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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241106BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241106BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241106BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241106BHJP
   H10K 59/40 20230101ALI20241106BHJP
   H10K 59/80 20230101ALI20241106BHJP
   H10K 59/90 20230101ALI20241106BHJP
   H10K 71/80 20230101ALN20241106BHJP
【FI】
G09F9/00 366A
G09F9/30 308A
G09F9/00 346A
G06F3/041 650
H10K59/10
H10K59/40
H10K59/80
H10K59/90
H10K71/80
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023110404
(22)【出願日】2023-07-05
(62)【分割の表示】P 2021138192の分割
【原出願日】2010-03-15
(65)【公開番号】P2023145462
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2009075989
(32)【優先日】2009-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 薫
(72)【発明者】
【氏名】永田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】鶴目 卓也
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-279867(JP,A)
【文献】特開2008-003702(JP,A)
【文献】特開2008-011232(JP,A)
【文献】特表2001-519585(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0291225(US,A1)
【文献】中国実用新案第201146008(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
G06F 3/00-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に組み込まれた、支持体と、ELパネルと、タッチパネルと、駆動回路と、操作ボタンと、を有し、
前記ELパネルは、前記支持体の正面から裏面に渡って配置され、湾曲部を有するように設けられており、
前記タッチパネルは、前記支持体の前記正面、前記裏面、及び前記湾曲部において、前記ELパネルに沿うように設けられており、
前記タッチパネルは、前記支持体の前記裏面において、前記駆動回路と重ならないように設けられており、
前記操作ボタンは、前記筐体の側面に設けられており、
前記駆動回路は薄膜トランジスタを有する、電子機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記タッチパネルは、前記電子機器における表示領域と、前記駆動回路の間の部分に配置されている、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発光装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を有する発光装置を作製する際には、ガラス基板などの基板上に半導体プロセ
スを用いて発光素子を駆動するための半導体回路を形成し、半導体回路上に絶縁膜(平坦
化膜)を形成し、その上に発光素子を形成する。
【0003】
また、ガラス基板などの基板上に分離層を形成し、分離層上に発光素子を駆動するため
の半導体回路素子を形成し、半導体回路素子上に絶縁膜(平坦化膜)を形成し、その上に
発光素子を形成し、分離層により基板と半導体回路素子を分離し、半導体回路素子及び発
光素子をフレキシブル基板上に転置して、フレキシブル発光装置を作製する方法がある(
特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1では、陽極、有機発光層、陰極を含む発光素子上に、層間絶縁膜を形成し、
さらに、層間絶縁膜と支持体を接着層で貼り合わせている。次いで分離層である第1の材
料層及び第2の材料層により、半導体回路素子及び発光素子と、基板を分離している。分
離された半導体回路素子及び発光素子は、接着層によりフィルム基板に張り合わされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-163337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、有機層とその上に形成される陰極あるいは陽極である電極との密着性が弱い場
合、半導体回路素子及び発光素子と基板とを分離層により分離する際に、電極と有機層の
界面で剥がれてしまう恐れがある。
【0007】
そこで本発明の一様態では、半導体回路素子及び発光素子と基板を分離層により分離す
る際に、電極と有機層の界面で剥がれてしまうことを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数の画素を有する発光装置において、発光素子を画素のそれぞれに作製する際に、有
機層上に形成される陰極あるいは陽極である電極、並びに、隔壁とが接触する領域をそれ
ぞれの画素周辺に配置する。電極と密着性のよい隔壁を設けることにより、半導体回路素
子及び発光素子と、基板とを分離する際に、有機層と電極が剥がれることなく、半導体回
路素子及び発光素子と、基板とを分離することが可能となる。
【0009】
第1の基板上に、分離層を形成し、前記分離層上に、半導体回路素子層を形成し、前記
半導体回路素子層上に、前記半導体回路素子層と電気的に接続される複数の第1の電極を
形成する。前記半導体回路素子層上に、前記複数の第1の電極のそれぞれの端部と重なる
隔壁を形成し、前記複数の第1の電極のそれぞれ上に、赤色を発光する有機物層、緑色を
発光する有機物層、青色を発光する有機物層のいずれかを形成する。前記赤色を発光する
有機物層、緑色を発光する有機物層、青色を発光する有機物層それぞれは、同じ色を発光
する有機物層どうしが隣り合って一列に並んでおり、前記赤色を発光する有機物層が隣り
合って一列に並んでいる第1の領域、前記緑色を発光する有機物層が隣り合って一列に並
んでいる第2の領域、前記青色を発光する有機物層が隣り合って一列に並んでいる第3の
領域において、前記第1の領域、第2の領域、第3の領域それぞれが伸びている方向を第
1の方向とする。また、前記隔壁は、前記第1の領域と第2の領域との間、前記第2の領
域と第3の領域との間、前記第3の領域と第1の領域との間に存在しており、かつ、前記
隔壁は、前記第1の方向に伸びている。前記有機物層上に、前記隔壁に接し、前記隔壁と
密着性のよい材料を用いて形成された第2の電極を形成し、前記分離層を介して、前記基
板から、前記半導体回路素子層、前記第1の電極、前記隔壁、前記有機物層、前記第2の
電極を含む積層構造を分離する工程において、前記基板から、前記半導体回路素子層、前
記第1の電極、前記隔壁、前記有機物層、前記第2の電極を含む積層構造を分離する方向
は、第1の方向と垂直な第2の方向であることを特徴とする発光装置の作製方法に関する
【0010】
前記隔壁は、無機材料あるいは有機材料を用いて形成されており、前記無機材料は、酸
化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸素を含む窒化珪素、ダイヤモンド状炭素のい
ずれか1つ、あるいは、2つ以上であり、前記有機材料は、ポリイミド、アクリル、ポリ
アミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン、シロキサンのうちいず
れか1つ、あるいは、2つ以上である。
【0011】
前記第2の電極は、透光性を有する陽極、透光性を有する陰極、遮光性を有する陰極、
遮光性を有する陽極のいずれか1つである。
【0012】
前記透光性を有する陽極の材料は、酸化インジウム、酸化インジウム-酸化スズ合金、
ケイ素もしくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化タングステン及び
酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、酸化インジウム酸化亜鉛合金、酸化亜鉛、ガリウム
(Ga)を添加した酸化亜鉛のいずれかである。
【0013】
前記透光性を有する陰極の材料は、仕事関数の低い材料の極薄膜、あるいは、前記仕事
関数の低い材料の極薄膜と透光性を有する導電膜との積層である。
【0014】
前記遮光性を有する陰極の材料は、仕事関数の小さい金属、仕事関数の小さい合金、仕
事関数の小さい電気伝導性化合物、および、これらの混合物のうちのいずれかであり、前
記仕事関数の小さい金属は、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg
)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビ
ウム(Yb)のいずれかである。
【0015】
前記遮光性を有する陽極の材料は、仕事関数の大きい金属、仕事関数の大きい合金、仕
事関数の大きい導電性化合物、および、これらの混合物のうちのいずれかであり、前記仕
事関数の大きい金属は、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(
W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu
)、パラジウム(Pd)のいずれかである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一様態は、半導体回路素子及び発光素子と基板を分離層により分離する際に、
電極と有機発光層の界面で剥がれてしまうことを抑制するという効果を奏する。
【0017】
これにより信頼性の高い、発光素子と半導体素子を有する発光装置を作製することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】発光装置の作製方法を示す断面図。
図2】発光装置の作製方法を示す断面図。
図3】発光装置の作製方法を示す断面図。
図4】発光装置の作製方法を示す断面図。
図5】発光装置の作製方法を示す断面図。
図6】発光装置の作製方法を示す断面図。
図7】シート状繊維体の上面図及び構造体の断面図。
図8】シート状繊維体の上面図。
図9】構造体の断面図。
図10】携帯電話機の上面図及び断面図。
図11】携帯電話機の上面図。
図12】携帯電話機の断面図。
図13】ELパネルの上面図。
図14】携帯電話機の上面図及び断面図。
図15】携帯電話機の斜視図。
図16】発光装置の作製方法を示す上面図。
図17】発光装置の作製方法を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本明細書に開示された発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但
し、本明細書に開示された発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本明細
書に開示された発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に
