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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】動作制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B19/418 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023525265
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2021021094
(87)【国際公開番号】W WO2022254638
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛太
(72)【発明者】
【氏名】堀口 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】出射 敬
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-42068(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200252(JP,U)
【文献】特開平7-125828(JP,A)
【文献】特開平7-230312(JP,A)
【文献】特開2009-208206(JP,A)
【文献】特開2005-216135(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104865894(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 19/18 ー 19/416
B25J 13/00
B23Q 41/00
B30B 15/00
B21D 43/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの駆動信号を合成した合成駆動信号を用いて第1駆動軸の駆動速度を切り替えて駆動するとともに、合成される一方の駆動信号を用いて前記第1駆動軸とは別の作業を行う第2駆動軸を駆動する動作制御装置であって、
前記第1駆動軸の駆動速度切り替え前における前記第1駆動軸の位置偏差を算出するとともに、前記第2駆動軸の位置偏差を算出する位置偏差算出部と、
動作速度切り替え前の前記第1駆動軸の駆動速度、算出された前記第1駆動軸の位置偏差、及び算出された前記第2駆動軸の位置偏差に基づいて、動作速度切り替え後の前記第1駆動軸のゲイン値を算出するゲイン値算出部と、
を備える動作制御装置。
【請求項2】
前記位置偏差算出部は、前記一方の駆動信号による前記第2駆動軸の駆動速度切り替え前における前記第1駆動軸の位置偏差と駆動速度切り替え前後における前記第2駆動軸の位置偏差とを算出し、
前記ゲイン値算出部は、駆動速度切り替え前後の前記第1駆動軸の駆動速度、算出された前記第1駆動軸の位置偏差、及び算出された前記第2駆動軸の駆動速度切り替え前後の位置偏差に基づいて、前記第2駆動軸の速度変化後の前記第1駆動軸のゲイン値を算出する請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項3】
前記ゲイン値算出部は、前記第2駆動軸の駆動方向に沿う方向における、前記第1駆動軸のゲイン値を算出する請求項1又は2に記載の動作制御装置。
【請求項4】
前記ゲイン値算出部は、算出された駆動速度切り替え前の前記第1駆動軸の位置偏差と駆動速度切り替え後の前記第1駆動軸の位置偏差との差を小さくするように、動作速度切り替え後の駆動における前記第1駆動軸のゲイン値を算出する請求項1から3のいずれかに記載の動作制御装置。
【請求項5】
前記ゲイン値算出部は、算出された駆動速度切り替え前の前記第1駆動軸の位置偏差と前記駆動速度切り替え後の前記第1駆動軸の位置偏差との差を所定の範囲内にするように、動作速度切り替え後の駆動におけるゲインの設定値を算出する請求項4に記載の動作制御装置。
【請求項6】
算出されたゲイン値を前記第1駆動軸のパラメータとして設定するパラメータ設定部と、
設定された前記パラメータ、切り替え後の前記合成駆動信号、及び合成される前記一方の駆動信号を用いて前記第1駆動軸及び前記第2駆動軸の動作を制御する動作制御部と、
をさらに備える請求項1から5のいずれかに記載の動作制御装置。
【請求項7】
設定されるパラメータについて、算出されたゲイン値と、駆動速度切り替え前の前記第1駆動軸のゲイン値及び前記第2駆動軸のゲイン値のうちいずれか小さい側のゲイン値との間で選択する選択部をさらに備え、
前記パラメータ設定部は、選択されたゲイン値を前記第1駆動軸のパラメータとして設定する請求項6に記載の動作制御装置。
【請求項8】
2つの駆動信号を合成した合成駆動信号を用いて第1駆動軸の駆動速度を切り替えて駆動するとともに、合成される一方の駆動信号を用いて前記第1駆動軸とは別の作業を行う第2駆動軸を駆動する動作制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記第1駆動軸の駆動速度切り替え前における前記第1駆動軸の位置偏差を算出するとともに、前記第2駆動軸の位置偏差を算出する位置偏差算出部、
動作速度切り替え前の前記第1駆動軸の駆動速度、算出された前記第1駆動軸の位置偏差、及び算出された前記第2駆動軸の位置偏差に基づいて、動作速度切り替え後の前記第1駆動軸のゲイン値を算出するゲイン値算出部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークを加工する生産システムが知られている。生産システムは、ワークを搬送するコンベア装置と、コンベア装置に沿って配設される少なくとも1つの産業機械と、コンベア装置及び産業機械の動作を制御する動作制御装置と、を備えている。
