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特許7583163移動式作業機械を動作させるための方法及び計算ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】移動式作業機械を動作させるための方法及び計算ユニット
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20241106BHJP
   G05B 9/02 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
E02F9/22 K
G05B9/02 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023527038
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2021079937
(87)【国際公開番号】W WO2022096355
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】102020213784.6
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランク ベンダー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス シェパーズ
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202615(JP,A)
【文献】特開2018-117563(JP,A)
【文献】特開2015-222503(JP,A)
【文献】特開2012-172424(JP,A)
【文献】米国特許第06253136(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0106703(KR,A)
【文献】特開2018-201347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/42-3/43
3/84-3/85
9/00-9/28
G05B 9/02
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式作業機械(200)を動作させるための方法(100)であって、
アクチュエータ要素(230,260)、センサ装置要素(220)及び操作要素(210)を含む、前記移動式作業機械(200)の利用可能な要素(210,220,230,260)を自動的に特定するステップ(110)と、
特定された利用可能な前記アクチュエータ要素(230,260)、前記センサ装置要素(220)及び前記操作要素(210)に基づいて、前記移動式作業機械(200)の少なくとも1つの可能な動作モードを自動的に決定するステップ(120)と、
決定された前記少なくとも1つの可能な動作モードに依存して、措置(130,140)を自動的に実行するステップと、
を含み、
利用可能な前記操作要素(210)が手動条件を満たす場合、第1の自動化度を有する第1の動作モードが可能であると決定され、
利用可能な前記アクチュエータ要素(230,260)及び前記センサ装置要素(220)が自動条件を満たす場合、前記第1の自動化度よりも高い第2の自動化度を有する第2の動作モードが可能であると決定され、
自動的に特定する前記ステップ(110)において前記センサ装置要素(220)以外に最小限の前記アクチュエータ要素(230)が利用可能であると特定された場合に、自動的に決定する前記ステップ(120)において、前記第2の自動化度よりも高い第3の自動化度を有する第3の動作モードが可能であると決定され、当該第3の動作モードにおいては、特定の作業ステップを前記移動式作業機械(200)によって自律的に実行することができる、
方法(100)
【請求項2】
前記少なくとも1つの可能な動作モードは、前記移動式作業機械(200)の動作の特定の自動化度を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
特定された利用可能な前記アクチュエータ要素(230,260)、前記センサ装置要素(220)及び前記操作要素(210)に基づいて、前記少なくとも1つの可能な動作モードを決定することは、それぞれ異なる自動化度を有する複数の可能な動作モードを決定することを含む、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
