IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図1
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図2
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図3
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図4
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図5
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図6
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図7
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図8
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図9
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図10
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図11
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図12
  • 特許-印刷配線板及びその製造方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】印刷配線板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024540014
(86)(22)【出願日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2023031794
(87)【国際公開番号】W WO2024048713
(87)【国際公開日】2024-03-07
【審査請求日】2024-07-02
(31)【優先権主張番号】P 2022137463
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 真理
(72)【発明者】
【氏名】石岡 卓
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-260204(JP,A)
【文献】国際公開第2010/024233(WO,A1)
【文献】特開2014-75523(JP,A)
【文献】国際公開第2011/089795(WO,A1)
【文献】特開2004-337948(JP,A)
【文献】特開2006-114787(JP,A)
【文献】特開2021-111711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア基板と、
前記コア基板に積層されるビルドアップ層と、を備え、
前記ビルドアップ層が、
前記コア基板に積層される絶縁層と、
前記絶縁層を厚み方向に貫通するホールと、
該ホールに充填されたビア導体と、
を有し、
前記ビア導体の形状が、円柱状であり、
前記ビルドアップ層が、前記コア基板とは反対の前記絶縁層上に表面導体層を有しており、
前記表面導体層が下地層と上層とを有しており、
前記下地層は前記絶縁層側に位置し、前記ビア導体と重なる位置に開口を有しており、
該開口の内縁は、前記ホールの開口縁と重なる位置または該ホールの開口縁よりも外側に位置し、
前記開口の内縁側の領域は、テーパー部を有し、該テーパー部はその厚さが、前記開口縁に向かうほど漸減し、
前記テーパー部は、前記上層に接する表面を有し、前記表面が前記上層の側に凸に湾曲した形状を成している
印刷配線板。
【請求項2】
前記ホールの内壁面が、凹凸を有しており、
前記ビア導体は、前記内壁面に当接している、
請求項1に記載の印刷配線板。
【請求項3】
前記ビア導体が、前記ホールの内壁面に向かう側面を有しており、
前記側面は、少なくとも1つの凸部を有し、
前記凸部が前記表面導体層の方へ向くように傾斜している
請求項1又は2に記載の印刷配線板。
【請求項4】
前記ビア導体が、前記ホールの内壁面に向かう側面を有しており、
前記側面は、少なくとも1つの凸部を有し、
前記凸部が前記コア基板の方へ向くように傾斜している
請求項1又は2に記載の印刷配線板。
【請求項5】
前記コア基板は、前記ビルドアップ層に接する面に導体層を有しており、該導体層のうち、前記ビア導体が接する部分の表面が凹面状である、請求項1又は2に記載の印刷配線板。
【請求項6】
コア基板に、絶縁層及び金属製の下地層をこの順に備えたビルドアップ前駆体層が重ねられた積層体を準備する工程と、
前記積層体の前記下地層側の上方に、第1貫通孔を有する第1のマスクを配置し、第1のレーザービームを前記第1貫通孔を通じて前記下地層に向けて照射して前記下地層に開口を形成する工程と、
前記下地層の前記第1貫通孔の上方に、前記第1貫通孔よりも径の小さい第2貫通孔を有する第2のマスクを配置し、前記開口を通じて第2のレーザービームを前記絶縁層に向けて照射して、前記絶縁層にホールを形成する工程と、
前記ホールの開口縁が、前記下地層の前記開口の内縁を超えないように前記ホールを拡径する工程と、
該ホールを形成した前記絶縁層に対してメッキ処理を行い、前記下地層及び前記ホールにメッキ膜を成長させてビア導体および上層を形成する工程と、
を含み、
前記下地層の前記開口の内縁は、前記ホールの開口縁と重なる位置または該ホールの開口縁よりも外側に位置し、