【0003】
産業機械は、ワークを加工する工具を有する。産業機械は、工具を用いて、搬送されるワークを加工する。これにより、産業機械は、ワークを所望の形状に加工することができる。
【0004】
動作制御装置は、例えば、コンベア装置を制御する機能と、産業機械を制御する機能とのそれぞれを有する。動作制御装置は、両者の機能を順次動作させることで、産業機械にワークを加工させる。すなわち、動作制御装置は、2系統の駆動信号を用いて生産システムを動作させる。
【0005】
2系統の駆動信号を用いて生産システムを制御する場合、動作制御装置は、一方の駆動信号と他方の駆動信号とを同期させるのが好ましい。動作制御装置は、例えば、一方の駆動信号と他方の駆動信号とを1つの駆動信号として扱うことが好ましい。これにより、生産効率を向上することができる。このような装置として、CNC(数値制御装置)側軸移動指令と、PMC(プログラマブルマシンコントローラ)側軸移動指令とを重畳して、各軸を移動制御するCNCシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、主軸とサーボ軸とを同期させてタップ加工を行う装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-230312号公報
【文献】特許第2713566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のCNCシステムでは、CNC側軸移動指令と、PMC側軸移動指令とを重畳する。これにより、特許文献1に記載のCNCシステムでは、CNC制御とPMC制御とを共に動作させることができる。
【0008】
ところで、順次動作される2系統の駆動信号が用いられる場合、他方の駆動信号を用いる駆動は、一方の駆動信号を用いる軸移動の終了の後に実行される。そのため、単に2系統の駆動信号を重畳するだけでは、2系統の駆動信号を適切に動作させることが難しい。
【0009】
また、特許文献2に記載のように、2つの軸を同期させる場合、2つの軸の間のゲインの差に起因する同期誤差が発生する場合がある。この場合、サーボ軸のゲインを主軸のゲインに合わせることにより、同期誤差を小さくすることができる。すなわち、小さい側のゲインに合わせてゲインを設定することにより、同期誤差を小さくすることができる。一方で、小さい側のゲインに合わせてゲインを設定すると、加工精度は担保できるが、加工速度が低下する。そこで、同期誤差の発生を抑制しつつ、加工速度の向上を図ることができれば好適である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本開示は、2つの駆動信号を合成した合成駆動信号を用いて第1駆動軸の駆動速度を切り替えて駆動するとともに、合成される一方の駆動信号を用いて前記第1駆動軸とは別の作業を行う第2駆動軸を駆動する動作制御装置であって、前記第1駆動軸の駆動速度切り替え前における前記第1駆動軸の位置偏差を算出するとともに、前記第2駆動軸の位置偏差を算出する位置偏差算出部と、動作速度切り替え前の前記第1駆動軸の駆動速度、算出された前記第1駆動軸の位置偏差、及び算出された前記第2駆動軸の位置偏差に基づいて、動作速度切り替え後の前記第1駆動軸のゲイン値を算出するゲイン値算出部と、を備える動作制御装置に関する。
【0011】
(2) また、本開示は、2つの駆動信号を合成した合成駆動信号を用いて第1駆動軸の駆動速度を切り替えて駆動するとともに、合成される一方の駆動信号を用いて前記第1駆動軸とは別の作業を行う第2駆動軸を駆動する動作制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記第1駆動軸の駆動速度切り替え前における前記第1駆動軸の位置偏差を算出するとともに、前記第2駆動軸の位置偏差を算出する位置偏差算出部、動作速度切り替え前の前記第1駆動軸の駆動速度、算出された前記第1駆動軸の位置偏差、及び算出された前記第2駆動軸の位置偏差に基づいて、動作速度切り替え後の前記第1駆動軸のゲイン値を算出するゲイン値算出部、として機能させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、同期誤差の発生を抑制しつつ、加工速度の向上を図ることが可能な動作制御装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1実施形態に係る動作制御装置を含む生産システムを示す概略構成図である。
図2】第1実施形態の動作制御装置を含む生産システムにおける動作の概要を示す概念図である。
図3】第1実施形態の動作制御装置を含む生産システムにおける動作の概要を示す概念図である。
図4】第1実施形態の動作制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態の動作制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6】変形例に係る動作制御装置の構成を示すブロック図である。
図7】変形例に係る動作制御装置の構成を示すブロック図である。
図8】変形例に係る動作制御装置によって制御される共用軸を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の各実施形態に係る動作制御装置1及びプログラムについて、図1から図7を参照して説明する。
まず、各実施形態に係る動作制御装置1及びプログラムを説明するのに先立って、動作制御装置1を含む生産システム100の概要について説明する。
