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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】建物の屋内構造および部分入室システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20241107BHJP
   G07C 9/00 20200101ALI20241107BHJP
   E05B 49/00 20060101ALN20241107BHJP
【FI】
G06Q50/163
G07C9/00
E05B49/00 Z
E05B49/00 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019235254
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103488
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】599139914
【氏名又は名称】佃 光水
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】佃 光水
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-052476(JP,A)
【文献】特開2005-155236(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0111277(KR,A)
【文献】特開2013-190861(JP,A)
【文献】特開2011-102483(JP,A)
【文献】特開2021-034987(JP,A)
【文献】特開平08-303022(JP,A)
【文献】特開2017-110457(JP,A)
【文献】特開2004-013217(JP,A)
【文献】特開2007-197960(JP,A)
【文献】特開2002-197570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
E05B 49/00
G07C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋内空間の構造であって、
上記屋内空間を、非権利者が入室できる入室エリアと非権利者の入室を禁止する非入室エリアとに区分し、
上記入室エリアに非権利者が入室するのを許可する入室許可権を設定するとともに、この入室許可権の権限を権利者に与える部分入室システムを備え、
上記部分入室システムは、非権利者の入室を制限する制限手段を備え、この制限手段と玄関との間に、廊下を介して玄関に繋がるトイレ、洗面、浴室の少なくとも何れかを配置するとともに、これら玄関と廊下と、トイレ、洗面、浴室の少なくとも何れかで入室許可権の付与された非権利者が玄関より立入れる入室エリアを形成する一方、上記廊下および制限手段を介して上記入室エリアに繋がる部屋を、上記制限手段により非権利者が立入るのを制限される非入室エリアとし、
また、部分入室システムは、上記入室エリアを構成する玄関、廊下、トイレ、洗面、浴室の少なくとも何れかで作業を行う非権利者をマッチングさせるマッチング手段を備え、
上記マッチング手段は、権利者が要望する作業対象の画像および作業時間を非権利者に開示する一方、非権利者は、作業対象の画像と作業時間に基づいて請負の可否を選択し、
さらに、部分入室システムは、マッチング手段によるマッチング結果に基づき非権利者の入室エリアにおける入室時間と、非権利者の作業時間とを管理する管理手段を有することを特徴とする建物の屋内空間の構造。
【請求項2】
部分入室システムは、建物の屋内に、非権利者が入室できる入室エリアと、非権利者の入室を禁止する非入室エリアとを設定するとともに、玄関、廊下、トイレ、洗面、浴室を入室エリアとするとともに、これ以外の部屋を非入室エリアとし、
また、部分入室システムは、上記入室エリアを構成するトイレ、洗面、浴室を作業対象とするとともに、当該入室エリア内で作業を行う非権利者をマッチングさせるマッチング手段を備え、
上記マッチング手段は、トイレ、洗面、浴室のうち、権利者が要望する少なくとも何れかの作業対象の画像および作業時間を非権利者に開示する一方、非権利者は、作業対象の画像と作業時間に基づいて請負の可否を選択し、
さらに、部分入室システムは、マッチング手段によるマッチング結果に基づき非権利者の入室エリアにおける入室時間と、非権利者の作業時間とを管理する管理手段を有することを特徴する部分入室システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は宿泊建物又は住居建物の屋内構造とその屋内構造を好適に活用するための部分入室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
宿泊建物及び住居建物の構造にあっては、屋外(内廊下を採用する集合型の建物にあっては、内廊下が屋外に相当)より屋内への出入りは外扉の鍵及び/又はセキュリティーシステムにより厳重に制限されている。他方、屋内の各部屋(トイレ、洗面、浴室、リビングダイニングキッチン、居間、寝室、客間)は内扉で仕切られているものの容易に立入りは可能となっている。
上記内扉にあっては、鍵を備えるものあるが、当該鍵は簡易的な形式であり(万一、突発的な身体的異常等の発症を考慮)、薄く平らな物(硬貨・メダル・マイナスドライバー)を使用して簡単に外側から開閉可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先ず宿泊建物の屋内構造では、当該物件の所有者(権利者)又は宿泊客(権利者)が従業員(非権利者)に対して外扉からの入室の許可を与えている。
上記宿泊建物では、浴室(浴室と同じ部屋)とトイレには扉は有るが、客室としては内扉を備えていないワンルームタイプの比率が高く、リビングと寝室が分れたタイプの客室でもこれを仕切る内扉は鍵を備えていない。
これにより連泊における外出時には、手荷物を部屋置きせずホテルフロントに預けることを推奨している。
これは悪意を持った第三者による犯行、或いは無施錠状態のスキを突いた第三者による犯行、さらには魔が差した従業員(非権利者)による犯行も否定できないからである。