前記下地層の前記開口の内縁側の領域は、テーパー部を有し、該テーパー部はその厚さが、前記開口縁に向かうほど漸減し、
前記テーパー部は、前記上層に接する表面を有し、前記表面が前記上層の側に凸に湾曲した形状を成している
印刷配線板の製造方法。
【請求項7】
前記第2貫通孔の直径が前記第1貫通孔の直径の1/3以上1/2以下である
請求項6に記載の印刷配線板の製造方法。
【請求項8】
前記第2のレーザービームの出力が前記第1のレーザービームの出力の1/15以上1/8以下である
請求項6又は7に記載の印刷配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コア基板の少なくとも一方の面にビルドアップ層が積層された印刷配線板が開示されている(例えば、特許文献1)。ビルドアップ層にはビア導体が設けられている。このビア導体は、コア基板の表面のメッキ配線とビルドアップ層の表面のメッキ配線とに接続される。これらメッキ配線は、ビア導体によって電気的に導通される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-084913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、電子機器の小型化に伴い、印刷配線板を薄くするための技術開発が行われている。ビルドアップ層を薄くするための技術開発も進み、ビア導体を小径にするための技術開発も進んでいる。ビルドアップ層が薄く、ビア導体が小径であると、ビア導体とその周囲の絶縁層の接触面積が小さく、ビア導体とメッキ配線の接触面積が小さい。そのため、ビア導体が絶縁層から抜けやすいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、
コア基板と、
前記コア基板に積層されるビルドアップ層と、を備え、
前記ビルドアップ層が、
前記コア基板に積層される絶縁層と、
前記絶縁層を厚み方向に貫通するホールと、
該ホールに充填されたビア導体と、
を有し、
前記ビア導体の形状が、円柱状であり、
前記ビルドアップ層が、前記コア基板とは反対の前記絶縁層上に表面導体層を有しており、
前記表面導体層が下地層と上層とを有しており、
前記下地層は前記絶縁層側に位置し、前記ビア導体と重なる位置に開口を有しており、
該開口の内縁は、前記ホールの開口縁と重なる位置または該ホールの開口縁よりも外側に位置し、
前記開口の内縁側の領域は、テーパー部を有し、該テーパー部はその厚さが、前記開口の縁に向かうほど漸減し、
前記テーパー部は、前記上層に接する表面を有し、前記表面が前記上層の側に凸に湾曲した形状を成している
印刷配線板である。
【0006】
コア基板に、絶縁層及び金属製の下地層をこの順に備えたビルドアップ前駆体層が重ねられた積層体を準備する工程と、
前記積層体の前記下地層側の上方に、第1貫通孔を有する第1のマスクを配置し、第1のレーザービームを前記第1貫通孔を通じて前記下地層に向けて照射して前記下地層に開口を形成する工程と、
前記下地層の前記第1貫通孔の上方に、前記第1貫通孔よりも径の小さい第2貫通孔を有する第2のマスクを配置し、前記開口を通じて第2のレーザービームを前記絶縁層に向けて照射して、前記絶縁層にホールを形成する工程と、
前記ホールの開口縁が、前記下地層の前記開口の内縁を超えないように前記ホールを拡径する工程と、
該ホールを形成した前記絶縁層に対してメッキ処理を行い、前記下地層及び前記ホールにメッキ膜を成長させてビア導体および上層を形成する工程と、
を含み、
前記下地層の前記開口の内縁は、前記ホールの開口縁と重なる位置または該ホールの開口縁よりも外側に位置し、
前記下地層の前記開口の内縁側の領域は、テーパー部を有し、該テーパー部はその厚さが、前記開口の縁に向かうほど漸減し、
前記テーパー部は、前記上層に接する表面を有し、前記表面が前記上層の側に凸に湾曲した形状を成している
印刷配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の内容によれば、ビア導体が絶縁層から抜けにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、印刷配線板の断面を示す。
図2図2は、図1中の領域IIを拡大して示す。
図3図3は、ビア導体の外周とホールの内周の境界の断面を拡大して示す。
図4図4は、ビア導体の外周とホールの内周の境界の断面を拡大して示す。
図5図5は、変形例におけるビア導体の断面を拡大して示す。
図6図6は、印刷配線板の製造の一工程における積層体の断面を示す。
図7図7は、図6の工程の後の工程における積層体の断面を示す。
図8図8は、図7の工程の後の工程における積層体の断面を示す。
図9図9は、図8の工程の後の工程における積層体の断面を示す。
図10図10は、図9の工程の後の工程における積層体の断面を示す。
図11図11は、図10の工程の後の工程における積層体の断面を示す。
図12図12は、図11の工程の後の工程における積層体の断面を示す。
図13図13は、図12の工程の後の工程における積層体の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。ただし、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本開示の印刷配線板1は、図面に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、図面の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および寸法比率などを忠実に表したものではない。
