IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イシダの特許一覧

<>
  • 特許-計量装置 図1
  • 特許-計量装置 図2
  • 特許-計量装置 図3
  • 特許-計量装置 図4
  • 特許-計量装置 図5
  • 特許-計量装置 図6
  • 特許-計量装置 図7
  • 特許-計量装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/01 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
G01G23/01 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021045010
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022144132
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】樽本 祥憲
(72)【発明者】
【氏名】田尻 祥子
(72)【発明者】
【氏名】林田 康平
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-269630(JP,A)
【文献】特開2008-145122(JP,A)
【文献】特開2005-147920(JP,A)
【文献】特開2016-133415(JP,A)
【文献】特開平5-10812(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3372963(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00 - 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送可能な搬送部と、
前記搬送部に接続され、重量に関する原信号を出力する計量部と、
前記原信号を処理することによって、前記物品の計量値を出力する計量制御部と、
を備え、
前記計量制御部は、
前記原信号に第1フィルタを適用して得られる判定用信号に基づき、零点を調整するか否かを判定し、
前記零点を調整すると判定した場合、前記原信号又は前記判定用信号に、前記第1フィルタよりも多段階の第2フィルタを適用して得られる調整用信号を生成し、
前記調整用信号に基づいて前記零点の調整を実施する、
計量装置。
【請求項2】
前記計量制御部は、
前記判定用信号に含まれるピークが所定の閾値を超える場合、前記零点を調整しないと判定し、且つ、当該判定から所定の時間の経過後まで前記零点を調整しない、請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記計量制御部は、
前記判定用信号に含まれるピークが所定の閾値を超える場合、前記零点を調整しないと判定し、
前記判定用信号の取得よりも後に出力される別の原信号に前記第1フィルタを適用して得られる別の判定用信号を生成する、請求項1又は2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記計量制御部は、
前記判定用信号に含まれるピークのうち所定の閾値を超えるピークの発生タイミングを特定し、
前記調整用信号から、前記発生タイミングを含む所定の期間に生成されるデータを削除し、
前記データが削除された前記調整用信号に基づいて前記零点の調整を実施する、請求項1に記載の計量装置。
【請求項5】
前記第1フィルタは、ローパスフィルタを含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載の計量装置。
【請求項6】
前記原信号に前記第2フィルタを適用する時間は、前記原信号に前記第1フィルタを適用する時間よりも長い、請求項1~5のいずれか一項に記載の計量装置。
【請求項7】
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタの少なくとも一方は、複数のデジタルフィルタを組み合わせて構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計量装置の一例として、搬送コンベアによって搬送される物品(計量対象物)の重量を計量する装置が挙げられる。下記特許文献1には、所定の投入間隔で順次投入される物品の重量に関連する計量信号を出力する計量手段と、フィルタ特性が互いに異なる第1フィルタ及び第2フィルタによって当該計量信号から高周波成分を除去するフィルタ処理を実行する信号処理手段と、フィルタ処理された計量信号に基づいて計量値を算出する計量値算出手段と、を有する計量装置が開示される。
【0003】
