(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】喫煙具用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20241107BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20241107BHJP
【FI】
A24F40/42
A24D1/20
(21)【出願番号】P 2024137009
(22)【出願日】2024-08-16
(62)【分割の表示】P 2020143605の分割
【原出願日】2020-08-27
【審査請求日】2024-08-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110680018(CN,A)
【文献】特開2020-124222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00~3/18
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ植物または非タバコ植物を原料とするエアロゾル形成基材と、前記エアロゾル形成基材と同軸上に配置されるマウスピースと、前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースとの間に配置される支持部材と、を備えた喫煙具用カートリッジであって、
前記支持部材は、
第一の円盤状に形成され、前記エアロゾル形成基材と対面する位置に配置され、前記エアロゾル形成基材が加熱されることで生成されるエアロゾルが流れる第1の流路を有する第1の壁部と、
第二の円盤状に形成され、前記マウスピースと対面するように設けられ、前記エアロゾルが流れる第2の流路を有する第2の壁部を含み、
前記第1の流路は、前記第1の壁部を貫通する第1の貫通孔であり、
前記第2の流路は、前記第2の壁部を貫通する第2の貫通孔であり、
前記第2の貫通孔のサイズは、前記第1の貫通孔のサイズより大きいことを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気
化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化
から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむ
ためのカートリッジ製品も知られ始めている。
【0003】
例えば特許文献1には、「エアロゾル発生デバイスに使用する喫煙物品は、喫煙物品の
最上流端に位置するエアロゾル形成基材とエアロゾル形成基材のすぐ下流に位置する支持
要素とを含む。支持要素は、エアロゾル形成基材に当接し、エアロゾル形成基材は、喫煙
物品を実質的に変形させることなくエアロゾル形成基材の直径の約40パーセントと約7
0パーセントの間の直径を有するエアロゾル発生デバイスの加熱要素によって貫通可能で
あるように構成される。支持要素は、エアロゾル形成基材内へのエアロゾル発生デバイス
の加熱要素の挿入中にエアロゾル形成基材の下流への移動に抵抗するように構成される。
」ことが記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の支持要素(支持部材)は、中央部に流路が形成された中空円筒状の
部材で構成されているため、構造が複雑で、製造コストが嵩むといった課題がある。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、喫煙具用カートリッ
ジの一部である支持部材の構造を簡素化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、タバコ植物または非タバコ植物を原料
とするエアロゾル形成基材と、前記エアロゾル形成基材と同軸上に配置されるマウスピー
スと、前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースとの間に配置され、前記エアロゾル形
成基材を支持する支持部材と、を備えた喫煙具用カートリッジであって、前記支持部材は
、前記エアロゾル形成基材と対面する位置に配置され、前記エアロゾル形成基材が加熱さ
れることで生成されるエアロゾルが流れる第1の流路を有する第1の壁部と、前記第1の
壁部から前記マウスピースに向かって延びる軸部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、喫煙具用カートリッジの一部である支持部材の構造を簡素化できる。
なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにさ
れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図3】
図1に示す喫煙具用カートリッジを喫煙具に挿入した状態の断面図。
【
図6】第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図13】変形例2-4に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図15】変形例2-5に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図16】第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図18】変形例3-1に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図19】変形例3-2に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図20】変形例3-3に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図21】変形例3-4に係る支持部材の端部の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1の断面図である。
図1に示
すように、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1は、被加熱体20と、支持部材3
