IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特許7583190LEDモジュールのための二部品ヒートシンク
<>
  • 特許-LEDモジュールのための二部品ヒートシンク 図1
  • 特許-LEDモジュールのための二部品ヒートシンク 図2
  • 特許-LEDモジュールのための二部品ヒートシンク 図3
  • 特許-LEDモジュールのための二部品ヒートシンク 図4
  • 特許-LEDモジュールのための二部品ヒートシンク 図5
  • 特許-LEDモジュールのための二部品ヒートシンク 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】LEDモジュールのための二部品ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G09F9/00 304B
G09F9/00 337A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023568298
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022028116
(87)【国際公開番号】W WO2022236084
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】63/185,767
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】デ クライエ,ダニー バスティアン ヨハネス
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/129625(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0368707(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03734146(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03771861(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/179465(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00-99/00
G02F 1/1333
G02F 1/13357
G09F 9/00-9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学キャリア部を含む、
デバイスであって、
前記光学キャリア部は、
金属プレートと、
前記金属プレート上の電気絶縁層と、
LEDに電力を提供するように構成される、前記電気絶縁層上の電気トレースと、
前記LEDを受けるように構成されたLED取付エリアと、
前記金属プレートから突出し、光学コンポーネントとの整列のために構成される、整列構成と、
動作中に前記LEDを含むLEDモジュールの熱管理を完了するためのヒートシンクバルク部との機械的および熱的結合のために構成される少なくとも1つの機械的コネクタとを含み、
前記ヒートシンクバルク部は、前記LEDモジュールを照明器具のレセプタクルに取り付けるために構成される取付構成をさらに含む
デバイス。
【請求項2】
前記光学キャリア部は、PCBに取り付けられ、外部プラグを受けるように構成される、電気コネクタをさらに含み、前記電気トレースは、前記LEDを前記電気コネクタに電気的に結合する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記光学キャリア部は、プレート状である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記LED取付エリアに取り付けられるLEDをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ヒートシンクバルク部をさらに含み、前記ヒートシンクバルク部は、前記光学キャリア部とは別個であり、前記光学キャリア部および前記ヒートシンクバルク部が共同して、動作中に前記LEDと前記ヒートシンクバルク部とを含むLEDモジュールの熱管理を行うように構成されるように、前記光学キャリア部に接合される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ヒートシンクバルク部は、前記光学キャリア部への前記ヒートシンクバルク部のネジ締め、リベット締め、圧接、接着、又はオーバーモールドのうちの1つ以上によって、前記光学キャリア部に接合される、請求項5に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2021年5月7日に出願された米国仮特許出願第63/185,767号の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、エネルギ効率および寿命のような優れた技術的特性の故に、より古い技術光源にますます置き換わっている。これは、例えば、車両ヘッドライト照明のような、輝度(luminance)、明度(luminosity)、および/またはビーム整形に関して、要求の厳しい用途にも当て嵌まる。