この計量装置は、ゼロ点補正手段をさらに有し、フィルタ処理された計量信号に基づいて計量値の基準となるゼロ点(零点)を算出し補正する。物品の投入間隔に応じてフィルタ処理に使用するフィルタを選択すると共に、当該投入間隔に応じて第2フィルタのフィルタ条件を可変設定する。下記特許文献1では、短い投入間隔であっても零点を調整するためのフィルタ処理が計量信号に確実に実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4781982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載される計量装置では、投入間隔に応じた期間、計量信号に対してフィルタリング処理が実施される。このような間隔内に零点を調整する場合などにおいて、零点の調整精度を向上するためには、原信号に対して極力多段階のフィルタリング処理(すなわち、できるだけ長時間のフィルタリング処理)を実施することが考えられる。ここで一般に、フィルタリング処理を長くするほど、原信号に対する応答性が低くなる。このため、原信号内に突発的なノイズ(例えば、作業者の計量装置への衝突、地震の発生等によって発生するノイズ)が入った場合、当該ノイズも零点の調整に用いられることがある。この場合、零点の調整を実施することによって、調整後の零点がむしろ真の零点からずれてしまうおそれがある。
【0006】
本発明の一側面の目的は、零点の調整を精度よく実施可能な計量装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る計量装置は、物品を搬送可能な搬送部と、搬送部に接続され、重量に関する原信号を出力する計量部と、原信号を処理することによって、物品の計量値を出力する計量制御部と、を備え、計量制御部は、原信号に第1フィルタを適用して得られる判定用信号に基づき、零点を調整するか否かを判定し、零点を調整すると判定した場合、原信号又は判定用信号に、第1フィルタよりも多段階の第2フィルタを適用して得られる調整用信号を生成し、調整用信号に基づいて零点の調整を実施する。
【0008】
この計量装置によれば、計量制御部は、まず、原信号に対して、第2フィルタよりも少ない段階数である第1フィルタ(すなわち、第2フィルタよりも応答性が高いフィルタ)を適用して得られる判定用信号に基づき、零点を調整するか否かを判定する。これにより、計量制御部は、原信号に突発的なノイズが含まれている場合か否かを精度よく判定できる。そして、計量制御部は、零点を調整すると判定した場合、原信号又は判定用信号に第1フィルタよりも多段階の第2フィルタを適用して得られる調整用信号を生成する。これにより、ノイズが良好に除去された調整用信号に基づいて零点の調整を実施できる。したがって、上記計量装置は、零点の調整を精度よく実施可能である。
【0009】
計量制御部は、判定用信号に含まれるピークが所定の閾値を超える場合、零点を調整しないと判定し、且つ、当該判定から所定の時間の経過後まで零点を調整しなくてもよい。この場合、突発的なノイズの発生原因が排除されてから零点を調整できる。よって、零点の調整をより精度よく実施可能である。
【0010】
計量制御部は、判定用信号に含まれるピークが所定の閾値を超える場合、零点を調整しないと判定し、判定用信号の取得よりも後に出力される別の原信号に第1フィルタを適用して得られる別の判定用信号を生成してもよい。この場合、突発的なノイズが含まれる可能性のある原信号を用いずに、零点を調整できる。よって、零点の調整をより精度よく実施可能である。
【0011】
計量制御部は、判定用信号に含まれるピークのうち所定の閾値を超えるピークの発生タイミングを特定し、調整用信号から、発生タイミングを含む所定の期間に生成されるデータを削除し、データが削除された調整用信号に基づいて零点の調整を実施してもよい。この場合、突発的なノイズが予め除去された調整用信号から零点を調整できる。よって、零点の調整をより精度よく実施可能である。
【0012】
第1フィルタは、ローパスフィルタを含まなくてもよい。この場合、原信号に第1フィルタを適用する時間を短縮化できるので、零点を調整するための原信号を取得可能な期間が短い場合であっても、判定用信号を確実に生成できる。
【0013】
原信号に第2フィルタを適用する時間は、原信号に第1フィルタを適用する時間よりも長くてもよい。また、第1フィルタ及び第2フィルタの少なくとも一方は、複数のデジタルフィルタを組み合わせて構成されてもよい。これらの場合、零点の調整をより精度よく実施可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば零点の調整を精度よく実施可能な計量装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る計量装置の概略構成図である。
図2図2は、操作部の一部の機能的な構成を示す図である。
図3図3は、零点の調整方法を説明するためのフローチャートである。
図4図4(a),(b)は、判定用信号の一例を示すグラフである。
図5図5は、調整用信号の一例を示すグラフである。
図6図6は、参考例における調整用信号を示すグラフである。
図7図7は、第1変形例に係る計量装置の概略構成図である。
図8図8は、第2変形例に係る計量装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一側面に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る計量装置の概略構成図である。図1に示される計量装置1は、図1中の矢印の方向(以下、単に「搬送方向」とする)に測定対象物を搬送しながら計量する装置である。計量装置1は、例えば、生産ラインの最終ラインに配置される装置である。測定対象物は、例えば搬送方向に沿って延在する長尺形状を呈する物品Pである。計量装置1は、搬送部2と、架台3と、計量部4と、操作部6とを備える。