0と、マウスピース40と、を備える。被加熱体20と支持部材30とマウスピース40
とは、中心軸C1上に並んで配置される。そして、被加熱体20と支持部材30とマウス
ピース40とは、シート状の外装部材10により巻かれて一体化されている。外装部材1
0は、例えば紙から成る。
【0012】
ここで、
図1に示す喫煙具用カートリッジ1は、例えば、直径が6.5~7.5mm、
長さが40~60mmに形成される。また、被加熱体20は、10~25mmの長さを有
する。勿論、喫煙具用カートリッジは、これ以外の寸法で形成されても良い。
【0013】
被加熱体20は、充填物であるエアロゾル形成基材23をシート状の包装部材25で巻
いて円筒状に形成され、その両端部おいて、エアロゾル形成基材23が露出している。即
ち、被加熱体20の両端部は蓋部材(例えば紙)により覆われていない。なお、包装部材
25は、例えば紙から成るが、シート状の部材であれば材質は問わない。
【0014】
エアロゾル形成基材23は、詳しくは後述するタバコ植物または非タバコ植物を原料と
する喫煙材で構成されている。エアロゾル形成基材23は、例えば、短冊状の部材を束ね
て構成され、その長手方向が中心軸C1に沿うように配置される。
【0015】
エアロゾル形成基材23を短冊状部材で構成した場合、中心軸C1に直交する断面は略
長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1.5:1~30:1の範囲で
あることが好ましい。また、エアロゾル形成基材23の長さは被加熱体20の長さと略同
一であるのが好ましい。エアロゾル形成基材23の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5
mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0016】
勿論、エアロゾル形成基材23は、短冊状の部材に限定されない。例えば、棒状の部材
であっても良く、あるいは紛粒状の部材であっても良い。また、エアロゾル形成基材23
は、短冊状の部材と紛粒状の部材の組み合わせ、短冊状の部材と棒状の部材の組み合わせ
、棒状の部材と紛粒状の部材の組み合わせ、あるいは、短冊状の部材と棒状の部材と紛粒
状の部材の組み合わせから成る構成としても良い。これらの場合、各部材の原料の少なく
とも一部を異なるものとすれば、芳香や味わいが向上するので好ましい。
【0017】
マウスピース40は、喫煙具用カートリッジ1の吸口を構成する部分であり、例えば紙
等を用いて形成される。また、マウスピース40は、微粒子を取り除くセルロースアセテ
ートフィルタ等を含んでいても良い。被加熱体20で生成された水蒸気やエアロゾル中の
微粒子の一部は、このマウスピース40のフィルタによってろ過される。
【0018】
支持部材30は、第1の壁部31と、軸部34とを含む。支持部材30は、例えばシリ
コーンから成り、第1の壁部31と軸部34とが一体に形成される。勿論、両者は別体で
形成されていても良い。なお、軸部34が第1の壁部31と別体で設けられる場合、軸部
34の構成として、例えば、紙を巻いたものまたは捲縮されたポリマーシート等を使用す
ることができる。
【0019】
第1の壁部31は、円盤状に形成される。第1の壁部31の直径は、エアロゾル形成基
材23の直径と略等しい。ここで、「略等しい」とは、エアロゾル形成基材23の直径と
等しい場合と、エアロゾル形成基材23の直径に包装部材25の厚さを含めた寸法、即ち
、被加熱体20の直径と等しい場合とを含む概念である。なお、第1の壁部31の直径は
、エアロゾル形成基材23の直径より小さくても良い。第1の壁部31は、エアロゾル形
成基材23と対面する位置に配置され、第1の壁部31の端面がエアロゾル形成基材23
の端部(端面)と当接している。
【0020】
軸部34は、円柱状に形成される。軸部34は、第1の壁部31から中心軸C1と同軸
上にマウスピース40に向かって延びる。軸部34の端部34aはマウスピース40の端
面と当接している。
【0021】
第1の壁部31がエアロゾル形成基材23と当接し、軸部34の端部34aがマウスピ
ース40と当接することで、エアロゾル形成基材23の軸方向の移動が規制される。
【0022】
図2は
図1に示す第1の壁部31のII-II断面図である。
図2に示すように、第1
の壁部31は、複数(本実施形態では4つ)の貫通孔(第1の貫通孔)32を有する。4
つの貫通孔32は、それぞれ円周方向に沿って等間隔(90度間隔)に配置されている。
これら4つの貫通孔32は、エアロゾル形成基材23が加熱されることで生成されるエア
ロゾルが流れる第1の流路を構成する。なお、貫通孔32の直径は、エアロゾルが流れる
のに好適な大きさとなっている。
【0023】
また、軸部34と外装部材10との間の空間S1は、エアロゾルが流れる流路である。
空間S1は、各貫通孔32を流れたエアロゾルが交流する交流部として機能すると共に、
エアロゾルを冷却する冷却部としても機能する。即ち、支持部材30は、被加熱体20で
生成されたエアロゾルをマウスピース40へと導く。その際、エアロゾルは、軸部34と
外装部材10との間の空間S1によって交流されると共に冷却され、マウスピース40を
介して喫煙者の口内に吸引される。
【0024】
ここで、第1の壁部31の厚さは、軸部34の長さの1/3~1/10程度の範囲とす
ることができる。このようにすると、空間S1によるエアロゾルの交流と冷却の効果を有
しつつ、支持部材30の強度を確保できるからである。
【0025】
次に、エアロゾル形成基材23として用いられる原料の具体例について説明する。エア
ロゾル形成基材23は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成
される。
【0026】
エアロゾル形成基材23は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物
としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植
物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては
、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄
蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0027】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように
、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のよ
うな藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0028】
エアロゾル形成基材23は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを
発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、結
着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉状または粒状にしたり、シー
ト状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状とさ
れる。
【0029】
例えば、非タバコ植物の部位が葉である場合は、好ましくは茶類を使用できる。茶類は
茶になる植物が異なるだけでな<、同じ植物であっても加工法によって異なるお茶になる
。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、
イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カ
キオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、
ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ
茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、し
ょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜
茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶
、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶
、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティ、ゴーヤ茶などが挙げられる。これらお茶につい
ては飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して
有効活用できる。
【0030】
さらに、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することが
できる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0031】
エアロゾル形成基材23の原料としてのエアロゾルフォーマは、グリセリン、プロピレ
ングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリン
ジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコール
ジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、
ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなどが挙げられる。なか
でも、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
【0032】
エアロゾル形成基材23の原料としての微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物の
パルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるもので
あり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである
。
【0033】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良
い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0034】
さらに、必要に応じエアロゾル形成基材23の原料として風味を追加する風味添加剤も
好ましく用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、
茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ま
しく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙
げられる。
【0035】
エアロゾル形成基材23に、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリ
ビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み
合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つ
ことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物で
も良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても
良い。
【0036】
風味添加剤は、例えば、マウスピース40の壁部に含浸させることによってマウスピー
ス40に設けられている。風味添加剤がマウスピース40に設けられている態様は、この
ような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをマウスピー
ス40の壁部に埋設することによって、マウスピース40に風味添加剤が設けられている
ようにしても良い。または、マウスピース40と被加熱体20との間に風味添加剤が封入
されたカプセル60が配置されるようにしても良い(
図19、20参照)。風味添加剤が