【0004】
次に住居建物では、当該物件の所有者(以下、権利者)又は当該物件の賃貸者(以下、権利者)が屋内の清掃を依頼する場合などに、非居住者(非権利者)に対して入室の許可を与えている。
住居建物は、ワンルームを除けば一般的に内扉で部屋毎に仕切られており、当該内扉は仕切る部屋により鍵を備えていたり備えていなかったりと様々である。
具体的には、トイレ・浴室(洗面は浴室と同じ部屋若しくは廊下に設置されている)・寝室・客間等のプライベートが重視される空間を仕切る内扉では、先述の簡易形式の鍵を備えていることが多く、それ以外の内扉、例えば入居者全員の立入り及び客人(非権利者)を迎い入れることを想定したリビングダイニング(居間も含む)又はリビングダイニングキッチンの内扉は、その使用用途ゆえ鍵は備えていないし、そもそも内扉を備えていない場合もある。
またワンルームタイプの住居では、文字通り玄関から続く廊下を介して直接居室兼キッチンへ続いており、この廊下の途中に配置された浴室とトイレの各々の内扉が鍵を備えることが一般的、若しくはこれも廊下の途中に設置されたトイレ・洗面・浴室が一室に集約された三点ユニットの内扉が鍵を備えることが一般的である。
このため住居建物では、屋内の清掃を依頼する場合、作業者(非権利者)が権利者の在宅時に立ち入るのが一般的であり、権利者にとっては在宅の必要性が負担となっていた。
具体的には、屋内掃除を依頼する場合、臨時清掃と定期清掃の二通りがある。
臨時(不定期)で清掃を依頼する場合は、電話又はメールでの予約後に現場で権利者と作業者(非権利者)による確認がなされてから本見積となり(一度目の立会い)、また清掃作業中においては新たな確認事項の発生(不測の事態が発生)や動産の保全のため権利者が在宅を余儀なくされ、作業終了後の確認も行うのが一般的である(二度目の立会い)。未入居で、かつ動産も存在しない物件にあっては、すなわち引越し後の物件では在宅は必須ではない。
他方、後者の定期清掃であれば、契約内容により権利者は不在でも作業者(非権利者)が屋内へ入室することは可能である。
すなわち、現場での入念な打合せにより屋内における各部屋の配置や注意点は判明しており、かつ毎回同様のルーティンに基づく作業が行われるため不備や不測の事態が発生する確率は極めて低い。また屋内の動産については、事前に動産の所在が明確化されるとともに、清掃会社での保証内容も明確化されており、さらに作業者(非権利者)がほぼ固定されているのが大きい。
しかしながら定期清掃は、継続であるため大きな費用負担が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような問題に鑑み、請求項1の発明は、建物の屋内空間の構造であって、
上記屋内空間を、非権利者が入室できる入室エリアと非権利者の入室を禁止する非入室エリアとに区分し、
上記入室エリアに非権利者が入室するのを許可する入室許可権を設定するとともに、この入室許可権の権限を権利者に与える部分入室システムを備え、
上記部分入室システムは、非権利者の入室を制限する制限手段を備え、この制限手段と玄関との間に、廊下を介して玄関に繋がるトイレ、洗面、浴室の少なくとも何れかを配置するとともに、これら玄関と廊下と、トイレ、洗面、浴室の少なくとも何れかで入室許可権の付与された非権利者が玄関より立入れる入室エリアを形成する一方、上記廊下および制限手段を介して上記入室エリアに繋がる部屋を、上記制限手段により非権利者が立入るのを制限される非入室エリアとし、
また、部分入室システムは、上記入室エリアを構成する玄関、廊下、トイレ、洗面、浴室の少なくとも何れかで作業を行う非権利者をマッチングさせるマッチング手段を備え、
上記マッチング手段は、権利者が要望する作業対象の画像および作業時間を非権利者に開示する一方、非権利者は、作業対象の画像と作業時間に基づいて請負の可否を選択し、
さらに、部分入室システムは、マッチング手段によるマッチング結果に基づき非権利者の入室エリアにおける入室時間と、非権利者の作業時間とを管理する管理手段を有することを特徴とする建物の屋内空間の構造。
【0006】
また請求項2の発明にかかる部分入室システムは、建物の屋内に、非権利者が入室できる入室エリアと、非権利者の入室を禁止する非入室エリアとを設定するとともに、玄関、廊下、トイレ、洗面、浴室を入室エリアとするとともに、これ以外の部屋を非入室エリアとし、
また、部分入室システムは、上記入室エリアを構成するトイレ、洗面、浴室を作業対象とするとともに、当該入室エリア内で作業を行う非権利者をマッチングさせるマッチング手段を備え、
上記マッチング手段は、トイレ、洗面、浴室のうち、権利者が要望する少なくとも何れかの作業対象の画像および作業時間を非権利者に開示する一方、非権利者は、作業対象の画像と作業時間に基づいて請負の可否を選択し、
さらに、部分入室システムは、マッチング手段によるマッチング結果に基づき非権利者の入室エリアにおける入室時間と、非権利者の作業時間とを管理する管理手段を有することを特徴する部分入室システム
【発明の効果】
【0007】
上記発明によれば、部分入室システムのマッチング機能を介して選ばれた非権利者は、入室許可権に基づき権利者の在不在に拘らず入室エリアに入室可能なのは勿論のこと、当該入室エリアでは管理手段による管理のもと権利者の要望に応じた作業を行うことが可能である。
また非権利者は、制限手段によって物理的に非入室エリアへの立入が阻止される一方、管理手段によって時間経過に基づき管理されているので、権利者が作業中に在室する必要性を無くすることができる。
【0008】
先ず本発明を宿泊建物に当てはめると、制限手段でトイレ・洗面・浴室を入室エリアとすれば、従業員(非権利者)がトイレ・洗面・浴室の清掃を、居室の清掃及びベッドメイキングと切離して行うことが可能となる。