変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、実施の形態の記載内容に限
定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機
能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
なお本明細書に開示された発明において、半導体装置とは、半導体を利用することで機
能する素子及び装置全般を指し、電子回路、表示装置、発光装置等を含む電気装置および
その電気装置を搭載した電子機器をその範疇とする。
【0021】
[実施の形態1]
本実施の形態では、発光装置及びその作製方法について、図1(A)~図1(E)、図
2、図3(A)~図3(D)、図4(A)~図4(C)、図5(A)~図5(B)、図6
(A)~図6(B)、図7(A)~図7(C)、図8図9図16図17を用いて説
明する。
【0022】
まず図1(A)~図1(E)に本実施の形態の概要を示す。まず基板101上に、分離
層102及び半導体回路素子103を作製する(図1(A)参照)。
【0023】
基板101としては、ガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミック基板、金属基板
等を用いればよい。
【0024】
分離層102として、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、タングステン(
W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッ
ケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(
Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(I
r)、珪素(Si)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは
化合物材料からなる層を、単層または積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非
晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
【0025】
分離層102が単層構造の場合、好ましくは、タングステン、モリブデン、タングステ
ンとモリブデンの混合物、タングステンの酸化物、タングステンの酸化窒化物、タングス
テンの窒化酸化物、モリブデンの酸化物、モリブデンの酸化窒化物、モリブデンの窒化酸
化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステンとモリブデンの混合物
の酸化窒化物、タングステンとモリブデンの混合物の窒化酸化物のいずれかを含む層を形
成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブ
デンの合金に相当する。
【0026】
分離層102が積層構造の場合、好ましくは、1層目として、タングステン、モリブデ
ン、またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タング
ステンの酸化物、モリブデンの酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タ
ングステンの酸化窒化物、モリブデンの酸化窒化物、またはタングステンとモリブデンの
混合物の酸化窒化物を含む層を形成する。このように、分離層102を積層構造とする場
合、金属膜と金属酸化膜との積層構造とすることが好ましい。金属酸化膜の形成方法の一
例としては、スパッタ法により直接金属酸化膜を形成する方法、基板101上に形成した
金属膜の表面を熱処理または酸素雰囲気下でのプラズマ処理により酸化して金属酸化膜を
形成する方法などが挙げられる。
【0027】
金属膜としては、前述したタングステン(W)、モリブデン(Mo)以外に、チタン(
Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジ
ルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウ
ム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または前記元
素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を用いることができる。
【0028】
なお、分離層102を形成する前に、基板101上に酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を
含む酸化珪素膜、酸素を含む窒化珪素膜などの絶縁膜を形成し、当該絶縁膜上に分離層1
02を形成するようにしてもよい。基板101と分離層102との間にこのような絶縁膜
を設けることにより、基板101が含む不純物が上層に侵入してしまうことを防止するこ
とができる。また、後にレーザを照射する工程がある場合、その工程の際、基板101が
エッチングされてしまうことを防止することができる。なお、ここで、窒素を含む酸化珪
素膜と、酸素を含む窒化珪素膜とでは、前者は窒素よりも酸素を多く含み、後者は酸素よ
りも窒素を多く含むという意味で使い分けている。
【0029】
次いで、半導体回路素子103上に、半導体回路素子103と電気的に接続される電極
104を形成する。電極104の端部と重なるように、隔壁105を形成する(図1(B
)参照)。電極104は、発光素子の陽極あるいは陰極となる。
【0030】
発光装置は、陽極または陰極の一方、あるいは両方を透光性を有する導電膜で形成する
必要がある。陽極または陰極として、発光層を含む有機物層の下に透光性を有する導電膜
、及び、有機物層の上に遮光性を有する導電膜を形成する場合は、発光装置は下面射出の
発光装置となる。逆に、陽極または陰極として、発光層を含む有機物層の下に遮光性を有
する導電膜、及び、有機物層の上に透光性を有する導電膜を形成する場合は、発光装置は
上面射出の発光装置となる。陽極及び陰極の両方を透光性を有する導電膜で形成する場合
は、発光装置は両面射出の発光装置となる。
【0031】
透光性を有する陽極の材料として、酸化インジウム(In)や酸化インジウム-
酸化スズ合金(In―SnO;Indium Tin Oxide(ITO))
、ケイ素もしくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化タングステン及
び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―Zn
O:Indium Zinc Oxide(IZO))、酸化亜鉛(ZnO)、さらに可
視光の透過率や導電率を高めるためにガリウム(Ga)を添加した酸化亜鉛(ZnO:G
a)、などの導電性金属酸化物膜を用いることができる。
【0032】
これらの材料をスパッタ法、真空蒸着法、ゾル-ゲル法などを用いて形成すればよい。
【0033】
例えば、酸化インジウム-酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1~20wt
%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる
。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに
対し酸化タングステンを0.5~5wt%、酸化亜鉛を0.1~1wt%含有したターゲ
ットを用いてスパッタリング法により形成することができる。
【0034】
透光性を有する陰極を形成する場合には、アルミニウムなど仕事関数の小さい材料の極
薄膜を用いるか、そのような物質の薄膜と上述のような透光性を有する導電膜との積層構
造を用いることによって作製することができる。
【0035】
また、陰極と後述する電子輸送層との間に、電子注入層を設けることにより、仕事関数
の大小に関わらず、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム-酸化
スズ等様々な透光性を有する導電性材料を陰極として用いることができる。これら導電性
材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜すること
が可能である。
【0036】
また遮光性を有する導電膜を陰極として用いる場合には、仕事関数の小さい(具体的に
は3.8eV以下)金属、仕事関数の小さい合金、仕事関数の小さい電気伝導性化合物、
およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては
、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム
(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロ
ンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi
)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む
合金等が挙げられる。
【0037】
また、遮光性を有する導電膜を陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい(具体的
には4.0eV以上)金属、仕事関数の大きい合金、仕事関数の大きい導電性化合物、お
よびこれらの混合物などを用いることが好ましい。
【0038】
例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム
(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウ
ム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0039】
隔壁105は、画素ごとに有機物層112を分離するために形成され、無機絶縁材料や
有機絶縁材料を用いることができる。
【0040】
また隔壁105は、後の工程で形成される電極106と密着性がよいものである必要が
ある。また隔壁105は積層構造を有していてもよい。
【0041】
無機材料として、例えば、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸素を含む窒化
珪素、ダイヤモンド状炭素(Diamond Like Carbon(DLC))のい
ずれか1つ、あるいは、2つ以上の積層構造を用いることができる。また、有機材料とし
て、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシク
ロブテン、シロキサンのうちいずれか1つ、あるいは、2つ以上の積層構造を用いればよ
い。
【0042】
シロキサンとは、珪素(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に
少なくとも水素を含む、あるいは、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素
のうち少なくとも1種を有するポリマー材料を出発原料として形成される。また、置換基
としてフルオロ基を用いてもよく、さらに置換基として、少なくとも水素を含む有機基及
びフルオロ基とを用いてもよい。
【0043】
次いで、電極104上の、隣り合う隔壁105に挟まれた領域に、有機物層112を形
成する。そして有機物層112上に、隔壁105に接して電極106を形成し、さらに隔
壁105及び電極106を覆って封止層107を形成し、さらに封止層107上に保護材
108を形成する。保護材108上には支持体109を形成する(図1(C)参照)。電
極104が陽極の場合は電極106は陰極、電極104が陰極の場合は電極106は陽極
である。
【0044】
本実施の形態では、電極106をアルミニウム膜を用いて形成し、隔壁105をポリイ
