(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】センサ装置及び歩行情報通信システム
(51)【国際特許分類】
A43B 13/14 20060101AFI20241106BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20241106BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A43B13/14 Z
A61B5/11 230
G06F3/01 510
(21)【出願番号】P 2023105415
(22)【出願日】2023-06-27
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】中澤 洋介
(72)【発明者】
【氏名】三本松 真広
(72)【発明者】
【氏名】柳 康仁
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079589(JP,A)
【文献】特表2009-535157(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0275098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/00~13/42
A61B 5/11
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の履物に装着されるセンサ装置であって、
人の動きを検出する検出部と、
前記検出部により検出された検出情報に基づいた歩行情報を、外部の端末に送信する通信部と、
前記検出情報を用いて、人の動きを判定し、判定された人の動きに応じて、前記通信部の通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、人の動き
が歩行動作と異なる動作であることを条件として、前記通信部による
歩行情報の送信を可能に制御
し、人の動きが歩行動作であることを条件として、前記通信部による歩行情報の送信をしないように制御する、
センサ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出情報を用いて、前記人の動きが、人の歩行動作である第1の動き又は前記人の歩行動作以外の動作である第2の動きのいずれであるかを判定し、前記人の動きが前記第2の動きであることを条件として、前記通信部による通信を可能に制御する、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記第2の動きは、前記センサ装置が装着された履物の先端部を地面に接触させる動作である第1種別の第2の動き、前記センサ装置が装着された履物の内側面と他の靴の内側面とを接触させる動作である第2種別の第2の動きの、少なくともいずれかである、
請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第1種別の第2の動きは、前記センサ装置が装着された履物の先端部を地面に複数回接触させる動作であり、
前記第2種別の第2の動きは、前記センサ装置が装着された履物の内側面と他の靴の内側面とを複数回接触させる動作である、
請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記検出部は、人の動きの加速度を検出可能であり、
前記制御部は、人の歩行方向の加速度を連続して検出した場合、第1の動きと判定し、
それ以外の加速度を検出した場合、第2の動きと判定する、
請求項2又は請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記制御部は、人に対して上下方向の加速度及び衝撃を連続して検出した場合、前記第1種別の第2の動きと判定し、人の歩行方向に対して外側方向の加速度及び衝撃を連続して検出した場合、前記第2種別の第2の動きと判定する、
請求項
3に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記人の動きが前記第2の動きであることを条件として、前記通信部による通信を可能にし、前記端末とのペアリング処理又は前記端末への前記歩行情報の送信処理を行う、
請求項2又は請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記人の動きが前記第1種別の第2の動きであることを条件として、前記通信部による通信を可能にして前記端末とのペアリング処理を行い、