これにより連泊する宿泊客(権利者)にあっては、非入室エリアとしたリビング及び/又は居室については清掃対象から除外するといった選択が可能となり、すなわち、何らかの理由で清掃時間帯に在室する場合、従来はその旨をフロントへ伝えて清掃時間を変えて貰うか、時間変更が難しい場合は宿泊客(権利者)が一時不在にするか、最悪は清掃自体を諦めざるを得なかったが、トイレ・洗面・浴室で充分な場合はプライバシーを保った状態で清掃を行ってもらうことができ(部屋着・タオル・備品等の補充と交換も含む)、この選択がなされることにより宿泊客(権利者)及び従業員(非権利者)にとっては、各々都合を優先することが可能となる。また従来、ルームサービスで飲食物をオーダーした場合、当該飲食物は従業員(非権利者)が入室して宿泊客(権利者)に直接渡していたが、本発明によれば従業員(非権利者)と宿泊客(権利者)が接触すること無く入室エリアを介して飲食物を受け渡すことが出来るので、従業員(非権利者)にとっては従来に比較してルームサービスを円滑に行うことができ、他方宿泊客(権利者)にとっては従業員(非権利者)と顔合せせずに済むというメリットがある。
上述した部分的な清掃依頼及びルームサービスの迅速化は、円滑なホテル運営に寄与するので、当該部分除外の依頼を行った宿泊客(権利者)に対しては、その分宿泊費を減額して還元することができ、これにより宿泊客(権利者)に対して新しいサービスを提供することができる。
また制限手段で非入室エリアとしたリビング及び/又は居室は、従業員(非権利者)及び悪意の第三者の何れに対しても従来に比較して明らかに窃盗に対する防犯性が向上しているので、手荷物を安心して置いておくことができる。
これにより宿泊客(権利者)は手荷物を持参してフロントへ預ける手間が省ける一方、フロントにとっては業務の軽減ならびにこれを保管するスペースを縮小又は無くすことができるので、この点もホテルにとっては運営の効率化を図れる。
【0009】
次に本発明を住居建物に当てはめると、制限手段でトイレ・洗面・浴室を入室エリアとすれば、作業者(非権利者)がトイレ・洗面・浴室の清掃を、動産が在り、かつプライバシー情報を得ることが出来るリビングダイニング及び寝室等と分けて行うことができる。
これにより権利者にあっては、非入室エリアとしたリビングダイニング(ワンルームタイプの場合には、居室に相当)及び/又は寝室等については清掃対象から除外するといった選択が可能となり、すなわち、トイレ・洗面・浴室で充分な場合は動産の保護とプライバシーを保った状態で清掃を行ってもらうことができこの選択がなされることにより権利者及び作業者(非権利者)にとっては、各々都合を優先することが可能となる。
すなわち臨時清掃の場合では、権利者の在不在に左右されながら各現場を回らざるを得なかった従来に比較して、作業者(非権利者)は、自身の効率だけを考慮して各現場を回るスケジュールを構築することができるので、従来に比較して処理できる現場数を増やすことができる。
また、作業者(非権利者)は、管理手段のもとで権利者の要望に応じた作業を行うことが出来るので、当該作業者(非権利者)の立会いを不要とすることが出来る。
これにより受取る対価の増収を図ることが可能となり、ひいては一現場当りの価格を下げて競争力の優位性も図ることが可能となる。
他方、権利者は、作業者(非権利者)の都合に合せざるを得ない場面があった従来に比較して、この点を考慮する必要がなくなるので、自身の都合を優先できるとともに、支払う対価についても従来に比較して低減される恩恵を受けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】宿泊建物又は住居建物に導入される制限手段LIと当該制限手段LIによって設定される入室エリアEMRと非入室エリアAPOを示す平面図。
図2】部分入室システムPMSによる顧客(権利者)Cと作業者(非権利者)Wとのマッチングから決済までの流れを示すフローチャート。
図3】マッチング手段MM1を構成する仮予約1での入力項目と仮予約開示2での開示項目を示した各プロセス。
図4】マッチング手段MM1を構成する本予約5での入力項目と本予約決定6での開示項目を示した各プロセス。
図5】1次情報11での入力項目と2次情報13での入力項目を示した各プロセス。
図6】管理手段MM2を構成する各種連絡14での連絡項目を示したプロセス。
図7】本予約5での入力項目と各種連絡14での連絡項目を示した各プロセス。
図8】部分入室システムPMSと制限手段LI´(携帯電話及び又は映像機器)を示す相関図。
図9】各種連絡14で制限手段LI´に対応した連絡項目を示すプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、リビングダイニングLD、少なくとも一つの寝室PR、さらにトイレWC・洗面WR・浴室BRを備えた宿泊建物又は住居建物を用いて本発明を説明する。なお、図1に記載の間取りは一例であることはもちろんである。
尚、図示していないが住居建物では、玄関Eにシューズクローゼット(靴箱)が設置されるのは勿論のこと、また廊下を介して各部屋リビングダイニングLD、寝室PR、トイレWC、洗面WR、浴室BRが繋がれ(リビングダイニングが廊下を兼ねるタイプもある)、さらにキッチンがリビングダイニングLDに設けられている(ワンルームタイプでは、玄関Eとリビングとを繋ぐ廊下に設置されることも有る)。
しかして上記建物が各部屋LD・PR・WC・WR・BRで構成される場合、従来であれば外扉ED(内廊下を採用する集合型の場合には当該内廊下が屋外に相当)には開錠されにくい防犯性の高い鍵を採用するとともに、場合によっては外扉EDの開閉を検知して警報を発する警報機及び/又は警備会社に対して発報するセキュリティーシステムを導入して更に防犯性を高めている。
他方、建物内でプライベートが重視される浴室BRの内扉(洗面WRが含まれる場合有り)、トイレWCの内扉、寝室PRの内扉には簡易的な鍵を備えるのが一般的であり、本発明でもそれに準じている。簡易的な鍵とは、薄く平らな形状の硬貨、メダル、マイナスドライバー等で開錠可能なものが該当する。
【0012】
本発明では、上述した各部屋LD・PR・WC・WR・BRで構成される宿泊建物又は住居建物に、部分入室システムPMSの一部を構成する制限手段LIを導入し、かつ当該制限手段LIと玄関Eとの間にトイレWC・洗面WR・浴室BRを配置するとともに、これらトイレWC・洗面WR・浴室BRを入室エリアEMRとしたものである(住居建物では、上記入室エリアEMRに玄関Eのスペースと廊下及び/又は廊下の一部スペースを含む)。
すなわち本実施例の建物は、トイレWC・洗面WR・浴室BRの配置と、これらを入室エリアEMRとする制限手段LIにより、部分入室システムPMSに好適な建物構造となっている。
上記入室エリアEMRについては、部分入室システムPMSを介して入室許可権の権限を物件の所有者(権利者)又は宿泊客(権利者)に付与するとともに、この入室許可権で第三者(非権利者)を入室エリアEMRに限って立入れるように設定している。