ミドを用いて形成する。ポリイミドとアルミニウムの密着性がよいので、分離工程の際に
剥がれる恐れがない。
【0045】
有機物層112は、発光層は必ず含まれており、加えて、正孔注入層、正孔輸送層、電
子輸送層、電子注入層の少なくとも1つが含まれていてもよい。またその形成方法は、蒸
着法、インクジェット法、スクリーン印刷法等を用いればよい。
【0046】
以下に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を構成する材料に
ついて具体的に説明する。
【0047】
正孔注入層は、電極104または電極106の一方である陽極に接して設けられ、正孔
注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸
化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシ
アニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合
物、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビ
フェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス[4-[ビス(3-メチルフェニル)アミ
ノ]フェニル]-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミ
ン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフ
ェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正
孔注入層を形成することができる。
【0048】
また、正孔注入層として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複
合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有
させたものを用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶこと
ができる。つまり、陽極として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料
を用いることができる。アクセプター性物質としては、7,7,8,8-テトラシアノ-
2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F-TCNQ)、クロラニル等
を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表に
おける第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化
バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステ
ン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モ
リブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0049】
複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール
誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など
、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正
孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10-6cm/Vs以
上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高
い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることの
できる有機化合物を具体的に列挙する。
【0050】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフ
ェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’-ビス[N-(4-
ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N
,N’-ビス[4-[ビス(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル]-N,N’-ジフ
ェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:DNTPD)、1,3
,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン
(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0051】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3-[N-
(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバ
ゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3
-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)
、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]
-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0052】
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、他に、4,4’-
ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5-トリス[4-(N-
カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-
9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、1,4-ビス[
4-(N-カルバゾリル)フェニル]-2,3,5,6-テトラフェニルベンゼン等を用
いることができる。
【0053】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2-tert
-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、2-
tert-ブチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、9,10-ビス(3,
5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2-tert-ブチル-9
,10-ビス(4-フェニルフェニル)アントラセン(略称:t-BuDBA)、9,1
0-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラ
セン(略称:DPAnth)、2-tert-ブチルアントラセン(略称:t-BuAn
th)、9,10-ビス(4-メチル-1-ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)
、2-tert-ブチル-9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセ
ン、9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7-
テトラメチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、2,3,6,7-テトラメ
チル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン、9,9’-ビアントリル、10,1
0’-ジフェニル-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス(2-フェニルフェニ
ル)-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス[(2,3,4,5,6-ペンタフ
ェニル)フェニル]-9,9’-ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、
ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン等が挙げられる。ま
た、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10-6
cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14~42である芳香族炭化水素を用いる
ことがより好ましい。
【0054】
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよ
い。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’-ビス(2,2-
ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10-ビス[4-(2,2-
ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0055】
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェ
ニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニル
アミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](
略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス
(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることも
できる。
【0056】
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては
、例えば、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(
略称:NPB(またはα-NPD))やN,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N
’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4
,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TD
ATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミ
ノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,
9’-ビフルオレン-2-イル)-N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)
などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10-6
cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高
い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む
層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい
