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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】鉄道車両および鉄道車両の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/08 20060101AFI20241106BHJP
   B61D 17/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B61D17/08
B61D17/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024091393
(22)【出願日】2024-06-05
【審査請求日】2024-06-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 賢太
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 尚
(72)【発明者】
【氏名】緋田 和高
(72)【発明者】
【氏名】辻本 諒
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/046458(WO,A1)
【文献】実開昭60-144562(JP,U)
【文献】特開2006-027366(JP,A)
【文献】特開2008-126782(JP,A)
【文献】特開2018-002029(JP,A)
【文献】特開平09-309164(JP,A)
【文献】特開2001-239375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台枠と、前記台枠の枕木方向の両端部に接合される一対の側構体と、を有する鉄道車両において、
前記側構体は、
前記鉄道車両の車外側の表面を形成する複数の側外板と、
前記側外板の車内側にて前記側外板を補強する補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、前記側外板同士の継ぎ目に対応する位置に、治具により前記側外板同士の継ぎ目またはその周辺を車内側から車外側に向かって押し出すために用いる作業穴を備え
前記補強部材として、前記側外板同士の継ぎ目を覆うように配置される内板を備え、
前記内板に前記作業穴が形成されていること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1の鉄道車両において、
前記側構体は、前記側外板の車内側にて、軌道方向に沿って設けられる横骨を、上下方向に複数備え、
前記作業穴の前記上下方向の位置は、前記上下方向に隣り合う前記横骨と前記横骨との間の位置に対応していること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
台枠と、前記台枠の枕木方向の両端部に接合される一対の側構体と、を有する鉄道車両の製造方法において、
前記側構体は、
前記鉄道車両の車外側の表面を形成する複数の側外板と、
前記側外板の車内側にて前記側外板を補強する補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、前記側外板同士の継ぎ目に対応する位置に、作業穴を備え、
前記補強部材として、前記側外板同士の継ぎ目を覆うように配置される内板を備え、
前記内板に前記作業穴が形成され、
前記側外板同士を溶接する時、および/または、溶接した後に、前記作業穴を用いて、治具により、前記側外板同士の継ぎ目またはその周辺を、車内側から車外側に向かって押し出すこと、
を特徴とする鉄道車両の製造方法。
【請求項4】
請求項3の鉄道車両の製造方法において、
前記側構体は、前記側外板の車内側にて、軌道方向に沿って設けられる横骨を、上下方向に複数備え、
前記作業穴の前記上下方向の位置は、前記上下方向に隣り合う前記横骨と前記横骨との間の位置に対応しており、
前記側外板同士を溶接する時、および/または、溶接した後に、前記作業穴を用いて、治具により、前記側外板にて前記上下方向に隣り合う前記横骨と前記横骨との間に対応する位置を、車内側から車外側に向かって押し出すこと、
を特徴とする鉄道車両の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、台枠と、台枠の枕木方向の両端部に接合される一対の側構体と、を有する鉄道車両および鉄道車両の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内装品を支持する側の内側表面に補強板が接合される車両用構体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-20687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道車両の側構体を形成する複数の側外板について、車外側から側外板同士の突合せ溶接を行う時に、溶接熱の影響により、溶接部である側外板同士の継ぎ目およびその周辺が車内側へ凹むおそれがある。
【0005】
そこで、側外板同士の継ぎ目およびその周辺に対して車内側から車外側に向かって押し出すことにより、凹みの発生を抑制したり、凹みを小さくすることが考えられる。
