(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】紐なしマスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
A41D13/11 K
(21)【出願番号】P 2022182099
(22)【出願日】2022-11-14
【審査請求日】2024-06-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】サデグザーデ ナザリ メヘルダード
(72)【発明者】
【氏名】因幡 和晃
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0277451(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0110469(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0401087(US,A1)
【文献】特開2008-55036(JP,A)
【文献】国際公開第2016/025266(WO,A1)
【文献】米国特許第4688566(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0392968(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02、18/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の口及び鼻を覆う大きさで、上下の縁を有し、上縁が、装着者の鼻及び頬を横切って延びるように配置され、下縁が、装用者の口の下に延びるように配置されるフィルタ部材を備えるマスク本体と、
上記マスク本体の装着者の顔面と相対する面に周縁に沿って全周に亘って設けた上記マスク本体の内部と外部の間の周縁部からの通気を遮断する粘着層と、
上記粘着層により上記マスク本体を顔面に装着した状態で、上記マスク本体のフィルタ部材に最小限の接触で上記フィルタ部材を上記顔面から取り外すための取り外し機構とを備え、
上記取り外し機構として、上記粘着層は、長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造の片面接着テープからなり、上記マスク本体の顔面と相対する面が剥離材により覆われており、この剥離材を除去することにより、上記マスク本体を顔面に装着可能とした紐なしマスク。
【請求項2】
装着者の口及び鼻を覆う大きさで、上下の縁を有し、上縁が、装着者の鼻及び頬を横切って延びるように配置され、下縁が、装用者の口の下に延びるように配置されるフィルタ部材を備えるマスク本体と、
上記マスク本体の装着者の顔面と相対する面に周縁に沿って全周に亘って設けた上記マスク本体の内部と外部の間の周縁部からの通気を遮断する粘着層と、上記粘着層により上記マスク本体を顔面に装着した状態で、上記マスク本体のフィルタ部材に最小限の接触で上記フィルタ部材を上記顔面から取り外すための取り外し機構とを備え、
上記取り外し機構として、上記粘着層は、上記フィルタ部材が接着される領域と上記顔面に接着される領域との境界部分に、長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造の連結領域を有する接着テープからなり、上記マスク本体の顔面と相対する面が剥離材により覆われており、この剥離材を除去することにより、上記マスク本体を顔面に装着可能とした紐なしマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関し、特にテープによる貼り付け方式でマスクを顔に対して固定する紐なしマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マスクは、天然繊維・化学繊維の織編物または不織布等を主な本体材料として、口と鼻を覆う形状で、花粉、ホコリなどの粒子が体内に侵入するのを抑制、またかぜなどの咳やクシャミの飛沫が体内外に侵入、飛散するのを抑制することを目的に使用されている。
【0003】
一般的なマスクは、ガーゼや不織布から成るマスク本体の左右縁部からゴム等から成る耳掛け部が延設され、これら左右の耳掛け部を耳に引掛けることにより当該マスク本体を装着者の口及びその近傍(装着者の鼻を含む)を覆うことが可能とされていた。