【0018】
搬送部2は、物品Pを搬送方向に沿って搬送するコンベアであり、第1コンベア部2aと、第2コンベア部2bと、第3コンベア部2cとを備える。第1コンベア部2aと、第2コンベア部2bと、第3コンベア部2cとのそれぞれは、例えば、ローラ、モータ等の回転体、及び搬送ベルトなどを有する。第1コンベア部2a、第2コンベア部2b及び第3コンベア部2cは、搬送方向の上流側から順番に配置される。すなわち、第2コンベア部2bは、搬送方向において第1コンベア部2aと第3コンベア部2cとの間に位置する。第1コンベア部2aは、第2コンベア部2bに物品Pを搬入するコンベアである。第1コンベア部2aは、例えば、図示しない金属検出機等を有してもよい。第2コンベア部2bは、第1コンベア部2aから搬送された物品Pを第3コンベア部2cに搬入するコンベアである。第3コンベア部2cは、第2コンベア部2bから物品Pを搬出するコンベアである。第3コンベア部2cは、例えば、重量が適正範囲から逸脱している物品Pを振り分ける振分機(図示しない)を有する。
【0019】
第2コンベア部2bには、計量部4が装着されている。このため、搬送部2にて搬送される物品Pは、第2コンベア部2b上にて計量される。また、第2コンベア部2bの上流側及び下流側のそれぞれには、物品Pの有無を検知するセンサS1,S2が設けられる。これにより、物品Pの全体が第2コンベア部2b上に位置しているか否かを容易に判断できる。換言すると、センサS1,S2の検知結果によって、第2コンベア部2bにて物品Pが搬送されていない(いわゆる空運転)か否かを容易に判断できる。
【0020】
架台3は、計量部4を収容する部材であり、搬送部2の下方にて床Fに固定される。架台3は、計量部4を収容する本体3a、及び本体3aと床Fとの間に位置する複数の脚3bを有する。図1においては、本体3aは破線にて示される。
【0021】
計量部4は、搬送部2に接続され、重量に関する信号を出力する部材である。計量部4は、例えば搬送部2の上流側に位置する。計量部4は、負荷に応じた圧縮及び引張を受ける起歪体11と、第2コンベア部2b上に位置する物品Pを計量する計量セル12とを備える。起歪体11は、第2コンベア部2bを支持する可動剛体部11aと、架台3に固定される固定剛体部11bとを有する。可動剛体部11aと固定剛体部11bとのそれぞれは、例えば鉛直方向に延在する部材である。可動剛体部11aの一端は第2コンベア部2bの上流側端部に接続され、可動剛体部11aの他端は計量セル12に接続される。固定剛体部11bの一端は計量セル12に接続され、固定剛体部11bの他端は架台3の本体3aに接続される。図示しないが、計量セル12では、起歪体11に貼着された複数のストレインゲージがホイートストンブリッジ回路に接続される。
【0022】
計量部4の計量セル12は、起歪体11から伝達される負荷に応じた電気信号を上記ホイートストンブリッジ回路から取り出す。当該電気信号は、計量セル12の計量結果を示すアナログ信号である。アナログ信号は、例えば、物品Pを計量するために用いられる第1アナログ信号、零点を調整するために用いられる第2アナログ信号を含む。第1アナログ信号と第2アナログ信号とのそれぞれは、搬送部2の動作中に取り出される。また、第1アナログ信号は、第2コンベア部2b上に物品Pが完全に配置されているときに取り出される。一方、第2アナログ信号は第2コンベア部2b上に物品Pが配置されていないときに取り出される。換言すると、第2アナログ信号は、搬送部2の空運転中に取り出される。計量装置1が物品Pを製造するための生産ラインに配置されるとき、第2アナログ信号は、物品Pの製造中であって第2コンベア部2b上に物品Pが配置されていないときに取り出されてもよい。
【0023】
計量部4にて生成されるアナログ信号を操作部6等に出力する場合、計量装置1におけるネットワーク負荷が大きい傾向がある。このため本実施形態では、計量部4は、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換部を有し、当該デジタル信号を重量に関する原信号として操作部6等に出力する。これにより、計量装置1におけるネットワーク負荷を低減できる。よって本実施形態では、計量部4は、原信号として、第1アナログ信号に基づく第1デジタル原信号と、第2アナログ信号に基づく第2デジタル原信号とを出力する。
【0024】
操作部6は、搬送部2及び計量部4を操作する部材であり、例えば第2コンベア部2bの近傍に立設される。操作部6は、表示インターフェース7と、制御部8とを有する。
【0025】
表示インターフェース7は、制御部8から出力される表示情報に基づく画像を表示する部材(表示部)である。表示インターフェース7は、例えば、物品Pの重量の計量結果を示す計量値、上記電気信号のフィルタリング処理後の波形、搬送部2の搬送速度、搬送方向に沿った物品Pの寸法、物品Pの搬送頻度、物品Pの計量ピッチ等を表示する。本実施形態では、表示インターフェース7は、外部入力部として機能するタッチパネル7aを有する。これにより、表示インターフェース7が作業者(ユーザ)からの入力を受け付けると、入力内容を示す入力情報は、制御部8に出力される。入力情報は、例えば、搬送部2の搬送速度、搬送方向に沿った物品Pの寸法、物品Pの種類、物品Pの搬送頻度等に関するデータである。物品Pの搬送頻度は、例えば計量装置1の上流に位置する生産機の能力に基づいて設定される。
