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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】吸引器用の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20241106BHJP
   A24F 40/65 20200101ALI20241106BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20241106BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/65
A24F40/57
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024074017
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2022550916の分割
【原出願日】2022-03-17
(65)【公開番号】P2024091999
(43)【公開日】2024-07-05
【審査請求日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2021076016
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】青山 達也
(72)【発明者】
【氏名】川中子 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】長浜 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/194075(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0119053(US,A1)
【文献】再公表特許第2018/138751(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
香味成分が付与されたエアロゾルを生成する吸引器用の電源ユニットであって、
電源と、
前記電源から供給される電力によりエアロゾル源を含む基材であるスティックを加熱する加熱部と、
前記加熱部による加熱を制御する制御部と、
前記スティックを前記加熱部に挿入可能に設けられた開口を開閉するためのカバー部材であって、前記スティックを挿入可能な開状態と、前記スティックを挿入不可能な閉状態とを取りうるように構成されたカバー部材と、
前記カバー部材が前記開状態と前記閉状態とのいずれの状態にあるかを示す状態検知信号を前記制御部へ出力する状態検知部と、
ディスプレイと、
前記カバー部材の開閉とは異なるユーザの操作を受け付け可能な入力部と、
を備え、
前記制御部は、前記状態検知部からの前記状態検知信号に基づき、前記カバー部材が前記閉状態から前記開状態へ遷移したことを検知すると、前記ディスプレイによる表示を行い、
前記制御部は、前記ディスプレイによる表示を行っている状態において、前記状態検知部からの前記状態検知信号に基づき、前記カバー部材が前記開状態から前記閉状態へ遷移したことを検知すると、前記ディスプレイによる表示を停止し、
前記制御部は、前記カバー部材が前記開状態にある場合に前記入力部が前記ユーザから第1操作を受け付けると、前記加熱部による加熱を開始し、
前記制御部は、前記加熱を開始した後、前記ディスプレイにより、
吸引可能期間の開始を知らせる第1の表示と、
前記第1の表示より後であって前記吸引可能期間の終了までの間に前記吸引可能期間が残存している旨を報知する第2の表示と、
を行い、
前記制御部は、前記カバー部材が前記閉状態にある場合に、
前記第1操作を受け付けても前記加熱部による加熱を行わないように制御し、前記入力部における前記ユーザからの第2操作、及び、前記カバー部材の前記閉状態から前記開状態への遷移を検知可能に制御され、前記入力部における前記ユーザから第2操作、又は、前記カバー部材の前記閉状態から前記開状態への遷移を検知した場合に、前記電源ユニットをそれぞれ対応する動作状態に移行させるように制御を行う、電源ユニット。
【請求項2】
前記電源ユニットは、前記電源ユニットの上面から底面に向かう上下方向に長い形状を有し、
前記電源ユニットの前記上面から前記スティックが挿入可能に構成されており、
前記ディスプレイは前記上下方向に沿って延在し、
前記ディスプレイと前記入力部とは、前記電源ユニットの前記上面と前記底面とは異なる同一の面に設けられ、前記入力部は前記上下方向において前記ディスプレイよりも下に設けられている、請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項3】
前記入力部は物理的な押しボタンによって構成された操作ボタンである、
請求項1又は2に記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記電源のステータスを監視するための残量計を更に備え、
前記残量計は前記カバー部材が前記閉状態にある場合において、前記電源のステータスを計測した計測結果を前記制御部へ出力する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項5】
前記ディスプレイは、前記電源の残量をバーグラフ形式で表示する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項6】
外部電源と接続可能な接続部を更に備え、