【0004】
両側にゴム紐がある市販のマスクは、長時間にマスクを付ける必要がある使用者は耳の両側に跡が残ってしまう以外、ゴム紐が抜けやすく、また眼鏡使用者が付ける時に面倒、かつ不快などの欠点がある。そのほか、ゴム紐だけでマスクを顔に付けることは密閉性が低く、空気中の汚れがマスクの周辺より口と鼻に入り込む可能性がある。
【0005】
また、ウイルス等の飛沫が、マスク本体と顔の隙間からマスク本体内部へ侵入又はマスク本体内部から外部へ拡散することを抑制するため、マスク本体の顔と相対する面に対してテープを設けて、マスク本体と顔をテープの粘着力により固定するようにした紐なしマスクが提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【0006】
また、米国労働安全研究所(NIOSH)のN95規格に準拠し、マスク性能として、試験粒子(0.3μm)以上を95%捕集できるN95マスクや日本の国家検定合格使い捨て式防じん規格に準拠したDS2マスクが医療用マスクとして使用されている。N95マスクやDS2マスクなどの医療用マスクは、気密性が必要な為、オーバーヘッドタイプのゴム紐を後頭部で固定することにより装着するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6875653号公報
【文献】実開平03-75758号公報
【文献】実用新案登録3223201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載される紐なしマスクは、マスク周囲に粘着層を有する剥離層(いわゆる両面テープ)が貼られており、テープによりマスクを顔に貼り付けて固定するため、紐が不要な構造となっている。この紐なしマスクでは、外側開口部の開口が外部方向に向いて設けられているため、開口が内部方向(マスク本体の中心方向) に向いて設けられている場合と比較して、剥離材が摘まみ易くなると共に、粘着層がマスク本体から剥がれたり、引き裂かれたりすることを回避することができ、マスク本体の剥離作業と貼付作業の効率がさらに一層向上する。
【0009】
特許文献2に記載される紐なしマスクは、マスク本体の顔と相対する面の周縁に沿うように、途切れることなく粘着と、粘着部のみ或いは粘着部を含めたマスク本体の顔と相対する面の全面を被覆する剥離紙とを設けたものであり、テープの粘着層の上に積層している剥離材を剥がす際に、マスクを顔から離した状態で、マスク本体の周縁のいずれかの位置から剥離材を剥がす必要がある。
【0010】
特許文献3に記載される紐なしマスクは、多層の濾過布部材を有するマスク本体の顔面に相対する面の周辺部に粘着層を形成した複数のテープを設けて顔面に装着可能としたもので、具体的には、マスク本体の上下左右の各縁近傍の位置に当該各縁ごとマスク本体の顔と相対する面に対して、途切れ途切れに複数のテープを設けたものであり、複数のテープについて個々のテープごとに剥離材が粘着層の上に積層されている場合、テープの粘着層の上に積層している剥離材を剥がす際に、マスクを顔から離した状態で、上下左右の各縁近傍の位置に設けた個々のテープの剥離材をそれぞれ一枚ずつ剥がす必要がある。この場合、マスク本体の上縁の中心が顔の中心、即ち鼻背にきちんと沿うように一方の手でマスク本体を押さえて位置決めするのと同時に、他方の手でテープの剥離材を剥がしつつテープ部分を顔に貼付することは困難である。また、手先が不自由な高齢者や爪が短い使用者が、粘着層の上に積層されている剥離材を剥がすことは困難を伴う場合がある。
【0011】
特許文献1の開示技術は、マスク装着時のテープ(粘着層上の被覆層)の剥離作業と顔への貼付作業の効率化を向上させるものである。
【0012】
このように装着のし易さを考慮した構造は多々提案されているが、使用後の取り外しにおいて、飛沫飛散の防止や取り外し易さに着目したマスク構造を有するものではない。
【0013】
ところで、使用後のマスク表面には、細菌やウイルスが付着している虞があり、特に医療現場などでは使用後のマスクに触れた場合に2次感染を起こす虞があり、マスク本体から延設された耳掛け部を有するものであれば、使用後のマスクのフィルタ部分に触れることなく、耳掛け部を持ってマスクを取り外すことができるのであるが、テープによりマスクを顔に貼り付けて固定する紐なしマスクでは、使用後のマスクを取り外す際に、マスクのフィルタ部分に触れてしまう虞が大きいという問題がある。