【0026】
物品Pの計量値は、計量部4から操作部6に送信されるデータ(詳細は後述)に基づいて得られるデータである。計量値は、公知の手法によって算出される。また、物品Pの計量ピッチは、搬送部2の搬送速度、物品Pの上記寸法、物品Pの搬送頻度に基づき、制御部8によって算出される。
【0027】
制御部8は、計量装置1に含まれる各部材を制御するコントローラであり、操作部6に内蔵される。制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random AccessMemory)及びROM(Read Only Memory)等によって構成される。制御部8は、例えば、表示インターフェース7を介して指定された搬送部2の搬送速度を制御する動作信号を、搬送部2へ出力する。また、例えば、第3コンベア部2cに振分機が設けられている場合であって、制御部8が物品Pの重量が予め設定された適正範囲から逸脱していると判断した場合、制御部8は、当該物品Pを振り分ける(ラインから除外する)ように、振分機に動作信号を出力する。制御部8は、計量装置1に含まれる各部材の制御だけでなく、各種信号の受信/演算/送信、及び各種信号の記録/読み出し等も実施する処理部である。制御部8による各種信号の演算の例として、物品Pの計量結果の導出が挙げられる。このため、制御部8は、例えば、搬送部2の制御信号を出力するための部分、計量部4にて生成される電気信号から物品Pの計量値を演算するための部分、計量部4にて生成される電気信号から零点を調整するための部分、各信号及び各情報を記憶する部分(記憶部)等を有する。
【0028】
次に、制御部8の一部の機能的な構成について、図2を用いながら説明する。図2は、操作部の一部の機能的な構成を示す図である。図2に示されるように、操作部6に含まれる計量制御部21は、制御部8の一部であり、原信号を処理することによって、搬送部2上の物品Pに関する計量値を出力する部分である。また、計量制御部21は、原信号を処理することによって、零点の調整を実施する部分でもある。計量制御部21は、信号受信部22と、フィルタ部23と、計量部24と、判定部25と、零点調整部26とを有する。
【0029】
信号受信部22は、計量部4から出力される信号を受信する。本実施形態では、信号受信部22は、計量部4から出力される第1デジタル原信号と第2デジタル原信号とを受信する。
【0030】
フィルタ部23は、信号受信部22が受信した信号にフィルタリング処理を実施することによって、当該信号のノイズを除去する。フィルタ部23は、ノイズが除去された信号を出力する。フィルタ部23は、上記信号に対して、互いに異なる特性を示す複数のフィルタリング処理(多段階のフィルタリング処理)を実施してもよい。例えば、フィルタ部23は、デジタルフィルタとして、予め定められた周波数を超える周波数成分を減衰させるローパスフィルタ、搬送部2に含まれる回転体の周波数のノイズを減衰させるノッチフィルタ(バンドストップフィルタ)、物品Pの重量に応じて各周波数帯域の減衰量を変更可能な可変フィルタ等を有する。
【0031】
フィルタ部23は、1又は複数のフィルタを有する。当該フィルタは、上記デジタルフィルタの何れかによって構成されてもよいし、上記デジタルフィルタを組み合わせて構成されてもよい。上記デジタルフィルタの組み合わせは、自動でなされてもよいし、手動でなされてもよい。フィルタ部23に含まれる各フィルタの選択は、例えば制御部8によって自動でなされてもよいし、表示インターフェース7を介したユーザによって手動でなされてもよい。
【0032】
本実施形態では、フィルタ部23は、計量用フィルタと、零点調整用フィルタとを有する。計量用フィルタと、零点調整用フィルタとの少なくとも一方は、複数のデジタルフィルタを組み合わせて構成される。換言すると、計量用フィルタによるフィルタリング処理と、零点調整用フィルタによるフィルタリング処理との少なくとも一方は、多段階のフィルタにて実施される。零点調整用フィルタは、第1フィルタと、当該第1フィルタよりも多段階の第2フィルタとを有する。このため、信号に第2フィルタを適用する時間は、当該信号に第1フィルタを適用する時間よりも長い。第1フィルタは、ローパスフィルタ以外のデジタルフィルタによって構成される。第1フィルタ及び第2フィルタの一方は、計量用フィルタと同一でもよい。また、第1フィルタ及び第2フィルタの少なくとも一方は、計量用フィルタに含まれるデジタルフィルタを全て含んでもよい。計量用フィルタの選択と、零点調整用フィルタの選択とのそれぞれは、自動でなされてもよいし、手動でなされてもよい。
【0033】
計量用フィルタは、物品Pの重量を計量するときに用いられるフィルタであり、第1デジタル原信号に対して適用される。第1デジタル原信号に対して計量用フィルタを用いたフィルタリング処理を実施することによって、信号が生成される。当該計算信号は、物品Pの重量を演算するために整えられた信号波形を有する。このため計算信号は、物品Pの重量に対応する信号と言える。