【0006】
しかしながら、側外板の車内側には、側外板を補強するための補強部材が配置されている。そのため、側外板同士の継ぎ目およびその周辺に対して車内側から車外側に向かって押し出すことが難しい。したがって、凹みの発生を抑制したり、凹みを小さくすることができないおそれがある。そうすると、側外板を平滑化できないので、側外板の美観を損なうおそれがある。
【0007】
ここで、特許文献1には、側外板の美観を向上させるための技術に関しては何ら開示されていない。
【0008】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、側外板の美観を向上させることができる鉄道車両および鉄道車両の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の鉄道車両は、以下の構成を備えている。
(1)台枠と、前記台枠の枕木方向の両端部に接合される一対の側構体と、を有する鉄道車両において、前記側構体は、前記鉄道車両の車外側の表面を形成する複数の側外板と、前記側外板の車内側にて前記側外板を補強する補強部材と、を備え、前記補強部材は、前記側外板同士の継ぎ目に対応する位置に、治具により前記側外板同士の継ぎ目またはその周辺を車内側から車外側に向かって押し出すために用いる作業穴を備え、前記補強部材として、前記側外板同士の継ぎ目を覆うように配置される内板を備え、前記内板に前記作業穴が形成されていること、を特徴とする。
【0010】
本開示においては、側外板同士を溶接する時、および/または、溶接した後に、作業穴を用いて、治具により、側外板同士の継ぎ目またはその周辺を車内側から車外側に向かって押し出すことができる。これにより、側外板同士を溶接する時に、溶接熱の影響により側外板同士の継ぎ目およびその周辺に凹みが発生することを抑制できる。また、側外板同士を溶接する時に溶接熱の影響により側外板同士の継ぎ目およびその周辺に凹みが発生した場合であっても、側外板同士を溶接した後に、その凹みを小さくすることができる。そのため、側外板の全体を平滑化できる。したがって、側外板の美観を向上させることができる。
【0011】
(2)(1)の鉄道車両において、前記側構体は、前記側外板の車内側にて、軌道方向に沿って設けられる横骨を、上下方向に複数備え、前記作業穴の前記上下方向の位置は、前記上下方向に隣り合う前記横骨と前記横骨との間の位置に対応していること、が好ましい。
【0012】
本開示においては、側外板において上下方向に隣り合う横骨と横骨との間に対応する位置は剛性が低いため凹み易いところ、作業穴を用いて、治具により、側外板同士の継ぎ目およびその周辺において、上下方向に隣り合う横骨と横骨との間に対応する位置を、車内側から車外側に向かって押し出すことができる。これにより、側外板同士の継ぎ目およびその周辺において、より効果的に、凹みの発生を抑制したり、凹みを小さくすることができる。
【0013】
(3)台枠と、前記台枠の枕木方向の両端部に接合される一対の側構体と、を有する鉄道車両の製造方法において、前記側構体は、前記鉄道車両の車外側の表面を形成する複数の側外板と、前記側外板の車内側にて前記側外板を補強する補強部材と、を備え、前記補強部材は、前記側外板同士の継ぎ目に対応する位置に、作業穴を備え、前記補強部材として、前記側外板同士の継ぎ目を覆うように配置される内板を備え、前記内板に前記作業穴が形成され、前記側外板同士を溶接する時、および/または、溶接した後に、前記作業穴を用いて、治具により、前記側外板同士の継ぎ目またはその周辺を、車内側から車外側に向かって押し出すこと、を特徴とする。
【0014】
本開示においては、側外板同士を溶接する時、および/または、溶接した後に、作業穴を用いて、治具により、側外板同士の継ぎ目またはその周辺を車内側から車外側に向かって押し出す。これにより、側外板同士を溶接する時に、溶接熱の影響により側外板同士の継ぎ目およびその周辺に凹みが発生することを抑制できる。また、側外板同士を溶接する時に溶接熱の影響により側外板同士の継ぎ目およびその周辺に凹みが発生した場合であっても、側外板同士を溶接した後に、その凹みを小さくすることができる。そのため、側外板の全体を平滑化できる。したがって、側外板の美観を向上させることができる。
【0015】
(4)(3)の鉄道車両の製造方法において、前記側構体は、前記側外板の車内側にて、軌道方向に沿って設けられる横骨を、上下方向に複数備え、前記作業穴の前記上下方向の位置は、前記上下方向に隣り合う前記横骨と前記横骨との間の位置に対応しており、前記側外板同士を溶接する時、および/または、溶接した後に、前記作業穴を用いて、治具により、前記側外板にて前記上下方向に隣り合う前記横骨と前記横骨との間に対応する位置を、車内側から車外側に向かって押し出すこと、が好ましい。
【0016】
本開示においては、側外板において上下方向に隣り合う横骨と横骨との間に対応する位置は剛性が低いため凹み易いところ、作業穴を用いて、治具により、側外板同士の継ぎ目およびその周辺において、上下方向に隣り合う横骨と横骨との間に対応する位置を、車内側から車外側に向かって押し出す。これにより、側外板同士の継ぎ目およびその周辺において、より効果的に、凹みの発生を抑制したり、凹みを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の鉄道車両および鉄道車両の製造方法によれば、側外板の美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の鉄道車両の側面図である。
