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特許7583162オイルコレクタを有するトランスミッションデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】オイルコレクタを有するトランスミッションデバイス
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20241106BHJP
   F16B 21/08 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
F16H57/04 J
F16H57/04 D
F16H57/04 Q
F16B21/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023526062
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 DE2021100908
(87)【国際公開番号】W WO2022117145
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】102020131946.0
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ケック
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ハイメル
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ シンプフ
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102018123592(DE,A1)
【文献】特開2013-072458(JP,A)
【文献】特開2003-097520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
F16B 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのオイルコレクタ(19)を有するトランスミッションデバイス(1)であって、前記トランスミッションデバイス(1)は、接続孔(28)とオイル入口(5)とを有する少なくとも1つの支持コンポーネント(2)を備え
前記オイルコレクタ(19)は、少なくとも支持プレート(6)と、前記支持プレート(6)に接続され、かつ前記トランスミッションデバイス(1)の軸方向に位置合わせされた回転軸(8)の周りに延びるチャネル(7)と、オイルガイドノズル(22)と、少なくとも一つのプラットフォーム(31)と、前記プラットフォーム(31)から軸方向に突出する締結要素(30)と、を有し、
オイルガイドノズル(22)が、前記オイル入口(5)のうちの1つに軸方向に差し込まれ、前記オイルコレクタ(19)が、前記接続孔(28)のうちの1つ内に少なくとも部分的に固定的に係合する前記締結要素(30)によって、前記支持コンポーネント(2)上に保持され、前記プラットフォーム(31)は、前記オイルコレクタ(19)の前記チャネル(7)の外側輪郭(23)から半径方向外向きに突出しており、かつ平面(32)を有し、少なくとも1つの突出部(29)が、前記プラットフォーム(31)の前記平面(32)から前記締結要素(30)が突出する側とは反対側の軸方向に出することを特徴とする、トランスミッションデバイス(1)。
【請求項2】
前記面(32)が、前記回転軸(8)によって垂直に貫通する仮想半径方向平面内に延在することを特徴とする、請求項1に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項3】
全ての面(32)が、共通の半径方向平面内に延びることを特徴とする、請求項2に記載のトランスミッションデバイス。
【請求項4】
前記締結要素(30)のうちの1つが、前記支持コンポーネント(2)に面する側で、前記それぞれのプラットフォーム(31)から軸方向に突出することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項5】
前記それぞれの突出部(29)が、前記それぞれのプラットフォーム(31)及び前記チャネル(7)に接続されたリブ(9)として設計されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項6】
形状嵌合スナップ接続が、前記支持コンポーネント(2)と前記締結要素(30)との間の前記接続孔(28)の中又は上に実装されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項7】
前記トランスミッションデバイス(1)が、遊星キャリア(3)上に形成された前記少なくとも1つの支持コンポーネント(2)を有する少なくとも1つの遊星ギア(15)であり、前記遊星ギア(15)において、遊星ホイール(16)が、遊星ボルト(17)上に回転可能に装着されており、前記オイルコレクタ(19)が、前記遊星ボルト(17)に連通されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項8】