【0057】
また、正孔輸送層として、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(
4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることも
できる。
【0058】
発光層は、発光性の物質を含む層である。発光層の種類としては、発光中心材料を主成
分とするいわゆる単膜の発光層であっても、ホスト材料中に発光中心材料を分散するいわ
ゆるホスト-ゲスト型の発光層であってもどちらでも構わない。
【0059】
用いられる発光中心材料に制限は無く、公知の蛍光または燐光を発する材料を用いるこ
とができる。蛍光発光性材料としては、例えばN,N’-ビス[4-(9H-カルバゾー
ル-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略
称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-
9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、等の他、発光波長が450
nm以上の4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2
-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N
-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-ア
ミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペ
リレン(略称:TBP)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェ
ニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N
,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニ
レン)ビス[N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン](略称:D
PABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリ
ル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4
-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニ
ル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’
’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7
,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N-(9,10-ジフ
ェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略
称:2PCAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-
アントリル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCA
BPhA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,N’,N’-トリフ
ェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N-[9,10-ビス(
1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,N’,N’-トリフェニル
-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10-ビス(1,1’
-ビフェニル-2-イル)-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-
N-フェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9-トリ
フェニルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,
N’-ジフェニルキナクリドン、(略称:DPQd)、ルブレン、5,12-ビス(1,
1’-ビフェニル-4-イル)-6,11-ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2
-(2-{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-6-メチル-4H-ピ
ラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2-{2-メチル-6-
[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-
イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2
)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テトラセン-5,11-ジ
アミン(略称:p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N,N’,N’-テトラ
キス(4-メチルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオランテン-3,10-ジア
ミン(略称:p-mPhAFD)、2-{2-イソプロピル-6-[2-(1,1,7,
7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリ
ジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称
:DCJTI)、2-{2-tert-ブチル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメ
チル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イ
ル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB
)、2-(2,6-ビス{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-4H-
ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2-{2,6-ビ
ス[2-(8-メトキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒド
ロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4
-イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。燐光発
光性材料としては、例えば、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト
-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:F
Ir6)、の他、発光波長が470nm~500nmの範囲にある、ビス[2-(4’,
6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナー
ト(略称:FIrpic)、ビス[2-(3’,5’-ビストリフルオロメチルフェニル
)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF
py)(pic))、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N
,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、発光
波長が500nm(緑色発光)以上のトリス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(I
II)(略称:Ir(ppy))、ビス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(II
I)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、トリス(アセチル
アセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)
(Phen))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセ
トナート(略称:Ir(bzq)(acac))、ビス(2,4-ジフェニル-1,3
-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir
(dpo)(acac))、ビス[2-(4’-パーフルオロフェニルフェニル)ピリ
ジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p-PF-ph)
(acac))、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト-N,C2’)イリジウム(II
I)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、ビス[2-(2’-
ベンゾ[4,5-α]チエニル)ピリジナト-N,C3’]イリジウム(III)アセチ
ルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1-フェニルイソキノ
リナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq
(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニ
ル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))
、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(I
II)(略称:Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17
,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP
)、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン
)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1-(2
-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロ
ピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等が挙げられる。以上のよう
な材料または他の公知の材料の中から、各々の発光素子における発光色を考慮し選択すれ
ば良い。
【0060】
ホスト材料を用いる場合は、例えばトリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III
)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)
(略称:Almq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(
