(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
E03D9/08 Z
(21)【出願番号】P 2021087404
(22)【出願日】2021-05-25
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】矢岡 寿成
(72)【発明者】
【氏名】田代 啓介
(72)【発明者】
【氏名】松本 勘
(72)【発明者】
【氏名】馬場 一磨
(72)【発明者】
【氏名】田部井 仁美
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-084353(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0098644(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1567796(KR,B1)
【文献】特開2019-210802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の局部に向けて水を吐出する吐水口を有し、進退可能な局部洗浄ノズルと、
前記局部洗浄ノズルを後退させた状態で前記局部洗浄ノズルの全体を収納可能なノズル収納部を有するケーシングと、
を備え、
前記局部洗浄ノズルの前記吐水口に向けて除菌作用を有する第1除菌光を照射する第1照光部と、
前記ノズル収納部の内壁に向けて除菌作用を有する第2除菌光を照射する第2照光部と、
を有することを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記第2除菌光は、前記第1除菌光よりも波長が長いことを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記第1照光部と前記第2照光部とを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1照光部および前記第2照光部から除菌光を照射する除菌光モードを有し、
前記除菌光モードは、前記第2照光部の積算放射照度が前記第1照光部の積算放射照度よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記除菌光モードは、前記第2照光部の照射時間が前記第1照光部の照射時間よりも長いことを特徴とする請求項3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記ノズル収納部の内壁に照射される前記第2除菌光の照射範囲は、前記局部洗浄ノズルの外周面に照射される前記第1除菌光の照射範囲よりも広くなっていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記第2照光部は、前記第1照光部よりも前方に配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記第2照光部は、前記第1照光部よりも下方に配置されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記第1照光部と前記第2照光部とを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記局部洗浄ノズルの使用後に、前記第1照光部および前記第2照光部から除菌光を照射する除菌光モードを実行し、
前記除菌光モードは、前記第1照光部から前記第1除菌光を照射するノズル除菌モードを実行した後に、前記第2照光部から前記第2除菌光を照射する収納部除菌モードを実行することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、局部洗浄ノズルを備えた衛生洗浄装置が開示されている。この衛生洗浄装置では、局部洗浄ノズルに付着した汚れを除去するために、局部洗浄ノズルに向けて除菌水(殺菌水)を噴射するとともに、除菌作用を有する除菌光(紫外光)を照射している。また、特許文献2には、局部洗浄ノズルを収納するノズル収納部に除菌光を照射することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-83141号公報
【文献】特開2019-210802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された照光部は、除菌光を局部洗浄ノズルの上方から照射しているので、局部洗浄ノズルの陰となるノズル収納部の内壁に除菌光を照射できないおそれがある。また、特許文献2に記載された照光部は、局部洗浄ノズルの吐水口の周囲に除菌光が照射されにくくなるおそれがある。そのため、特許文献1や特許文献2に記載された除菌光では、局部洗浄ノズルやノズル収納部に発生する菌やカビの繁殖を十分に抑制できないおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、局部洗浄ノズルの吐水口周囲とノズル収納部の広範囲とを効果的に除菌できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、使用者の局部に向けて水を吐出する吐水口を有し、進退可能な局部洗浄ノズルと、前記局部洗浄ノズルを後退させた状態で前記局部洗浄ノズルの全体を収納可能なノズル収納部を有するケーシングと、を備え、前記局部洗浄ノズルの前記吐水口に向けて除菌作用を有する第1除菌光を照射する第1照光部と、前記ノズル収納部の内壁に向けて除菌作用を有する第2除菌光を照射する第2照光部と、を有することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0007】
この衛生洗浄装置によれば、第1照光部は、ノズルの吐水口の周囲に汚れが発生することを抑制できる。また、第1照光部とは異なる位置に設けられた第2照光部は、ノズル収納部の内壁に汚れが発生することを抑制できる。第2照光部は、例えばノズル収納部における第1照光部から死角になる部分(例えば、ノズルの下方領域)も除菌光を照射できる。その結果、ノズルの吐水口およびその周囲とノズル収納部の広範囲とを除菌できるので、ノズルおよびノズル収納部の衛生状態を良好に保つことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、局部洗浄ノズルの吐水口周囲とノズル収納部の広範囲とを効果的に除菌できる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視図である。
【
図2】衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