【発明の概要】
【0003】
方法およびデバイスが記載される。デバイスは、光学キャリア部と、ヒートシンクバルク部とを含む。光学キャリア部は、LEDを受け入れるように構成されたLED取付エリアと、光学コンポーネントとの整列のために構成された整列構成とを有する。ヒートシンクバルク部は、光学キャリア部から分離され、光学キャリア部およびヒートシンクバルク部が共同して動作中にLEDおよびヒートシンクバルク部を含むLEDモジュールの熱管理を行うように構成されるように、光学キャリア部に結合される。
【0004】
添付の図面と共に一例として与えられる以下の記述からより詳細な理解を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】例示的なLEDモジュールの斜視図である。
【0006】
図2】例示的な二部品ヒートシンクの斜視図である。
【0007】
図3】PCBがその上に取り付けられた図2の光学的整列部と、LED取付エリアに取り付けられ且つリボンボンドによってPCBに電気的に接続されたLEDとを含む、LEDモジュールの斜視図である。
【0008】
図4】二部品ヒートシンクを製造する例示的な方法のフロー図である。
【0009】
図5】例示的な車両ヘッドランプシステムの図である。
【0010】
図6】別の例示的な車両ヘッドランプシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
異なる光照明システムおよび/または発光ダイオード(LED)の例が、添付の図面を参照して以下により完全に記載される。これらの例は、相互に排他的ではなく、一例において見出される構成は、追加の実装を達成するために、1つ以上の他の例において見出される構成と組み合わされてよい。従って、添付の図面に示される例は、例示的な目的のためにのみ提供されており、それらは、本開示を如何様にも限定することを意図しないことが理解されるであろう。同様な参照符号は、全体を通して同様な要素を指す。
【0012】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を用いて様々な要素を記載することがあるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用されることがある。例えば、第1の要素が第2の要素と呼ばれることがあり、本発明の範囲から逸脱することなく、第2の要素が第1の要素と呼ばれることがある。本明細書において使用されるとき、「および/または」という用語は、関連する列挙される品目の1つ以上の品目のありとあらゆる組み合わせを含むことがある。
【0013】
層、領域、または基板のような要素が別の要素の「上に」にあるか或いは「上に」延在していると言われるとき、それは他の要素の上に直接あるか或いは直接延在してることがあり、或いは介在要素が存在することもあることが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」あるか或いは「直接延在」していると言われるとき、介在要素が存在しないことがある。ある要素が別の要素に「接続されている」或いは「結合されている」と言われるとき、それは他の要素に直接接続されるか或いは結合されることがあり、且つ/或いは1つ以上の介在要素を介して他の要素に接続されるか或いは結合されることがあることも理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続されている」或いは「直接結合されている」と言われるとき、その要素と他の要素との間に介在要素は存在しない。これらの用語は、図に示される任意の向きに加えて、要素の異なる向きを包含することが意図されることが理解されるであろう。
【0014】
「下(below)」、「上(above)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「水平(horizontal)」または「垂直(vertical)」のような相対的な用語は、図に図示されるような、別の要素、層または領域に対するある要素、層または領域の関係を記載するために本明細書において使用されることがある。これらの用語は、図に示される向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含することが意図されることが理解されるであろう。
【0015】
それらのエネルギ効率にもかかわらず、特定の高出力LEDのようなLEDは、LED接合温度を低く維持するために、LEDをヒートシンクに接続することによるような冷却を必要とすることがある、かなりの熱を依然として発生することがある。ヒートシンクLEDについてのそのような必要性は、多くの他の高電力半導体コンポーネントと共有される。実施形態は、LEDに関して本明細書に記載されるが、本明細書において、LEDという用語は、例えば、ダイオードレーザを含む、ありとあらゆる適切な半導体発光デバイスを指すために使用されることができる。