上記入室許可権は、宿泊建物であれば宿泊約款の一つの項目であり、住居建物であれば申込時における契約書の一つの項目であり、実際に入室許可権として何某かが発行されることではなく、すなわち権利者と非権利者の頭の中で認識されるものとしてもよいし、場合によっては宿泊建物では外扉EDに入室許可権に相当するプレートを提げて表示しても良い。
尚、入室許可権は、部分入室システムPMSを介して非権利者に指示が出されるとともに、当該部分入室システムPMSに履歴が残るようになっている。
上記第三者(非権利者)とは、入室エリアEMRに入室して権利者から依頼された作業を請負う従業員又は作業者のことである。
宿泊建物であれば、室内清掃やベッドメイキングを行う従業員が該当し、住居建物であれば、清掃作業を行う清掃業者、犬や猫等の動物の世話を行うペットシッターやトリマー、物品の搬入及び/又は搬出を行う買物代行や運送業の従業員等が該当する。
【0013】
上記制限手段LIについて具体的に説明する。
上記制限手段LIは、入室エリアEMRと非入室エリアAPOを仕切る中間扉MD(開き戸・引き戸・中折れ戸・蛇腹戸・ロールカーテン)と、外扉EDとを備え、これら中間扉MDおよび外扉EDは開錠されにくい鍵(シリンダー式・電子カード式・暗証番号式・生体認証式・端末認証式・遠隔操作式)を備え、中間扉MDと外扉EDの鍵には異なるものを使用する。
具体的には、シリンダー式及び電子カード式では外扉EDと中間扉MDとで異なる二つの型式が導入され、暗証番号式では外扉EDと中間扉MDで暗証番号を異ならせ、遠隔操作式(認証コード)では外扉EDと中間扉MDで異なる認証コード(非連動)としている。
すなわち、シリンダー式(錠前)及び電子カード式の場合はキー及びカードを管理人や宅配ボックス、または暗証番号式ボックスキーを介することで非権利者自らの手で開錠と施錠が行われ(宅配ボックスの場合は、収容するボックス番号並びに暗証番号が部分入室システムPMSより開示され、また暗証番号式ボックスキーでも部分入室システムPMSより暗証番号が開示され、これらの情報は部分入室システムPMSにおいて入室許可権を承認した際に、権利者が同時に入力する)、次に暗証番号式(アナログ式及びデジタル式)の場合でも部分入室システムPMSから開示された暗証番号で非権利者自ら開錠と施錠でき(暗証番号は、部分入室システムPMSにおいて入室許可権を承認した際に、権利者が同時に入力する)、遠隔操作式では非権利者の端末に外扉EDだけに有効な認証コードを送信して開錠と施錠を遠隔操作で行うことができる(認証コードは、権利者自ら直接送信する方法、また部分入室システムPMSから認証コードを送信する方法があり、当該認証コードは、部分入室システムPMSにおいて入室許可権を承認した際に、同時に権利者が権限を与えている)。
尚、暗証番号式では、暗証番号を変更すれば作業後の安全性は担保されるのは勿論のこと、端末認証式では、認証コードを消去することで安全性は担保される。
上記制限手段LIでも、部分入室システムPMSによる遠隔操作で開錠と施錠を行う方式が防犯上最も優れており、すなわち非権利者又は権利者で開錠と施錠を行う方式ではどうしても人為的なミスが排除できないからである。
ところで、外扉EDに導入する鍵の方式と中間扉MDに導入する鍵の方式を異ならせても良いことは勿論であり、中間扉にあっては生体認証式の鍵を導入しても良い。
【0014】
しかして、上記制限手段LIを導入した宿泊建物について以下に説明する
宿泊客(権利者)が従業員(非権利者)に対して入室エリアEMRのみの入室を許可すれば(入室許可権の付与)、トイレWC・洗面WR・浴室BRの清掃を、非入室エリアAPOとされたリビングダイニングLD・寝室PRと切離して行うことが出来るので、宿泊客(権利者)が望めば従業員(非権利者)の非入室エリアAPOへの立入りを制限したうえで部分的な清掃作業を依頼することが出来るとともに、部屋着や備品の補充と交換もでき、さらには食事等のルームサービスを依頼することが出来る。
具体的には、非入室エリアAPOで仕事を行う宿泊客(権利者)や体調不良等により外出を控える状況にある宿泊客(権利者)の場合、自身の都合を優先したうえで従業員(非権利者)と接触すること無く、かつプライバシーを保った状態で上記清掃作業・備品の補充・ルームサービスを利用することができる。特に衛生管理並びに盗難問題の観点から宿泊客(権利者)に直接受け渡すことが必須であった食事等のルームサービスを顔合せすることなく間接的に受取ることが出来る。
他方、従業員(非権利者)にとっては、一律(同一)の清掃サービスを提供するために清掃時間帯であっても各宿泊客(権利者)の在不在を逐一確認しながら進行せざるを得なかった従来に比較して、宿泊客(権利者)が望めば在室中でも依頼された部分的な清掃及び備品の補充を行うことができるので、従来に比較して自身の都合を優先して清掃作業を行うことが可能となる。
他方、食事等のルームサービスの提供では、従業員(非権利者)が、宿泊客(権利者)に直接渡す必要があったことから場合によっては外扉EDの近くで待機する時間が発生することが多々あったが、入室エリアEMRを介して宿泊客(権利者)に届けることが出来る。
また連泊時には寝具類のリネン交換(ベッドメイキング)及び部屋の清掃を不要とすれば従業員(非権利者)は非入室エリアAPOへ立入ることは無く、宿泊客(権利者)は手持ちの荷物を置いたまま外出することが可能となり、従来のように手荷物をフロントへ持参して預ける手間と受取る手間を省くことができる一方、フロントとしては、手荷物を預かる手間と返却する手間が省けるとともに、預かるためのスペースを縮小することが可能となる。
これにより人手不足が問題となる宿泊業界において従業員の作業負担を軽減することができるとともに、フロント業務が軽減されることでホテル運営の円滑化に寄与することが出来る。これにより、清掃業務の軽減とホテル運営の円滑化を考慮し宿泊客(権利者)に対しては宿泊費を下げることで還元することができる。これにより宿泊客(権利者)に対して新たなサービスの選択肢を提供することができる。
尚、宿泊建物で使用される部分入室システムPMSは、図示しないが宿泊予約システムと連動されており、当該宿泊予約システムの端末若しくはホストコンピューター内に組込まれている。
