されてもよいことを決定すると、それは、アクセスポイント12に応答メッセージを返送し(ステップ105)、次いで、それをユーザ機器11に転送する(ステップ107)。応答メッセージを転送する場合、アクセスポイント12は、この応答メッセージを、用いられる標準化プロトコル又はインタフェースにより、ANQPサーバからユーザ機器へのかかる応答の伝送と互換性のある信号フォーマットに適合させてもよい。
【0046】
この応答メッセージは、ユーザ機器11に接続を許可するWLANネットワーク22の1つ以上のアクセスポイントを識別する1つ以上のアクセス識別子を備えている。一実施形態において、SSID識別子等の1つのアクセス識別子は、WLANネットワーク22の各アクセスポイントに対して送信することができ、これらのSSID識別子は、WLANネットワークサービスプロバイダの基本設定に基づいて、優先順位でリストに記載されている。別の実施形態において、NAI領域識別子等の共通アクセス識別子は、領域エリアを有効範囲に含む複数のアクセスポイントを識別するために送信することができる。代替として、WFA技術仕様書によって定義されるようなプローブ応答に含まれるWiFiネットワークを表す識別子が用いられてもよい。
【0047】
特定の実施形態において、この応答メッセージはまた、以下のような、この応答メッセージにおいて識別されるアクセスポイントのそれぞれに関する追加情報を備えていてもよい。
- インターネットアクセスを提供するアクセスポイントの容量;
- ユーザ機器11とやり取りするデータトラフィックのためにアクセスポイントが確保できる最大帯域幅;
- アクセスポイントとユーザ機器11との間のデータリンクに関するWANメトリックス情報(ダウンリンク速度、アップリンク速度、ダウンリンク割合ローディング、アップリンク割合ローディング、ロード測定期間等)
【0048】
一旦かかるアクセス識別子を取得すると、ユーザ機器11は、次いで、WLANネットワーク22によって提供されるインターネット又は他の種類のネットワークローカルサービスにアクセスするために、WiFiネットワーク識別子によって表されるような同じWiFiネットワークに属するWLANネットワーク22のアクセスポイントとの(例えば、アクセス識別子を得るよう管理される同じアクセスポイント12との、又は、その間にもWLANネットワーク有効範囲内を移動した場合には、別のアクセスポイントとの)接続を確立できる。前で説明したような追加情報がアクセス識別子と共に送信された場合、ユーザ機器11は、どのアクセスポイントに接続するかを決定する時にかかる追加情報を用いることができる。
【0049】
この第1の実施形態は、従って、ユーザ機器11がそれ自体のホームモバイルネットワークの有効範囲内にあるかどうかとは無関係に、ユーザ機器11が、ユーザ機器11のホームモバイルネットワークと何のインターワーキング関係もないWLANネットワークの有効範囲内にある場合(例えば、ユーザが、彼自身のモバイルネットワークと何のインターワーキング又はローミングもないホテルのWiFiネットワークにアクセスしたいと望む場合)に、特に適用できる。
【0050】
本発明者らはここで、本発明によるネットワークアーキテクチャの第2の実施形態を示す図3を参照する。
【0051】
この第2の実施形態は、WLANネットワーク22のアクセスネットワークサーバ13が、ユーザ機器11のホームモバイルネットワーク21に位置するアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14との(通常、論理インタフェースを介する)相互作用を有するという点で第1のものとは異なる。言い換えれば、モバイルネットワーク21及びWLANネットワーク22の両方は、取引及び/又はローミング関係を有するが、2つのネットワーク間の、例えば、3GPPで定義されるような直接的なインターワーキング機能は持っていない。
【0052】
この第2の実施形態において、アクセスネットワークサーバ13は、依然として、ユーザ機器11にアクセスを付与するか否かを決定することを担当している。しかし、この時、それは、この決定を行う場合にユーザ機器11のホームモバイルネットワーク21の事業者によって定義されるルール及びポリシーを考慮に入れ、これらのルール及びポリシーは、モバイルネットワーク21内に位置するアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14によって実施される。
【0053】
かかるアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14は、通常、文書3GPP TS24.302に定義されるようなANDSFサーバ(「アクセスネットワーク発見及び選択機能」の略)である。かかるANDSFサーバは、ネットワーク発見(即ち、特定の基準によりモバイルネットワーク及び/又はWLANアクセスポイントのリストをモバイル端末に提供すること)及びネットワーク選択ポリシー施行(例えば、モバイルネットワーク事業者の基本設定に基づいて前記リストに優先順位を付けること)の機能に専用のスタンドアローンサーバとして実装されてもよい。代替として、ANDSFサーバは、アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティが追加のコンピュータプログラムモジュールにより実装されるPCRFサーバ(「ポリシー及び課金ルール機能」の略)として実装されてもよい。
