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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】口腔清掃具携帯ケース
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/18 20060101AFI20241107BHJP
   A46B 17/08 20060101ALI20241107BHJP
   B65D 81/26 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A45D44/18 A
A46B17/08
B65D81/26 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021060597
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156753
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201132656(CN,Y)
【文献】米国特許第05076428(US,A)
【文献】実開昭51-135779(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2016-0002785(KR,U)
【文献】中国実用新案第201388686(CN,Y)
【文献】実公昭29-005282(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/18
A46B 17/08
B65D 81/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔清掃具の収容空間を有する有底の筒状体からなるケース本体と、前記ケース本体の上端開口部を着脱可能に覆う蓋体とを備え、
前記ケース本体及び前記蓋体の周壁部が、相対応した点対称の断面形状とされ、
前記ケース本体及び前記蓋体の一方には、同他方側に延びるガイド片が前記周壁部の一部に設けられるとともに、
前記ケース本体及び前記蓋体の他方には、前記ガイド片の外面に沿ってスライドするスライド面が設けられ、
前記ガイド片の外面及び前記スライド面の一方には、前記ケース本体と前記蓋体の各前記周壁部の互いに対向する端部同士を密着させた第一連結位置に係止する第一係止部と、前記ケース本体と前記蓋体の各前記周壁部の互いに対向する端部同士を一定距離だけ離間させた第二連結位置に係止する第二係止部とが、異なる角度位置に設けられ、
前記ガイド片の外面及び前記スライド面の他方には、前記第一係止部又は前記第二係止部が選択的に係合される被係合部が設けられ、
前記ケース本体と前記蓋体との角度位置を相対変位させることにより、前記第一係止部が前記被係合部に向き合った状態と前記第二係止部が前記被係合部に向き合った状態とに切り替えられる口腔清掃具携帯ケース。
【請求項2】
前記ケース本体及び前記蓋体の一方には、前記ケース本体と前記蓋体との密着状態で、前記口腔清掃具携帯ケースの内部を視認可能な開口部が形成されている請求項1記載の口腔清掃具携帯ケース。
【請求項3】
前記開口部は、相隣接する前記ガイド片の間に形成された間隙部に沿って延びる切欠きからなっている請求項2記載の口腔清掃具携帯ケース。
【請求項4】
前記ガイド片は、前記ケース本体及び前記蓋体の一方の周壁部に沿って延びる平坦部と、前記平坦部の側辺部に連設された折曲部とを有している請求項1~3のいずれか1項に記載の口腔清掃具携帯ケース。
【請求項5】
前記ガイド片は、ケース本体の上端開口部から上方に延びるように設けられ、
前記スライド面は、前記蓋体の周壁部内面からなっている請求項1~4のいずれか1項に記載の口腔清掃具携帯ケース。
【請求項6】
前記ケース本体及び前記蓋体の周壁部は、相対応した略正方形の断面形状とされ、
