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特許7583221情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0202 20230101AFI20241106BHJP
【FI】
G06Q30/0202
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024117884
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2024042368の分割
【原出願日】2024-03-18
【審査請求日】2024-07-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】チェン クアン ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ペリー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】銭 丹翌
(72)【発明者】
【氏名】大場 孝二
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-133167(JP,A)
【文献】特開2023-132998(JP,A)
【文献】特開2020-087183(JP,A)
【文献】特開2023-108896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子決済サービスの加盟店の過去の売上実績に基づいて、将来の売上を予測する第1処理部と、
前記電子決済サービスにおいて管理されている前記加盟店の情報に基づいて、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または前記所定期間後に前記加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標を導出する第2処理部と、
前記将来の売上と、前記指標とに基づいて、前記加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出する統合処理部と、を備え、
前記第2処理部は、入力された入力情報に応じた前記指標を出力する学習済モデルに入力情報を入力し、前記学習済モデルが出力した結果に基づいて前記指標を導出し、
前記入力情報は、前記加盟店としての登録日数の情報を含む、
情報処理装置。
【請求項2】
電子決済サービスの加盟店の過去の売上実績に基づいて、将来の売上を予測する第1処理部と、
前記電子決済サービスにおいて管理されている前記加盟店の情報に基づいて、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または前記所定期間後に前記加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標を導出する第2処理部と、
前記将来の売上と、前記指標とに基づいて、前記加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出する統合処理部と、を備え、
前記第2処理部は、入力された入力情報に応じた前記指標を出力する学習済モデルに入力情報を入力し、前記学習済モデルが出力した結果に基づいて前記指標を導出し、
前記入力情報は、前記加盟店における前記電子決済サービスの電子決済の単価に関する情報と、前記電子決済サービスの電子決済に係るユーザ数と、前記電子決済がされた時刻に関する情報とのうち一以上の情報を含む、
情報処理装置。
【請求項3】
前記入力情報は、更に前記加盟店の売上を含む、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記単価に関する情報は、前記単価が統計処理された情報である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記時刻に関する情報は、前記時刻が統計処理された情報である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記入力情報は、更に前記加盟店で電子決済サービスを利用した利用者の情報を含む、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記利用者の情報は、前記利用者の特徴情報を含む、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記入力情報は、前記加盟店における前記電子決済サービスの利用者の利用状況と、前記加盟店の業種と、前記加盟店の所在地である都道府県と、前記加盟店としての登録日数と、前記加盟店の売上とを含む、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
電子決済サービスの加盟店の過去の売上実績に基づいて、将来の売上を予測し、
前記電子決済サービスにおいて管理されている前記加盟店の情報に基づいて、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または前記所定期間後に前記加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標を導出し、
前記将来の売上と、前記指標とに基づいて、前記加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出し、
入力された入力情報に応じた前記指標を出力する学習済モデルに入力情報を入力し、前記学習済モデルが出力した結果に基づいて前記指標を導出し、
前記入力情報は、前記加盟店としての登録日数の情報を含む、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
電子決済サービスの加盟店の過去の売上実績に基づいて、将来の売上を予測させ、
前記電子決済サービスにおいて管理されている前記加盟店の情報に基づいて、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または前記所定期間後に前記加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標を導出させ、
前記将来の売上と、前記指標とに基づいて、前記加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出させ、
入力された入力情報に応じた前記指標を出力する学習済モデルに入力情報を入力し、前記学習済モデルが出力した結果に基づいて前記指標を導出させ、
前記入力情報は、前記加盟店としての登録日数の情報を含む、
プログラム。
【請求項11】
コンピュータが、
電子決済サービスの加盟店の過去の売上実績に基づいて、将来の売上を予測し、
前記電子決済サービスにおいて管理されている前記加盟店の情報に基づいて、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または前記所定期間後に前記加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標を導出し、