【0016】
LEDモジュールのためのヒートシンクは、典型的には、いくつかの機能を満たすことがあり、様々な制約に適合することが要求されることもある。第1に、もちろん、ヒートシンクは、動作時にLEDモジュールの熱管理を提供しなければならない。換言すれば、ヒートシンクは、LEDを作動させることによって生成される熱を、LEDが取り付けられるヒートシンクの部分(本明細書ではLED取付エリアとも呼ぶ)から、熱が最終的にヒートシンクの環境に伝達されることがあるヒートシンクの他の部分へ拡散させなければならない。
【0017】
そのような熱拡散は、ヒートシンクが、銅、銅合金、アルミニウムもしくはアルミニウム合金を押し出すことによって製造されるような、高密度アルミニウム、またはアルミニウム合金のような、LED取付エリアおよび/またはその付近で高い熱伝導率を有する材料で作られることを必要とすることがある。LED取付エリアから更に遠く離れたヒートシンクの部分は、例えば、材料コストを節約し且つ/或いはより柔軟な製造方法を可能にするために、より低い熱伝導率の材料で作られることがある。よって、ダイカストによって作られるようなより密度の低いアルミニウムまたはアルミニウム合金が使用されることがあり、それは押出によって達成可能であるよりも豊富な三次元形状が製造されることを可能にすることがある。そのような二部品(two-part)ヒートシンクの例は、特許文献1および特許文献2において提供されており、それらの両方が参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
環境への熱伝達は、熱伝導、(例えば、ファンを使用する強制対流によって増強されることがある)対流、および放射熱伝達によって行われることがある。全てのこれらのプロセスは、ヒートシンクの表面積の大きさに強く依存する。よって、高ルーメンLEDモジュール用のヒートシンクは、非常に嵩張ることがあり、LEDモジュールによって占有される空間をかなりの程度まで極めて良く決定することがある。LEDモジュールが照明器具の限られた設置スペースに適合させるために、しばしば、ヒートシンクは、特定の照明器具に合わせてカスタム製造される必要がある。これは大きなルーメンパッケージを必要とする車両ヘッドライト用のLEDモジュールに特に当て嵌まることがある。
【0019】
車両ヘッドライト並びにビーム整形を必要とする他の用途のために、LEDモジュールのLEDは、動作中のLEDによって放射される光を処理する光学コンポーネントに整列(位置合わせ)される必要があることがある。そのような用途において、LEDによって放射される光を直接受け取る第1の光学コンポーネント(例えば、LEDに近い反射器)への整列(アライメント)は、例えば、所望のビームプロファイルの外側のグレアを回避するために、特に感度が高い。従って、LEDモジュールは、そのような第1の光学コンポーネントのための整列構成を含むことがあり、そのような整列構成およびそのような整列構成に対するLEDの配置は、高精度で実行されなければならない。
【0020】
LEDモジュール用のヒートシンクの嵩張り(バルキネス)は、それらを限定された設置スペース内に適合させる要件と共に、各照明器具タイプに特有な多数の複雑な三次元ヒートシンク形状をもたらすことがある。各々のそのような形状に必要とされる限定的な数のヒートシンクは、大量生産を妨げることがあり、よって、製造コストを増加させる。加えて、複雑な3D形状は、標準的な半導体産業機械類によって処理され得ないことがある。換言すれば、LEDは、そのような複雑な3Dオブジェクト上に、標準的なSMDピックアンドプレースロボットによって配置されないことがあり、それは製造コストをさらに増大させることがある。これはLEDモジュールの光学的整列構成および整列構成に対するLEDの配置が(例えば、複雑な3Dオブジェクト上で)高精度で実行されなければならないからであることがある。さらに、嵩張った(バルクな)ヒートシンクを有するLEDモジュールは、比較的大きな容積を占めることがあり、比較的重いことがあり、よって、輸送コストを増大させる。
【0021】
図1は、例示的なLEDモジュール200の斜視図である。(a)で印された図面の上部には、前方ウイング11、側方ウイング12、後方ウイング13、整列(アライメント)構成15、16、固定構成17、および取付構成19を持つ、ヒートシンク1の複雑な形状が示されている。(概略的にのみ示されている)LEDブロック20は、ヒートシンク1上に取り付けられ、プリント回路基板(PCB)30に電気的に接続されることがあり、プリント回路基板30は、それ自体、固定構成17(例えば、リベット)によってヒートシンク1に取り付けられることがある。PCB30は、(概略的にのみ示されている)電気コネクタ40を支持することがある。ヒートシンク1の取付構成19は、切欠き(cutouts)として示されており、照明器具のレセプタクル内にヒートシンクを接続するために或いはさらなるコンポーネントをヒートシンクに取り付けるために使用されることがある。ヒートシンク1およびPCB30の貫通穴18は、反射器のような光学コンポーネント50を、例えば、貫通穴18を貫通するネジまたはリベットによって、ヒートシンク1に固定するのに役立つことがある。反射器は、ヒートシンク1の整列構成15、16に触れることによって整列されることがある。