特定された利用可能な前記アクチュエータ要素(230,260)、前記センサ装置要素(220)及び前記操作要素(210)に基づいて、前記移動式作業機械(200)の少なくとも1つの可能な動作モードを決定すること(120)は、特定された利用可能な前記アクチュエータ要素(230,260)、前記センサ装置要素(220)及び前記操作要素(210)に基づいて全ての可能な動作モードを決定することを含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記措置は、前記移動式作業機械(200)のユーザのために前記少なくとも1つの可能な動作モードを表示することを含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記措置は、ユーザ入力(132)を要求することと、前記ユーザ入力(132)を受信することと、前記ユーザ入力(132)に依存して目標動作モードを決定することと、前記目標動作モードに従って前記移動式作業機械(200)を動作させること(140)とを含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記目標動作モードに従って前記移動式作業機械(200)を動作させること(140)は、現在の機械ステータス(134)を考慮して行われる、請求項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記現在の機械ステータス(134)が前記目標動作モードにおける前記移動式作業機械(200)の動作(140)を阻止した場合に目標機械ステータスを調整することをさらに含む、請求項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記アクチュエータ要素(230,260)は、調整手段を備えた走行駆動機構(260)、リニア駆動機構(230)及び回転駆動機構から成る群からの1つ又は複数を含み、及び/又は、
前記センサ装置要素(220)は、距離センサ、トルクセンサ、角度センサ、カメラ、レーダシステム、超音波センサ、衛星測位システム及びLiDARシステムから成る群からの1つ又は複数を含み、及び/又は、
前記操作要素(210)が、スイッチ、走行ペダル及び調節レバーから成る群からの1つ又は複数を含む、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記アクチュエータ要素(230,260)は、調整手段を備えた、静圧式の走行駆動機構(260)、リニア駆動機構(230)及び回転駆動機構から成る群からの1つ又は複数を含み、及び/又は、
前記センサ装置要素(220)は、距離センサ、トルクセンサ、角度センサ、カメラ、レーダシステム、超音波センサ、衛星測位システム及びLiDARシステムから成る群からの1つ又は複数を含み、及び/又は、
前記操作要素(210)が、スイッチ、走行ペダル及び調節レバーから成る群からの1つ又は複数を含む、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記利用可能な要素を特定すること(110)は、少なくとも1つの問合せ信号を送信することと、前記利用可能な要素に関する情報を含む少なくとも1つの応答信号を受信することとを含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法(100)を実施するように構成された計算ユニット(280)。
【請求項13】
計算ユニット(280)上において実行されるときに、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法(100)を前記計算ユニット(280)に実施させるためのコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記憶した機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式作業機械を動作させるための方法及び計算ユニット並びにコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
移動式作業機械、例えば、掘削機、ホイールローダ、フォークリフト又はこれらに類するものは、この機械が水平方向に移動している間、1つ又は複数の作業要素の動作(例えば、掘削機の動作)を実行することができる(例えば、掘削機アームを屈曲運動させ、バケットを降下させる、など)という点において優れている。従来の移動式作業機械においては、このような動作は、ユーザによって手動により、操作要素、例えばペダル及びレバーを介して制御することができる。現代の作業機械においては、部分的に、これらの機能の一部を自動実行し、又は、対応する動作の実行時に機械のユーザを支援する、部分自動化された動作又は支援モードの手段を提供することもできる。例えば支援モードにおいては、例えば、作業によって損傷を与えてはならない建築物のような対象物を保護するために、掘削機アームの空間的な運動自由度を制限することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の開示
本発明によれば、このような背景を前提として、独立請求項の特徴を有する、移動式作業機械を動作させるための方法並びに当該方法を実行するための計算ユニット及びコンピュータプログラム製品が提案される。
【0004】
有利な構成は、各従属請求項及び以下の説明の対象となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アクチュエータ要素、センサ装置要素及び操作要素を含む移動式作業機械の装備又は利用可能な要素に基づいて、移動式作業機械の可能な動作モードを具体的に決定し、これに基づいて措置を実行するという手段に基づいている。
【0006】