【0010】
[1. 印刷配線板]
図1を参照して、印刷配線板1について説明する。
印刷配線板1は、多層基板である。印刷配線板1は、コア基板10及び第1のビルドアップ層20を有する。なお、この印刷配線板1は、必要に応じて、図1に示すように、第1のソルダーレジスト層40、第2のビルドアップ層50及び第2のソルダーレジスト層70を備える。第2のソルダーレジスト層70、第2のビルドアップ層50、コア基板10、第1のビルドアップ層20及び第1のソルダーレジスト層40がこれらの順に積層されている構成であってもよい。
【0011】
[1-1. コア基板]
コア基板10は、基材11及び導体層12,13を有する。
基材11は平板状に成している。基材11は、第1表面11aと、その第1表面11aの反対側の第2表面11bとを有する。第1表面11aと第2表面11bは互いに反対を向いている。基材11は、第1表面11aから第2表面11bまでの厚みを有する。第1表面11aから第2表面11bの方への方向及びその逆方向は、厚み方向である。
【0012】
基材11は、絶縁性を有する素材から形成されている。このような絶縁性の素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂、シアネートエステル樹脂及び液晶ポリマーなどのような有機樹脂が挙げられる。これらの有機樹脂のうち2種以上が混合されていてもよい。これら有機樹脂のうちの1種又は2種以上に補強材が配合されてもよい。補強材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス不織布、アラミド繊維、アラミド不織布、ポリエステル繊維及びポリエステル不織布のような布材が挙げられる。これらの有機樹脂のうちの1種又は2種以上に、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム及びチタンなどのような無機充填材が含まれてもよい。
【0013】
導体層12は、基材11の第1表面11aに積層されている。導体層13は、基材11の第2表面11bに積層されている。導体層12,13は、配線パターンに成している。導体層12,13の材質は、例えば銅のような導電性金属である。導体層12,13は、例えば銅メッキのような金属メッキからなる。導体層12,13の厚さは、例えば18μm以上100μm以下であるのがよい。
【0014】
なお、コア基板10は多層構造であってもよい。その多層構造としては、以下に示す態様を一例として挙げることができる。例えば、多層構造は、複数の絶縁層、1つ又は複数の内部導体層及び2つの表面導体層を有する。絶縁層は順に積層されている。内部導体層はこれら絶縁層の間に挟まれている。2つの表面導体層は、導体層12,13が基材11の表面11a,11bにそれぞれ積層されるのと同様にして、複数の絶縁層からなる積層体の2つの最表面にそれぞれ積層されている。内部導体層及び表面導体層は、配線パターンを成している。
【0015】
[1-2. ビルドアップ層]
第1のビルドアップ層20は、絶縁層21、少なくとも1つのビア導体22及び表面導体層23を有する。
【0016】
絶縁層21は、コア基板10の表面に積層されている。つまり、絶縁層21は、導体層12を被覆するとともに、基材11の第1表面11aも被覆している。言い換えれば、コア基板10は、ビルドアップ層20に接する面に導体層12を有している。絶縁層21の厚さは、つまり、導体層12に関して第1表面11aに接する表面12cと反対側の導体層12の表面12dから、絶縁層21に関してコア基板10と反対側の絶縁層21の表面21dまでの厚さは、例えば40~100μmである。
【0017】
絶縁層21は、絶縁性を有する素材から形成されている。このような絶縁性の素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂及び液晶ポリマーなどのような有機樹脂が挙げられる。これらの有機樹脂のうち2種以上が混合されていてもよい。これら有機樹脂のうちの1種又は2種以上に補強材が配合されてもよい。補強材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス不織布、アラミド繊維、アラミド不織布、ポリエステル繊維及びポリエステル不織布のような布材が挙げられる。これらの有機樹脂のうちの1種又は2種以上に、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム及びチタンなどのような無機充填材が含まれてもよい。
【0018】
ビア導体22は、絶縁層21を厚み方向に貫通している。具体的には、絶縁層21は、厚み方向に絶縁層21を貫通する少なくとも1つのホール21aを有し、ビア導体22がホール21aにそれぞれ充填される構成となっている。ビア導体22の材質は、例えば銅のような導電性金属である。ビア導体22は、コア基板10の導体層12に結合するとともに、その導体層12に電気的に接続されている。
【0019】
なお、複数のビア導体22が配置される場合、これらビア導体22のピッチは245μmであっても十分な絶縁性を確保できる。
なお、ビルドアップ層20は、絶縁層21と上層25との間に下地層24を有していても良い。下地層24は導電性を有する方がよい。下地層24は金属膜であるのがよい。
【0020】