前記カバー部材が前記開状態にある場合と、前記閉状態にある場合とのいずれにおいても、前記接続部が前記外部電源と接続されると、前記制御部は前記電源の充電を行うように構成された、
請求項1から5のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項7】
前記制御部は、前記加熱部による加熱を開始した後所定の時間が経過すると、前記加熱部による加熱を停止する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項8】
前記第2の表示は、前記第1の表示とは異なる態様で行われる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項9】
前記制御部は、異なる温度プロファイルに基づく制御が可能に構成され、
前記制御部は、温度プロファイルが変更されたことに応じて前記第1の表示のタイミングを変更する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項10】
前記制御部は、前記加熱部による加熱を行っていない状態において、前記カバー部材が前記閉状態にある場合の消費電力を、前記カバー部材が前記開状態にある場合の消費電力よりも低くするように制御する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引器用の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱式たばこ等の吸引器は、エアロゾル源および香味源を含む基材と、基材を収容し、電源からの電力をヒータに供給して基材を加熱する電源ユニットとを含みうる。
【0003】
電源ユニットは、操作ボタンの操作または吸引動作によるエアロゾル生成要求に応じて電源からヒータへの電力供給を開始し吸引可能状態にする。一般に、安全性や節電の観点から、吸引可能期間は所定の長さに制限されうる。
【0004】
電源ユニットが吸引可能状態にあることを報知することはユーザにとって好ましい。例えば特許文献1には、予備加熱時間が経過し吸引可能状態になったことをユーザに通知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2020/084756号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、吸引可能期間の開始が通知されてから吸引可能期間が終了するまでの間、ユーザに吸引可能期間であることを報知する技術は知られていたが、当該通知はユーザに提供したい香味を提供できるタイミングでの報知であるとは限らない。
【0007】
本発明は、ユーザに提供したい香味を提供できるタイミングをユーザに通知することが可能な吸引器用の電源ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、香味成分が付与されたエアロゾルを生成する吸引器用の、エアロゾル源を加熱するヒータに電力を供給する電源ユニットであって、電源と、前記電源からの電力を前記ヒータに供給する電力供給部と、報知部と、前記電力供給部および前記報知部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、所定の制御シーケンスに従い前記電力供給部を制御するとともに、前記制御シーケンスにより定まる吸引可能期間のうち、エアロゾルに含まれる香味成分の量が所定の量になるタイミングを含む1つ以上のタイミングを報知するように前記報知部を制御する、ことを特徴とする電源ユニットが提供される。
【0009】
一実施形態によれば、前記制御部は、前記報知のタイミングおよびパターンの少なくともいずれか1つを設定する。
【0010】
一実施形態によれば、外部通信装置と通信を行う通信部を更に備え、前記制御部は、前記通信部を介して、前記電源ユニットと前記外部通信装置とを関連付けるペアリングを実行し、ペアリングされた前記外部通信装置を用いて前記報知のタイミングおよびパターンの少なくともいずれか1つを設定する。
【0011】
一実施形態によれば、前記制御部は、更に前記吸引可能期間の開始を知らせる開始報知と、前記吸引可能期間の終了を知らせる終了予告報知とを行うように前記報知部を制御し、前記報知は、前記開始報知および前記終了予告報知とは異なる態様の報知である。
【0012】
一実施形態によれば、前記制御部は、前記開始報知または前記終了予告報知とのタイミング差が所定値より短い報知を無効にする。
【0013】
一実施形態によれば、前記制御シーケンスは、前記ヒータの目標温度の時系列推移を規定した制御プロファイルに基づく制御シーケンスであり、前記制御プロファイルは、予熱により上昇した第1温度より低い第2温度を維持する第1区間と、前記第1区間の後、前記ヒータの温度を、前記第2温度より高い第3温度に上昇させる第2区間とを含み、前記第1区間における報知と第2区間における報知の態様が異なる。
【0014】
一実施形態によれば、前記制御プロファイルが変更された場合、前記制御部は、前記変更された制御プロファイルに応じて前記報知のタイミングを変更する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザに提供したい香味を提供できるタイミングをユーザに通知することが可能な吸引器用の電源ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】吸引器の外観斜視図。
図2】吸引器の内部構成図。
図3】電源ユニットの機能構成を示すブロック図。
図4】電源ユニットの状態遷移の例を示す図。
図5】温度プロファイルの例を示す図。