前記人の動きが前記第2種別の第2の動きであることを条件として、前記通信部による通信を可能にして前記歩行情報を前記端末に送信する、
請求項
3に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記歩行情報は、歩数情報、速度情報、加速度情報の少なくとも何れかの情報である、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記センサ装置は、一対の履物の一方にのみ装着される、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記センサ装置は、一対の履物の一方の履物のソールに、回動不可能に装着される、
請求項
10に記載のセンサ装置。
【請求項12】
端末と、人の履物に装着されるセンサ装置と、を備え、
前記端末は、
前記センサ装置と通信可能な通信部を備え、
前記センサ装置は、
人の動きを検出する検出部と、
前記検出部により検出された検出情報に基づいた歩行情報を、前記端末に送信する通信部と、
前記検出情報を用いて、人の動きを判定し、判定された人の動きに応じて、前記通信部の通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は
、人の動き
が歩行の方向と異なる方向へ
の動きであることを条件として、前記センサ装置の通信部
による歩行情報の送信を可能に制御
し、人の動きが歩行の方向と同じ方向への動きであることを条件として、前記センサ装置の通信部による歩行情報の送信をしないように制御する、
歩行情報通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に装着可能なセンサ装置と、センサ装置により収集された歩行情報の通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサと通信機を内蔵した小型のセンサ装置を、ソールに設けた凹部に収容した靴等の履物が知られている。センサ装置は、センサで計測したデータに基づいて運動に関する様々なパラメータ値(例えば、消費カロリーの計算やランニングした距離など)を算出し、センサで計測したデータや算出したパラメータ値等の歩行情報を、ユーザのスマートフォン等の端末に送信することができる。そして、ユーザは、運動に関する様々なパラメータ値を自らの健康管理等に役立てることができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
履物に装着されるセンサ装置は小型であることが要求され、それゆえ、センサを駆動するバッテリーも小型であることが要求される。一方、センサ装置に記憶されている歩行情報をスマートフォン等の端末に送信する必要があり、通信によるバッテリーの消費が課題となっていた。
【0005】
そこで、通信によるバッテリーの消費を軽減することが可能なセンサ装置及び歩行情報通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、人の履物に装着されるセンサ装置であって、人の動きを検出する検出部と、検出部により検出された検出情報に基づいた歩行情報を、外部の端末に送信する通信部と、検出情報を用いて、人の動きを判定し、判定された人の動きに応じて、通信部の通信を制御する制御部と、を備え、制御部は、人の動きが人の歩行動作と異なる動作であることを条件として、通信部による通信を可能に制御する、センサ装置である。
【0007】
本発明の一態様は、端末と、人の履物に装着されるセンサ装置と、を備え、端末は、センサ装置と通信可能な通信部を備え、センサ装置は、人の動きを検出する検出部と、検出部により検出された検出情報に基づいた歩行情報を、端末に送信する通信部と、検出情報を用いて、人の動きを判定し、判定された人の動きに応じて、通信部の通信を制御する制御部と、を備え、制御部は、人の動きが人の歩行動作と異なる動作であることを条件として、センサ装置の通信部による通信を可能に制御する、歩行情報通信システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信による、センサ装置のバッテリーの消費を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、ソール10とセンサ装置2との構成例を示す図であって、靴1を真上から見た(上面視した)平面図である。
【
図4】
図4はセンサ装置2の機能のブロック図である。
【
図5】
図5は第1の動きを説明するための図である。
