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特許7583206炭素削減手段提案システムおよび炭素削減手段提案方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】炭素削減手段提案システムおよび炭素削減手段提案方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20241106BHJP
【FI】
G06Q10/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024027301
(22)【出願日】2024-02-27
【審査請求日】2024-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 勝臣
(72)【発明者】
【氏名】大塚 智子
(72)【発明者】
【氏名】田口 裕人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 ゆうき
(72)【発明者】
【氏名】小林 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良介
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-256210(JP,A)
【文献】特開2005-215916(JP,A)
【文献】特開2021-117713(JP,A)
【文献】特開2012-215958(JP,A)
【文献】特開2022-046469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のコンピュータを備え、
前記コンピュータが、
少なくとも予算を含む顧客情報を入力可能とする処理と、
入力された前記顧客情報と、炭素を削減する手段に対して交付される補助金の金額情報を含む複数の補助金データと、複数の前記炭素を削減する手段のそれぞれに設定されている導入コストとに基づいて、前記炭素を削減する手段を抽出する処理であって、前記炭素を削減する手段に設定された前記導入コストの総額から、前記炭素を削減する手段に対して交付される前記補助金の金額を差し引いた額が前記予算の範囲内に収まる1または複数の前記炭素を削減する手段の組み合わせを抽出する処理と、
抽出された前記炭素を削減する手段を出力する処理と、
を遂行する炭素削減手段提案システム。
【請求項2】
記炭素を削減する手段を抽出する処理は、
前記補助金が交付される前記炭素を削減する手段に設定されている前記導入コストを、該導入コストから該補助金の金額を減算した実質コストに変更する処理と、
前記実質コストを含む前記導入コストの総額が前記予算の範囲内に収まる1または複数の前記炭素を削減する手段の組み合わせを抽出する処理と、
を含む、
請求項1に記載の炭素削減手段提案システム。
【請求項3】
前記補助金データには、前記補助金の交付の適用条件が含まれ、
前記炭素を削減する手段を抽出する処理は、
前記適用条件に合致する前記炭素を削減する手段を優先して前記組み合わせに組み込む、
請求項1または2に記載の炭素削減手段提案システム。
【請求項4】
前記コンピュータが、
通信ネットワークを介して外部から前記補助金データを取得して記憶部に記憶する処理、
を遂行し、
前記炭素を削減する手段を抽出する処理は、
前記記憶部に記憶された前記補助金データに基づいて、前記炭素を削減する手段を抽出する、
請求項1または2に記載の炭素削減手段提案システム。
【請求項5】
1または複数のコンピュータが、
少なくとも予算を含む顧客情報を入力可能とする処理と、
入力された前記顧客情報と、炭素を削減する手段に対して交付される補助金の金額情報を含む複数の補助金データと、複数の前記炭素を削減する手段のそれぞれに設定されている導入コストとに基づいて、前記炭素を削減する手段を抽出する処理であって、前記炭素を削減する手段に設定された前記導入コストの総額から、前記炭素を削減する手段に対して交付される前記補助金の金額を差し引いた額が前記予算の範囲内に収まる1または複数の前記炭素を削減する手段の組み合わせを抽出する処理と、
抽出された前記炭素を削減する手段を出力する処理と、