前記ケース本体には、その周壁部を構成する一の側壁部から上方に延びる平坦部とその左右両側辺部に連設された左右一対の折曲部とを有するガイド片と、前記一の側壁部に対向した他の側壁部から上方に延びる平坦部とその左右両側辺部に連設された左右一対の折曲部とを有するガイド片とが設けられている請求項1~5のいずれか1項に記載の口腔清掃具携帯ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅行時等に、歯ブラシ等からなる口腔清掃具を格納した状態で携帯することができる口腔清掃具携帯ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、収納ケースの材質に通気性のある素材で形成し、あるいは蓋に通気用の穴を開けることにより、収納ケースの通気性をよくして、収納ケースの内部を清潔に保つことができるようにした歯磨きセットの収納ケースが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-61769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された歯磨きセットの収納ケースでは、歯ブラシの使用後にこれを十分乾燥させることなく収容した場合においても、歯ブラシを自然乾燥させることが可能である。この反面、濡れたままの状態で収容された収納ケースを鞄等にして持ち運んだ場合に、収容ケースの通気孔から漏れ出た水分により鞄等が汚れる等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る口腔清掃具携帯ケースは、口腔清掃具の収容空間を有する有底の筒状体からなるケース本体と、前記ケース本体の上端開口部を着脱可能に覆う蓋体とを備え、前記ケース本体及び前記蓋体の周壁部が、相対応した点対称の断面形状とされ、前記ケース本体及び前記蓋体の一方には、同他方側に延びるガイド片が前記周壁部の一部に設けられるとともに、前記ケース本体及び前記蓋体の他方には、前記ガイド片の外面に沿ってスライドするスライド面が設けられ、前記ガイド片の外面及び前記スライド面の一方には、前記ケース本体と前記蓋体とを密着させた第一連結位置に係止する第一係止部と、前記ケース本体と前記蓋体とを一定距離だけ離間させた第二連結位置に係止する第二係止部とが、異なる角度位置に設けられ、前記ガイド片の外面及び前記スライド面の他方には、前記第一係止部又は前記第二係止部が選択的に係合される被係合部が設けられ、前記ケース本体と前記蓋体との角度位置を相対変位させることにより、前記第一係止部が前記被係合部に向き合った状態と前記第二係止部が前記被係合部に向き合った状態とに切り替えられるものである。
【0006】
この構成によれば、濡れた状態にある口腔清掃具を口腔清掃具携帯ケースに収容する際には、第二係止部を被係合部に係合して、ケース本体と蓋体とを一定距離だけ離間させた第二連結位置に係止することにより、口腔清掃具携帯ケースの通気性を十分に確保して、口腔清掃具携帯ケースの内部に収容された歯ブラシ等からなる口腔清掃具を効果的に乾燥させることができる。一方、例えば口腔清掃具が収容された口腔清掃具携帯ケースを鞄等に入れて持ち運びする際には、第一係止部を被係合部に係合して、ケース本体と蓋体とを密着させた第一連結位置に係止することにより、口腔清掃具携帯ケース内から漏れ出た水分により鞄等が汚れたり、口腔清掃具携帯ケース内に埃やゴミ等が侵入したりするのを防止することができる。
【0007】
また、前記ケース本体及び前記蓋体の一方には、前記ケース本体と前記蓋体との密着状態で、前記口腔清掃具携帯ケースの内部を視認可能な開口部が形成された構成としてもよい。
【0008】
この構成によれば、蓋体をケース本体から離脱させることなく、前記開口部を介して口腔清掃具携帯ケース内の収容物を確認することができる。
【0009】
また、前記開口部は、相隣接する前記ガイド片の間に形成された間隙部に沿って延びる切欠きからなっていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、射出成型等によりケース本体又は蓋体を形成する際における型抜きを容易化して、口腔清掃具携帯ケースの製造コストを安価に抑えることが可能である。
【0011】