【
図6】
図6は第1種別の第2の動きを説明するための図である。
【
図7】
図7は第2種別の第2の動きを説明するための図である。
【
図8】
図8はメモリ部102のスロットを説明するための図である。
【
図9】
図9は本実施の形態における歩行情報通信システムの概略図である。
【
図11】
図11はセンサ装置2の通信処理の動作フローチャートである。
【
図12】
図12はペアリング処理(Step 203)におけるセンサ装置2と無線端末3とのシーケンス図である。
【
図13】
図13は歩行情報通信処理(Step 204)におけるセンサ装置2と無線端末3とのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る実施の形態を説明する。
【0011】
<実施の形態>
本発明に係る実施の形態を説明する。本実施の形態においては、履物として靴1を例にして説明するが、サンダル等の他の履物でも良い。また、靴1は、一例として右足用の靴として説明するが、左足用の靴であってもよい。また、右足用と左足用の両方の靴に本発明を適用してもよい。
【0012】
図1は、本実施形態の靴1の左側面図である。靴1は、ソール10と、ソール10を前後方向に、前足部、中足部、踵部に3分割した場合の中足部に着脱可能なセンサ装置2と、を有する。
【0013】
ソール10は、ミッドソール11と、アウターソール12とを有する。靴1の製作方法によっては、両者の区別が無い一体品であってもよい。また、適宜インナーソール13を設けることができる。そして、ソール10は、ミッドソール11の上面側に、センサ装置2を収容可能な嵌合形状の収容凹部14を有する。
【0014】
図2は、ソール10とセンサ装置2との構成例を示す図であって、靴1を真上から見た(上面視した)平面図である。
【0015】
収容凹部14は、上面視において、ミッドソール11の中足部に、収容状態のセンサ装置2の外観形状に応じた嵌合形状を有する。ミッドソール11は、例えば、EVA樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)で作成されている。EVA樹脂は、柔軟性に富むため、収容凹部14は、センサ装置2が装着された状態で、センサ装置2に密着し包み込むように固定することができる。尚、収容凹部14の詳細な形状については、後述する。
【0016】
次に、センサ装置2について説明する。
【0017】
センサ装置2は、ソール10の収容凹部14へ収容された収容状態において対称軸Aで左右非対称の輪郭形状を有している。ここで言う「左右非対称」の左右は、センサ装置2を収容凹部14に収容した状態においての左右である。本実施形態では、靴1を右足用として例示しているので、対称軸Aは、靴1の前後方向を向いていて、左が靴の内方側、右が靴の外方側に相当する。
【0018】
【0019】
センサ装置2は、電池や電子部品を格納する本体部21と、本体部21に取り外し可能な蓋部22と、本体部21に蓋部22を留めるための留め部23と、を有する。電池は、例えば、コイン型に分類されるボタン電池である。
【0020】
電子部品は、様々な電子素子を搭載した電子回路基板を含み、電子回路基板は、3軸加速度センサと、マイクロプロセッサと、ICメモリと、小型無線通信器等と、を搭載する。勿論、その他の電子部品や回路部を搭載することができる。
【0021】
【0022】
センサ装置2は、3軸加速度センサ100と、制御部101と、メモリ部102と、無線通信部103と、を備える。
【0023】
3軸加速度センサ100は、XYZの直交3軸それぞれの方向の加速度を検出する。尚、本実施の形態の説明において、3軸加速度センサ100が検出する加速度の方向は、
図1、2のように靴1にセンサ装置2が装着された場合、対称軸Aに沿って前方向をX方向とし、対称軸Aに対して外方向をY方向とし、靴1に装着されたセンサ装置2の上方向をZ方向として説明する。
【0024】
制御部101は、プロセッサにより構成される。制御部101は、3軸加速度センサ100の計測値から、靴1のユーザの動きを判定する。判定するユーザの動きは、大きく分けて、第1の動きと第2の動きとがある。第1の動きは、第1の動きは人の通常の歩行動作であり、第2の動きは第1の動き以外の動き、すなわち、人の通常の歩行動作以外の動作である。
【0025】
図5は第1の動きを説明するための図である。第1の動きは、ユーザの歩行一般の動作である。歩く、走るなど一般の歩行の場合、前足部から踵部を結ぶ靴の前後方向の加速度が連続して検出される。例えば、X方向の値が大きい加速度が連続して検出される。このような、X方向の値が大きい加速度が連続して検出されるユーザの動きを第1の動きとする。