【0015】
生産システム100は、例えば、ワークWを搬送しつつ加工するシステムである。生産システム100は、図1に示すように、コンベア装置10と、産業機械20と、動作制御装置1と、を備える。
【0016】
コンベア装置10は、ワークWを搬送する装置である。コンベア装置10は、例えば、モータ(図示せず)を回転させてワークWを搬送する。コンベア装置10は、所定の方向に向けてワークWを搬送する。
【0017】
産業機械20は、例えば、工作機械である。産業機械20は、図1に示すように、ワークWの搬送方向に沿って2つ配設される。産業機械20は、例えば、工具21(図2参照)を用いて、予め設定された形状にワークWを加工する。なお、産業機械20とは、例えば、工作機械、産業用ロボット、サービス用ロボット、鍛圧機械及び射出成形機といった様々な機械を含む。
【0018】
動作制御装置1は、コンベア装置10及び産業機械20の動作を制御する装置である。動作制御装置1は、例えば、少なくとも2系統の駆動信号を用いて生産システム100の動作を制御する。動作制御装置1は、例えば、第1系統の駆動信号として、簡単な加工や搬送等の簡易な動作、生産システム100上の機器の管理にPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を用いる。具体的には、動作制御装置1は、コンベア装置10によるワークWの搬送にPLCを用いる。また、動作制御装置1は、例えば、第2系統の駆動信号として、複雑な形状の加工や複雑な動作にNC(数値制御)の駆動信号を用いる。具体的には、動作制御装置1は、産業機械20の工具21の軸移動にNCを用いる。
【0019】
ここで、動作制御装置1は、例えば、第1系統の駆動信号と、第2系統の駆動信号とを合成(重畳)して生産システム100の動作を制御する。特に、動作制御装置1は、2つの駆動信号を合成した合成駆動信号を用いて第1駆動軸S1(例えば、工具軸)を駆動するとともに、合成される一方の駆動信号を用いてワークを搬送する。動作制御装置1は、例えば、図2及び図3に示すように、PLCによって搬送台T(第2駆動軸S2(本実施形態では、ワークを搬送する搬送軸))に載置されたワークWの搬送(軸制御)をさせながら、NCによって工具21(第1駆動軸S1(本実施形態では、工具軸))にワークWを加工させる。第2駆動軸S2は、第1駆動軸S1とは別の作業を行うための駆動軸である。すなわち、動作制御装置1は、時刻t0において、工具21の基準位置P0に対して、距離dだけワークW側に移動した加工位置P1に工具21を移動させることで、工具21を用いてワークWの加工を開始させる。次いで、動作制御装置1は、時刻t1、t2、t3において、ワークWの搬送に合わせて、工具21にワークWを加工させることで搬送と加工との両者を実行する。
【0020】
[第1実施形態]
次に、本開示の第1実施形態に係る動作制御装置1及びプログラムについて、図4及び図5を参照して説明する。
本実施形態に係る動作制御装置1は、少なくとも2系統の駆動信号を用いて、産業機械20を含む生産システム100の動作を制御する。動作制御装置1は、図4に示すように、第1系統プログラム格納部101と、第1駆動信号生成部102と、第1駆動信号出力部103と、第2系統プログラム格納部104と、第2駆動信号生成部105と、第2駆動信号出力部106と、選択取得部107と、合成タイミング取得部108と、合成タイミング決定部109と、合成駆動信号生成部110と、位置偏差算出部121と、ゲイン値算出部122と、パラメータ設定部123と、選択部124と、動作制御部111と、を備える。なお、本実施形態では、ワーク(第2駆動軸S2)が停止している状態から、ワークが搬送されている状態(第2駆動軸S2が駆動されている状態)に切り替わる場合を例に説明する。
【0021】
第1系統プログラム格納部101は、例えば、ハードディスク等の二次記憶媒体である。第1系統プログラム格納部101は、第1系統の駆動信号を生成するためのプログラムを格納する。本実施形態において、第1系統プログラム格納部101は、例えば、PLC制御用のプログラムを格納する。具体的には、第1系統プログラム格納部101は、コンベア装置10の軸を移動させて、ワークWを搬送するプログラムを格納する。すなわち、第1系統プログラム格納部101は、ワークWを搬送するために、第2駆動軸S2を駆動するプログラムを格納する。また、第1系統プログラム格納部101は、第2駆動軸S2を駆動する際のゲイン値を格納する。
【0022】
第1駆動信号生成部102は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第1駆動信号生成部102は、第1系統の駆動信号である第1駆動信号を生成する。本実施形態において、第1駆動信号生成部102は、コンベア装置10の軸を駆動する駆動信号を生成する。すなわち、第1駆動信号生成部102は、第2駆動軸S2を駆動する駆動信号を生成する。
【0023】
第1駆動信号出力部103は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第1駆動信号出力部103は、第1系統の駆動信号である第1駆動信号を出力する。第1駆動信号出力部103は、例えば、所定の制御周波数で第1駆動信号を出力する。具体的には、第1駆動信号出力部103は、後述する第2駆動信号出力部106よりも短い制御周波数で第1駆動信号を出力する。
【0024】