本発明は、特に有利には、変更される機械構成に関連している。本発明によれば、ハードウェアが変更されたとき又は全機能利用が断念されているときの機械ソフトウェアの変更が無効となる。なお、個々の機械コンポーネントが故障した場合には、機械は、状況に応じて他の動作モードにおいてさらに動作させることができる。これは、個々の構成要素が故障した後、状況に応じて、機械が修理される前に作業工程を終了可能であることを意味する。
【0007】
アクチュエータ要素の例として、調整手段を備えた特に静圧式の走行駆動機構、リニア駆動機構、例えばリニアモータ、又は、液圧シリンダ、及び、回動駆動機構が挙げられる。センサ装置要素は、特に、距離センサ、慣性測定ユニット(いわゆるIMU)、トルクセンサ、角度センサ(例えば、エンコーダ)、カメラ、レーダシステム、超音波センサ、衛星測位システム及びLiDARシステムの群からの1つ又は複数を含み得る。操作要素とは、特に、スイッチ、走行ペダル、及び/又は、調節レバー(ジョイスティック)であると理解される。このような要素の多くは、典型的には、現行の作業機械にいずれにせよ組み込まれているが、組合せが変更されるため、作業機械側の多数の構成によって、機械自体を調整することなく本方法を適用することができる。これにより、例えば、ソフトウェア更新の形態において、又は、新しい制御装置若しくは計算ユニットを組み込むことにより、後付けを特に低コストに行うことができる。
【0008】
特に、少なくとも1つの可能な動作モードは、移動式作業機械の動作の特定の自動化度を含む。種々の動作モードは、特に、機械の動作の自動化の程度がそれぞれ異なっている。可能な自動化度の区分けは、特に自動車規格SAE J3016に即して又はこれに準拠して行うことができ、特に6つまでの異なる自動化度を区別することができる。
【0009】
ここで、有利には、利用可能な操作要素が手動条件を満たす場合、低い自動化度を有する第1の動作モードが可能であると決定され、及び/又は、利用可能なセンサ装置要素及びアクチュエータ要素が自動条件を満たす場合、高い自動化度を有する第2の動作モードが可能であると決定される。例えば、機械の手動動作に際してはある程度の操作要素の装備が必要であるが、機械の完全自動動作又は自律動作に際しては最小限のセンサ装置要素及びアクチュエータ要素しか必要でない。部分自動化された動作又は支援動作に対しては、それぞれ、操作要素及びセンサ装置要素、さらに場合により、アクチュエータ要素が機械の動作のために必要である。したがって、手動条件及び自動条件は、それぞれ相応の操作要素又はセンサ装置要素及びアクチュエータ要素の存在を含む。特に、第1の自動化度(レベル0)は手動の機械動作に、第2の自動化度(レベル1)は支援機能による動作に、第3の自動化度(レベル2)は部分自動化による動作に、第4の自動化度(レベル3)は条件付き自動化による動作に、第5の自動化度(レベル4)は高度自動化による動作に、第6の自動化度(レベル5)は完全自動化による動作に該当し得る。
【0010】
特に、特定された利用可能なアクチュエータ要素、センサ装置要素及び操作要素に基づいて少なくとも1つの可能な動作モードを決定するステップは、特定された利用可能なアクチュエータ要素、センサ装置要素及び操作要素に基づいて、全ての可能な動作モード、特に全ての可能な自動化度を決定するステップを含む。このようにして、動作中の全ての可能性を考慮することができる。
【0011】
ここでの措置は、有利には、表示手段上、例えば画面上において、移動式作業機械のユーザに対して少なくとも1つの可能な動作モードを表示することを含む。これにより、ユーザは、利用可能な動作モードに関する情報を得ることができる。
【0012】
ここでの措置は、好ましくは、ユーザ入力を要求することと、ユーザ入力を受信することと、ユーザ入力に依存して、特に可能な動作モードから目標動作モードを決定することと、目標動作モードに従って作業機械を動作させることとを含む。これにより、ユーザは、所望の動作モードを特に利用可能な動作モードのなかから選択することができ、これにより、作業機械は、ユーザ設定に対応しかつ利用可能なハードウェアに基づいて可能となる動作モードにおいてフレキシブルに動作可能である。
【0013】
目標動作モードに従った移動式作業機械の動作は、好ましくは、実際の機械ステータスを考慮して実行される。特に、それぞれ異なる自動化度を有する様々な動作モード間の変更は、往々にして、ユーザの健康及び生命にとっての危険、及び/又は、作業機械の環境における危険を内包する。したがって、特定の動作モードは、例えば、特定の機械ステータスが前提とされる場合にのみ実現可能である。例えば、こうした前提となる機械ステータスは、機械の特定の要素の静止状態、特に車両伝動装置及び/又は作業装置の静止状態を含み得る。これにより、動作の危険を大幅に低減することができ、それぞれ異なる動作モード間の変更を確実に可能とすることができる。
【0014】
したがって、方法は、有利にはさらに、現在の機械ステータスが目標動作モードにおける移動式作業機械の動作を阻止した場合に、目標機械ステータスを調整する又は導入することを含む。これにより、現在の動作モードとは異なる目標動作モードが設定されている場合に、機械ステータスに関する対応する前提条件が満たされないとき、現在の動作モードから目標動作モードへの変更を実現することができる。例えば、目標動作モードにおける機械の動作のための前提条件が機械の静止状態を含むにもかかわらず機械が設定時点において停止していない場合、目標機械ステータスの調整には、特に自動でのブレーキの操作が含まれる。