図2図1の鉄道車両の車両構体を軌道方向から見た断面(A-A断面)を模式的に示す図である。
図3】側構体を車外側から見た正面図である。
図4】側構体における開口部とその周辺を車内側から見た斜視図である。
図5】側構体における開口部とその周辺を車内側から見た正面図である。
図6図5のB-B断面図である。
図7図5のC-C断面図である。
図8】開口部の上側における側外板と裏当板と裏当板補強材と内板の分解斜視図である。
図9】側構体における開口部の下側を車内側から見た正面図であって、縦骨を省略して示した図である。
図10図9のD-D断面図である。
図11図9のE-E断面図である。
図12】開口部の下側における側外板と裏当板と裏当板補強材と内板の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の鉄道車両の実施形態について説明する。
【0020】
[鉄道車両の構成について]
図1に示すように、鉄道車両1は、軌道101上を走行する車両であり、車両構体11と台車12を有する。
【0021】
図1図2に示すように、車両構体11は、台枠21と、一対の切妻構体22と、一対の側構体23と、屋根構体24と、により6面体をなすように構成されている。
【0022】
台枠21は、鉄道車両1の床部を形成している。一対の切妻構体22は、台枠21の軌道方向の両端部に立設されることで、鉄道車両1の連結部を形成している。一対の側構体23は、台枠21の枕木方向の両端部に接合されて立設されることで、車両構体11の側面11aを形成している。屋根構体24は、切妻構体22および側構体23の上端部に接合されることで、車両構体11の屋根面11bを形成している。
【0023】
また、車両構体11には、図1に示すように、内部の客室に通じる乗客乗降口31および窓32が設けられている。
【0024】
台車12は、空気ばね13を介して車両構体11を支持している。
【0025】
なお、本実施形態の鉄道車両1は、図1に示す例では軌道方向の両端部に連結部が形成される中間車両であるが、これに限定されるものではなく、先頭車両であっても良い。鉄道車両1が先頭車両である場合には、台枠21の軌道方向の両端部のうちの一方の端部に、鉄道車両1の先頭部を形成する先頭妻構体が立設され、他方の端部に、鉄道車両1の連結部を形成する切妻構体22が立設される。
【0026】
[側構体について]
次に、側構体23について説明する。側構体23は、炭素鋼、ステンレス鋼やアルミ合金などの金属の板材により形成されている。
【0027】
図3図5に示すように、側構体23は、側外板41と、横骨42と、縦骨43と、を備えている。
【0028】
側外板41は、鉄道車両1の車外側の表面である車両構体11の側面11aを形成している。詳しくは、複数の側外板41が接合されて、車両構体11の側面11aを形成している。また、側外板41は、横骨42を介して、縦骨43により、車内側(すなわち、鉄道車両1の内側)から支持されている。
【0029】
横骨42は、側外板41の車内側にて、上下方向に複数設けられており、鉄道車両1の軌道方向に沿って設けられている。縦骨43は、側外板41の車内側にて、上下方向に沿って設けられている。
【0030】
また、図4図8に示すように、側構体23は、窓32になる開口部61の上側にて、裏当板44と、裏当板補強材45と、内板46と、を備えている。なお、内板46の車内側には、不図示の縦骨が設けられている。
【0031】
裏当板44は、側外板41の車内側の面に接合されている。裏当板補強材45は、裏当板44の車内側の面に接合されており、裏当板44を補強している。なお、裏当板補強材45は、断面ハット形状に形成される部分と、断面コの字形状に形成される部分と、を備えている。
【0032】
内板46は、開口部61の上側において、側外板41の車内側にて側外板41を補強する補強部材である。この内板46は、横骨42の頭頂部と、裏当板補強材45における断面ハット形状に形成される部分のフランジ部と、に車内側から接合しており、横骨42を介して、また、裏当板補強材45および裏当板44を介して、側外板41を支持している。なお、内板46は、平板状に形成されている。
【0033】
また、図4図5図9図12に示すように、側構体23は、開口部61の下側に、裏当板47と、裏当板補強材48と、内板49と、を備えている。なお、内板49の車内側には、不図示の縦骨が設けられている。
【0034】
裏当板47は、側外板41の車内側の面に接合されている。裏当板補強材48は、裏当板47の車内側の面に接合されており、裏当板47を補強している。なお、裏当板補強材48は、断面ハット形状に形成される部分と、断面コの字形状に形成される部分と、を備えている。
【0035】
内板49は、開口部61の下側において、側外板41の車内側にて側外板41を補強する補強部材である。この内板49は、横骨42の頭頂部と、裏当板補強材48における断面ハット形状に形成される部分のフランジ部と、に車内側から接合しており、横骨42を介して、また、裏当板補強材48および裏当板47を介して、側外板41を支持している。なお、内板49は、平板状に形成されている。