第2系統プログラム格納部104は、例えば、ハードディスク等の二次記憶媒体である。第2系統プログラム格納部104は、第2系統の駆動信号を生成するためのプログラムを格納する。本実施形態において、第2系統プログラム格納部104は、例えば、NC制御用のプログラムを格納する。具体的には、第2系統プログラム格納部104は、産業機械20の工具21(第1駆動軸S1)の軸を移動させて、ワークWを加工するプログラムを格納する。すなわち、第2系統プログラム格納部104は、ワークWを加工するために、第1駆動軸S1を駆動するプログラムを格納する。また、第2系統プログラム格納部104は、第1駆動軸S1を駆動する際のゲイン値を格納する。
【0025】
第2駆動信号生成部105は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第2駆動信号生成部105は、第2系統の駆動信号である第2駆動信号を生成する。本実施形態において、第2駆動信号生成部105は、産業機械20の工具21(第1駆動軸S1)の軸を駆動する駆動信号を生成する。すなわち、第2駆動信号生成部105は、第1駆動軸S1を駆動する駆動信号を生成する。
【0026】
第2駆動信号出力部106は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第2駆動信号出力部106は、第2系統の駆動信号である第2駆動信号を出力する。第2駆動信号出力部106は、例えば、第1駆動信号出力部103よりも長い駆動周波数で第2駆動信号を出力する。
【0027】
選択取得部107は、例えば、CPUが動作することにより実現される。選択取得部107は、合成駆動信号の生成の有無の選択を取得する。選択取得部107は、例えば、第1駆動信号及び第2駆動信号を合成する場合、合成「有り」とする選択を取得する。一方、選択取得部107は、第1駆動信号及び第2駆動信号を合成しない場合、合成「無し」とする選択を取得する。
【0028】
合成タイミング取得部108は、例えば、CPUが動作することにより実現される。合成タイミング取得部108は、第1駆動信号及び第2駆動信号の合成するタイミングを外部から取得する。合成タイミング取得部108は、合成「有り」が選択された場合に、第1駆動信号及び第2駆動信号の合成するタイミングを取得する。合成タイミング取得部108は、例えば、合成するプログラムブロック又は搬送位置等を合成タイミングとして取得する。具体的には、合成タイミング取得部108は、図2において、ワークWの載置台が位置P1に搬送される第1駆動信号と、工具21(第1駆動軸S1)を駆動してワークWを加工する第2駆動信号とを合成タイミングとして取得する。合成タイミング取得部108は、キーボード等の入力装置(図示せず)を用いて合成タイミングを取得する。
【0029】
合成タイミング決定部109は、例えば、CPUが動作することにより実現される。合成タイミング決定部109は、第1駆動信号及び第2駆動信号の合成タイミングを決定する。合成タイミング決定部109は、合成タイミング取得部108によって取得されたタイミングを合成タイミングとして決定する。
【0030】
合成駆動信号生成部110は、例えば、CPUが動作することにより実現される。合成駆動信号生成部110は、合成駆動信号を生成する選択が取得された場合に、合成駆動信号を生成する。また、合成駆動信号生成部110は、決定された合成タイミングに基づいて、第1駆動信号及び第2駆動信号を合成して合成駆動信号を生成する。合成駆動信号生成部110は、少なくとも一方に所定の補正がなされた第1駆動信号及び第2駆動信号を合成して、合成駆動信号を生成する。合成駆動信号生成部110は、例えば、少なくとも一方に所定の倍率を掛けた第1駆動信号及び第2駆動信号を合成して、合成駆動信号を生成する。また、合成駆動信号生成部110は、例えば、少なくとも一方の信号の符号を反転した第1駆動信号及び第2駆動信号を合成して、合成駆動信号を生成する。また、合成駆動信号生成部110は、例えば、第1駆動信号によって制御される対象物の位置に対して、第2駆動信号によって制御される対象物の相対位置を変更する合成駆動信号を生成する。具体的には、合成駆動信号生成部110は、第1駆動信号によって搬送されるワークWの位置に対して、第2駆動信号によって制御される工具21(第1駆動軸S1)の相対位置を変更する合成駆動信号を生成する。より具体的には、合成駆動信号生成部110は、第1駆動信号によって搬送されるワークWの位置と、第2駆動信号によって制御される工具21(第1駆動軸S1)の基準位置との差分を補正する合成駆動信号を生成する。合成駆動信号生成部110は、例えば、図2において、ワークWの搬送方向とは逆側に向けて、基準位置P0から加工位置P1に工具21(第1駆動軸S1)を移動させる合成駆動信号を生成する。すなわち、合成駆動信号生成部110は、ワークWの搬送方向とは逆側に向けて、工具21(第1駆動軸S1)を距離dだけ移動させるように軸を駆動する合成駆動信号を生成する。
【0031】
位置偏差算出部121は、例えば、CPUが動作することにより実現される。位置偏差算出部121は、第1駆動軸S1の駆動速度切り替え前における第1駆動軸S1の位置偏差を算出するとともに、第2駆動軸S2の位置偏差を算出する。位置偏差算出部121は、例えば、以下の数式(1)を算出することにより、駆動速度切り替え前の位置偏差を算出する。すなわち、位置偏差出力部は、合成駆動信号に合成される他方の駆動信号により第1駆動軸S1を駆動した際の第1駆動軸S1の位置偏差を算出する。ここで、Emcn1は第1駆動軸S1の位置偏差を示す。Fmcnは、駆動速度切り替え前における駆動信号による第1駆動軸S1の指令速度を示す。Gmcnは、駆動速度切り替え前における加工軸のゲインのパラメータ設定値を示す。
Emcn1=Fmcn/Gmcn ・・・・ (1)
【0032】