また、前記ガイド片は、前記ケース本体及び前記蓋体の一方の周壁部に沿って延びる平坦部と、前記平坦部の側辺部に連設された折曲部とを有していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ガイド片に折曲部を設けることによる補強作用により、ガイド片の板厚を大きくすることなく、その強度及び剛性を十分に確保できるという利点がある。
【0013】
また、前記ガイド片は、ケース本体の上端開口部から上方に延びるように設けられ、前記スライド面は、前記蓋体の周壁部内面からなっていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、蓋体をケース本体から離脱させた状態で、これをうがい用のコップとして便利に使用することができる。
【0015】
また、前記ケース本体及び前記蓋体の周壁部は、相対応した略正方形の断面形状とされ、前記ケース本体には、その周壁部を構成する一の側壁部から上方に延びる平坦部とその左右両側辺部に連設された左右一対の折曲部とを有するガイド片と、前記一の側壁部に対向した他の側壁部から上方に延びる平坦部とその左右両側辺部に連設された左右一対の折曲部とを有するガイド片とが設けられていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、蓋体をケース本体に連結する際等に、ケース本体の上端部に設けられた相対向する一対のガイド片により蓋体を支持しつつ、蓋体のスライド面をガイド片の外面に沿ってスムーズにスライド変位させることができる。しかも、両ガイド片の間に形成される間隙部の開口面積を大きくすることにより、蓋体の第二係止部をケース本体の被係合部に係合した際における口腔清掃具携帯ケースの通気性を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る口腔清掃具携帯ケースによれば、必要に応じて口腔清掃具携帯ケースの通気性を十分に確保し、かつ口腔清掃具携帯ケースの気密性を維持することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る口腔清掃具携帯ケースの実施形態を示す斜視図である。
図2】蓋体とケース本体とを密着させた連結状態を示す正面図である。
図3】蓋体とケース本体とを離間させた連結状態を示す斜視図である。
図4】蓋体及びケース本体の要部の構造を示す断面図である。
図5図4のV-V線断面である。
図6図4の状態から蓋体の相対角度を変化させた状態を示す断面図である。
図7】本発明の口腔清掃具携帯ケースの別の実施形態を示す断面図である。
図8図8のVIII-VIII線断面である。
図9図8のIX-IX線断面である。
図10】口腔清掃具携帯ケースのさらに別の実施形態を示す断面図である。
図11図10のXI-XI線断面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る口腔清掃具携帯ケースの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0020】
図1図3は、本発明の実施形態に係る口腔清掃具携帯ケース1を示している。この口腔清掃具携帯ケース1は、歯ブラシ等からなる口腔清掃具10及び歯磨き粉チューブ11等を収容可能な収容空間を有する有底の筒状体からなるケース本体2と、このケース本体2の上端開口部を着脱可能に覆う蓋体3とを備えている。ケース本体2及び蓋体3の材質は、特に限定されないが、一定の強度と剛性とを有する合成樹脂、例えばポリプロピレン及びポリエチレン等を用いることが好ましい。また、ケース本体2及び蓋体3の周壁部が、相対応した点対称の断面形状、当実施形態では一辺の長さが等しい略正方形の断面形状とされている。
【0021】
図4及び図5に示すように、ケース本体2には、その上端開口部から上方側、つまりに蓋体3側に延びる一対のガイド片4,4が、ケース本体2に周壁部の一部に設けられている。すなわち、一方のガイド片4は、ケース本体2の周壁部を構成する一の側壁部21から上方に延びる平坦部41と、その左右両側辺部に連設された左右一対の折曲部42とを有する断面略コ字状に形成されている。また、他方のガイド片4は、前記一の側壁部21に対向した他の側壁部22から上方に延びる平坦部41と、その左右両側辺部に連設された左右一対の折曲部42とを有する断面略コ字状に形成されている。そして、ケース本体2の上方部において両ガイド片4,4が設けられていない部分、つまり相対向する折曲部42の間には、一定の幅寸法を有する間隙部43が形成されている。