を遂行する炭素削減手段提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素削減手段提案システムおよび炭素削減手段提案方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、事業者等に対して、炭素排出量の削減が要求されている。例えば、特許文献1には、二酸化炭素の削減量の予測値を算出する予測システムについて開示がある。この予測システムでは、建設現場において採用可能な取り組み項目ごとに、二酸化炭素の削減量が紐付けられており、ユーザが項目を選択することで、二酸化炭素の削減量の予測値が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-32861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各事業者は、予算や炭素排出量の削減目標等の計画に基づいて、採用すべき取り組みを取捨選択する必要があるが、炭素排出量を削減可能な取り組みは多数存在する。また、炭素排出量を削減する取り組みに対して、国や自治体から補助金が交付される補助金事業が提供されている。しかしながら、補助金事業は、地域や年度によって異なり、また、補助金が交付されるための適用条件も補助金事業ごとに異なる。そのため、炭素排出量の削減と経済的事業性の維持、向上を両立させる最適な取り組みを決定するのは極めて困難である。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、最適な炭素排出量の削減手段を提案する炭素削減手段提案システムおよび炭素削減手段提案方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の炭素削減手段提案システムは、
1または複数のコンピュータを備え、
前記コンピュータが、
少なくとも予算を含む顧客情報を入力可能とする処理と、
入力された前記顧客情報と、炭素を削減する手段に対して交付される補助金の金額情報を含む複数の補助金データと、複数の前記炭素を削減する手段のそれぞれに設定されている導入コストとに基づいて、前記炭素を削減する手段を抽出する処理であって、前記炭素を削減する手段に設定された前記導入コストの総額から、前記炭素を削減する手段に対して交付される前記補助金の金額を差し引いた額が前記予算の範囲内に収まる1または複数の前記炭素を削減する手段の組み合わせを抽出する処理と、
抽出された前記炭素を削減する手段を出力する処理と、
を遂行する。
【0007】
記炭素を削減する手段を抽出する処理は、
前記補助金が交付される前記炭素を削減する手段に設定されている前記導入コストを、該導入コストから該補助金の金額を減算した実質コストに変更する処理と、
前記実質コストを含む前記導入コストの総額が前記予算の範囲内に収まる1または複数の前記炭素を削減する手段の組み合わせを抽出する処理と、
を含んでもよい。
【0010】
前記補助金データには、前記補助金の交付の適用条件が含まれ、
前記炭素を削減する手段を抽出する処理は、
前記適用条件に合致する前記炭素を削減する手段を優先して前記組み合わせに組み込んでもよい。
【0011】
前記コンピュータが、
通信ネットワークを介して外部から前記補助金データを取得して記憶部に記憶する処理、
を遂行し、
前記炭素を削減する手段を抽出する処理は、
前記記憶部に記憶された前記補助金データに基づいて、前記炭素を削減する手段を抽出してもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の炭素削減手段提案方法は、
1または複数のコンピュータが、
少なくとも予算を含む顧客情報を入力可能とする処理と、
入力された前記顧客情報と、炭素を削減する手段に対して交付される補助金の金額情報を含む複数の補助金データと、複数の前記炭素を削減する手段のそれぞれに設定されている導入コストとに基づいて、前記炭素を削減する手段を抽出する処理であって、前記炭素を削減する手段に設定された前記導入コストの総額から、前記炭素を削減する手段に対して交付される前記補助金の金額を差し引いた額が前記予算の範囲内に収まる1または複数の前記炭素を削減する手段の組み合わせを抽出する処理と、
抽出された前記炭素を削減する手段を出力する処理と、
を遂行する。

【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、最適な炭素排出量の削減手段を提案することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る炭素削減手段提案システムの概略図である。
図2図2は、補助金データの一例を説明する図である。
図3図3は、ソリューション情報の一例を説明する図である。
図4図4は、顧客情報の一例を説明する図である。