【0015】
場合により、それぞれの動作モードは、最大可能自動化度により、例えば、全ての影響因子の交差集合を考慮して、目標動作モードとして決定可能である。このような場合、状況に応じてユーザ入力を省略することもできる。その都度の最大可能自動化度を決定することによって、それぞれの作業機械の能力を完全に活用することができ、利用経験を改善することができる。最小許容自動化度又は最大許容自動化度に関する外部設定を考慮することもできる。例えば、法制当局又は工事事業者は、特定の範囲における最大の支援機能は可能とされるべきであるが機械の自律的な動作は許容されないように規定することができる。有利には、このような状況においては、このような外部設定に合致した動作モードのみが可能な動作モードとして決定される。したがって、ユーザは、合致しない動作モードを目標動作モードとして設定することができず、又は、方法は、合致しない動作モードを目標動作モードとして決定することができない。外部設定は、例えば、衛星支援による位置決定又は送信機の到達距離に基づき得るいわゆるジオフェンシング信号の形態において、操作ユニットを介して、特に(例えば、パスワード保護により)保護されたモードにおいて入力される制限などとして受信され得る。
【0016】
利用可能な要素を特定することは、有利には、少なくとも1つの問合せ信号を送信することと、利用可能な要素に関する情報を含む少なくとも1つの応答信号を受信することとを含む。これにより、作業機械が事後的に変更された場合でも、即ち、例えば、セットアップ後又はコンポーネントの故障時に、利用可能な全ての動作モードをフレキシブルに検出することができる。このような信号交換は、例えば、機械のスタートのたびに行うことができ、及び/又は、周期的な間隔で、例えば、1秒、1分、5分、10分、30分乃至1時間の間隔で反復させることができる。このことにより、信号交換の溢れによる過負荷を生じさせることなく、現在の状態の考慮が保証される。
【0017】
本発明に係る計算ユニット、例えば、移動式作業機械の制御装置は、本発明に係る方法を、特にプログラム技術的に実施するように構成されている。
【0018】
また、本発明に係る方法を、全ての方法ステップを実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品の形態において実現することも有利である。なぜなら、特に、実行すべき制御装置がさらなる他のタスクにも使用されるものであって、ゆえにいずれにせよ既存のものである場合、こうしたコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品は、特にわずかなコストしかかからないからである。コンピュータプログラムの提供のための適当なデータ担体は、特に、磁気的、光学的及び電気的なメモリ、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM、DVDなどである。コンピュータネットワーク(インターネット、イントラネットなど)を介したプログラムのダウンロードも可能である。
【0019】
本発明のさらなる利点及び実施形態は、明細書及び添付の図面から得られる。
【0020】
上述した特徴及び以下においてさらに説明する特徴は、本発明の権利範囲から逸脱することなく、それぞれ提示している組合せ以外に、他の組合せにおいても又は単独でも使用可能であることを理解されたい。
【0021】
本発明を実施例に則して図面に概略的に図示し、以下に、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る方法の有利な構成を概略的なフローチャートの形態において示す図である。
図2】本発明に関連して使用可能な例示的な移動式建設機械を示す概略的なブロック図である。
図3】本発明に係る計算ユニットの例示的な実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面の詳細な説明
図1には、本発明に係る方法の有利な実施形態が概略的にフローチャートの形態において示されており、全体として符号100が付されている。方法100は、移動式建設機械に関連して、例えば、簡略化されたブロック図の形態の図2に全体として符号200により示されている移動式建設機械において、適用可能である。
【0024】
以下の説明においては、機械コンポーネントの参照指示は、特に図2に関連しているのに対して、方法ステップの参照指示は、特に図1に示されている方法に関連している。
【0025】
移動式作業機械200、例えば掘削機は、操作要素210、アクチュエータ230、センサ220及び走行駆動機構260を有し得る。このような掘削機200は、典型的には掘削機アーム240を有しており、この掘削機アーム240には、バケットのような作業装置250、又は、例えば、スケルトンバケット、液圧ロッド、把持グリッパなどのような他の作業装置も取り付け可能である。
【0026】