【0022】
両ガイド片4,4の外面には、それぞれ後述の第一係止部31又は第二係止部32が選択的に係合される被係合部44が形成されている。当実施形態では、平坦部41の幅方向に延びる一定幅の凹部からなる被係合部44がガイド片4の上端部近傍に形成されている。また、前記側壁部21,22の間に位置するケース本体2の側壁部23,24の一方、図例では側壁部23の上部には、前記間隙部43に沿って下方に延びる切欠きが形成されている。この切欠きにより、蓋体3とケース本体2との密着状態で口腔清掃具携帯ケース1の内部を視認可能な開口部25が形成されている(図2参照)。
【0023】
図4に示すように、蓋体3には、その周壁部の内面からなるスライド面30が設けられ、このスライド面30を前記ガイド片4の外面に沿って下方にスライドさせることにより、ケース本体2と蓋体3とが後述のように連結されるようになっている。また、連結状態にある蓋体3のスライド面30を、ガイド片4の外面に沿って上方にスライド変位させることにより、蓋体3がケース本体2から離脱されるように構成されている(図1参照)。
【0024】
蓋体3のスライド面30には、蓋体3とケース本体2とを密着させた密着位置、具体的には蓋体3の下端部を、ガイド片4の基端部に位置するケース本体2の上端開口部に密着させた第一連結位置(図2参照)に係止する第一係止部31と、蓋体3の下端部を、ケース本体2の上端開口部から一定距離だけ離間させた第二連結位置(図3参照)に係止する第二係止部32とが、異なる角度位置に設けられている。
【0025】
すなわち、図4に示すように、蓋体3の周壁部を構成する一の側壁部33の内面と、これに対向する他の側壁部34の内面には、被係合部44に係合される凸部からなる第一係止部31が、それぞれ蓋体3の下端部から一定距離Lだけ離れた形成されている。前記両側壁部33,34と直交する位置に設けられた相対向する側壁部35,36の内面には、前記被係合部44に係合される凸部からなる第二係止部32が、それぞれ蓋体3の下端部近傍に形成されている。また、前記側壁部35,36の内面には、第二係止部32を被係合部44に係合する際にガイド片4の上端部に当接することにより、蓋体3が第二連結位置よりも下方にスライドするのを規制するための段部37が形成されている。
【0026】
そして、図1及び図4に示すように、第一係止部31が設けられた蓋体3の側壁部33,34を、被係合部44が設けられたケース本体2の側壁部21,22に向き合せた状態で、蓋体3のスライド面30をガイド片4の外面に沿って下方にスライドさせることにより、蓋体3の第一係止部31がケース本体2の被係合部44に係合される。この結果、図2に示すようにケース本体2と蓋体3とが密着した第一連結位置に係止されることになる。
【0027】
上述の向き合い状態から、ケース本体2と蓋体3との角度位置を90度だけ相対変位させて、図6に示すように、第二係止部32が設けられた蓋体3の側壁部35,36を、前記ケース本体2の側壁部21,22に向き合わせた状態に変化させる。この状態で、蓋体3のスライド面30をガイド片4の外面に沿って下方にスライドさせることにより、蓋体3の段部37がガイド片4の上端部に当接して蓋体3がそれ以上下方にスライドすることが規制されるとともに、蓋体3の第二係止部32が、ケース本体2の被係合部44に係合される。この結果、図3に示すようにケース本体2と蓋体3とが一定距離だけ離間した第二連結位置に係止されることになる。
【0028】
なお、歯磨き粉チューブ11を口腔清掃具携帯ケース1内に収納する際に、図2に示すように、歯磨き粉チューブ11の端部に表示された製造日等の表示部12をケース本体2の開口部25に臨ませるようにすれば、ケース本体2と蓋体3とを密着させたままの状態で、開口部25を介して口腔清掃具携帯ケース1の内部を視認することにより、歯磨き粉チューブ11の製造日等を容易に確認することが可能となる。