前記オイル入口(5)が、孔、好ましくは前記遊星ボルト(17)内の止まり孔(20)であり、前記オイルガイドノズル(22)の各々が、前記孔のうちの1つに差し込まれ、前記軸方向に位置合わせされた孔の各々が、少なくとも1つの遊星ホイール(16)について、それぞれのクロスボア(21)から少なくとも1つの遊星ベアリング(18)に通じていることを特徴とする、請求項7に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのオイルコレクタを有するトランスミッションデバイスであって、トランスミッションデバイスは、接続孔及びオイル入口を有する少なくとも1つの支持コンポーネントを有し、オイルコレクタは、少なくとも1つの支持プレートと、支持プレートに接続され、トランスミッションデバイスの軸方向に位置合わせされた回転軸の周りに延びるチャネルとを有し、オイルコレクタにはまた、オイルガイドノズルと締結要素とも提供され、いずれの場合も、1つのオイルガイドノズルがオイル入口のうちの1つに軸方向に差し込まれ、オイルコレクタは、各場合に、接続孔のうちの1つ内に少なくとも部分的に固定的に係合する締結要素によって、支持コンポーネントに保持される、トランスミッションデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなトランスミッションデバイスは、DE102011005724A1に開示されている。このトランスミッションデバイスは、電気機械によって駆動される駆動ユニットの一部である。オイルコレクタは、トランスミッションデバイス内の潤滑油を収集するために使用される補助デバイスであり、チャネル内に捕らえられて収集された潤滑油は、別様でアクセスが困難であるか、又は遠心力によって十分に供給されない潤滑ポイントに向けられる。オイルコレクタは、支持プレートと、支持プレートに接続されたチャネルとを有する。オイルコレクタ又は支持プレートは、オイルガイドノズル及び締結要素を備える。オイルガイドノズルは各々、クラッチコンポーネントのオイル路のうちの1つに軸方向に差し込まれる。オイルコレクタは、締結要素によってクラッチコンポーネント上に保持される。トランスミッションデバイスから離れる方向に面する側では、オイルコレクタ上の平坦なプラットフォームが締結要素の各々に軸方向に続く。オイルコレクタは、プラットフォームから軸方向に突出する突出セクションによってクラッチコンポーネント上に軸方向に支持され、締結要素の領域内でプラットフォームとオイルコレクタのチャネルとの間に半径方向の貫通スロットが形成されるように距離を保たれる。潤滑剤の一部は、これらのスロットを介してオイルコレクタの溝、ひいてはオイルガイドノズルを通過することができる。
【0003】
オイルコレクタを有する遊星駆動部は、US10240670B2又はDE102013206880B3によってそれぞれ開示されている。各々のオイルガイドノズルは、遊星ボルトの止まり孔に開口している。潤滑孔は、止まり孔から遊星ベアリングに通じている。US10240670B2に開示されているオイルコレクタ内のオイルガイドノズルはまた、潤滑孔に軸方向に差し込まれる締結要素として使用される。DE102013206880B3に開示されているトランスミッションデバイスでは、締結要素としても設計されているオイル収集ノズルは、遊星キャリアのキャリアセクションの後方に係合する。DE102020102241B3に開示されている更なるトランスミッションデバイスでは、オイルコレクタのチャネルは、軸方向にほぼ密閉された状態で遊星キャリアに戴置されている。これにより、オイルガイドノズルが排除される。オイルコレクタには短い突出部だけが形成され、潤滑孔の軸方向に突出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、安価に製造でき、容易に組み立てることができるトランスミッションデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。
【0006】
本発明によれば、トランスミッションデバイス又は支持コンポーネントから離れる方向に面する側では、オイルコレクタのチャネル上に形成されたプラットフォームが締結要素の各々に軸方向に続き、かつプラットフォームは、チャネルの外側輪郭を越えて半径方向に突出する。プラットフォームの各々上で、プラットフォームの上、かつ表面の上で軸方向に立ち上がる少なくとも1つの突出部は、それぞれのプラットフォームの平面から突出する。本発明の利点は、突出部が、トランスミッションデバイスの支持コンポーネント上でのオイルコレクタの組み立て時に位置配向のための補助として使用され、したがって、オイル入口用のオイルガイドノズル及び接続孔用の締結要素の両方の正しい組み立て位置決めのために提供されることにある。更に、突出部が適切に設計されている場合、組み立て中にオイルコレクタを突出部の上で把持したり、又は誘導したりすることもできる。
【0007】
本発明の一実施形態は、それぞれの突出部が軸方向に突出するそれぞれの表面が、回転軸によって垂直に貫通する仮想半径方向平面内に延びることを提供する。全てのプラットフォームの平面は、共通の仮想半径方向平面内にある可能性があり、又は平面若しくはその半径方向平面は互いに軸方向にオフセットする可能性がある。そのような構成の利点は、表面が基準面として使用されることであり、この基準面を介して、支持コンポーネント上への組み立て時にオイルコレクタを正確に位置合わせすることができ、支持コンポーネント又はトランスミッションデバイスに対してオイルコレクタを正確に位置決めすることを容易にする。
【0008】
本発明の更なる実施形態は、いずれの場合も、締結要素のうちの1つが、支持コンポーネントに面する側でそれぞれのプラットフォームから軸方向に突出していること、すなわち、好ましくはプラットフォームと一体に形成されていることを提供する。本発明の利点は、締結要素の半径方向の間隔が、必ずしも支持プレート又はチャネルの半径方向の範囲に依存せず、プラットフォームの対応する設計によって、これを越えて半径方向に延在できるという事実にある。この設計上の特徴の利点は、プラットフォームの対応する設計により、締結要素の半径方向の間隔が、支持プレート又はチャネルの半径方向の寸法に依存しないか、又は部分的にしか依存しないという事実にある。必要であれば、締結要素を有するプラットフォームは、オイルコレクタの外側輪郭を越えて半径方向に突出することができる。そのため、プラットフォームは、締結要素が突出する半径方向延在部を形成する。オイルコレクタの締結点(締結要素)間の距離は、結果として、実際のオイルガイドの位置に関係なく、プラットフォームの寸法を介して支持コンポーネントの設計に適合させることができる。