前記将来の売上と、前記指標とに基づいて、前記加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出し、
入力された入力情報に応じた前記指標を出力する学習済モデルに入力情報を入力し、前記学習済モデルが出力した結果に基づいて前記指標を導出し、
前記入力情報は、前記加盟店における前記電子決済サービスの電子決済の単価に関する情報と、前記電子決済サービスの電子決済に係るユーザ数と、前記電子決済がされた時刻に関する情報とのうち一以上の情報を含む、
情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
電子決済サービスの加盟店の過去の売上実績に基づいて、将来の売上を予測させ、
前記電子決済サービスにおいて管理されている前記加盟店の情報に基づいて、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または前記所定期間後に前記加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標を導出させ、
前記将来の売上と、前記指標とに基づいて、前記加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出させ、
入力された入力情報に応じた前記指標を出力する学習済モデルに入力情報を入力し、前記学習済モデルが出力した結果に基づいて前記指標を導出させ、
前記入力情報は、前記加盟店における前記電子決済サービスの電子決済の単価に関する情報と、前記電子決済サービスの電子決済に係るユーザ数と、前記電子決済がされた時刻に関する情報とのうち一以上の情報を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取引先に対する与信限度額を含む限度額テーブルを参照して、限度額テーブル中の与信限度額から、取引先に対する与信余力を算出する与信余力算出装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-179703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、資金の提供に対して適切な評価を行うことができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、加盟店に対して資金の提供に関する評価を適切に行うための指標を導出することができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電子決済サービスの加盟店の過去の売上実績に基づいて、将来の売上を予測する第1処理部と、前記電子決済サービスにおいて管理されている前記加盟店の情報に基づいて、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または前記所定期間後に前記加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標を導出する第2処理部と、前記将来の売上と、前記指標とに基づいて、前記加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出する統合処理部と、を備え、前記第2処理部は、入力された入力情報に応じた前記指標を出力する学習済モデルに入力情報を入力し、前記学習済モデルが出力した結果に基づいて前記指標を導出し、前記入力情報は、前記加盟店における前記電子決済サービスの利用者の利用状況と、前記加盟店の業種と、前記加盟店の所在地である都道府県と、前記加盟店としての登録日数とのうち、一以上の情報を含む情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、加盟店に対して資金の提供に関する評価を適切に行うための指標を導出することができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子決済サービスが実現される電子決済システムの構成の一例を示す図である。
図2】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その1)である。
図3】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その2)である。
図4】決済サーバ100の構成図である。
図5】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
図6】加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。
図7】管理サーバ200の機能構成の一例を示す図である。
図8】提案情報178の一例を示す図である。
図9】提案情報178の他の一例を示す図である。
図10】加盟店向けインターフェース72に提供されるインターフェース画面の一例を示す図である。
図11】加盟店向けインターフェース72に提供されるインターフェース画面の他の一例を示す図である。
図12】決済サーバ100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】提案情報178を生成する処理の概要を示す図である。
図14】第1処理について説明するための図である。
図15】第2処理について説明するための図である。
図16】統合処理の概要について説明するための図である。
図17】シミュレーションについて説明するための図である。
図18】評価指標を算出する処理について説明するための図である。
図19】評価指標を算出する処理について説明するための図である。
図20】対応情報について説明するための図である。
図21】管理サーバ200により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下に登場する各種装置、サーバなどの、利用者にサービスを提供したり内部解析を行ったりするための各種装置は、分散化された装置群によって実現されてよく、それぞれの装置を運用する事業者は異なってもよい。また装置のハードウェアの保有者(クラウドサーバの提供者)と実質的な運用を行う事業者も異なってよい。アプリケーションプログラムと決済サーバは、協働して電子決済サービスを提供する。以下の説明ではアプリケーションプログラムを決済アプリと称する。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)であるが、電子商取引の仮想店舗を含んでもよい。仮想店舗は、電子決済サービスの運営者とは異なる主体によって提供されるものを含んでもよい。その場合、仮想店舗における買い物の決済の際に、電子決済サービスのインターフェース画面に遷移するように制御される。電子決済サービスにおいて、店舗は、例えば加盟店(ブランド)に属するものとして扱われ、店舗において購買行動が行われた際の決済などの処理は、主として利用者と加盟店の間で行われる。これに代えて、決済などの処理が利用者と店舗との間で行われてもよい。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現される電子決済システムの構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。電子決済サービスを実現する電子決済システムは、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の第1店舗端末装置50、一以上の第2店舗端末装置70、決済サーバ100、および管理サーバ200を備える。これらの装置は、例えばネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。決済サーバ100または管理サーバ200は「情報処理装置」の一例である。
