(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】表示灯
(51)【国際特許分類】
G09F 13/04 20060101AFI20241106BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20241106BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20241106BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241106BHJP
【FI】
G09F13/04 J
F21V8/00 330
F21V8/00 310
G08B17/00 H
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2023059774
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2021158616の分割
【原出願日】2017-07-19
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】堀越 哲也
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-194692(JP,A)
【文献】特開2001-014570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00-13/46
G08B 17/00
G08B 23/00-31/00
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信機収納部と、該発信機収納部の周囲を囲むように形成されて発光源が発光する光を透光させて光る発光表示部とを備えた表示灯であって、
周方向で繋がったリングの筒状体からなり、該筒状体の背面側に反射面が形成され、前記発光源の光を拡散させて表面側を発光面として光らせる導光板を有し、前記発光表示部は前記導光板から出射する光によって発光するように構成され
、
前記導光板は、不透光性の樹脂からなる外周壁部と不透光性の樹脂からなる内周壁部の間に挿入されていることを特徴とする表示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば消火栓箱、機器収納箱等に取り付けられる発信機等の防災機器の位置を表示する表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
表示灯の一例として、例えば特許文献1(意匠登録第1460558号公報)には、「中央部に発信機を取り付けるための略矩形状の開口を有し、赤色に着色された半透明部材から成る環状の表示灯本体と、表示灯本体に着脱自在に螺着され、表示灯本体を消火栓格納箱等へ取り付けるための環状の取り付け部材と、表示灯本体と取り付け部材との間に挟持固定され、発光ダイオード(LEDランプ)を等角度ごとに取り付けた環状の基板とから構成されており、表示灯本体の環状空間に配置された発光ダイオードの光を正面及び周囲に環状に放射するようにしたもの」(特許文献1における意匠に係る物品の説明)が開示されている。
【0003】
上記の表示灯においては、環状に発光させることによって視認性の向上を図れ、また、その中央部に発信機を取り付けられるため、表示灯と発信機を別々の位置に設置していたものに比較して設置に必要な面積を小さくすることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された表示灯は、発光ダイオードを等間隔で多数配置して環状の発光表示部を光らせることで視認性を向上させている。
しかし、環状の全周を光らせるために多数の発光ダイオードが必要であり、それ故に基板も環状の全周に亘るものが必要となっている。
また、点在する発光ダイオードによって発光表示部を光らせるようにしたので、発光ダイオードのある箇所に光が点在するように見え、意匠上好ましいとは言えない。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、発光表示部が環状のものにおいて、発光源の数を増すことなく、意匠性にも優れた表示灯を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(A-1)
本発明に係る表示灯は、筒体からなる外周壁部と、該外周壁部の内周側に前記外周壁部と所定の間隔を離して形成された内周壁部と、該内周壁部の内側に形成された発信機収容部と、前記内周壁部と前記外周壁部との間に形成されて発光源が発光する光を透光させて光る発光表示部とを備えたものであって、
背面側に反射面が形成され、側面から入射した光を拡散させて表面側を発光面として光らせる導光板を有し、
該導光板は前記外周壁部と前記内周壁部との間に形成された隙間に挿入され、かつ前記外周壁部と前記内周壁部は不透光性の樹脂から形成され、
前記発光表示部は前記導光板から出射する光によって発光するように構成されていることを特徴とするものである。
(A-2)また、上記(A-1)に記載のものにおいて、前記導光板はリング状の筒状体からなり、該筒状体の周方向の一部に切断部又は高さ方向に凹む凹部が形成され、前記切断部又は凹部によって前記発光源が筒状体の周方向に向けて光を入射させる前記側面が形成されていることを特徴とするものである。
(1)本発明に係る表示灯は、発信機収納部と、該発信機収納部の周囲を囲むように形成されて発光源が発光する光を透光させて光る発光表示部とを備えた表示灯であって、
