(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】飲食用又は医療衛生用口中挿入具
(51)【国際特許分類】
A23G 9/26 20060101AFI20241107BHJP
A47G 21/04 20060101ALI20241107BHJP
A46B 5/00 20060101ALI20241107BHJP
A61B 13/00 20060101ALI20241107BHJP
A47G 21/02 20060101ALN20241107BHJP
【FI】
A23G9/26
A47G21/04 Z
A46B5/00 B
A61B13/00
A47G21/02 Z
(21)【出願番号】P 2024001262
(22)【出願日】2024-01-09
【審査請求日】2024-04-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521219316
【氏名又は名称】株式会社エステック
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 衛
(72)【発明者】
【氏名】中溝 恵一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 学
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088900(JP,A)
【文献】特開2016-111955(JP,A)
【文献】実公平03-005275(JP,Y2)
【文献】特表2020-532661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G、A47G、A46B、A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向へ延び
、かつ前記軸方向と直交する厚み方向に沿う厚みが前記軸方向及び前記厚み方向と直交する幅方向に沿う幅より小さい紙製の扁平な飲食用又は医療衛生用の口中挿入具であって、
前記厚み方向の両側の主面と、
これら主面の外縁どうし間の周端面と、を含み、
前記周端面が、
前記厚み方向から見て前記両側の主面の各々の外縁から外方へせり出して鈍角に交わる一対の周端面部を有していることを特徴とする口中挿入具。
【請求項2】
前記各周端面部における前記主面に対する傾斜が、前記外縁からせり出すにしたがって急になっている請求項1に記載の口中挿入具。
【請求項3】
前記一対の周端面部どうしの間には、ひきちぎれ痕状のスジが、前記周端面の周方向に延びるように形成されている請求項1に記載の口中挿入具。
【請求項4】
前記各周端面部の面粗さが、前記主面と実質的に同じ面粗さである請求項1に記載の口中挿入具。
【請求項5】
扁平な主部と、前記主部より外側へせり出す外周部とを含み、前記主面が、前記主部の表面を構成し、前記周端面が、前記外周部の表面を構成しており、
前記外周部における紙繊維密度が、前記主部における紙繊維密度より高い請求項1~4の何れか1項に記載の口中挿入具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口中に挿し入れられる口中挿入具に関し、特に、アイスキャンデーの芯棒やカトラリー等の飲食用、又は舌圧子等の医療衛生用の口中挿入具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の口中挿入具の多くは、細長く扁平な形状を有している。例えばアイスキャンデーの芯棒は、一般に、細長い扁平形状に成形された木製の板によって構成されている(特許文献1等参照)。特許文献2には、細長い扁平形状の紙製の歯ブラシが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-045980号公報
【文献】特開2023-150565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アイスキャンデー芯棒等の扁平な口中挿入具において、主面と端面との角部が尖っていると、口中が傷つくおそれがある。
本発明は、かかる事情に鑑み、細長く扁平な口中挿入具を口中に挿し入れたとき、主面と端面との角部によって口中が傷つくのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、軸方向へ延びる紙製の扁平な飲食用又は医療衛生用の口中挿入具であって、
前記軸方向と直交する厚み方向の両側の主面と、
これら主面の外縁どうし間の周端面と、を含み、
前記周端面が、前記両側の主面の各々の外縁から外方へせり出して鈍角に交わる一対の周端面部を有していることを特徴とする。
【0006】
好ましくは、前記各周端面部における前記主面に対する傾斜が、前記外縁からせり出すにしたがって急になっている。
【0007】
好ましくは、前記一対の周端面部どうしの間には、ひきちぎれ痕状のスジが、前記周端面の周方向に延びるように形成されている。
【0008】
好ましくは、前記各周端面部の面粗さが、前記主面と実質的に同じ面粗さである。
【0009】
好ましくは、扁平な主部と、前記主部より外側へせり出す外周部とを含み、前記主面が、前記主部の表面を構成し、前記周端面が、前記外周部の表面を構成しており、
前記外周部における紙繊維密度が、前記主部における紙繊維密度より高い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、口中挿入具の主面と端面との角部の尖りを緩和して口中が傷つくのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るアイスキャンデー芯棒(口中挿入具)の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、アイスキャンデー1(飲食物)の芯棒10(口中挿入具)を示す。芯棒10は紙製である。好ましくは、芯棒10を構成する紙材は、パルプ紙でもよく合成紙でもよい。芯棒10が、単層の紙シートにて構成されていてもよく、複数の紙シートが接着剤層を介して積層された積層紙シートによって構成されていてもよい。芯棒10は、単層紙シート又は積層紙シートを打ち抜き・分離加工することによって作製される。