【0011】
電子決済システムに含まれる機能構成の一部または全部は、任意の形態で複数の装置に分散されてもよいし、任意の装置に統合されてもよい。例えば、管理サーバ200の機能構成の一部または全部は、決済サーバ100などの構成に含まれていてもよいし、決済サーバ100の機能構成の一部または全部は、管理サーバ200に含まれていてもよい。
【0012】
[利用者端末装置]
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、例えば、アプリケーションストアから利用者端末装置10にインストールされ、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0013】
[第1店舗端末装置]
第1店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。第1店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。第1店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイ(スマートフォンなどの端末装置のディスプレイでもよい)によって表示されてもよい。
【0014】
[第2店舗端末装置]
第2店舗端末装置70は、加盟店の運営者によって使用される。第2店舗端末装置70は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。第2店舗端末装置70では、加盟店向けインターフェース72が動作する。加盟店向けインターフェース72は、加盟店向けアプリであってもよいし、ブラウザであってもよい。加盟店向けインターフェース72は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ100に送信する。スマートフォンである第2店舗端末装置70は、加盟店向けアプリを実行することで、店舗コード画像に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置10が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有する。
【0015】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。第1店舗端末装置50は、POS装置と加盟店サーバを含む場合があり、その場合、POS装置から加盟店サーバを介して決済情報が決済サーバ100に送信される。以下の説明では、これを特に区別せず、第1店舗端末装置50から決済情報が送信されるものとする。
【0016】
図2および図3は、電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。
【0017】
図2に示すパターン1(以下、ユーザスキャンと称する)の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする(S1)。店舗コード画像60には、店舗URL(Uniform Resource Locator)の情報が含まれている。この店舗URLは、電子決済サービスのドメインに対して店舗を識別可能な情報が付加されたものであり、決済サーバ100において加盟店IDや店舗ID等との対応付けがなされている(後述)。決済アプリ20は、店舗URLとアカウントIDを含む第1決済情報を決済サーバ100に送信する(S2)。決済サーバ100は、店舗URLに対応する加盟店ID、店舗IDから、店舗情報(後述)を検索して加盟店名と店舗名の情報を取得し(S3)、決済アプリ20に送信する(S4)。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する(S5)。そして、利用者端末装置10は、少なくとも決済金額を含む第2決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S6)。決済サーバ100は、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S7)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知(決済完了画面を表示するための情報)を決済アプリ20に送信し(S8)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S9)。なお、店舗コード画像60が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像60には、店舗URLだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第1決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ100に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。
【0018】
図3に示すパターン2(以下、ストアスキャンと称する)の場合、決済アプリ20の起動時、決済アプリ20において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング(例えば1分おき)になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ20はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S11)。決済サーバ100はワンタイムコードを生成し(S12)、決済アプリ20に送信する(S13)。決済アプリ20は、ワンタイムコードに基づいて生成した、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する(S14)。利用者は利用者端末装置10の表示面を第1店舗端末装置50に翳し(提示し)、第1店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、ワンタイムコード等を取得する(S15)。そして、第1店舗端末装置50は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ID、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S16)。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、電子決済を行う(S17)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知を決済アプリ20に送信し(S18)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S19)。
