(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241106BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2024005564
(22)【出願日】2024-01-17
【審査請求日】2024-01-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-137706(JP,A)
【文献】特開2003-345888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間の行動と、の関連性を示す関係情報を取得する関係情報取得部と、
ユーザが行った行動を示す行動データを取得する行動データ取得部と、
前記複数の組織それぞれに対して、前記行動データが示す一又は複数の行動のうち前記関係情報において当該組織と所定の関連性がある行動の量である行動量に対して前記行動又は前記行動の種類ごとに予め定められた係数を乗算することによって重み付けし、重み付けされた前記行動量を集計する集計部と、
前記複数の組織のうち、
前記集計部が集計した前記行動量が所定の条件を満たす組織を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した組織を示す組織情報を、前記ユーザが利用する情報端末に送信する送信部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間の行動と、の関連性を示す関係情報を取得する関係情報取得部と、
ユーザが行った行動を示す行動データを取得する行動データ取得部と、
前記複数の組織のうち、前記関係情報において前記行動データが示す行動と所定の関連性がある組織を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した組織を示す組織情報を、前記ユーザが利用する情報端末に送信する送信部と、
を有し、
前記複数の組織それぞれは、分散型自立組織(Decentralized Autonomous Organization)であり、
前記複数の組織それぞれに参加する複数の人間は、当該組織の意思決定に対する投票の権利を示すガバナンストークンをブロックチェーン上で保有する、
情報処理装置。
【請求項3】
前記行動データ取得部は、前記複数の組織のうち前記ユーザが参加している第1組織に対する前記ユーザの行動を示す前記行動データを取得し、
前記抽出部は、前記複数の組織のうち前記第1組織とは異なる第2組織を抽出する、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記関係情報は、前記複数の組織それぞれの種類と、当該組織に参加する複数の人間が行う行動の種類と、の関連の有無を示す情報であり、
前記抽出部は、前記複数の組織のうち、前記行動データが示す行動の種類と関連があることを前記関係情報が示す種類の組織を抽出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記関係情報は、前記複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間が行う行動と、の関連の有無を示す情報であり、
前記抽出部は、前記複数の組織のうち、前記行動データが示す行動と関連があることを前記関係情報が示す組織を抽出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記抽出部は、前記行動データが示す複数の行動と前記関連性がある組織を抽出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の組織それぞれに対して、前記行動データが示す一又は複数の行動のうち前記関係情報において当該組織と前記関連性がある行動の量である行動量を集計する集計部をさらに有し、
前記抽出部は、前記複数の組織のうち、前記集計部が集計した前記行動量が所定の条件を満たす組織を抽出する、
請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記集計部は、前記行動又は前記行動の種類ごとに予め定められた係数を前記行動量に乗算することによって前記行動量を重み付けし、重み付けされた前記行動量を集計する、
請求項
7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記関係情報は、前記複数の組織それぞれと、当該組織に参加する人間に当該組織の前記ガバナンストークンを付与するための行動と、の間に関連があることを示す、
請求項
2又は7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
プロセッサが実行する、
複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間の行動と、の関連性を示す関係情報を取得するステップと、
ユーザが行った行動を示す行動データを取得するステップと、
前記複数の組織それぞれに対して、前記行動データが示す一又は複数の行動のうち前記関係情報において当該組織と所定の関連性がある行動の量である行動量に対して前記行動又は前記行動の種類ごとに予め定められた係数を乗算することによって重み付けし、重み付けされた前記行動量を集計するステップと、