【0029】
上述のように本発明に係る口腔清掃具携帯ケース1を構成するケース本体2及び蓋体3の周壁部を、それぞれ相対応した点対称の断面形状とし、ケース本体2に、蓋体3側に向けて延びるガイド片4をケース本体2の周壁部の一部に設けるとともに、蓋体3に、ガイド片4の外面に沿ってスライドするスライド面30を設けた構成としたため、前記スライド面30及びガイド片4を利用することにより、ケース本体2と蓋体3とを連結する操作と、蓋体3をケース本体2から離脱させる操作とを容易に行うことができる。
【0030】
そして、蓋体3のスライド面30に、ケース本体2と蓋体3とを密着させた第一連結位置に係止する第一係止部31と、ケース本体2と蓋体3とを一定距離だけ離間させた第二連結位置に係止する第二係止部32とを、異なる角度位置に設けるとともに、ガイド片4の外面に、第一係止部31又は第二係止部32が選択的に係合される被係合部44を設け、ケース本体2と蓋体3との角度位置を相対変位させることにより、第一係止部31が被係合部44に向き合った状態と第二係止部32が被係合部44に向き合った状態と切り替えられるように構成したため、必要に応じて口腔清掃具携帯ケース1の通気性を十分に確保し、かつ口腔清掃具携帯ケース1の気密性を維持することができるという利点がある。
【0031】
すなわち、濡れた状態にある口腔清掃具10を口腔清掃具携帯ケース1に収容する際には、蓋体3の第二係止部32をケース本体2の被係合部44に係合して、図3に示すようにケース本体2と蓋体3とを一定距離だけ離間させた第二連結位置に係止すれば、両ガイド片4,4の間に形成された間隙部43がケース本体2と蓋体3と間に露出した状態となる。この結果、口腔清掃具携帯ケース1の内部と外部とを連通させる通気口が蓋体3とケース本体2との間に形成されて、口腔清掃具携帯ケース1の通気性が十分に確保される。これにより、口腔清掃具携帯ケース1の内部に収容された歯ブラシ等からなる口腔清掃具10を効果的に乾燥させることができ、この口腔清掃具10が濡れたまま長期間に亘り放置された状態となるのを防止することできる。
【0032】
一方、例えば口腔清掃具10が収容された口腔清掃具携帯ケース1を鞄等に入れて持ち運びする際には、蓋体3の第一係止部31をケース本体2の被係合部44に係合して、図2に示すようにケース本体2と蓋体3とを密着させた第一連結位置に係止することにより、両ガイド片4,4の間に形成された所定幅の間隙部43がケース本体2と蓋体3と間に露出した状態となることが防止される。このため、口腔清掃具携帯ケース1内から漏れ出た水分により鞄等が汚れたり、口腔清掃具携帯ケース1内に埃やゴミ等が侵入したりするのを効果的に防止することができる。
【0033】
また、ケース本体2と蓋体3とを密着させた状態で、口腔清掃具携帯ケース1の内部を視認可能な開口部25をケース本体2に形成した場合には、蓋体3をケース本体2から離脱させることなく、前記開口部25を介して口腔清掃具携帯ケース1内の収容物を確認することができる。さらに、ケース本体2と蓋体3との密着状態においても、口腔清掃具携帯ケース1の内部と外部とを開口部25を介して連通させることにより、口腔清掃具携帯ケース1の通気性をある程度確保できるという利点がある。しかも、口腔清掃具携帯ケース1を鞄等に入れて持ち運びする際には、開口部25の設置面を上方に向けるようにすれば、口腔清掃具携帯ケース1内の水分が鞄の中に漏れ出ることもない。なお、透明な板材又はシート材で前記開口部25を覆う等により、口腔清掃具携帯ケース1の内部を視認可能としつつ、口腔清掃具携帯ケース1の内部と外部との連通を完全に遮断し得るように構成してもよい。
【0034】
上述の実施形態では、相隣接するガイド片4,4の間に形成された間隙部43に沿って延びる切欠きからなる開口部25がケース本体2の上部近傍に設けられた構成としているが、この構成に代え、前記間隙部43とは異なる位置に窓状の開口部を設けてもよい。しかし、上述のようにケース本体2の上端開口部から上方に延びる相隣接する両ガイド片4,4間の間隙部43と、前記切欠きからなる開口部25とを連続させるように構成した場合には、射出成型等によりケース本体2を形成する際における型抜きを容易化して、口腔清掃具携帯ケース1の製造コストを安価に抑えることが可能である。