【0026】
第2の動きは第1の動き以外の動き、すなわち、ユーザの歩行一般の動作以外の動作であれば、種別は問わないが、本実施の形態では、第2の動きとして、第1種別の第2の動きと第2種別の第2の動きとを例示する。
【0027】
図6は第1種別の第2の動きを説明するための図である。第1種別の第2の動きは、ユーザが靴の前足部(つま先)を、地面に接触させ再び上げる動作を所定回数繰り返す動作である。このような動作の場合、短時間にX方向に大きな加速度と衝撃とが検出される。このような、短く大きなX方向の加速度と衝撃とが検出されるユーザの動きを第1種別の第2の動きとする。尚、第1種別の第2の動きは、ユーザが靴の前足部(つま先)を地面に接触させ再び上げる動作だけではなく、反対方向、すなわち、ユーザが靴の踵側を地面に接触させ再び上げる動作を所定回数繰り返す動作であっても良い。
【0028】
図7は第2種別の第2の動きを説明するための図である。第2種別の第2の動きは、ユーザが、センサ装置2が装着されている靴を、外側方向に上げ、再び降ろして、他方の靴に接触させる動作を所定回数繰り返す動作である。このような動作の場合、短時間に大きなZ方向及びY方向の加速度と衝撃とが検出される。このようなユーザの動きを第2種別の第2の動きとする。
【0029】
ここで、第1の動きは人の通常の歩行の動作であるのに対し、第1種別の第2の動き及び第2種別の第2の動きは人の歩行の動作でない点に留意すべきである。上述した第1種別の第2の動き及び第2種別の第2の動きは一例であり、人の通常の歩行の動作である第1の動き以外の動きであり、第1の動きと容易に識別可能であれば、他の態様の動作でも良い。
【0030】
制御部101は、3軸加速度センサ100からの計測値を受信し、ユーザの動きが、第1の動き、第1種別の第2の動き及び第2種別の第2の動きのいずれの動きであるかを判定する。そして、制御部101は、第1の動きである場合、3軸加速度センサ100の計測値から、ユーザの歩行情報を計算し、メモリ部102に記憶する。歩行情報は、例えば、速度に応じた区分(歩き、走る、駆ける)毎の歩行数などである。
【0031】
一方、制御部101は、ユーザの動きが第1種別の第2の動き又は第2種別の第2の動きである場合、無線通信部103を制御し、外部の無線端末と通信可能に制御を行う。制御の方法は、例えば、無線通信部103のONにする、又は、無線通信部103のスリープ状態を解除するなどである。また、制御部101は、無線通信部103によって送信される各種情報を、無線通信部103に送信する。
【0032】
メモリ部102は、ユーザの歩行情報が記録されるメモリである。メモリ部102は、複数のスロット(レコード)を備えている。
図8はメモリ部102のスロットを説明するための図である。
図8の例では、メモリ部102は256個のスロットを備え、初期時において、各スロットには、0から255のスロット識別番号(SID)が付与されている。各スロットは、測定日時と、速度に応じて、歩き(Walk)、走る(Run)、駆ける(Dash)のフィールドを持ち、各フィールドには、測定日時、ユーザの歩行数が記録される。
【0033】
無線通信部103は、無線端末と通信可能な無線装置である。無線端末は、ユーザが所持するスマートフォンや、スマートウォッチやスマートグラスなどの通信機能を備えるウェララブルコンピュータ等である。無線方式は、例えば、ブルートゥース(登録商標)などである。無線通信部103は、無線端末と通信可能な状態を制御部101に制御される。無線通信部103は、制御部101により通信可能な状態に制御されない限り、電源のOFF又はスリープ状態となり、電力の消費を軽減する。
【0034】
次に、センサ装置2の歩行情報の記録の動作と、センサ装置2とユーザの端末との通信の動作と、について説明する。
【0035】
図9は本実施の形態における歩行情報通信システムの概略図である。
図9に示すように、本実施の形態の歩行情報通信システムは、ユーザの靴1に装着されたセンサ装置2と、ユーザの無線端末3と、ユーザの歩行情報が記録されるサーバ4と、を備えて構成される。無線端末3とサーバ4とは、通信回線Nに接続可能で、相互に通信可能である。
【0036】
通信回線Nは、データ通信が可能な通信路を意味する。すなわち、通信回線Nは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLANの他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含み、通信方法については有線/無線を問わない。