II)(略称:BeBq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフ
ェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛
(II)(略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(
II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(
II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-t
ert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-
ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イ
ル]ベンゼン(略称:OXD-7)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(
4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2,2
’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイ
ミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキ
ュプロイン(略称:BCP)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾー
ル-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物
、NPB(またはα-NPD)、TPD、BSPBなどの芳香族アミン化合物が挙げられ
る。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体
、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には
、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N-ジフェニル-9
-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-ア
ミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルア
ミン(略称:DPhPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フ
ェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9-ジフェニ
ル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-
3-アミン(略称:PCAPA)、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェ
ニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称
:PCAPBA)、N,9-ジフェニル-N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル
)-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、6,12-ジメトキシ-
5,11-ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’
’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン
(略称:DBC1)、9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H
-カルバゾール(略称:CzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル
-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10
-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ
(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ
(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,9’-ビアントリル(略
称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称
:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:
DPNS2)、3,3’,3’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリピレン(略
称:TPB3)などを挙げることができる。これら及び公知の物質の中から、各々が分散
する発光中心物質のエネルギーギャップ(燐光発光の場合は三重項エネルギー)より大き
なエネルギーギャップ(三重項エネルギー)を有する物質を有し、且つ各々の層が有すべ
き輸送性に合致した輸送性を示す物質を選択すればよい。
【0061】
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、トリス(8-キノリノ
ラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミ
ニウム(略称:Almq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリ
ウム(略称:BeBq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェ
ノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格
を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2-(2-ヒドロキシフェニ
ル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2-(2-ヒドロキ
シフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系
、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以
外にも、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,
4-オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチル
フェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)
、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-
1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen
)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は
、主に10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電
子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。
【0062】
また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層した
ものとしてもよい。
【0063】
また、電子輸送層と発光層との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。
これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加し
た層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節す
ることが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発
生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0064】
また、電極104または電極106の他方である陰極に接して設けられる電子注入層と
しては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(C
aF)等のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属またはそれらの化合物を用いる
ことができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属またはアル
カリ土類金属またはそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(
Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性
を有する物質からなる層中にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有させたものを用
いることにより、陰極からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
【0065】
また、有機物層112により赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を得る場合、有機物
層112の膜厚をRGBそれぞれの光の波長に合わせて変えてもよい。例えば、電極10
4あるいは電極106の一方が反射性を有する導電膜で形成される場合、発光層から電極
104あるいは電極106の他方を通って外に射出する第1の光と、発光層から出て電極
104あるいは電極106の一方で反射し、その後電極104あるいは電極106の他方
を通って外に射出する第2の光がある。赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれにより光
の波長が違うため、第1の光と第2の光が干渉して強め合う最適な距離を、有機物層11
2の膜厚を各色に合わせて変えることで得ることができる。
【0066】
封止層107は、パッシベーション膜であり、例えば、窒化珪素膜や酸化アルミニウム
膜、窒素を含む酸化珪素膜等防湿性のある無機膜単層、もしくはその積層をスパッタ等で
形成すればよい。またあるいは、防湿性のある無機膜と有機膜の積層構造で形成してもよ
い。そのような有機膜としては、平坦化と応力緩和性が必要で、例えばポリ乳酸を蒸着重
合で形成すればよい。
【0067】
保護材108としては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、もしくは、後述するシート状繊
維体に有機樹脂を含浸させた構造体(プリプレグ)を用いればよい。
【0068】
また支持体109は、再剥離可能なフィルムや樹脂材料、例えば、UVを照射すると剥
離される、UV剥離フィルム等を用いればよい。
【0069】
次いで分離層102を介して、基板101から、半導体回路素子103、電極104、
隔壁105、有機物層112、電極106、封止層107を含む積層構造、保護材108
、支持体109を分離する(図1(D)参照)。
【0070】
分離した半導体回路素子103、電極104、隔壁105、有機物層112、電極10
6、封止層107を含む積層構造、及び、保護材108と、基体111を貼り合わせる。
図1(E)参照)。基体111は、半導体回路素子103と接着剤で貼り合わせられて
いてもよい。また支持体109は、基体111と貼り合わせた後に保護材108から分離
すればよい。
【0071】