前記複数の組織のうち、
前記集計するステップにおいて集計した前記行動量が所定の条件を満たす組織を抽出するステップと、
前記抽出するステップにおいて抽出した組織を示す組織情報を、前記ユーザが利用する情報端末に送信するステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項11】
プロセッサに、
複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間の行動と、の関連性を示す関係情報を取得するステップと、
ユーザが行った行動を示す行動データを取得するステップと、
前記複数の組織それぞれに対して、前記行動データが示す一又は複数の行動のうち前記関係情報において当該組織と所定の関連性がある行動の量である行動量に対して前記行動又は前記行動の種類ごとに予め定められた係数を乗算することによって重み付けし、重み付けされた前記行動量を集計するステップと、
前記複数の組織のうち、
前記集計するステップにおいて集計した前記行動量が所定の条件を満たす組織を抽出するステップと、
前記抽出するステップにおいて抽出した組織を示す組織情報を、前記ユーザが利用する情報端末に送信するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが参加する組織に関する情報を処理する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザはゲームに参加するプレイヤの集団等の組織に所属しており、ガバナンストークンの所有量に応じて組織における投票イベント等で投票を行うことを可能にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、複数の組織の中から任意の組織に参加することができる。しかし、ユーザが参加可能な多数の組織が存在すると、ユーザはユーザ自身に適した組織を探すために大きな手間が掛かっていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザがユーザ自身に適した組織を探すための手間を削減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間の行動と、の関連性を示す関係情報を取得する関係情報取得部と、ユーザが行った行動を示す行動データを取得する行動データ取得部と、前記複数の組織のうち、前記関係情報において前記行動データが示す行動と所定の関連性がある組織を抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出した組織を示す組織情報を、前記ユーザが利用する情報端末に送信する送信部と、を有する。
【0007】
前記行動データ取得部は、前記複数の組織のうち前記ユーザが参加している第1組織に対する前記ユーザの行動を示す前記行動データを取得し、前記抽出部は、前記複数の組織のうち前記第1組織とは異なる第2組織を抽出してもよい。
【0008】
前記関係情報は、前記複数の組織それぞれの種類と、当該組織に参加する複数の人間が行う行動の種類と、の関連の有無を示す情報であり、前記抽出部は、前記複数の組織のうち、前記行動データが示す行動の種類と関連があることを前記関係情報が示す種類の組織を抽出してもよい。
【0009】
前記関係情報は、前記複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間が行う行動と、の関連の有無を示す情報であり、前記抽出部は、前記複数の組織のうち、前記行動データが示す行動と関連があることを前記関係情報が示す組織を抽出してもよい。
【0010】
前記抽出部は、前記行動データが示す複数の行動と前記関連性がある組織を抽出してもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記複数の組織それぞれに対して、前記行動データが示す一又は複数の行動のうち前記関係情報において当該組織と前記関連性がある行動の量である行動量を集計する集計部をさらに有し、前記抽出部は、前記複数の組織のうち、前記集計部が集計した前記行動量が所定の条件を満たす組織を抽出してもよい。
【0012】
前記集計部は、前記行動又は前記行動の種類ごとに予め定められた係数を前記行動量に乗算することによって前記行動量を重み付けし、重み付けされた前記行動量を集計してもよい。
【0013】
前記複数の組織それぞれは、分散型自立組織(Decentralized Autonomous Organization)であり、前記複数の組織それぞれに参加する複数の人間は、当該組織の意思決定に対する投票の権利を示すガバナンストークンをブロックチェーン上で保有してもよい。
【0014】