図2は、図1中の領域IIの拡大図である。図2に示すように、導体層12のうちビア導体22が接する部分の表面12aは、凹面状となっていてもよい。つまり、導体層12のうち、ビア導体22が接している部分が凹状になっていると、その凹みにビア導体22の底22aが入り込む状態となる。導体層12とビア導体22との接触面積が大きくなる。これにより導体層12とビア導体22との間の接合力を高めることが可能になる。この場合、ビア導体22の導体層12側の端面は凸面状となっているのがよい。こうしてビア導体22の底22aは、凹面状の表面12aに嵌められる。
【0021】
図1に示すように、巨視的には、ビア導体22が、絶縁層21の厚み方向に沿った中心軸の周りの円柱状に形作られている。ここで、円柱状とは、ビア導体22の直径が厚み方向に亘って一様であるものをいう。ビア導体22は厚み方向の全体に亘ってホール21aの内壁面に接している。図2に示すように、微視的には、ホール21aの内壁面が凹凸のある形状であり、ビア導体22が厚み方向全体に亘ってホール21a内壁面の凹凸にまで充填されている。つまり、ビア導体22が凹凸に形成され、ビア導体22の凹凸がホール21aの内壁面の凹凸に隙間無く噛み合っている。
【0022】
図3及び図4は、ビア導体22とホール21aの内壁面の境界の断面の拡大図である。図4に示される部分は、図3に示される部分と異なる位置である。図3及び図4に示すように、ビア導体22の凹凸は、少なくとも1つの凸部22b及び少なくとも1つの凸部22cを有する。凸部22b,22cは、径方向外方に向けて突出するとともに、絶縁層21に刺さっている。言い換えると、凸部22b,22cは、径方向外方に向けて突出している。また、凸部22b,22cは、絶縁層21に刺さるような配置となっている。この場合、凸部22bは、表面導体層23の方へ傾斜する向きとなっている。あるいは、凸部22bは、上層25の方へ傾斜する向きとなっている。さらに言い換えると、凸部22bは、ビア導体22の側面から斜めの向きとなっており、その向きは表面導体層23または上層25の方へ向いている。凸部22cは、コア基板10の方へ傾斜する向きとなっている。言い換えると、凸部22cは、ビア導体22の側面から斜めの向きとなっており、その向きはコア基板10の方へ向いている。
【0023】
図1に示すように、表面導体層23は、絶縁層21に関してコア基板10と反対側の、絶縁層21の表面21dに積層されている。表面導体層23は、配線パターンを成している。表面導体層23は、ビア導体22に電気的に接続されている。
【0024】
表面導体層23は、下地層24及び上層25を有していてもよい。ここで、上層25とは、表面導体層23のうち、下地層24を介して絶縁層21の反対側に位置する金属膜のことである。上層25は表面導体層23を構成している金属膜の一部である。下地層24及び上層25は、これらの順に、絶縁層21に関してコア基板10と反対側の、絶縁層21の表面21dに積層される配置となっている。下地層24の厚さは、例えば2μm以上17μm以下である。下地層24及び上層25は、配線パターンを成している。下地層24及び上層25の材質は、例えば銅のような導電性金属である。
【0025】
下地層24は、ホール21aに重なる位置に開口24aを有する。開口24aの内縁は、ホール21aの開口縁と重なる位置、またはホール21aの開口縁よりも外側に位置している。下地層24は、開口24aの周囲にテーパー部24bを有する。ここで、開口24aの周囲とは、開口24aの内縁(または縁)を含み、その内縁から法線方向に所定の幅で広がる領域のことである。テーパー部24bの厚さは、開口24aの縁に向かうほど漸減する。言い換えると、下地層24は、開口24aの縁から外側への法線の方向に向かうにしたがって厚みが厚くなっているのがよい。下地層24が開口24aの縁から外側への法線の方向に向かうにしたがって厚みが厚くなる形状であると、この下地層24のテーパー部24bが絶縁層21から剥離しにくくなる確率が高くなる。下地層24のテーパー部24bの付近は、絶縁層21、ビア導体22および上層25といった複数の部材が互いに接している部位である。複数の部材が互いに接している部位には、各部材の熱膨張率、ヤング率の違いから応力が発生しやすい。このような場合に、下地層24が開口24aの縁から外側への法線の方向に向かうにしたがって厚みが厚くなる形状であると、テーパー部24bの端である開口24aの縁付近に発生しやすい応力を低減することができる。この場合、特に、下地層24の厚みが開口24aの縁の方に向けて厚みが薄くなっているのがよい。さらには、テーパー部24bの上層25に接する表面が上層25側に凸の湾曲した形状を成しているのがよい。上層25は、開口24aを通じてビア導体22に連なり、ビア導体22は上層25と一体である。上層25のうち、テーパー部24bの重なる部分の厚さは、開口24aの縁に向かうほど漸減する。開口24aの縁におけるテーパー部24bの角度θは、例えば45°を超え、より具体的には50°以上80°以下であるのがよい。
【0026】
なお、表面導体層23のうちビア導体22と重なる部分は、配線パターンの線幅よりも長い直径を有したランドである。ランドの直径としては、例えば200μm以上250μm以下であるのがよい。
【0027】
上述したように、印刷配線板1は、第2のビルドアップ層50を有していても良い。第2のビルドアップ層50は、コア基板10の第1のビルドアップ層20が位置する表面とは反対側の表面に位置する。コア基板10は、第2のビルドアップ層50に接する面に導体層13を有していてもよい。第2のビルドアップ層50は、絶縁層51、少なくとも1つのビア導体52及び表面導体層53を有する。第2のビルドアップ層50は、第1のビルドアップ層20と同様に設けられている。第2のビルドアップ層50の絶縁層51は第1のビルドアップ層20の絶縁層21に相当し、第2のビルドアップ層50のビア導体52は第1のビルドアップ層20のビア導体22に相当し、第2のビルドアップ層50の表面導体層53は第1のビルドアップ層20の表面導体層23に相当する。また、絶縁層51のホール51aは絶縁層21のホール21aに相当し、表面導体層53の下地層54は表面導体層23の下地層24に相当し、表面導体層53の上層55は表面導体層23の上層25に相当し、下地層54の開口54aは下地層24の開口24aに相当する。また、下地層24が開口24aの周囲にテーパー部を有するのと同様に、下地層54は、開口54aの縁に向かうほど厚さが漸減するテーパー部を開口の周囲に有する。