図6】報知制御の例を示すフローチャート。
図7】報知設定情報の例を示す図。
図8】報知制御の例を示すフローチャート。
図9】報知設定画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
<吸引器の構成>
図1には、実施形態に係る吸引器100の外観の一例が示されている。吸引器100は、ユーザによる吸引動作等のエアロゾルを要求する動作(以下では「エアロゾル生成要求」ともいう。)に応じて、香味を有するエアロゾル、または、エアロゾルおよび香味物質を含む気体、または、エアロゾル、または、香味物質(香味成分)を含むエアロゾルを、スティック110を通してユーザに提供する。したがって、吸引器100は、エアロゾル生成装置と理解されてもよい。
【0019】
吸引器100は、電源ユニット101と、スティック110とによって構成されうる。スティック110は、例えば、エアロゾル源および香味源を含む基材である。エアロゾル源は、例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール等の多価アルコール等の液体でありうる。あるいは、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。エアロゾル源は、液体であってもよいし、固体であってもよいし、液体および固体の混合物であってもよい。エアロゾル源に代えて、水等の蒸気源が用いられてもよい。香味源は、例えば、たばこ材料を成形した成形体でありうる。あるいは、香味源は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ、漢方、コーヒー豆等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。香味源は、エアロゾル源に添加されてもよい。
【0020】
電源ユニット101は、例えば、図1の紙面の上下方向に長い、丸みを帯びた略直方体の形状を有し、ユーザが片手で把持できる程度のサイズで構成されうる。電源ユニット101は、アウタパネル102、アクションボタンB、およびスライダ105を含みうる。
【0021】
アウタパネル102は、電源ユニット101の前面の少なくとも一部を覆う可撓性のパネル部材である。アウタパネル102は、交換のために取り外し可能な、電源ユニット101の外装部材であり、化粧パネルと理解されてもよい。例えば、色や絵柄の異なる複数のアウタパネルが用意され、ユーザは好みのアウタパネルに交換することができる。また、アウタパネル102は、電源ユニット101の内部で発生する熱を遮断する断熱パネルと理解されてもよく、さらには、落下時の衝撃や圧迫等から電源ユニット101の内部を保護する保護パネルと理解されてもよい。
【0022】
アウタパネル102には表示窓103が形成されている。表示窓103は、アウタパネル102の略中央で長手方向(紙面内上下方向)に沿って延在する帯状の窓でありうる。電源ユニット101は、報知部としてのディスプレイD(表示部)を有する(図2参照)。ディスプレイDは、例えば1つ以上のLED(Light-Emitting Diode)を含みうる。該LEDが発した光は表示窓103を透過する。ディスプレイDは、例えば、電池残量をバーグラフ形式で表示することができる。
【0023】
アクションボタンBは、物理的な押しボタンによって構成される操作ボタンである。アクションボタンBはアウタパネル102によって覆われているが、アウタパネル102は可撓性を有するため、ユーザはアウタパネル102を介してアクションボタンBを操作することができる。ユーザがアウタパネル102を介してアクションボタンBを押すと、それに対応した信号が後述する制御部へ伝送される。なお、本実施形態では、物理式のボタンで構成されるアクションボタンBがアウタパネル102に覆われる場合を例に説明するが、ユーザ操作を受け付け可能であれば、他の構成であってもよい。例えば、アクションボタンBの代わりに、アウタパネル102から露出されたタッチ感知面やスイッチなど、他の任意の種類の入力デバイスが設けられてもよい。
【0024】
なお、アウタパネル102には、ユーザがアウタパネル102越しにアクションボタンBを操作するために複数の指を使ってアウタパネル102を押し込む必要があるような剛性をもたせるようにしてもよい。それにより例えば、鞄の中で誤ってアクションボタンBが押下されることや、ユーザによる意図しない誤操作を防止することができる。また、子供のいたずら防止(チャイルドレジスタンス)の点でも有利である。
【0025】
スライダ105は、電源ユニット101の上面に矢印で示された方向105aに沿ってスライド可能に配設されるカバー部材(シャッタ)である。スライダ105は、スティック110を挿入する開口を開閉するように構成される。図1(a)には、スライダ105によって開口106が覆われた状態が示されている。以下ではこの状態を「シャッタ閉」ともいう。図1(b)には、スライダ105が手前側にスライドされたことにより開口106が露出した状態が示されている。以下ではこの状態を「シャッタ開」ともいう。
【0026】