【0036】
[内板の作業穴について]
2つの側外板41同士の突合せ溶接(以下、単に「溶接」という)を車外側から行う時に、溶接熱の影響により、溶接部である側外板41同士の継ぎ目41aの部分(すなわち、継ぎ目41aおよびその周辺)が車内側へ凹むおそれがある。これは、車外側から側外板41同士を溶接すると、側外板41の板厚に対し溶接幅は車内側よりも車外側の方が大きくなって、溶接後の溶接縮み量も車内側よりも車外側の方が大きくなることにより、側外板41は車内側に凹み易くなるからである。特に、側外板41同士の継ぎ目41aの部分において、上下方向に離間して配置される横骨42と横骨42との間(すなわち、上下方向に隣り合う横骨42の間)に対応する位置では、剛性が小さくなるので、凹み易い。
【0037】
そこで、側外板41同士を溶接する時に、側外板41同士の継ぎ目41aの部分に対して車内側から車外側に向かって押し出すことにより、凹みの発生を抑制することが考えられる。あるいは、側外板41同士を溶接した後に、側外板41同士の継ぎ目41aの部分に対して車内側から車外側に向かって押し出すことにより、側外板41同士を溶接した時に発生した凹みを小さくすることが考えられる。
【0038】
しかしながら、側外板41の車内側には、側外板41を補強するための内板46が配置されている。そのため、この内板46があるために、側外板41同士の継ぎ目41aの部分に対して車内側から車外側に向かって押し出すことが難しい。
【0039】
そこで、本実施形態では、図4図5に示すように、内板46は、側外板41同士の継ぎ目41aに対応する位置(すなわち、車内側から内板46を見たときに側外板41同士の継ぎ目41aと重なる位置)に、作業穴71を備えている。
【0040】
そして、側外板41同士を溶接する時、および/または、溶接をした後に、作業穴71を用いて、治具(不図示、例えば、シャコ万力など)により、図6図7にて矢印で示すように、側外板41同士の継ぎ目41aの部分を車内側から車外側に向かって押し出すようにする。
【0041】
また、同様に、図8図9に示すように、内板49は、側外板41同士の継ぎ目41aに対応する位置(すなわち、車内側から内板49を見たときに側外板41同士の継ぎ目41aと重なる位置)に、作業穴72を備えている。
【0042】
そして、側外板41同士を溶接する時、および/または、溶接をした後に、作業穴72を用いて治具により、図10図11にて矢印で示すように、側外板41同士の継ぎ目41aの部分を車内側から車外側に向かって押し出すようにする。
【0043】
これにより、側外板41同士を溶接する時に、溶接熱の影響により側外板41同士の継ぎ目41aの部分に凹みが発生することを抑制できる。また、側外板41同士を溶接する時に溶接熱の影響により側外板41同士の継ぎ目41aの部分に凹みが発生した場合であっても、側外板41同士を溶接した後に、その凹みを小さくすることができる。そのため、側外板41の全体を平滑化できる。したがって、側外板41の美観を向上させることができる。
【0044】
また、側外板41同士の継ぎ目41aの部分において、上下方向に隣り合う横骨42と横骨42との間に対応する位置では、剛性が低いので、側外板41同士を溶接する時に凹みが発生し易い。
【0045】
そこで、本実施形態では、作業穴71と作業穴72の上下方向の位置は、上下方向に隣り合う横骨42と横骨42との間の位置に対応している。なお、作業穴71と作業穴72の位置は、それぞれ、上下方向に隣り合う横骨42と横骨42との間の位置のうち、内板46と内板49の中央の位置に対応していることが好ましい。また、上下方向に隣り合う横骨42と横骨42との間の位置に対応して設けられる作業穴71と作業穴72の数は、1つに限らず、複数であってもよい。
【0046】
これにより、側外板41同士を溶接する時、および/または、溶接した後に、作業穴71と作業穴72を用いて、治具により、上下方向に隣り合う横骨42と横骨42との間の位置を、車内側から車外側に向かって押し出すことができる。そのため、側外板41同士の継ぎ目41aの部分において、より効果的に、凹みの発生を抑制したり、凹みを小さくすることができる。
【0047】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0048】
1 鉄道車両
11 車両構体
11a 側面
12 台車
21 台枠
23 側構体
41 側外板
41a 継ぎ目
42 横骨
43 縦骨
46 内板
49 内板
71 作業穴
72 作業穴
【要約】
【課題】側外板の美観を向上させることができる鉄道車両および鉄道車両の製造方法を提供すること。
【解決手段】本開示の一態様は、台枠21と、台枠21の枕木方向の両端部に接合される一対の側構体23と、を有する鉄道車両1において、側構体23は、車両構体11の側面11aを形成する複数の側外板41と、側外板41の車内側にて側外板41を補強する内板46,49と、を備え、内板46,49は、側外板41同士の継ぎ目41aに対応する位置に、治具により側外板41同士の継ぎ目41aの部分を車内側から車外側に向かって押し出すために用いる作業穴71,72を備えている。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12