【0028】
[1-3. ソルダーレジスト層]
ソルダーレジスト層40,70は、第1のビルドアップ層20、コア基板10及び第2のビルドアップ層50の積層体の両面にそれぞれ積層されている。つまり、第1のソルダーレジスト層40は、表面導体層23を被覆するとともに、絶縁層21に関してコア基板10と反対側の絶縁層21の表面21dを被覆している。第2のソルダーレジスト層70は、表面導体層53を被覆するとともに、絶縁層51に関してコア基板10と反対側の絶縁層51の表面51dを被覆している。
【0029】
第1のソルダーレジスト層40は、少なくとも1つの開口41を有する。表面導体層23の一部が開口41に重なり、表面導体層23のうち開口41内の部分が端子である。第2のソルダーレジスト層70も第1のソルダーレジスト層40と同様に、少なくとも1つの開口71を有する。表面導体層53の一部が開口71に重なり、表面導体層53のうち開口71内の部分が端子である。
【0030】
[1-4. 変形例]
(1) 図1に示す例では、第1のビルドアップ層20の数が1である。それに対して、複数の第1のビルドアップ層20がコア基板10と第1のソルダーレジスト層40の間において積層されてもよい。同様に、複数の第2のビルドアップ層50がコア基板10と第2のソルダーレジスト層70の間において積層されてもよい。
第1のビルドアップ層20が、コア基板10の直上から数えてn層ある場合、2からn層目の第1のビルドアップ層20のビア導体22は、直下の第1のビルドアップ層20の表面導体層23に電気的に接続されている。第2のビルドアップ層50がn層あるビア導体52についても同様である。
【0031】
(2) 図2に示す例では、ビア導体22及びホール21aの直径が厚み方向に亘って一様である。それに対して、図5に示すように、ホール21aのうち導体層12に近位の部分21eの直径が開口24a側から導体層12に向かうほど漸減し、その部分21eがテーパー化されていてもよい。それに合わせて、ビア導体22のうち導体層12に近位の部分の直径が開口24a側から導体層12に向かうほど漸減し、その部分21eがテーパー化されている。
【0032】
[1-5. まとめ]
(1) 従来のように、ビア導体の直径がソルダーレジスト層側からコア基板側に向かうほど漸減し、ビア導体が円錐台型に成していれば、ビア導体が絶縁層から抜けやすい。それに対して、上述のビア導体22,52の直径が厚み方向に亘って一様であり、ビア導体22,52が円柱型に成している。そのため、従来のビア導体と比較して、ビア導体22,52が絶縁層21,51から抜けにくい。
【0033】
(2) ビア導体22の直径が厚み方向に亘って一様であることは、ビア導体22と導体層12間の接続信頼性の向上に寄与する。ビア導体22と導体層12の結合面積は、従来のビア導体と導体層の結合面積よりも大きい。そのため、従来のビア導体が導体層から離間しやすいのに対して、ビア導体22が導体層12から離間しにくい。同様に、ビア導体52の直径が厚み方向に亘って一様であるため、ビア導体52が導体層13から離間しにくい。
【0034】
(3) ビア導体22と絶縁層21の熱膨張率が異なることは、導体層12からビア導体22の離間の要因となる。そうであっても、ビア導体52の直径が厚み方向に亘って一様であるため、ビア導体22が導体層12から離間しにくい。
【0035】
(4) ビア導体22の底22aが凸面状であり、導体層12の表面12aが凹面状であり、ビア導体22の底22aが凹面状の表面12aに嵌められている。このことは、ビア導体22と導体層12間の電気特性の向上に寄与する。具体的には、ビア導体22と導体層12の結合面積が増加するため、ビア導体22と導体層12の境界付近における電気抵抗及び導電率等が安定する。ビア導体52と導体層13についても同様である。
【0036】
(5) ビア導体22の外周とホール21aの内壁面との境界面が凹凸に形成されているため、ビア導体22と絶縁層21の密着性及び接着性が高い上、ビア導体22が絶縁層21から抜けにくい。ビア導体52と絶縁層51についても同様である。
【0037】
(6) ビア導体22の外周の凹凸が少なくとも1つの凸部22bを有し、凸部22bが上層25の方へ傾斜し、凸部22bがホール21aから絶縁層21に刺さっている。凸部22bはビア導体22を絶縁層21にアンカーする。そのため、ビア導体22がホール21aから上層25の方へ抜けにくい上、ビア導体22が導体層12から離間しにくい。ビア導体52についても同様である。
【0038】
(7) ビア導体22の外周の凹凸が少なくとも1つの凸部22cを有し、凸部22cがコア基板10の方へ傾斜し、凸部22cがホール21aから絶縁層21に刺さっている。凸部22cはビア導体22を絶縁層21にアンカーする。そのため、上層25の方へ傾斜した凸部22bのみよりもアンカーとしての効果が高まり、ビア導体22が上層25から離間しにくい。ビア導体52についても同様である。
【0039】