【0019】
なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、図2で説明した「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省略され、決済アプリ20は、利用者のアカウントIDに基づいて生成したコード画像を表示してもよい。その場合、決済サーバ100は、ワンタイムコードに対応する利用者を特定するのに代えて、アカウントIDに対応する利用者を特定する。
【0020】
[決済サーバ]
図4は、決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、コンテンツ提供部120と、決済処理部130と、情報管理部140と、記憶部170とを備える。通信部110および記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、SOC(System On Chip)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0021】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、コンテンツ情報174、加盟店/店舗情報176、提案情報178などの情報が格納される。これらの情報の一部は、利用者端末装置10の記憶部に記憶されていてもよい。提案情報178は、管理サーバ200により提供された情報である。提案情報178は、提案情報326に相当する。
【0022】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0023】
コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。コンテンツ提供部120は、コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。
【0024】
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部130は、利用者情報172を参照しながら決済処理を行う。
【0025】
図5は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報172は、例えば、利用者URL、アカウントID、電話番号、パスワードの他、メールアドレス、利用者ID、氏名・住所・生年月日、登録日、チャージ残高、後払い設定、後払い枠、後払い利用額、後払い利用可能額、決済方法設定、銀行口座、クレジットカード番号、チャージ履歴情報、決済履歴情報などの情報が対応付けられたものである。利用者URLは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントIDは、決済サーバ100によって利用者に発行されるものであり、利用者IDは、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)IDである。メールアドレス、および氏名・住所・生年月日も同様に、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)情報である。登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。
【0026】
チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。後払い設定は、後払いによる電子決済を可能とするための設定が済んでいるか否かを示す情報であり、「済」と「未」のいずれかに設定される。後払い枠は月ごとに利用可能な後払いの限度額であり、後払い利用額は、当月に既に利用された後払いの金額であり、後払い利用可能額は、後払い枠から後払い利用額を差し引いて求められる、当月に利用可能な後払いの金額である。図では後払い枠を一つだけ示しているが、実際には更に日ごとの上限額などが存在し、それらの低い方が後払い枠に設定されてよい。決済方法設定は、その時点において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額、決済方法など)を、決済ごとに示す情報である。
【0027】
図6は、加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。加盟店/店舗情報176は、例えば、店舗URLに対して加盟店IDと店舗IDが対応付けられた第1テーブル176Aと、加盟店IDに対して加盟店名と売上金(前述)と加盟店に関する情報(第2情報322)とが対応付けられた第2テーブル176Bと、店舗IDに対して店舗名が対応付けられた第3テーブル176Cとを含む。加盟店/店舗情報176には、これらの情報の他、加盟店または店舗のカテゴリ、店舗の所在地、決済パターン等の情報が含まれてもよい。利用者情報172や加盟店/店舗情報176などの決済サーバ100が保持している情報は、管理サーバ200に提供される。
【0028】
情報管理部140は、利用者端末装置10や第2店舗端末装置70から取得した情報に基づいて、利用者情報172および加盟店/店舗情報176を管理する。情報管理部140は、利用者情報172および加盟店/店舗情報176について新規レコードの追加、編集、削除などを行う。
【0029】
[電子決済]
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から決済情報が取得されると、利用者情報172を参照して当該利用者の「決済方法設定」を取得する。決済処理部130は、「決済方法設定」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。決済処理部130は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。
【0030】
決済処理部130は、「設定情報」が「後払い」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。後払いとは、電子決済サービスの運営者とは別主体であるクレジットカード会社との連携による「クレジット払い」とは別枠で設定されるものであり、電子決済サービスの運営者が与信者となって、後払い枠の範囲内でチャージ残高に依存しない電子決済を許容するものである。なお後払いサービスを受けるために、電子決済サービスの運営者が提供するクレジットカードの取得が要求されてよい。後払いで利用された金額は、一か月分まとめて翌月の支払日に、例えば銀行口座からの引き落としによって決済される。この場合、決済処理部130は、後払い利用額に決済金額を加算し、後払い利用可能額から同額を差し引くことで暫定決済を行い、締め日になると上記のように当月分の決済を翌月の支払い日に引き落とすための処理を行う、或いはクレジットカード会社の運営者に当該処理を依頼する。なお暫定決済の時点で決済金額が後払い利用可能額を超える場合は、エラー通知が決済アプリ20に返信される。