ユーザは、吸引器100を使用してエアロゾルを吸引する際、スライダ105を操作してシャッタ開にする。その後、ユーザは、開口106にスティック110を挿入する。挿入されたスティック110は、開口106に連通する管状の保持部107によって保持される。保持部107の長手方向に直交する断面は、例えば円形、楕円形又は多角形であってよく、その断面積は底面に近付くにつれて徐々に減少するように構成されうる。このように構成することにより、保持部107へ挿入されたスティック110の外側面が保持部107の内側面から押圧され、スティック110の脱落が摩擦力によって防止されうる。ユーザは、その後、アクションボタンBを用いたロック解除操作を行うことができる。ロック解除操作が行われると、電源ユニット101のロックが解除されてスティック110の加熱が開始されて吸引可能状態となりうる。こうして吸引可能状態となったとき、ユーザは、スティック110の先端に形成された吸口部を口で咥えて、香味を有するエアロゾルを吸引することができる。ユーザは、エアロゾルの吸引を終了すると、スティック110を保持部107から引き抜き、スライダ105を閉じる操作を行う(シャッタ閉)。
【0027】
図2には、吸引器100の内部構成図が示されている。なお、図2ではアウタパネル102は省略されている。電源ユニット101は、上記したように、開口106に連通し、スティック110を保持する保持部107を有する。また、電源ユニット101は、ヒータHと、電気部品Eと、ユーザインタフェース116とを含みうる。電気部品Eは、電源を含み、該電源からの電力をヒータHへ供給する電力供給部として機能することができる。ユーザインタフェース116は電気部品Eに含まれるものと理解されてもよい。ヒータHは、スティック110を加熱する加熱部を構成する。ヒータHは、例えば、スティック110内のエアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させる抵抗発熱性の部品を含みうる。抵抗発熱性の部品の抵抗発熱材料としては、例えば、銅、ニッケル合金、クロム合金、ステンレス、及び白金ロジウムのうちの1つ以上の混合物が使用されうる。ヒータHは、保持部107の周囲を覆うように配置され、電気部品Eから供給される電力によって発熱する。ヒータHの熱は保持部107を介してスティック110へと伝わり、スティック110が加熱される。スティック110が加熱されることでスティック110からエアロゾルが生成されうる。ユーザインタフェース116は、アクションボタンBと、報知部としてのディスプレイDおよび振動発生部Vとを含みうる。振動発生部Vは、電源ユニット101の筐体を振動させるための振動モータ(バイブレータ)で構成されうる。振動モータによって筐体を振動させることで電源ユニット101を持っているユーザに状態を報知することができる。
【0028】
ユーザがスティック110の先端の吸口部を口で咥えて吸引動作を行うと、破線矢印Aで例示されるように、不図示の開口を通じてスティック内に空気が流入し、ヒータHがスティック110を加熱することによって蒸気化および/またはエアロゾル化されたエアロゾル源がその空気によって吸口部に向けて輸送される。エアロゾル源が吸口部に向けて輸送される過程において、蒸気化および/またはエアロゾル化されたエアロゾル源が冷却されて微小な液滴が形成されることで、エアロゾル化が促進されうる。そして、スティック110に香味源も含まれている構成においては、香味源から発生した香味物質がそのエアロゾルに添加されて、これにより香味を有するエアロゾルが吸口部に輸送され、ユーザの口に吸い込まれる。
【0029】
なお、以上の例では、ヒータHが電源ユニット101に内蔵されている例を示したが、スティック110に代えて、ヒータ(霧化器)、エアロゾル源、および香味源がカートリッジのかたちで提供される構成であってもよい。
【0030】
次に、図3を参照して、電源ユニット101の機能構成例を説明する。なお、説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、あるいはその逆であってもよい。
【0031】
制御部120は、電源ユニット101の動作を制御する。制御部120は、1つ以上のプロセッサと揮発性のメモリを含み、プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラであってよい。制御部120は、記憶部121に記憶されるコンピュータプログラム(ソフトウェア又はファームウェアともいう)をメモリにロードして実行することにより、吸引器100の機能全般を制御する。記憶部121は、例えば不揮発性のメモリであってよい。記憶部121は、1つ以上のコンピュータプログラムや、加熱部130を制御するための制御シーケンス(加熱プロファイル)が記述されたデータ等を記憶する。なお、加熱部130は、スティック110を加熱する機能部であり、前述のヒータHによって構成される。
【0032】
制御部120は、外部通信装置との間の通信(ペアリングや通常時の接続)を制御しうる。また、制御部120は、アクションボタンBやスライダ105に対するユーザ操作などに応じて、吸引器100の状態遷移を制御しうる。制御部120は、バッテリ132からの電力の加熱部130への供給を制御する。制御部120は、エアロゾル生成要求に応じて、電源であるバッテリ132から加熱部130への電力の供給を開始させることができる。制御部120は、例えば、加熱部130に対する温度制御を、制御パルスのデューティ比をパルス幅変調(PWM)によって調整する。なお、制御部120は、PWMの代わりにパルス周波数変調(PFM)を利用してもよい。
【0033】
入力検知部122は、例えばアクションボタンBに対する操作入力を検知する。入力検知部122は、例えば、アウタパネル102の押し込みを通じたユーザ操作を検知し、ユーザ操作を示す入力信号を制御部120へ出力する。なお、吸引器100は、アクションボタンBに対する押下を検知する代わりに、アウタパネル102の押し込みそのものを検知するようにしてもよい。
【0034】