(8) 下地層24が開口24aの周囲にテーパー部24bを有するため、開口24a付近における下地層24と上層25の接触面積はテーパー部24bがない場合よりも大きくなる。開口24aの周囲における下地層24から上層25の剥離を抑えられ、ひいてはビア導体22が絶縁層21から抜けにくくなる。ビア導体52についても同様である。
【0040】
[2. 印刷配線板の製造方法]
図6図13を参照して、印刷配線板1の製造方法について説明する。
【0041】
[2-1. 準備]
まず、積層体10Aを準備する。積層体10Aとしては、コア基板10にビルドアップ前駆体層20Aが積層されたものを用いる。必要に応じて、コア基板10に関してビルドアップ前駆体層20Aと反対側において、ビルドアップ前駆体層50Aがコア基板10に積層されてもよい。なお、積層体10Aとしては、図6に下地層54、絶縁層51、コア基板10、絶縁層21及び下地層24を有し、これらの順に配置されている。ビルドアップ前駆体層20Aは絶縁層21及び下地層24を有する。ビルドアップ前駆体層50Aは絶縁層51及び下地層54を有する。下地層24,54は、未だ配線パターンに成していない。絶縁層21にはホール21aが形成されておらず、絶縁層51にはホール51aが形成されていない。この時点で下地層24,54の厚さは、例えば3μm以上18μm以下である。絶縁層21の厚さは、例えば40~100μmである。
【0042】
積層体10Aの準備は、例えば以下の(1)又は(2)のように行われる。
(1) プリプレグまたは樹脂フィルム等をコア基板10の両面に積層し、更にこれらプリプレグまたは樹脂フィルム等に金属箔を積層する。その後、金属箔、プリプレグまたは樹脂フィルム等及びコア基板10を加熱するとともに加圧することによってプリプレグまたは樹脂フィルムを硬化させ、コア基板10と金属箔に固着させることで絶縁層21,51、及び、下地層24,54を形成する。
(2) 樹脂フィルム等に金属箔が予め積層されたビルドアップ用シートをコア基板10の両面に積層する。そして、ビルドアップ用シート及びコア基板10を加熱するとともに加圧することによって樹脂フィルム等を硬化させ、コア基板10に固着させることで絶縁層21,51を形成する。
【0043】
[2-2. 粗面化]
次に、下地層24,54の表面を粗化する。具体的には、下地層24,54の表面をエッチングする。これにより、下地層24,54の表面が粗く且つ黒くなるとともに、下地層24,54が薄くなる。表面処理後の下地層24,54の厚さは、例えば2μm以上17μm以下である。
【0044】
[2-3. 1回目のレーザービーム照射]
次に、図7に示すように、積層体10Aをレーザービーム加工機にセットするとともに、レーザービーム加工機のレーザー発振器と下地層24の間にマスク110をセットする。マスク110は、マスク110を貫通する少なくとも1つの円形状の貫通孔111を有する。貫通孔111の直径は、例えば2~3mmであり、より具体的には2.4mmである。
【0045】
次に、図8に示すように、レーザービーム加工機を用いて、貫通孔111を通じてレーザービーム150を下地層24に照射する。下地層24にはレーザービーム150の照射箇所に開口24aが形成される。上述のように下地層24が既に粗化されているため、レーザービーム150が下地層24によって反射されずに、下地層24に吸収される。
【0046】
レーザービーム加工機におけるレーザービーム150の出力は、例えば10~20mJ/shоtであり、より具体的には16mJ/shоtである。開口24aの直径は、貫通孔111の直径及びレーザービーム150の出力に応じて決まる。貫通孔111の直径が長いほど開口24aの直径が長く、レーザービーム150の出力が高いほど開口24aの直径が長い。例えば貫通孔111の直径が2.4mmであり、レーザービーム150の出力が例えば16mJ/shоtであれば、直径100μmの開口24aが形成される。なお、レーザービーム150の出力のことをパワーともいう。
【0047】
レーザービーム150が絶縁層21の表面まで到達したら、レーザービーム150の照射を止める。
【0048】
なお、複数のビア導体22を形成する場合には、レーザービーム150の照射箇所を変更することによって複数の開口24aを下地層24に形成する。
【0049】
[2-4. 2回目のレーザービーム照射]
次に、図9に示すように、マスク110をマスク120に交換し、セットする。マスク120は、マスク120を貫通する少なくとも1つの円形状の貫通孔121を有する。貫通孔121の直径は、マスク110の貫通孔111よりも短い。貫通孔121の直径は、例えば貫通孔111の直径の1/3以上1/2以下であり、より具体的には1.1mmである。
【0050】
次に、図10に示すように、前記レーザービーム加工機を用いて、貫通孔121及び開口24aを通じてレーザービーム160を絶縁層21に照射する。これにより、絶縁層21にはレーザービーム160の照射箇所に円柱状のホール21aが形成される。レーザービーム160の出力は、例えば、開口24aを形成した際のレーザービーム150の出力の1/15以上1/8以下であり、より具体的には1.8mJ/shоtである。形成されるホール21aの直径は、開口24aの直径よりも短い。ホール21aの直径は、貫通孔121の直径及びレーザービーム160の出力に応じて決まる。貫通孔121の直径が長いほどホール21aの直径が長く、レーザービーム160の出力が高いほどホール21aの直径が長い。例えば、開口24aが上述の好適条件の通りに形成されており、貫通孔121の直径が1.1mmであり、レーザービーム160の出力が例えば1.8mJ/shоtであれば、直径80μmのホール21aが形成される。
【0051】