また、位置偏差算出部121は、例えば、以下の数式(2)を算出することにより、第2駆動軸S2の位置偏差を算出する。すなわち、位置偏差出力部は、合成駆動信号に合成される一方の駆動信号により第2駆動軸S2を駆動した際の第2駆動軸S2の位置偏差を算出する。ここで、Eplcは第2駆動軸S2の位置偏差を示す。Fplcは、駆動速度切り替え前における駆動信号による第2駆動軸S2の指令速度を示す。Gplcは、駆動速度切り替え前における第2駆動軸S2のゲインのパラメータ設定値を示す。
Eplc=Fplc/Gplc ・・・・ (2)
【0033】
ゲイン値算出部122は、例えば、CPUが動作することにより実現される。ゲイン値算出部122は、動作速度切り替え前の第1駆動軸S1の駆動速度、算出された第1駆動軸S1の位置偏差、及び算出された第2駆動軸S2の位置偏差に基づいて、動作速度切り替え後の第1駆動軸S1のゲイン値を算出する。ゲイン値算出部122は、算出された駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1の位置偏差と、駆動速度切り替え後の第1駆動軸S1の位置偏差との差を小さくするように動作速度切り替え後の駆動における駆動軸のゲイン値を算出する。ゲイン値算出部122は、例えば、算出された駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1の位置偏差と駆動速度切り替え後の第1駆動軸S1の位置偏差との差を所定の範囲内にするように動作速度切り替え後の駆動におけるゲインの設定値を算出する。ゲイン値算出部122は、例えば、以下の数式(3)のようなワークW搬送時の第1駆動軸S1の位置偏差を用いて、以下の数式(4)〔(4-1)~(4-4)〕のように駆動速度変化前後で第1駆動軸S1の位置偏差を同じにするように第1駆動軸S1のゲイン値を算出する。ここで、Emcn2は、ワーク搬送時の第1駆動軸S1の位置偏差を示す。Gmcn2は、駆動速度切り替え後の第1駆動軸S1のゲイン値を示す。
Emcn2=(Fmcn+Fplc)/Gmcn2 ・・・・ (3)
【0034】
ここで、数式(1)~(3)を以下の数式(4-1)に代入して、数式(4-2)~数式(4-4)のように変形させることで、Gmcn2が求められる。
(数式4)
Emcn1=Emcn2-Eplc ・・・・ (4-1)
Fmcn/Gmcn=(Fmcn+Fplc)/Gmcn2-Fplc/Gplc ・・・・ (4-2)
(Fmcn+Fplc)/Gmcn2=Fmcn/Gmcn+Fplc/Gplc ・・・・ (4-3)
Gmcn2=(Fmcn+Fplc)/(Fmcn/Gmcn+Fplc/Gplc) ・・・・ (4-4)
【0035】
パラメータ設定部123は、例えば、CPUが動作することにより実現される。パラメータ設定部は、算出されたゲイン値を第1駆動軸S1のパラメータとして設定する。パラメータ設定部123は、例えば、後述する動作制御装置に対して、算出されたゲイン値を第1駆動軸S1のパラメータとして設定する。
【0036】
選択部124は、例えば、CPUが動作することにより実現される。選択部124は、設定されるパラメータについて、算出されたゲイン値と、駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1のゲイン値及び第2駆動軸S2のゲイン値のうちいずれか小さい側のゲイン値との間で選択する。選択部124は、例えば、外部から選択入力を取得して、設定するゲイン値を選択する。選択部124は、例えば、駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1のゲイン値及び第2駆動軸S2のゲイン値のうちいずれか小さい側のゲイン値を選択することにより、加工速度の低下を許容しつつ、加工精度を担保することを可能にする。
【0037】
ここで、パラメータ設定部は、選択されたゲイン値を第1駆動軸S1のパラメータとして設定する。パラメータ設定部123は、例えば、駆動速度切り替え前に、算出されたゲイン値を第1駆動軸S1のパラメータとして設定する。
【0038】
動作制御部111は、例えば、CPUが動作することにより実現される。動作制御部111は、第1駆動信号、第2駆動信号、及び合成駆動信号に基づいて、生産システム100の動作を制御する。動作制御部111は、例えば、図2において、第1駆動信号に基づいてコンベア装置10の動作を制御する。すなわち、動作制御部111は、第1駆動信号に基づいてワークWの搬送を制御する。また、動作制御部111は、第2駆動信号に基づいて工具21(第1駆動軸S1)の加工動作を制御する。すなわち、動作制御部111は、第2駆動信号に基づいて、工具21(第1駆動軸S1)の加工動作のための軸移動を制御する。また、動作制御部111は、合成駆動信号に基づいて、工具21(第1駆動軸S1)の移動動作を制御する。すなわち、動作制御部111は、合成駆動信号に基づいて、ワークWの搬送(第2駆動軸S2の駆動)に応じた工具21(第1駆動軸S1)の位置移動を制御する。動作制御部111は、コンベア装置10(第2駆動軸S2)及び産業機械20のモータ(第1駆動軸S1)に動作を指示することにより、ワークW(第2駆動軸S2)及び工具21(第1駆動軸S1)の動作を制御する。本実施形態において、動作制御部111は、設定されたパラメータ、切り替え後の合成駆動信号、及び合成される一方の駆動信号を用いて第1駆動軸S1及び第2駆動軸S2の動作を制御する。
【0039】
次に、本実施形態の数値制御装置の動作の流れについて、図5のフローチャートを参照して説明する。