【0054】
この第2の実施形態において、WLANネットワーク22へのアクセス付与プロセスは、以下のように実行される。
【0055】
第1の実施形態と同様に、ユーザ端末11は、WLANネットワークのアクセスポイント12に向けてプローブリクエストを送信し(ステップ201)、かかるプローブリクエストは、このアクセスポイント12によってWLANネットワーク内側のアクセスネットワークサーバ13に転送される(ステップ203)。
【0056】
アクセスネットワークサーバ13がこのプローブリクエストを受信すると、それは、ホームモバイルネットワーク21の識別情報からアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14のネットワークアドレス(例えば、IPアドレス)を判断し(例えば、DNSサーバに照会することによって)、このネットワークアドレスを用いて、ポリシーリクエストをこのアクセスネットワーク発見機能エンティティ14に送信する(ステップ205)。かかるポリシーリクエストは、WLANネットワーク22の識別子を備え、加えて、ユーザ機器11から受信したホームモバイルネットワーク21の識別パラメータを備えてもよい。
【0057】
アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14がこのポリシーリクエストを受信すると、それは、WLANネットワーク22の識別子を評価し、この識別子により、アクセスネットワークサーバ13に伝送されるようネットワーク選択ルールを選択する(ステップ206、図示せず)。このルールは、WLANネットワークに接続したいと望む、並びに、関連情報に課金するユーザ機器のためのアクセス可能性及びアクセスポイント選択優先度等の情報を説明できる。
【0058】
アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14は次いで、ポリシー応答メッセージをアクセスネットワークサーバ13に返し(ステップ207)、このメッセージは、アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14によって決定されたネットワーク選択ルールを備えている。
【0059】
アクセスネットワークサーバ13がこのポリシー応答メッセージを受信すると、それは、ユーザ機器11にアクセスを付与するか否かを決定する場合にネットワーク選択ルールを用いることができる(ステップ208、図示せず)。特に、アクセスネットワークサーバ13が、同じ又は異なるWiFiネットワーク/プロバイダに属してもよいその複数のアクセスポイントに対するアクセスを付与することを決定した場合、これらのアクセスポイントは、かかるネットワーク選択ルールによって定義されるような優先順位でリストに記載されてもよい。
【0060】
アクセスネットワークサーバ13がユーザ機器11に対してアクセスを付与することを決定した場合、それは、応答メッセージをアクセスポイント12に返送し(ステップ209)、次いで、できる限りそれをユーザ機器に向けたかかる応答メッセージの伝送と互換性のある信号フォーマットに適合させた後で、それをユーザ機器11に転送し(ステップ211)、かかる応答メッセージは、ユーザ機器11に接続を許可するWLANネットワークの1つ以上のアクセスポイントを識別する前記のアクセス識別子を備えている。
【0061】
一旦かかるアクセス識別子を取得すると、ユーザ機器11は、次いで、WLANネットワーク22によって提供されるインターネット又は他の種類のネットワークローカルサービスにアクセスするために、WLANネットワーク22のアクセスポイントとの(例えば、アクセス識別子を得るよう管理される同じアクセスポイント12との、又は、その間にもWLANネットワーク有効範囲内を移動した場合には、応答メッセージに含まれるWiFiネットワーク識別子によって表されるような同じWiFiネットワークに属する別のアクセスポイントとの)接続を確立できる。
【0062】
この第2の実施形態は、従って、ユーザ機器11がそれ自体のホームモバイルネットワークの有効範囲内にあるかどうかとは無関係に、ユーザ機器11が、ユーザ機器11のホームモバイルネットワークと同じ取引又はローミング関係を有するWLANネットワークの有効範囲内にある場合(言い換えれば、WLANネットワークのアクセスネットワークサーバが、ホームモバイルネットワークのアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティとの、それが存在する場合、相互作用を有する場合)に、特に適用できる。