基体111は、フレキシブル基板などを用いればよく、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリア
クリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂(PC)、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリアミド樹脂、シクロオレ
フィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、などを好
適に用いることができる。特に、高温での基板の伸びを抑制し基板の変形やクラックの発
生を抑制することができるため、基体111に熱膨張係数の低い材料を用いることが好ま
しい。
【0072】
また基体111として、シート状繊維体302に有機樹脂301が含浸された構造体3
05を用いてもよい(図7(C)参照)。このような構造体305は、プリプレグとも呼
ばれる。プリプレグは、具体的にはシート状繊維体にマトリックス樹脂を有機溶材で希釈
した組成物を含浸させた後、乾燥して有機溶材を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化さ
せたものである。
【0073】
シート状繊維体302が糸束を経糸及び緯糸に使って製織した織布の上面図を図7(A
)及び図7(B)に示す。さらにシート状繊維体302に有機樹脂301が含浸された構
造体305の断面図を図7(C)に示す。
【0074】
シート状繊維体302は、有機化合物または無機化合物の織布または不織布である。ま
たシート状繊維体302として、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いてもよ
い。
【0075】
また、シート状繊維体302は、繊維(単糸)の束(以下、糸束という。)を経糸及び
緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積さ
せた不織布で構成されてもよい。織布の場合、平織り、綾織り、繻子織り等適宜用いるこ
とができる。
【0076】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高
周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした糸束を用
いてもよい。開繊加工をした糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減するこ
とが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、糸束として低撚糸を用
いることで、糸束が扁平化しやすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。
このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、シート状繊維体302の
厚さを薄くすることが可能である。このため、構造体305の厚さを薄くすることが可能
であり、薄型の半導体装置を作製することができる。
【0077】
図7(A)に示すように、シート状繊維体302は、一定間隔をあけた経糸302a及
び一定間隔をあけた緯糸302bが織られている。このような繊維体には、経糸302a
及び緯糸302bが存在しない領域(バスケットホール302cという)を有する。この
ようなシート状繊維体302は、有機樹脂301が繊維体に含浸される割合が高まり、シ
ート状繊維体302の密着性を高めることができる。なお、構造体305中のバスケット
ホール302cには、経糸302a及び緯糸302bは存在しないが、有機樹脂301で
充填されている。
【0078】
また、図7(B)に示すように、シート状繊維体302は、経糸302a及び緯糸30
2bの密度が高く、バスケットホール302cの割合が低いものでもよい。代表的には、
バスケットホール302cの大きさが、局所的に押圧される面積より小さいことが好まし
い。代表的には一辺が0.01mm以上0.2mm以下の矩形であることが好ましい。シ
ート状繊維体302のバスケットホール302cの面積がこのように小さいと、先端の細
い部材(代表的には、ペンや鉛筆等の筆記用具)により押圧されても、当該圧力をシート
状繊維体302全体で吸収することが可能である。
【0079】
また、糸束内部への有機樹脂301の浸透率を高めるため、糸束に表面処理が施されて
も良い。例えば、糸束表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等が
ある。また、シランカップリング材、チタネートカップリング材を用いた表面処理がある
【0080】
また高強度繊維とは、具体的には引張弾性率が高い繊維である。または、ヤング率が高
い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステ
ル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレ
ンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維である。ガラス繊維として
は、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維を用いることができ
る。なお、シート状繊維体302は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また
、複数種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0081】
シート状繊維体302に含浸される有機樹脂301は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の
熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテル
イミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、上記熱可
塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱
処理によりシート状繊維体を半導体素子層に固着することが可能である。なお、有機樹脂
301はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0082】
有機樹脂301または繊維の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝
導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等がある。
また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱伝導性フィラーが
有機樹脂または糸束内に含まれることにより素子層での発熱を外部に放出しやすくなるた
め、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の破壊を低減することが
できる。
【0083】
なお図7(A)及び図7(B)では、経糸及び緯糸をそれぞれ1本ずつ編んで形成した
シート状繊維体を示しているが、経糸及び緯糸の数はこれに限定されるものではない。経
糸及び緯糸の数はそれぞれ必要に応じて決めればよい。例えば、経糸及び緯糸をそれぞれ
10本ずつ束ねたものを一束として編んで形成した、シート状繊維体の上面図を図8に、
断面図を図9に示す。なお図9においては、シート状繊維体302は有機樹脂301に含
浸されており、構造体305を形成している。
【0084】
以上のように、電極106と隔壁105の接触面積が大きいので、分離の際に電極10
6と有機物層112が分離してしまうのを防ぐことができる。
【0085】
次いで、半導体回路素子103として、薄膜トランジスタ(Thin Film Tr
ansistor:TFT)が形成される発光装置及びその作製方法を、図2図3(A
)~図3(D)、図4(A)~図4(C)、図5(A)~図5(B)、図6(A)~図6
(B)、図7(A)~図7(C)、図8図9を用いて説明する。
【0086】
まず、基板221上に、分離層222、下地膜204を形成する(図3(A)参照)。
基板221としては、基板101と同様の材料を用いればよい。
【0087】
下地膜204として、酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜、酸素を含む窒
化珪素膜のうちのいずれか1つ、あるいは2つ以上の積層膜とすればよい。
【0088】
分離層222として、分離層102と同様の材料を用いればよい。
【0089】
なお、分離層222を形成する前に、基板221上に酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を
含む酸化珪素膜、酸素を含む窒化珪素膜などの絶縁膜を形成し、当該絶縁膜上に分離層2
22を形成するようにしてもよい。基板221と分離層222との間にこのような絶縁膜
を設けることにより、基板221が含む不純物が上層に侵入してしまうことを防止するこ
とができる。また、後にレーザを照射する工程がある場合、その工程の際に、基板221
がエッチングされてしまうことを防止することができる。なお、ここで、窒素を含む酸化
珪素膜と、酸素を含む窒化珪素膜とでは、前者は窒素よりも酸素を多く含み、後者は酸素
よりも窒素を多く含むという意味で使い分けている。
【0090】
次いで、下地膜204上に島状半導体膜225、下地膜204及び島状半導体膜225
を覆ってゲート絶縁膜205、島状半導体膜225上にゲート絶縁膜205を挟んでゲー
ト電極236を形成する(図3(B)参照)。
【0091】
島状半導体膜225を形成する材料は、珪素(Si)やゲルマニウム(Ge)に代表さ
れる半導体材料を有する気体を用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質
(アモルファス)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶
化させた多結晶半導体、あるいは微結晶(セミアモルファスもしくはマイクロクリスタル
ともいう)半導体、有機材料を主成分とする半導体などを用いることができる。島状半導
体膜225は、スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により半導体膜を
成膜した後、エッチングで島状に形成すればよい。本実施の形態では、島状半導体膜22
5として、島状珪素膜を形成する。
【0092】
また、島状半導体膜225の材料としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)な
どの単体のほかGaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどのような化
合物半導体も用いることができる。また酸化物半導体である酸化亜鉛(ZnO)、酸化ス
ズ(SnO)、酸化マグネシウム亜鉛、酸化ガリウム、インジウム酸化物、及び上記酸
化物半導体の複数より構成される酸化物半導体などを用いることができる。例えば、酸化
亜鉛とインジウム酸化物と酸化ガリウムとから構成される酸化物半導体なども用いること
ができる。なお、酸化亜鉛を島状半導体膜225に用いる場合、ゲート絶縁膜205とし
てY、Al、TiO、それらの積層などを用いるとよく、ゲート電極23
6、後述する電極215a及び電極215bとしては、ITO、Au、Tiなどを用いる
とよい。また、ZnOにInやGaなどを添加することもできる。
【0093】
ゲート電極236は、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用い、Ag、Au、C
u、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、