【0009】
本発明の更なる実施形態により、それぞれの突出部が、それぞれのプラットフォーム及びチャネルに接続されたリブとして設計されることが提供される。一方では、リブは、組み立て時に容易に把持することができ、他方では、リブは、締結要素の補剛部を形成し、又は締結要素をオイルコレクタに接続するための補剛部として機能する。後者は、例えば、プレス接続又はスナップ接続を目的として、締結要素を接続孔に力を加えて押し込む、又はスナップ嵌めする場合に有用である。
【0010】
本発明の一実施形態により、支持コンポーネントと締結要素との間の接続孔の中又は上に解放可能又は解放不可能なポジティブスナップ接続が実装されることが提供される。締結要素は、例えばスナップフックとして設計されるか、又は拡張ダボ様の設計を有し、プラスチック製のオイルコレクタを作成する場合に実装するのが特に容易である。接続孔では、スナップフック又は膨張ダボを引っ掛けるための対応するアンダーカットが形成されているか、又はフック若しくは膨張要素が、それぞれの接続孔を通って軸方向に到達し、反対側の支持コンポーネントの壁若しくは壁セクションを引っ掛けてその背後に係合する。
【0011】
本発明の一実施形態により、トランスミッションデバイスが、少なくとも1つの遊星ギアを有することが提供される。支持コンポーネントは、好ましくは、例えば、キャリアフランジとして設計され、遊星ギアの遊星キャリアの一部である。遊星ギアは、遊星ボルト上に装着された遊星ホイールを有する。遊星ボルトは、キャリアフランジ上又はキャリアフランジ内で片側に収容される。あるいは、支持コンポーネントは、別の機能要素、例えば多プレートクラッチのクラッチハウジングであり得、又は任意の他のコンポーネントとして設計することができる。
【0012】
本発明の更なる実施形態では、オイル入口が、遊星ボルト内に形成されることが提供される。オイルコレクタのオイルガイドノズルのうちの1つ、いくつか又は全てである、それぞれのオイルガイドノズルは、遊星ボルトのオイルボアのうちの1つに係合し、このオイルボアは通常遊星ボルト内で軸方向に延在し、貫通孔又は止まり孔として設計される。クロスボアは、それぞれのオイルボアから、少なくとも1つの遊星ホイールの少なくとも1つの遊星ベアリングに通じている。
【0013】
以下において、本発明は、例示的な実施形態を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】支持コンポーネント2と、オイルコレクタ19とを有するトランスミッションデバイス1を示す。
図2】オイルコレクタ19が、シャフト4と、例えば、図1に示すトランスミッションデバイス1のシャフト4との組み立てのために容易に位置合わせされる位置にあるオイルコレクタ19を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2-オイルコレクタ19は、支持プレート6と、チャネル7と、オイルガイドノズル22と、締結要素30とからなる。プラットフォーム31は、プラスチックからチャネル7と一体に形成され、半径方向、すなわち対称軸又は回転軸8に対して交差する方向にチャネルの外側輪郭23を越えて半径方向に突出する。少なくとも1つの締結要素30は、それぞれのプラットフォーム31の片側に軸方向に突出し、突出部29は、他方の側でプラットフォーム31の表面32から軸方向に突出する。それぞれの突出部29は、ノードプレートの形態で設計され、その半径方向ルート部25と一体にチャネル7内に同化し、かつその軸方向ルート部26と一体に表面32内に同化する。締結要素30は、スナップ機能を有するプラグコネクタであり、このためにスナップラグ27を有する。
【0016】
図1に示すトランスミッションデバイスは、遊星ギア15である。遊星ギア15は、遊星キャリア3を有し、その支持コンポーネント2は、キャリアフランジとして設計されている。遊星ボルト17は、遊星キャリア3内に装着される。遊星ホイール16は、各遊星ボルト17上に着座する。各遊星ボルト17は、オイル入口5を形成する止まり孔20が提供される。クロスボア21は、それぞれの止まり孔20から遊星ベアリング18に通じている。オイルコレクタ19の支持プレート6は、支持コンポーネント2の端面10上に軸方向に戴置され、止まり孔20内にオイルガイドノズル22が差し込まれる。オイルコレクタ19は、締結要素30が、支持コンポーネント2の壁内に具現化され、貫通孔28として設計された接続孔を軸方向に通過し、オイルコレクタ19から離れた向きの支持コンポーネント2の側でスナップラグ27と軸方向又は半径方向に係合するように、締結要素30によって支持コンポーネント2に締結される。
【符号の説明】
【0017】
1 トランスミッションデバイス
2 支持コンポーネント
3 遊星キャリア
4 シャフト
5 オイル入口
6 支持プレート
7 チャネル
8 シャフトの回転軸
9 リブ
10 支持コンポーネントの端面
11 ハブ
15 遊星ギア
16 遊星ホイール
17 遊星ボルト
18 遊星ベアリング
19 オイルコレクタ
20 止まり孔
21 クロスボア
22 オイルコレクタのオイルガイドノズル
23 チャネルの外側輪郭
24 第2のシャフトセクション
25 半径方向ルート部
26 軸方向ルート部
27 スナップラグ
28 貫通孔/接続孔
29 突出部
30 締結要素
31 プラットフォーム
32 表面
図1
図2