【0031】
[管理サーバ]
図7は、管理サーバ200の機能構成の一例を示す図である。管理サーバ200は、例えば、通信部210、第1処理部220、第2処理部230、統合処理部240、および記憶部300を備える。通信部210および記憶部300以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU、SOCなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0032】
記憶部300は、HDDやフラッシュメモリ、RAMなどである。記憶部300は、管理サーバ200がネットワークを介してアクセス可能なNAS装置であってもよい。記憶部300には、第1情報312、第1モデル314、第2情報322、第2モデル324、提案情報326などの情報が格納される。
【0033】
通信部210は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部210は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0034】
第1処理部220は、電子決済サービスの加盟店の過去の売上実績に基づいて、将来の売上を予測する。第2処理部230は、電子決済サービスにおいて管理されている加盟店の情報に基づいて、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または所定期間後に前記加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標を導出する。統合処理部240は、将来の売上と、上記の指標とに基づいて、加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出する。
【0035】
[概要]
決済サーバ100は、記憶部170に記憶された電子決済サービスの加盟店ごとに用意された提案情報178を参照し、加盟店に対して、提案可能な資金の提供に関する提供条件を特定し、特定した提供条件を加盟店向けインターフェース72(加盟店の端末装置)に提供する。提案情報178は、加盟店ごとに求められた評価指標であり、提供条件ごとに対応付けられた評価指標に基づいて、提案可能な提供条件が規定された情報である。
【0036】
図8および図9は、提案情報178の一例を示す図である。提案情報178は、加盟店ごとに生成された情報である。提案情報178は、例えば、加盟店に対して提案可能な資金の提供に関する提供条件が規定された情報である。提供条件は、例えば、実行金額と、精算比率と、手数料との組み合わせである。これらの提供条件のうち一部の情報は省略されてもよいし、固定であってもよい。図8および図9の精算月数は、資金調達サービスから調達した(或いは資金提供サービスから提供された)資金を精算する月数である。
【0037】
実行金額とは、加盟店に対して資金調達サービスから調達可能な金額(例えば与信額、提供できる金額、提供できる金額、または加盟店が受け取る額)である。手数料は、資金調達に対する手数料である。精算比率は、電子決済サービスを利用した加盟店の売上に対して、どのぐらいの比率の金額が精算に充当されるかを示す指標である。例えば、加盟店には、電子決済サービスを利用して当該加盟店で決済が行われた金額が所定の期間ごとに入金される(例えば電子決済サービスの加盟店の電子ウォレットに入金される)。精算比率は、この入金から精算に充当される比率である。
【0038】
提案可能な提供条件は、評価指標(詳細は後述)が閾値以上の提供条件である。後述するように提供条件ごとに評価指標が導出され、評価指標が閾値以上の提案条件が提案可能な提供条件として規定される。提案可能な提供条件は、評価指標が閾値以上であり、且つ提供条件が予め設定され条件を満たす提供条件であってもよい。
【0039】
図8の(1)提案情報178において、例えば、精算比率が5%であり、実行金額が100,000円である場合、加盟店の予想売上(100万円)から5%の50,000円が、2か月間において精算に充当される。(1)提案情報178において、実行金額が900,000円以上且つ精算比率5%の場合、当該加盟店に対して資金調達は提案せず且つ許容しない。
【0040】
図9の(2)提案情報178において、実行金額が150,000円を超え且つ精算比率5%または10%の場合、当該加盟店に対して資金調達は提案せず且つ許容しない。(2)提案情報178が適用される加盟店は、(1)提案情報178が適用される加盟店とは異なる。
【0041】
上記のように、加盟店ごとに提案情報178が用意され、決済サーバ100は、対象の加盟店に対応する提案情報178を参照して、資金調達の提案を行ったり、資金調達に関する資金調達サービスを提供したりする。
【0042】
[加盟店に提供される情報]
決済サーバ100は、評価指標が閾値以上の提供条件を提案可能な提供条件として加盟店向けインターフェース72に提供する。決済サーバ100は、評価指標が閾値以上の前記提供条件が存在しない場合、提案可能な前記提供条件が存在しないとして資金の提供に関する情報を加盟店向けインターフェース72に提供しない。提案情報178は、加盟店の売上の実績に応じて所定の期間ごと(例えば1ヶ月1度ごと)に更新される。決済サーバ100は、更新された提案情報178に基づいて、提案可能な提供条件が存在するか否かを判定し、判定の結果に応じて提供条件を加盟店向けインターフェース72に提供する。提案可能な提案条件は、例えば評価指標が閾値以上であり、且つ提供条件が予め設定され条件を満たす(実行金額、精算比率、または手数料が条件を満たす提案条件である。
【0043】
決済サーバ100は、提案可能な加盟店が受け取る額のうち、加盟店が選択した額の情報を加盟店向けインターフェース72から取得し、加盟店が選択した受け取る額と、評価指標とに基づいて、提案可能な精算比率の情報を加盟店向けインターフェース72に提供する。決済サーバ100は、提案可能な精算比率のうち加盟店が選択した精算比率と、加盟店が選択した与信の額とに基づいて手数料率を決定し、決定した手数料率の情報を加盟店向けインターフェース72に提供する。例えば、以下のように加盟店が受け取る額が決定され、精算比率が決定されて、手数料などを含む精算の計画が決定されて提示される。
【0044】
[インターフェース画面(1)]
図10は、加盟店向けインターフェース72に提供されるインターフェース画面の一例を示す図である。決済サーバ100は、提案情報178を参照して、インターフェース画面IF1を加盟店向けインターフェース72に提供する。インターフェース画面IF1は、資金の提供に関するサービスの申込金額を入力する領域や、おすすめの申込金額、申込金額の振込予定日、入金から引き落とす割合(精算比率)、確認ボタンを含む。おすすめの申込金額は、提案情報178において提案可能と規定されている金額である。入金から引き落とす割合も、提案情報178において提案可能と規定されている金額である。入金から引き落とす割合は、申込金額と提案情報178とに基づいて決定される割合である。