【0063】
本発明者らはここで、本発明によるネットワークアーキテクチャの第3の実施形態を示す図4を参照する。
【0064】
この第3の実施形態において、ユーザ機器11が接続を試行しているWLANネットワークは、「訪れたモバイルネットワーク」とも呼ばれ、図4においてV-NWによって指定されている別のモバイルネットワーク23とインターワーキング関係を有しており、それ自体は、(非特許文献3)に説明されているような方法で、ユーザ機器11のホームモバイルネットワーク21とインターワークする。ホームモバイルネットワーク21と同様に、訪れたモバイルネットワーク22は、通常、3GPPモバイルネットワークであり、即ち、3GPP標準規格に従って動作するモバイルネットワークである。
【0065】
このネットワークアーキテクチャにおいて、ホームモバイルネットワーク21に位置する第1のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14を超えて、第2のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ15が訪れるモバイルネットワーク23に位置し、WLANネットワークのアクセスネットワークサーバ13が、前の実施形態において説明したような第1のアクセスネットワーク発見機能エンティティ14ではなく、この第2のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ15に接続されている。
【0066】
この第3の実施形態において、WLANネットワーク21へのアクセス付与プロセスは、以下のように実行される。
【0067】
最初の2つの実施形態と同様に、ユーザ端末11は、WLANネットワークのアクセスポイント12に向けてそのプローブリクエストを送信し(ステップ301)、かかるプローブリクエストは、このアクセスポイント12によってWLANネットワーク22内側のアクセスネットワークサーバ13に転送される(ステップ303)。
【0068】
アクセスネットワークサーバ13がこのプローブリクエストを受信すると、それは、予め説明したように、ユーザ機器11のホームネットワーク21の識別情報を判断でき、この情報から、このネットワーク21内部のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14のネットワークアドレス(例えば、IPアドレス)を取得できる。アクセスネットワークサーバ13は、次いで、このネットワークアドレスを用いてこのアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14の送信すべきポリシーリクエストを準備する(ステップ304、図示せず)。
【0069】
かかるポリシーリクエストは、次いで、訪れたネットワーク23の第2のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ15に送信され(ステップ305)、それはこのポリシーリクエストを、ユーザ機器11のホームモバイルネットワーク21に位置するアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14へ転送する(ステップ307)。この転送ステップは、アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ15がポリシーリクエストの有効性を評価した後でのみ、例えば、ユーザ機器11がローミングパートナーのネットワークに属し、任意選択的に、十分な情報が、アクセスネットワークサーバ及び選択機能エンティティに対して、ユーザ機器によるWiFiネットワークへのアクセスを許可する決定を行うために利用可能であるかどうかをチェックした後にトリガーされてもよい。
【0070】
このアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14は、ユーザ機器11によって用いることができるWLANアクセスポイントの優先順位リスト等のモバイルネットワーク21に登録されたユーザ機器によって用いることができるWLANネットワークの選択に関するネットワーク選択ルールを備えるポリシー応答メッセージを返す。このポリシー応答メッセージは、訪れたモバイルネットワーク23内部のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ15に返され(ステップ309)、それをWLANネットワーク内のアクセスネットワークサーバ13に転送する(ステップ311)。
【0071】
アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14から受信したネットワーク選択ルールに基づいて、アクセスネットワークサーバ13は、ユーザ機器11にアクセスを付与するか否かを決定する(ステップ312、図示せず)。この場合、それは、ユーザ機器11に、アクセスポイント12を介して、アクセスポイントが属し、このユーザ機器11が接続できるWiFiネットワークのアクセス識別子を備えるプローブ応答メッセージを送信する(ステップ313及び315)。ユーザ機器11は、次いで、かかるアクセス識別子を用いて、WLANネットワーク22のアクセスポイントとの接続を確立できる。