【0034】
零点調整用フィルタに含まれる第1フィルタと第2フィルタとのそれぞれは、零点を調整するときに用いられるフィルタであり、第2デジタル原信号に対して適用される。第2デジタル原信号に対して第1フィルタを適用することによって、判定用信号が生成される。当該判定用信号は、第2デジタル原信号が零点の調整に用いることが可能か否かを判定するために整えられた信号波形を有する。一方、第2デジタル原信号に対して少なくとも第2フィルタを適用することによって、調整用信号が生成される。本実施形態では、調整用信号は、第2デジタル原信号に対して第1フィルタ及び第2フィルタを適用することによって生成される。すなわち、本実施形態では、調整用信号は、判定用信号に対して第2フィルタを適用することによって生成される。調整用信号は、零点を調整するために整えられた信号波形を有する。
【0035】
判定用信号の信号波形は、調整用信号の信号波形と比較して、定常的に発生するノイズ(定常ノイズ)が残存する傾向がある。一方、第2フィルタは第1フィルタよりも応答性が悪いので、調整用信号の信号波形には、突発的に発生するノイズ(突発ノイズ、インパルスノイズ)に伴うシフトが発生しやすい傾向がある。定常ノイズは、例えば、搬送部2の駆動によって発生するノイズ、計量装置1とは異なる装置の駆動によって発生するノイズ等である。突発ノイズは、例えば、作業者の計量装置1への予期せぬ衝突によって発生するノイズ、予期せぬ床振動に起因するノイズ、センサS1,S2の通過時間のゆらぎにより発生するノイズ等である。計量装置1が物品Pを製造するための生産ラインに配置される場合、当該生産ラインに含まれる他の装置のメンテナンス中等に生じるノイズも、突発ノイズの一種である。突発ノイズは、定常ノイズと比較して短時間発生し、且つ、大きな振動であることが多い。
【0036】
計量部24は、フィルタ部23から出力される計算信号を用いて物品Pの重量を計量する。計量部24は、計量した物品Pの重量を、制御部8の他の部分に出力する。制御部8は、物品Pの重量が予め設定された適正範囲から逸脱しているか否かを判断する。この判断結果に応じて、上述したように、制御部8は、例えば振分機に動作信号を出力する。
【0037】
判定部25は、フィルタ部23から出力される判定用信号に基づき、零点を調整するか否かを判定する。判定部25は、例えば、判定用信号に含まれるピークが所定の閾値を超えているか否かを判定する。より具体的には、判定部25は、例えば、判定用信号に含まれるデータ群の最大値から最小値を差し引いた判定値(最大値-最小値)が所定の閾値を超えているか否かを判定する。当該判定値が所定の閾値を超えていない場合、判定部25は、零点を調整すると判定する。一方、上記判定値が所定の閾値を超えている場合、判定部25は、零点を調整しないと判定する。この場合、計量制御部21は、当該判定から所定の時間の経過後まで零点を調整しない。所定の時間は、例えば1秒以上5秒以下である。
【0038】
零点調整部26は、フィルタ部23から出力される調整用信号に基づき、計量装置1の零点を調整する。零点調整部26は、例えばセンサS1,S2の検知結果に基づいて設定される期間に沿って、零点を調整する。零点調整部26は、搬送部2の空運転中に零点を調整してもよいし、搬送部2の動作中であって搬送部2にて物品Pが搬送されているときに零点を調整してもよい。
【0039】
次に、図3を参照しながら、本実施形態に係る計量装置1による零点の調整方法の一例について説明する。図3は、零点の調整方法を説明するためのフローチャートである。
【0040】
まず、搬送部2の動作中であって第2コンベア部2bにて物品Pが搬送されていないとき(いわゆる空運転中)、計量セル12から第2アナログ信号を出力する(第1ステップST1)。第1ステップST1では、まず、センサS1,S2の検知結果に基づいて搬送部2の空運転状態が判別される。そして、搬送部2の空運転中に計量部4にて得られる電気信号である第2アナログ信号を出力する。
【0041】
次に、第2アナログ信号から第2デジタル原信号を生成する(第2ステップST2)。第2ステップST2では、計量部4のA/D変換部が第2アナログ信号を第2デジタル原信号に変換する。
【0042】
次に、第2デジタル原信号から判定用信号を生成する(第3ステップST3)。第3ステップST3では、計量制御部21のフィルタ部23が第2デジタル原信号に第1フィルタを適用することによって、判定用信号を生成する。図4(a),(b)は、判定用信号の一例を示すグラフである。図4(a),(b)に示されるグラフにおいて、横軸は時間を表し、縦軸はカウント値を表す。図4(a)に示される判定用信号DS1と、図4(b)に示される判定用信号DS2とは、互いに異なるタイミングにて出力される第2デジタル原信号から生成される。判定用信号DS1の一部には、定常ノイズに起因するピーク31が含まれており、ピーク31の最大値は閾値Th未満である。一方、判定用信号DS2の一部には、突発ノイズに起因するピーク32が含まれており、ピーク32の最大値は閾値Thを超えている。所定の閾値Thは、予め定められる値であり、表示インターフェース7等を介して変更可能な値である。