【0045】
上記のように、決済サーバ100は、提案情報178を参照して、加盟店に応じた情報を提供することができる。例えば、決済サーバ100は、加盟店に応じたおすすめの申込金額や、入金から引き落とす割合などの情報を提案することができる。
【0046】
[インターフェース画面(2)]
図11は、加盟店向けインターフェース72に提供されるインターフェース画面の他の一例を示す図である。インターフェース画面IF2において、利用者が申込金額や入金から引き落とす割合を入力して確認ボタンを操作すると、表示される画面である。インターフェース画面IF2は、申込金額や、利用料、合計金額、月々の入金額(精算額)、取引額、精算額、振込額、次ごとの精算額見込額、精算のスケジュールなどの情報を含む。
【0047】
上記のように、決済サーバ100は、加盟店が入力した情報に応じて、利用料や精算額などの情報を加盟店に提供することで、加盟店は資金調達サービスの内容を容易に把握することができる。
【0048】
決済サーバ100は、後述する提供条件ごとの評価指標(後述する図20)を参照して、提供条件のそれぞれを加盟店向けインターフェース72に提供してもよい。決済サーバ100は、評価指標が上位所定の範囲に含まれ、且つ提供条件が予め設定され条件を満たす提供条件(金額、精算比率、利用料、またはこれらの組み合わせ)を優先的に加盟店向けインターフェース72に提供してもよい。評価指標が上位所定の範囲とは、評価指標が高い上位所定数であることである。例えば、決済サーバ100は、より評価指標が高い申込金額を優先的に提案し、加盟店が選択した申込金額において、より評価指標が高い精算比率を優先的に提案してもよい。更に、決済サーバ100は、加盟店が選択した申込金額および精算比率のうち、より評価指標が高い利用料率が加盟店向けインターフェース72に提供されてもよい。これにより、決済サーバ100は、よりサービス提供者にとって好適な提供条件を加盟店に提案することができる。
【0049】
[フローチャート(1)]
図12は、決済サーバ100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、決済サーバ100は、加盟店向けインターフェース72からのアクセスの有無について判定する(S100)。加盟店向けインターフェース72からのアクセスがあった場合、決済サーバ100は、加盟店の識別情報を取得し、加盟店を特定する(S102)。決済サーバ100は、例えば、加盟店向けインターフェース72に対して入力された加盟店の識別情報を取得し、取得した識別情報に基づいて、加盟店を特定する(S104)。次に、決済サーバ100は、特定した加盟店に応じた提案情報178を特定する(S106)。例えば、提案情報178は、加盟店ごとに用意されているため、決済サーバ100は、特定した加盟店に応じた提案情報178を特定する。
【0050】
次に、決済サーバ100は、提案情報178を参照して、当該加盟店に資金調達に関するサービスを提案できるか否かを判定する(S106)。例えば、加盟店(提案情報178)によっては、資金調達に関するサービスを提案できないことがある。例えば、すべての金額や、精算率などにおいて、提案ができないと提案情報178において規定されていることがある。この場合、資金調達に関するサービスは提案できないと判定され、S108の処理がスキップされる。
【0051】
資金調達サービスが提案できる場合、決済サーバ100は、当該加盟店に対応する提案情報178を参照して、資金調達サービスの情報を加盟店向けインターフェース72に提供する(S108)。例えば、前述したインターフェース画面IF1やインターフェース画面IF2などが提供される。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。なお、資金調達サービスの情報は、プッシュ通知で通知されてもよい。
【0052】
[提案情報の生成]
以下、提案情報178を生成する処理について説明する。図13は、提案情報178を生成する処理の概要を示す図である。第1処理(第1モデル314を利用した処理結果)および第2処理(第2モデル324を利用した処理結果)を統合する統合処理が行われて、提案情報178が生成される。
【0053】
[第1処理]
第1処理部220は、第1モデル314を利用して将来の加盟店の売上を予測する。図14は、第1処理について説明するための図である。第1モデル314は、第1情報312が入力されると、将来の加盟店の売上を出力するモデルである。第1モデル314は、例えば、時系列データの統計予測モデルである。
【0054】
第1情報312は、日ごとの加盟店の売上(売上実績)、日ごとの曜日(月曜日や土曜日など)、どの日が休日であるかを示す情報を含む。第1情報312は、上記の情報に加え、他の情報が含まれてもよい。
【0055】
第1モデル314は、第1情報312が入力されると、将来の売り上げを予測する。例えば、図14に示す時系列の売り上げの情報(例えば推移線L1)を出力する。第1処理部220は、出力された売り上げの情報を所定の関数やアルゴリズムなどを適用して補正した売り上げの情報(例えば推移線L2)を生成する。例えば、第1処理部220は、売り上げが増加傾向である場合、増加傾向が抑制するように保守的に売り上げを調整する。なお、売り上げが減少傾向である場合は、調整は行われなくてもよい。
【0056】
更に、第1処理部220は、売り上げに対して変動幅を設定する。変動幅は、予め設定された変動幅である。変動幅は、売り上げの大きさ、売り上げの傾向(増加または減少の傾向)、曜日、曜日の種別(平日または休日など)、これらの組み合わせに応じて変動幅が異なっていてもよい。このように、将来の売り上げと、変動幅とが特定され、統合処理において活用される。
【0057】
第1モデル314は、例えば、以下の式(1)ように、トレンドg(t)、周期性s(t)、h(t)、e(t)のそれぞれを時間tの関数としてモデル化し、これの関数の導出結果を加法して、出力yを求めるモデルである。第1モデル314は、例えば、過去の売り上げの大きさ、売り上げの傾向(増加や減少の傾向)、曜日、曜日の種別(平日または休日など)、またはこれらの組み合わせに応じてチューニングされた加盟店ごとのモデルである。例えば、第1モデル314は、月ごとの売上等に応じて、月ごとに更新されるモデルである。このモデルは、第1モデル314の一例であり、当然他のモデルが適用されてもよい。
y=g(t)+s(t)+h(t)+e(t)・・・(1)
【0058】
第1モデル314は、上記に限定されずに、学習情報が学習され、入力情報が入力されると、将来の時系列の売り上げを出力するモデルであってもよい。学習情報は、将来の時系列の売り上げと、学習用の入力情報(売り上げの大きさ、売り上げの傾向(増加や減少の傾向)、曜日、曜日の種別(平日または休日など)、またはこれらの組み合わせ)とが対応付けられた情報である。
【0059】
[第2処理]