【0022】
図1の下部(b)は、反射器50の切出し51(carve-outs)が、そのような平面内での整列のためにヒートシンク1の整列構成15(例えば、ヒートシンクの平面またはPCB30の平面から垂直に突出する円筒状ピン)をどのように囲むことがあるかを示す。このような平面に対して横方向に、整列は、(下部(b)では見えない)ヒートシンクの平面から僅かに上昇した平面的なストライプのような、ヒートシンク1の整列構成16に触れる反射器50によって行われることがある。反射器50が約90°回転したビューにおいて付加された、上部(a)のLEDモジュール200下部(b)は、LEDモジュール200の環境およびLEDブロック10の環境への電気的接続のための電気コネクタ40のより詳細を示しており、LED21は、リボンボンド22によってPCB30に電気的に接続されている。
【0023】
図1のヒートシンク1は、上記で議論した問題を有することがある。そのウイング(翼)11、12、13は、ヒートシンクに、複雑で嵩張った重い3D形状を与えることがある。整列構成15、16は、高精度で作られなければならず、LED21は、そのような整列構成15、16に対して高精度で配置される必要があることがある。ヒートシンク1は、その優れたウイング11~13を有し、平面的な形状を有さないことがあり、よって、(例えば、PCB上で使用可能であるような)LED配置のための標準的な半導体ピックアンドプレースプロセスと適合しないことがある。ヒートシンク1は、多くの照明器具に適合することがあるが、他のものは、ウイング11、12、特に後方ウイング13のヒートシンク平面に対する異なる延長部または角度のような、ヒートシンク1に対する修正を必要とすることがある。これは、そのようなヒートシンクの大量生産によるスケールメリット(規模の経済)を損なうことがある。
【0024】
本明細書に記載される実施形態は、ヒートシンクを2つの部品に分割して、どのコンポーネントが2つの部品の各々に位置するかを製造において必要とされる精度の程度に基づいて選択することを提供することがある。従って、本明細書に記載される実施形態では、高い精度の部品と、より低い精度の部品とを含む、二部品ヒートシンク(two-par heatsink)が提供されることがある。これは、ヒートシンクの部分が高精度で製造されることを可能にする一方で、製造プロセスの複雑さを低減させ、それによって、ヒートシンクの製造に伴う時間および費用を低減させることによって、精密さをそれほど必要としない部品の製造をより効率的にすることがある。
【0025】
図2は、例示的な二部品ヒートシンク1の斜視図である。図2に示す例において、二部品ヒートシンク1は、光学キャリア部101(optical carrier part)と、ヒートシンクバルク部102(heatsink bulk part)とを含む。光学キャリア部101は、少なくとも、LED取付エリア14と、LED取付エリア14に配置されるLEDによって放射される光を処理する光学コンポーネントのための整列構成15、16とを含むことがある、高精度の光学キャリア部であることがある。そのような整列構成15、16を製造し、そのような整列構成15、16に対してLED取付エリアにLEDを取り付けることは、高精度で行われなければならない。しかしながら、光学キャリア部101の他の部分は、それほどの精度を必要としないことがあるが、依然として光学キャリア部101上に提供されることがある。図2の実施形態では、例えば、ヒートシンクバルク部102のPCB固定構成17に対応する貫通穴17’並びにヒートシンクバルク部およびPCB内のそれぞれの貫通穴に対応する貫通穴18が、(例えば、ヒートシンクの2つの部品を互いに結合するために)必要とされるか或いは望ましいことがあるが、それらは、製造上如何なる特別な精度も必要としないことがある。
【0026】
ヒートシンクバルク部102は、より精度の低いヒートシンクバルク部であってよい。バルクヒートシンク部102は、製造において低い精度のみを必要とすることがある。何故ならば、バルクヒートシンク部102は、如何なる光学的に関連する部品も担持しないことがあるからである。換言すれば、LEDまたは複数のLEDおよび光学コンポーネントは、全て、光学キャリア部101に取り付けられることがある。バルクヒートシンク部102は、図2において、ヒートシンクウイング11~13、PCB固定構成17、(反射器固定のための)貫通穴18、およびヒートシンク取付構成19のような、低い精度を必要とする構成のみを担持することがある。
【0027】