状態検知部123は、スライダ105の開閉状態を検知しる。状態検知部123は、例えばホール素子を含むホールセンサにより構成されうる。状態検知部123は、スライダ105が開かれているか又は閉じられているかを示す状態検知信号を制御部120へ出力する。さらに、状態検知部123は、アウタパネル102の着脱状態も検知しうる。したがって、状態検知部123は例えば、前述した磁気センサ23Aまたは23Bを含みうる。状態検知部123は、アウタパネル102の着脱状態を示す状態検知信号を制御部120へ出力してもよい。
【0035】
吸引検知部124(パフセンサ)は、ユーザによるスティック110の吸引(パフ)を検知しうる。例えば、吸引検知部124は、開口106の近傍に配設されるサーミスタを含みうる。この場合、吸引検知部124は、ユーザによる吸引に起因する温度変化がもたらすサーミスタの抵抗値の変化に基づいて吸引を検知し得る。他の例として、吸引検知部124は、保持部107の底部に配設される圧力センサを含んでもよい。この場合、吸引検知部124は、吸引により引き起こされる気流がもたらす気圧の減少に基づいて吸引を検知し得る。吸引検知部124は、例えば、吸引が行われているか否かを示す吸引検知信号を制御部120へ出力する。
【0036】
発光部125は、1つ以上のLEDと、LEDを駆動するためのドライバとを含み、ディスプレイDを構成する。発光部125は、制御部120から入力される指示信号に従ってLEDの各々を発光させる。振動部126は、前述の振動発生部Vを構成する。振動部126は、バイブレータ(例えば、偏心モータ)と、バイブレータを駆動するためのドライバとを含みうる。振動部126は、制御部120から入力される指示信号に従ってバイブレータを振動させる。制御部120は、例えば、吸引器100の何らかのステータス(例えば、ペアリングの状況やアウタパネル102の取り外し)をユーザに報知するために、発光部125及び振動部126の少なくとも一方を任意のパターンで制御してよい。例えば、発光部125の発光パターンは、各LEDの発光状態(常時発光/点滅/非発光)、点滅周期、及び発光色といった要素で区別され得る。振動部126の振動パターンは、バイブレータの振動状態(振動/停止)及び振動の強さといった要素で区別され得る。
【0037】
通信I/F127は、例えば通信用回路及びアンテナを含み、吸引器100が外部通信装置(例えば、ユーザが所持するスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末など)と無線で通信するための通信インタフェースである。通信I/F127は、例えばBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信、NFC(Near Field Communication)などの近接無線通信、又は無線LAN(Local Area Network)といった任意の無線通信プロトコルに準拠するインタフェースであってよい。
【0038】
接続I/F128は、吸引器100を他の外部装置へ接続するための端子を有する有線インタフェースである。接続I/F128は、例えばUSB(Universal Serial Bus)インタフェースなどの充電可能なインタフェースであってよい。接続I/F128は、外部電源(充電器)から(図示しない給電線を介して)バッテリ132を充電するために利用されてもよい。
【0039】
バッテリ132は、リチウムイオン電池などの充電可能な電池(二次電池)である。あるいは、バッテリ132は、リチウムイオンキャパシタのような電気二重層キャパシタで構成されていてもよい。残量計133は、バッテリ132の電力の残量その他のステータスを監視するためのICチップを含みうる。残量計133は、例えば、充電率(SOC:State Of Charge)、劣化度(SOH:State Of Health)、相対充電率(RSOC)及び電源電圧といったバッテリ132のステータス値を周期的に計測し、計測結果を制御部120へ出力し得る。
【0040】
<動作モードについて>
図4を参照して、電源ユニット101の状態遷移の一例について説明する。制御部120は、複数の動作モードを有する。複数の動作モードは、例えば、スリープモード61、アクティブモード62、エアロゾル生成モード63、充電モード64、ロック解除設定モード65、およびペアリングモード66を含みうる。
【0041】
スリープモード61は、制御部120による動作を一時的に停止させて、消費電力を低下させた節電状態で待機させる状態である。スリープモードは、吸引器100が主要な動作を休止している状態であり、ヒータHに対して電力が供給されることはない。ディスプレイDによる表示も行われない。言い換えると、スリープモード61では、電源ユニット101はロックされており、ユーザはエアロゾルの吸引を行うことはできない。スリープモード61において、制御部120は、予め定められたユーザ入力を受け付けることはでき、該当するユーザ入力を受け付けると、当該ユーザ入力に応じた他のモードへ遷移させることができる。なお、以下の説明では、スリープモードを待機状態という場合もある。本実施形態では、制御部120のメモリの内容を維持して待機状態に入る「サスペンド」或いは「スタンバイ」の方法によりスリープモード61となってもよいし、制御部120のメモリの内容を記憶部121に複製して待機状態に入る「ハイバネーション」の方法によりスリープモードとなってもよい。スリープモード61では、スライダ105またはアクションボタンBに対するユーザ操作の検知機能、及び、バッテリ残量の監視機能を除いて、他の機能が稼働しない状態であってもよい。
【0042】