カプセル60に封入されている場合、喫煙者は、カプセル60を指で押圧することにより
、カプセル60を破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発
させることが可能となる。
【0037】
さらに、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されて
いるマイクロカプセルを被加熱体20に設けても良い。
【0038】
エアロゾル形成基材23の原料としての結着剤または増粘剤としては、グアーガム、キ
サンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシ
プロピルセルレロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メ
チルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アル
ギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、
カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれら
の組み合わせが挙げられる。
【0039】
(エアロゾル形成基材の製造方法)
既述のエアロゾル形成基材23の製造方法について、各工程に分けて説明する。エアロ
ゾル形成基材23の製造工程は、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物を乾燥・粉
砕し、秤量等を行う乾燥・粉砕工程と、その他の原料の前処理、秤量等を行う準備工程と
、原料を混合して組成物とする混合工程と、組成物を成形する充填物成形工程と、を有す
る。
【0040】
乾燥・粉砕工程では、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物の使用部位(例えば
、葉、種子、乾燥果実、茎、樹皮、根など)を組成物とするため、所定の粉砕物に加工す
る。その際、後に添加するエアロゾルフォーマ、水その他の成分を吸収あるいは担持する
のに都合の良い水分量に調整することが好ましい。乾燥において、温度は60℃以上80
℃以下が好ましい。この範囲とすることで、必要とする香味成分の散逸を避けながら、所
望の水分量に到達させやすい。さらに、乾燥・粉砕工程には、粉砕物を篩分けする篩工程
を設けることもでき、所望の粒度に調整して混合工程に投入することができる。
【0041】
準備工程においては、エアロゾル形成基材23を作製するにあたり必要な原料を準備す
ることができる。前述の微結晶セルロースは、準備工程において秤量され、混合工程に投
入される。
【0042】
混合工程においては、通常の混合機を使用することができる。例えば、混合槽中の原料
を撹拌羽根にて、剪断力を加えつつ混合するような形態が好ましく用いられる。
【0043】
充填物成形工程では、各種原料が混合された組成物を薄いシート状に成形してから、切
断することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23が成形される。本実施形態で
は、薄いシートにするため、3本ロールミルを用意する。3本ロールミルを用いると、狭
いロール間に押し込まれることによる圧縮と、ロール速度差による剪断により、混練、分
散などを行いながら、ドクターブレードにより所望の厚さのシートとすることが可能であ
り、好ましい。また、プレスローラあるいはプレス機を用いて作製することもできる。
【0044】
また、粉状または粒状のエアロゾル形成基材23とするには、上記組成物について、適
宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉状または粒状のエアロゾル形成基材23に
おける平均粒子径は、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm以下
であることがより好ましい。当該平均粒子径は、例えばJIS K 0069:1992
に記載された篩分け法によって求められる。つまり、この平均粒子径は、複数の篩による
試験結果について、目開きの大きいほうからの質量の積算を行い、その質量50%に相当
する径をいう。また、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50
%での粒径を平均粒子径としても良い。
【0045】
充填物成形工程では、組成物を加圧によりオリフィスを通過させて成形するなど、他の
手段を用いても良い。また、充填物成形工程では、必要に応じて、非タバコ植物、エアロ
ゾルフォーマ、結着剤または増粘剤等、風味添加剤、保存料をさらに添加しても良いし、
水などを添加しても良い。
【0046】
充填物成形工程で得られるシートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく
、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。得られたシートは、カッター
、回転刃方式のロータリーカッター等により、所定の幅に切断される。
【0047】
ここで、エアロゾル形成基材23の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与でき
る手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い
。粘着性を付与することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23と粉状または粒
状のエアロゾル形成基材23と組み合わせる場合に、短冊状または棒状のエアロゾル形成
基材23の表面に粉状または粒状のエアロゾル形成基材23を安定して保持することがで
きる。
【0048】
(喫煙具用カートリッジの使用方法)
喫煙具用カートリッジ1の使用方法について説明する。
図3は喫煙具用カートリッジ1
を喫煙具70に挿入した状態の断面図である。喫煙具用カートリッジ1は、加熱式の喫煙
具70に装着されて使用される。喫煙具70は、喫煙具用カートリッジ1を挿入するため
の挿入部72を有している。挿入部72には、針状あるいはブレード状の加熱部75が設
けられる。挿入部72に喫煙具用カートリッジ1が挿入された状態で加熱部75が発熱す