図5図5は、抽出部が遂行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、出力データの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る炭素削減手段提案システム100の概略図である。炭素削減手段提案システム100は、補助金データ取得部110、補助金データ記憶部115、ソリューション情報入力部120、データベース125、顧客情報入力部130、抽出部140、出力部150を備える。補助金データ取得部110、ソリューション情報入力部120、顧客情報入力部130、抽出部140、出力部150は、それぞれプロセッサ、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成される。
【0017】
なお、本実施形態では、補助金データ取得部110、ソリューション情報入力部120、顧客情報入力部130、抽出部140、出力部150が、それぞれ別の情報処理端末に設けられるものとする。ただし、補助金データ取得部110、補助金データ記憶部115、ソリューション情報入力部120、データベース125、顧客情報入力部130、抽出部140、出力部150の一部または全部が、1つの情報処理端末に設けられてもよい。
【0018】
補助金データ取得部110は、AI(Artificial Intelligence)として機能する。補助金データ取得部110は、通信ネットワークNを介して、外部から補助金データを取得する。補助金データは、炭素排出量を削減する手段(以下、ソリューションと呼ぶ)に対して交付される補助金、または、ソリューションに対して補助金が交付される補助金事業に関するデータである。補助金事業では、補助金が交付されるための条件、すなわち、補助金の交付の適用条件が設けられており、全ての適用条件を満たすソリューションを導入した事業者に補助金が交付される。
【0019】
補助金事業は、一般的に、国または地方自治体によって行われるため、したがって、補助金データ取得部110は、通信ネットワークNを介して、国や自治体のホームページやデータベース等にアクセスし、補助金データを取得する。補助金データ取得部110は、取得した補助金データを補助金データ記憶部115に記憶する。
【0020】
図2は、補助金データの一例を説明する図である。補助金データ記憶部115に記憶される補助金データには、ソリューション導入エリア、種別、導入期間、その他の適用条件、補助金の交付額、採用時の効果が含まれる。
【0021】
補助金データに含まれるソリューション導入エリアは、ソリューションを導入する都道府県および市区町村である。ソリューションが導入された場所が、ソリューション導入エリア内である場合に、当該ソリューションが補助金の交付対象となる。したがって、補助金データに含まれるソリューション導入エリアは、補助金の交付の適用条件と言える。
【0022】
補助金データに含まれる種別は、ソリューションの種別、換言すれば、ソリューションの分類を示す。ここでは、ソリューションの種別の一例として、太陽光発電、蓄電池、LED、CO2排出権が設けられる。
【0023】
補助金データに含まれる導入期間は、補助金の交付対象となる期間である。ソリューションが導入された時期が、導入期間内である場合に、当該ソリューションが補助金の交付対象となる。したがって、補助金データに含まれる導入期間は、補助金の交付の適用条件と言える。
【0024】
その他の適用条件は、上記したソリューション導入エリアおよび導入期間とは別に設定された、補助金の交付の適用条件である。例えば、その他の適用条件は、補助金の交付対象となるソリューション(具体的には設備)に関する情報であり、導入される設備、装置の型式や、発電効率等の性能に関する情報が含まれる。つまり、その他の適用条件に定められた設備、装置が導入された場合に、補助金が交付され得る。
【0025】
補助金データに含まれる補助金の交付額は、全ての適用条件が満たされる場合に交付される補助金の交付額である。なお、補助金の交付額が一定ではない場合、補助金の交付額として、上限の金額、下限の金額、平均の金額のいずれかが記憶されればよい。
【0026】
補助金データに含まれる採用時の効果は、ソリューションを導入した場合に得られる効果に関する情報である。採用時の効果としては、例えば、発電量や、使用するエネルギーの削減量等が挙げられる。
【0027】
なお、図2に示す補助金データは一例に過ぎず、図2に示す補助金データに含まれる各項目は必須ではない。例えば、ここでは、補助金データに、補助金の交付の適用条件と、交付される補助金の交付額とが含まれることとしたが、これらのいずれか一方のみが補助金データに含まれてもよい。