スリープモード61において、例えばスライダ105が開けられる操作(シャッタ開にする操作)が行われると、制御部120は、少なくともディスプレイDによる表示を行うアクティブモード62へ遷移しうる。アクティブモード62において、スライダ105が閉じられる操作(シャッタ閉にする操作)がされた場合または電源ユニット101に対するユーザ操作がない無操作状態が所定時間継続した場合、制御部120は、ディスプレイDによる表示を停止し節電状態で待機するスリープモード61に戻りうる。
【0043】
アクティブモード62において、ロック解除操作が検知されると、制御部120は、電源ユニット101のロック状態が解除され、エアロゾルを生成するエアロゾル生成モード63に遷移しうる。ロック解除操作とは、例えば、アクションボタンBの1回の押下でありうる。ただし、ロック解除操作は設定により変更が可能である。例えば、ロック解除操作は、アクションボタンBを所定時間内に所定回数(例えば3回)にわたって繰り返し押す操作、アクションボタンBを規定時間(例えば3秒間)にわたって長押しする操作、あるいはそれらの組み合わせ、とすることができる。エアロゾル生成モード63では加熱部130による加熱(すなわちヒータHへの電力供給)が行われ、ユーザはエアロゾルの吸引を行うことができる。あるいは、ロック解除操作の設定は無効とし、吸引検知部124(パフセンサ)によってユーザによる吸引(パフ)が検知されたことに応じてエアロゾル生成モード63に遷移するようにしてもよい。吸引が終了したとき、または、吸引時間が規定の上限時間(MaxLoadingTime)に達したときは、制御部120はアクティブモード62に戻りうる。
【0044】
スリープモード61またはアクティブモード62(あるいはエアロゾル生成モード63)において外部電源(充電器)が接続I/F128に接続されると、制御部120は充電モード64に遷移し、バッテリ132の充電が行われる。外部電源が接続I/F128から取り外されたとき、あるいは、バッテリ132が満充電状態となったとき、制御部120はスリープモード61に遷移する。
【0045】
充電モード64において、例えばアクションボタンBに対する所定の操作が行われると、制御部120は、ロック解除設定モード65に遷移することができる。ロック解除設定モード65では、ロック解除操作の設定が行われる。例えば、デフォルト状態におけるロック解除操作は、例えば、アクションボタンBの1回の押下でありうる。ロック解除設定モード65においては、ユーザはこのロック解除操作を他の操作に変更することができる。例えば、ロック解除操作は、アクションボタンBを所定時間内に所定回数にわたって繰り返し押す操作、アクションボタンBを規定時間にわたって長押しする操作、あるいはそれらの組み合わせ、等の任意のパターンに設定されうる。これにより、電源ユニット101のセキュリティ性能を高めることが可能である。設定が終了すると、制御部120は充電モード64に戻る。なお、本実施形態では、ロック解除設定モード65への遷移は充電モード64から行われるようにしたが、充電モード64以外の動作モードからロック解除設定モード65へ遷移できるような構成としてもよい。
【0046】
スリープモード61において所定のペアリング操作が行われると、制御部120は、外部通信装置との間でペアリングを実行するためのペアリングモード66に遷移しうる。ペアリングは、電源ユニット101と外部通信装置とを関連付ける処理であり、例えば外部通信装置との間でBluetooth(登録商標)に準拠して行われうる。また、ペアリング操作とは、例えば、スライダ105を閉じたままアクションボタンBを押下する操作でありうる。ペアリングモード66において、制御部120は、外部通信装置との間でペアリングが成功すると、ペアリングされた機器の識別情報を、記憶部121に格納されているホワイトリストに登録する。制御部120は、ホワイトリストへの登録が成功すると、或いは、ペアリングが失敗すると、ペアリングモード66からスリープモード61に遷移しうる。
【0047】
<制御シーケンスについて>
制御部120は、所定の制御シーケンスに従い、電気部品Eにより構成される電力供給部を制御する。実施形態において、制御シーケンスは、ヒータHの目標温度の時系列推移を規定した制御プロファイル(温度プロファイル)に基づく制御シーケンスでありうる。
【0048】
制御部120は、バッテリ132から加熱部130への電力の供給を、セッションの全体を通じて良好なユーザ体験を提供するための温度プロファイルを実現するように制御する。本明細書において、セッションとは、1つの物品(ここでは、保持部107によって保持されたスティック110)に含まれるエアロゾル源を消費するための温度制御が行われるひとまとまりの期間をいう。セッションは、加熱期間と呼ばれてもよい。セッションは、一般的な紙巻たばこにおける1本あたりの吸引回数(例えば10~20回)に対応する期間とすることができる。制御部120により行われる温度制御は、加熱部130の近傍に配置される不図示のサーミスタを用いて検知される温度指標を制御量、電力供給のデューティ比を操作量とするフィードバック制御(例えば、PID制御)であってよい。
【0049】
図5は、1回のセッションにおいて実現され得る温度プロファイルの一例について説明するための説明図である。図中の横軸は、加熱部130への給電開始からの経過時間を表し、縦軸は加熱部130の温度を表す。太い折れ線は、一例としての温度プロファイル40を表す。温度プロファイル40は、冒頭の予熱期間(T0~T2)、及び予熱期間に後続する吸引可能期間(T2~T8)からなる。一例として、吸引可能期間全体の長さは5分程度であってよい。
【0050】