ることにより、エアロゾル形成基材23からエアロゾルが生成される。この状態で喫煙者
がマウスピース40をくわえて吸引すると、エアロゾルが空間S1、マウスピース40の
順に流れて、喫煙者の口内へと流入される。
【0049】
このように構成された第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1によれば、以下の効
果を奏することができる。
【0050】
支持部材30が第1の壁部31と軸部34とから構成されているため、従来と比べて支
持部材30の構成を簡素化でき、支持部材30の製造コストを低減できる。
【0051】
また、支持部材30がエアロゾル形成基材23とマウスピース40との間に介装され、
エアロゾル形成基材23の軸方向の移動を規制しているため、喫煙具用カートリッジ1を
喫煙具70に挿入する際に、エアロゾル形成基材23の位置がずれることが防止される。
よって、加熱部75によるエアロゾル形成基材23の加熱が安定し、良好なエアロゾルが
発生する。
【0052】
また、第1の壁部31の外周面によって外装部材10が支持されるため、喫煙具用カー
トリッジ1を手指でつかむ際の径方向の変形を防止できる。また、支持部材30を備えて
いることにより、喫煙具用カートリッジ1を喫煙具70に挿入する際の軸方向の変形も防
止できる。
【0053】
また、4つの貫通孔32を通過したエアロゾルが空間S1により交流されつつ冷却され
るため、エアロゾルの芳香や味わい向上する。
【0054】
次に、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1の変形例について説明する。
【0055】
(変形例1-1)
図4は変形例1-1に係る第1の壁部31-1の断面図である。なお、
図4は
図1のI
I-II線と同じ位置で切断した断面図である。
図4に示す第1の壁部31-1では、外
周縁部に複数(例えば4つ)の切欠き(第1の切り欠き)32-1が設けられている。こ
れら4つの切欠き32-1は円周方向に90度間隔で配置されており、エアロゾルが通過
する第1の流路を構成する。このような構成でも、上記した第1実施形態と同様の作用効
果を奏する。なお、切欠き32-1の数は問わない。例えば大きな切欠き32-1を1つ
設けても良い。また、複数の切欠き32-1を互いに異なるサイズにしても良い。
【0056】
(変形例1-2)
図5は変形例1-2に係る第1の壁部31-2の断面図である。なお、
図5は
図1のI
I-II線と同じ位置で切断した断面図である。
図5に示す第1の壁部31-2では、軸
方向から見た外形が正六角形に形成される。第1の壁部31-2の各頂点と接するように
巻かれた外装部材10と第1の壁部31-2の外周縁部との間に、6つの流路32-2が
形成される。これら6つの流路32-2は、エアロゾルが通過する第1の流路を構成する
。このような構成でも、上記した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。なお、第1の
壁部31-2の外形は正六角形以外の多角形でも良い。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。第2実施
形態に係る喫煙具用カートリッジ2は、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1と基
本的には同じ構成であるが、支持部材の構成が相違する。よって、以下の説明では、この
相違点を中心に説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0058】
図6は本発明の第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2の断面図である。
図6に示
すように、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2は、被加熱体20と、支持部材1
30と、マウスピース40と、を備える。
【0059】
支持部材130は、第1の壁部131と、軸部134と、第2の壁部137と、を含む
。支持部材130は、例えばシリコーンから成り、第1の壁部131と軸部134と第2
の壁部137とが一体に形成される。勿論、三者は別体で形成されていても良い。なお、
軸部134が第1の壁部131および第2の壁部137と別体で設けられる場合、軸部1
34の構成として、例えば、紙を巻いたものまたは捲縮されたポリマーシート等を使用す
ることができる。
【0060】
第1の壁部131は、円盤状に形成される。第1の壁部131の直径は、エアロゾル形
成基材23の直径と略等しい。勿論、第1の壁部131の直径は、エアロゾル形成基材2
3の直径より小さくても良い。第1の壁部131は、エアロゾル形成基材23と対面する
位置に配置され、第1の壁部131の端面がエアロゾル形成基材23の端部(端面)と当
接している。
【0061】
第2の壁部137は、円盤状に形成される。第2の壁部137の直径は、第1の壁部1
31の直径と等しい。勿論、第2の壁部137の直径は第1の壁部131の直径より小さ
くても良い。第2の壁部137は、マウスピース40と対面する位置に配置され、第2の
壁部137の端面がマウスピース40の端面と当接している。
【0062】
軸部134は、円柱状に形成される。軸部134は、中心軸C1と同軸上に沿って延在
し、第1の壁部131と第2の壁部137とを連結する。
【0063】
第1の壁部131がエアロゾル形成基材23と当接し、第2の壁部137がマウスピー
ス40と当接することで、エアロゾル形成基材23の軸方向の移動が規制される。
【0064】
図7は
図6に示す第1の壁部131のVII-VII断面図である。
図7に示すように
、第1の壁部131は、複数(本実施形態では4つ)の貫通孔(第1の貫通孔)132を
有する。4つの貫通孔132は、それぞれ円周方向に沿って等間隔(90度間隔)に配置
されている。これら4つの貫通孔132は、エアロゾル形成基材23が加熱されることで
生成されるエアロゾルが流れる第1の流路を構成する。なお、貫通孔132の直径は、エ
アロゾルが流れるのに好適な大きさとなっている。
【0065】
図8は
図6に示す第2の壁部137のVIII-VIII断面図である。
図8に示すよ