前記関係情報は、前記複数の組織それぞれと、当該組織に参加する人間に当該組織の前記ガバナンストークンを付与するための行動と、の間に関連があることを示してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間の行動と、の関連性を示す関係情報を取得するステップと、ユーザが行った行動を示す行動データを取得するステップと、前記複数の組織のうち、前記関係情報において前記行動データが示す行動と所定の関連性がある組織を抽出するステップと、前記抽出するステップにおいて抽出した組織を示す組織情報を、前記ユーザが利用する情報端末に送信するステップと、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様のプログラムは、プロセッサに、プロセッサに、複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間の行動と、の関連性を示す関係情報を取得するステップと、ユーザが行った行動を示す行動データを取得するステップと、前記複数の組織のうち、前記関係情報において前記行動データが示す行動と所定の関連性がある組織を抽出するステップと、前記抽出するステップにおいて抽出した組織を示す組織情報を、前記ユーザが利用する情報端末に送信するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザがユーザ自身に適した組織を探すための手間を削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】集計部が例示的な行動量を重み付けした結果を示す図である。
【
図5】抽出部がユーザの行動と関連性がある組織を抽出する方法を説明するための模式図である。
【
図6】情報処理装置が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、情報処理装置1と、情報端末2と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0020】
情報処理装置1は、複数の組織に関する情報を行うコンピュータである。組織は、複数の参加者が属する集団である。参加者は、組織に参加(加入、所属)する人間である。組織は、例えば、分散型自立組織(DAO: Decentralized Autonomous Organization)である。複数の参加者それぞれは、組織の意思決定に対する投票権を有しており、組織が行う施策に対して投票(多数決等)を行うことができる。
【0021】
複数の参加者それぞれは、ブロックチェーン上で、当該参加者が組織に参加していることを示す組織トークンを保有している。組織トークンは、例えば、DAOである組織の意思決定に対する投票の権利を当該トークンの保有者に与えるガバナンストークンである。組織トークンは、組織によって参加者に付与され、又は参加者間で移転(譲渡)されることにより、各参加者に保有される。組織トークンは、例えば、参加者が組織に関する所定の行動を行ったことに応じて、当該参加者に付与される。
【0022】
ブロックチェーンは、情報処理装置1の記憶部又は情報処理装置1とは異なる装置の記憶部に構築される。ブロックチェーンは複数の装置の記憶部に構築されており、情報処理装置1は当該複数の装置のうちいずれかであってもよい。
【0023】
組織トークンは、例えば、ネットワーク上の一又は複数の記憶部上のブロックチェーンによって、保有者である参加者を識別するための参加者識別情報(参加者ID(Identifier))と関連付けて記憶される。ブロックチェーンは複数のデータのブロックを含み、各ブロックはトークンの保有者が移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0024】
情報端末2は、ユーザが利用するコンピュータである。ユーザは、いずれの組織にも参加していない人間、又はいずれかの組織に参加している人間(参加者)である。情報端末2は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末である。情報端末2は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。情報端末2は、ネットワークを介して情報処理装置1と通信可能である。
【0025】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。情報処理装置1は、ユーザに適した組織を提案する際に、複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間の行動と、の関連性を示す関係情報を取得する。情報処理装置1は、ユーザが行った行動を示す行動データを取得する。
【0026】
情報処理装置1は、複数の組織のうち、関係情報において行動データが示すユーザの行動と所定の関連性がある組織を抽出する。すなわち、情報処理装置1は、ユーザが過去に行った行動に関連する組織を、ユーザに対して提案する組織として抽出する。
【0027】
情報処理装置1は、抽出した組織を示す組織情報を、ユーザが利用する情報端末2に送信する。情報端末2は、情報処理装置1から受信した組織情報を表示部上に表示する。
【0028】
このように、情報処理システムSは、ユーザが過去に行った行動に関連する組織を、ユーザに適した組織として提示する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが複数の組織の中からユーザ自身に適した組織を探すための手間を削減できる。
【0029】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0030】