【0043】
次に、判定用信号に基づいて零点を調整するか否かを判定する(第4ステップST4)。第4ステップST4では、例えば判定用信号に含まれるデータ群に所定の閾値を超える値がない場合、計量制御部21の判定部25は、第2デジタル原信号を用いて零点を調整すると判定する。一方、例えば判定用信号に含まれるデータ群に所定の閾値を超える値がある場合、判定部25は、第2デジタル原信号を用いて零点を調整しないと判定する。このため、例えば図4(a)に示される判定用信号DS1が用いられる場合、判定部25は、零点を調整すると判定する。一方、例えば図4(b)に示される判定用信号DS2が用いられる場合、判定部25は、零点を調整しないと判定する。
【0044】
次に、第4ステップST4にて零点を調整すると判定された場合(第4ステップST4:YES)、判定用信号から調整用信号を生成する(第5ステップST5)。第5ステップST5では、フィルタ部23が判定用信号に第2フィルタを適用することによって、調整用信号を生成する。図5は、調整用信号の一例を示すグラフである。図5に示される調整用信号AS1は、判定用信号DS1に第2フィルタを適用することによって得られる。このため、調整用信号AS1は、判定用信号DS1と比較して、ピークが除去され、且つ、平滑化されている。
【0045】
次に、調整用信号を用いて零点を調整する(第6ステップST6)。第6ステップST6では、零点調整部26は、調整用信号AS1のカウント値を適宜変換した後、零点を調整する。なお、第4ステップST4にて零点を調整しないと判定された場合(第4ステップST4:NO)、第5ステップST5及び第6ステップST6は実施されない。
【0046】
以上に説明した本実施形態に係る計量装置1の作用効果について、以下にて説明する参考例と比較しながら説明する。参考例では、判定用信号に基づいて零点を調整するか否かは判定されない。このため、上述した判定用信号DS2が得られた場合、当該判定用信号DS2に基づいて生成される調整用信号を用いて零点を調整する。図6は、参考例における調整用信号を示すグラフである。図6に示される調整用信号AS2は、判定用信号DS2に第2フィルタを適用することによって得られる信号である。第2フィルタの応答性は、第1フィルタよりも低いため、調整用信号AS2から突発ノイズの成分を完全に除去することは困難である。このため、調整用信号AS2は、判定用信号DS2のピーク32と比較すると滑らかなピーク41を含む。ピーク41においては、その最大値及び近傍が含まれる領域Rの振幅の差が小さい。この場合、領域Rの内部に含まれるデータ群が零点の調整に用いられることがある。したがって、突発ノイズが含まれる原信号に基づいて零点を調整する場合、零点をむしろずらすおそれがある。
【0047】
これに対して本実施形態では、計量制御部21は、まず、第2デジタル原信号に対して、第2フィルタよりも少ない段階数である第1フィルタ(すなわち、第2フィルタよりも応答性が高いフィルタ)を適用して得られる判定用信号DS1に基づき、零点を調整するか否かを判定する。これにより、計量制御部21は、第2デジタル原信号に突発的なノイズが含まれている場合か否かを精度よく判定できる。また、計量制御部21は、零点を調整するとき、突発的なノイズが含まれている第2デジタル原信号を精度よく排除できる。そして、計量制御部21は、零点を調整すると判定した場合、原信号に、第1フィルタよりも多段階の第2フィルタを適用して得られる調整用信号AS1を生成する。これにより、零点調整部26は、ノイズが良好に除去された調整用信号AS1に基づいて零点の調整を実施できる。したがって、計量装置1は、零点の調整を精度よく実施可能である。
【0048】
本実施形態では、計量制御部21の零点調整部26は、判定用信号に含まれるピークが閾値Thを超える場合、零点を調整しないと判定し、且つ、当該判定から所定の時間の経過後まで零点を調整しない。この場合、計量装置1は、突発的なノイズの発生原因が排除されてから零点を調整できる。よって、計量装置1は、零点の調整をより精度よく実施可能である。
【0049】
本実施形態では、第1フィルタは、ローパスフィルタを含まない。このため、第2デジタル原信号に第1フィルタを適用する時間を短縮化できるので、零点を調整するための原信号を取得可能な期間が短い場合であっても、判定用信号を確実に生成できる。
【0050】
本実施形態では、第2デジタル原信号に第2フィルタを適用する時間は、第2デジタル原信号に第1フィルタを適用する時間よりも長い。また、本実施形態では、第1フィルタ及び第2フィルタの少なくとも一方は、複数のデジタルフィルタを組み合わせて構成されてもよい。これらの場合、零点の調整をより精度よく実施可能である。
【0051】
以下では、上記実施形態の各変形例について説明する。以下の各変形例において、上記実施形態と重複する箇所の説明は省略する。したがって以下では、上記実施形態と異なる箇所を主に説明する。
【0052】
図7は、第1変形例に係る計量装置の概略構成図である。図7に示されるように、計量装置1Aは、搬送方向に沿って長尺の物品P1の重量を計量するための装置であり、第1計量部4A及び第2計量部5を有する。第1計量部4Aは、第2コンベア部2bの上流側に位置する。第2計量部5は、第2コンベア部2bの下流側に位置し、起歪体51と計量セル52とを有する。起歪体51は、起歪体11と同様に、第2コンベア部2bを支持する可動剛体部51aと、架台3に固定される固定剛体部51bとを有する。