レーザービーム160が導体層12の表面まで到達したら、レーザービーム160の照射を止める。レーザービーム160の照射の停止の直前に、レーザービーム160が短時間の間に導体層12の表面に入射するため、導体層12の表面がレーザービーム160により凹面状に形作られる。
【0052】
以上のようにレーザービーム150,160を下地層24及び絶縁層21に順次照射する過程において、レーザービーム150が開口24aの周囲に入射するため、テーパー部24bが開口24aの周囲に形成される。
【0053】
なお、複数のビア導体22を形成する場合、レーザービーム160の照射箇所を変更することによって複数のホール21aを絶縁層21に形成する。
【0054】
[2-5. 反対側の下地層及び絶縁層の加工]
次に、開口24aを下地層24に形成するのと同様にして、開口54aを下地層54に形成する。次に、ホール21aを絶縁層21に形成するのと同様にして、ホール51aを絶縁層51に形成する。
【0055】
[2-6. デスミア]
次に、ホール21a,51a内のスミアを例えばプラズマ処理又は過マンガン酸水溶液により除去する。図11に示すように、このようなデスミア処理は、ホール21aを開口24aと等しい直径に拡径するとともに、ホール51aを開口54aと等しい直径に拡径する。
【0056】
[2-7. メッキ]
次に、開口24a,54a及びホール21a,51aが形成された積層体10Aに対してメッキ処理を行い、図12に示すように積層体10Aの両面全体にビア導体22,52、及び、金属メッキ層25A,55Aを形成する。
【0057】
[2-8. パターン]
次に、図13に示すように、金属メッキ層25A,55A及び下地層24,54に配線パターンを形成する。
具体的には、まず、金属メッキ層25A,55Aにレジストを積層する。レジストを露光した上で、レジストを現像する。レジストをマスクとして、金属メッキ層25A,55A及び下地層24,54をエッチングすると、金属メッキ層25A,55A及び下地層24,54が配線パターンに形作られる。残存した金属メッキ層25Aが、配線パターンを成した上層25であり、残存した金属メッキ層55Aが、配線パターンを成した上層55である。
【0058】
[2-9. ソルダーレジスト層の形成]
次に、第1のソルダーレジスト層40を絶縁層21及び上層25に積層し、第2のソルダーレジスト層70を絶縁層51及び上層55に積層する。
以上により、印刷配線板1が完成する。
【0059】
[2-10. 変形例]
(1) 上述の通り、下地層24,54及び上層25,5の配線パターンは、サブトラクティブ法により形成されるが、MSAP(Modified Semi Additive Process)により形成されてもよい。
【0060】
(2) 第1のビルドアップ層20及び第2のビルドアップ層50が複数ある場合、[2-8]の処理の後、既設の第1のビルドアップ層20に新たな絶縁層21及び下地層24を形成し、既設の第2のビルドアップ層50に新たな絶縁層51及び下地層54を形成する。その後、新たな絶縁層21,51及び下地層24、54に対して[2-4]~[2-8]の処理を行う。このような一連の処理を1回又は複数回行った後、[2-9]の処理を行う。
【0061】
[2-11. まとめ]
(1) レーザービーム160が通過する貫通孔121の直径が、貫通孔111の直径よりも短い。従って、レーザービーム160により形成されるホール21aの直径が、レーザービーム150により形成される開口24aの直径よりも短くなる。しかしホール21aの形成後に、デスミア処理によってホール21aの内壁が拡径する場合があるため、ホール21aと開口24aの直径は近くなるかまたは等しくなる可能性が高い。このとき、レーザービーム160の出力をレーザービーム150の出力の1/5~1/100にするとよい。こうして、下地層24はホール21aの縁から内側に張り出していない状態にできる。その結果、ホール21a内でのメッキ液が循環されやすくなる。金属メッキがホール21a内で良好に成長し、ビア導体22が良好に形成される。つまり、ボイド・欠損等がビア導体22に発生しにくい。ビア導体52についても同様である。ビア導体22、52は、ホール21aの内壁側に金属の微小な結晶が形成されやすくなり、ホール21aの内壁にできた凹凸に埋まりやすくなる。また、その金属の結晶は、ホール21aの内壁付近からビア導体22、52の中心軸の方にかけて欠陥が少なく、キンク構造が整った結晶組織となりやすい。
【0062】
(2) 上述したレーザービーム160の出力条件では、レーザービーム160の照射時にホール21aが導体層12に向かって進展する際に、ホール21aがレーザービーム160によって拡径されにくい。そのため、下地層24に遠位のホール21aの開口径は、下地層24から近位のホール21aの開口径にほぼ等しく、ホール21aはデスミア処理後もその直径が厚み方向に亘って一様に形成され、ビア導体22はその直径が厚み方向に亘って一様に形成される。よって、テーパー状のホールを形成して導体を充填した場合よりもビア導体22が絶縁層21から抜けにくい上、ビア導体22と導体層12の接触面積が大きくできる。ビア導体52についても同様である。
【0063】
(3) 一般的に、メッキは、液晶ポリマー及びポリテトラフルオロエチレン樹脂に対して付着しにくい。絶縁層21が液晶ポリマー製又はポリテトラフルオロエチレン樹脂製である場合でも、上述の説明のような製造方法を用いればビア導体22が絶縁層21から抜けにくい。
【0064】