【0072】
この第3の実施形態は、従って、ユーザ機器11がそれ自体のホームモバイルネットワークの有効範囲内にあるかどうかとは無関係に、アクセスネットワークサーバ13と、ユーザ機器11のホームモバイルネットワークとのインターワーキング/ローミング関係を有するモバイルネットワーク内部のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14との間の相互作用によって例示されるように、ユーザ機器11が、幾つかの取引又はローミング関係を有するWLANネットワークの有効範囲内にある場合に、特に適用できる。
【0073】
本発明者らはここで、本発明によるネットワークアーキテクチャの第4の実施形態を示す図5を参照する。
【0074】
この第4の実施形態において、ユーザ機器11が、このモバイルネットワーク21に所属する基地局16によって有効範囲に含まれるセル内部にあり、WLANネットワーク22のアクセスポイントの有効範囲内に(まだ)いない可能性がある場合に、ユーザ機器11は、それ自体のWLANネットワーク22を介してではなく、そのホームモバイルネットワーク21を経由してWLANネットワーク22に対するアクセスを要求している。WLANネットワークに対するアクセスを付与するか否かの決定は、依然として、WLANネットワークのアクセスネットワークサーバ13によって、以下のように行われる。
【0075】
ユーザ機器11は、最初に、WLAN接続リクエストを、ホームモバイルネットワーク21内部のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14に向けて送信する。これは通常、このリクエストを無線チャンネル上で基地局16に送信するユーザ機器11によって達成され(ステップ401)、基地局は次いでこのリクエストをこのモバイルネットワーク21内部で転送し(ステップ403)、ここで、特定の数のルーティングノード(図示せず)を経由してアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14にルーティングされる。
【0076】
このWLAN接続リクエストは、例えば、そのユーザによって、彼がこの識別子を知っている場合にユーザ機器11に入力されるWLANネットワーク21の識別子を備えていてもよい。代替として、WLAN識別子が利用できない場合(例えば、ユーザ機器11は、どのWLANネットワークがアクセス可能であるかをまだ知らないため)、WLAN接続リクエストは、例えば、アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14に、クエリーリクエストをWLANネットワーク22のアクセスネットワークサーバに送信するよう問い合わせるために、かかるリクエストに挿入される「WLANアクセス」パラメータを「真」に設定されるようイネーブルにすることによって、ユーザ機器11がWLANネットワークにアクセスすることを要求していることの表示だけを含んでもよい。
【0077】
このリクエストを受信した後、アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14は、WLANネットワーク22のアクセスネットワークサーバ13に、このサーバ13にクエリーリクエストを送信することによって、問い合わせる(ステップ405)。このクエリーリクエストを送信するために、アクセスネットワークサーバ13のネットワークアドレスは、WLAN接続において受信されるWLANネットワーク21の識別子に基づいて取得されてもよい。このクエリーリクエストは、ホームモバイルネットワーク21の識別子(例えば、そのHPLMN識別子)を備え、また、ユーザ機器11によって用いられるWLANアクセスポイントの優先順位リスト等のWLANネットワーク選択に関するネットワーク選択ルールも備えていてもよい。
【0078】
アクセスネットワークサーバ13は次いで、アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14が送信した可能性があるネットワーク選択ルールを場合により考慮する、前で説明したような、ユーザ機器11に対してアクセスを付与するか否かを決定し(ステップ406、図示せず)、かかるアクセスを付与することを決定する場合、WLANネットワークの1つ以上のアクセスポイントを識別する1つ以上のアクセス識別子、例えば、アクセスポイント12のSSID識別子を備える応答メッセージにより返信する(ステップ407)。
【0079】