【
図3】
図3(a)、
図3(b)は、局部洗浄ノズル、ノズル収納部、第1照光部、第2照光部を側方からみた断面図である。
【
図4】
図4(a)、
図4(b)は、ノズル除菌モードを実行しているときの説明図である。
【
図5】
図5(a)、
図5(b)は、収納部除菌モードを実行しているときの説明図である。
【
図6】除菌水モード、ノズル除菌モード、収納部除菌モードの経過状態の一例を表す説明図である。
【
図7】
図7(a)、
図7(b)は、変形例に係る衛生洗浄装置の第1照光部と第2照光部とを表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置は、腰掛大便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、便器800の上部に設けられる衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0011】
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの局部の洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、使用者の便座200への着座を検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部500(
図2参照)を操作すると、局部洗浄ノズル(以下説明の便宜上、単に「ノズル」と称する)473を便器800の内部(ボウル801内)に進出させたり、ボウル801内から後退させたりすることができる。なお、
図1に表した衛生洗浄装置100では、ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
【0012】
ノズル473は、人体(使用者)の局部に向けて水を吐出する吐水口を有し、進退可能となっている。吐水口は、ノズル473の先端部に設けられたビデ洗浄吐水口473aおよびおしり洗浄吐水口473bとなっている。ノズル473は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口473aから水を噴射して、便座200に座った女性の女性局部を洗浄することができる。また、ノズル473は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口473bから水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0013】
「おしり」を洗浄するモードのなかには、例えば、「おしり洗浄」と、「おしり洗浄」よりもソフトな水流で優しく洗浄する「やわらか洗浄」と、が含まれる。ノズル473は、例えば、「ビデ洗浄」と、「おしり洗浄」と、「やわらか洗浄」と、を実行することができる。
【0014】
なお、
図1に表したノズル473では、ビデ洗浄吐水口473aがおしり洗浄吐水口473bよりもノズル473の先端側に設けられているが、ビデ洗浄吐水口473aおよびおしり洗浄吐水口473bの設置位置は、これだけに限定されるわけではない。ビデ洗浄吐水口473aは、おしり洗浄吐水口473bよりもノズル473の後端側に設けられていてもよい。また、
図1に表したノズル473では、2つの吐水口が設けられているが、3つ以上の吐水口が設けられていてもよい。
【0015】
図2は、衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図2では、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図2に表したように、衛生洗浄装置100は、導水部20を有する。導水部20は、水道や貯水タンクなどの給水源10からノズル473に至る管路20aを有する。導水部20は、管路20aにより、給水源10から供給された水をノズル473に導く。管路20aは、例えば以下に説明する電磁弁431、熱交換器ユニット440、流路切替部472などの各部と、これらの各部を接続する複数の配管と、によって形成される。
【0016】
導水部20の上流側には、電磁弁431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。換言すれば、電磁弁431は、管路20aを開閉する。電磁弁431を開状態にすることにより、給水源10から供給された水が、管路20aに流れる。
【0017】
電磁弁431の下流には、調圧弁432が設けられている。調圧弁432は、給水圧が高い場合に、管路20a内の圧力を所定の圧力範囲に調整する。調圧弁432の下流には、逆止弁433が設けられている。逆止弁433は、管路20a内の圧力が低下した場合などに、逆止弁433よりも上流側への水の逆流を抑制する。
【0018】
逆止弁433の下流には、熱交換器ユニット440(加熱部)が設けられている。熱交換器ユニット440は、ヒータを有し、給水源10から供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温する。すなわち、熱交換器ユニット440は、温水を生成する。
【0019】
熱交換器ユニット440は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。瞬間加熱式の熱交換器は、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器と比較すると、短い時間で水を規定の温度まで昇温させることができる。なお、熱交換器ユニット440は、瞬間加熱式の熱交換器には限定されず、貯湯加熱式の熱交換器であってもよい。また、加熱部は、熱交換器に限ることなく、例えばマイクロ波加熱を利用するものなど、他の加熱方式を用いたものでもよい。
【0020】
熱交換器ユニット440は、制御部405と接続されている。制御部405は、例えば、使用者による操作部500の操作に応じて熱交換器ユニット440を制御することにより、操作部500で設定された温度に水を昇温する。
【0021】
熱交換器ユニット440の下流には、流量センサ442が設けられている。流量センサ442は、熱交換器ユニット440から吐出された水の流量を検知する。すなわち、流量センサ442は、管路20a内を流れる水の流量を検知する。流量センサ442は、制御部405に接続されている。流量センサ442は、流量の検知結果を制御部405に入力する。
【0022】