Si、Ge、Zr、Baから選ばれた元素、または元素を主成分とする合金材料もしくは
化合物材料で形成すればよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコ
ン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、単層構造でも複
数の層を積層した構造でもよい。
【0094】
また島状半導体膜225中に、チャネル形成領域233、ソース領域またはドレイン領
域の一方である領域234a、ソース領域またはドレイン領域の他方である領域234b
を形成する(図3(C)参照)。領域234a及び領域234bは、島状半導体膜225
中にゲート電極236をマスクとして、一導電型を有する不純物元素を添加することによ
って形成すればよい。一導電型を有する不純物元素は、n型を付与する不純物元素であれ
ばリン(P)やヒ素(As)を用いればよく、p型を付与する不純物元素であればホウ素
(B)を用いればよい。
【0095】
また、チャネル形成領域233及び領域234a、並びに、チャネル形成領域233及
び領域234bとの間に、それぞれ低濃度不純物領域を形成してもよい。
【0096】
次いで、ゲート絶縁膜205及びゲート電極236を覆って、絶縁膜206及び絶縁膜
207を形成する。さらに絶縁膜207上に、領域234aに電気的に接続する電極21
5a、並びに、領域234bに電気的に接続する電極215bを形成する。以上述べたよ
うにして、半導体回路に含まれるTFT211を作製する(図3(D)参照)。
【0097】
絶縁膜206及び絶縁膜207はそれぞれ、下地膜204の説明で挙げた材料のうちい
ずれかを用いて形成すればよい。本実施の形態では、絶縁膜206として酸素を含む窒化
珪素膜を形成し、絶縁膜207として窒素を含む酸化珪素膜を形成する。これは熱処理に
よって、酸素を含む窒化珪素膜に含まれる水素により、島状半導体膜225のダングリン
グボンドを終端させるために行うものである。また絶縁膜206及び絶縁膜207は、必
要に応じてどちらか一方を形成してもよい。
【0098】
電極215a及び電極215bは、それぞれゲート電極236の説明で述べた材料のう
ちいずれかを用いて形成すればよい。
【0099】
次いで、絶縁膜207、電極215a、電極215bを覆って絶縁膜208を形成し、
絶縁膜208上に電極215aあるいは電極215bの一方と電気的に接続される電極2
17を形成する(図4(A)参照)。
【0100】
絶縁膜208は、有機絶縁材料または無機絶縁材料を用いて形成すればよい。
【0101】
無機材料として、例えば、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、ダイヤモンド状
炭素(Diamond Like Carbon(DLC))のいずれか1つ、あるいは
、2つ以上の積層構造を用いることができる。また、有機材料として、ポリイミド、アク
リル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン、シロキサン
のうちいずれか1つ、あるいは、2つ以上の積層構造を用いればよい。
【0102】
電極217は、ゲート電極236の説明で挙げた材料のうちいずれかを用いて形成すれ
ばよい。
【0103】
次いで絶縁膜208上に隔壁275を形成する(図4(B)参照)。隔壁275は、絶
縁膜208で述べた材料のうちのいずれかを用いて形成すればよい。また隔壁275は、
隣り合う電極217の一部と重なっており、電極217及び後に形成される有機物層11
2を、画素ごとに分離する機能を有する。
【0104】
次いで、電極217上の、隣り合う隔壁275で囲まれた領域に、有機物層112を形
成する(図4(C)参照)。
【0105】
次いで、有機物層112及び隔壁275上に電極113を形成する。電極113は、電
極106で述べた材料のうちのいずれかを用いて形成すればよい。
【0106】
電極113上に封止層114を形成する(図5(A)参照)。封止層114は、封止層
107と同様の材料で形成すればよい。
【0107】
また封止層114上に保護材241を形成する。保護材241は保護材108と同様の
材料を用いればよい。
【0108】
さらに保護材241上に支持体242を形成する(図5(B)参照)。支持体242は
、支持体109と同様の材料を用いればよい。
【0109】
次いで分離層222を介して、基板221から、下地膜204、TFT211、絶縁膜
208、電極217、隔壁275、有機物層112、電極113、封止層114、保護材
241、及び、支持体242を分離する(図6(A)参照)。
【0110】
このとき、レーザビーム、例えばUVレーザビーム、を照射し、分離層222及び下地
膜204中に開口部を形成してもよい。
【0111】
開口部を形成することにより、分離層222が一部除去されることがきっかけとなり、
基板221から、下地膜204、TFT211、絶縁膜208、電極217、隔壁275
、有機物層112、電極113、封止層114、保護材241、及び、支持体242を、
簡単に分離することができる。この分離は、分離層222の内部、または分離層222と
下地膜204の間を境界として行われる。
【0112】
またレーザ照射は、支持体242を形成する前に行ってもよい。
【0113】
またレーザビームの種類はUVレーザビームに限定されるものではなく、開口部を形成
できるものであれば特に制約はない。
【0114】
レーザビームを発振するレーザ発振器は、レーザ媒質、励起源、共振器により構成され
ている。レーザは、媒質により分類すると、気体レーザ、液体レーザ、固体レーザがあり
、発振の特徴により分類すると、自由電子レーザ、半導体レーザ、X線レーザがあるが、
本実施の形態では、いずれのレーザを用いてもよい。なお、好ましくは、気体レーザまた
は固体レーザを用いるとよく、さらに好ましくは固体レーザを用いるとよい。
【0115】
気体レーザは、ヘリウムネオンレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、アルゴンイ
オンレーザがある。エキシマレーザは、希ガスエキシマレーザ、希ガスハライドエキシマ
レーザがある。希ガスエキシマレーザは、アルゴン、クリプトン、キセノンの3種類の励
起分子による発振がある。アルゴンイオンレーザは、希ガスイオンレーザ、金属蒸気イオ
ンレーザがある。
【0116】
液体レーザは、無機液体レーザ、有機キレートレーザ、色素レーザがある。無機液体レ
ーザと有機キレートレーザは、固体レーザに利用されているネオジムなどの希土類イオン
をレーザ媒質として利用する。
【0117】
固体レーザが用いるレーザ媒質は、固体の母体に、レーザ作用をする活性種がドープさ
れたものである。固体の母体とは、結晶またはガラスである。結晶とは、YAG(イット
リウム・アルミニウム・ガーネット結晶)、YLF、YVO、YAlO、サファイア
、ルビー、アレキサンドライドである。また、レーザ作用をする活性種とは、例えば、3
価のイオン(Cr3+、Nd3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Er3+、Ti3+
)である。
【0118】
なお、媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状
に媒質を形成することが可能である。媒質として単結晶を用いる場合、通常、直径数mm
、長さ数十mmの円柱状のものが用いられているが、媒質としてセラミック(多結晶)を
用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。また、発光に直接寄与する媒質
中のNdやYbなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられ
ないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しか
しながら、媒質としてセラミックを用いると、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大
きくすることができるため大幅な出力向上が得られる。さらに、媒質としてセラミックを
用いると、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。この
ような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を
長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能に
なる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは射出時の断面形状が四
角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。
このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長
さ1mm以下、長辺の長さ数mm~数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。ま
た、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布
の均一なものとなる。この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全
面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが
必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫
が必要となる。
【0119】
なお、開口部を形成するためのレーザビームとして、連続発振型(CW)のレーザビー
ムやパルス発振型のレーザビームを用いることができる。なお、レーザビームの照射条件
、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロファイル等は、下地膜20
4及び分離層222の厚さやその材料等を考慮して適宜制御する。
【0120】
図16及び図17を用いて、分離工程において基板221と基板221上の積層構造体
をどの方向に沿って分離すべきか説明する。
【0121】
図5(B)に示す積層構造体の上面図が、図16である。ただし図16には、基板22
1、隔壁275、電極113、領域122R、領域122G、領域122Bのみを示して
いる。領域122R、領域122G、領域122Bについて、以下に説明する。
【0122】
同じ色を発光する有機物層112どうしは隣り合って一列に並んでいる。赤色を発光す
る有機物層112Rが並んでいる領域を領域122R、緑色を発光する有機物層112G
が並んでいる領域を領域122G、青色を発光する有機物層112Bが並んでいる領域を
領域122B(図17参照)とする。
【0123】
また隔壁275は、有機物層112Rと有機物層112Gの間、有機物層112Gと有
機物層112Bとの間、有機物層112Bと有機物層112Rとの間に存在している。さ
らに図16に示すように、隔壁275は、有機物層112R、有機物層112G、有機物
層112Bそれぞれが伸びている方向と同じ方向に伸びていると言える。
【0124】
図16において、方向125は、基板221の一辺と平行な方向であり、領域122R
、領域122G、領域122B(総じて領域122とする)それぞれが伸びている方向と
垂直な方向である。方向125に沿って基板221と基板221上の積層構造体を分離す
ると、分離するための力は、隔壁275及び領域122に対して交互にかかることとなる
【0125】
電極113、及び、有機物層112を含む領域122との密着性が弱い一方、電極11
3と隔壁275との密着性が強いため、分離工程において、密着性の弱い部分と強い部分
が交互に存在するため、電極113と領域122が分離してしまうのを防ぐことができる