計算ユニット280、例えば、簡略化されてブロック図の形態において図3に示されているような制御装置は、掘削機200の動作を制御するように構成されている。このために、計算ユニット280は、駆動ユニット272、例えば内燃機関と、作業ユニット274、例えば液圧機構とに接続されており、センサ220及び操作要素210からの信号を受信してアクチュエータ230へ信号を送信する。
【0027】
特に、制御装置280は、冒頭に説明したようにかつ以下においてより詳細に説明するように、方法100を実施すべく構成されている。
【0028】
図1に示されている方法100は、検出ステップ110を含み、この検出ステップ110において、操作要素の検出112、センサ装置の検出114、及び、アクチュエータの検出116が実行される。
【0029】
例えば、このような検出112,114,116は、制御装置280が1つ又は複数の問合せ信号を送信するようにして行うことができる。このような問合せ信号が、操作要素210、センサ220又はアクチュエータ230によって受信されると、各コンポーネントは、応答信号を制御装置280へ送信し、これによって、制御装置280は、どのコンポーネントが設けられておりかつ使用準備完了状態となっているかを識別することができる。
【0030】
ステップ120において、制御装置280は、検出された操作要素210、センサ220及びアクチュエータ230に基づいて、可能な動作モードを決定又は特定する。動作モードは、特に特定の自動化度によって特徴付けられる。例えば、最小数及び/又は最小限のタイプの操作要素210が存在する場合、第1の動作モードが可能であると決定され得る。この実施例では手動の動作モードであり得る第1の動作モードにおいては、移動式作業機械200は、操作要素210を用いた操作入力によってユーザにより直接に制御される。
【0031】
検出ステップ110において、最小限のセンサ装置220が存在する又は使用準備完了状態にあると識別されると、第1の動作モードよりも高い自動化度を有する第2の動作モードが可能であると決定され得る。当該第2の動作モードにおいては、例えば、支援機能を提供することができ、これにより、例えば、掘削機アーム240がセンサ装置220によって検出された障害物に近づいたときに掘削機アーム240の運動自由度を制限することができる。
【0032】
第2の動作モードよりもさらに高い自動化度を有する第3の動作モードは、検出ステップ110においてセンサ装置220以外に最小限のアクチュエータ230が利用可能であると特定された場合に、ステップ120において可能であると決定され得る。当該第3の動作モードにおいては、例えば、特定の作業ステップを移動式作業機械によって自律的に実行することができる。
【0033】
方法100のさらなるステップ130においては、1つ又は複数の特定の可能な動作モードに依存して措置が実行される。
【0034】
このような措置は、特に、現在使用されている動作モードがステップ120において決定された可能な動作モードから決定されることを含むものとしてよい。このために、例えば、機械200のユーザに対して、選択のための可能な動作モードをディスプレイ上に提示することができる。可能な動作モードのうちの1つの動作モードの選択を含む操作入力132に基づいて、現在の動作モードを相応に設定することができ、これにより、移動式作業機械200は、続いて、動作ステップ140において、選択決定された動作モードに従って制御される。
【0035】
即ち、例えば、機械200のユーザは、当該機械200を、第1の動作モードにおいて既存の操作要素210を用いて手動により制御することができ、又は、第2の動作モードにおいて支援を受けつつ制御することができ、この場合、既存のセンサ装置220が例えば作業機械200の作業環境を検出し、支援モードに従って許容されるべきユーザの制御命令のみをイネーブルする。上述した実施例においては、この場合、第2の動作モードにおいて、特に掘削機アーム240の運動自由度が制限可能となり、これにより、掘削機アーム240は、特定の幾何学的空間のみにアクセス可能となる。掘削機アーム240が許可された幾何学的領域から出るようなユーザの操作入力が操作要素210を介して行われると、制御装置280は、当該第2の動作モードにおいて液圧ユニット274に作用し、これにより、許可された領域の離脱をトリガするような制御命令は実行されず、許可された幾何学的領域の境界に到達してから許可された領域内へ再び戻る方向にこの掘削機アームをガイドするような制御命令のみが実行される。
【0036】
ステップ130において、上述した第3の動作モードが現在の動作モードとして設定されると、制御装置280は自律的に作業機械200を制御する。このために、センサ装置220の信号に基づいて作業装置250の運動軌道を計算することができ、この軌道を、アクチュエータ要素230を使用して、特にセンサ装置220による監視のもとで実行することができ、これにより、機械は、当該第3の動作モードにおいて、例えば、完全にユーザによる制御なしで作業を行うことができる。この場合においては、検出ステップ110において、作業機械200の手動による制御に対する操作要素210の装備が全く存在しないこと又は不十分であることが確認された場合であっても、第3の動作モードを使用することができる。走行駆動機構260の制御に基づいて、動作モードの決定は、相応の作用を発揮し得るので、走行駆動機構260とそのコンポーネントとは、このことに関連して、アクチュエータの一部とみなすこともできる。