このため部分的な清掃を依頼する場合は、予約時に同時に申込みが行われることを基本としているが、連泊時の予期せぬ申込みついては宿泊客(非権利者)自ら部分入室システムPMSに対して変更を行い反映させてもよいし、フロントや従業員(非権利者)が口頭で承った後に部分入室システムPMSに反映してもよい。
尚、端末操作が苦手な高齢の宿泊客(権利者)や端末操作自体が困難な障害を持つ宿泊客(権利者)にあっては、フロントが口頭で承った後に部分入室システムPMSに入力すればよい。
ところで、上記中間扉MDに自動で施錠できる鍵を導入すれば、万一不注意で外扉EDが無施錠の状況となっても当該中間扉MDで手荷物や貴重品を盗難から守ることが出来る。この場合には、宿泊客(権利者)が任意で暗証番号を変更できる暗証番号式の導入が望ましい。
【0015】
次に上記制限手段LIを導入した住居建物について以下に詳細に説明する。
具体的には、清掃作業について説明する。
上記清掃作業にあたる作業者(非権利者)は、定期清掃であれば簡易的な指導を受けた女性(日本人又は外国人)がパートタイムで従事し、臨時清掃であれば業務に精通した男性(プロ)が専業で従事することがこれまでのホームクリーニング業界での常識となっている。
このため屋内全体の日常清掃(簡易的)を目的とする定期清掃は費用が嵩むため富裕層が主たる利用者であるのに対し、プロが行う臨時清掃は富裕層又は非富裕層に拘わらず特別な機会に依頼されるものである。
富裕層にあっては臨時清掃の費用はさしたる問題では無く作業中の立会いの問題が大きく(依頼する作業項目で異なるが分解清掃を含むため作業時間は長くなる)、非富裕層においては費用面の負担が大きい。
具体的には、臨時清掃は、専門家である作業者(非権利者)に支払う人件費は勿論のこと、専門器具や工具、専用溶剤、車両等で料金が高額になるという面があり、専門知識と専門器具が絶対的に必要なエアコンやレンジフードの分解清掃時に抱合せでトイレWC・洗面WR・浴室BR・キッチン等の少なくとも何れかの水回り設備の清掃を依頼、若しくは引っ越し時に屋内全体を一括して依頼される傾向となっている。
上述したように現状で清掃作業を依頼する場合に選択可能なのは、屋内全体の日常清掃を目的とする定期清掃、若しくは特別な機会に専門家に依頼する臨時清掃の二択となっている。
しかして本発明によれば、上記入室エリアEMRに限定して作業者(非権利者)Wに清掃作業を依頼することができるので、権利者次第ではあるが簡易的若しくは日常的な清掃を望めば、従来の定期清掃及び臨時清掃とは異なる新たな第3のホームクリーニングサービスを受けることができ、しかも上記制限手段LIと部分入室システムPMSにより当該ホームクリーニングサービスを受けるにあたって自身のスケジューリングに影響を及ぼすことなく、かつ動産やプライバシーが担保された状態で安心して受けることができる。
すなわち本発明では、水垢を防止するために定期的な清掃が重要なトイレWC・洗面WR・浴室BRの少なくとも何れかを定期清掃又は臨時清掃として気軽に依頼することができる。
また専従の作業者(非権利者)にあっては、権利者の在不在に拘わらず入室許可権が付与されれば、自身の仕事の効率を優先して現場を回るスケジューリングを構築することができるので、権利者とのスケジュール調整が必要な場合と比較して多くの現場をこなすことで増収を図ることができるとともに、価格競争力の優位性を考慮して一現場当りの単価を低減することへ繋げることも可能である。
【0016】
上記部分入室システムPMSは、下記に詳述するようにマッチング手段MM1により清掃業務を安価に提供できるとともに、管理手段MM2により要望に応じた清掃業務を提供できるようにしている。
先ず上記サービスを安価に提供するためマッチング手段MM1では、図2のフローチャートに示すように、顧客(権利者)Cが希望する日時に空き時間を有する作業者(非権利者)Wをパーソナルコンピューター又は端末を介してマッチングさせて当該作業の依頼と請負を成立させるとともに、当該部分入室システムPMSで作業完了後の決済(対価の授受)を行うようになっている。
すなわち、部分入室システムPMSでは、仮発注から決済まで一切人は介在しておらず、これにより人権費の削減を図るとともに、ヒューマンエラーも排除している。また顧客(権利者)Cにあっては24時間依頼することができるというメリットがあるとともに、作業者(非権利者)Wも24時間応募することができるというメリットを提供している。
作業者(非権利者)W各位は、上記部分入室システムPMSの運営者にて事前に選考され、かつ教育も終了している身元の確かな人物であることが望ましい。
【0017】
しかして、上記フローチャートで本発明に係る特徴的なプロセスや重要なプロセスについて下記に詳細に説明する。
先ず、図3に示すマッチング手段MM1を構成する仮予約1のプロセスでは、顧客(権利者)Cが入力する項目が6項あり、これを仮予約受信1´を介して作業者(非権利者)Wに開示する仮予約開示2(マッチング手段MM1を構成)においては名字を識別情報に変更し、かつ仮予約1の6項目から2項目だけを開示することで、顧客(権利者)Cの特定を困難にした状態で仮応募3(マッチング手段MM1を構成)の受付を可能としている。
大まかな住所を開示するのは、従業員(非権利者)各自で当該物件への移動距離と移動時間を掴むためであり、公共の交通機関を使用しない徒歩や自転車でアクセス可能な近場の物件を選択することを推奨している。
すなわち、移動手段の選択権は作業者(非権利者)Wにあり、移動に係る費用については支払われないがその分を作業報酬に反映している。これは支払う立場の顧客(権利者)Cにとっては、交通費の上乗せや駐車料金は含まれないのでその分支払う費用は少なくて済む。
作業者(非権利者)Wは、自身の空き時間、上記移動に係る労力と時間を考慮し、納得した場合に仮応募するものである。
尚、作業報酬は一律に固定し、これにより作業報酬計算において労力が掛からないようにしていることが望ましい。
ところで、性別確認の項目は、異性による無用なトラブル回避を目的としており、運営者で作業者(非権利者)Wを選考することが可能となっている。
【0018】