【0126】
一方、領域122R、領域122G、領域122Bそれぞれが伸びている方向である方
向126に沿って、基板221と基板221上の積層構造体を分離すると、分離するため
の力は、隔壁275及び領域122それぞれに対して常にかかることとなる。
【0127】
その結果、電極113と隔壁275との密着性が強い一方、電極113と領域122の
密着性が弱いので、密着性の弱い部分が連続的に存在するため、電極113と領域122
が分離してしまう恐れがある。
【0128】
以上により、分離の方向は、領域122が伸びている方向と垂直な方向であり、隔壁2
75と領域122が交互に並んでいる方向125である必要がある。
【0129】
基板221を分離することにより、下地膜204、TFT211、絶縁膜208、電極
217、隔壁275、有機物層112、電極113、封止層114、保護材241を有す
る積層構造体237、及び、支持体242が得られる(図6(B)参照)。
【0130】
積層構造体237中の下地膜204に、基体201を貼り合わせる。基体201は、接
着層203を用いて貼り合わせてもよい(図2参照)。基体201は、基体111と同様
の材料、あるいは、図7(A)~図7(C)、図8図9で説明した構造体305を用い
ればよい。その後、支持体242を積層構造体237から分離する。
【0131】
接着層203は、反応硬化型、熱硬化型、紫外線硬化型等の光硬化型接着材、嫌気型な
どの各種硬化型接着材を用いることができる。これら接着材の材質としてはエポキシ樹脂
やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0132】
以上のように、分離層222を用いての分離工程の際に、電極113と隔壁275の接
触面積が大きいので、電極113と有機物層112が分離してしまうのを防ぐことができ
る。
【0133】
以上により、発光装置235を作製することが可能である。
【0134】
[実施の形態2]
本実施の形態では、実施の形態1で説明した発光装置を組み込んだ携帯電話機について
図10(A)~図10(D)、図11(A)~図11(B)、図12図13図14
(A)~図14(D)、図15(A)~図15(B)を用いて説明する。本実施の形態に
おいて、同じものは同じ符号で示している。
【0135】
図10(C)は、携帯電話機を正面から見た図、図10(D)は携帯電話機を横から見
た図、図10(B)は携帯電話機を上から見た図、図10(A)は、筐体411の断面図
である。筐体411の正面から見た形状は、長い辺と短い辺を有する矩形であり、矩形の
角は丸まっていてもよい。本実施の形態では、正面形状である矩形の長い辺と平行な方向
を長手方向と呼び、短い辺と平行な方向を短手方向と呼ぶ。
【0136】
また、筐体411の側面から見た形状も、長い辺と短い辺を有する矩形であり、矩形の
角は丸まっていてもよい。本実施の形態では、側面形状である矩形の長い辺と平行な方向
は長手方向であり、短い辺と平行な方向を奥行方向と呼ぶ。
【0137】
図10(A)~図10(D)で示される携帯電話機は、筐体411、筐体402、筐体
411に組み込まれた表示領域413、操作ボタン404、ELパネル421、タッチパ
ネル423、支持体416を有している。
【0138】
ELパネル421及び後述する駆動回路412は、実施の形態1で説明した発光装置を
用いて形成すればよい。ELパネル421として発光素子を用い、さらに発光素子を駆動
する画素回路として半導体回路素子を用いて作製してもよい。画素回路を駆動する駆動回
路412として、さらに半導体回路素子を用いて作製してもよい。半導体回路素子は、半
導体を用いて形成した素子であり、薄膜トランジスタ、ダイオード等を含む回路を有する
ものである。
【0139】
なお、図15(A)は、筐体411の斜視図であり、筐体411の一番面積の広い領域
を正面455、正面455の対向する面を裏面452、正面455と裏面452の間に存
在する領域を側面453、正面455、裏面452及び側面453に囲まれた領域の内の
一方を上面454とする。
【0140】
また図11(A)は、図10(A)~図10(D)に示す携帯電話機の裏面から見た図
である。
【0141】
図11(A)に示すように、駆動回路412は筐体411の裏面452に配置されるよ
うに作製されている。
【0142】
図11(B)は、図10(C)に示す状態から横に90°回転させた場合の上面図であ
る。本実施の形態の携帯電話機は、縦に置いても横に置いても画像や文字を表示させるこ
とができる。
【0143】
図10(A)に示されるように、筐体411の内部には、支持体416があり、支持体
416上にELパネル421が配置されている。ここで支持体416の上面領域を覆って
いる。
【0144】
このように、携帯電話機の長手方向の上部に表示領域413が存在している。すなわち
、上面454に表示領域413が存在している。これにより、例えば携帯電話機を胸ポケ
ットに入れていたとしても、取り出すことなく表示領域413を見ることが可能である。
【0145】
表示領域413には、メールの有無、着信の有無、日時、電話番号、人名等が表示でき
ればよい。また必要に応じて、表示領域413のうち上面454に存在する領域のみを表
示し、その他の領域は表示しないことにより、省エネルギー化を図ることができる。
【0146】
図10(D)の断面図を図12に示す。図12に示すように、筐体411内において、
支持体416に沿ってELパネル421及びタッチパネル423が配置されており、表示
領域413は筐体411の正面455及び上面454に存在している。
【0147】
また、ELパネル421及び駆動回路412の展開図を図13に示す。図13において
は、ELパネル421は上面454並びに裏面452に配置されるように作製されており
、駆動回路412は裏面452に配置されている。このようにELパネル421を正面4
55と上面454で別々に作製するのではなく、正面455と上面454の両方に存在す
るようにELパネル421を作製するので、作製コストや作製時間を抑制することができ
る。
【0148】
ELパネル421上には、タッチパネル423が配置されており、表示領域413には
タッチパネルのボタン414が表示される。ボタン414を指などで接触することにより
、表示領域413の表示内容を操作することができる。また、電話の発信、あるいはメー
ルの作成は、表示領域413のボタン414を指などで接触することにより行うことがで
きる。
【0149】
タッチパネル423のボタン414は、必要なときに表示させればよく、ボタン414
が必要ないときは、図11(B)に示すように表示領域413全体に画像や文字を表示さ
せることができる。
【0150】
さらに、携帯電話機の長手方向の上部にも表示領域433が存在し、かつ、携帯電話機
の断面形状において上部の長辺も曲率半径を有する例を、図14(A)~図14(D)及
図15(B)に示す。
【0151】
図14(C)は、携帯電話機を正面から見た図、図14(D)は携帯電話機を横から見
た図、図14(B)は携帯電話機を上から見た図、図14(A)は、筐体431の断面図
である。筐体431の正面から見た形状は、長い辺と短い辺を有する矩形であり、矩形の
角は丸まっていてもよい。本実施の形態では、矩形の長い辺と平行な方向を長手方向と呼
び、短い辺と平行な方向を短手方向と呼ぶ。
【0152】
図14(A)~図14(D)で示される携帯電話機は、筐体431、筐体402、筐体
431に組み込まれた表示領域433、操作ボタン404、ELパネル441、タッチパ
ネル443、支持体436を有している。
【0153】
ELパネル441及び駆動回路412は、実施の形態1で説明した発光素子及び半導体
回路素子を用いて形成すればよい。ELパネル441として発光素子を用い、さらに発光
素子を駆動する画素回路として半導体回路素子を用いて作製してもよい。画素回路を駆動
する駆動回路412として、さらに半導体回路素子を用いて作製してもよい。
【0154】
なお、図15(B)は、筐体431の斜視図であり、図15(A)と同様に、筐体43
1の一番面積の広い領域を正面455、正面455の対向する面を裏面452、正面45
5と裏面452の間に存在する領域を側面453、正面455、裏面452及び側面45
3に囲まれた領域の内の一方を上面454とする。
【0155】
また、図14(A)~図14(D)に示す携帯電話機の裏面から見た図は、図10(A
)~図10(D)に示すものと同じであり、図11(A)である。
【0156】
図11(A)と同様に、駆動回路412は筐体431の裏面452に配置されるように
作製されている。図14(A)~図14(D)に示す携帯電話機の裏面から見た図は、図
11(A)の筐体411を筐体431と読み替えればよい。
【0157】
図14(A)~図14(D)に示す携帯電話機では、支持体436の断面形状を上部の
長辺に曲率半径を有するように形成する。これにより、ELパネル441及びタッチパネ
ル443それぞれの断面形状において、上部の長辺に曲率半径が生じる。また筐体431
の上部も湾曲している。すなわち、表示領域433を正面455から見た場合、手前に向
かって丸く突き出していることになる。
【0158】
支持体436の上部の長辺の曲率半径をR1とすると、曲率半径R1は20cm~30
cmが好ましい。
【0159】
支持体436の上部の長辺が曲率半径R1を有するように湾曲しているので、支持体4
36を覆うELパネル441、ELパネル441を覆うタッチパネル443、並びに、筐
体431も上部の長辺が湾曲している。
【0160】
図14(A)~図14(D)に示す携帯電話機は、携帯電話機の長手方向の上部にも表
示領域433が存在している。すなわち、上面454も表示領域433が存在している。
これにより、例えば携帯電話機を胸ポケットに入れていたとしても、取り出すことなく表
示領域433を見ることが可能である。
【0161】
表示領域433には、メールの有無、着信の有無、日時、電話番号、人名等が表示でき
ればよい。また必要に応じて、表示領域433のうち上面454に存在する領域のみを表
示し、その他の領域は表示しないことにより、省エネルギー化を図ることができる。
【0162】
また、ELパネル441及び駆動回路412の展開図は、図10(A)~図10(D)
同様、図13であり、ELパネル421をELパネル441と読み替えればよい。図13
においては、駆動回路412は上面454並びに裏面452に配置されている。
【符号の説明】
【0163】
101 基板
102 分離層
103 半導体回路素子
104 電極
105 隔壁
106 電極
107 封止層
108 保護材
109 支持体
111 基体
112 有機物層
112R 有機物層
112G 有機物層
112B 有機物層
113 電極
114 封止層
122 領域
122R 領域
122G 領域
122B 領域
125 方向
126 方向
201 基体
203 接着層
204 下地膜
205 ゲート絶縁膜
206 絶縁膜
207 絶縁膜
208 絶縁膜
211 TFT
215a 電極
215b 電極
217 電極
221 基板
222 分離層
225 島状半導体膜
233 チャネル形成領域
234a 領域
234b 領域
235 発光装置
236 ゲート電極
237 積層構造体
241 保護材
242 支持体
275 隔壁
301 有機樹脂
302 シート状繊維体
302a 経糸
302b 緯糸
302c バスケットホール
305 構造体
402 筐体
404 操作ボタン
411 筐体
412 駆動回路
413 表示領域
414 ボタン
416 支持体
421 ELパネル
423 タッチパネル
431 筐体
433 表示領域
436 支持体
441 ELパネル
443 タッチパネル
452 裏面
453 側面
454 上面
455 正面
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12
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