流量センサ442の下流には、電解槽ユニット450が設けられている。電解槽ユニット450は、内部を流れる水道水を電気分解することにより、水道水から次亜塩素酸を含む液(機能水)を生成する。電解槽ユニット450は、制御部405に接続されている。電解槽ユニット450は、制御部405による制御に基づいて、除菌水(機能水)の生成を行う。
【0023】
電解槽ユニット450において生成される機能水は、例えば銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。また、電解槽ユニット450において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。
【0024】
電解槽ユニット450の下流には、バキュームブレーカ(VB)452が設けられている。バキュームブレーカ452は、例えば水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば流路に水が流れているときに吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ452は、導水部20に水の流れがないときに、管路20a内に空気を取り込む。弁機構には、例えばフロート弁が用いられる。
【0025】
バキュームブレーカ452は、上記のように管路20a内に空気を取り込むことにより、例えば管路20aのバキュームブレーカ452よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ452は、例えばノズル473の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ452は、ノズル473内の水を抜いてノズル473内に空気を取り込むことにより、例えばノズル473内の洗浄水やボウル801内に溜まった汚水などが、給水源10(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
【0026】
バキュームブレーカ452の下流には、圧力変調部454が設けられている。圧力変調部454は、導水部20の管路20a内の水の流れに脈動または加速を与え、ノズル473のビデ洗浄吐水口473aおよびおしり洗浄吐水口473bやノズル洗浄部478の吐水部から吐水される水に脈動を与える。すなわち、圧力変調部454は、管路20a内を流れる水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、制御部405に接続されている。圧力変調部454は、制御部405による制御に基づいて、水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、管路20a内の水の圧力を変動させる。
【0027】
圧力変調部454の下流には、流量調整部471が設けられている。流量調整部471は、水勢(流量)の調整を行う。流量調整部471の下流には、流路切替部472が設けられている。流路切替部472は、ノズル473やノズル洗浄部478への給水の開閉や切替を行う。流量調整部471および流路切替部472は、1つのユニットとして設けてもよい。流量調整部471及び流路切替部472は、制御部405に接続されている。流量調整部471および流路切替部472の動作は、制御部405によって制御される。
【0028】
流路切替部472の下流には、ノズル473、ノズル洗浄部478、および噴霧ノズル479が設けられている。ノズル473は、ノズルモータ476からの駆動力を受け、便器800のボウル801内に進出したり、ボウル801内から後退したりする。ノズルモータ476は、制御部405からの指令に基づいてノズル473を進出または後退させる。
【0029】
ノズル洗浄部478は、吐水部から除菌水(機能水)を噴射することにより、ノズル473の外周面473c(胴体)を洗浄および除菌する。なお、ノズル洗浄部478は、吐水部から水を噴射することにより、ノズル473の外周面473cを洗浄してもよい。噴霧ノズル479は、水や機能水をミスト状にしてボウル801に噴霧する。この例では、人体を洗浄するためのノズル473とは別に噴霧ノズル479を設けている。これに限ることなく、ミスト状の液体をボウル801に噴霧するための吐水口をノズル473に設けてもよい。
【0030】
また、流路切替部472の下流には、おしり洗浄流路21と、やわらか洗浄流路22と、ビデ洗浄流路23と、が設けられている。おしり洗浄流路21およびやわらか洗浄流路22は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をおしり洗浄吐水口473bへ導く。ビデ洗浄流路23は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をビデ洗浄吐水口473aへ導く。
【0031】
また、流路切替部472の下流には、表面洗浄流路24と、噴霧用流路25と、が設けられている。表面洗浄流路24は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をノズル洗浄部478へ導く。噴霧用流路25は、導水部20を介して給水源10から供給される水や電解槽ユニット450において生成された機能水を噴霧ノズル479に導く。
【0032】
制御部405は、流路切替部472を制御することにより、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、ビデ洗浄流路23、表面洗浄流路24と、および噴霧用流路25の各流路の開閉を切り替える。このように、流路切替部472は、ビデ洗浄吐水口473a、おしり洗浄吐水口473b、ノズル洗浄部478、および噴霧ノズル479などの複数の吐水口のそれぞれについて、管路20aに連通させた状態と、管路20aに連通させない状態と、を切り替える。
【0033】
制御部405は、電源回路401から電力を供給され、人体検知センサ403や、着座検知センサ404や、流量センサ442や、操作部500などからの信号に基づいて、電磁弁431や、熱交換器ユニット440や、電解槽ユニット450や、圧力変調部454や、流量調整部471や、流路切替部472や、ノズルモータ476などの動作を制御する。
【0034】
また、制御部405は、例えば人体検知センサ403や着座検知センサ404の検知情報に基づいて、第1照光部600および第2照光部610を制御する。第1照光部600は、ノズル473のビデ洗浄吐水口473aやおしり洗浄吐水口473bに向けて除菌作用を有する第1除菌光L1を照射する。第2照光部610は、ノズル収納部480の内壁481に向けて除菌作用を有する第2除菌光L2を照射する。
【0035】