情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。情報処理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0031】
通信部11は、ネットワークを介して情報端末2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、情報端末2からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータを情報端末2に送信する。
【0032】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部12は、組織と参加者の行動との関連性を示す関係情報を予め記憶している。記憶部12は、情報処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0033】
制御部13は、関係情報取得部131と、行動データ取得部132と、集計部133と、抽出部134と、送信部135と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、関係情報取得部131、行動データ取得部132、集計部133、抽出部134及び送信部135として機能する。
【0034】
以下、情報処理システムSが実行する処理について詳細に説明する。情報処理装置1は、例えば、ユーザが情報端末2において所定の開始操作を行った際等に、ユーザに適した組織を提案するための処理を開始する。
【0035】
関係情報取得部131は、複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の参加者の行動と、の関連性を示す関係情報を記憶部12から取得する。関係情報は、組織又は組織の種類と、参加者の行動又は行動の種類と、の関連の有無を示す情報である。
【0036】
組織は、予め定義された複数の種類のいずれかに分類される。組織の種類は、例えば、経済に関する経済組織、コミュニティに関するコミュニティ組織、業界に関するソーシャル組織等を含む。
【0037】
参加者の行動は、予め定義された複数の種類のいずれかに分類される。行動の種類は、例えば、経済的活動、非経済的活動、社会的活動等を含む。経済的活動である行動は、例えば、組織が提供する商品(物品又はサービス)の購入、利用又は保有、組織に対する寄付、組織が催すイベントへの参加等を含む。非経済的活動である行動は、例えば、組織の管理及び運営に関する作業、組織への技能又は資源の提供、組織との協力関係の締結、組織に関する物品又はサービスの提供、組織に関するイベントの実施、SNS(Social Networking Service)への組織に関する投稿等を含む。社会的活動である行動は、例えば、組織が属する業界を活性化させる行動等を含む。
【0038】
図3(a)、
図3(b)は、例示的な関係情報の模式図である。記憶部12は、例えば、
図3(a)に例示した関係情報と、
図3(b)に例示した関係情報と、のどちらか一方を記憶している。記憶部12は、組織又は組織の種類と、参加者の行動又は行動の種類と、関連の有無を示す係数である関連度と、を関連付けた関係情報を記憶している。関連度は、例えば、値が大きいほど関連性が大きく、値が小さいほど関連性が小さいことを示す数値(0以上1以下の範囲の数値等)である。また、関連度は、関連性の大きさを示さず、関連性があること又は関連性がないことを示してもよい。関係情報は、情報処理システムSに予め設定され、又は情報処理システムSの管理者によって指定される。
【0039】
図3(a)に例示した関係情報は、組織の種類と行動の種類との組み合わせに関連付けられた関連度を示している。
図3(b)に例示した関係情報は、組織(個別の組織)と行動(個別の行動)との組み合わせに関連付けられた関連度を示している。
【0040】
関係情報取得部131は、記憶部12に予め記憶された、
図3(a)に例示した関係情報と、
図3(b)に例示した関係情報と、のどちらか一方を取得し、以降の処理で用いる。
図3(a)に例示した関係情報と
図3(b)に例示した関係情報との両方が記憶部12に記憶されている場合には、関係情報取得部131は、
図3(b)に例示した関係情報に記載されている組織に対しては
図3(b)に例示した関係情報を優先的に用い、それ以外の組織に対しては
図3(a)に例示した関係情報を用いてもよい。
【0041】
関係情報は、行動の種類と組織(個別の組織)との組み合わせに関連付けられた関連度を示してもよい。また、関係情報は、行動(個別の行動)と組織の種類との組み合わせに関連付けられた関連度を示してもよい。また、関係情報は、行動又は行動の種類によらず、組織又は組織の種類に関連付けられた関連度を示してもよい。
【0042】
組織がDAOである場合に、関係情報は、例えば、複数の組織それぞれと、当該組織の参加者に当該組織のガバナンストークンを付与するための行動と、の間に関連があることを示してもよい。一方、関係情報は、例えば、複数の組織それぞれと、当該組織の参加者に当該組織のガバナンストークンを付与するための行動以外の行動と、の間に関連がないことを示してもよい。これにより、情報処理システムSは、ユーザが行った行動に応じてガバナンストークンの付与を受けられる組織をユーザに提案することができる。