(4) レーザービーム160が通過する貫通孔121の直径が、レーザービーム150が通過する貫通孔111の直径の1/3以上1/2以下である。レーザービーム160の出力は、開口24aを形成した際のレーザービーム150の出力の1/15以上1/8以下である。そのため、絶縁層21の厚さが40~100μmであっても、下地層24に近位のホール21aの開口径と、下地層24から遠位のホール21aの開口径との差を5μm以下にできる。
【0065】
(5) ホール21a及びビア導体22はそれらの直径が厚み方向に亘って一様に形成されるため、下地層24から遠位のホール21aの開口径を、テーパー状のホールである場合の底部の開口径と等しくすれば、ビア導体22のうち下地層24に近位の部分の直径を小さくできる。それに伴い、ビア導体22に重なるランドの直径も小さくできる。ビア導体22が複数ある場合、ビア導体22の間隔を短くできる。ランドの直径が225μm以上250μm以下であり、ビア導体22のピッチが245μmであっても、ランド間の絶縁性とビア導体22間の絶縁性が確保される。
【0066】
(6) 下地層24に開口24aを形成する際に繁雑なエッチング処理を行わないため、下地層24に開口24aを形成する処理は、例えばラージウインドウ法及びコンフォーマルマスク法などのような他の方法を用いた処理よりも簡素化できる。ここで、ラージウインドウ法とは、銅箔に開口をエッチングにより形成した後、その開口よりも小さい径のホールを樹脂層にレーザービーム加工により形成する方法である。コンフォーマルマスク法とは、銅箔に開口をエッチングにより形成した後、その開口よりも大きい径のホールを樹脂層にレーザービーム加工により結果的に形成される方法である。
【0067】
(7) レーザービーム150,160の何れの照射も同一のレーザービーム加工機を用いて行う。そのため、上述の製造方法では工程数は少なくなる。
【0068】
[3. その他]
上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係および形状などの具体的な細部は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係および形状を適宜組み合わせ可能である。
【0069】
一実施形態において、(1) 印刷配線板が、コア基板と、前記コア基板に積層されるビルドアップ層と、を備え、前記ビルドアップ層が、前記コア基板に積層される絶縁層と、前記絶縁層を厚み方向に貫通するホールと、該ホールに充填されたビア導体と、を有し、前記ビア導体の形状が、円柱状である。
【0070】
(2) 上記(1)の印刷配線板において、前記ホールの内壁面が、凹凸を有しており、前記ビア導体は、前記内壁面に当接している。
【0071】
(3) 上記(1)又は(2)の印刷配線板において、前記ビルドアップ層が、前記コア基板とは反対の前記絶縁層上に表面導体層を有しており、前記ビア導体が、前記ホールの内壁面に向かう側面を有しており、前記側面は、少なくとも1つの凸部を有し、前記凸部が前記表面導体層の方へ向くように傾斜している。
【0072】
(4) 上記(3)の印刷配線板において、前記凸部が前記コア基板の方へ向くように傾斜している。
【0073】
(5) 上記(3)又は(4)のいずれかの印刷配線板において、前記表面導体層が下地層と上層とを有しており、前記下地層は前記絶縁層側に位置し、前記ビア導体と重なる位置に開口を有しており、該開口の内縁は、前記ホールの開口縁と重なる位置または該ホールの開口縁よりも外側に位置する。
【0074】
(6) 上記(5)の印刷配線板において前記開口の内縁側の領域は、テーパー部を有し、該テーパー部はその厚さが、前記開口縁に向かうほど漸減する。
【0075】
(7) 上記(1)から(6)のいずれかの印刷配線板において、前記コア基板は、前記ビルドアップ層に接する面に導体層を有しており、該導体層のうち、前記ビア導体が接する部分の表面が凹面状である。
【0076】
一実施形態において、(8) 印刷配線板の製造方法は、コア基板に、絶縁層及び金属製の下地層をこの順に備えたビルドアップ前駆体層が重ねられた積層体を準備する工程と、前記積層体の前記下地層側の上方に、第1貫通孔を有する第1のマスクを配置し、第1のレーザービームを前記第1貫通孔を通じて前記下地層に向けて照射して前記下地層に開口を形成する工程と、前記下地層の前記第1貫通孔の上方に、前記第1貫通孔よりも径の小さい第2貫通孔を有する第2のマスクを配置し、前記開口を通じて第2のレーザービームを前記絶縁層に向けて照射して、前記絶縁層にホールを形成する工程と、該ホールを形成した前記絶縁層に対してメッキ処理を行い、前記下地層及び前記ホールにメッキ膜を成長させてビア導体および上層を形成する工程と、を含む。
【0077】
(9) 上記(8)の製造方法において、前記第2貫通孔の直径が前記第1貫通孔の直径の1/3以上1/2以下である。
【0078】
(10) 上記(8)又は(9)の製造方法において、前記第2のレーザービームの出力が前記第1のレーザービームの出力の1/15以上1/8以下である。
【0079】
(11) 上記(8)から(10)のいずれかの製造方法において、前記下地層の開口の内縁を超えないように前記ホールを拡径する工程をさらに有する。
【符号の説明】
【0080】
10 コア基板
10A 積層体
20 第1のビルドアップ層
20A ビルドアップ前駆体層
21 絶縁層
21a ホール
22 ビア導体
22b 凸部
22c 凸部
24 下地層
24a 開口
24b テーパー部
25 上層
50 第2のビルドアップ層
50A ビルドアップ前駆体層
51 絶縁層
51a ホール
52 ビア導体
54 下地層
54a 開口
55 上層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13