制御部405は、除菌水モードと、除菌光モードと、を有している。除菌光モードは、第1照光部600から照射される第1除菌光L1を照射するノズル除菌モードと、第2照光部610から照射される第2除菌光を照射する収納部除菌モードと、を有する。除菌水モードは、電解槽ユニット450から供給される除菌水によりノズル473を除菌する。制御部405が実行する除菌水モード、ノズル除菌モード、収納部除菌モードについては、後述する。
【0036】
人体検知センサ403は、
図1に表したように、ケーシング400の上面に形成された凹設部409に埋め込まれるように設けられ、便座200に近づいた使用者(人体)を検知する。換言すれば、人体検知センサ403は、衛生洗浄装置100の近傍にいる使用者を検知する。また、便蓋300の後部には透過窓310が設けられている。そのため、便蓋300が閉じた状態において、人体検知センサ403は、透過窓310を介して使用者の存在を検知することができる。制御部405は、例えば人体検知センサ403による使用者の検知に応答して、便蓋300を自動的に開く。
【0037】
また、ケーシング400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング400の側面には、脱臭ユニットからの排気口407および室内暖房ユニットからの排出口408が適宜設けられる。ただし、本発明においては、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
【0038】
図3(a)、
図3(b)は、局部洗浄ノズル、ノズル収納部、第1照光部、第2照光部を側方からみた断面図である。
図3(a)は、局部洗浄ノズルが後退してノズル収納部に収納された状態を表す断面図である。
図3(b)は、局部洗浄ノズルが進出した状態を表す断面図である。
図4(a)、
図4(b)は、ノズル除菌モードを実行しているときの説明図である。
図4(a)は、局部洗浄ノズル、ノズル収納部、第1照光部、第2照光部を側方から見た断面図である。
図4(b)は、局部洗浄ノズル、ノズル収納部、第1照光部、第2照光部を上方から見た平面図である。
図5(a)、
図5(b)は、収納部除菌モードを実行しているときの説明図である。
図5(a)は、局部洗浄ノズル、ノズル収納部、第1照光部、第2照光部を側方から見た断面図である。
図5(b)は、局部洗浄ノズル、ノズル収納部、第1照光部、第2照光部を上方から見た平面図である。
【0039】
図3(a)に表したように、ケーシング400は、ノズル473を後退させた状態において、ノズル473の全体を収納可能なノズル収納部480を有する。すなわち、ノズル収納部480は、ケーシング400の内部のうち、ノズル473が収納される部分である。
【0040】
ノズル収納部480は、ケーシング400の底面を構成するケースプレート400aのうち、ノズル473の下方に位置する底部481aと、底部481aの左右両側に位置する側壁部481bと、ノズル収納部480の前端に設けられた開口482を開閉可能なノズル蓋483と、により画成されている。なお、ノズル蓋483は、設けていなくてもよい。底部481a、側壁部481b、およびノズル蓋483の裏面483aによりノズル収納部480の内壁481が構成されている。ノズル収納部480は、上方がケースカバー400bにより覆われている。ノズル収納部480には、ノズル473を進退可能に支持するノズル支持部484が設けられている。
【0041】
底部481aは、便器800のボウル801内に向けて傾斜している。これにより、ノズル洗浄部478およびビデ洗浄吐水口473aやおしり洗浄吐水口473bから吐出される除菌水は、底部481aから便器800のボウル801内に流れ落ちる。
【0042】
ノズル支持部484は、ノズル473の下方においてノズル473を支持する。ノズル支持部484は、後方から前方に向かう方向において、下方に傾斜している。ノズル473は、ノズル支持部484に設けられたノズルモータ476の作動により、ノズル支持部484に対して摺動しながら、進出および後退する。ノズル収納部480には、例えばノズル473を収納する筒状の部材が設けられてもよい。
【0043】
ノズル洗浄部478は、筒状に形成され、ノズル473をケーシング400内に後退させた状態でノズル473の先端に設けられている。ノズル洗浄部478は、ノズル473の外周面473cに向けて除菌水および水を吐出する吐水穴が形成された吐水部を有する。ノズル洗浄部478は、例えば少なくとも第1照光部600に対向する部分が第1除菌光L1が透過可能な透過部478aとなっている。換言すると、ノズル洗浄部478は、ビデ洗浄吐水口473aおよびおしり洗浄吐水口473bと、第1照光部600との間に位置する上面部が第1除菌光L1が透過可能な透過部478aとなっている。透過部478aは、例えば第1除菌光L1が透過可能な透明部材や、第1除菌光L1が透過可能な開口部となっている。
【0044】
ノズル収納部480の前端には、開口482が設けられている。開口482は、ケーシング400の前面の下側に設けられ、ノズル473が進退するときの出入口となっている。ノズル洗浄部478は、開口482の後方に位置する。ノズル洗浄部478は、例えばノズル473が進退する際に、吐水部から除菌水や水を噴射することにより、ノズル473の外周面473c(胴体)を洗浄する。
【0045】
ノズル蓋483は、ノズル473の前方に設けられている。ノズル蓋483は、ケーシング400のケースカバー400bに軸支され、ケースカバー400bの前面のうち、ノズル収納部480の前端に設けられた開口482に対して開閉可能に設けられる。ノズル蓋483は、ノズル473が便器800の内部に進出した状態では開口482を開く開状態であり、ノズル473の全体がノズル収納部480に収納された状態では開口482を閉じる閉状態である。
【0046】
ノズル473は、使用されていない状態では、
図3(a)に表すように、ノズル収納部480に収納されている。ノズル473によって局部洗浄が行われる場合には、
図3(b)に表すように、ノズル収納部480に対してノズル473が前下方に摺動する。例えば、ノズル473が所定の位置に到達するまでの間に、ノズル洗浄部478からの吐水によってノズル473が洗浄される。
【0047】
ノズル473が所定の位置に到達すると、ビデ洗浄吐水口473aまたはおしり洗浄吐水口473bから使用者の局部に向けて水が吐出され、局部洗浄が行われる。局部洗浄が完了すると、ノズル473は、ノズル収納部480に向けて後上方に摺動する。制御部405は、例えばノズル473がノズル収納部480に収納されるまでの間に、除菌水モードを実行する。除菌水モードでは、ノズル洗浄部478から吐出される除菌水によって、ノズル473が洗浄および除菌される。この場合、ノズル洗浄部478から吐出される除菌水は、ノズル収納部480の内壁481に接触して、便器800の内部(ボウル801内)に流れ落ちる。従って、除菌水は、ノズル収納部480の内部も除菌する。
