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特許7583181水提供システムを予測的に準備するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】水提供システムを予測的に準備するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20220101AFI20241106BHJP
   F24H 15/152 20220101ALI20241106BHJP
   F24H 15/172 20220101ALI20241106BHJP
   F24H 15/265 20220101ALI20241106BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20241106BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20241106BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20241106BHJP
   F24H 15/414 20220101ALI20241106BHJP
   F24H 15/457 20220101ALI20241106BHJP
【FI】
F24H4/02 C
F24H15/152
F24H15/172
F24H15/265
F24H15/269
F24H15/281
F24H15/375
F24H15/414
F24H15/457
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023547569
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2022051077
(87)【国際公開番号】W WO2022168045
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】2101678.7
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109593.0
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109594.8
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109596.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109597.1
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109598.9
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109599.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109600.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2111081.2
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523293529
【氏名又は名称】オクトパス エナジー ヒーティング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTOPUS ENERGY HEATING LIMITED
【住所又は居所原語表記】UK House, 164-182 Oxford Street, London, W1D 1NN, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・コノヴァルチック
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-529986(JP,A)
【文献】特開2011-220655(JP,A)
【文献】特開2014-122749(JP,A)
【文献】特開2020-067196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置される水提供システムを予測的に準備するコンピュータ実装方法であって、前記水提供システムが、熱エネルギーを貯蔵するために周囲から熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを移動させるように構成されるヒートポンプおよび前記ヒートポンプの動作を制御するように構成される制御モジュールを備え、前記水提供システムが、前記熱エネルギー貯蔵媒体に貯蔵された熱エネルギーを用いて水を加熱して、1つまたは複数の水出口において前記加熱された水を前記建物の居住者に供給するように構成され、前記方法が、前記制御モジュールによって行われ、かつ
前記居住者の現在位置を受信するステップと、
前記現在位置に基づいて前記居住者が前記建物に到着する予想到着時間を推定するステップと、
前記予想到着時間に基づいて前記建物の予想占有率を決定するステップと、
前記建物の予想占有率の上昇に基づいて前記熱エネルギー貯蔵媒体の温度を所望の動作温度に上昇させるために、前記熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填することを決定するステップと、
前記予想到着時間の前に所定の長さの時間の間前記熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを貯蔵し始めるために前記ヒートポンプを稼動させて、前記所望の動作温度まで前記熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを事前充填するステップと
を含
前記所定の長さの時間は、高い予想占有率ほど長いように設定される、
方法。
【請求項2】
前記方法が、前記制御モジュール上で実行する第1の機械学習アルゴリズムMLAによって少なくとも部分的に行われ、前記第1のMLAが、前記居住者の現在位置に基づいて前記建物の占有率を予測するように訓練されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記居住者の現在位置を受信するステップが、前記制御モジュール上に以前に登録された電子デバイスと通信するステップから成り、前記電子デバイスが、スマートフォン、タブレットコンピュータおよび/または衛星航法システムの1つまたは複数から成る、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
予想到着時間を推定するステップが、前記電子デバイスから前記予想到着時間を取得するステップから成る、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記予想到着時間が、前記現在位置における現在の交通条件に基づいて推定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の長さの時間が、前記水提供システムから取得されるセンサデータに基づいて前記水提供システムのための第2のMLAによって確立されるユーティリティ使用パターンを使用して推定される予想温水使用量に基づいて設定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーティリティ使用パターンが、時間、曜日および/もしくは日付に関する予想冷水使用量、時間、曜日および/もしくは日付に関する予想温水使用量、時間、曜日および/もしくは日付に関する予想エネルギー使用量、またはその組合せを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒートポンプによって抽出された前記熱エネルギーの一部分を転用して現在の室内温度から第1の室内温度に前記建物を加熱するステップを更に含み、前記所定の長さの時間が、前記現在の室内温度および前記第1の室内温度に基づいて設定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の長さの時間が、前記居住者によって手動で設定される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の長さの時間が、前記熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する時間に基づいて設定される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する前記時間が、前記熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する複数の以前の時間の平均に基づいて推定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する前記時間が、前記水提供システムから取得されるセンサデータに基づいて前記熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する前記時間を決定するように訓練された第3のMLAによって決定される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記センサデータが、室内温度、外気温度、前記ヒートポンプが最後に稼動された時間、またはその組合せを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を行わせる、機械可読コードを備えるコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
水提供システムを制御するように構成される制御モジュールであって、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を行うように訓練された機械学習アルゴリズムがその上で実行するプロセッサを備える、制御モジュール。
【請求項16】