次に図4の本予約4(マッチング手段MM1を構成)では、個人情報の4項目並びに決済方法の1項目が記入項目として設定される一方、本発明の特徴とする不在、若しくは顔合せ無しでサービスを受ける顧客(権利者)C、すなわち在室中であっても何らかの優先すべき理由により顔合せを望まない顧客(権利者)Cは、不在を選択することで作業者(非権利者)Wと顔合せすること無く清掃サービスを受けることができるようにしている(子育て等で手が離せない顧客(権利者)C、顧客(権利者)Cは外出中で子供のみ・老人のみ・ペットのみが在室等が該当)。
上記不在を選択された顧客(権利者)Cにあっては、0013の段落から該当する方法を入力すればよく、この後で本発明の特徴とする入室エリアEMRへの入室承諾、すなわち入室許可権を作業者(非権利者)Wに対して付与する項目に同意すればよい。
最後の作業内容指示については、トイレWC・洗面WR・浴室BRを全て作業対象としても良いし、少なくとも何れか一つを作業対象としても良く、予め決められた総作業時間をどの作業にどう割振るかは顧客(権利者)Cが指示できるようになっている。
総作業時間を決めているのは、先般の一律料金に起因している。
因みに、割振り時間を零分とされたものは清掃作業対象外と見なされる。
他方、上記本予約5の受信を受けて作業者(非権利者)Wに開示される本予約決定6(マッチング手段MM1を構成)では、応募した物件か否か確認するための識別情報、並びに作業内容指示の2項目が開示されるようになっており、この作業内容指示を事前に知ることで顧客(権利者)Cの要望を事前に掴め、作業の手順の効率化にも約立てることが出来る。
ところで、本予約5が決定したにも拘わらず作業者(非権利者)Wに識別情報と作業内容指示のみの開示としたのは、当該作業者(非権利者)W又は顧客(権利者)Cのやむを得ない事情によるキャンセル、あるいは作業者(非権利者)Wの落度による情報漏洩(端末の紛失、悪意の第三者による盗み見)、若しくは作業者(非権利者)Wに魔が差したことによる悪意の第三者への情報漏洩から顧客(権利者)Cを保護している。
このため、本発明では事前確認7(マッチング手段MM1を構成)で、顧客(権利者)Cと作業者(非権利者)Wに事前確認を発信するようになっており、この段階で両者の予定を改めて確認するようになっている。
上記確認8(マッチング手段MM1を構成)で、顧客(権利者)C又は作業者(非権利者)Wの何れかが「NO」を選択した場合、この段階で部分入室システムPMSは請負い不成立と判断しキャンセル確定9となる。尚、度重なるキャンセルや悪質なキャンセルを行った顧客(権利者)Cと作業者(非権利者)Wについては、部分入室システムPMSの利用を停止するペナルティーで対応しており、キャンセル発生の予防に努めている。
上記確認8で、顧客(権利者)Cと作業者(非権利者)Wが共に「YES」を選択したことを確認した部分入室システムPMSは、作業確定10(マッチング手段MM1を構成)と判断し、所定のタイミングで1次情報11を作業者(非権利者)Wに発信する。
すなわち、マッチング手段MM1は、仮予約1~作業確定10の10個のプロセスで構成されている。
上記事前確認7の送信タイミングは、例えば作業予定日の前々日の午前中であってもよく、また1次情報11の送信タイミングは、例えば作業開始時刻の3時間前であってもよい。
【0019】
図5に示す上記1次情報11が開示された作業者(非権利者)Wは、本1次情報11で開示された住所に基づいて顧客(権利者)C宅に向かうことができるようになっている。
この1次情報11では、住所情報以外に、端末のバッテリー切れを防止するメッセージや、必要な備品(タオル・手袋等)の忘れを防止するメッセージを盛込んでもよい。
顧客(権利者)C宅に到着したことを確認できた作業者(非権利者)Wは、到着連絡12を行い2次情報13の開示を促すようになっている。2次情報13には氏名、図示しないが集合住宅であれば氏名の後に部屋番号が開示される。
上記2次情報13によりに確実に顧客(権利者)Cの特定がなされ、当該2次情報13に在室とあれば、インターフォンやノック等で到着した旨を顧客(権利者)Cに知らせて入室させて貰えばよく、入室後は作業開始を連絡して作業に移るとともに、作業が終了したら作業終了を連絡する。因みに、顧客(権利者)Cの希望があればその場で作業後の確認を行って貰ってもよいが、部分入室システムPMSにあっては一定期間のクレーム受付を行っている。
すなわち、不在理由に、出張や旅行等で速やかな確認が困難な顧客(権利者)Cが存在するため作業日から3日のクレーム受付期間を設定している。
作業者(非権利者)Wは、退室後は退室連絡を行い部分入室システムPMSとの業務連絡は終了となる。
ところで、顧客(権利者)Cが不在若しくは非顔合せを選択されている場合には、0013の段落で述べた方法で自ら入室し、作業完了後は施錠して退室すればよく、ここでの説明は省略する。
【0020】
上記部分入室システムPMSでは、図6に示す管理手段MM2を構成する各種連絡14のプロセスで作業者(非権利者)Wが、作業時における不測の事態の発生、若しくは不備が発生するのを防止するとともに、顧客(権利者)の要望に応じた作業を提供できるよう管理している。
先ず、入室前に行う装飾品及び装身具の取外し連絡で、当該装飾品及び装身具による非入室エリアAPOにおける屋内の傷の発生を回避し、続く不要物の持込確認連絡14で顧客(権利者)Cが用意した洗剤・溶剤・用具以外を使用するのを防止している。
上記不要物の持込確認連絡に続く、入室連絡→施錠確認→作業開始連絡→作業終了連絡→忘れ物確認連絡→不要物の持出し確認連絡→退室連絡→施錠連絡の流れで進行する。これらの連絡事項は、作業上における不備や粗相、防犯上における不備や粗相を防止、作業者(非権利者)Wに不測事態が発生したことを確認できるようになっている。
すなわち、各連絡事項の項目間には予め所定の時間が設定されており、この時間を超えた場合には部分入室システムPMSより超過の状態であることを作業者(非権利者)Wに音で知らせるようになっており(第1段階)、この第1段階の警告を受けて作業者(非権利者)Wが速やかに確認連絡を行えば問題なしと判断する。他方、第1段階の警告をしたにもかかわらず応答がない場合は、作業者(非権利者)Wに不測の事態が発生したものと部分入室システムPMSが判断し、運営者に対して発報する。
上記発報を受けた運営者は、第2段階の措置として作業者(非権利者)Wに応答を促す電話連絡を取り、この状況でも応答がない場合は緊急対応される。ここでの不測の事態とは、作業者(非権利者)Wの体調不良が疑われる場合や、作業者(非権利者)Wが依頼された作業以外を行っていることが疑われる場合が該当する(窃盗やプライバシーの覗き見等)。