【0048】
第1照光部600は、ノズル473のビデ洗浄吐水口473aやおしり洗浄吐水口473bに向けて除菌作用を有する第1除菌光L1を照射する。
図3~
図5に表したように、第1照光部600は、例えばケーシング400の内部(ノズル収納部480)に位置して、ノズル洗浄部478に取り付けられている。
【0049】
図3~
図5に表したように、第1照光部600は、ノズル473のビデ洗浄吐水口473aやおしり洗浄吐水口473bの上方に位置して、ビデ洗浄吐水口473aやおしり洗浄吐水口473bに向けて第1除菌光L1を照射する。なお、第1照光部600は、ケーシング400に設けられていてもよい。すなわち、第1照光部600は、ノズル473のビデ洗浄吐水口473aやおしり洗浄吐水口473bに向けて第1除菌光L1を照射できれば、任意の位置に取り付けることができる。
【0050】
第1照光部600は、例えば第1除菌光L1の指向方向(光軸)がノズル473のビデ洗浄吐水口473aまたはおしり洗浄吐水口473bに向いているのが好ましい。この指向方向は、第1除菌光L1の放射照度が最大となる方向とすることができる。これにより、第1照光部600は、ノズル473のビデ洗浄吐水口473a、おしり洗浄吐水口473b、および外周面473cの除菌を効果的に行うことができる。
【0051】
放射照度が最も大きい光軸は、例えば除菌光の照射幅の中心(指向角の中心軸)である。なお、第1照光部600の前方にレンズなどを設けた場合には、放射照度が最も大きい光軸が複数本となる場合がある。第1除菌光L1の照射により、ノズル473のビデ洗浄吐水口473a、おしり洗浄吐水口473b、および外周面473cに付着した菌の少なくとも一部が死滅または不活性化して除菌される。
【0052】
第1照光部600は、例えば発光素子601(発光体)を有する。発光素子601は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。発光素子601は、LEDに限ることなく、例えばLD(Laser Diode)やOLED(Organic Light Emitting Diode)などでもよい。発光素子601は、例えば冷陰極管や熱陰極管であってもよい。発光素子601により放射される第1除菌光L1の波長は、例えば、250nm~280nmである。
【0053】
発光素子601は、基板を介して制御部405に接続されており、制御部405の制御に基づいて点灯および消灯する。制御部405は、発光素子601の点灯および消灯を制御することで、第1照光部600の作動を制御する。また、制御部405は、発光素子601に印加する電圧を調整することで、発光素子601の放射照度を制御してもよい。
【0054】
第2照光部610は、ノズル収納部480の内壁481に向けて除菌作用を有する第2除菌光L2を照射する。
図3~
図5に表したように、第2照光部610は、例えばケーシング400の内部(ノズル収納部480)に位置して、ケーシング400のケースカバー400bに取り付けられている。
【0055】
図3~
図5に表したように、第2照光部610は、ノズル収納部480の上側に位置して、上方から下方に向けて第2除菌光L2を照射する。第2照光部610は、例えばノズル473が第2除菌光L2の陰にならないような位置に設けるのが好ましい。この例では、ノズル洗浄部478とノズル蓋483との間の空間の上方に第2照光部610を配置している。これにより、第2照光部610は、第2除菌光L2がノズル収納部480の内壁481を広く照射している。第2照光部610は、ノズル収納部480の内壁481に向けて第2除菌光L2を照射できれば、任意の位置に取り付けることができる。
【0056】
第2照光部610は、例えば第2除菌光L2の指向方向(光軸)がノズル収納部480の内壁481のうち、最も汚れやすい場所に向いているのが好ましい。この最も汚れやすい場所は、例えばトイレ装置の時間経過による汚れ具合を観察するなどの実験、シミュレーションにより決定することができる。指向方向は、第2除菌光L2の放射照度が最大となる方向とすることができる。これにより、第2照光部610は、ノズル収納部480の内壁481の除菌を効果的に行うことができる。
【0057】
放射照度が最も大きい光軸は、例えば除菌光の照射幅の中心(指向角の中心軸)である。なお、第2照光部610の前方にレンズなどを設けた場合には、放射照度が最も大きい光軸が複数本となる場合がある。第2除菌光L2の照射により、ノズル収納部480の内壁481に付着した菌の少なくとも一部が死滅または不活性化して除菌される。
【0058】
第2照光部610は、例えば発光素子611(発光体)を有する。発光素子611は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。発光素子611は、LEDに限ることなく、例えばLD(Laser Diode)やOLED(Organic Light Emitting Diode)などでもよい。発光素子611は、例えば冷陰極管や熱陰極管であってもよい。発光素子611により放射される第2除菌光L2の波長は、例えば、365nm~430nmである。すなわち、第2除菌光L2は、第1除菌光L1よりも波長が長くなっている。
【0059】
発光素子611は、基板を介して制御部405に接続されており、制御部405の制御に基づいて点灯および消灯する。制御部405は、発光素子611の点灯および消灯を制御することで、第2照光部610の作動を制御する。また、制御部405は、発光素子611に印加する電圧を調整することで、発光素子611の放射照度を制御してもよい。
【0060】
次に、第1照光部600と第2照光部610との関係性およびそれぞれの機能、作用について説明する。
【0061】
第1照光部600と第2照光部610とは、ノズル収納部480の内部で除菌させる対象を異ならせている。上述したように、第1照光部600は、ノズル473のビデ洗浄吐水口473a、おしり洗浄吐水口473b、およびその周囲の外周面473cに第1除菌光L1を照射する。一方、第2照光部610は、ノズル収納部480の内壁481に第2除菌光L2を照射する。
【0062】
これにより、第1照光部600は、ノズル473の吐水口の周囲に汚れが発生することを抑制できる。また、第1照光部600とは異なる位置に設けられた第2照光部610は、ノズル収納部480の内壁481に汚れが発生することを抑制できる。第2照光部は、ノズル収納部480における第1照光部600から死角になる部分(例えば、ノズル473の下方領域)にも第2除菌光L2を照射できる。その結果、ノズル473の吐水口およびその周囲とノズル収納部480の広範囲とを除菌できるので、ノズル473およびノズル収納部480の衛生状態を良好に保つことができる。