背面側に反射面が形成され、側面から入射した光を拡散させて表面側を発光面として光らせる導光板を有し、前記発光表示部は前記導光板から出射する光によって発光するように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記導光板はリング状の筒状体からなり、該筒状体の周方向の一部に切断部又は高さ方向に凹む凹部が形成され、前記切断部又は凹部によって前記発光源が筒状体の周方向に向けて光を入射させる前記側面が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、発光表示部を導光板によって光らせるようにしたので、発光源の数を少なくでき、それ故に基板を小型化でき、かつ発光源が点在するような光り方でなく面状に光らせることができるので、意匠性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る表示灯の斜視図である。
【
図2】
図1に示した表示灯の正面側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図1に示した表示灯の背面側から見た分解斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施の形態に係る表示灯の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る表示灯1は、
図1~
図4に示すように、略円筒体からなる外周壁部3と、外周壁部3の前端側の外周面から外方に張り出すフランジ状の取付部5と、外周壁部3の内周側に外周壁部3と所定の間隔を離して形成された内周壁部7と、内周壁部7と外周壁部3との間にリング状に形成され発光源としてのLED9が発光する光を透光させて光る発光表示部11と、内周壁部7の内側に形成された発信機収納部13とを有している。
【0012】
なお、外周壁部3、取付部5、内周壁部7及び発信機収納部13は表示灯1の本体部を構成し、この本体部は樹脂の一体成形により成形されたものである。また、発光表示部11は後述するようにリング状の筒状体からなる導光板15の発光面15bによって構成されるが、導光板15は本体部とは別体のものである。このような場合、発光表示部11を形成する導光板15を、本体部を成形する金型に予めインサートして射出成形するいわゆるインサート成形によって形成することができる。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0013】
<外周壁部>
外周壁部3は、本体部を構成する樹脂製の部材によって略短円筒状に形成されている。
【0014】
<取付部>
取付部5は、表示灯1を取付面に取り付けるためのものであり、外周壁部3の前端側の外周面から外方に張り出す略正方形のフランジ状に形成されている。
取付部5の四隅には、
図1および
図2に示すように、表示灯1を取付面に取り付けるためのネジ孔5aが設けられている。
取付部5には、発光表示部11の外周を縁取るリング状の立片部5bが設けられている。立片部5bは、表示灯1が取付面に取り付けられる際に、取付面に設けられた開口部の縁に内側から当接して表示灯1の位置決め(位置合せ)をする機能を有している。
【0015】
<内周壁部>
内周壁部7は、外周壁部3の内周側に外周壁部3と所定の間隔を離して形成された円形の壁部である。このような内周壁部7があることで、外周壁部3との間に円筒状の隙間が形成され、この隙間に発光表示部11を形成するリング状の筒状体からなる導光板15を挿入できるようになっている。
【0016】
<発光表示部>
発光表示部11は、後述する発信機収納部13の周囲を囲むように形成されて発光源(LED9)が発光する光を透光させて光るものである。発光表示部11は、背面側に反射ドット17を形成した反射面15aが形成され、側面から入射した光(円周方向に向かって入射した光)を拡散させて発光面15b(表面)を光らせるリング状の導光板15の発光面15bによって形成されている。
一般に導光板とは、アクリル板の側面(板の厚み部分)から入射した光を拡散させ、アクリル板の表面に均一な光を出す薄いパネルからなるものである。
何らの加工もしないアクリル板の側面から光を入射させると、光はアクリル板の背面と表面で全反射して他方の端面から出光するが、導光板は、アクリル板の背面に特殊な反射面(反射ドット)を形成することで、光源からアクリル製の導光板内に導かれた光をアクリル板の全反射を用いてアクリル板表面に導き、反射ドットに当たった光がその進路を変え、全反射角よりも小さい角度になった光がアクリル板表面から出てくることを利用して、導光板表面が光るようにしたものである。
【0017】
上記のように一般的な導光板は、モニタ等の表示部に用いられる薄い板状のものであるが、本発明の導光板15はリング状の筒状体からなり、
図2、
図3に示すように、該筒状体の周方向の一部に高さ方向に凹む凹部19が形成され、凹部19を形成することで凹部19の両側壁21が光を入射する側面として機能するようになっている。そして、筒状体の高さ方向の一方の端面が、光が出て発光する発光面15bとなり(図中グレー色を付した面)、他方の端面が反射面15a(図中ドットを付した面)となっている。
【0018】
導光板15に入射した光は内部における表面と背面で反射を繰り返して導光板15全体に広がる。この際に反射ドット17があると、そこで光が散乱され、導光板15の発光面15bから外に光が出て行く。このような導光板15は、反射ドット17の面積や密度等を適宜変更することで表面からの光の出方を簡単に変化させることができる。例えば、光の入射位置に近い反射ドット17の面積を小さく(または密度を疎にする)、光の入射位置から遠く離れるほど反射ドット17の面積を大きくする(または密度を密にする)ことにより導光板15全体が均一に光るようにできる。