【0028】
補助金データ取得部110は、通信ネットワークNを介して取得した補助金データを加工し、図2に示すように、補助金データ記憶部115に記憶する。なお、補助金データ取得部110は、ネットワーク上を常時あるいは定期的に監視し、新たに追加された補助金データを取得してもよい。
【0029】
あるいは、作業者が操作可能な情報処理端末が設けられ、情報処理端末に対する操作入力によって、補助金データが取得されてもよい。この場合、補助金データ取得部110は、作業者が操作可能な情報処理端末によって構成される。また、補助金データ取得部110は、例えば、導入期間が経過した補助金データを、補助金データ記憶部115から削除してもよい。
【0030】
ソリューション情報入力部120は、作業者が操作可能な情報処理端末に設けられ、作業者の操作入力により、ソリューション情報をデータベース125に登録する。ソリューション情報は、炭素排出量を削減する手段に関する情報を含む。
【0031】
図3は、ソリューション情報の一例を説明する図である。ここでは、ソリューション情報の一例として、ソリューションごとに付される番号、種別、削減効果、導入コスト、補助金の有無、検討フェーズが設けられている。
【0032】
ソリューション情報に含まれる種別は、上記の補助金データと同様に、ソリューションの種別を示し、ここでは太陽光発電、蓄電池、LED、CO2排出権が設けられる。
【0033】
ソリューション情報に含まれる削減効果は、当該ソリューションが導入された場合に得られる効果である。ここでは、一例として、単位面積あたりの炭素排出の削減量が削減効果として示されている。
【0034】
ソリューション情報に含まれる導入コストは、当該ソリューションを導入する場合に必要となる費用である。ここでは、一例として、単位面積あたりの費用が導入コストとして示されている。
【0035】
ソリューション情報に含まれる補助金有無は、当該ソリューションが、補助金の交付対象であるか否かを示す情報である。図3では、補助金の交付対象となるソリューションが〇で示されている。
【0036】
ソリューション情報に含まれる検討フェーズは、顧客における炭素排出量の削減の検討段階を示す情報である。なお、本実施形態において、顧客とは、炭素排出量を削減するための取り組みを行おうとする事業者または個人を示す。詳しくは後述するが、検討フェーズは、顧客に関する情報である顧客情報にも含まれており、入力された顧客情報に含まれる検討フェーズと一致するソリューションが提案可能となる。つまり、ソリューション情報に含まれる検討フェーズは、当該ソリューションを顧客に提案可能であるか否かを識別するための情報と言える。
【0037】
ここでは、検討フェーズとして、例えば、「00」~「03」の4段階が設けられる。一例として、ソリューション情報に含まれる検討フェーズの「00」は、顧客が炭素排出量を把握すべき段階である場合に提案可能であることを示す。また、ソリューション情報に含まれる検討フェーズの「01」は、顧客が再生エネルギーの導入を検討している段階である場合に提案可能であることを示す。また、ソリューション情報に含まれる検討フェーズの「02」は、顧客が既に省エネ対策に取り組んでいる段階である場合に提案可能であることを示す。また、ソリューション情報に含まれる検討フェーズの「03」は、顧客がカーボンオフセットの実行段階である場合、もしくは、実行を予定している段階である場合に提案可能であることを示す。
【0038】
なお、図3に示すソリューション情報は一例に過ぎず、図3に示すソリューション情報に含まれる各項目は必須ではない。ただし、詳しくは後述するように、炭素削減手段提案システム100は、データベース125に登録されたソリューション情報のいずれかを、顧客に提案するソリューション情報として抽出する。このとき、ソリューション情報は、補助金データおよび顧客情報に基づいて抽出される。したがって、ソリューション情報には、補助金データおよび顧客情報の少なくともいずれかと関連付けられた情報が含まれる必要がある。
【0039】
なお、ソリューション情報入力部120は、補助金データ取得部110と同様に、AIとして機能してもよい。この場合、ソリューション情報入力部120は、通信ネットワークNを介して、外部からソリューション情報を取得して、データベース125に登録する。
【0040】
顧客情報入力部130は、作業者が操作可能な情報処理端末に設けられ、作業者に対して、顧客情報の入力を可能とする。なお、顧客情報入力部130を操作する作業者は、顧客自身または顧客から依頼を受けた担当者である。顧客情報入力部130は、作業者によって入力された顧客情報を抽出部140に送信する。