うに、第2の壁部137は、複数(本実施形態では6つ)の貫通孔(第2の貫通孔)13
8を有する。6つの貫通孔138は、それぞれ円周方向に沿って等間隔(60度間隔)に
配置されている。これら6つの貫通孔138は、エアロゾル形成基材23が加熱されるこ
とで生成されるエアロゾルが流れる第2の流路を構成する。なお、貫通孔138の直径は
、エアロゾルが流れるのに好適な大きさとなっている。ここで、本実施形態では、貫通孔
132と貫通孔138とは同じ直径であるが、両者の数が異なる。
【0066】
また、軸部134と外装部材10との間の空間S1は、エアロゾルが流れる流路であり
、第1実施形態と同様に、各貫通孔132を流れたエアロゾルが交流する交流部として機
能すると共に、エアロゾルを冷却する冷却部としても機能する。
【0067】
このように構成された第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2によれば、以下の効
果を奏することができる。
【0068】
支持部材130が第1の壁部131と軸部134と第2の壁部137とから構成されて
いるため、従来と比べて支持部材130の構成を簡素化でき、支持部材130の製造コス
トを低減できる。
【0069】
また、支持部材130がエアロゾル形成基材23とマウスピース40との間に介装され
、エアロゾル形成基材23の軸方向の移動を規制しているため、喫煙具用カートリッジ2
を喫煙具70に挿入する際に、エアロゾル形成基材23の位置がずれることが防止される
。よって、加熱部75によるエアロゾル形成基材23の加熱が安定し、良好なエアロゾル
が発生する。
【0070】
また、第1の壁部131の外周面および第2の壁部137の外周面によって外装部材1
0が支持されるため、喫煙具用カートリッジ2を手指でつかむ際の径方向の変形を防止で
きる。また、支持部材130を備えていることにより、喫煙具用カートリッジ2を喫煙具
70に挿入する際の軸方向の変形も防止できる。
【0071】
また、4つの貫通孔132を通過したエアロゾルが空間S1により交流されつつ冷却さ
れ、その後、6つの貫通孔138を介してマウスピース40から吸入されるため、エアロ
ゾルの芳香や味わい向上する。しかも、第2の壁部137の貫通孔138の数は、第1の
壁部131の貫通孔132の数より多いため、マウスピース40からエアロゾルを吸入す
る際の抵抗が低減され、喫煙者の吸い心地が良好となる。
【0072】
次に、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2の変形例について説明する。
【0073】
(変形例2-1)
図9は変形例2-1に係る第1の壁部131-1の断面図、
図10は変形例2-1に係
る第2の壁部137-1の断面図である。なお、
図9は
図6のVII-VII線と同じ位
置で切断した断面図であり、
図10は
図6のVIII-VIII線と同じ位置で切断した
断面図である。
【0074】
図9に示すように、変形例2-1に係る第1の壁部131-1は、4つの切欠き(第1
の切欠き)132-1を有している。これら4つの切欠き132-1はエアロゾルが流れ
る第1の流路を構成する。
【0075】
一方、
図10に示すように、変形例2-1に係る第2の壁部137-1は、6つの切欠
き(第2の切欠き)138-1を有している。これら6つの切欠き138-1はエアロゾ
ルが流れる第2の流路を構成する。なお、各切欠き132-1,138-1の大きさは同
じである。
【0076】
このように、第1の壁部131-1および第2の壁部137-1がそれぞれ貫通孔の代
わりに切欠き132-1,138-1を有する構成としても、第2実施形態と同様の作用
効果を奏することができる。
【0077】
(変形例2-2)
図11は変形例2-2に係る第2の壁部137-2の断面図である。なお、
図11は図
6のVIII-VIII線と同じ位置で切断した断面図である。変形例2-2において、
第1の壁部は、
図7に示す第1の壁部131と同じ構成であるため、説明は省略する。
【0078】
図11に示すように、変形例2-2に係る第2の壁部137-2は、2つの長孔(第2
の貫通孔)138-2を有している。これら2つの長孔138-2はエアロゾルが流れる
第2の流路を構成する。そして、2つの長孔138-2の開口面積の合計は、4つの貫通
孔132(
図7参照)の開口面積の合計より大きい。つまり、第1の壁部131の貫通孔
132のサイズより第2の壁部137-2の長孔138-2のサイズの方が大きい構成と
なっている。この変形例2-2であっても、第2実施形態と同様の作用効果を奏すること
ができる。
【0079】
(変形例2-3)
図12は変形例2-3に係る第2の壁部137-3の断面図である。なお、
図12は図
6のVIII-VIII線と同じ位置で切断した断面図である。変形例2-3において、
第1の壁部は、
図9に示す第1の壁部131-1と同じ構成であるため、説明は省略する
。
【0080】
図12に示すように、変形例2-3に係る第2の壁部137-2は、4つの切欠き(第
2の切欠き)138-3を有している。つまり、変形例2-3では、切欠きの数が第1の
壁部131-1と第2の壁部137-2とで同じである。これら4つの切欠き138-3
はエアロゾルが流れる第2の流路を構成する。そして、各切欠き138-3のサイズは、
各切欠き132-1より大きい。この変形例2-3であっても、第2実施形態と同様の作
用効果を奏することができる。
【0081】
(変形例2-4)
図13は変形例2-4に係る喫煙具用カートリッジ2の断面図である。
図13に示すよ
うに、変形例2-4における支持部材130は、第1の壁部131と第2の壁部137と
の間に第3の壁部135を有する。第3の壁部135は、円盤状に形成される。第3の壁
部135の直径は、第1の壁部131および第2の壁部137の直径以下である。そして
、変形例2-4では、第1の壁部131と第2の壁部137との間の空間が第3の壁部1
35によって仕切られている。そのため、第1の壁部131と第3の壁部135との間に
空間S1-1が形成され、第2の壁部137と第3の壁部135との間に空間S1-2が
形成される。なお、第3の壁部135の軸方向の位置は、第1の壁部131と第2の壁部
137の間であればどこでも良いが、この変形例204では第3の壁部135が第1の壁