通信チャネルを通じて前記制御モジュール上に登録された電子デバイスと通信するように構成される通信インタフェースを更に備え、前記電子デバイスが、スマートフォン、タブレットコンピュータおよび/または衛星航法システムの1つまたは複数から成る、請求項15に記載の制御モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してユーティリティ管理に関する。特に、本開示は、ユーザの熱水使用習慣を変更するのを援助するために使用できる方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商用設定であろうと家庭用設定であろうと、一年中一日を通して温水が必要とされる。温水の提供が浄水も熱源も必要とすることは言うまでもない。温水を提供するために、例えばユーザによって設定される所定の温度まで水を加熱するためにしばしば集中型の水提供システムに加熱システムが提供され、そして使用される熱源は、従来は1つもしくは複数の電気加熱要素または天然ガスの燃焼である。一般に、高エネルギー(例えばガスまたは電気)需要の期間中、ユーティリティ提供者は、一部には顧客に供給するためのより多くのエネルギーを購入しなければならない追加費用を賄うためにおよび一部には不必要なエネルギー使用を思いとどまらせるために、エネルギーの単価を上げるピーク料金を実施するであろう。次いで、低エネルギー需要の期間中、ユーティリティ提供者は、時間と共に全体としてよりバランスのとれたエネルギー消費を達成するためにピーク期間の代わりにこれらのオフピーク期間中にエネルギーを使用することに切り替えるように顧客に奨励するためにエネルギーの単価を下げるオフピーク料金を実施するであろう。しかしながら、そのような戦略は、顧客が常に料金の変化に気付いており、加えて自分のエネルギー消費習慣を変更する意識的な努力をする場合に効果的なだけである。
【0003】
ユーティリティとしての浄水が現在多くの注目を受けている。浄水が不足してくるにつれて、浄水の節約に関して一般市民を教育する他に、水流を減らす泡沫シャワーおよび蛇口、動きが検出されないときに水の流れを止めるモーションセンサが備えられたシャワーおよび蛇口等などの、水消費を削減するシステムおよび装置の開発への多くの努力がなされてきた。しかしながら、これらのシステムおよび装置は、単一の具体的な使用に限定されており、問題のある水消費習慣に限られた影響を有するだけである。
【0004】
エネルギー消費の環境影響に対する懸念が増大するにつれて、家庭用温水を提供する手段としてのヒートポンプ技術の使用に対する関心が最近増大してきた。ヒートポンプは、熱源から熱溜めに熱エネルギーを移動させる装置である。ヒートポンプが熱源から熱溜めに熱エネルギーを移動させる仕事を達成するために電気を必要とするが、それが典型的に少なくとも3または4の成績係数を有するので、それは一般に電気抵抗ヒータ(電気加熱要素)より効率的である。これは、等しい電気使用下で電気抵抗ヒータと比較してヒートポンプを介して3または4倍までの熱量をユーザに提供できることを意味する。
【0005】
熱エネルギーを運ぶ伝熱媒体は、冷媒として知られている。空気(例えば、外気、もしくは住宅内の暑い部屋からの空気)または地中源(例えば、グラウンドループもしくは水で満たされたボアホール)からの熱エネルギーが、例えば熱交換器を用いて、内蔵された冷媒に移動される。今ではより高エネルギーの冷媒は圧縮されて、それを相当に昇温させ、この今では熱い冷媒は、続いて加熱水ループに熱交換器を介して熱エネルギーを交換する。温水提供の文脈では、ヒートポンプによって抽出される熱を、熱エネルギー貯蔵器として作用する断熱タンク内の水に移動させることができ、そして温水は、後になって必要とされるときに使用されてよい。温水は、必要に応じて、1つまたは複数の水出口、例えば蛇口、シャワー、ラジエータに向けられてよい。しかしながら、一部にはヒートポンプが典型的に起動するのが遅いので、ヒートポンプは、水を所望の温度まで上げるために電気抵抗ヒータと比較して一般に多くの時間を必要とする。
【0006】
異なる世帯、仕事場および商業空間が異なる温水使用の要件および嗜好を有するので、ヒートポンプが電気ヒータの実用的な代替であることを可能にするために新しい温水提供の仕方が望ましい。その上、エネルギーおよび水を節約するために、エネルギーおよび浄水の消費を調整することが望ましいかもしれないが、しかしながらユーティリティ消費を調整することが単純に使用上の包括的な上限になることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、温水の提供のための改善された方法およびシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の一態様は、建物に設置される水提供システムを予測的に準備するコンピュータ実装方法を提供するものであり、水提供システムは、周囲から熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを移動させるように構成されるヒートポンプおよびヒートポンプの動作を制御するように構成される制御モジュールを備え、水提供システムは、1つまたは複数の水出口において建物の居住者に熱エネルギー貯蔵媒体によって加熱される水を提供するように構成され、本方法は、制御モジュールによって行われ、かつ居住者の現在位置を受信するステップと、現在位置に基づいて居住者が建物に到着する予想到着時間を推定するステップと、予想到着時間に基づいて建物の予想占有率を決定するステップと、予想到着時間の前に所定の長さの時間の間熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを貯蔵し始めるためにヒートポンプを稼動させて、熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを貯蔵するステップとを含む。
【0009】
本実施形態によれば、制御モジュールは、居住者の現在位置、例えば居住者のスマートフォンから受信されるGPS信号に基づいて居住者がいつ建物に到着すると予想されるかを推定することができる。この情報は、例えば建物が占有される時のためにそれを準備する幾つかの異なる仕方で、例えば、寒中に建物を暖める、暑中に建物を冷却する、および貯蔵された熱エネルギーが後になって使用するために抽出できるように前もって熱エネルギー貯蔵媒体に熱を貯蔵(事前充填)する際に、使用できる。予め設定された予定(毎日、毎週もしくは一回限りの変化は説明できない)または居住者による手動遠隔起動(例えば居住者が運転中であれば実際的でないかもしれない)に基づいて前もって(例えばセントラルヒーティングのための熱水を提供するために)水加熱システムを準備するための従来の手法と比較して、1人または複数の居住者の現在位置に基づいて到着時間を決定または推定することで建物の予想占有率のより正確な指示を提供し、次いで例えばヒートポンプが水または建物を加熱する手段としてより効果的に使用されることを可能にするために熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填することによって、水加熱システムが必要とされないときにそれを(例えばセントラルヒーティングのために)不必要に動作させることなく、水提供システムがよりエネルギー効率的に動作させられることを可能にする。予想される占有率の上昇の前に熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填することによって、それは、熱エネルギー貯蔵媒体が動作温度まで達する必要性の結果として通常は起こる、水を加熱する手段としてヒートポンプを使用する際の遅延を減少させ、したがってヒートポンプが水を加熱する有効な手段として使用されることを可能にする。
【0010】
一部の実施形態において、本方法は、制御モジュール上で実行する第1の機械学習アルゴリズムMLAによって少なくとも部分的に行われてよく、第1のMLAは、居住者の現在位置に基づいて建物の占有率を予測するように訓練されている。
【0011】
一部の実施形態において、居住者の現在位置を受信するステップは、制御モジュール上に以前に登録された電子デバイスと通信するステップから成ってよく、電子デバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータおよび/または衛星航法システムの1つまたは複数から成る。
【0012】
これらの実施形態において、居住者は、初期設定プロセスの一部として制御モジュール上に1つまたは複数の電子デバイスを登録してよい。例えば、登録プロセスは、1つまたは複数の電子デバイスが、例えば、他の情報の中でも、現在位置、現在の交通条件および/または予想到着時間を送信するために、通信チャネルを通じてワイヤレスで制御モジュールと通信しようと試みるときに、制御モジュールが1つまたは複数の電子デバイスを認識することを可能にし得る。
【0013】
一部の実施形態において、予想到着時間を推定するステップは、電子デバイスから予想到着時間を取得するステップから成ってよい。
【0014】
一部の実施形態において、予想到着時間は、現在位置における現在の交通条件に基づいて推定されてよい。
【0015】
一部の実施形態において、所定の長さの時間は、予想占有率に基づいて設定されてよく、所定の長さの時間は、高い予想占有率ほど長いように設定される。高い占有率ほど、例えば暖房および一般使用(例えば手洗い、シャワー)のために多くの温水が必要とされてよく、そしてより高い温水の需要に適応するために、熱エネルギー貯蔵媒体は、居住者が建物に到着すると予想される前に、より長い期間の間ヒートポンプを動かすことによって、より高い動作温度に事前充填できる。
【0016】
一部の実施形態において、所定の長さの時間は、水提供システムから取得されるセンサデータに基づいて水提供システムのための第2のMLAによって確立されるユーティリティ使用パターンを使用して推定される予想温水使用量に基づいて設定されてよい。低い占有率が低い温水の需要を意味しない事例、例えば居住者が建物に到着するとしばしばシャワーを浴びるまたは他の居住者が到着する前に食事を準備するために温水を使用する事例があり得る。予想温水使用量に基づいて或る長さの時間の間熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填することによって、ヒートポンプを用いて十分な温水の供給を保証し、かつ例えば電気加熱要素の使用を削減することが可能である。
【0017】
一部の実施形態において、ユーティリティ使用パターンは、時間、曜日および/もしくは日付に関する予想冷水使用量、時間、曜日および/もしくは日付に関する予想温水使用量、時間、曜日および/もしくは日付に関する予想エネルギー使用量、またはその組合せを備えてよい。
【0018】