つまり作業者(非権利者)Wは、時間管理される部分入室システムPMSによっても入室エリアAPOの範囲外に出ることを実質的に制限されている。
各種連絡確認15で、各種連絡14に設定されている10項目について全て確認が選択されたと部分入室システムPMSが判定すると、当該部分入室システムPMSは顧客(権利者)Cとの間で決済16を履行する一方、決済17の履行が終了したら記録保存17へ移行する。
この記録保存17では、仮予約1のプロセスから決済終了17のプロセスまでの全てを日付と時間とに関連付けして記録するものであり、特に各種連絡14のプロセスでは連絡項目毎に記録されるようになっており、この記録保存17が完了したら終了18に移行して当該物件の処理を終了する。
物件毎のデータは、一定期間保存されたのちに部分入室システムPMSから消去してもよいし、別の記録媒体に再保存してもよい。
すなわち、一定期間保存するのは顧客(権利者)Cからの窃盗やプライバシーの覗き見についてのクレームに対応するためであり、先述したように入室してから退室するまでの時間経過に不自然な時間が含まれるか否かで判断される。
【0021】
上記フローチャートでは、仮予約から終了まで顧客(権利者)Cと作業者(非権利者)Wが一切顔合せすること無く作業を完了できる流れとなっているが、本発明では「顧客(権利者)Cの要望に細かく答える・行き違いを無くす・不要なクレームを回避する」を高いレベルで実現するため、図7に示すように本予約5のプロセスで顧客(権利者)Cが清掃作業を依頼する各所の画像も添付することができるようにしており、これは本予約決定6と各種連絡14で開示される。
先ず本予約決定6で、上記画像が作業者(非権利者)Wに開示され、ここで予定時間内に終了できない作業であると作業者(非権利者)W各位が判断すれば応募がキャンセルされるので、現場でのクレーム対象となるのを事前に回避することができる。
万一、キャンセルとなった場合には、顧客(権利者)Cは、清掃対象箇所及び清掃時間の割振りを見直して再度応募を行ってもよい。
すなわち部分入室システムPMSでは、先述したように一律の作業時間に対し一律の支払いとすることで、煩雑な料金体系を排除してコスト削減に繋げている。逆に言えば豪邸や特殊なこだわりの建物でないで限り、トイレWC・洗面WR・浴室BRにおいては大幅な作業面積(作業時間)の差異が生じないことに着目したがゆえの一律料金である。
またトイレWC・洗面WR・浴室BRを、部分入室システムPMSと好適な配置した建物構造とし、さらにこれらを制限手段LIで入室エリアEMRとすることで動産並びにプライバシーの保護も同時に高いレベルで実現している。
さらにマッチング手段MM1により顧客(権利者)Cに対して安価(先述した様々なコスト削減効果)かつ便利(仮予約から決済までスケジューリングへの影響無し)に提供できるようにしている。
一方、上記サービスを請負う作業者(非権利者)Wにあっては、マッチング手段MM1により自身の気が向いた時だけに限定して空き時間を有効活用することができる。
また、交通費が生じない近い現場であれば時間給当たりの高収入を得ることができる。
尚、作業者(非権利者)Wへの支払いは、先述したクレーム対応の期間や入金までの日数(タイムラグ)もあるため、部分入室システムPMSで行われるものでは無く、運営者によって行われる。
【0022】
上記画像添付及び画像確認は、仮予約1及び仮予約開示2の段階で導入しても良く、この場合には仮予約1のプロセスに「仮予約申込後、○○時間以内に仮応募無き場合は自動的にキャンセル扱いとなります。」という文言を盛込むことで部分入室システムPMSよりキャンセルの通知を行う必要は無く、これであればフローチャート及びプログラミングは小変更するだけでよく、顧客の要望に応えるため各種連絡14で開示されることは勿論である。
尚、仮予約1と作業当日まで日数があると、仮予約1の段階の画像との乖離が生じるので、日数の上限を設けたがよい。
ところで顧客(権利者)Cに悪意があれば、汚れ(水垢の付着)が少ない画像(かなり前の映像)で申込することが可能であるが、これは作業者(非権利者)Wが現場で食い違っていると思えば申込時の画像と現状を照し合せて比較することができるので、この段階で不正な申込みが行われたことが判断されれば、作業前に撮影する画像を部分入室システムPMSに送信し、その後に自ら運営者にその旨を連絡する。
運営者で不正な申込みが行われたことが判断されれば、有償のキャンセル扱いとされ、本申込時に承認された所定のキャンセル料を決済される。
また本発明では、依頼のあった箇所が画像(作業時間を含む)で表示されるので、作業箇所を間違えるといったミスを防止することができる一方、作業後の画像も撮影しているので、顧客(権利者)Cから清掃作業の不備を指摘された際に作業者とコンタクトすること無く運営者にて対応することができる。
これにより専業でない作業者(非権利者)Wのプライベートが確保され、かつ時間外労働を回避することができるようにしたうえで、顧客(権利者)Cの思い違いや悪意のあるクレームにも対応することができる。
尚、作業者(非権利者)Wが、悪意により作業を行わなかったり、手抜き作業を行ったことが作業後画像撮影により判明した場合には、該当する作業者(非権利者)Wへの作業報酬の支払いが行われないのは勿論のこと、顧客(権利者)Cに対しては速やかに返金される。
上述した画像撮影は、図7の各種連絡のプロセスにおいて、作業対象毎に作業開始前撮影(作業開始前連絡)を行い、当該作業が終了すれば作業終了撮影(作業終了連絡)を行い、顧客(権利者)Cより指示された作業箇所が終了するまで、最低1セット、場合によっては2セット(一部図示)、最大で3セット(図示せず)の3回繰返される。
【0023】
ところで、動産並びにプライバシーの保護においてより理想的には、シューズクローゼット(靴箱)についても外扉と異なる鍵を設けるのが望ましく、これにより靴の盗難並びに靴からプライベート情報の漏洩を防止することができ、より一層上記サービスを受けるうえでの物理的ならびに心理的な安心を得ることができる。
【0024】
尚、上記中間扉MDを物理的に設置できない場合、若しくは中間扉MD自体を設置したくない場合には、制限手段LIとして非入室エリアAPOへの出入りを映像で記録する映像機器を導入し、当該映像機器を中間扉MDの代わりとしてもよい。