【0043】
行動データ取得部132は、ユーザが行った行動を示す行動データを取得する。行動データは、例えば、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID)と、ユーザが行った行動又は行動の種類と、ユーザが行った行動の量(回数、成果物の数量等)である行動量と、ユーザが行動を行った日時と、を示す。
【0044】
行動データ取得部132は、例えば、記憶部12又はその他の記憶装置から、行動データを取得する。行動データは、記憶部12又はその他の記憶装置において、データベースとして記憶されていてもよく、ブロックチェーン上に記憶されていてもよい。記憶部12又はその他の記憶装置には、人間によって入力された行動データ、又は自動的に収集された行動データが記憶されている。
【0045】
行動データ取得部132は、所定の対象期間にユーザが行った行動を示す行動データを取得してもよい。対象期間は、例えば、現在時点(ユーザに適した組織を提案するための処理を行っている時点)から遡って所定の長さの期間である。対象期間は、情報端末2においてユーザによって指定された期間であってもよい。これにより、情報処理システムSは、ユーザの特定の期間における行動に基づいて、ユーザに対して提案する組織を決定することができる。
【0046】
ユーザが複数の組織のうちいずれかの組織(第1組織)に参加している場合に、行動データ取得部132は、第1組織に対するユーザの行動を示す行動データを取得してもよい。これにより、情報処理システムSは、ユーザが既に参加している組織に対するユーザの行動に基づいて、当該組織とは異なる組織をユーザに提案することができる。
【0047】
集計部133は、複数の組織それぞれに対して、行動データが示す一又は複数の行動のうち、関係情報において当該組織と所定の関連性がある行動の量である行動量を集計する。集計部133は、例えば、関係情報が示す各行動又は各行動の種類の関連度を、行動データが示す当該行動の行動量に乗算することによって行動量を重み付けし、重み付けされた行動量を組織ごとに集計(合計)する。また、集計部133は、重み付けされた行動量を組織の種類ごとに集計してもよい。
【0048】
図4は、集計部133が例示的な行動量を重み付けした結果を示す図である。
図4の例では、各行動(行動a、行動b、行動c、行動d)の行動量に、関係情報において当該行動と各組織(組織α、組織β、組織γ)とに関連付けられた関連度が乗算されることにより、各行動及び各組織に応じて重み付けされた行動量の合計値(スコア)が算出されている。
図4に示すとおり、組織と関係のない行動(関係情報が示す関連度がゼロの行動)の行動量は、組織ごとに集計された行動量に貢献しない。
【0049】
集計部133は、
図4の例では行動又は行動の種類と組織又は組織の種類との両方に基づいて行動量を重み付けしているが、組織又は組織の種類のみに基づいて行動量を重み付けしてもよい。この場合に、集計部133は、関係情報において組織又は組織の種類に関連付けられた関連度を、行動データが示す行動量に乗算することによって、行動データが示す行動量を重み付けする。
【0050】
抽出部134は、複数の組織のうち、関係情報において行動データが示すユーザの行動と所定の関連性がある組織を、ユーザに対して提案する組織として抽出する。抽出部134は、例えば、複数の組織のうち、集計部133が集計した行動量(すなわち、関係情報を用いて重み付けされた行動量)が所定の条件を満たす組織を抽出する。
【0051】
図5は、抽出部134がユーザの行動と関連性がある組織を抽出する方法を説明するための模式図である。
図5は、複数の組織それぞれに対して、集計部133が集計した行動量(
図5中の「スコア」)と、ユーザが当該組織に参加しているか否か(
図5中の「未参加」)と、ユーザに対して提案するか否か(
図5中の「提案」)と、を表している。
【0052】
抽出部134は、例えば、複数の組織のうち、集計部133が集計した行動量が所定の閾値(基準値)以上である一又は複数の組織を抽出する。行動量の閾値は、情報処理システムSに予め設定され、又は情報処理システムSの管理者によって指定される。これにより、抽出部134は、行動データが示す行動又は行動の種類と関連があることを関係情報が示す組織を抽出することができる。
【0053】
また、複数の組織それぞれの行動量は、当該組織が分類される組織の種類に対して集計部133が集計した行動量であってもよい。これにより、抽出部134は、行動データが示す行動又は行動の種類と関連があることを関係情報が示す種類の組織を抽出することができる。
【0054】
ユーザが第1組織に既に参加している場合に、抽出部134は、複数の組織のうち、第1組織とは異なる第2組織(すなわち、ユーザが参加していない組織)であって、集計部133が集計した行動量が所定の条件を満たす第2組織を抽出してもよい。
【0055】
図5の例は、ユーザは組織αに参加しており、その他の組織に未参加である状況を表している。このような状況において、抽出部134は、重み付けされた行動量(スコア)が閾値50以上であってユーザが参加していない組織βを、ユーザに対して提案する組織として抽出する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが未参加の組織の中でユーザの行動に関連する組織を、ユーザに提案することができる。