まず、選択取得部107は、第1駆動信号及び第2駆動信号の合成の有無の選択を取得する。合成タイミング取得部108は、合成の有無を判断する(ステップS1)。合成が実行される場合(ステップS1:YES)、合成タイミング取得部108は、合成タイミングを取得する。そして、処理は、ステップS2に進む。一方、合成が実行されない場合(ステップS1:NO)、合成タイミング取得部108は、第1駆動信号生成部102及び第2駆動信号生成部105のそれぞれに第1駆動信号及び第2駆動信号を生成させる。そして、処理は、ステップS5に進む。
【0040】
ステップS2において、合成タイミング取得部108は、合成するタイミングを取得する。合成タイミング取得部108は、取得した合成するタイミングを合成タイミング決定部109に送る。
【0041】
次いで、合成タイミング決定部109は、取得した合成するタイミングに基づいて、第1駆動信号及び第2駆動信号を合成する合成タイミングを決定する。第1駆動信号出力部103及び第2駆動信号出力部106のそれぞれは、第1駆動信号及び第2駆動信号を生成し(ステップS3)、生成された第1駆動信号及び第2駆動信号を合成駆動信号生成部110に送る。また、第1駆動信号出力部103及び第2駆動信号出力部106のそれぞれは、生成した第1駆動信号及び第2駆動信号を動作制御部111に送る。
【0042】
次いで、合成駆動信号生成部110は、合成タイミング決定部109が決定した合成タイミングに基づいて、生成された第1駆動信号及び第2駆動信号から合成駆動信号を生成する(ステップS4)。
【0043】
次いで、位置偏差算出部121は、第1駆動軸S1及び第2駆動軸S2の位置偏差を算出する(ステップS5)。次いで、ゲイン値算出部122は、駆動速度切り替え後のゲイン値を算出する(ステップS6)。
【0044】
次いで、パラメータとして設定されるゲイン値が選択される(ステップS7)。算出されたゲイン値をパラメータとして設定する場合(ステップS7:YES)、処理は、ステップS8に進む。一方、第1駆動軸S1及び第2駆動軸S2の設定されているゲイン値のうち、いずれか小さい側のゲイン値を用いる場合(ステップS7:NO)、処理は、ステップS10に進む。
【0045】
ステップS8において、パラメータ設定部123は、算出されたゲイン値を第1駆動軸S1のパラメータとして設定する。次いで、処理は、ステップS9に進む。
【0046】
ステップS9において、動作制御部111は、設定されたパラメータにおいて、合成駆動信号を用いて第1駆動軸S1を制御する。また、動作制御部111は、合成駆動信号に含まれる一方の駆動信号を用いて第2駆動軸S2を駆動する。これにより、本フローによる動作は、終了する。
【0047】
ステップS10において、パラメータ設定部123は、第1駆動軸S1及び第2駆動軸S2のゲイン値のうち、いずれか小さい側のゲイン値を第1駆動軸S1のパラメータとして設定する。次いで、処理は、ステップS9に進む。なお、合成駆動信号が生成されていない場合、動作制御部111は、第1駆動信号及び第2駆動信号に基づいて、コンベア装置10及び産業機械20を制御する。
【0048】
次に、本開示のプログラムについて説明する。
動作制御装置1に含まれる各構成は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0049】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0050】
以上、第1実施形態に係る動作制御装置1及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
【0051】
(1)動作制御装置1は、2つの駆動信号を合成した合成駆動信号を用いて第1駆動軸S1の駆動速度を切り替えて駆動するとともに、合成される一方の駆動信号を用いて第1駆動軸S1とは別の作業を行う第2駆動軸S2を駆動する動作制御装置であって、第1駆動軸S1の駆動速度切り替え前における第1駆動軸S1の位置偏差を算出するとともに、第2駆動軸S2の位置偏差を算出する位置偏差算出部121と、動作速度切り替え前の第1駆動軸S1の駆動速度、算出された第1駆動軸S1の位置偏差、及び算出された第2駆動軸S2の位置偏差に基づいて、動作速度切り替え後の第1駆動軸S1のゲイン値を算出するゲイン値算出部122と、を備える。
これにより、動作制御装置1は、駆動速度の変化により第1駆動軸S1のイナーシャが変化した場合であっても、同期誤差の発生を抑制することができる。同期誤差の発生を抑制することができるので、加工精度の向上を図ることができる。
【0052】
(2)ゲイン値算出部122は、算出された駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1の位置偏差と駆動速度切り替え後の第1駆動軸S1の位置偏差との差を小さくするように動作速度切り替え後の駆動における第1駆動軸S1のゲイン値を算出する。また、ゲイン値算出部122は、算出された駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1の位置偏差と駆動速度切り替え後の第1駆動軸S1の位置偏差との差を所定の範囲内にするように動作速度切り替え後の駆動におけるゲインの設定値を算出する。これにより、動作制御装置1は、より同期誤差の発生を抑制しつつ、加工精度の向上を図ることができる。
【0053】
(3)動作制御装置1は、算出されたゲイン値を第1駆動軸S1のパラメータとして設定するパラメータ設定部123と、設定されたパラメータ、切り替え後の合成駆動信号、及び合成される一方の駆動信号を用いて第1駆動軸S1及び第2駆動軸S2の動作を制御する動作制御部111と、をさらに備える。これにより、動作制御装置1は、第1駆動軸S1の位置偏差を第2駆動軸S2の動作前に近づけて制御することができ、同期誤差の発生を抑制することができる。
【0054】