【0037】
無線端末3は、例えば、ブルートゥース(登録商標)等の近接無線方式により、センサ装置2からユーザの歩行情報を取得し、取得した歩行情報をサーバ4に送信可能な無線端末である。無線端末3は、例えば、スマートフォンや、携帯電話機、パソコン、タブレット型コンピュータ等である。
【0038】
サーバ4は、単数又は複数のサーバ装置や記憶装置等を含んで構成されたサーバシステムである。サーバ4は、ユーザの歩行情報の記録サービスを提供し、サービスの運営に必要なデータの管理や、無線端末3からの歩行情報の閲覧サービスを行うことができる。
【0039】
次に、センサ装置2の動作について説明する。
図10はセンサ装置2の動作フローチャートである。尚、メモリ部102は、
図8に示すように、256個のスロットを備え、初期時において、各スロットには、0から255のスロット識別番号(SID)が付与されているものとする(Step 100)。
【0040】
まず、制御部101は、歩行情報を記録するスロット番号をNとし、初期値にゼロを設定する(Step 101)。
【0041】
制御部101は、3軸加速度センサ100からの計測値を受信し、ユーザの動きを検出し(Step 102)、動きの判定を行う(Step 103)。
【0042】
ユーザの動きが第1の動き以外(第2の動き)の場合(Step 104)、制御部101は、通信処理を行う(Step 112)。通信処理(Step 112)については、後述する。
【0043】
ユーザの動きが第1の動きの場合(Step 104)、制御部101は、測定情報の検出日時を取得する(Step 105)。そして、検出時間の測定を開始する(Step 106)。検出時間が1時間内の場合(Step 107)、制御部101は、3軸加速度センサ100から取得した計測値からユーザの歩行情報を計算し、スロット番号Nのスロットにユーザの歩行情報を記録していく(Step 113)。
【0044】
検出時間が1時間を超えると(Step 107)、制御部101は、スロット番号Nに1を加算する(Step 112)。スロット番号Nが255よりも小さい場合(Step 109)、スロット番号Nのスロットにユーザの歩行情報を記録していく(Step 113)。
【0045】
一方、制御部101は、スロット番号Nが255よりも大きい場合(Step 109)、最小のスロット番号のスロットにユーザの歩行情報を上書して記録する(Step 110)。そして、制御部101は、上書きしたスロットのスロット番号をNにし(Step 111)、動き検出を続ける(Step 102)。
【0046】
このようにして、センサ装置2は、日々、ユーザの歩行情報を記録する。尚、ひとつのスロットに書き込む検出時間を1時間としたが、あくまで、一例であり、他の時間でもかまわない。
【0047】
次に、センサ装置2の通信処理(Step 112)について説明する。
図11はセンサ装置2の通信処理の動作フローチャートである。
【0048】
センサ装置2の制御部101は、3軸加速度センサ100からの計測値から動きの判定を行う(Step 200)。
【0049】
ユーザの動きが第1種別の第2の動きの場合(Step 201)、制御部101は、ペアリング処理を行う(Step 203)。ペアリング処理(Step 203)については、後述する。
【0050】
ユーザの動きが第2種別の第2の動きの場合(Step 202)、制御部101は、歩行情報通信処理を行う(Step 204)。歩行情報通信処理(Step 204)については、後述する。
【0051】
次に、ペアリング処理(Step 203)について説明する。
図12はペアリング処理(Step 203)におけるセンサ装置2と無線端末3とのシーケンス図である。
【0052】
まず、ユーザは、アプリケーションを起動させる(Step 400)。
【0053】
センサ装置2の制御部101は、第1種別の第2の動きが検出されると(Step 300)、無線通信部103を無線端末3と通信可能な状態に遷移させる(Step 301)。例えば、無線通信部103の電源のON、スリープ状態の解除である。そして、制御部101は、無線端末3とのペアリングを開始する(Step 302)。センサ装置2から無線端末3に送信される情報は、センサ装置2の識別情報である。
【0054】