【0013】
図1に示すように、芯棒10は、軸方向(
図1において上下)へ延びる細長形状に形成されている。かつ
図2に示すように、芯棒10は、厚み(
図2において上下方向の寸法)が幅(
図2において左右方向の寸法)より小さく、扁平になっている。芯棒10の軸方向と厚み方向と幅方向は互いに直交する。
芯棒10の厚みt
10は、好ましくはt
10=1mm~10mm程度である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、芯棒10は、扁平な主部10aと、外周部10eを含む。主部10aの厚み方向の両側(
図2において上下)の表面は、主面11を構成している。主面11は、平坦になっている。一対の主面11が平行になっている。
【0015】
図3に示すように、芯棒10の外周部10eは、主部10aの厚み方向の両側(
図3において上下)の外縁11eどうしを結ぶ仮想線Lより外側(
図3において左側)の部分)へせり出している。仮想線Lは、主部10aと外周部10eとの境界を仮想的に示す。外周部10eの表面が、周端面12となっている。言い換えると、芯棒10の表面は、厚み方向の両側(
図2において上下)の主面11と、これら主面11の外縁11eどうし間の周端面12とを含む。
図1に示すように、周端面12は、芯棒10の全周にわたる環状になっている。
【0016】
図2に示すように、周端面12は、一対の周端面部12aと、スジ13とを有している。
図3に示すように、周端面部12aは、各主面11の外縁11eから外方へせり出している。これによって、外周部10eの厚みt
10eが、外方(
図3において左方)へ向かうにしたがって小さくなっている。好ましくは、外周部10eにおける紙繊維密度は、芯棒10の両側の主面11どうし間の扁平な主部10aにおける紙繊維密度より高い。より好ましくは、外周部10eにおける紙繊維密度は、外方(
図3において左方)へ向かうにしたがって高まっている。これによって、芯棒10の強度を高めることができる。
【0017】
図3に示すように、各周端面部12aにおける主面11に対する傾斜は、外縁11eからせり出すにしたがって急になっている。各周端面部12aにおける主面11と作る角部は、丸みを帯びたアール部12bとなっている。一対の周端面部12aどうしが、周端面12の厚み方向の中央部12cにおいて鈍角に交わっている。
【0018】
好ましくは、各周端面部12aは、主面11と同等の滑面になっている。すなわち、好ましくは、周端面部12aの面粗さは、主面11と実質的に同じ面粗さになっている。
【0019】
図2に示すように、周端面12の中央部12cにおける一対の周端面部12aどうしの間には、小さい突起状のスジ13が形成されている。スジ13を介して、一対の周端面部12aどうしが交わっている。
図1に示すように、スジ13は、周端面12の周方向に延びるように形成されている。好ましくは、スジ13は、周端面12の全周にわたって環状に延びている。
【0020】
図3に示すように、スジ13は、紙を引きちぎって出来た引きちぎれ痕状であり、毛羽だった紙繊維にて構成されている。したがって、スジ13は、周端面部12aよりも粗い粗面となっている。
芯棒10の厚み方向に沿うスジ13の幅w
13は、好ましくはw
13=1μm~1mm程度である。
スジ13の幅w
13は、芯棒10の厚みt
10の10000分の1~10分の1程度である。
スジ13の突出高さh
13は、好ましくはh
13=1μm~1mm程度である。
【0021】
図1の二点鎖線にて示すように、芯棒10の外周にはアイスキャンデー1が設けられる。粗い面粗度のスジ13がアイスキャンデー1の内部に埋設されることによって、芯棒10とアイスキャンデー1との付着強度が高まる。
芯棒10の主面11と周端面12との角部はアール部12bとなっているから、口中に芯棒10を入れることで芯棒10の角部が口中の組織と触れても、口中が傷つくのを防止することができる。スジ13は、毛羽だった紙繊維状であるから、口中を傷つけることはない。
【0022】
本発明は、前記実施形態に限定されず、その趣旨に反しない限りにおいて種々の改変をなすことができる。
例えば、本発明に係る口中挿入具は、アイスキャンデーの芯棒に限らず、他の飲食用口中挿入具(例えばスプーン、フォーク、ナイフその他のカトラリー)でもよく、舌圧子や歯ブラシ等の医療衛生用の口中挿入具であってもよい。
一対の周端面部12aどうしは、必ずしも周端面12の厚み方向の中央部12cで交わる必要はなく、周端面12の厚み方向における一方(例えば下側)の主面11側に偏った位置で交わっていてもよい。
スジ13は、周端面12の厚み方向の中央部12cに配置されるのに限らず、一方(例えば下側)の主面11側に偏って配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、例えば、アイスキャンデーの芯棒に適用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 アイスキャンデー(飲食物)
10 芯棒(口中挿入具)
10a 主部
10e 外周部
11 主面
11e 外縁
12 周端面
12a 周端面部
12c 中央部
12b アール部(角部)
13 スジ
【要約】
【課題】細長く扁平な口中挿入具を口中に挿し入れたとき、主面と端面との角部によって口中が傷つくのを防止する。
【解決手段】アイスキャンデーの芯棒等の口中挿入具10は、軸方向へ延びる紙製の扁平形状であり、厚み方向の両側の主面11と、これら主面11の外縁11eどうし間の周端面12を含む。周端面12は、各主面11の外縁11eから外方へせり出す一対の周端面部12aを有している。これら周端面部12aどうしが鈍角に交わっている。好ましくは、一対の周端面部12aどうしの間には、引きちぎれ痕状のスジ13が形成されている。
【選択図】
図1