光学キャリア部101に対する熱要件自体は、特に要求が厳しくないことがある。何故ならば、少なくとも、光学キャリア部101およびヒートシンクバルク部102は、LED取付エリア14に取り付けられたLEDが動作可能となる前に互いに接合されないことがあり、従って、2つのヒートシンク部101および102は、共同して、LEDのための必要な熱放散を提供することがあるからである。典型的には、光学キャリア部101とヒートシンクバルク部102との間の接続は、低い熱抵抗を有するべきであり、LEDのための十分な熱拡散機能を提供するために、光学キャリア部101のために高い熱伝導率の材料を選択することが有利であることがある。そのような接続は、ネジ締め、リベット締め、圧接(クリンピング)、または任意の他の機械的固定によって行われてよく、その場合には、熱グリースが、さもなければヒートシンク部品間の接触面積を制限する不完全に滑らかな表面の場合に熱抵抗を低下させるための、インターフェース材料として添加されることがある。しかしながら、接合は、接着によって行われてもよく、或いは、ヒートシンクバルク部102は、光学キャリア部101の部分にオーバーモールドされてよい。そのようなオーバーモールドについての詳細は、参照により本明細書に組み込まれている特許文献2に記載されている。
【0028】
実施形態において、光学キャリア部101は、図2の例に示すように、プレート状(板状)の形状を有してよい。そのような平面的なベース形状を使用することは、一方では、例えば、プレートからの高さ(elevations)として整列構成15、16を成形することによって、製造を容易にすることがあり、それは、例えば、平面的なベース形状としてシート金属から開始した後に打ち抜き加工または深絞り加工によって行われることがある。そのような平面的なベース形状は、他方では、標準的なSMD配置技術(例えば、正確なLED配置対整列構成15、16のための整列構成15、16上の基準マーキングおよびピックアンドプレース機械)を使用することも可能にする。
【0029】
上述のような熱的理由により、光学整列部101は、主に、金属、特に、銅または押出アルミニウムのような、良好な熱伝導性の材料から成ってよい。熱管理は、ヒートシンク1の環境への放射熱伝達を改良するために高放射率を有する光学整列部101のコア材料に(ヒートシンクバルク部102のコア材料にも)表面層を適用することによって、さらに改良されることがある。そのような表面層を適用するための潜在的な技術は、例えば、アルミニウム製のヒートシンクを陽極酸化することを含む。そのような陽極酸化層は、電気的に絶縁性であってよく、それは陽極酸化層上に導電性トレースを直ちに配置することを可能にする。これは、完全な電気回路パターンが陽極酸化層上に適用される場合に、PCBを不必要にすることさえある。陽極酸化層の代わりに、コーティング技術によって塗布される任意の電気的絶縁層が使用されてよい。しかしながら、そのような回路構成は、光学キャリア部101上に取り付けられたPCB上に配置されてよく、その場合、そのPCBは、図1におけるように、外部電源用の電気コネクタを担持することがある。
【0030】
図3は、PCB30がその上に取り付けられた図2の光学的整列部101と、LED取付エリア14内に取り付けられ且つリボンボンド22によってPCB30に電気的に接続されたLED21とを含む、LEDモジュール200の斜視図である。図3では、参照符号17’および18が、貫通穴について維持されており、貫通穴は、図3において、光学キャリア部101およびPCB30の両方を通過するだけではない。
【0031】
本明細書に記載されているように、ヒートシンクを高い精度の部品と低い精度の部品とに分割することは、ビルディングブロックシステムに関してさらなる利点を提供することがある。例えば、光学キャリア部は、例えば、車両ヘッドライトのような、照明器具の光学セットアップに主として依存することがあるが、バルクヒートシンク部を占有するより大きな容積は、例えば、車両本体設計の考慮から決定されるような、照明器具のハウジング形状に主として依存することがある。よって、市場において使用される様々な光学システムに従って、例えば、反射および投影車両ヘッドライトの様々な反射器およびレンズ設計に従って、異なる光学キャリア部の集まりを設計すること、および、市場における様々な照明器具ハウジング形状に従って、例えば、様々な車体形状に従って、異なるヒートシンクバルク部の集まりを設計することが有利なことがある。これらの設計手順は、ある程度または大部分において、互いに独立していることがある。多数の可能な組み合わせによって、光学的整列部の集まりの代表をヒートシンクバルク部の集まりの代表と組み合わせることは、2つの集まり内に単一のヒートシンク部が存在するよりも、本開示に従った適切なヒートシンクを有する照明器具のより大きなセットを備えることを可能にする。各照明器具タイプのための単一部品のヒートシンクのカスタマイズされた設計と比較すると、これは、設計時間を節約することのみならず、大量生産技術の利益を得ることを可能にすることにおいても、かなりのコスト上の利点をもたらすことがある。加えて、出荷コストのような物流における節約が、様々な部品の製造現場をそれらの最終組立現場に近く有することによって実現可能であることがある。しかしながら、比較的小さく軽量の光学整列部の製造を少数の工場のみに集約することは有用であると判明することがある。換言すれば、そのような小さく軽量の部品の輸送として比較的大きな輸送距離を受け入れることは、安価であることがあり、大量生産におけるスケールメリットに起因するコスト節約が優勢であることがある。他方、最終アセンブリ現場に近い大きく重量のヒートシンクバルク部を製造すること(例えば、現地製造)は、製造コストに対する輸送コストのトレードオフを可能にする。