【0035】
また、図4に示すように、ガイド片4を、ケース本体2の側壁部21,22に沿って上方に延びる平坦部41と、その左右両側辺部に連設された左右一対の折曲部42とを有する断面略コ字状に形成した場合には、折曲部42を設けることによる補強作用により、ガイド片4の板厚を大きくすることなく、その強度及び剛性を効果的に向上できるという利点がある。なお、平坦部41の左右両側辺部に必ずしも折曲部42を連設する必要はなく、折曲部42の一方又は両方を省略した構造としてもよい。
【0036】
上述の実施形態では、ケース本体2に一対のガイド片4を相対向して設けているが、この構成に代え、蓋体3の下端部から下方に延びる一対のガイド片を設けた構成とすることも可能である。しかし、蓋体3にガイド片を設けた場合には、蓋体3をうがい用のコップとして利用する際に、ガイド片が邪魔になる可能性がある。これに対して、上述の実施形態に示すようにケース本体2にガイド片4を設けた場合には、蓋体3をケース本体2から離脱させた状態で、これをうがい用のコップとして便利に使用することができる。
【0037】
上述の実施形態に示すように、蓋体3の下端部近傍に形成された凸部からなる第一係止部31と、蓋体3の下端部から所定距離だけ離間した位置に形成された凸部からなる第二係止部32とを蓋体3の周壁部内面に設けた構成によれば、蓋体3をうがい用のコップとして使用する際に、前記第一係止部31及び第二係止部32の両方を、うがい薬の注入用目盛り、又はうがい薬の希釈用目盛り等として使用することできるために、蓋体3の利用価値をより高めることができる。
【0038】
なお、上述の実施形態では、第一,第二係止部31,32を凸部により構成するとともに、第一,第二係止部31,32が選択的に係合される被係合部44を凹部により構成しているが、これに限られず、種々の変更が可能である。例えば、第一,第二係止部31,32を凹部により構成するとともに、第一,第二係止部31,32に嵌入される凸部により被係合部44を構成してもよい。また、第一,第二係止部31,32及び被係合部44をそれぞれ凸部により構成し、蓋体3をケース本体2に連結する際に、ガイド片4を弾性変形させることにより、第一,第二係止部31,32を構成する凸部が被係合部44を構成する凸部を乗り越えて、両凸部が互いに係合されるようにしてもよい。
【0039】
また、上述のようにケース本体2及び蓋体3の周壁部を、相対応した略正方形の断面形状、つまり一辺の長さが等しい略正方形で円弧状のコーナー部を有する断面形状とし、ケース本体2の周壁部を構成する一の側壁部21から上方に延びる平坦部41とその左右両側辺部に連設された左右一対の折曲部42とを有するガイド片4と、前記一の側壁部21に対向した他の側壁部22から上方に延びる平坦部41とその左右両側辺部に連設された左右一対の折曲部42とを有するガイド片4とが設けられた構成とした場合には、蓋体3とケース本体2とを連結し、あるいは離脱させる操作をスムーズに行うことができるとともに、必要に応じて口腔清掃具携帯ケース1の通気性を十分に確保することができるという利点がある。
【0040】
すなわち、蓋体3をケース本体2に連結する際等に、ケース本体2の上端部に設けられた一対のガイド片4,4により蓋体3を支持しつつ、蓋体3のスライド面30を両ガイド片4,4の外面に沿ってスムーズにスライド変位させることができる。しかも、両ガイド片4,4の間に形成される間隙部43の開口面積を大きく形成することにより、蓋体3の第二係止部32をケース本体2の被係合部44に係合した際における口腔清掃具携帯ケース1の通気性を十分に確保することができる。
【0041】
なお、ケース本体2及び蓋体3の周壁部を、相対応した略正方形の断面形状としてなる上述の実施形態に代え、ケース本体2及び蓋体3の周壁部を、長方形、三角形、六角形又は楕円形等からなる点対称の断面形状とし、ケース本体2と蓋体3との角度位置を相対変位させることにより、被係合部44に第一係止部31又は第二係止部32を選択的に向き合せるようにしてもよい。
【0042】