【0053】
搬送部2の動作中であって搬送部2によって物品P1が搬送されていないとき、計量制御部21のフィルタ部23(図2を参照)は、例えば、第1計量部4Aから出力された原信号と、第2計量部5から出力された原信号とのそれぞれに対して、零点調整用フィルタに含まれる第1フィルタが適用される。ここで、第1計量部4Aから出力された原信号に適用される第1フィルタと、第2計量部5から出力された原信号に適用される第1フィルタとは、互いに同一でもよいし、互いに異なってもよい。続いて、第1計量部4Aから出力される原信号をフィルタリング処理して得られる判定用信号と、第2計量部5から出力される原信号をフィルタリング処理して得られる判定用信号とを合算する。これにより得られた合算判定用信号に基づいて、計量制御部21の判定部25は、零点の調整をするか否かを判定する。零点を調整すると判定された場合、上記合算判定用信号に第2フィルタを適用することによって得られる合算調整用信号に基づいて、零点の調整がなされる。
【0054】
もしくは、制御部8のフィルタ部23は、例えば、第1計量部4Aから出力された原信号と、第2計量部5から出力された原信号との合算原信号に対して、零点調整用フィルタに含まれる第1フィルタを適用することによって、合算判定用信号を生成してもよい。
【0055】
このような第1変形例に係る計量装置1Aにおいても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、第1変形例によれば、搬送方向に沿って長尺の物品P1の重量を精度よく計量できる。
【0056】
図8は、第2変形例に係る計量装置の概略構成図である。図8に示されるように、計量装置1Bの固定剛体部11bには、AFV(Anti Floor Vibration)セル61(外乱振動検出部)が設けられる。AFVセル61は、計量セル12を含む計量装置1の外乱振動を検出する部材である。AFVセル61は、床Fから計量装置1Bに伝わる振動、搬送部2の振動等を検出する。AFVセル61は、外乱振動を検出し、この外乱振動に対応する振動信号を出力する。AFVセル61から出力される振動信号は、アナログ信号である。当該振動信号がフィルタリング処理されることによって、外乱振動に起因する補正信号が生成される。
【0057】
搬送部2の動作中であって搬送部2によって物品Pが搬送されていないときに得られる振動信号に基づいて、補正信号の基準値の調整がなされてもよい。このとき、上記実施形態にて示される零点の調整と同様に、まず、振動信号が上記基準値の調整をするための信号として適切か否かを判定する。例えば、フィルタ部23に含まれる判定用フィルタを振動信号に適用することによって得られる基準値判定用信号に基づいて、判定部25は、基準値を調整するか否かを判定する。基準値を調整すると判定された場合、基準値判定用信号に補正用フィルタを適用することによって得られる信号に基づいて、補正信号の基準値の調整がなされてもよい。
【0058】
補正用フィルタは、判定用フィルタよりも多段階である。このため、信号に補正用フィルタを適用する時間は、当該信号に判定用フィルタを適用する時間よりも長い。判定用フィルタは、ローパスフィルタ以外のデジタルフィルタによって構成されてもよい。判定用フィルタ及び補正用フィルタの一方は、計量用フィルタと同一でもよい。また、判定用フィルタ及び補正用フィルタの少なくとも一方は、計量用フィルタに含まれるデジタルフィルタを全て含んでもよい。判定用フィルタの選択と、補正用フィルタの選択とのそれぞれは、自動でなされてもよいし、手動でなされてもよい。判定用フィルタは、零点調整用フィルタに含まれる第1フィルタと同一でもよいし、異なってもよい。また、補正用フィルタは、零点調整用フィルタに含まれる第2フィルタと同一でもよいし、異なってもよい。
【0059】
第2変形例では、制御部8は、フィルタ部23から出力される計算信号と、上記補正信号とに基づいて物品Pの重量を算出する。具体的には、制御部8は、計算信号から上記補正信号を減算して、外乱振動に起因する計算信号の誤差を補正した計算信号を生成する。ここで、計算信号の特性と補正信号の特性とは互いに異なっている。このため、制御部8は、予め補正信号に所定の係数を加えて調整する。制御部8は、補正後の計算信号に基づいて物品Pの重量を求め、物品Pの重量を示す重量情報を表示インターフェース7に出力する。
【0060】
上述した第2変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、外乱振動に起因する計算信号の誤差を補正した計算信号にて物品Pの重量を算出することによって、物品Pの重量を精度よく計量できる。さらには、振動信号に判定用フィルタを適用することによって、補正信号の基準値を調整するか否かを判定するための信号がまず得られる。そして、当該信号によって上記基準値が実際に調整されるか否かを判定される。これにより、振動信号に突発的なノイズが含まれている場合か否かが精度よく判定される。また、補正信号の基準値を調整するとき、突発的なノイズが含まれている振動信号を精度よく排除できる。以上により、ノイズが良好に除去された信号に基づいて、補正信号の基準値の調整を実施できる。