一部の実施形態において、本方法は、ヒートポンプによって抽出された熱エネルギーの一部分を転用して現在の室内温度から第1の室内温度に建物を加熱するステップを更に含んでよく、所定の長さの時間は、現在の室内温度および第1の室内温度に基づいて設定される。ヒートポンプによって抽出された熱エネルギーの一部は、直接かセントラルヒーティングシステムに温水を循環させることを通じてか、寒中に建物を暖めるために使用できる。予め設定された第1の室内温度まで建物を暖めるために必要とされる熱エネルギーの量は、現在の室内温度に依存するであろう。したがって、現在の室内温度および予め設定された第1の温度に基づいて或る長さの時間の間熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填することによって、居住者の到着に応じて建物が第1の温度に達することを保証する一方で、温水を提供するのに十分な量のエネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に貯蔵することが可能である。
【0019】
一部の実施形態において、所定の長さの時間は、居住者によって手動で設定されてよい。
【0020】
一部の実施形態において、熱エネルギー貯蔵媒体が居住者の到着に先立って最適動作温度に事前充填されることが望ましくてよい。したがって、一部の実施形態において、所定の長さの時間は、熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する時間に基づいて設定されてよい。
【0021】
一部の実施形態において、熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する時間は、熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する複数の以前の時間の平均に基づいて推定されてよい。
【0022】
幾つかの以前の機会にわたる熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填するための平均時間が、条件が類似するときに必要とされる長さの時間のための良好な指標であるが、例えば平均時間が正確な指標でなくなるときに天候条件の急変がある機会があり得る。したがって、一部の実施形態において、熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する時間は、水提供システムから取得されるセンサデータに基づいて熱エネルギー貯蔵媒体が最適動作温度に達する時間を決定するように訓練される第3のMLAによって決定されてよい。
【0023】
一部の実施形態において、センサデータは、室内温度、外気温度、ヒートポンプが最後に稼動された時間、またはその組合せを備えてよい。
【0024】
本技術の別の態様は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに上記したような方法を行わせる、機械可読コードを備えるコンピュータ可読媒体を提供する。
【0025】
本技術の更なる態様は、水提供システムを制御するように構成される制御モジュールを提供するものであり、制御モジュールは、上記したような方法を行うように訓練された機械学習アルゴリズムがその上で実行するプロセッサを備える。
【0026】
一部の実施形態において、制御モジュールは、通信チャネルを通じて制御モジュール上に登録された電子デバイスと通信するように構成される通信インタフェースを更に備えてよく、電子デバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータおよび/または衛星航法システムの1つまたは複数から成る。
【0027】
本技術の実装例は、各々上述の目的および/または態様の少なくとも1つを有するが、必ずしもそれらの全てを有するわけではない。上述の目的を達成しようと試みたことから生じた本技術の一部の態様がこの目的を満たさずかつ/または本明細書には詳述されない他の目的を満たし得ることが理解されるべきである。
【0028】
本技術の実装例の追加および/または代替の特徴、態様および利点は、以下の説明、添付の図面および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0029】
本開示の実施形態が、ここで添付の図面を参照しつつ説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】例証的な水提供システムの概略システム概観である。
図2】使用パターンを確立するMLAの例証的な訓練フェーズを概略的に図示する。
図3】占有率予測を出力するMLAによる例証的なデータ処理を概略的に図示する。
図4】熱貯蔵器に事前充填するMLAによる例証的なデータ処理を概略的に図示する。
図5】ヒートポンプを稼動させるMLAによる例証的なデータ処理を概略的に図示する。
図6】ヒートポンプ除霜サイクルを開始するMLAによる例証的なデータ処理を概略的に図示する。
図7】一実施形態に係るユーザの水使用習慣を変更する例証的な方法のフロー図である。
図8】一実施形態に係る水使用を調整する例証的な方法のフロー図である。
図9】一実施形態に係る水使用を調整する別の例証的な方法のフロー図である。
図10】漏洩警告を出力するMLAによる例証的なデータ処理を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上記に鑑みて、本開示は、ヒートポンプを使用するまたはそれによって支援される温水の提供のための、ならびに一部の場合には水およびエネルギー浪費を削減するために水およびエネルギーを含むユーティリティの使用を調整するための様々な手法を提供する。本手法は、水提供システムから受信されるセンサデータに基づいて制御モジュールを介して水提供システムに対する水提供を制御および調整するように訓練された1つまたは複数の機械学習アルゴリズム(MLA)の使用を通じて実装されてよい。例えば、訓練フェーズ中に、MLAは、家庭用設定の世帯の温水使用を監視し、そして通常の使用パターンを確立してよい。MLAは、時刻、曜日、日付、天気等などの幾つかの異なる入力に基づいて異なる種類の水使用(例えばシャワー、手洗い、暖房等)を認識するように訓練されてよい。一部の実施形態において、MLAは、例えば、システムの水出口が開閉される時間、使用の継続時間、ユーザによって設定される水温、およびユーザに温水が提供されるときの実際の水温に関する追加データを収集してよい。使用に際して、MLAは、ヒートポンプを使用するまたはそれによって支援される温水提供の効率および有効性を改善する各種の異なる仕方に学習した使用パターンを使用してよい。
【0032】
一部の実施形態において、MLAは、水出口が開かれるときまたは前に1つまたは複数の省エネルギー戦略を実施するように、ならびに任意選択で、水およびエネルギー使用習慣を変更するのを援助する、例えば水および/またはエネルギー使用を段階的に削減する1つまたは複数の対話型戦略を実施するように訓練されてよい。
【0033】
以下に、1つまたは複数のMLAが使用される実施形態のための幾つかの異なる種類の機械学習アルゴリズムの簡潔な概観を与える。しかしながら、通常の使用パターンを確立するためのMLAの使用が単に本技術を実装する1つの仕方であり、それが必須でないことが留意されるべきであり、一部の実施形態において、制御モジュールには、具体的な温水使用、例えば過剰な水流を対象とし、そして所定の方式で応答するのに適切なソフトウェア機能がプログラムされてよい。
【0034】
MLAの概観
当該技術において公知の多くの異なる種類のMLAがある。大まかに言うと、3種類のMLAがある:教師あり学習ベースのMLA、教師なし学習ベースのMLAおよび強化学習ベースのMLA。
【0035】
教師あり学習MLAプロセスは、目的-結果変数(または従属変数)に基づいており、所与の予測子(独立変数)の集合から予測されることになる。これらの変数の集合を使用して、MLAは(訓練中)、入力を所望の出力にマッピングする機能を生成する。MLAが検証データに関して所望のレベルの精度を達成するまで訓練プロセスは続く。教師あり学習ベースのMLAの例には、回帰、決定木、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰等を含む。
【0036】
教師なし学習MLAには、目的または結果変数自体を予測することは伴わない。そのようなMLAは、値の母集団を異なる群へクラスタ化するために使用されており、顧客を具体的な介入のために異なる群へ分割するために広く使用される。教師なし学習MLAの例には、アプリオリアルゴリズム、K-meansを含む。
【0037】
強化学習MLAは、具体的な決定をするように訓練される。訓練中、MLAは、それが試行錯誤を使用して絶えずそれ自体を訓練する訓練環境に曝される。MLAは、過去の経験から学習し、そして正確な決定をするための最良の知識を得ようと試みる。強化学習MLAの一例は、マルコフ決定過程である。
【0038】
異なる構造またはトポロジを有する異なる種類のMLAが様々なタスクのために使用され得ることが理解されるべきである。1つの特定の種類のMLAに、ニューラルネットワーク(NN)とも知られている、人工ニューラルネットワーク(ANN)を含む。
【0039】
ニューラルネットワーク(NN)
一般的に言うと、所与のNNは、相互接続された人工「ニューロン」の群から成っており、計算にコネクショニストアプローチを使用して情報を処理する。NNは、入力と出力との間の複雑な関係を(実際には関係を知ることなく)モデル化するために、またはデータにパターンを見つけるために使用される。NNは、最初に訓練フェーズにおいて条件付けられ、それらには既知の「入力」の集合および(モデル化されようと試みられている所与の状況に対する)適切な出力を生成するようにNNを適合させるための情報が提供される。この訓練フェーズ中に、所与のNNは、学習されている状況に適合して、所与のNNが新しい状況における所与の入力に対する合理的な予測出力を(学習したことに基づいて)提供することができるようにその構造を変化させる。したがって、所与の状況に対して複雑な統計的配置または数学的アルゴリズムを決定しようと試みるよりむしろ、所与のNNは、状況に対する「感情」に基づいて「直観的な」答えを提供しようとする。所与のNNは、したがって訓練された「ブラックボックス」とみなされ、「ボックス」内で起こることは重要でない状況における所与の入力の集合に対する合理的な答えを決定するために使用できる。
【0040】