予熱期間は、加熱部130の温度を環境温度H0から第1温度H1へ急速に上昇させる昇温区間S0(T0~T1)、及び加熱部130の温度を予熱期間終了時まで第1温度H1に維持する維持区間S1(T1~T2)を含む。このように、最初に加熱部130を急速に第1温度H1まで加熱することで、スティック110のエアロゾル生成基体の全体に早期に充分に熱を行き渡らせて、良好な品質のエアロゾルをより早くユーザに提供開始することができる。
【0051】
吸引可能期間は、吸引可能期間の開始時から加熱部130の温度を第1温度H1に維持する維持区間S2(T2~T3)、加熱部130の温度を第2温度H2へ向けて下降させる降温区間S3(T3~T4)、及び加熱部130の温度を第2温度H2に維持する維持区間S4(T4~T5)(第1区間)を含む。このように、いったん第1温度H1まで上昇した加熱部130の温度を第2温度H2まで下降させることで、程よい喫味での吸引をより長く安定的にユーザに提供することができる。降温区間S3では、バッテリ132から加熱部130への電力の供給が停止されてもよい。吸引可能期間は、さらに、加熱部130の温度を第2温度H2から第3温度H3へ徐々に昇温させる昇温区間S5(T5~T6)(第2区間)、加熱部130の温度を第3温度H3に維持する維持区間S6(T6~T7)、及び加熱部130の温度を環境温度H0へ向けて下降させる降温区間S7(T7~T8)を含む。このように、吸引可能期間の後半で加熱部130の温度を再度上昇させることで、スティック110に含まれるエアロゾル源が減少していく状況において喫味の低下を抑制して、吸引可能期間の最後まで満足度の高い体験をユーザに提供することができる。
【0052】
なお、上記の温度プロファイルは一例であって、エアロゾル源や香味源の種類が異なるスティックに適合する別の温度プロファイルが使用されてもよい。後述するように、温度プロファイルは変更することができる。
【0053】
<報知制御について>
制御部120は、上述の制御シーケンスに従いバッテリ132から加熱部130(ヒータH)への電力供給を制御する。制御部120はこの電力供給の制御とともに、制御シーケンスにより定まる吸引可能期間における報知部による報知を制御する。図6には、制御部120による報知制御のフローの一例が示されている。この報知制御は、制御部120がエアロゾル生成モード63に遷移してヒータHへの電力供給が開始されたところから開始される。なお、このフローチャートでは、並行して行われている電力供給の制御自体には言及しておらず、報知に関する制御のみに触れていることに留意されたい。
【0054】
ステップS101において、制御部120は、予熱期間が終了したか否かを判定する。例えば、制御部120は、昇温区間S0の終了後、例えば所定時間が経過したことにより維持区間S1が終了とみなし、これにより予熱期間が終了したと判定する。予熱期間の終了は吸引可能期間の開始と同義でありうる。そこで、制御部120は、S102において、吸引可能期間の開始を知らせる開始報知を行う。開始報知は例えば、発光部125による所定の発光パターンでの発光および振動部126による所定の振動パターンでの振動により行われる。ユーザは、この報知を感知することで、吸引の準備が整い吸引を開始できることを認識する。
【0055】
制御部120は、ステップS103において所定時間(例えば15秒間)待機した後、ステップS104において中間報知を行う。中間報知は、吸引可能期間の1つ以上の中間タイミングにおいて行われる報知である。中間報知は、ユーザがステップS102で行われた開始報知と区別できるよう開始報知とは異なる態様で実行されるとよい。例えば、中間報知は、発光部125による発光はされず振動部126による振動のみによって行われる。
【0056】
制御部120は、中間報知として、とりわけ、制御シーケンスにより定まる吸引可能期間のうち、エアロゾルに含まれる香味成分の量が所定の量になるタイミングを報知してもよい。エアロゾルに含まれる香味成分の量が所定の量になるタイミングとは、例えば、加熱部130の温度を第3温度H3に維持する維持区間S6(T6~T7)の開始タイミングであってもよい。ユーザは、このような報知を感知することで、再昇温がもたらす喫味の改善を実感できるタイミングを知ることができる。
【0057】
ステップS105において、制御部120は、温度プロファイルにおける最後の維持区間である維持区間S6が終了したか否かを判定する。まだ維持区間S6が終了していなければ、制御部120は、S103に戻って所定時間待機した後、ステップS104で中間報知を行う。こうして、維持区間S6が終了するまでの間、所定時間間隔で中間報知が繰り返し行われる。このような中間報知により、ユーザは、現在が吸引可能期間中であることを認識できる。
【0058】
維持区間S6が終了した判定されると、制御部120は、ステップS106において、制御部120は、吸引可能期間の終了を知らせる終了報知を行う。なお、本実施形態において、維持区間S6の終了は降温区間S7の始まりであり、厳密には吸引可能期間は終了していない。したがって、終了報知は、吸引可能期間の終了を予告する報知(終了予告報知)であると理解されてもよい。終了報知(終了予告報知)は、ユーザが中間報知と区別できるよう中間報知とは異なる態様で実行されるとよい。終了報知は、開始報知と同じ態様で行われるのは構わない。すなわち、終了報知は例えば、発光部125による所定の発光パターンでの発光および振動部126による所定の振動パターンでの振動により行われてもよい。ユーザは、終了報知を感知することで、吸引を終える必要があることを認識する。
【0059】
次に、図7および図8を参照して、制御部120による報知制御の他の例を説明する。この例は、温度プロファイルの区間単位で報知を制御するものである。