部131と第2の壁部137の略中間位置に配置されている。
【0082】
図14は
図13に示す第3の壁部135のXIV-XIV断面図である。
図14に示す
ように、第3の壁部135は、複数(例えば5つ)の貫通孔136を有する。5つの貫通
孔136は、それぞれ円周方向に沿って等間隔(72度間隔)に配置されている。これら
5つの貫通孔136は、エアロゾル形成基材23が加熱されることで生成されるエアロゾ
ルが流れる第3の流路を構成する。この変形例では、貫通孔132と貫通孔136と貫通
孔138とは同じ直径であるが、両者の数が異なる。なお、貫通孔136の数は任意で良
い。
【0083】
この変形例2-4によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さ
らに、第3の壁部135を備えているため、支持部材130の強度が向上し、喫煙具用カ
ートリッジ2の径方向および軸方向の変形をより一層防止できる。
【0084】
(変形例2-5)
図15は変形例2-5に喫煙具用カートリッジ2の断面図である。
図15に示すように
、変形例2-5における支持部材130は、第1の壁部131と第2の壁部137との間
に2本の軸部134-1が設けられている。この構成によれば、支持部材130の剛性が
高まるため、喫煙具用カートリッジ2を喫煙具70に挿入する際に、喫煙具用カートリッ
ジ2の変形をより一層防止できる。なお、軸部134-1の数は3本以上でも良い。
【0085】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。第3実施形態に係
る喫煙具用カートリッジ3は、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2と基本的には
同じ構成であるが、主に支持部材の構成が相違する。よって、以下の説明では、この相違
点を中心に説明し、第2実施形態と重複する説明は省略する。
【0086】
図16は本発明の第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3の断面図である。
図16
に示すように、第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3は、被加熱体20と、支持部
材230と、マウスピース40と、を備える。
【0087】
支持部材230は、第1の壁部231と、軸部234と、第2の壁部237と、を含む
。第1の壁部231は第2実施形態の第1の壁部131と同じであり、軸部234は第2
実施形態の軸部134と同じである。よって、第3実施形態に係る支持部材230と第2
実施形態に係る支持部材130との構成上の違いは、第2の壁部の直径である。具体的に
は、第2実施形態では、第2の壁部137の直径が第1の壁部131の直径と同一であっ
たが、第3の実施形態では、第1の壁部231の直径より第2の壁部237の直径の方が
小さい構成である。具体的には、第2の壁部237の直径は、軸部234の直径より大き
く、かつ、第1の壁部231の直径の1/2~2/3程度である。
【0088】
図17は
図16に示す第2の壁部237のXVII-XVII断面図である。
図17に
示すように、第2の壁部237は、複数(本実施形態では6つ)の貫通孔(第2の貫通孔
)238を有する。6つの貫通孔238は、それぞれ円周方向に沿って等間隔(60度間
隔)に配置されている。これら6つの貫通孔238は、エアロゾル形成基材23が加熱さ
れることで生成されるエアロゾルが流れる第2の流路を構成する。また、第2の壁部23
7の外周縁部と外装部材10との間には環状の空間S2が形成されており、この空間S2
からエアロゾルの通過が可能となっている。
【0089】
このように構成された第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3によれば、以下の効
果を奏することができる。
【0090】
支持部材230が第1の壁部231と軸部234と第2の壁部237とから構成されて
いるため、従来と比べて支持部材230の構成を簡素化でき、支持部材230の製造コス
トを低減できる。
【0091】
また、支持部材230がエアロゾル形成基材23とマウスピース40との間に介装され
、エアロゾル形成基材23の軸方向の移動を規制しているため、喫煙具用カートリッジ3
を喫煙具70に挿入する際に、エアロゾル形成基材23の位置がずれることが防止される
。よって、加熱部75によるエアロゾル形成基材23の加熱が安定し、良好なエアロゾル
が発生する。
【0092】
また、4つの貫通孔232を通過したエアロゾルが空間S1により交流されつつ冷却さ
れ、その後、6つの貫通孔238を介してマウスピース40から吸入されるため、エアロ
ゾルの芳香や味わい向上する。さらに、第3実施形態では、エアロゾルが空間S2を介し
てマウスピース40に導かれる。これにより、エアロゾルの吸引抵抗が低減され、吸い心
地が良好である。
【0093】
次に、第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3の変形例について説明する。
【0094】
(変形例3-1)
図18は変形例3-1に係る喫煙具用カートリッジ3の断面図である。
図18に示すよ
うに、変形例3-1に係る喫煙具用カートリッジ3は、支持部材230を構成する第1の
壁部231と第2の壁部237の直径が同じであって、両者とも外装部材10の直径より
も小さい構成である。そのため、第1の壁部231の外周縁部と外装部材10との間にも
環状の空間S3が形成される構成となっている。
【0095】
この構成によれば、エアロゾルは空間S3,S1,S2を流れてマウスピース40から
吸入されるが、これら空間S1~S3により吸引抵抗を抑えることができるため、吸い心
地が良好となる。また、第1の壁部231および第2の壁部237が共に小径であるため
、支持部材230の軽量化を図ることができる。この変形例3-1においても、第2の壁
部237の直径は、第1の壁部231の直径と同じかまたは小さくても良い。
【0096】
(変形例3-2)
図19は変形例3-2に係る喫煙具用カートリッジ3の断面図である。
図19に示すよ
うに、変形例3-2に係る喫煙具用カートリッジ3は、支持部材230とマウスピース4