NNは、通例、所与の入力に基づいて出力を知ることが重要なだけであり、その出力が厳密にどのように導出されるかは重要性が劣るまたは重要でない多くのそのような状況において使用される。例えば、NNは、通例、サーバ間のウェブトラフィックの分布を最適化するために、およびフィルタリング、クラスタリング、信号分離、圧縮、ベクトル発生等を含む、データ処理において使用される。
【0041】
ディープニューラルネットワーク
本技術の一部の非限定的な実施形態において、NNは、ディープニューラルネットワークとして実装できる。NNがNNの様々なクラスへ分類でき、これらのクラスの1つがリカレントニューラルネットワーク(RNN)から成ることが理解されるべきである。
【0042】
リカレントニューラルネットワーク(RNN)
RNNは、入力のシーケンスを処理するためにそれらの「内部状態」(記憶されたメモリ)を使用するように適合される。これは、RNNを、例えば未分割手書き認識および音声認識などのタスクに適切にする。RNNのこれらの内部状態は制御でき、「ゲート付き」状態または「ゲート付き」メモリと称される。
【0043】
RNN自体もRNNの様々なサブクラスへ分類できることも留意されるべきである。例えば、RNNは、長短期記憶(LSTM)ネットワーク、ゲート付きリカレントユニット(GRU)、双方向RNN(BRNN)等を含む。
【0044】
LSTMネットワークは、ある意味では、以前の非常に短くかつ離散的な時間ステップの間に起こったイベントの「メモリ」を必要とするタスクを学習できる深層学習システムである。LSTMネットワークのトポロジは、それらが行うことを「学習する」具体的なタスクに基づいて変動できる。例えば、LSTMネットワークは、イベント間に比較的長い遅延が発生する、またはイベントが低および高頻度で共に発生するタスクを行うことを学習してよい。特定のゲート付き機構を有するRNNは、GRUと称される。LSTMネットワークとは異なり、GRUは、「出力ゲート」を欠いており、したがって、LSTMネットワークより少ないパラメータを有する。BRNNは、過去の他に将来の状態から情報を使用することを許容し得る逆方向に接続されるニューロンの「隠れ層」を有してよい。
【0045】
残差ニューラルネットワーク(ResNet)
本技術の非限定的な実施形態を実装するために使用できるNNの別の例は、残差ニューラルネットワーク(ResNet)である。
【0046】
深層ネットワークは、エンドツーエンドの多層式に低/中/高レベル機能および分類器を自然に統合し、そして機能の「レベル」は、積み重ねられた層の数(深さ)によって強化できる。
【0047】
要約すると、本技術の文脈の1つまたは複数のMLAの少なくとも一部分の実装は、大まかに2つのフェーズ-訓練フェーズおよび使用中フェーズへ分類できる。最初に、所与のMLAは、1つまたは複数の適切な訓練データセットを使用して訓練フェーズにおいて訓練される。次いで、一旦所与のMLAが入力としてどんなデータを予想するべきかおよび出力としてどんなデータを提供するべきかを学習すると、所与のMLAは、使用中フェーズにおいて使用中データを使用して動かされる。
【0048】
水提供システム
本技法の実施形態において、家庭用または商用設定の建物のための、蛇口、シャワー、ラジエータ等を含む、複数の水出口に集中型の水提供システムによって冷温水が提供される。一実施形態に係る例証的な水提供システムが図1に図示される。本実施形態において、水提供システム100は、制御モジュール110を備える。制御モジュール110は、例えばシステムに内外の水の流れを制御するように配置される1つまたは複数の弁の形態の流量制御130、周囲から熱を抽出し、抽出した熱を、水を加熱するために使用されるよう熱エネルギー貯蔵器150に預けるように構成される(地中熱源または空気熱源)ヒートポンプ140、および電気加熱要素160に供給されるエネルギー量を制御することによって冷水を所望の温度に直接加熱するように構成される1つまたは複数の電気加熱要素160を含む、水提供システムの様々な要素に通信的に結合され、かつそれらを制御するように構成される。温水は、熱エネルギー貯蔵器150によって加熱されようと電気加熱要素160によって加熱されようと、次いで必要とされる限り1つまたは複数の水出口に向けられる。実施形態において、ヒートポンプ140は、環境から(例えば空気熱源ヒートポンプにとっては周囲空気、地中熱源ヒートポンプにとっては地熱エネルギー、または水熱源ヒートポンプにとっては水体から)熱を抽出し、その熱は冷媒によって吸収され、次いで冷媒から作動液体に移動され、次に熱エネルギー貯蔵器150内の熱エネルギー貯蔵媒体に熱を移動させ、それは好ましくは潜熱として貯蔵される。熱エネルギー貯蔵媒体からのエネルギーは、次いでより冷たい水、例えば給水、場合により給水本管からの冷水を所望の温度に加熱するために使用できる。温水は、次いでシステム内の様々な水出口に供給されてよい。
【0049】
本実施形態において、制御モジュール110は、複数のセンサ170-1、170-2、170-3、...、170-nから入力を受信するように構成される。複数のセンサ170-1、170-2、170-3、...、170-nは、例えば屋内および/または屋外に設けられる1つまたは複数の気温センサ、1つまたは複数の水温センサ、1つまたは複数の水圧センサ、1つまたは複数のタイマ、1つまたは複数のモーションセンサを含んでよく、かつ例えば居住者によって携帯されかつ通信チャネルを介して制御モジュールと通信しているスマートフォン上のGPS信号受信器、カレンダ、天気予測アプリなど、水提供システム100に直接リンクされない他のセンサを含んでよい。制御モジュール110は、本実施形態において、受信した入力を使用して各種の制御機能、例えば流量制御130を通って熱エネルギー貯蔵器150または電気加熱要素160への水の流れを制御して水を加熱すること、を行うように構成される。本実施形態において、機械学習アルゴリズム(MLA)120が使用され、制御モジュール110のプロセッサ(図示せず)上で実行してもまたは通信チャネルを通じて制御モジュール110のプロセッサと通信するサーバ上で実行してもよい。MLA120は、例えば時刻、曜日、日付(例えば季節的変動、公休日)、占有率等に基づいてベースライン水およびエネルギー使用パターンを確立するように制御モジュール110によって受信される入力センサデータを使用して訓練されてよい。学習した使用パターンは、次いで制御モジュール110によって行われる様々な制御機能を決定、および一部の場合には改善するために使用されてよい。
【0050】
ヒートポンプは電気抵抗ヒータと比較して水を加熱するのに一般にエネルギー効率的であるが、ヒートポンプを起動するのに時間が(しばしば1分以上)かかり、また十分な量の熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵媒体へ移動されて、貯蔵媒体が水を加熱するために使用できる前にそれが所望の動作温度に達するためにも時間が必要とされ、したがって初期の開始点からヒートポンプは電気抵抗ヒータと比較して同じ量の水を同じ温度に加熱するのに典型的に長くかかるであろう。その上、一部の実施形態において、ヒートポンプ140は、例えば相変化材料(PCM)を使用してよく、熱エネルギー貯蔵媒体として、加熱に応じて固体から液体に変化する。この場合、PCMが固化するのを許容されている場合、ヒートポンプによって抽出される熱エネルギーが熱貯蔵媒体の温度を上昇させる効果を有する前に(その時までエネルギーは潜熱として貯蔵される)、PCMを固体から液体にするために追加の時間が必要とされ得る。水を加熱するこの手法がより遅いとはいえ、それは、電気加熱要素と比較して水を加熱するためにより少ないエネルギーを消費するので、全体として、エネルギーは節約され、そして温水を提供するためのコストは削減される。
【0051】
相変化材料
本実施形態において、ヒートポンプのための熱貯蔵媒体として相変化材料が使用されてよい。相変化材料の1つの適切なクラスは、家庭用給湯のためのおよびヒートポンプと組み合わせて使用するための関心温度に固液相変化を有するパラフィンワックスである。特に関心があるのが、摂氏40~60度(℃)範囲の温度で溶融するパラフィンワックスであり、この範囲内で具体的な用途に合う異なる温度で溶融するワックスを見つけることができる。典型的な潜熱容量は約180kJ/kgと230kJ/kgとの間であり、そして比熱容量は、おそらく液相で2.27Jg-1K-1、固相で2.1Jg-1K-1である。融解潜熱を使用することを考えて非常に相当な量のエネルギーを貯蔵できることが見て取れる。相変化液体をその融点を超えて加熱することによって、より多くのエネルギーも貯蔵できる。例えば、電気コストがオフピーク期間の間、比較的低いときに、ヒートポンプは、熱エネルギー貯蔵器に標準より高い温度まで「充填」して熱エネルギー貯蔵器を「過熱」させるために動作させられてよい。
【0052】
ワックスの適切な選択は、n-トリコサンC23、またはパラフィンC20~C33など、融点が48℃程度のものでよく、ヒートポンプが51℃程度の温度で動作することを必要とし、かつ一般的な家庭用熱水のための、例えば台所水栓、シャワー/浴室水栓に十分である、45℃程度の満足な温度に水を加熱することが可能である。所望により水温を下げるために流れに冷水が加えられてよい。ヒートポンプの温度性能が考慮される。一般に、ヒートポンプによって加熱される流体の入出力温度間の最大差は、好ましくは5℃~7℃の範囲に保たれるが、それは10℃まで高くなることができる。
【0053】
熱エネルギー貯蔵媒体として使用するためにパラフィンワックスが好適な材料であるが、他の適切な材料も使用され得る。例えば、塩水和物も、本システムなどの潜熱エネルギー貯蔵システムに適切である。この文脈における塩水和物は、無機塩および水の混合物であり、相変化に、それらの水の全てまたは多くの損失を伴う。相転移で、水和結晶は、無水(または低水性)塩および水へ分けられる。塩水和物の利点は、それらがパラフィンワックスより非常に高い熱伝導率(2~5倍の間高い)および相転移に伴う非常に小さい体積変化を有するということである。現用途のための適切な塩水和物はNa2S2O3・5H2Oであり、48℃~49℃程度の融点および200~220kJ/kgの潜熱を有する。
【0054】
使用パターン
図2は、一実施形態に係るベースラインユーティリティ使用パターンを確立する、MLA120などの、MLA2200の訓練フェーズを例示する。
【0055】