【0041】
図4は、顧客情報の一例を説明する図である。ここでは、顧客情報が第1顧客情報と第2顧客情報とに分類されるものとして説明する。例えば、第1顧客情報には、補助金の適用可否の判定に用いられる情報が含まれる。ここでは、一例として、第1顧客情報に、ソリューション導入エリア、種別、導入時期、その他の適用条件、採用時の効果が含まれる。
【0042】
第1顧客情報に含まれるソリューション導入エリアは、顧客がソリューションを導入する予定の都道府県および市区町村である。
【0043】
第1顧客情報に含まれる種別は、補助金データに含まれる種別と同様に、顧客が導入予定のソリューションの種別を示し、ここでは、太陽光発電、蓄電池、LED、CO2排出権が設けられる。
【0044】
第1顧客情報に含まれる導入時期は、顧客がソリューションを導入する予定の時期である。
【0045】
第1顧客情報に含まれるその他の適用条件は、補助金データに含まれるその他の適用条件と同様に、顧客が導入予定のソリューションに関する情報であり、例えば、設備、装置の型式や、発電効率等の性能に関する情報が含まれる。
【0046】
第1顧客情報に含まれる採用時の効果は、補助金データに含まれる採用時の効果と同様に、ソリューションを導入した場合に得られる効果に関する情報である。
【0047】
また、第2顧客情報は、例えば、ソリューションの導入計画に関する情報であり、ソリューション情報の抽出に用いられる。ここでは、一例として、第2顧客情報に、削減目標、予算、優先度、検討フェーズが含まれる。
【0048】
第2顧客情報に含まれる削減目標は、顧客が目標とする炭素排出の削減量であり、例えば、年間当たりの炭素排出の削減量である。
【0049】
第2顧客情報に含まれる予算は、炭素削減目標を達成するために充てられる合計の金額である。なお、予算は、ランニングコストを含めた年間当たりの予算でもよいし、ソリューションの導入に要するイニシャルコストであってもよい。
【0050】
第2顧客情報に含まれる優先度は、提案されるソリューションの優先順位を決定するための情報である。ここでは、優先度の一例として、削減量最大、コスト優先、補助金優先が設けられている。作業者は、優先度として、削減量最大、コスト優先、補助金優先のいずれかを選択することができる。炭素削減手段提案システム100は、選択された優先度に応じて、顧客にソリューションの組み合わせを提案する。
【0051】
削減量最大が選択された場合には、例えば予算の範囲内で、炭素排出の削減量が最大となるソリューションの組み合わせが提案される。また、コスト優先が選択された場合には、例えば削減目標を達成可能なソリューションの組み合わせであって、最もコストの低い組み合わせが提案される。
【0052】
また、補助金優先が選択された場合には、削減目標を達成可能なソリューションの組み合わせ、あるいは、予算の範囲内で導入可能なソリューションの組み合わせの中で、補助金が交付されるソリューションが優先的に組み込まれた提案がなされる。すなわち、補助金優先が選択された場合には、補助金の交付の適用条件に合致するソリューション情報が優先して組み合わせに組み込まれる。
【0053】
第2顧客情報に含まれる検討フェーズは、ソリューション情報に含まれる検討フェーズと同様であり、上記した「00」~「03」の4段階が設けられる。第2顧客情報においては、「00」~「03」の4段階のうち、いずれか1の検討フェーズが入力される。また、第2顧客情報は、事後的に変更されてもよい。
【0054】
なお、図4に示す顧客情報は一例に過ぎず、図4に示す各項目は必須ではない。例えば、顧客情報として、第1顧客情報および第2顧客情報のいずれか一方のみが設けられてもよい。
【0055】
抽出部140は、図1に示すように、補助金データ記憶部115、データベース125、顧客情報入力部130および出力部150に通信接続される。抽出部140は、補助金データ記憶部115にアクセスし、補助金データを取得可能である。また、抽出部140は、データベース125にアクセスし、ソリューション情報を取得可能である。そして、抽出部140は、顧客情報入力部130により入力された顧客情報と、ソリューションに対して交付される補助金に関する情報を含む複数の補助金データとに基づいて、ソリューションが紐付けられた1または複数のソリューション情報を抽出する。
【0056】