無線端末3のアプリケーションは、センサ装置2から受信したセンサ装置2の識別情報を検出し(Step 401)、センサ装置2の識別情報を表示する(Step 402)。ユーザにより、表示されたセンサ装置2の識別情報が選択されることにより(Step 403)、センサ装置2の識別情報を記憶するとともに、無線端末3の識別情報をセンサ装置2に送信することにより、ペアリング処理を行う(Step 404)。
【0055】
センサ装置2の制御部101は、無線端末3の識別情報を受信し、無線端末3の識別情報を記憶し、ペアリング処理を行う(Step 303)。そして、制御部101は、ペアリング処理が完了すると、無線通信部103を無線端末3と通信不可能な状態に遷移させる(Step 304)。例えば、無線通信部103の電源のOFF、スリープ状態への遷移である。
【0056】
このような動作により、無線通信部103の消費電力を軽減させて、センサ装置2のバッテリーの消費を軽減させることができる。
【0057】
続いて、歩行情報通信処理(Step 204)の動作を説明する。
図13は歩行情報通信処理(Step 204)におけるセンサ装置2と無線端末3とのシーケンス図である。
【0058】
ユーザは、センサ装置2から歩行情報を取得するため、アプリケーションを起動させ(Step 600)、歩行情報の取得を選択する(Step 601)。
【0059】
一方、ユーザは、第2種別の第2の動きを行い、センサ装置2の制御部101は、第2種別の第2の動きが検出されると(Step 500)、無線通信部103を無線端末3と通信可能な状態に遷移させる(Step 501)。例えば、無線通信部103の電源のON、スリープ状態の解除である。そして、制御部101は、無線端末3から歩行情報の取得要求を受信すると(Step 502)、メモリ部102から歩行情報を読み出し、無線通信部103を介して、その歩行情報を無線端末3に送信する(Step 503)。
【0060】
無線端末3のアプリケーションは、センサ装置2から歩行情報を受信する(Step 602)。そして、無線端末3は、歩行情報の受信完了通知を、センサ装置2に送信する(Step 603)。また、無線端末3は、受信した歩行情報を、サーバ4に送信する。
【0061】
受信完了通知を受信したセンサ装置2の制御部101は、無線通信部103を無線端末3と通信不可能な状態に遷移させる(Step 504)。例えば、無線通信部103の電源のOFF、スリープ状態への遷移である。そして、制御部101は、メモリ部102のスロット番号を初期の状態に戻す(Step 505)。
【0062】
このような動作により、無線通信部103の消費電力を軽減させて、センサ装置2のバッテリーの消費を軽減させることができる。
【0063】
本実施の形態は、人の動きが歩行動作(第1の動き)と異なる動作(第2の動き)であることを条件として、無線通信部による通信を可能に制御しているので、センサ装置のバッテリーの消費を軽減することが可能となる。
【0064】
また、歩行動作(第1の動き)と異なる動作(例えば、第1種別の第2の動き、第2種別の第2の動き)を複数定めることにより、その動きによって、実行する通信処理を定めることにより、いずれの通信処理の実行を要求されているのかセンサ装置が識別可能となる。
<本実施の形態の変形例>
上述した実施の形態では、人の歩行の動作である第1の動き以外の動きとして、第1種別の第2の動き及び第2種別の第2の動きを規定した。しかし、いずれか一つの動きだけを定め、ペアリング処理や歩行情報通信処理の双方の通信処理を可能に制御しても良い。
【0065】
すなわち、第1種別の第2の動きを検出すると、ペアリング処理や歩行情報通信処理の双方の通信処理を可能に制御しても良い。また、第2種別の第2の動きを検出すると、ペアリング処理や歩行情報通信処理の双方の通信を可能に制御しても良い。
【0066】
このように構成することにより、ユーザは動作の選定に迷うことがなくなる。
【0067】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0068】
[付記1]
人の履物に装着されるセンサ装置であって、
人の動きを検出する検出部と、
前記検出部により検出された検出情報に基づいた歩行情報を、外部の端末に送信する通信部と、
前記検出情報を用いて、人の動きを判定し、判定された人の動きに応じて、前記通信部の通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、人の動きが人の歩行動作と異なる動作であることを条件として、前記通信部による通信を可能に制御する、
センサ装置。
【0069】
[付記2]