実施形態において、MLA2200は、例えば住宅の居住者の使用パターンを学習する期間にわたって複数のセンサおよび他のソースから入力を受信する。例えば、その上でMLA2200が実行する制御モジュール、例えば制御モジュール110は時計を備えてよく、そしてMLA2200は、時計から時刻2101ならびに日付および曜日2102を受信してよい。住宅には複数のモーションセンサが設置されてよく、そしてMLA2200はモーションセンサから占有率データ2103を受信してよい。下記される別の実施形態において、占有率は、複数の要因に基づいて予測されてもよい。制御モジュールは、MLA2200が現在の天気2104の入力を受信するために1つまたは複数の外気温度センサと通信していてよい。制御モジュールは、MLA2200が室内温度2105を受信するために1つまたは複数の室内温度センサとも通信していてよい。複数の水温、圧力および流量センサが水提供システムの様々な位置に、例えば本管水入口に本管水入口温度2106、本管流量2107および本管流圧2108を測定するために、設けられてよく、それらをMLA2200に入力できる。1つもしくは複数のまたは各水出口(あるいは水出口への水流を制御する弁)に、それぞれの水出口がいつ開かれてそれがいつ閉められるかを検出するために、センサが設けられてよく、そして水出口での水の温度ならびに熱/冷水使用時間および温度2109ならびに熱/冷水使用体積2110に関するデータをMLA2200に入力できる。MLA2200は、例えば使用の時間、使用されたエネルギー量、および制御モジュールがエネルギー提供者と通信している場合、現在の料金など、水提供システムによるエネルギー使用2111に関するデータも収集してよい。MLA2200は、使用の時間、使用の長さ等などのヒートポンプ使用2112に関するデータも収集してよい。MLAが本明細書に記載される全ての入力センサデータを受信、収集および/または使用することが必須であるわけではないこと、ならびに本明細書に記載される入力センサデータのリストが網羅的でなく、他の入力データも所望によりMLAによって受信、収集および/または使用されてよいことが留意されるべきである。特に、制御モジュールが例えば1人または複数の居住者の1つまたは複数のスマートデバイス(例えばスマートフォン)またはパーソナルコンピュータと通信している実施形態において、MLAは、これらのデバイスから取得される他の個人または公共データを受信および使用してよい。
【0056】
訓練フェーズ中、MLA2200は、受信した入力データに基づいて居住者に対する水およびエネルギー使用パターンを確立する。例えば、使用パターン2300は、例えば時刻、曜日、日付、占有率レベル等に基づいて予想される使用のベースラインを提供する、温水使用のパターン、冷水使用のパターン、エネルギー使用のパターン、ヒートポンプ使用のパターン、占有率パターンを含んでよい。
【0057】
占有率予測
図3は、制御モジュール(例えば制御モジュール110)上で実行しているMLA3200が入力データの集合を処理して例えば住宅に対する占有率予測を出力する一実施形態を概略的に図示する。MLA3200はMLA2200と同じMLAでよく、またはそれは異なるMLAでよい。MLA3200は、例えば一年の過程にわたる占有率レベルおよび住宅への到着の居住者スケジューリングに基づいて、適切な訓練データセットを使用して訓練されてよい。
【0058】
MLA3200は、住宅の周りに設けられる1つまたは複数のセンサ、1つまたは複数のユーザインタフェース(例えば制御モジュールと通信している住宅の周りの制御パネル、スマートデバイス、パーソナルコンピュータ等)、1つまたは複数のソフトウェアプログラム、1つまたは複数の公的および私的データベース等を含む、複数のソースから、制御モジュールを通じて、住宅およびその居住者に特有の入力データを受信する。本実施形態において、MLA3200は、例えば制御モジュール上で動いている時計およびカレンダ機能から、または通信ネットワークを通じて遠隔で、現在時刻3101、日付3102および曜日3103の入力を受信する。MLA3200は、例えば、ユーザインタフェースを通じて住宅の居住者から、居住者のスマートデバイス上のカレンダアプリから自動的に取得される、または通信ネットワークを通じてパブリックドメインから取得される、任意の特別なイベントまたは公休日3104の入力を更に受信する。MLA3200は、次いで入力データに基づいて予想占有率レベルを決定し、そして占有率予測3300を出力する。建物の予想占有率を決定することによって、見込みがあるユーティリティ(例えばエネルギーおよび水)需要を推定または予測することが可能である。
【0059】
更なる実施形態において、MLA3200は、居住者が住宅にいないと判定されるとき1人または複数の居住者の現在位置3105の入力を受信する。例えば、居住者は、制御モジュールまたは制御モジュールと通信しているサーバに1つまたは複数のGPS機能付きのスマートデバイス(例えばスマートフォン)を登録してよく、次いでMLA3200は、通信ネットワークを通じて各居住者に対応する登録されたスマートデバイス上で受信されるGPS信号を取得することによって各居住者の現在位置を受信してよい。次いで、居住者の現在位置3105および任意選択でパブリックドメインから取得される交通条件などの他の情報に基づいて、MLA3200は、各居住者に対する住宅への予想到着時間3106を決定する。各居住者の予想到着時間3106は、現在時刻3101、日付3102、曜日3103およびイベント日3104などの他の入力に基づいて決定されてもよい。MLA3200は、次いで予想到着時間3106を使用して、住宅に対する占有率予測3300(現在の占有率レベルよりむしろ将来の占有率レベル)を出力できる。
【0060】
占有率予測3300は、水提供システムのための様々な制御機能を行うときに制御モジュールにとって有用な指標である。例えば、居住者が到着すると予想される前に、住宅に設置されるセントラルヒーティングシステムのラジエータに温水が向けられてよい。別の例は、居住者が到着すると予想される前に熱エネルギー貯蔵器に熱エネルギーを貯蔵し始めるためにヒートポンプを稼動させることであり、その上ヒートポンプは、居住者が到着すると予想される前に熱エネルギー貯蔵器が「完全に充填」される(或る程度の液化に達した)ように居住者の予想到着時間3106に基づいて一度に稼動されてよい。
【0061】
熱エネルギー貯蔵器に事前充填する
従来の手法では、ヒートポンプによって外気から、および冷媒の圧縮から抽出される熱は、ヒートポンプの作動液体から、例えば断熱貯蔵タンクに貯蔵される水(例えば本管からの)に直接移動され、そして貯蔵タンクからの温水が、必要とされるときに様々な水出口に供給される。そのような従来の手法の1つの欠点が、ヒートポンプが外気(またはヒートポンプによってエネルギーが抽出されるエネルギー源であれば何でも)からタンク内の水に、水が所望の温度に達するのに十分な量の熱を移動させるために必要とされる時間である。そのため、ヒートポンプ給湯器は、一般に、水がヒートポンプによって十分に加熱されていないときに水を所望の温度まで上げる従来の電気抵抗給湯器と併せて設置される。
【0062】
本技術の実施形態によれば、熱エネルギー貯蔵器150内の熱エネルギー貯蔵媒体は、ヒートポンプ140によって抽出される熱を貯蔵するために提供され、そして貯蔵された熱は、必要とされるときに水を加熱するために使用できる。本実施形態において、熱エネルギー貯蔵媒体は、温水の需要が起こる前にヒートポンプを動作させて熱エネルギー貯蔵器へ熱を移動させることによって事前充填されてよい。これは、温水の需要および/または電気の需要が一日を通して変動する場合に望ましく、例えば、温水の需要が高いときにヒートポンプおよび/または電気抵抗給湯器を動作させることは費用効果的でなく、かつ高需要のときにエネルギーネットワークに追加の圧力をかけ得る。
【0063】
図4は、制御モジュール(例えば制御モジュール110)上で実行しているMLA4200が入力データの集合を処理して、熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填してその温度を所望の動作温度に上昇させるという決定を出力する一実施形態を概略的に図示する。MLA4200はMLA2200および/もしくはMLA3200と同じMLAでよく、またはそれは異なるMLAでよい。MLA4200は、例えば住宅の温水需要に基づいて、適切な訓練データセットを使用して訓練されてよい。
【0064】
MLA4200は、住宅の周りに設けられる1つまたは複数のセンサ、1つまたは複数のユーザインタフェース(例えば制御モジュールと通信している住宅の周りの制御パネル、スマートデバイス、パーソナルコンピュータ等)、1つまたは複数のソフトウェアプログラム、1つまたは複数の公的および私的データベース等を含む、複数のソースから、制御モジュールを通じて、住宅およびその居住者に特有の入力データを受信する。本実施形態において、MLA4200は、例えば制御モジュール上の時計および/またはカレンダからの現在時刻および日付4101の入力、ならびに例えば住宅にエネルギーを供給するエネルギー提供者から取得される、エネルギーの単価を特定する現在の料金4102などのエネルギー需要データを受信する。オフピーク期間中、エネルギーの単価は低い。
【0065】
代替的または追加的に、MLA4200は、上記したように確立されるユーティリティ使用パターン2300および占有率予測3300からエネルギー需要データを導出できる。例えば、住宅の現在のエネルギー使用量が例えば一日の期間にわたる平均レベルより低ければ、現在のエネルギー使用量は低いと考えられてよく、逆に、住宅の現在のエネルギー使用量が平均より高ければ、現在のエネルギー使用量は高いと考えられてよい。
【0066】
次いで、エネルギー提供者から取得された受信した料金情報4102(および任意の他のエネルギー需要データ)に基づいて、MLA4200は、現在のエネルギー需要のレベルを決定でき、そして現在のエネルギー需要が低いとみなされると熱エネルギー貯蔵器に事前充填する4300ためにヒートポンプを稼動させ、温水の需要が起こる前に、例えば居住者が住宅に到着すると予想されるときに、および/または温水の需要が夜に上昇すると予想されるときに、温水の提供に備える。
【0067】