【0032】
図4は、二部品ヒートシンクを製造する例示的な方法400のフロー図である。図4に示す例において、本方法は、光学キャリアヒートシンク部を提供することを含む(402)。光学キャリアヒートシンク部は、LED取付エリアと、光学コンポーネントと整列するために構成される整列構成とを含んでよい。光学キャリア部から分離されたヒートシンクバルク部も提供されてよい(404)。光学キャリアヒートシンク部およびヒートシンクバルク部は、機械的および熱的に接合されてよい(406)。光学キャリアヒートシンク部およびヒートシンクバルク部は、動作中にLEDおよびヒートシンクバルク部を含むLEDモジュールの熱管理を行うように構成されてよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、光学キャリアヒートシンク部およびヒートシンクバルク部は、ヒートシンクバルク部を光学キャリア部にネジ締め、リベット締め、圧接(クリンピング)、接着、またはオーバーモールドすることのうちの1つ以上によって機械的および熱的に接合されてよい。いくつかの実施形態において、光学キャリアヒートシンク部は、異なる光学キャリアヒートシンク部の集まりから選択されてよい。いくつかの実施形態において、ヒートシンクバルク部は、異なるヒートシンクバルク部の集まりから選択されてよい。
【0034】
図5は、本明細書に記載される実施形態および例のうちの1つ以上を組み込むことがある例示的な車両ヘッドランプシステム500の図である。図5に示す例示的な車両ヘッドランプシステム500は、電力線502と、データバス504と、入力フィルタおよび保護モジュール506と、バストランシーバ508と、センサモジュール510と、LED直流/直流(DC/DC)モジュール512と、論理低ドロップアウト(LDO)モジュール514と、マイクロコントローラ516と、アクティブヘッドランプ518とを含む。
【0035】
電力線502は、車両から電力を受け取る入力を有してよく、データバス504は、車両と車両ヘッドランプシステム500との間でデータを交換することがある入力/出力を有してよい。例えば、車両ヘッドランプシステム500は、ターンシグナリングをオンにする命令またはヘッドランプをオンにする命令のような車両内の他の場所からの命令を受け取ってよく、所望であれば車両内の他の場所にフィードバックを送ってよい。センサモジュール510は、データバス504に通信的に結合されてよく、例えば、環境条件(例えば、時刻、雨、霧、または周囲光レベル)、車両状態(例えば、駐車中、動作中、動作速度、または動作方向)、および他の物体(例えば、車両または歩行者)の存在/位置に関連する追加のデータを、車両ヘッドライトシステム500または車両内の他の場所に提供してよい。車両データバスに通信的に結合される任意の車両コントローラから分離されたヘッドランプコントローラも、車両ヘッドランプシステム500に含められてよい。図5において、ヘッドランプコントローラは、マイクロコントローラ(μc)516のようなマイクロコントローラであってよい。マイクロコントローラ516は、データバス504に通信的に結合されてよい。
【0036】
入力フィルタおよび保護モジュール706は、電力線502に電気的に結合されてよく、例えば、伝導された放出を低減し且つ電力耐性を提供するための様々なフィルタを支持してよい。加えて、入力フィルタおよび保護モジュール506は、静電放電(ESD)保護、ロードダンプ保護、交流発電機電界減衰保護、および/または逆極性保護を提供してよい。
【0037】
LED DC/DCモジュール512は、入力フィルタおよび保護モジュール106とアクティブヘッドランプ518との間に結合されて、フィルタリングされた電力を受け取って駆動電流を供給して、アクティブヘッドランプ518内のLEDアレイ内のLEDに電力を供給してよい。LED DC/DCモジュール512は、約13.2ボルトの公称電圧を有する7~18ボルトの間の入力電圧と、(例えば、負荷、温度、または他の要因に起因する局所較正および動作条件調整または要因によって決定される)LEDアレイのための最大電圧よりも僅かに(例えば、0.3ボルト)高いことがある出力電圧とを有してよい。
【0038】
論理LDOモジュール514は、入力フィルタおよび保護モジュール506に結合されて、フィルタリングされた電力を受け取ってよい。論理LDOモジュール514は、マイクロコントローラ516およびアクティブヘッドランプ518に結合されて、CMOSロジックのような、アクティブヘッドランプ518内のマイクロコントローラ516および/または電子機器に電力を提供してもよい。
【0039】