(4)動作制御装置1は、設定されるパラメータについて、算出されたゲイン値と、駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1のゲイン値及び第2駆動軸S2のゲイン値のうちいずれか小さい側のゲイン値との間で選択する選択部124をさらに備え、パラメータ設定部123は、選択されたゲイン値を第1駆動軸S1のパラメータとして設定する。これにより、状況に応じて加工精度を切り替えることができるので、汎用性の高い動作制御装置を提供することができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態に係る動作制御装置1及びプログラムについて、説明する。第2実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係る動作制御装置は、合成駆動信号で第1駆動軸S1を駆動している際に、第2駆動軸S2の駆動速度が変化する点で、第1実施形態と異なる。そこで、第2実施形態に係る動作制御装置では、位置偏差算出部121と、ゲイン値算出部122との動作が異なる。
【0056】
位置偏差算出部121は、一方の駆動信号による第2駆動軸S2の駆動速度切り替え前における第1駆動軸S1の位置偏差と駆動速度切り替え前後における第2駆動軸S2の位置偏差とを算出する。位置偏差算出部121は、駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1の位置偏差を以下の数式(5)で算出する。また、位置偏差算出部121は、駆動速度切り替え前後の第2駆動軸S2の位置偏差を以下の数式(6)〔(6-1)及び(6-2)〕で算出する。また、位置偏差算出部121は、駆動速度切替後の第1駆動軸S1の位置偏差を示す数式(7)を用いる。そして、位置偏差算出部121は、数式(8)〔(8-1)及び(8-2)〕で示すように、第2駆動軸S2の駆動速度切替前後の第1駆動軸S1を同じにするように駆動速度切替後の第1駆動軸S1の位置偏差を算出する。ここで、Fmcn1は、駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1の駆動速度を示す。Emcn1は、駆動速度切り替え前の第1駆動軸S1の位置偏差を示す。Gmcn1は、駆動速度切り替え前のゲインを示す。Fmcn2は、駆動速度切り替え後の第1駆動軸S1の駆動速度を示す。Emcn1は、駆動速度切り替え後の第1駆動軸S1の位置偏差を示す。Gmcn1は、駆動速度切り替え後のゲインを示す。
【0057】
Fplc1は、駆動速度切り替え前の第2駆動軸S2の速度を示す。Eplc1は、駆動速度切り替え前の第2駆動軸S2の位置偏差を示す。Gplc1は、駆動速度切り替え前後の第2駆動軸S2のゲインを示す。Fplc2は、駆動速度切り替え後の第2駆動軸S2の速度を示す。Eplc2は、駆動速度切り替え後の第2駆動軸S2の位置偏差を示す。
Emcn1=Fmcn1/Gmcn1 ・・・・ (5)
(数式6)
Eplc1=Fplc1/Gplc1 ・・・・ (6-1)
Eplc2=Fplc2/Gplc1 ・・・・ (6-2)
Emcn2=(Fmcn1+Fplc2)/Gmcn1 ・・・・ (7)
【0058】
ここで、数式(5)、数式(6-1)、数式(6-2)、及び数式(7)を以下の数式(8-1)に代入して、駆動速度切り替え後の第1駆動軸S1の位置偏差Gmcn2を算出する。
(数式8)
Emcn2-Eplc2=Emcn1-Eplc1 ・・・・ (8-1)
Gmcn2=(Fmcn1+Fplc2)*Gmcn1*Gplc1/(Fmcn1*GplC1+(Fplc2-Fplc1)*Gmcn1) ・・・・ (8-2)
【0059】
以上、第2実施形態に係る動作制御装置1及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(5)位置偏差算出部121は、一方の駆動信号による第2駆動軸S2の駆動速度切り替え前における第1駆動軸S1の位置偏差と駆動速度切り替え前後における第2駆動軸S2の位置偏差とを算出し、ゲイン値算出部122は、駆動速度切り替え前後の第1駆動軸S1の駆動速度、算出された第1駆動軸S1の位置偏差、及び算出された第2駆動軸S2の駆動速度切り替え前後の位置偏差に基づいて、第2駆動軸S2の速度変化後の第1駆動軸S1のゲイン値を算出する。これにより、第2実施形態に係る動作制御装置1は、第2駆動軸S2の速度が切り替わった場合であっても、同期誤差を抑制して、加工精度を向上することができる。
【0060】
以上、本開示の動作制御装置1及びプログラムの好ましい各実施形態につき説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、図6に示すように、第2駆動信号出力部106が第2駆動信号を第1駆動信号出力部103に出力してもよい。また、合成駆動信号生成部110が、第1駆動信号出力部103において合成駆動信号を生成してもよい。また、第1駆動信号出力部103が、第2駆動信号の出力よりも短い制御周波数を用いて、第1駆動信号、第2駆動信号、及び合成駆動信号を出力してもよい。ここで、位置偏差算出部121と、ゲイン値算出部122と、パラメータ設定部123と、選択部124は、図4と同様に、第1実施形態と同様に、合成駆動信号生成部110及び動作制御部111の間に配置される。これにより、より短い制御周波数で第1駆動信号、第2駆動信号、及び合成駆動信号を動作制御部111に出力することができる。したがって、より制御タイミングを増やして、より繊細な加工を実現することができる。
【0061】