その上、ユーティリティ使用パターン2300および占有率予測3300と共に受信した時刻/日付4101を使用して、MLA4200は、予想される温水使用のレベルおよび予想されるエネルギー使用のレベルなどの1つまたは複数のパラメータを予測できる。次いで、予測したパラメータに基づいて、MLA4200は、熱エネルギー貯蔵媒体に貯蔵されることになる熱エネルギーの量を決定できる。例えば、予想される温水使用のレベルが高くかつ長期間高いままであると予想されれば、MLA4200は、持続される温水使用に十分な量のエネルギーを貯蔵するために、例えば設置側の居住者によって設定される通常の動作温度より高い温度まで熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填するために、予想される需要の上昇の十分前に或る期間の間ヒートポンプを動作させてよい。
【0068】
需要の上昇に先立って貯蔵熱源を準備するために水提供システムが予想される温水の需要を見越すことを可能にすることによって、本実施形態は、ヒートポンプが需要時に稼動されるだけであれば十分に応答しないかもしれないときにそれが活用されることを可能にする。その上、入力として現在の料金を使用することによって、エネルギーの単価がより低い低エネルギー需要期間中に熱エネルギー貯蔵器に事前充填するためにヒートポンプを動作させ、かつエネルギー使用を高需要時間から低需要時間に移すことによってエネルギーネットワークへの圧力を軽減することが可能である。本実施形態は、温水および電気の需要がしばしば一日を通して並行して上下するという点で、自立家庭に等しく適用可能である。そのため、ヒートポンプを動作させるための電気使用を低電気需要の時間に移すことで、自立家庭がより円滑に営まれることを可能にする。全体として、本実施形態は、より低コストでかつ所望の温度まで水を加熱する際の遅延の結果としての欠点もほとんどない、温水を提供するより効率的な形態、すなわちヒートポンプの使用を可能にする。
【0069】
熱水需要予測
図5は、制御モジュール(例えば制御モジュール110)上で実行しているMLA5200が冷水使用に基づいてヒートポンプを稼動させるかどうかを判定するように訓練される一実施形態を概略的に図示する。MLA5200はMLA2200および/もしくはMLA3200および/もしくはMLA4200と同じMLAでよく、またはそれは異なるMLAでよい。
【0070】
MLA5200は、住宅の周りに設けられる1つまたは複数のセンサ、1つまたは複数のユーザインタフェース(例えば制御モジュールと通信している住宅の周りの制御パネル、スマートデバイス、パーソナルコンピュータ等)、1つまたは複数のソフトウェアプログラム、1つまたは複数の公的および私的データベース等を含む、複数の入力から、制御モジュールを通じて、住宅に特有の入力データを受信する。訓練フェーズ中、MLA5200は、冷水使用から続く温水使用の間の相関を認識するように訓練できる。例えば、MLA5200は、浴室内での冷水の使用(例えばトイレの水タンクを満たすため)に続く浴室内の蛇口からの温水の需要(例えば手洗いのため)の間の相関を認識するように訓練できる。そのため、訓練フェーズ中、MLA5200は、冷水使用から続く温水使用に関するセンサデータを使用して2つのイベント間の相関度を確立してよい。センサデータは、例えば、第1のセンサデータを受信したことと第2のセンサデータを受信したこととの間の経過時間、第1の水出口に関する第2の水出口の位置、第1のセンサデータを受信した後に第2のセンサデータを受信する頻度、時刻、曜日を含んでよいが、リストは網羅的でない。
【0071】
本実施形態において、MLA5200は、稼動されている冷水出口5101の入力を受信し、そして確立されたユーティリティ使用パターン2300および占有率予測3300に関する現在の冷水使用に基づいて、MLA5200は、現在の冷水使用に対する相関度に従って現在の冷水使用から続き得る温水の需要の確率を決定できる。予想される温水の需要が判定されれば、MLA5200は、制御モジュールに需要を見越してヒートポンプを稼動させる5300ように命令できる。
【0072】
現在の冷水使用から続き得る温水の需要の確率が、熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填するためにヒートポンプを動作させるために費やすエネルギーに値するほど十分に高いかどうかを判定するために、MLA5200は、確率がいつヒートポンプの稼動に値するかを示す訓練フェーズ中の閾値を確立してよい。一実施形態において、閾値は、居住者または設置者がヒートポンプのそのような予測的稼動が望ましいインスタンスを手動で入力することによって手動で確立されてよい。別の実施形態において、閾値は、ユーティリティ使用パターン2300および/または占有率予測3300に基づいてMLA5200によって確立されてよい。
【0073】
更なる実施形態において、ヒートポンプを稼動させるべきかどうかのMLA5200による判定は、その上、例えばエネルギー提供者から取得される現在の料金5102の入力に基づいてよい。本実施形態において、閾値は、訓練フェーズ中にエネルギー提供者から取得される料金情報に基づいて決定されてよい。代替としてまたは加えて、閾値は、現在の料金に基づいて実行時間中に修正されてよい。例えば、現在の料金5102がオフピーク料金を示して、電気加熱要素160を低コストで動作させることができることを意味し、かつMLA5200が現在の冷水使用と予想される温水の需要との間の低相関を決定する場合、MLA5200は、温水の需要がありそうにないので熱エネルギー貯蔵器に事前充填するためにヒートポンプを稼動させることが必要でないと判定してよく、温水の需要があるとすれば、水を加熱するために電気加熱要素160を使用できる。他方で、現在の料金5102がエネルギーの単価が高いピーク料金を示して、電気加熱要素160を使用して水を加熱することが高コストであることを意味し、かつMLA5200が現在の冷水使用と予想される温水の需要との間に低相関しかないと判定する場合、MLA5200は、温水を提供するために電気加熱要素160を使用する、より高コストの選択肢を回避するように、低相関にもかかわらず温水の需要に備えて熱エネルギー貯蔵器に事前充填するためにヒートポンプを稼動させることがより費用効果的であると判定してよい。後者の例では、MLA5200は、たとえ確率がいずれの場合にも同じであるとしても、後者の例においてヒートポンプが稼動されてよいよう、閾値が前者の例における閾値より低いようにそれを修正してよい。
【0074】
温水が必要とされる前に水提供システムを準備することによって、温水提供の遅延を減少させることが可能であり、それによって水が加熱されるのを居住者が待つ間に水出口が開かれたままにされる時間を削減することによって浄水浪費を削減する。その上、予想される温水の需要を見越し、かつ温水が必要とされる前にヒートポンプを動作させることによって貯蔵熱源を予測的に準備することによって、固有の遅延が減少されてまたはなしでも信頼性が高い形態の温水提供としてヒートポンプを活用することが可能である。
【0075】
予測的除霜
上で説明したように、ヒートポンプ140などのヒートポンプは、外部空気または地面から熱を抽出し、それを室内ユニットに移動させ、直接建物の内部でそれを暖めるか後で使用するために熱エネルギー貯蔵媒体に貯蔵する、熱交換コイルを持つ室外ユニットを備える。外気から熱エネルギーを抽出するプロセスは室外ユニット内の熱交換コイルを冷却し、そして空気からの水分が冷たい室外コイル上で凝縮する。寒い屋外条件では、例えば外気が5℃であるとき、室外コイルは凍結以下に冷却することがあり、そして室外コイルに結霜することがある。室外コイル上に霜が蓄積するにつれて、ヒートポンプは効率的でなくなり、そして霜のないコイルと比較して同じ動力を出力するためには外気とのより大きな温度差を必要とする。したがって、ヒートポンプの室外ユニット内の熱交換コイルから霜を除去するために、除霜サイクル中に、定期的に、および霜が蓄積したときにヒートポンプを動作させることが望ましい。
【0076】
ヒートポンプがいつ除霜サイクルを必要とするかに幾つかの要因が影響することがあり、例えば外気温度および湿度、ヒートポンプの出力、ならびにヒートポンプの状態(例えば古いシステムほど効率的でなく頻繁な除霜を必要とする)。一般に、室外熱交換コイルに結霜するときはいつでもヒートポンプは除霜サイクルを動作させる。
【0077】
除霜サイクル中、ヒートポンプは、室外ユニットに暖かい冷媒が送られて熱交換コイルを解凍されるという点で逆に動作させられる。ヒートポンプは、例えばコイルが15℃程度に達するまで除霜サイクルを動作させてよい。一旦熱交換コイルが解凍されると、ヒートポンプは通常の加熱サイクルを再開できる。明らかに、ヒートポンプが除霜サイクルを動作させている間、除霜サイクルが完了するまで室内ユニットに(例えば熱エネルギー貯蔵器150へ)熱を移動させるその通常機能を行うことはできないであろう。したがってヒートポンプ除霜サイクルが始まる前に建物を準備することが望ましいであろう。
【0078】
図6は、制御モジュール(例えば制御モジュール110)上で実行しているMLA6200が入力データの集合を処理して、ヒートポンプ(例えばヒートポンプ140)の次の除霜サイクルを予測する一実施形態を概略的に図示する。MLA6200はMLA2200および/もしくはMLA3200および/もしくはMLA4200および/もしくはMLA5200と同じMLAでよく、またはそれは異なるMLAでよい。
【0079】
MLA6200は、住宅の周りに設けられる1つまたは複数のセンサ、1つまたは複数のユーザインタフェース(例えば制御モジュールと通信している住宅の周りの制御パネル、スマートデバイス、パーソナルコンピュータ等)、1つまたは複数のソフトウェアプログラム、1つまたは複数の公的および私的データベース等を含む、複数の入力から、制御モジュールを通じて、住宅に特有の入力データを受信する。訓練フェーズ中、MLA6200は、除霜サイクルがいつ必要とされるかを認識し、そしてヒートポンプの性能の知識(例えば、ヒートポンプの平均熱エネルギー出力、ヒートポンプ効率または成績係数、およびヒートポンプの性能に関する任意の他の情報または量)と共に、例えば天気予報、現在の天候条件、室内温度、および以前の除霜サイクルから収集されるデータに基づいて、ヒートポンプを除霜サイクルで動作させるための時間スケールおよび平均エネルギー要件を確立するように訓練されてよい。
【0080】