バストランシーバ508は、例えば、ユニバーサル非同期受信機送信機(UART)またはシリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースを有してよく、マイクロコントローラ516に結合されてよい。マイクロコントローラ516は、センサモジュール710からのデータに基づく或いはセンサモジュール710からのデータを含む車両入力を変換してよい。変換された車両入力は、アクティブヘッドランプ518内の画像バッファに転送可能なビデオ信号を含んでよい。加えて、マイクロコントローラ516は、デフォルトの画像フレームをロードし、始動中にオープン/ショートピクセルをテストしてよい。実施形態では、SPIインターフェースは、CMOS内の画像バッファをロードしてよい。画像フレームは、フルフレーム、差分フレームまたは部分フレームであってよい。マイクロコントローラ516の他の構成は、ダイ温度、並びに論理LDO出力を含む、CMOS状態の制御インターフェースモニタリングを含んでよい。実施形態において、LED DC/DC出力は、ヘッドルームを最小化するように動的に制御されてよい。画像フレームデータを提供することに加えて、サイドマーカまたはターンシグナルライトと一緒の補完的使用および/または日中走行灯の起動(アクティブ化)のような他のヘッドランプ機能も制御されてよい。
【0040】
図6は、別の例示的な車両ヘッドランプシステム600の図である。図6に示す例示的な車両ヘッドランプシステム600は、アプリケーションプラットフォーム602と、2つのLED照明システム606および608と、二次光学系610および612とを含む。
【0041】
LED照明システム608は、(図6の矢印614aと矢印614bとの間に示される)光ビーム614を放射することがある。LED照明システム606は、(図6の矢印616aと矢印616bとの間に示される)光ビーム616を砲車してよい。図6に示す実施形態では、二次光学系610が、LED照明システム608に隣接しており、LED照明システム608から放射される光は、二次光学系610を通過する。同様に、二次光学系612が、LED照明システム606に隣接しており、LED照明システム606から放射される光は、二次光学系612を通過する。代替の実施形態では、二次光学系610/612が車両ヘッドランプシステムに提供されない。
【0042】
含められる場合、二次光学系610/612は、1つ以上の光ガイドであってよく、或いは1つ以上の光ガイドを含んでよい。1つ以上の光ガイドは、エッジ照明されてよく、或いは光ガイドの内部エッジを画定する内部開口を有してよい。LED照明システム608および606は、それらが1つ以上の光ガイドの内部エッジ(内部開口光ガイド)または外部エッジ(エッジ照明される光ガイド)に光を注入するように、1つ以上の光ガイドの内部開口に挿入されてよい。実施形態において、1つ以上の光ガイドは、例えば、勾配、面取り分布、狭い分布、広い分布、または角度分布を伴うような所望の方法において、LED照明システム608および606によって放射される光を成形することがある。
【0043】
アプリケーションプラットフォーム602は、図5のデータバス504および電力線502の1つ以上または部分を含むことがある線604を介して、LED照明システム606および/または608に電力および/またはデータを提供してよい。(車両ヘッドランプシステム600内のセンサまたは他の追加的なセンサであってよい)1つ以上のセンサが、アプリケーションプラットフォーム602のハウジングの内部または外部にあってよい。代替的にまたは追加的に、図5の例示的な車両ヘッドランプシステム500に示されるように、各LED照明システム608および606は、それ自体のセンサモジュール、接続性および制御モジュール、電力モジュール、および/またはLEDアレイを含んでよい。
【0044】
実施形態において、車両ヘッドランプシステム600は、操作可能な光ビームを有する自動車を表すことがあり、LEDは、操縦可能な光ビームを提供するように選択的に起動(アクティブ化)されることがある。例えば、LEDまたはエミッタのアレイを使用して、形状またはパターンを画定または投影し、或いは道路の選択された区画のみを照明してよい。例示的な実施形態では、LED照明システム606および608内の赤外線カメラまたは検出器ピクセルが、照明を必要とするシーンの部分(例えば、道路または歩行者横断)を識別する(例えば、図5のセンサモジュール510内のセンサに類似する)センサであってよい。
【0045】
実施形態を詳細に説明したが、当業者は、本発明の概念の精神から逸脱することなく、本記述を所与として、本明細書に記載した実施形態に修正が行われてよいことを理解するであろう。従って、本発明の範囲は、図示および記載された特定の実施形態に限定されることを意図しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【文献】米国特許第8,476,645 B2号明細書
【文献】米国特許第10,914,539 B2号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6