【0014】
また、近年、コロナ感染のため常時マスクをしなければなくなっており、特に、医療スタッフは、N95マスクやDS2マスクなど、強い圧力をかけて医療用マスクを着用するため頬、鼻に刺激性皮膚炎を起こすことが多くなっている。
【0015】
そこで、本発明は、上述の如き問題点に鑑み、吸気の際における粒子(例えばウイルス、塵、煙、など)の吸入防止や呼気のリーク防止に効果的な3D形状マスクで、使用後に、フィルタ部分に最小限の接触で取り外すことができ、防漏性を高めてもマスクを外すときに苦労しない紐なしマスクを提供するものである。
【0016】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、紐なしマスクであって、装着者の口及び鼻を覆う大きさで、上下の縁を有し、上縁が、装着者の鼻及び頬を横切って延びるように配置され、下縁が、装用者の口の下に延びるように配置されるフィルタ部材を備えるマスク本体と、上記マスク本体の装着者の顔面と相対する面に周縁に沿って全周に亘って設けた上記マスク本体の内部と外部の間の周縁部からの通気を遮断する粘着層と、上記粘着層により上記マスク本体を顔面に装着した状態で、上記マスク本体のフィルタ部材に最小限の接触で上記フィルタ部材を上記顔面から取り外すための取り外し機構とを備え、上記取り外し機構として、上記粘着層は、長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造の片面接着テープからなり、上記マスク本体の顔面と相対する面が剥離材により覆われており、この剥離材を除去することにより、上記マスク本体を顔面に装着可能としたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、紐なしマスクであって、装着者の口及び鼻を覆う大きさで、上下の縁を有し、上縁が、装着者の鼻及び頬を横切って延びるように配置され、下縁が、装用者の口の下に延びるように配置されるフィルタ部材を備えるマスク本体と、上記マスク本体の装着者の顔面と相対する面に周縁に沿って全周に亘って設けた上記マスク本体の内部と外部の間の周縁部からの通気を遮断する粘着層と、上記粘着層により上記マスク本体を顔面に装着した状態で、上記マスク本体のフィルタ部材に最小限の接触で上記フィルタ部材を上記顔面から取り外すための取り外し機構とを備え、上記取り外し機構として、上記粘着層は、上記フィルタ部材が接着される領域と上記顔面に接着される領域との境界部分に、長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造の連結領域を有する接着テープからなり、上記マスク本体の顔面と相対する面が剥離材により覆われており、この剥離材を除去することにより、上記マスク本体を顔面に装着可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明では、装着者の口及び鼻を覆う大きさで、上下の縁を有し、上縁が、装着者の鼻及び頬を横切って延びるように配置され、下縁 が、装用者の口の下に延びるように配置されるフィルタ部材を備えるマスク本体の装着者の顔面と相対する面に周縁に沿って全周に亘って設けた上記マスク本体の内部と外部の間の通気を遮断する粘着層と、上記粘着層により上記マスク本体を顔面に装着した状態で、上記マスク本体のフィルタ部材に最小限の接触で上記フィルタ部材を上記顔面から取り外すための取り外し機構とを備え、上記粘着層は、上記マスク本体の顔面と相対する面が剥離材により覆われており、この剥離材を除去することにより、上記マスク本体を顔面に装着可能としたので、吸気の際における粒子(例えばウイルス、塵、煙、など)の吸入防止や呼気のリーク防止に効果的な立体形状の紐なしマスクを提供することができる。
【0034】
しかも、また、本発明に係る紐なしマスクは、上記粘着層により上記マスク本体を顔面に装着した状態で、上記マスク本体のフィルタ部材に最小限の接触で上記フィルタ部材を上記顔面から取り外すための取り外し機構を備えるので、使用後に上記マスク本体のフィルタ部材に最小限の接触で、飛沫を拡散せずにマスク本体を取り外すことができる。
【0035】