本実施形態において、MLA6200は、例えばパブリックドメインまたは制御モジュール上に登録されたスマートデバイス上の天気アプリから取得される天気予報6101、例えばパブリックドメインまたは住宅の周りに設けられる1つもしくは複数のセンサから取得される、温度および湿度などの現在の天候条件6102、例えば住宅内部に設けられる1つまたは複数の温度センサから取得される室内温度6103、ならびにヒートポンプが最後に除霜されたときの最後の除霜サイクルに関するデータ6104の入力を受信する。天気予報、現在の天候条件および室内温度に基づいて、MLA6200は、次の除霜サイクルがいつ予想され得るか6301を予測でき、例えば長期間の低温度および高湿度があるときに、除霜サイクルがよりすぐに必要とされてよく、そしてヒートポンプを除霜するために必要とされる長さの時間を推定してよい。その上、確立されたユーティリティ使用パターン2300および占有率予測3300を使用して、MLA6200は、除霜サイクルが予測される時間中の予想されるエネルギーおよび温水需要を推定でき、そして例えば熱エネルギー貯蔵器に追加の熱エネルギーを貯蔵し(PCMに潜熱に加えて顕熱としてエネルギーを貯蔵することによって)、予め設定された温度より高い温度に住宅を加熱する等によって、予測された除霜サイクルを見越して水提供システムを準備する6302。
【0081】
追加的または代替的に、MLA6200は、その上エネルギーおよび温水(例えば蛇口、シャワーおよび/またはセントラルヒーティングのため)の需要がいつ低いかを見越し、そして例えば居住者への温水の提供により破壊的でないヒートポンプを除霜するための適切なタイミングを決定してよい。入力を使用して、MLA6200は、水およびエネルギー需要が低く(例えば終夜)かつ/または占有率が低い(例えば授業および労働時間の間)期間を決定し、そして決定した低需要時間および/または低占有率時間に次の除霜サイクルの予想される起動時間を調節できる。MLA6200は、次いで制御モジュールに、調節された起動時間に除霜サイクル6301を始めるためにヒートポンプを動作させるように命令してよい。例えば、MLA6200が、エネルギーおよび温水需要が高いと予想される夕方早くに除霜サイクルが必要とされ得ると予測すれば、MLA6200は、例えば熱エネルギー貯蔵媒体の温度をより高い動作温度に上昇させる他に、予測された除霜サイクルの前に建物を暖めるために熱の一部を転用することによって、より多くの熱を貯蔵するために、ヒートポンプを動作させることによって熱エネルギー貯蔵媒体に事前充填してよく、かつ/またはMLA6200は、除霜サイクル起動時間を、需要がより低いと予想される夕方遅くに調節してよい。別の例では、除霜サイクルが日中に予想される場合、MLA6200は、占有率予測および/または使用パターンに基づいて、次の除霜サイクルが、エネルギーおよび温水需要が低い、例えば占有率が低いまたはゼロであると予想される期間の間であることを決定し、かつ準備または調節が必要とされないことを決定してよい。
【0082】
ヒートポンプに対する次の除霜サイクルを予測し、そして例えばヒートポンプの性能、天気予報、現在の天候条件、現在の室内温度、予想占有率および温水の需要に基づいて、除霜サイクルが始まる前に水提供システムを予測的に準備することによって、本実施形態は、必要なヒートポンプ除霜サイクルが、温水の提供により破壊的でない方式で行われるようにし、それによってヒートポンプが温水を提供する有効な手段として活用されることを可能にする。
【0083】
冷水提案
一実施形態において、居住者の水使用習慣を監視および対話的に変更するために方法およびシステムが提供される。方法は、MLA7200によって実装されてよい。MLA7200はMLA2200および/もしくはMLA3200および/もしくはMLA4200および/もしくはMLA5200および/もしくはMLA6200と同じMLAでよく、またはそれは異なるMLAでよい。訓練フェーズ中、MLA7200には、上記したように、通常の水使用パターンを確立するために、例えば住宅の居住者によって、水使用に関するデータが提供される。加えて、MLA7200は、居住者によって設定される温度T1での温水の提供のために水出口が開かれるが、水がT1に加熱される前に水出口が続いて閉じられる、通常の使用パターンにおける事例を認識または特定するように訓練されてよい。これは、ヒートポンプが温水を提供するために使用されるときに特に重要であるが、ヒートポンプを稼動させることに応じて、熱エネルギー貯蔵媒体によって水を十分に加熱できる前に、ヒートポンプによって抽出されるエネルギーが最初に熱エネルギー貯蔵媒体を所望の動作温度まで加熱しなければならない事例があり得るからである。温水の需要に応答してヒートポンプが稼動されるが、水が所望の温度に加熱される前に水出口が閉じられた場合、居住者が実際には温水を受け取らなかったので、ヒートポンプを動作させるために使用されたエネルギー(電気)は浪費される。上記に鑑みて、MLA7200は、1つのそのような短時間事例が判定されると1つまたは複数のエネルギー削減戦略を利用するように訓練されてよい。
【0084】
図7を参照すると、S7001で、居住者が、水出口において水温をT1に設定して水出口を開く。S7002で、制御モジュールは、例えば、1つまたは複数のセンサを使用して、水提供システムに供給している水源での水圧または水流の変化を検出することによって水出口が開かれると判定し、そして制御モジュールはS7003で、MLA7200を実行して水出口での水温の変化を監視する。続いて、制御モジュールはS7004で、水出口が閉じられると判定し、そしてMLA7200はS7005で、水出口が開かれている期間中に、水温がユーザによって設定されたT1に達したかどうかを判定する。そうであれば、本方法は、更なる作用なしで終わる。
【0085】
水出口が開かれている期間中に水温がT1に達しなかったとS7005で判定されれば、MLA7200は、1つまたは複数のエネルギー削減戦略を利用してよい。一実施形態において、MLA7200は、水出口が閉じられる前に水が予め設定された温度に達しなかったと、S7006で、居住者に通知する通知を生成するソフトウェア機能を開始する。MLA7200は、任意選択でS7007でイベントをログに記録してよい。
【0086】
続く時間に、居住者は、再び同じ水出口において水温をT1に設定して水出口を開いてよい。水出口が開いていると判定する前にまたはそれに応じて、本実施形態において、MLA7200は、この水使用事例を、ユーザが水出口を閉じる前に水温がT1に達しそうにない短時間事例として識別し、次いで水温をより低い温度T2に設定するようまたは温水の代わりに冷水を使用するようユーザに促すプロンプト信号を生成するソフトウェア機能を開始する。プロンプト信号は、例えば水出口のまたはその付近の閃光、所定の音またはトーンの生成、言葉および/または視覚プロンプト(例えばメッセージまたは画像を再生する)等でよい。MLA7200は、確立された使用パターンに基づいてそのような短時間事例を判定し、またはそのような短時間事例を識別するために1つもしくは複数の標識を使用してよい。例えば、MLA7200は、水出口の位置または温水が要求される時間を標識として使用してよい。別の例として、MLA7200は、トイレが流されて次いで再び満たされるときなどの、そのような短時間温水使用事例に先立つ冷水使用事例と手洗いのための続く温水需要との間の相関を前もって決定し、そしてそのような冷水使用を標識として使用してよい。
【0087】
そのため、本実施形態によれば、居住者は、自分が温水を要求するが、水が温度まで加熱されるのに十分長時間にわたって水を使用しなかった事例に気付かされる。その上、ユーザは、短時間になりそうである次の事例で温水の代わりにより低温度または冷水を使用するよう促され、ユーザは、必要でなくてもよいときに水提供システムに温水を要求することによってエネルギーを浪費することを回避する選択肢を有する。本実施形態は、したがって居住者の温水使用習慣の対話的変更がエネルギー使用を削減することを可能にする。
【0088】
図8に図示される別の補足的または代替の実施形態において、居住者は、S8001で再び水温をT1に設定して水出口を開く。水出口が開かれるとS8002で制御モジュールが判定する前にまたはそれに応じて、MLA7200は、この水使用事例を短時間事例として識別し、そして制御モジュールに水出口の温度設定をT1からより低温度T2に変更させることによって追加のまたは代替のエネルギー削減戦略を利用する。温度T2はT1より低温度でよいが、それでも加熱されており、またはT2は本管からの未加熱冷水を表してよい。制御モジュールの制御下で、水提供システムは、S8003で水出口に温度T2で水を出力する。
【0089】
そのため、本実施形態によれば、MLA7200が短時間事例を識別すると制御モジュールは水温を先回りして低下させる。水温を低下させることによって、水を加熱するために必要とされるエネルギーが少なくなる。そうする際に、本実施形態は、温水が必要でないときにエネルギー消費を削減する。
【0090】
図9に図示される更に別の補足的または代替の実施形態において、居住者は、S9001で再び水温をT1に設定して水出口を開く。水出口が開かれるとS9002で制御モジュールが判定する前にまたはそれに応じて、MLA7200は、この水使用事例を短時間事例として識別し、そして制御モジュールに水出口の流量をより低流量に調節させることによって追加のまたは代替のエネルギー削減戦略を利用する。制御モジュールの制御下で、水提供システムは、S9003で水出口により低流量で水を出力する。
【0091】
そのため、本実施形態によれば、MLAが短時間事例を識別すると制御モジュールは水流を先回りして減少させる。本実施形態は、水が例えば電気加熱要素によって加熱されるときに特に重要であり、水流を減少させることによって、加熱される必要がある水が少なくなり、かつ使用されている水量を加熱するために必要とされるエネルギーが少なくなる。そうする際に、本実施形態は、水消費もエネルギー消費も削減する。
【0092】
漏洩警告
図10は、制御モジュール(例えば制御モジュール110)上で実行しているMLA1200がセンサデータの集合を処理して、所与の建物に対する漏洩警告を出力する一実施形態を概略的に図示する。MLA1200はMLA2200および/もしくはMLA3200および/もしくはMLA4200および/もしくはMLA5200および/もしくはMLA6200および/もしくはMLA7200と同じMLAでよく、またはそれは異なるMLAでよい。
【0093】