0との間に空間S4が形成されており、この空間S4にカプセル60が配置されている。
カプセル60は、第2の壁部237とマウスピース40との間に挟まれて位置が固定され
ている。このカプセル60は、エアロゾルに対して芳香や味わいを変化させるものであり
、上述した各種風味添加剤を用いることができる。
【0097】
この変形例3-2によれば、カプセル60によりエアロゾルに風味付けがなされるため
、芳香や味わいを向上させることができる。また、カプセル60を手で潰すことで、より
深い味わいを実現できる。
【0098】
(変形例3-3)
図20は変形例3-3に係る喫煙具用カートリッジ3の断面図である。
図20に示すよ
うに、変形例3-3に係る喫煙具用カートリッジ3は、支持部材230とエアロゾル形成
基材23との間に空間S5が形成されており、この空間S5にカプセル60が配置されて
いる。よって、カプセル60は、第1の壁部231とエアロゾル形成基材23との間に挟
まれて位置が固定されている。
【0099】
この変形例3-3によれば、変形例3-2と同様に、カプセル60によりエアロゾルに
風味付けがなされるため、芳香や味わいを向上させることができる。また、カプセル60
を手で潰すことで、より深い味わいを実現できる。
【0100】
なお、カプセル60は、第1の壁部231と第2の壁部237との間に設けることもで
きる。この場合、変形例3-3のカプセル60より小さいものを空間S1に複数個設けて
も良い。さらに、複数のカプセル60を設ける場合、各カプセル60の風味添加剤を異な
るようにすれば、芳香や味わいがより一層向上する。
【0101】
(変形例3-4)
図21は変形例3-4に係る喫煙具用カートリッジ3の断面図である。
図21に示すよ
うに、変形例3-4では、支持部材230の第2の壁部237の代わりに、円環状のリム
部255と、軸部134の端部134aから放射状に延びて、端部134aとリム部25
5とを接続する3本のスポーク部250と、を備えている。この構成であっても、支持部
材230を簡素化できる。しかも、第2の壁部237と同様の機能を有することができる
。また、第2の壁部237を用いる場合と比べて軽量化できる利点もある。なお、このリ
ム部255は省略できる。
【0102】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変
形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本
発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本
明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現すること
ができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0103】
例えば、第1の壁部が円盤状、第2の壁部が多角形状(
図5参照)でも良いし、その逆
での構成でも良い。また、第1の壁部および/または第2の壁部を多角形状ではなく、不
定形状にすることもできる。その場合には、第2の壁部の最大部の長さは第1の壁部の最
大部の長さ以下である。また、第1の壁部に貫通孔を設け、第2の壁部を切欠きにする構
成でも良いし、その逆の構成でも良い。このように、第1の壁部と第2の壁部は本明細書
に開示されたあらゆる構成を適用することができる。
【0104】
また、エアロゾル形成基材23の原料については、上記に例示したもののほか、様々な
原料を使用できる。例えば、特許第6371927号公報、特許第6371928号公報
、および特許第6516907号公報に開示された原料を本発明にも適用できる。
【0105】
エアロゾル形成基材23の形状として、例えば、棒状、粒状、粉状、短冊状、シートを
巻回したもの、シートを折り畳んだもの、繊維状、シートを捲縮させたもの、繊維を捲縮
させたもの、塊状、片状、粘状、粘性の強い粘土状、ゲル状、スライム状、タブレット状
等があげられる。これらの形状のものは、それらの1種または2種以上を混在させて用い
ることができる。
【0106】
また、エアロゾル形成基材23の形状は、たとえば、ストランド、多孔質状などの形態
としてもよい。多孔質状にするためには、たとえば、複数の針で乾燥したシートを何度か
突き刺すなどすることで形成できる(その他の方法であっても良い)。
【0107】
粉状または粒状のエアロゾル形成基材23の形状は、たとえば、顆粒、ペレットなどの
形態としても良い。
【0108】
粉状または粒状のエアロゾル形成基材23は、ブロック状に固めてもよいし、若干加水
またはオイルを足してペースト状にしても良い。
【符号の説明】
【0109】
1,2,3 喫煙具用カートリッジ
10 外装部材
20 被加熱体
23 エアロゾル形成基材
25 包装部材
30,130,230 支持部材
31,31-1,31-2,131,231 第1の壁部
32,132 貫通孔(第1の貫通孔、第1の流路)
34,134,134-1,234 軸部
40 マウスピース
60 カプセル
135 第3の壁部
136 貫通孔(第3の流路)
132-1 切欠き(第1の切欠き、第1の流路)
137,137-1,137-2,137-3,237 第2の壁部
138,238 貫通孔(第2の貫通孔、第2の流路)
138-1,138-3 切欠き(第2の切欠き、第2の流路)
138-2 長孔(第2の貫通孔、第2の流路)
【要約】
【課題】喫煙具用カートリッジの一部である支持部材の構造を簡素化すること。
【解決手段】タバコ植物または非タバコ植物を原料とするエアロゾル形成基材と、エアロゾル形成基材と同軸上に配置されるマウスピースと、エアロゾル形成基材とマウスピースとの間に配置される支持部材と、を備えた喫煙具用カートリッジであって、支持部材は、第一の円盤状に形成され、エアロゾル形成基材と対面する位置に配置され、エアロゾル形成基材が加熱されることで生成されるエアロゾルが流れる第1の流路を有する第1の壁部と、第二の円盤状に形成され、前記マウスピースと対面するように設けられ、エアロゾルが流れる第2の流路を有する第2の壁部を含み、第1の流路は、第1の壁部を貫通する第1の貫通孔であり、第2の流路は、第2の壁部を貫通する第2の貫通孔であり、第2の貫通孔のサイズは、第1の貫通孔のサイズより大きい。
【選択図】
図15