第2処理部230は、第2モデル324を利用して将来の加盟店の退店確率を予測する。図15は、第2処理について説明するための図である。第2モデル324は、第2情報322が入力されると、将来の加盟店の退店確率を出力するモデルである。第2モデル324は、例えば、LightGBMなどの学習済モデルである。
【0060】
第2情報322は、例えば、過去の売り上げ、加盟店の業種、加盟店の所在地である都道府県、加盟店としての登録日数、加盟店における決済単価、決済ユーザ数、決済時刻、倒産確率、問い合わせ件数、問い合わせ種別を含む。これらのうち一部の情報は省略されてもよい。決済単価は、例えば、平均単価や、中央値など統計処理された単価である。決済時刻は、例えば、決済がされた各時刻であってもよいし、各時刻が統計処理された代表的な一以上の時刻であってもよい。倒産確率は、調査会社などにより提供された加盟店の倒産確率である。問い合わせ件数は、電子決済サービスのカスタマーセンターに対する当該加盟店についての問い合わせ件数である。問い合わせ種別は、電子決済サービスのカスタマーセンターに対する当該加盟店についての問い合わせ種別(クレームやその他の問い合わせなど)である。
【0061】
第2情報322は、上記の他、または上記に代えて、電子決済サービス(例えば決済サーバ100)で管理されている情報であってもよい。第2情報322は、例えば、利用者情報172を含んでもよい(例えば決済サーバ100で管理されている情報が分析されて導出された加盟店を利用する主な利用者の特徴(属性)などが含まれていてもよい)。また、第2情報322は、加盟店のオーナーの情報が含まれていてもよい。例えば、電子決済サービスで管理されている情報に基づいて分析されたオーナーのパーソナリティや特性、電子決済サービスの利用の履歴、電子決済サービスの利用態様の特徴などである。これに限らず、第2情報は、電子決済サービスの運営者と提携している提携者が保持する情報が利用されてもよい。
【0062】
第2モデル324は、第2情報322が入力されると、今後、所定月以内の退店確率を導出予測する。第2モデル324は、退店確率に代えて、売り上げが閾値以下となる確率を導出してもよい。このように、退店確率が導出され、統合処理において活用される。
【0063】
第2モデル324は、例えば、学習情報が学習され、第2情報322が入力されると、退店確率(または売り上げが閾値となる確率)を出力するモデルである。学習情報は、正解データである退店確率と、学習用の第2情報322とが対応付けられた情報である。
【0064】
上記の第2モデル324において、例えば、売り上げなどに加え、都道府県や、問い合わせ件数、問い合わせの種別などは、退店に影響する変数である。これらの変数を除いても、退店確率を導出可能であるが、売り上げなどに加え、都道府県や、問い合わせ件数、問い合わせの種別などの情報のうち一以上の情報が、第2モデル324に入力されると好適である。
【0065】
[統合処理]
統合処理部240は、第1処理および第2処理の結果を活用した統合処理を行う。図16は、統合処理の概要について説明するための図である。
(1)統合処理部240は、売り上げシミュレーションを行う。統合処理部240は、加盟店ごとに所定期間(例えば12ヶ月や、24ヶ月、36ヶ月などの任意の期間)の売上予測を所定回数シミュレーションする。
(2)統合処理部240は、上記の(1)の予測をもとに「利用額」、「精算比率」、「手数料」の組み合わせごとに、リスクリターンの評価指標を算出する。
(3)統合処理部240は、評価指標を参照して条件を絞り込み。統合処理部240は、評価指標を用いてリスクの高い組み合わせを除外して、最適な組み合わせの条件(利用額、精算比率、手数料)を特定する。
【0066】
上記の(1)および(2)は、統合処理部240が、「前記将来の売上と、前記指標である前記特定条件を満たす確率とに基づいて、前記特定条件を満たす確率を考慮した複数の将来の売り上げの売上シミュレーションパターンを生成し、内容を異ならせた複数の前記提供条件を生成し、前記提供条件のそれぞれを前記売上シミュレーションパターンのそれぞれに適用した結果に基づいて、前記評価指標を導出する」処理の一例である。
【0067】
[(1)シミュレーション]
図17は、シミュレーションについて説明するための図である。統合処理部240は、将来の売上が所定の変動幅内で無作為に変動すると想定して複数の将来の売上シミュレーションパターンを生成する。統合処理部240は、第1処理で得た売り上げの予測と乱数とを用いて、売上の変動幅を反映して所定期間の日次の将来の売り上げを予測する。統合処理部240は、例えば、各日ごとの変動幅内に各日の売り上げが収まるようにランダムに将来の売り上げを設定する。上記の変動幅は、曜日や売上の増減傾向などの情報に基づいて予め定められる変動幅であってもよい。また、曜日や売上の増減傾向などに応じた誤差の確率分布に従って変動幅内で誤差が生じるように売り上げのシミュレーションがされてもよい。これにより、所定回数の売り上げの売上シミュレーションが行われる。
【0068】
統合処理部240は、売上シミュレーションパターンにおいて特定条件を満たす確率(退店確率、または売り上げが閾値以下となる確率)に応じて加盟店が所定期間後に特定条件を満たすとみなして特定条件を満たす日を設定して特定条件を満たす日以降は加盟店の売上をゼロにする。統合処理部240は、第2処理で得た退店確率に応じて退店を発生させ、退店後は売り上げを「0」とする。例えば、統合処理部240は、退店確率に応じた退店が発生するように所定回数のシミュレーションの結果の所定のシミュレーションに対して退店を設定する。
【0069】
[(2)評価指標の算出]
統合処理部240は、評価指標を算出する。統合処理部240は、提供条件のそれぞれを売上シミュレーションパターンのそれぞれに適用して、複数のシミュレーション結果に基づく利益分布により、リターンとリスクメジャーとを算出する。リターンとは、例えば、提供条件ごとのリターンを示す指標である。リスクメジャーとは、例えば、提供条件ごとのリスクを示す指標である。リターンは、例えば期待利益が一例であり、リスクメジャーは、例えば標準偏差やCVaR(Condition Value at Risk)などが一例である。統合処理部240は、リターンとリスクメジャーとに基づいて、評価指標を生成する。評価指標は、例えば、リターンとリスクメジャーとが統計処理して生成された指標である。このように統合処理部240は、提供条件ごとの評価指標を導出する。
【0070】
図18および図19は、評価指標を算出する処理について説明するための図である。統合処理部240は、図18に示すように、利用額と、精算比率と、手数料率との組み合わせを所定パターン生成する。例えば、利用額を第1所定パターン、精算比率を第2所定パターン、手数料率を第3所定パターン生成し、これらを組み合わせた所定パターンが生成される。
【0071】
統合処理部240は、所定パターンのそれぞれを、上記の(1)のシミュレーションのそれぞれに適用して、図19に示す、所定パターンのそれぞれごとのリターン、リスクメジャー、および評価指標を算出する。これにより、所定パターンのそれぞれのリターン、リスクメジャー、および評価指標が算出される。
【0072】