図5は、抽出部140が遂行する処理の一例を示すフローチャートである。顧客情報入力部130において顧客情報が入力されると、入力された顧客情報を抽出部140が取得する(S1)。抽出部140は、補助金データ記憶部115にアクセスし、S1で取得した顧客情報に基づいて、補助金データ記憶部115に記憶されている補助金データのうち、適用条件を満たす補助金データを抽出する(S2)。
【0057】
ここでは、第1顧客情報と補助金データとの比較により、適用条件を満たすか否かが補助金データごとに判定される。例えば、抽出部140は、補助金データに含まれるソリューション導入エリアが、第1顧客情報に含まれるソリューション導入エリアと一致し、かつ、補助金データに含まれる導入期間に、第1顧客情報に含まれる導入時期が含まれる補助金データを、適用条件を満たすと判定する。このようにして適用条件を満たすと判定された全ての補助金データが抽出される。
【0058】
なお、適用条件を満たすか否かの判定には、ソリューション導入エリアおよび導入時期に加えて、その他の顧客情報が用いられてもよい。適用条件を満たすか否かの判定に用いられる情報は特に限定されるものではない。
【0059】
また、抽出部140は、データベース125に登録されているソリューション情報のうち、顧客に提案可能なソリューション情報を抽出する(S3)。ここでは、第2顧客情報とソリューション情報との比較により、データベース125に登録されたソリューション情報ごとに提案の可否が判定される。例えば、抽出部140は、ソリューション情報に含まれる検討フェーズが、第2顧客情報に含まれる検討フェーズと一致するソリューション情報を提案可能と判定する。このようにして提案可能と判定された全てのソリューション情報が抽出される。
【0060】
なお、提案の可否の判定には、検討フェーズに加えて、第1顧客情報に含まれるソリューションの種別等、その他の顧客情報が用いられてもよい。提案の可否の判定に用いられる情報は特に限定されるものではない。
【0061】
また、抽出部140は、S3で抽出したソリューション情報と、S2で抽出した補助金データとを比較し、補助金の交付の適用条件を満たすソリューション情報が含まれているかを判定する。そして、抽出部140は、補助金の交付の適用条件を満たすソリューション情報に含まれる導入コストから、補助金の交付額を減算して記憶する(S4)。
【0062】
次に、抽出部140は、取得した顧客情報に含まれる優先度に応じて、S3で抽出されたソリューション情報の組み合わせを抽出する。具体的には、優先度が削減量最大である場合、抽出部140は、合計の導入コストが予算の範囲内に収まり、かつ、炭素排出の削減量が最大となるソリューション情報の組み合わせを決定する。この場合、S4で減算された後の導入コストが用いられる。すなわち、顧客情報には所定の目標値(ここでは予算)が含まれ、抽出部140は、目標値を満たすように、複数のソリューション情報の組み合わせを抽出すると言える。
【0063】
また、優先度がコスト優先である場合、抽出部140は、削減目標を達成可能なソリューション情報の組み合わせのうち、最も導入コストが低い組み合わせを決定する。この場合においても、S4で減算された後の導入コストが用いられる。すなわち、顧客情報には所定の目標値(ここでは予算および炭素排出の削減量(炭素削減目標))が含まれ、抽出部140は、目標値を満たすように、複数のソリューション情報の組み合わせを抽出すると言える。
【0064】
なお、目標値には予算が含まれ、補助金データには、交付される補助金の交付額である金額情報が含まれる。そして、S4で減算された後の導入コストを用いてソリューション情報の組み合わせが抽出されることから、優先度が削減量最大またはコスト優先である場合、抽出部140は、予算および金額情報に基づいて組み合わせを抽出すると言える。
【0065】
また、優先度が補助金優先である場合、抽出部140は、削減目標を達成可能なソリューション情報の組み合わせ、あるいは、予算の範囲内で導入可能なソリューションの組み合わせのうち、補助金の交付の適用条件を満たすソリューション情報が優先的に組み込まれた組み合わせを決定する。すなわち、抽出部140は、補助金の交付の適用条件に合致するソリューション情報を優先して組み合わせに組み込む。
【0066】
なお、優先度が補助金優先である場合、抽出部140は、削減目標を達成可能なソリューション情報の組み合わせと、予算の範囲内で導入可能なソリューションの組み合わせとの双方を抽出してもよい。あるいは、優先度が補助金優先である場合、抽出部140は、削減目標を達成可能であって、かつ、予算の範囲内で導入可能なソリューション情報の組み合わせを抽出してもよい
【0067】