【0056】
抽出部134は、集計部133が集計した行動量を閾値と比較することに代えて、複数の組織のうち、集計部133が集計した行動量が高い順に所定数(一又は複数)の組織を抽出してもよい。
【0057】
抽出部134は、複数の組織のうち、行動データが示す複数の行動と関連性がある組織を抽出してもよい。この場合に、抽出部134は、複数の行動の行動量の合計値(スコア)に代えて、行動データが示す複数の行動の重み付けされた行動量を用いる。抽出部134は、例えば、複数の組織それぞれに対して、行動量が所定の第1閾値以上である行動の数を算出する。
【0058】
そして抽出部134は、例えば、複数の組織のうち、行動量が第1閾値以上である行動の数が第2閾値以上である組織を、ユーザに対して提案する組織として抽出する。第1閾値及び第2閾値は、情報処理システムSに予め設定され、又は情報処理システムSの管理者によって指定される。これにより、情報処理システムSは、ユーザが行った複数の行動に関連する組織を、ユーザに提案することができる。
【0059】
送信部135は、抽出部134が抽出した一又は複数の組織を示す組織情報を、ユーザが利用する情報端末2に送信する。組織情報は、組織の名称、組織の内容等、組織に関する所定の情報を含む。情報端末2は、情報処理装置1から受信した組織情報を表示部上に表示する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが過去に行った行動に関連する組織をユーザに自動的に提示し、ユーザがユーザ自身に適した組織を探すための手間を削減できる。
【0060】
[情報処理方法のフロー]
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
図6のフローは、ユーザに適した組織を提案するための処理を開始する条件が満たされたことに応じて開始される。
【0061】
関係情報取得部131は、複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の参加者の行動と、の関連性を示す関係情報を記憶部12から取得する(S11)。関係情報は、例えば、組織又は組織の種類と、参加者の行動又は行動の種類と、関連の有無を示す係数である関連度と、を関連付けた情報である。
【0062】
行動データ取得部132は、ユーザが行った行動を示す行動データを取得する(S12)。行動データは、例えば、ユーザIDと、ユーザが行った行動又は行動の種類と、ユーザが行った行動の行動量と、ユーザが行動を行った日時と、を示す。
【0063】
集計部133は、複数の組織それぞれに対して、行動データが示す一又は複数の行動のうち、関係情報において当該組織と所定の関連性がある行動の量である行動量を集計する。集計部133は、例えば、関係情報が示す各行動又は各行動の種類の関連度を、行動データが示す当該行動の行動量に乗算することによって行動量を重み付けし、重み付けされた行動量を組織ごとに集計する(S13)。
【0064】
抽出部134は、複数の組織のうち、関係情報において行動データが示すユーザの行動と所定の関連性がある組織を、ユーザに対して提案する組織として抽出する(S14)。抽出部134は、例えば、複数の組織のうち、集計部133が集計した行動量が所定の条件を満たす組織を抽出する。
【0065】
送信部135は、抽出部134が抽出した一又は複数の組織を示す組織情報を、ユーザが利用する情報端末2に送信する(S15)。組織情報は、組織の名称、組織の内容等、組織に関する所定の情報を含む。情報端末2は、情報処理装置1から受信した組織情報を表示部上に表示する。
【0066】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、組織と参加者の行動との関連を示す関係情報において、ユーザが過去に行った行動に関連する組織を抽出し、抽出した組織をユーザに提示する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが複数の組織の中からユーザ自身に適した組織を探すための手間を削減できる。
【0067】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0069】
S 情報処理システム
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 関係情報取得部
132 行動データ取得部
133 集計部
134 抽出部
135 送信部
2 情報端末
【要約】
【課題】ユーザがユーザ自身に適した組織を探すための手間を削減できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、複数の組織それぞれと、当該組織に参加する複数の人間の行動と、の関連性を示す関係情報を取得する関係情報取得部131と、ユーザが行った行動を示す行動データを取得する行動データ取得部132と、複数の組織のうち、関係情報において行動データが示す行動と所定の関連性がある組織を抽出する抽出部134と、抽出部が抽出した組織を示す組織情報を、ユーザが利用する情報端末に送信する送信部135と、を有する。
【選択図】
図2