具体的には、非入室エリアAPOに対する人の出入りを撮影(録画)できる位置に映像機器を定点設置(所定の位置に予め設置されて必要時に限定して起動させる固定式、固定するのが難しい建物の場合には必要時に応じて所定位置に設置するポータブル式、すなわちハンディカメラやペット監視カメラ、監視カメラ等が該当)し、外出時には作業者(非権利者)Wがタイマーを使用して自動又は任意で撮影(録画)を開始し、作業者(非権利者)Wが退出する予定時間を経過した後に撮影(録画)を終了するように設定すればよい。
ここで言う必要時とは、作業者(非権利者)Wが滞在して作業を行う時間帯のことである。
この方式よれば、清掃作業直後の非入室エリアAPOに顧客が入室した際に違和感が無ければ映像機器の画像データを確認する必要性は無く、万一違和感があった際には映像機器の画像データを確認することで不審者が作業者(非権利者)Wか否か判断できる。
すなわち、上記映像機器が作動している時間帯に非入室エリアAPOに立入るのは、作業者(非権利者)W若しくは作業者(非権利者)Wが招き入れた悪意のある第三者以外有り得ないからであり、映像機器へ破壊行為や撮影妨害も当該映像機器の存在を知り得なければ行われない行為なので十分に証拠となる。
尚、上記映像機器で撮影される画像は、破壊行為を考慮して当該映像機器以外に送信されてデータとして記録されるのが望ましく(携帯端末やタブレット)、このような送信機能は一般に普及しているものなので、ここでの説明は省略する。
ところで作業者(非権利者)Wの行動は、入室前から各作業時間、退室後までの一連の時間経過を部分入室システムPMSによって時間管理されているので、この時間管理を無視しない限り非入室エリアAPOに立入っての窃盗やプライバシーの覗き見等はそもそも難しく、すなわち当該部分入室システムPMSの時間管理によって作業者(権利者)は入室エリアAPO内に留まるという物理的な制限を受けていることになり、言い換えれば部分入室システムPMS自体が制限手段の役割も兼ねる。
ところで、最近の携帯電話端末は、ビデオ撮影(連続撮影)できる機能が備わっているのが一般的であり、本発明では当該携帯電話端末のビデオ撮影機能を活用して制限手段LI´として用いることも可能であり、下記にその方法を説明する。
【0025】
上記携帯電話端末を用いた場合、先述した各種連絡の各項目(図6及び図7参照)を連絡するため作業者(非権利者)Wが身に着けて作業に当たるのが望ましいが、この場合は防水、落下、建物への接触並びに作業性を考慮し、ランニングの際に用いて好適なスマホポーチ(防水機能を有する)に入れて上腕若しくは下腕に装着するのが望ましく、透明なカバーで覆われた面に操作画面を向けるとともに、自撮り用のカメラを入室前に起動させ、施錠までを連続して撮影するものである。
尚、録画開始忘れによる不録画、並びに録画停止忘れによるバッテリー切れを防止するために、図9に示すように各種連絡14の最初と最後に専用の項目を設けるのが望ましい。
この方法によれば、入室してから退室するまでの間に携帯電話端末に非入室エリアAPOの画像が録画されていなければ、作業者(非権利者)Wが非入室エリアAPOに立入っていないことになる。これは0025の段落で説明された内容と被るのでここでの説明は省略する。
尚、制限手段LI´は、携帯電話端末だけに限定されるものでは無く、タブレットやカメラであってもよい。
【0026】
上記制限手段LI´で撮影されたデータは、部分入室システムPMSに送信されて保存管理(一定期間)されるようになっている。
すなわち、上記データは、作業者(権利者)Wで管理されないようになっており、作業者の故意不注意に拘わらず画像が紛失されるのを防止している。
この制限手段LI´でも、上記運営システムPMSと組合せて用いることにより先述した制限手段LIと同じ効果を得ることができる。
因みに、録画を開始する前に非入室エリアAPOに立入ることは勿論可能であるが、それを行った場合には前後の連絡時間との間に不自然な時間が生じることになるので、これが十分な証拠となり得ることから不正な立入りの抑止となる。尚、建物に中間扉MDなどの制限手段LIが導入されている場合でも、当該ポータブル式の制限手段LI´を併せて使用してもよいのは勿論である。
【0027】
ところで、作業中における時間の経過を作業者(非権利者)Wに認識させるため、各種連絡14のプセロセスに作業開始連絡を行ってから所定時間経過(例えば10分間隔)する毎に、部分入室システムPMSを介して上記機器等から音で知らせるとともに(定点連絡)、作業終了時刻の到来を知らせるアナウンス(例えば10分前若しくは5分前など)を導入するのが望ましい。
これにより時計を装着する必要性を無くすことができるとともに、携帯電話を操作して時間を確認する煩わしさを無くすことができ、何より作業に集中することが出来るので、質の高い作業を顧客(権利者)Cに提供することが出来る。
【0028】
上記部分依頼システムPMSでは、仮予約から決済までを全て人手を介すること無い流れとしていたが、顧客(権利者)Cが入力される項目をオペレーターで対応するようにしても良いことは勿論である。
また入室エリアAPOの床掃除についても行っても良いが、その場合には別料金とするのが望ましい。
【0029】
尚、部分入室システムPMSは上述した清掃を請負う作業者(非権利者)Wに用いて好適なだけでは無く、犬や猫等の動物の世話を行うペットシッターやトリマーに用いても好適であり、すなわち清掃作業が、ペットの散歩及び/又は食事や排泄物処理等の身の回りの世話、調毛及び/又はトリミングに替わる(この場合には、業者専用の器具や溶剤の持込は許可される)。また買物代行者や運送業の従業員にあっては、清掃作業が、物品の搬入及び/又は搬出に代わるだけである(この場合には業者専用の端末の持込は可能であり、当該端末に上述した映像を録画できる機能を持たせても良い)。
【符号の説明】
【0030】
C 顧客(作業者)
W 作業者(非権利者)
PMS 部分入室システム
LI、LI´ 制限手段
MM1 マッチング手段
MM2 管理手段
EMR 入室エリア
BR 浴室
WR 洗面
WC トイレ
APO 非入室エリア
LD リビングダイニング
PR 寝室
図1
図2
図3
図4
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