この応答メッセージをアクセスネットワークサーバ13から受信すると、アクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14は、ユーザ機器11のための応答メッセージを準備でき、かかる応答メッセージは、モバイルホームネットワーク21内部のメッセージ伝送と互換性のある伝送フォーマットであり、前記のアクセス識別子を備えている(ステップ408、図示せず)。この応答メッセージは、次いで、通常、基地局16を経由してユーザ機器11に返信され(ステップ409)、基地局は、ユーザ機器がこの基地局16によって有効範囲に含まれるセルに位置する場合に、この応答を無線チャンネル上でユーザ機器11に転送する(ステップ411)。
【0080】
かかるアクセス識別子を取得した場合、ユーザ機器11が、例えば、WLANネットワーク22によって提供されるインターネット又は他の種類のネットワークローカルサービスにアクセスするために、このアクセスポイントの有効範囲下で移動すると、ユーザ機器11は、次いで、WLANネットワーク22のアクセスポイントとの(例えば、SSID識別子、又は、WFA技術仕様書に定義されているような他のWiFiネットワークアクセス識別子を用いてアクセスポイント12との)接続を確立できる。この接続が一旦確立されると、前に確立されたホームモバイルネットワーク21との接続は、ユーザ機器が依然としてモバイルネットワーク21の有効範囲内にあれば、帯域幅等の幾つかのリソースを解放するために、3GPPアクセスからWiFiアクセスへのトラフィックの全て又は一部をオフロードすることによって、切断されてもよい。
【0081】
本発明はまた、ホームモバイルネットワークに登録されるユーザ機器のために、本発明による無線ローカルエリアネットワークに対するアクセスを付与するための装置にも関する。かかる装置は、特に、WLANネットワーク22内に位置する場合に、前で説明したアクセスネットワークサーバ13を実装するために用いることができる。
【0082】
この装置は、ユーザ機器11のホームモバイルネットワーク21を識別することを可能にする第1の情報を備える、前で説明したような、プローブリクエストを受信することができる受信ユニットを備えている。この受信ユニットは、このプローブリクエストをこのアクセスポイントを介してユーザ機器11自体から受信するために、WLANネットワーク22のアクセスポイントに接続可能であってもよく、又は、それは、かかるアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティからこのプローブリクエストを受信するために、ホームモバイルネットワーク21又は訪れたモバイルネットワーク23のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14又は15に接続可能であってもよい。それは、また、受信ユニットによって受信される第1の情報からのそのホームモバイルネットワークの識別に基づいて、ユーザ機器11が接続を許可される無線ローカルエリアネットワークの1つ以上のアクセスポイントを決定するよう構成される制御ユニット(例えば、プロセッサとして実装される)も備えている。
【0083】
この装置は、また、無線ローカルエリアネットワークの1つ以上のアクセスポイントを識別する1つ以上の識別子を備える、前で説明した応答メッセージを送信するよう構成される伝送ユニットも備えている。この伝送ユニットは、応答メッセージをこのアクセスポイントを介してユーザ機器11に伝送するために、WLANネットワーク22のアクセスポイントに接続可能であってもよく、又は、それは、この応答メッセージをかかるアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティに送信するために、ホームモバイルネットワーク21又は訪れたモバイルネットワーク23のアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14又は15に接続可能であってもよい。
【0084】
ユーザ機器のホームモバイルネットワークの事業者によって定義される基準を考慮に入れるために、この伝送ユニットは、更に、ポリシーリクエストをユーザ機器11のホームモバイルネットワーク21内部に位置するアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14に送信するよう構成されてもよく、受信ユニットは、更に、このアクセスネットワーク発見及び選択機能エンティティ14から、ネットワーク選択ルールを備えるポリシー応答メッセージを受信するよう構成されてもよく、制御ユニットは更に、このネットワーク選択ルールに従って、無線ローカルエリアネットワーク22の1つ以上のアクセスポイントを決定するよう構成されてもよい。
【0085】
本発明を特定の具体的な実施形態を参照して説明してきたが、種々の変更及び改良を、添付の特許請求の範囲において定義されるような本発明の適用範囲から逸脱することなく行ってもよいことは理解すべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5