【0019】
反射面15aの形成は、例えばレーザー波でドットを形成する方法、ドットパターンをシルク印刷によって形成する方法、プロッタで溝を削る方法、型材にアクリルを流し込んで所定のドットパターンを形成する方法など、一般的な導光板の製造に用いられる方法を適用できる。
なお、発光表示部11は常に均一に発光することが好ましいとは限らず、例えば表示灯1を設置した状態で左右や上下等、任意の場所を他よりも明るく光らせることで視認性を高めることができる場合もある。このように、発光表示部11の光り方に変化を持たせるような場合には、反射面15aのドットパターンを変えるだけで容易に対応することができる。
【0020】
<発光源>
発光源は、基板23に搭載されたLED9からなり、
図3、4に示すように、導光板15の凹部19内にLED9が収納されるように基板23を発信機収納部13の背面側にネジ固定する。
本実施の形態では単一の発光源で足りるため、基板23が小型化でき、これによって表示灯1全体の形状を小型化できる。
なお、本実施の形態では導光板15の発光面15bが発光表示部11となるので、LED9としては赤色のものを用いるのが好ましい。
【0021】
<発信機収納部>
発信機収納部13は、
図1及び
図3に示すように、内周壁の内側に形成されており、発信機30を取り付けるためのネジ孔25が設けられた平坦面27と、平坦面27の中央部に発信機30の本体を挿入するための矩形の開口部29を有している。
【0022】
発信機収納部13に収納される発信機30は、
図2、
図3に示す通り、押下されると火災信号を発信する押ボタン31と、円板状からなる押ボタン格納部33と、押ボタン格納部33の背面側に形成された発信機本体部35とを有している。
【0023】
押ボタン格納部33には、押ボタン格納部33の内部に設けられて送受話器が接続される電話ジャック(図示なし)を開閉自在に覆う電話ジャック用窓扉37が設けられている。
発信機本体部35は、箱状からなり内部に押ボタン31に連動するスイッチ等(図示なし)を格納している。
【0024】
図1、4に示すように、発信機30は表示灯1の発信機収納部13に収容されると、発光表示部11に囲まれるように、かつ、発光表示部11の内周縁と略面一になるように配置される。この状態で、表示灯1の発光表示部11が光ることで、発信機30の位置が表示される。
【0025】
上記のように構成された本実施の形態においては、発光表示部11を導光板15の発光面15bによって構成するようにしたので、単一の発光源によって発光面15bの全面を均等にあるいは所望の光らせ方で光らせることができ、従来例のように複数の発光源の光が点在するようなことがないので意匠性に優れる。
また、導光板15を利用することで、発光面15bの光らせ方を反射面15aの形成の仕方によっていかようにでも変えることができる。
【0026】
なお、筒状体からなる導光板15における両周面(筒状体の外周面15cと内周面15d)に外部への光の出光を防止するために反射シートを貼付するようにしてもよい。また、反射シートの代わりに、表示灯1の本体部を不透光性の樹脂等から形成しても良いし、少なくとも外周壁部3及び内周壁部7を不透光性の樹脂等から形成すれば良い。
【0027】
[実施の形態2]
実施の形態1の表示灯1おける発光表示部11は、導光板15の発光面15bそのものによって形成したものであったが、本実施の形態の表示灯39の発光表示部41は、本体部を形成する樹脂によって形成され、その背面側に導光板43を配置するようにしたものである。
導光板43は、内周壁部7と外周壁部3との間の溝部に挿入するようにすればよい(
図6参照)。
【0028】
本実施の形態では、発光表示部41は本体部を形成する樹脂で形成されているので、この樹脂を透光性を有する赤色にすれば、LED9は汎用の白色のものを使用してもよい。
【0029】
なお、実施の形態1の導光板15は周方向で繋がったリングであったが、本実施の形態の導光板43は、
図5に示すように、リングの一部に切断部44が形成されたいわゆるC型リングである。なお、導光板43において、実施の形態1の導光板15の凹部19に代えて切断部44を設けた点以外の構成は導光板15と同様であり、反射面(図示なし)、発光面43bを有している。
【0030】
本実施の形態で一例を挙げたように、導光板43は繋がったリングである必要はなく、全体として略リング状をしておればよく、例えば、2枚の半円状の導光板をリング状に配置して、各導光板の端部の側面にそれぞれ発光源を配置するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、外部への光の出光を防止するために、導光板43における両周面に反射シートを貼付するか、外周壁部3及び内周壁部7を不透光性の樹脂等で形成すれば良い。
【符号の説明】
【0031】
1 表示灯
3 外周壁部
5 取付部
5a ネジ孔
5b 立片部
7 内周壁部
9 LED
11 発光表示部
13 発信機収納部
15 導光板
15a 反射面
15b 発光面
15c 外周面
15d 内周面
17 反射ドット
19 凹部
21 両側壁
23 基板
25 ネジ孔
27 平坦面
29 開口部
30 発信機
31 押ボタン
33 押ボタン格納部
35 発信機本体部
37 電話ジャック用窓扉
39 表示灯(実施の形態2)
41 発光表示部
43 導光板
43b 発光面
44 切断部