MLA1200は、住宅の周りに設けられる1つまたは複数のセンサ、1つまたは複数のユーザインタフェース(例えば制御モジュールと通信している住宅の周りの制御パネル、スマートデバイス、パーソナルコンピュータ等)、1つまたは複数のソフトウェアプログラム、1つまたは複数の公的および私的データベース等を含む、複数の入力から、制御モジュールを通じて、住宅に特有の入力データを受信する。本実施形態において、MLA1200は、例えば制御モジュール上で動いている時計およびカレンダ機能からまたは通信ネットワークを通じて遠隔で、現在時刻および日付1101を受信し、次いで確立されたユーティリティ使用パターン2300および占有率予測3300を使用して、MLA1200は、現在時刻および日付に対する予想水使用量を推定できる。加えて、MLA1200は、例えば住宅への本管水入口において適切なセンサによって測定される本管水入口温度1102、本管水の流量1103および本管水の水圧1104の入力を受信し、そしてリアルタイム水使用量を決定する。MLA1200は、次いで予想使用量およびリアルタイム使用量に基づいて、現在の水使用量が予想通りか否かを判定でき、現在の水使用量が予想使用量を超える場合、MLA1200は、漏水警告1300を出力する。MLA1200は、現在の水使用量が予想使用量を超える事例がシステム内の漏水に、または予想外の需要の増加、例えば天気の変化もしくは占有率の上昇に相関するどうかを認識するように前もって訓練できる。一部の実施形態において、MLA1200には、それ以上に予想使用量を超える水使用量のレベルが漏れとみなされる閾値が提供されてよい。MLA1200は、代替的に、訓練フェーズ中にそのような閾値を確立し、または例えばユーザフィードバックに基づいて使用中に閾値を調節してよい。
【0094】
ユーティリティ使用パターンを確立し、そしてそのパターンに対して現在の水使用量を監視することによって、システム内の潜在的な漏水を検出し、そして漏洩がより深刻になる前に補修または是正措置をとるよう居住者に早期警告を与えることが可能である。
【0095】
上記した様々なMLAは、同じまたは異なるMLAを指してよい。複数のMLAが実装される場合、MLAの1つまたは一部または全てが制御モジュール110上で実行されてよく、そしてMLAの1つまたは一部または全てが、適切な通信チャネルを介して制御モジュール110と通信しているサーバ(例えばクラウドサーバ)上で実行されてよい。上記の実施形態が、いかなる組合せでも、並列に、または所望される代替の戦略として実装され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0096】
当業者によって認められるように、本技法は、システム、方法またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本技法は、完全にハードウェア実施形態、完全にソフトウェア実施形態、またはソフトウェアおよびハードウェアを組み合わせた実施形態の形態をとり得る。
【0097】
更には、本技法は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化されるコンピュータ可読媒体に具現化されるコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線もしくは半導体システム、装置もしくはデバイス、または上記の任意の適切な組合せであり得るが、これに限定されない。
【0098】
本技法の動作を実施するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語および従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれ得る。
【0099】
例えば、本技法の動作を実施するためのプログラムコードは、Cなどの従来のプログラミング言語(インタプリタ型もしくはコンパイル型)のソース、オブジェクトもしくは実行可能コード、またはアセンブリコード、ASIC(特定用途向け集積回路)もしくはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を設定もしくは制御するためのコード、またはVerilog(商標)もしくはVHDL(超高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語のためのコードから成り得る。
【0100】
プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的に遠隔コンピュータ上で、または完全に遠隔コンピュータもしくはサーバ上で実行し得る。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、任意の種類のネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続され得る。コード要素は、手順、方法等として具現化され得、そしてネイティブ命令セットの直接機械命令から高レベルコンパイル型またはインタプリタ型言語構成まで、抽象化のレベルのいずれかで命令または命令のシーケンスの形態をとり得る下位要素を含み得る。
【0101】
本技法の好適な実施形態に係る論理的方法の全部または一部がその方法のステップを行う論理素子を備える論理装置に適切に具現化され得ること、およびそのような論理素子が、例えばプログラマブル論理アレイまたは特定用途向け集積回路における論理ゲートなどの要素を備え得ることも当業者に明らかであろう。そのような論理配置は、固定のまたは送信可能な搬送媒体を使用して記憶および送信され得る、例えば仮想ハードウェア記述子言語を使用する配列または回路に論理構造を一時的または永続的に確立するための要素を可能にする際に更に具現化され得る。
【0102】
本明細書に詳述される例および条件付き言語は、読者が本技術の原理を理解するのを補助するものと意図され、その範囲をそのような具体的に詳述された例および条件に限定しないものとされる。本明細書に明示的に記載または図示されないが、にもかかわらず本技術の原理を具現化しかつ添付の特許請求の範囲によって定められるその範囲内に含まれる様々な配置を当業者が考案し得ることが認められるであろう。
【0103】
更には、理解の補助として、上記記載は、本技術の比較的簡略化された実装例を説明し得る。当業者が理解するように、本技術の様々な実装例は一層複雑であり得る。
【0104】
一部の場合には、本技術への変更の有益な例であると考えられることも記載され得る。これは単に理解の補助として行われており、ここでも、本技術の範囲を限定するまたは境界を記載するためではない。これらの変更は網羅的なリストでなく、当業者は、にもかかわらず本技術の範囲内にとどまりつつ他の変更を行い得る。更に、変更の例が記載されていない場合、変更が可能でないと、および/または記載されたことが、本技術のその要素を実装する唯一の仕方であると解釈されるべきでない。
【0105】
その上、本技術の原理、態様および実装例の他に、その具体例を詳述する本明細書における全ての文は、その構造的および機能的均等物を、それらが現在公知であろうと将来開発されようと、両方とも包含すると意図される。したがって、例えば、本明細書におけるいずれのブロック図も本技術の原理を具現化する例示的な回路網の概念図を表すことが当業者によって認められるであろう。同様に、いずれのフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード等も、コンピュータ可読媒体に実質的に表されかつ、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に図示されるか否かに関わらず、コンピュータまたはプロセッサによって実行され得る、様々なプロセスを表すことが認められるであろう。
【0106】
「プロセッサ」と標識されるいずれの機能ブロックも含め、図に図示される様々な要素の機能は、専用ハードウェアの他に、適切なソフトウェアと関連付けてソフトウェアを実行することが可能なハードウェアの使用を通じて提供され得る。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供され得る。その上、用語「プロセッサ」または「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアを排他的に指すものと解釈されるべきでなく、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するためのリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および不揮発性ストレージを黙示的に含み得る。他のハードウェアも、従来品および/またはカスタム品等、含まれ得る。
【0107】
ソフトウェアモジュール、またはソフトウェアであることが意味される単なるモジュールは、本明細書において、フローチャート要素または、プロセスステップの性能および/もしくは本文説明を示す他の要素の任意の組合せとして表され得る。そのようなモジュールは、明示的または黙示的に図示されるハードウェアによって実行され得る。
【0108】
上記の例証的な実施形態に本技法の範囲から逸脱することなく多くの改良および変更を行うことができることが当業者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0109】
100 水提供システム
110 制御モジュール
120 機械学習アルゴリズム(MLA)
130 流量制御
140 ヒートポンプ
150 熱エネルギー貯蔵器
160 電気加熱要素
170-1~170-n センサ
1101 現在時刻および日付
1102 本管水入口温度
1103 本管水の流量
1104 本管水の水圧
1200 MLA
1300 漏水警告
2101 時刻
2102 日付および曜日
2103 占有率
2104 現在の天気
2105 室内温度
2106 本管水入口温度
2107 本管流量
2108 本管流圧
2109 熱/冷水使用時間
2110 熱/冷水使用体積
2111 エネルギー使用
2112 ヒートポンプ使用
2200 MLA
2300 使用パターン
3101 時刻
3102 日付
3103 曜日
3104 イベントまたは公休日
3105 現在位置
3106 予想到着時間
3200 MLA
3300 占有率予測
4101 現在時刻および日付
4102 現在の料金
4200 MLA
4300 熱貯蔵器に事前充填する
5101 冷水起動
5102 現在の料金
5200 MLA
5300 ヒートポンプを稼動させる
6101 天気予報
6102 天候条件
6103 室内温度
6104 最後の除霜サイクルに関するデータ
6200 MLA
6301 除霜サイクル
6302 水提供システムを準備する
7200 MLA
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10