【0063】
また、ノズル収納部480の内壁481に照射される第2除菌光L2の照射範囲は、ノズル473の外周面473cに照射される第1除菌光L1の照射範囲よりも広くなっている。
【0064】
第1照光部600は、ノズル473への第1除菌光L1の照射範囲を狭くすることで、単位面積あたりの照度を大きくすることができる。これにより、第1除菌光L1は、ノズル473をより短時間で除菌することができる。一方、第2照光部610は、ノズル収納部480への第2除菌光L2の照射範囲を広くすることで、ノズル収納部480(特に、ノズル蓋483を開けたときに使用者が視認できる領域)を全体的に除菌することができる。
【0065】
また、第2照光部610は、第1照光部600よりも前方に配置されている。この場合、例えば第2照光部610の発光素子611が第1照光部600の発光素子601よりも前方に位置している。ノズル収納部480の中でも特に除菌が必要となる部分は、ノズル蓋483を開けたときに使用者が視認できる領域となる。そこで、第2照光部610を第1照光部600よりも前方(ノズル蓋483側)に配置することで、ノズル収納部480の視認領域を効果的に除菌できる。
【0066】
また、第2照光部610は、第1照光部600よりも下方に配置されている。この場合、例えば第2照光部610の発光素子611が第1照光部600の発光素子601よりも下方に位置している。ノズル収納部480の中でも特に汚れやすく、菌が繁殖しやすい部分は残水が発生するノズル収納部480の底部481aとなる。そこで、第2照光部610を第1照光部600よりも下方に配置することで、残水が発生しやすい底部481aを広く除菌することができる。
【0067】
次に、制御部405が実行する除菌水モード、ノズル除菌モード、収納部除菌モードについて説明する。
図6は、除菌水モード、ノズル除菌モード、収納部除菌モードの経過状態の一例を表す説明図である。
【0068】
例えば、便座200に着座した使用者が操作部500(リモコン)を操作すると、ノズル473が進出して所定の位置に到達する。その後、ビデ洗浄吐水口473aまたはおしり洗浄吐水口473bから使用者の局部に向けて水が吐出されることにより局部洗浄が行われる。
【0069】
そして、時刻t0では、局部洗浄が完了(OFF)となり、ノズル473がノズル収納部480に向けて後上方に移動する。それに伴い、制御部405は、除菌水モードを実行(OFFからON)する。除菌水モードでは、ノズル473がノズル収納部480に収納されるまでの間に、ノズル洗浄部478から吐出される除菌水によって、ノズル473の外周面473cが洗浄および除菌される。
【0070】
また、ノズル473の前端がノズル洗浄部478の内部に収納されるまで後退した後には、ノズル473のビデ洗浄吐水口473aとおしり洗浄吐水口473bとから吐出される除菌水によって、ビデ洗浄吐水口473aとおしり洗浄吐水口473bとが洗浄、除菌される。
【0071】
除菌水モードでは、除菌水がノズル収納部480の内部を流れて、開口482から便器800の内部(ボウル801内)に流れ落ちる。従って、除菌水は、ノズル473に加えて、ノズル収納部480の内壁481も除菌する。
【0072】
ノズル収納部480の内部を流れる除菌水は、そのほとんどが開口482から便器800のボウル801内に流れ落ちる。しかし、例えばノズル収納部480の形状や除菌水の表面張力などにより、ノズル収納部480の内壁481に除菌水が残留する場合がある。このように残留した除菌水は、時間経過とともに濃度減衰が進行する。そうすると、ノズル収納部480の内部は、菌やカビが発生しやすい環境となってしまう。
【0073】
そこで、制御部405は、除菌水モードの後に、除菌光モードを実行する。除菌光モードは、ノズル473を除菌するためのノズル除菌モードと、ノズル収納部480を除菌するための収納部除菌モードとを有する。すなわち、制御部405は、ノズル473の使用後に、第1照光部600および第2照光部610から除菌光を照射する除菌光モードを実行する。
【0074】
図6に表す時刻t1では、除菌水モードが終了(ONからOFF)するとともに、除菌光モードが実行(OFFからON)される。なお、除菌光モードは、除菌水モードが終了した後で所定時間経過後に実行されてもよい。一例を挙げると、除菌光モードは、着座検知センサ404がONからOFFとなったときに実行されてもよい。
【0075】
除菌光モードでは、最初にノズル除菌モードが実行される。制御部405は、ノズル除菌モードが実行されたときには第1照光部600の発光素子601を点灯させる。これにより、
図4中の二点鎖線で表すように、ノズル473のビデ洗浄吐水口473aおよびおしり洗浄吐水口473bを含む外周面473cに第1除菌光L1が照射される。その結果、第1照光部600は、ノズル473のビデ洗浄吐水口473aとおしり洗浄吐水口473b、およびその周囲の外周面473cを除菌することができる。
【0076】
図6に表す時刻t2では、ノズル除菌モードが終了(ONからOFF)するとともに、収納部除菌モードが実行(OFFからON)される。制御部405は、ノズル除菌モードが終了すると第1照光部600の発光素子601を消灯させる。そして、制御部405は、収納部除菌モードが実行されたときには、第2照光部610の発光素子611を点灯させる。
【0077】
これにより、
図5中の一点鎖線で表すように、ノズル収納部480の内壁481に第2除菌光L2が照射される。その結果、第2照光部610は、ノズル収納部480の内壁481を除菌することができる。なお、第2除菌光L1を除菌水モードでの除菌水が残留しやすい底部481aの前端側に向けることで、残留した除菌水が原因で発生する菌やカビの繁殖を抑制することができる。従って、第2照光部610は、ノズル収納部480の内壁481を効果的に除菌することができる。
【0078】
そして、時刻t3では、収納部除菌モードが終了(ONからOFF)する。制御部405は、収納部除菌モードが終了すると、第2照光部610の発光素子611を消灯させる。これにより、ノズル473とノズル収納部480の内壁481との衛生状態を効率よく保つことができる。
【0079】
このように、除菌光モードは、第1照光部600から第1除菌光L1を照射するノズル除菌モードを実行した後に、第2照光部610から第2除菌光L2を照射する収納部除菌モードを実行する。ノズル除菌モードと収納部除菌モードとを同時に行わずに別個に行うことで、除菌モードでの電源容量が大きくなるのを抑制できる。