前記制御部は、前記検出情報を用いて、前記人の動きが、人の歩行動作である第1の動き又は前記人の歩行動作以外の動作である第2の動きのいずれであるかを判定し、前記人の動きが前記第2の動きであることを条件として、前記通信部による通信を可能に制御する、
付記1に記載のセンサ装置。
【0070】
[付記3]
前記第2の動きは、前記センサ装置が装着された履物の先端部を地面に接触させる動作である第1種別の第2の動き、前記センサ装置が装着された履物の内側面と他の靴の内側面とを接触させる動作である第2種別の第2の動きの、少なくともいずれかである、
付記2に記載のセンサ装置。
【0071】
[付記4]
前記第1種別の第2の動きは、前記センサ装置が装着された履物の先端部を地面に複数回接触させる動作であり、
前記第2種別の第2の動きは、前記センサ装置が装着された履物の内側面と他の靴の内側面とを複数回接触させる動作である、
付記3に記載のセンサ装置。
【0072】
[付記5]
前記検出部は、人の動きの加速度を検出可能であり、
前記制御部は、人の歩行方向の加速度を連続して検出した場合、第1の動きと判定し、それ以外の加速度を検出した場合、第2の動きと判定する、
付記2から付記4のいずれかに記載のセンサ装置。
【0073】
[付記6]
前記制御部は、人に対して上下方向の加速度及び衝撃を連続して検出した場合、前記第1種別の第2の動きと判定し、人の歩行方向に対して外側方向の加速度及び衝撃を連続して検出した場合、前記第2種別の第2の動きと判定する、
付記2から付記5のいずれかに記載のセンサ装置。
【0074】
[付記7]
前記制御部は、前記人の動きが前記第2の動きであることを条件として、前記通信部による通信を可能にし、前記端末とのペアリング処理又は前記端末への前記歩行情報の送信処理を行う、
付記2から付記6のいずれかに記載のセンサ装置。
【0075】
[付記8]
前記制御部は、
前記人の動きが前記第1種別の第2の動きであることを条件として、前記通信部による通信を可能にして前記端末とのペアリング処理を行い、
前記人の動きが前記第2種別の第2の動きであることを条件として、前記通信部による通信を可能にして前記歩行情報を前記端末に送信する、
付記7に記載のセンサ装置。
【0076】
[付記9]
前記制御部は、前記人の動きが歩行動作である場合、前記通信部による歩行情報の送信をしないように制御する、
付記1から付記8のいずれかに記載のセンサ装置。
【0077】
[付記10]
前記歩行情報は、歩数情報、速度情報、加速度情報の少なくとも何れかの情報である、
付記1から付記9のいずれかに記載のセンサ装置。
【0078】
[付記11]
前記センサ装置は、一対の履物の一方にのみ装着される、
付記1から付記10のいずれかにセンサ装置。
【0079】
[付記12]
前記センサ装置は、一対の履物の一方の履物のソールに、回動不可能に装着される、
付記1から付記10のいずれかに記載のセンサ装置。
【0080】
[付記13]
端末と、人の履物に装着されるセンサ装置と、を備え、
前記端末は、
前記センサ装置と通信可能な通信部を備え、
前記センサ装置は、
人の動きを検出する検出部と、
前記検出部により検出された検出情報に基づいた歩行情報を、前記端末に送信する通信部と、
前記検出情報を用いて、人の動きを判定し、判定された人の動きに応じて、前記通信部の通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記人の動きが人の歩行動作と異なる動作であることを条件として、前記センサ装置の通信部による通信を可能に制御する、
歩行情報通信システム。
以上、好ましい実施の形態をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形し実施することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 靴
2 センサ装置
3 無線端末
4 サーバ
10 ソール
11 ミッドソール
12 アウターソール
13 インナーソール
14 収容凹部
21 本体部
22 蓋部
23 留め部
100 3軸加速度センサ
101 制御部
102 メモリ部
103 無線通信部
【要約】
【課題】通信によるバッテリーの消費を軽減すること。
【解決手段】人の履物に装着されるセンサ装置である。センサ装置は、人の動きを検出する検出部と、検出部により検出された検出情報に基づいた歩行情報を、外部の端末に送信する通信部と、検出情報を用いて、人の動きを判定し、判定された人の動きに応じて、通信部の通信を制御する制御部と、を備える。制御部は、人の動きが人の歩行動作と異なる動作であることを条件として、通信部の通信を可能に制御する。
【選択図】
図4