リターンは、例えば平均的に得られる利益であり、精算金額(加盟店の資金調達に対して加盟店が精算した金額)から利用金額を差し引いた金額の平均である。リスクメジャーは、例えば最悪ケースの所定%の平均であり、精算金額の下位所定%から利用金額を差し引いた平均である。評価指標は、リスクリターンの評価指標であり、リターンをリスクメジャーで除算した指標である。
【0073】
例えば、あるパターンの組み合わせ(利用額、精算比率、および手数料率)を、所定通りのシミュレーションに対して適用して、リターン、リスクメジャー、および評価指標を算出する。これを所定パターンの組み合わせのそれぞれにおいて実行して、各パターンのそれぞれのリターン、リスクメジャー、および評価指標を算出する。
【0074】
これにより、統合処理部240は、図20に示す、利用金額、精算比率、手数料率の組み合わせのそれぞれに対して評価指標が対応付けられた対応情報を生成する。すなわち、統合処理部240は、加盟店ごとの複数の提供条件のそれぞれと評価指標とが対応付けられた対応情報を生成する。評価指標が大きいほど、評価が高い。例えば、評価指標は、以下の場合に大きい傾向となる。手数料率が高い。売り上げが多い。売り上げの変動が小さい。退店確率が小さい。利用金額が少ない。精算比率が高い。
【0075】
[(3)条件の絞り込み]
統合処理部240は、上記の評価指標を参照して、提案情報326(提案情報178)を生成する。例えば、統合処理部240は、評価指標が閾値以上の利用金額、精算比率、および手数料率を加盟店に提案可能な条件とする。更に、統合処理部240は、提案可能な条件のうち、閾値以下の利用金額、精算比率、または手数料率を提案可能な条件としてもよい。このように、統合処理部240は、前述した提案情報326を生成する。
【0076】
[フローチャート]
図21は、管理サーバ200により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、管理サーバ200は、所定のタイミングが到来したか否かを判定する(S200)。所定のタイミングとは、例えば、月に1度など、各月の売り上げが確定したタイミングなどである。
【0077】
所定のタイミングが到来した場合、管理サーバ200は、第1モデル314を利用した第1処理の結果を取得する(S202)。次に、管理サーバ200は、第2モデル324を利用した第2処理の結果を取得する(S204)。次に、管理サーバ200は、第1処理の結果を用いたシミュレーションを実行し(S206)、シミュレーションに対して第2処理の結果を適用した第3処理の結果を取得する(S208)。詳細は前述した図17参照。
【0078】
次に、管理サーバ200は、「利用金額」、「精算比率」、「手数料率」の組み合わせごとに評価指標を算出する(S210)。次に、管理サーバ200は、評価指標を参照して、提案情報326を生成する(S212)。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0079】
上記のように、統合処理部240は、将来の売上と、指標とに基づいて、より精度の高い加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出することができる。
【0080】
なお、上記の処理に代えて、統合処理部240は、第1処理の結果である将来の売上と、第2処理の結果である退店確率(または売上が閾値以下となる確率)とを、所定のアルゴリズムや対応情報、学習済モデルなどを用いて、提供条件に対する評価指標を導出してもよい。例えば、所定のアルゴリズムは、将来の売り上げと、退店確率とをパラメータとした関数を用いたアルゴリズムである。対応情報は、売り上げと退店確率との組み合わせに対して、評価指標が対応付けられた情報である。学習済モデルは、売り上げと退店確率との組み合わせと、評価指標とが対応付けられた学習情報が学習されたモデルである。学習済モデルは、例えば、売り上げと退店確率との組み合わせの情報が入力されると、入力された情報に応じた評価指標を出力するモデルである。
【0081】
また、将来の売上および退店確率(または売上が閾値以下となる確率)は、上述したモデルに代えて、線形のモデルや、所定の関数など、上述したモデルとは異なるモデルなどによって求められてもよい。
【0082】
また、本実施形態の処理は、資金調達サービス(または資金の提供サービス)に適用されるものとして説明したが、これに代えて(また加えて)、資金の貸付サービスに適用されてもよい。この場合、本願実施形態の「資金調達」または「資金の提供」は「融資」、「精算」は「返済」、「受け取り」は「借り入れ」と読み替えられる。
【0083】
以上説明した実施形態によれば、管理サーバ200は、将来の売上と、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または前記所定期間後に前記加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標とに基づいて、加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出する。これにより管理サーバ200は、加盟店に応じた資金の提供に関する提供条件をより適切に提供することができる。
【0084】
以上説明した実施形態によれば、決済サーバ100は、記憶部に記憶された電子決済サービスの加盟店ごとに用意された提案情報を参照し、加盟店に対して、提案可能な資金の提供に関する提供条件を特定し、特定した前記提供条件を加盟店の端末装置に提供することにより、加盟店に応じて資金の提供に関する提供条件をより適切に提供することができる。
【0085】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0086】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
100 決済サーバ
120 コンテンツ提供部
130 決済処理部
140 情報管理部
150 情報処理部
200 管理サーバ
220 第1処理部
230 第2処理部
240 統合処理部
312 第1情報
314 第1モデル
322 第2情報
324 第2モデル
326 提案情報
【要約】
【課題】加盟店に対して資金の提供に関する評価を適切に行うための指標を導出すること。
【解決手段】電子決済サービスの加盟店の過去の売上実績に基づいて、将来の売上を予測し、電子決済サービスにおいて管理されている加盟店の情報に基づいて、所定期間後に加盟店が加盟店でなくなる、または所定期間後に加盟店が加盟店として適切でないと判断される特定条件に関する指標を導出し、将来の売上と、指標とに基づいて、加盟店に資金を提供する際の提供条件に対する評価指標を導出する。入力された入力情報に応じた指標を出力する学習済モデルに入力情報を入力し、学習済モデルが出力した結果に基づいて指標を導出し、入力情報は、加盟店における電子決済サービスの利用者の利用状況と、加盟店の業種と、加盟店の所在地である都道府県と、加盟店としての登録日数とのうち、一以上の情報を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21