【0061】
以上、本発明の一側面に係る計量装置の実施形態及びその各変形例について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態及び上記変形例に限定されない。例えば、上記第1変形例と上記第2変形例とは、互いに組み合わせてもよい。この場合、合算振動信号に基づいて、補正信号の基準値を調整するか否かが判定され得ると共に、補正信号の基準値が調整され得る。
【0062】
上記実施形態及び上記変形例では、計量部は、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換部を有しており、原信号として、第1アナログ信号に基づく第1デジタル原信号と、第2アナログ信号に基づく第2デジタル原信号とを出力するが、これに限られない。例えば、計量部は、A/D変換部を有さず、代わりに制御部はA/D変換部を有してもよい。この場合、計量部から出力される原信号は、第1アナログ信号と第2アナログ信号でもよい。原信号は、例えば計量制御部にてアナログ/デジタル変換される。この場合、例えば、フィルタ部に含まれるデジタルフィルタにはA/D変換フィルタがあり、原信号にはA/D変換フィルタが適用されてもよい。ここで、零点調整用フィルタの第1フィルタには、A/D変換フィルタが含まれてもよい。もしくは、第1フィルタは、A/D変換フィルタであってもよい。
【0063】
上記実施形態及び上記変形例では、調整用信号は、判定用信号に対して第2フィルタを適用することによって生成されるが、これに限られない。調整用信号は、計量部から出力される原信号に少なくとも第2フィルタを適用することによって生成されてもよい。この場合、第2フィルタには、第1フィルタに含まれるデジタルフィルタの一部もしくは全部が含まれてもよい。
【0064】
上記実施形態及び上記変形例では、調整用信号は、第4ステップにて零点を調整すると判定された後に生成されるが、これに限られない。例えば、調整用信号は、第4ステップ前に生成されてもよい。この場合、調整用信号の生成は、判定用信号の生成と同時に実施されてもよいし、零点の調整をするか否かの判定中に実施されてもよい。これにより、調整用信号の生成中に第4ステップを実施できるので、零点の調整に要する時間を短縮できる。
【0065】
上記実施形態及び上記変形例では、判定部が零点を調整しないと判定した場合、計量制御部は、当該判定から所定の時間の経過後まで零点を調整しないが、これに限られない。例えば、零点を調整しないと判定された場合、判定部は、判定用信号の取得よりも後に出力される別の原信号に第1フィルタを適用して得られる別の判定用信号を生成してもよい。この場合もまた、零点調整部は、突発的なノイズが含まれる可能性のある原信号を用いずに、零点を調整できる。よって、零点の調整をより精度よく実施可能である。
【0066】
上記実施形態及び上記変形例では、判定用信号に含まれるピークの最大値が所定の閾値を超える場合、当該判定用信号、及び、当該判定用信号を生成するための原信号は、零点を調整するために用いられないが、これに限られない。例えば、上記ピーク及びその近傍のデータが除去された信号を用いて、零点の調整を実施してもよい。この場合、計量制御部は、判定用信号に含まれるピークのうち所定の閾値を超えるピークの発生タイミングを特定し、調整用信号から発生タイミングを含む所定の期間に生成されるデータを削除し、且つ、データが削除された調整用信号に基づいて零点の調整を実施してもよい。これにより、突発的なノイズが予め除去された調整用信号から零点を調整できる。よって、零点の調整をより精度よく実施可能である。なお、ピークの発生タイミングは、例えば、当該ピークの最大値が得られた時間に相当する。また、所定の期間は、上記発生タイミングの5秒前から5秒後までの期間に相当する。すなわち、所定の期間は、上記発生タイミングを中心とした10秒の範囲である。
【0067】
上記実施形態及び上記変形例では、1の調整用信号に基づいて零点が調整されるが、これに限られない。例えば、複数の調整用信号に基づいて零点を調整してもよい。この場合、例えば、互いに異なるタイミングにて得られる複数の調整用信号をつなぎ合わせてもよい。これにより、物品の搬送頻度が高い場合などにおいても、計量装置は、零点を調整できる。
【0068】
上記実施形態及び上記変形例では、計量セルの歪みを計測するが、これに限られない。例えば、フォースバランス式や音叉式の計量セルを用いてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B…計量装置、2…搬送部、3…架台、4…計量部、4A…第1計量部、5…第2計量部、6…操作部、7…表示インターフェース、8…制御部、11,51…起歪体、11a,51a…可動剛体部、11b,51b…固定剛体部、12,52…計量セル、21…計量制御部、22…信号受信部、23…フィルタ部、24…計量部、25…判定部、26…零点調整部、P,P1…物品、Th…閾値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8