また、上記実施形態において、図7に示すように、ワークWに対する工具21の位置情報を取得する位置取得部112をさらに備えてもよい。また、取得された位置に基づいて、対象物の移動量を補正する補正量を決定する補正量決定部113をさらに備えてもよい。また、動作制御部111は、決定された補正量を含む第1駆動信号と、第2駆動信号と、合成駆動信号と、に基づいて、生産システム100を制御してもよい。ここで、位置偏差算出部121と、ゲイン値算出部122と、パラメータ設定部123と、選択部124は、図4と同様に、第1実施形態と同様に、合成駆動信号生成部110及び動作制御部111の間に配置される。
【0062】
位置取得部112は、例えば、CPUが動作することにより実現される。位置取得部112は、例えば、ワーク座標系における工具21(第1駆動軸S1)の位置を取得する。また、位置取得部112は、例えば、工具21(第1駆動軸S1)の位置を取得するセンサの出力信号に基づいて、ワークWに対する工具21(第1駆動軸S1)の位置を取得する。
【0063】
補正量決定部113は、例えば、CPUが動作することにより実現される。補正量決定部113は、ワークW及び工具21の相対位置に応じて、合成駆動信号の補正量(フィードバック量)を決定する。補正量決定部113は、決定された補正量を第1駆動信号生成部102に送る。これにより、補正量決定部113は、第1駆動信号生成部102に、決定された補正量を含む第1駆動信号を生成させる。
動作制御部111は、決定された補正量を含む第1駆動信号と、第2駆動信号と、合成駆動信号と、に基づいて、生産システム100を制御する。
これにより、ワークWの形状の変化に柔軟に対応する制御を実現することができる。したがって、生産システム100による加工精度を向上することができる。
【0064】
また、上記実施形態において、合成タイミング取得部108の動作は、キーボード等の入力装置(図示せず)に入力された合成タイミングを取得することに限定されない。合成タイミング取得部108は、他のプログラム等から設定された合成タイミングを取得するようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、第1駆動信号及び第2駆動信号のそれぞれは、ワークWを搬送するPLC及び工具21(第1駆動軸S1)を駆動するNCとして説明されたがこれに制限されない。第1駆動信号は、例えば、ワークWを搬送するNC、簡単な加工をワークWに施すPLCであってもよい。
【0066】
また、上記実施形態において、2系統の駆動信号を用いて動作を制御する動作制御装置1を説明したが、これに制限されない。動作制御装置1は、3系統以上の駆動信号を用いて動作を制御してもよい。例えば、動作制御装置1は、複数の産業機械20のそれぞれの工具21(第1駆動軸S1)の動作を1系統として、3系統以上の駆動信号を用いて動作を制御してもよい。
【0067】
また、上記実施形態において、合成駆動信号生成部110は、第1駆動信号及び第2駆動信号を合成しない場合、合成駆動信号を生成せずに、第1駆動信号及び第2駆動信号のみを動作制御部111に出力してもよい。
【0068】
また、上記実施形態において、第1系統がPLC、第2系統がNCとして説明されたが、これに制限されない。生産システム100は、図8に示すように、第1系統及び第2系統に共通の構成(共用軸200)を備えていてもよい。すなわち、生産システム100は、第1駆動信号、第2駆動信号、又は合成駆動信号のいずれでも動作可能な共用軸200を備えていてもよい。選択取得部107は、合成駆動信号が生成されない場合(合成「無し」の選択を取得した場合)に、共用軸200を動作させる信号として、第1駆動信号及び第2駆動信号のいずれか一方とする選択を取得してもよい。選択取得部107は、外部からの入力、第1駆動信号に含まれる指令値、又は第2駆動信号に含まれる指令値に基づいて、第1駆動信号及び第2駆動信号のいずれかで共用軸200を動作させるように選択してよい。そして、第1駆動信号出力部103及び第2駆動信号出力部106のそれぞれは、共用軸200に対して独立して第1駆動信号又は第2駆動信号を出力してよい。
【0069】
また、上記実施形態において、合成タイミング決定部109は、取得された合成タイミングに基づいて第1駆動信号及び第2駆動信号を合成するとしたが、これに制限されない。動作制御装置1は、合成タイミング取得部108及び合成タイミング決定部109を備えなくてもよい。この場合、第1駆動信号出力部103及び第2駆動信号出力部106のそれぞれは、予め合成タイミングが考慮された第1駆動信号及び第2駆動信号を出力してよい。合成駆動信号生成部110は、出力された第1駆動信号及び第2駆動信号をそのまま重畳することで合成信号を生成してよい。
【0070】
また、上記実施形態において、ゲイン値算出部122は、第2駆動軸S2の駆動方向に沿う方向における、第1駆動軸S1のゲイン値を算出してもよい。ゲイン値算出部122は、例えば、ワークWの進行方向に沿う方向における第1駆動軸S1のゲイン値を算出してもよい。これにより、ゲイン値算出部122は、例えば、第1駆動信号及び第2駆動信号の合成により影響のある方向のみのゲイン値を算出する。したがって、全ての方向のゲイン値を算出する場合に比べ、ゲイン値の算出時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 動作制御装置
20 産業機械
21 工具
100 生産システム
103 第1駆動信号出力部
106 第2駆動信号出力部
107 選択取得部
109 合成タイミング決定部
110 合成駆動信号生成部
111 動作制御部
112 位置取得部
113 補正量決定部
121 位置偏差算出部
122 ゲイン値算出部
123 パラメータ設定部
S1 第1駆動軸
S2 第2駆動軸
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8