【0037】
さらに、方法100においては、特にコンポーネントの実際の使用準備を含む現在の機械ステータスを考慮するように構成可能である。これにより、例えば、1つ又は複数のコンポーネントの故障又はエラー動作が起こって、そのエラー又は故障により動作モードがもはや実行可能でない場合、動作モードを変更することができる。機械ステータスは、現在の作業環境を含むものであると理解することもできる。例えば、特定の領域、例えば移動式作業機械200が使用される工事現場の領域においては、特定の自動化度が可能であるのに対し、工事現場の他の領域においては、例えば、全ての機械の手動動作が要求されている。この場合、工事現場内の機械200の位置は、現在の動作モードを設定するステップ130において考慮することができる機械ステータスとみなすことができる。こうした外部設定は、図2において符号134により表されており、例えばワイヤレスインタフェース(図示せず)を介して受信可能である。
【0038】
図3には、例示的に、本発明に係る方法100を実行する計算ユニット280の実施形態が概略的に示されている。図3は、特に計算ユニット280の作業方式を示している。計算ユニット280は、操作要素210、アクチュエータ要素230及びセンサ装置要素220に対する各端子を有し、これらの端子は、一方では、図1及び図2に関連して既に説明した利用可能な動作モードを決定するために利用され、他方では、移動式作業機械200の動作時に、計算ユニット280と接続された各要素との間で相応の信号を伝送するために利用される。図示されているように、ケーブル接続又はケーブルなしでの接続が可能である。
【0039】
可能な動作モードを決定するために、例えば、どの要素が接続されているか及び/又は機能可能であるかが検出される。例えば、各端子を介して問合せ信号を送信することができ、これに応じて、受信された応答信号から、各要素210,220,230の同一性及び機能性を推定することができる。例えば、操作要素210として、ここでは、制御レバー、ペダル、表示手段を備えたスイッチボタン、及び、タッチスクリーンが示されている。
【0040】
例えば、設定された最小限の操作ユニットが設けられておりかつ使用準備完了状態にあることが確認されると、手動の動作モードをイネーブルすることができる。このことは、図3にレベル0として示されている矢印によって表されている。手動の動作モードは、ここでは、計算ユニット280側において実行される制御機能330及び駆動制御ステップ340を含み、これらの制御機能330及び駆動制御ステップ340により、操作要素210によって検出された操作入力が解釈されて相応の制御信号へと変換され、これらの制御信号が、相応の端子を介して、アクチュエータ要素230、駆動ユニット272、及び/又は、作業ユニット274へ送信される。
【0041】
検出ステップ110において、必要な最小限のセンサ装置要素220が使用準備完了状態にあることが特定された場合、計算ユニット280は、レベル1+2により示されている矢印によって表された支援動作モードもイネーブルする。支援動作モードは、制御機能330及び駆動制御ステップ340に加えて、その前に軌道プランニング機能320を含み、この軌道プランニング機能320によって移動式作業機械200のコンポーネント、例えば、掘削機アーム240又は走行駆動機構260の運動シーケンスが予めプランニングされる。支援動作モードの動作時には、この種のプランニングされた動作シーケンスを、例えば、画面のような表示手段上において、作業機械200のユーザに通知することができる。特に有利には、操作要素210を用いて生じる実際の運動の表示も可能であり、これにより、ユーザによる補正のための手段が与えられる。
【0042】
同時に、最小限のセンサ装置要素220及びアクチュエータ要素230が動作準備完了状態にあると検出されると、計算ユニット280が、図3においてレベル3として示された矢印によって表された自動動作モードもイネーブルする。自動動作モードは、例えば、制御動作モード330、軌道プランニング機能320及び駆動制御機能340に加えて、提示されているタスクプランニング機能310を含み得るものであり、このタスクプランニング機能310は、軌道プランニング機能320のためのより複雑なタスクを処理するために用いられる。例えば、達成すべき成功状態、例えば、設定された寸法により掘削すべき孔を、より小さいサブタスクに分割することができ、これにより、軌道プランニング機能320が、例えば、それぞれ1つの個々の掘削過程を計算する一方、タスクプランニング機能310は、形成された孔が最終的に設定された寸法に達することを算定しかつ監視する。
【0043】
ユーザは、利用可能な動作モードから所望の動作モードを選択することができる。このため、例えば、ユーザに対して、可能な動作モードを表示手段上に表示し、選択のために提示することができる。その後、検出された操作入力に基づいて、移動式作業機械が、対応する動作モードにおいて制御される。
図1
図2
図3