以上のようにしてソリューション情報の組み合わせが決定、抽出されると、抽出部140は、抽出したソリューション情報およびその組み合わせを出力部150に送信する。出力部150は、受信したソリューション情報を出力する。なお、出力部150によるソリューション情報の出力方法は特に限定されないが、ソリューション情報の出力方法としては、例えば、ディスプレイでの画像の表示、紙等へのプリントアウト、データによる外部出力が挙げられる。
【0068】
図6は、出力データの一例を説明する図である。抽出されたソリューション情報、および、その組み合わせは、出力データとして顧客に提供される。出力データには、例えば、図6に示すように、抽出されたソリューション情報ごとに、種別、削減効果、導入コスト、補助金の交付額、導入コストから交付額を差し引いた実質コストが示される。また、出力データにおいては、削減効果、導入コスト、補助金の交付額、実質コストの合計が示される。なお、図6に示す出力データに含まれる項目は一例に過ぎない。出力データに含まれる項目は、適宜設定可能である。
【0069】
以上のように、本実施形態の炭素削減手段提案システム100によれば、顧客情報と、補助金データとに基づいて、1または複数のソリューション情報が抽出される。炭素排出量を削減するためのソリューションは多数存在し、また、補助金の交付の適用条件がそれぞれ異なる補助金事業も多数存在するが、炭素削減手段提案システム100によれば、炭素排出量を削減するための最適なソリューションの組み合わせを提案することができる。特に、本実施形態によれば、顧客に提案されるソリューションに、補助金の有無が考慮されているため、導入コストを適切に反映した提案が可能となる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
なお、上述した本実施形態に係る処理は、ソフトウェア、ハードウェア、または、ソフトウェアとハードウェアとの組合せのうちいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各情報処理端末の内部または外部に設けられる非一時的な記憶媒体(non-transitory media)に予め格納される。そして、プログラムは、例えば、非一時的な記憶媒体(例えば、ROM)から一時的な記憶媒体(例えば、RAM)に読み出され、CPUなどのプロセッサにより実行される。
【0072】
また、各情報処理端末における各機能を実現するためのプログラムを作成し、各情報処理端末のコンピュータにインストールすることが可能である。プロセッサが、メモリに記憶されているプログラムを実行することにより処理が実行される。このとき、複数のプロセッサによりプログラムを分担して実行してもよいし、1つのプロセッサでプログラムを実行してもよい。また、通信ネットワークNにより相互に接続された複数のコンピュータを用いるクラウドコンピューティングにより、各情報処理端末の処理が実現されてもよい。なお、プログラムは、外部装置から通信ネットワークNを通じた配信により、各情報処理端末に提供されて、インストールされてもよい。
【0073】
また、コンピュータを、補助金データ記憶部115、データベース125、顧客情報入力部130、抽出部140、出力部150として機能させるプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0074】
なお、本明細書に示した各処理は、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。また、上記実施形態、および、各種変形例は、各機能およびフローチャートに示す処理を実現する情報処理方法(炭素削減手段提案方法)としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
100 炭素削減手段提案システム
110 補助金データ取得部
115 補助金データ記憶部
120 ソリューション情報入力部
125 データベース
130 顧客情報入力部
140 抽出部
150 出力部
【要約】
【課題】最適な炭素排出量の削減手段を提案する。
【解決手段】炭素削減手段提案システムは、1または複数のコンピュータを備え、コンピュータが、顧客情報を入力可能とする処理と、入力された前記顧客情報と、炭素を削減する手段に対して交付される補助金に関する情報を含む複数の補助金データとに基づいて、前記炭素を削減する手段が紐付けられた1または複数のソリューション情報を抽出する処理と、抽出された前記ソリューション情報を出力する処理と、を遂行する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6