【0080】
例えば、除菌光モードが実行されているときに、次の使用者が局部洗浄を行おうとした場合には、除菌光モードを中止しなければならない。本実施形態によれば、収納部除菌モードよりもノズル除菌モードを先に実行することで、除菌光モードが中止になっても、次の使用者に除菌されたノズル473を使用させることができる。
【0081】
また、第1照光部600と第2照光部610とは、除菌する対象の汚れ特性や除菌光による劣化具合などを考慮して、照射する除菌光の波長を異ならせている。具体的には、第2照光部610から照射される第2除菌光L2は、第1照光部600から照射される第1除菌光L1よりも波長を長くしている。
【0082】
すなわち、ノズル473は、局部洗浄がなされる度に汚れるおそれがあるため、使用後すぐに除菌する必要がある。そのため、第1除菌光L1の波長は短時間で除菌できるUVBやUVCなどの短波長の除菌光となっている。
【0083】
一方、ノズル収納部480は、ノズル473に比べて汚れにくいので、ノズル473の使用後すぐに除菌する必要がない。そこで、第2除菌光L2の波長は長時間で除菌できるUVAなどの長波長の除菌光となっている。
【0084】
また、除菌光モードは、第2照光部610の積算放射照度(照度×時間)が第1照光部600の積算放射照度(照度×時間)よりも大きくなっている。この積算放射照度は、例えば第1照光部600の発光素子601および第2照光部610の発光素子611からの距離が同じ位置で計測される。一例を挙げると、積算放射照度は、発光素子601、611からそれぞれ30mm離れた位置で計測される。
【0085】
ノズル除菌モードでの積算放射照度は、時刻t1から時刻t2までの時間と、照度と、を掛け合わせることにより算出される。収納部除菌モードでの積算放射照度は、時刻t2から時刻t3までの時間と、照度と、を掛け合わせることにより算出される。
【0086】
この場合、除菌光モードは、第2照光部610の照射時間が第1照光部600の照射時間よりも長くなっている。すなわち、
図6に表すように、収納部除菌モードの実行時間(時刻t2から時刻t3までの時間)は、ノズル除菌モードの実行時間(時刻t1から時刻t2までの時間)よりも長くなっている。
【0087】
ここで、例えばノズル473が樹脂製の場合には、短波長の第1除菌光L1を長時間照射すると、ノズル473の寿命が低下するおそれがある。そこで、ノズル除菌モードでは、短波長の第1除菌光L1を短時間照射することにより、ノズル473の寿命が低下するのを抑制している。すなわち、第1照光部600は、ノズル473の使い勝手、衛生状態、および寿命を考慮して、波長の長さや照射時間を設定している。なお、ノズル473のうち第1除菌光L1が照射される部分を金属製にすることで、ノズル473の寿命をより向上できる。この場合、ノズル473は、面積が小さいため金属製にしたとしてもコストが増加するのを抑制できる。
【0088】
一方、ノズル収納部480は、面積が大きいので、第2除菌光L2が照射される部分全体を金属製にするとコストが増加するおそれがある。しかしながら、ノズル収納部480の内壁481は、ノズル473に比べて汚れにくく、また早急に除菌を行わなくても衛生洗浄装置100(ノズル473)の使い勝手の影響は小さい。そこで、長波長の第2除菌光L2を長時間照射することにより、ノズル収納部480の衛生状態を保っている。また、ノズル収納部480を樹脂製としても、寿命が低下するのを抑制できるので、コストが増加するのを抑制できる。
【0089】
図7(a)、
図7(b)は、変形例に係る衛生洗浄装置の第1照光部と第2照光部とを表す断面図である。
図7(a)は、局部洗浄ノズル、ノズル収納部、第1照光部、第2照光部を側方から見た断面図である。
図7(b)は、局部洗浄ノズル、ノズル収納部、第1照光部、第2照光部を上方から見た平面図である。
図7では、第1照光部600から照射される第1除菌光L1と第2照光部620から照射される第2除菌光L3とを一緒に表している。
上述した実施形態では、第2照光部610をノズル収納部480の上方に配設して、上方から下方に向けて第2除菌光L2を照射した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば
図7に表す変形例のように、ノズル収納部480の側方に第2照光部620を配設してもよい。
【0090】
この場合、第2照光部620は、ノズル洗浄部478の前方に位置して、ノズル洗浄部478とノズル蓋483との間に横方向(左右方向)から第2除菌光L3を照射する。これにより、ノズル収納部480の内壁481を効果的に除菌することができる。
【0091】
また、上述した実施形態では、第1照光部600が連続して第1除菌光L1を照射した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば第1照光部600は、数秒ごとに照射と消灯とを繰り返して照射してもよい。このことは、第2照光部610についても同様である。
【0092】
また、上述した実施形態では、ノズル除菌モードが終了した後に収納部除菌モードを実行した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば収納部除菌モードを実行した後にノズル除菌モードを実行してもよい。また、ノズル除菌モードと収納部除菌モードとが重なっていてもよい。
【0093】
また、上述した実施形態では、除菌光モードをノズル473が使用された後に実行した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば除菌光モードは、所定時間ごとやあらかじめ設定された時刻に実行されてもよい。
【0094】
以上説明した実施形態に基づく衛生洗浄装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0095】
第1の態様は、使用者の局部に向けて水を吐出する吐水口を有し、進退可能な局部洗浄ノズルと、前記局部洗浄ノズルを後退させた状態で前記局部洗浄ノズルの全体を収納可能なノズル収納部を有するケーシングと、を備え、前記局部洗浄ノズルの前記吐水口に向けて除菌作用を有する第1除菌光を照射する第1照光部と、前記ノズル収納部の内壁に向けて除菌作用を有する第2除菌光を照射する第2照光部と、を有する。
【0096】
第1の態様によれば、第1照光部は、ノズルの吐水口の周囲に汚れが発生することを抑制できる。また、第1照光部とは異なる位置に設けられた第2照光部により、ノズル収納部における第1照光部から死角になる部分(例えば、ノズルの下方領域)に第2除菌光を照射できる。その結果、ノズルの吐水口およびその周囲とノズル収納部の広範囲とを除菌できるので、ノズルおよびノズル収納部の衛生状態を良好に保つことができる。