【0060】
図7には、温度プロファイルに従う1セッションにおける各区間での報知の内容を規定した報知設定情報の例が示されている。報知設定情報は例えば記憶部121に記憶される。図7の報知設定情報において、報知の設定値0は報知を行わないことを示し、設定値1は開始報知を行うことを示し、設定値2は中間報知を行うことを示し、設定3は終了報知を行うことを示すものとする。例えば、予熱期間にあたる区間S0およびS1の設定値は0であり、これらの区間では報知は行われない。吸引可能期間が開始される区間S2の設定値は1であり、開始報知が行われる。区間S4、S5、S6の設定値2であり、中間報知が行われる。区間S7の設定値は3であり、終了報知が行われる。なお、図7の例では、報知の種別を示す設定値だけが規定されているが、開始報知、中間報知、終了報知それぞれの態様(発光パターン、振動パターン、報知のタイミング、繰り返し頻度、強度等)を規定する設定値が更に規定されるデータ構造であってもよい。
【0061】
図8には、図7に示されたような報知設定情報を用いた報知制御の例を示すフローチャートが示されている。なお、このフローチャートにおいても、並行して行われている電力供給の制御自体には言及しておらず、報知に関する制御のみに触れていることに留意されたい。
【0062】
ステップS201において、制御部120は、記憶部121から報知設定情報を取得する(読み出す)。その後、制御部120は、区間番号を示す変数nを0に初期化する。
【0063】
ステップS203において、制御部120は、区間Sn(nは変数)が終了するのを待機する。区間Snが終了すると、制御部120は、ステップS204に進み、報知設定情報を参照して区間Snの報知の設定値を特定し、それに応じた報知を実行する。
【0064】
その後、ステップS205において、制御部120は、変数nが温度プロファイルの最終区間の番号(ここでは7)まで達したかを判定する。変数nが最終区間の番号に達していない場合、制御部120は、ステップS206において変数nを1増分し、ステップS203に戻る。ステップS205において、変数nが温度プロファイルの最終区間の番号に達したとき、処理は終了する。
【0065】
一例において、制御部120は、S201で取得した報知設定情報から、開始報知の直後の中間報知および終了報知の直前の中間報知について確認を行う。具体的には、制御部120は、開始報知とその直後の中間報知とのタイミング差が所定値より短い場合には、当該中間報知を無効にする。また、終了報知のその直前の中間報知とのタイミング差が所定値より短い場合には、当該中間報知を無効にする。これにより、中間報知と開始報知または終了報知とがほぼ同時に行われることを防止することができる。
【0066】
また、制御部120は、ユーザから入力された情報に基づいて、それぞれの報知の設定を行うことができるようにしてもよい。例えば、ペアリングモード66において、制御部120は、通信I/F127(通信部)を介して、外部通信装置とのペアリングを実行する。その後、ペアリングされている外部通信装置の表示部に、図9に示されるような報知設定画面を表示し、各報知に対する報知の態様を設定できるようにしてもよい。図9の例では、報知の態様として、発光部125(LED)の点滅パターンおよび振動部126(バイブレータ)の振動パターンを、複数の候補から選択できるようになっている。また、図9の例では、中間報知のタイミングについて、繰り返し間隔が複数の候補から選択できるようになっている。このような設定画面により設定された情報は、記憶部121に記憶される。制御部120は、記憶部121に記憶されたこの情報に従って、開始報知、終了報知、および中間報知を、ユーザの好みに合った態様で提供することができる。
【0067】
制御部120は、複数の中間報知の中で、例えば、維持区間S4と昇温区間S5とで報知の態様を異ならせてもよい。例えば、維持区間S4よりも昇温区間S5での中間報知のほうが強度の強い振動あるいは時間の長い振動を与えるようにしてもよい。これにより、ユーザは、吸引可能期間が後半に差し掛かっていることを認識することができる。
【0068】
さらに、制御部120は、エアロゾル源や香味源の種類が異なるスティックに適合する別の温度プロファイルを使用するために、温度プロファイルは変更することができる。例えば、ペアリングモード66において、制御部120は、通信I/F127(通信部)を介して、外部通信装置とのペアリングを実行する。その後、ペアリングされている外部通信装置を介して、外部サーバから所望の温度プロファイルをダウンロードすることができる。ダウンロードされた温度プロファイルは、記憶部121に記憶される。制御部120は、記憶部121に記憶された温度プロファイルを使用して温度制御を実行しうる。この場合、制御部120は、温度プロファイルが変更されたことに応じて、開始報知、終了報知、および中間報知のタイミングも変更しうる。
【0069】
以上説明した実施形態によれば、吸引可能期間において適時に吸引に関するユーザへの報知が行われる。とりわけ上述の実施形態によれば、ユーザに提供したい香味を提供できるタイミングをユーザに適時に通知することが可能である。
【0070】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
100:吸引器、101:電源ユニット、102:アウタパネル、103:表示窓、105:スライダ、110:スティック、B:アクションボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9