例えば、図7図9に示すように、ケース本体2a及び蓋体3aの周壁部を、相対応した長方形の断面形状としてもよい。そして、蓋体3aの側壁部33a及びこれに直交する側壁部36aに第一係止部31を設けるとともに、前記側壁部33aに対向する側壁部34a及びこれに直交する側壁部35aに第二係止部32を設けた構成とし、かつケース本体2aの側壁部21a及びこれに直交する側壁部24aの上端部から上方に延びるガイド片4aの外面に被係合部44を設けた構成としてもよい。
【0043】
この構成によれば、第一係止部31が設けられた蓋体3aの側壁部33a,36aを、被係合部44が設けられたケース本体2aの側壁部21a,24aに向き合せた状態で、蓋体3aとケース本体2aとを連結すれば、ケース本体2aと蓋体3aとが密着した第一連結位置に係止される。
【0044】
また、上述の向き合い状態から、ケース本体2aと蓋体3aとの角度位置を180度だけ相対変位させて、第二係止部32が設けられた蓋体3aの側壁部34a,35aを、被係合部44が設けられたケース本体2aの側壁部21a,24aに向き合わせた状態に変化させた状態で、蓋体3aとケース本体2aとを連結すれば、ケース本体2aと蓋体3aとが一定距離だけ離間した第二連結位置に係止される。この第二連結位置では、ケース本体2aと蓋体3aと間においてガイド片4aが設けられていない部分、つまり前記側壁部22a,23aの上方部に、口腔清掃具携帯ケースの内部と外部とを連通させる連通孔が形成されることになる。
【0045】
図10及び図11は、ケース本体2b及び蓋体3bの周壁部を三角形の断面形状とした実施形態を示している。そして、蓋体3bの周壁部を構成する一の側壁部33bに、蓋体3bをケース本体2bの上端開口部に密着させた第一連結位置に係止する第一係止部31を設けている。また、蓋体3bの他の側壁部34bに、蓋体3bの下端部から離間距離が比較的に小さい第二係止部321を設けるとともに、蓋体3bの他の側壁部35bに、蓋体3bの下端部から離間距離が比較的に大きい第三係止部322を設けている。さらに、ケース本体2bの側壁部21bの上端部から上方に延びるガイド片4bの外面に、前記第一係止部31、第二係止部321及び第三係止部322のいずれかが選択的に係合される被係合部44を設けている。
【0046】
この構成によれば、第一係止部31が設けられた蓋体3bの側壁部33bを、被係合部44が設けられたケース本体2bの側壁部21bに向き合せた状態で、蓋体3bとケース本体2bとを連結すれば、蓋体3bの下端部をケース本体2bの上端開口部に密着させた第一連結位置に蓋体3bを係止することができる。
【0047】
また、上述の向き合い状態から、蓋体3bを図11の反時計方向120度だけ回転させることにより、第二係止部321が設けられた蓋体3bの側壁部34bを、被係合部44が設けられたケース本体2bの側壁部21bに向き合わせた状態で、蓋体3bとケース本体2bとを連結すれば、蓋体3bの下端部とケース本体2bの上端開口部とが一定の距離だけ離間した第二連結位置に蓋体3bを係止することができる。
【0048】
さらに、上述の向き合い状態から、蓋体3bを反時計方向に120度(図10及び図11に示す状態から240度)だけ回転させることにより、第三係止部322が設けられた蓋体3bの側壁部35bを、被係合部44が設けられたケース本体2bの側壁部21aに向き合わせた状態で、蓋体3bとケース本体2bとを連結すれば、ケース本体2bと蓋体3bとの離間距離が大きい第三連結位置に蓋体3b係止することができる。この結果、ケース本体2bと蓋体3bと間に形成される連通孔の大きさを二段階に変化させることが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1 口腔清掃具携帯ケース
2 ケース本体
3 蓋体
4 ガイド片
10 口腔清掃具
11 歯磨き粉チューブ
12 表示部
21,22,23,24 ケース本体の側壁部
25 開口部
30 スライド面
31 第一係止部
32 第二係止部
33,34,35,36 蓋体の側壁部
41 平坦部
42 折曲部
43 間隙部
44 被係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11