【0097】
第2の態様は、第1の態様において、前記第2除菌光は、前記第1除菌光よりも波長が長くなっている。
【0098】
第3の態様は、第2の態様において、前記第1照光部と前記第2照光部とを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1照光部および前記第2照光部から除菌光を照射する除菌光モードを有し、前記除菌光モードは、前記第2照光部の積算放射照度が前記第1照光部の積算放射照度よりも大きくなっている。
【0099】
第4の態様は、第3の態様において、前記除菌光モードは、前記第2照光部の照射時間が前記第1照光部の照射時間よりも長くなっている。
【0100】
第2~第4の態様によれば、第1照光部と第2照光部とは、除菌する対象の汚れ特性や除菌光による劣化具合、および衛生洗浄装置の使い勝手などを考慮することができる。すなわち、ノズルは、局部洗浄がなされる度に汚れるおそれがあるため、使用後すぐに除菌する必要がある。一方、ノズル収納部は、ノズルに比べて汚れにくいので、ノズルの使用後すぐに除菌する必要がない。
【0101】
例えば、ノズルが樹脂製の場合には、短波長の第1除菌光を長時間照射すると、ノズルの寿命が低下するおそれがある。そこで、ノズル除菌モードでは、短波長の第1除菌光を短時間照射することにより、ノズルの寿命が低下するのを抑制している。すなわち、第1照光部は、ノズルの使い勝手、衛生状態、および寿命を考慮して、波長の長さや照射時間を設定している。なお、ノズルのうち第1除菌光が照射される部分を金属製にすることで、ノズルの寿命をより向上できる。この場合、ノズルは、面積が小さいため金属製にしたとしてもコストが増加するのを抑制できる。
【0102】
一方、ノズル収納部は、面積が大きいので、第2除菌光が照射される部分全体を金属製にするとコストが増加するおそれがある。しかしながら、ノズル収納部の内壁は、ノズルに比べて汚れにくく、また早急に除菌を行わなくても衛生洗浄装置(ノズル)の使い勝手の影響は小さい。そこで、第2照光部は、長波長の第2除菌光を長時間照射することにより、ノズル収納部の衛生状態を保っている。また、ノズル収納部を樹脂製としても、寿命が低下するのを抑制できるので、コストが増加するのを抑制できる。
【0103】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記ノズル収納部の内壁に照射される前記第2除菌光の照射範囲は、前記局部洗浄ノズルの外周面に照射される前記第1除菌光の照射範囲よりも広くなっている。
【0104】
第5の態様によれば、第1照光部は、ノズルへの第1除菌光の照射範囲を狭くすることで、単位面積あたりの照度を大きくすることができる。これにより、第1除菌光は、ノズルをより短時間で除菌することができる。一方、第2照光部は、ノズル収納部への第2除菌光の照射範囲を広くすることで、ノズル収納部(特に、ノズル蓋を開けたときに使用者が視認できる領域)を全体的に除菌することができる。
【0105】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記第2照光部は、前記第1照光部よりも前方に配置されている。
【0106】
ノズル収納部の中でも特に除菌が必要となる部分は、ノズル蓋を開けたときに使用者が視認できる領域となる。第6の態様によれば、第2照光部を第1照光部よりも前方(ノズル蓋側)に配置することで、ノズル収納部の視認領域を効果的に除菌できる。
【0107】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記第2照光部は、前記第1照光部よりも下方に配置されている。
【0108】
ノズル収納部の中でも特に汚れやすく、菌が繁殖しやすい部分は残水が発生するノズル収納部の底部となる。第7の態様によれば、第2照光部を第1照光部よりも下方に配置することで、残水が発生しやすいノズル収納部の底部を広く除菌することができる。
【0109】
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、前記第1照光部と前記第2照光部とを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記局部洗浄ノズルの使用後に、前記第1照光部および前記第2照光部から除菌光を照射する除菌光モードを実行し、前記除菌光モードは、前記第1照光部から前記第1除菌光を照射するノズル除菌モードを実行した後に、前記第2照光部から前記第2除菌光を照射する収納部除菌モードを実行する。
【0110】
例えば、除菌光モードが実行されているときに、次の使用者が局部洗浄を行おうとした場合には、除菌光モードを中止しなければならない。第8の態様によれば、収納部除菌モードよりもノズル除菌モードを先に実行することで、除菌光モードが中止になっても、次の使用者に除菌されたノズル473を使用させることができる。また、ノズル除菌モードと収納部除菌モードとを同時に行わずに別個に行うことで、除菌モードでの電源容量が大きくなるのを抑制できる。
【0111】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0112】
10 給水源
20 導水部
20a 管路
21 おしり洗浄流路
22 やわらか洗浄流路
23 ビデ洗浄流路
24 表面洗浄流路
25 噴霧用流路
100 衛生洗浄装置
200 便座
300 便蓋
310 透過窓
400 ケーシング
400a ケースプレート
400b ケースカバー
401 電源回路
403 人体検知センサ
404 着座検知センサ
405 制御部
407 排気口
408 排出口
409 凹設部
431 電磁弁
432 調圧弁
433 逆止弁
440 熱交換器ユニット
442 流量センサ
450 電解槽ユニット
452 バキュームブレーカ
454 圧力変調部
471 流量調整部
472 流路切替部
473 ノズル(局部洗浄ノズル)
473a ビデ洗浄吐水口
473b おしり洗浄吐水口
473c 外周面
476 ノズルモータ
478 ノズル洗浄部
478a 透過部
479 噴霧ノズル
480 ノズル収納部
481 内壁
481a 底部
481b 側壁部
482 開口
483 ノズル蓋
483a 裏面
484 ノズル支持部
500 操作部
600 第1照光部
601 発光素子
610 第2照光部
611 発光素子
620 第2照光部
800 便器
801 ボウル
L1 第1除菌光
L2,L3 第2除菌光