すなわち、本発明によれば、吸気の際にける粒子(例えばウイルス、塵、煙、など)の吸入防止や呼気のリーク防止に効果的な立体形状マスクで、使用後に、フィルタ部材に最小限の接触で取り外すことができ、防漏性を高めてもマスクを外すときに苦労しない紐なしマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る紐なしマスクの外観斜視図である。
【
図2】
図2の(A),(B)は、上記紐なしマスクにおけるマスク本体の形状を示す側面図であり、(A)はマスク本体の基本形状を示し、(B)はマスク本体の前縁部の変形例の形状を示している。
【
図3】
図3の(A),(B),(C),(D)は、線と曲線の組み合わせによるマスク本体の外形形状の各例を示すマスク本体を構成するフィルタ部材の側面図である。
【
図4】
図4の(A),(B)は、扇型形状の2辺の直線部分を曲線にしたフィルタ部材の側面図である。
【
図5】
図5の(A),(B)は、 上下方向に展開可能な複数のプリーツをフィルタ部材に折り込んだマスク本体の説明に供する図であり、(A)は複数のプリーツが放射状に折り込まれたフィルタ部材からなるマスク本体の側面図であり、(B)は、複数のプリーツが水平方向に折り込まれたフィルタ部材からなるマスク本体の側面図である。
【
図6】
図6の(A),(B)は、 複数のプリーツが水平方向に折り込まれたフィルタ部材の説明に供する図であり、(A)はフィルタ部材の展開図、(B)はフィルタ部材の正面図である。
【
図7】
図7の(A),(B)は、本発明に係る紐なしマスクに備えられる接着層の構造を示す図であり、(A)は片面接着テープを用いた接着層の構造を拡大して模式的に示す斜視図であり、(B)は上記接着層を介してマスク本体を顔面に装着した状態を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8の(A),(B)は、本発明に係る紐なしマスクに備えられる接着層の構造を示す図であり、(A)は両面接着テープを用いた接着層の構造を拡大して模式的に示す斜視図、(B)は上記接着層を介してマスク本体を顔面に装着した状態を模式的に示す側面図である。
【
図9】
図9の(A),(B),(C),(D),(E),(F)は、上記マスク本体のフィルタ部材に最小限の接触で上記フィルタ部材を上記顔面から取り外すための取り外し機構として上記マスク本体に設けられた把持部の各種形状を示す側面図である。(A)はリボン状の把持部の一例を示し、(B)はリボン状の把持部の他の例を示し、(C)はT字状の把持部の一例を示し、(D)はT字状の把持部の他の例を示し、(E)は足長のT字状部材を用いたT字状の把持部を示し、(F)は足長のT字状部材を用いたT字状の把持部を示している。
【
図10】
図10の(A),(B),(C),(D)は、本発明に係る紐なしマスクの具体例を示す図であり、(A)はマスク本体を閉じた状態の紐なしマスクの側面図、(B)はマスク本体を開いた状態の紐なしマスクの外観斜視図、(C)はマスク本体を開いた状態の紐なしマスクの正面図、(D)はマスク本体を開いた状態の紐なしマスクの内側を示す背面図である。
【
図11】
図11の(A),(B),(C),(D)は、上記具体例の紐なしマスクを顔面に装着する手順を示す斜視図である。
【
図12】
図12の(A),(B)は、顔面にフィットする立体形状を保持するために必要な顔面形状のプロファアイル上での重要な位置の説明に供する図であり、(A)は顔面の正面図、( B)は顔面の側面図ある。
【
図13】
図13の(A),(B),(C),(D)は、上記具体例の紐なしマスクを顔面に装着した状態を示す図であり、(A)は頭部模型に装着した紐なしマスクの正面図、(B)は頭部模型に装着した紐なしマスクの左側下方から見た側面図、(C)は頭部模型に装着した紐なしマスクの左側上方から見た側面図、(D)は頭部模型に装着した紐なしマスクの左側から見た側面図である。
【
図14】
図14の(A),(B)は、顔面に貼着された上記具体例の紐なしマスクマスクの取り外し作業の手順の説明に供する図であり、(A)は取り外し作業の第1段階を示し(B)は取り外し作業の第2段階を示している。
【
図15】
図15の(A),(B)は、フィルタを顔面に貼り付ける粘着層として、複数の接着テープを使用する方法を示す説明に供する図であり、(A)はマスク本体の斜視図であり、粘着層として2本の接着テープが使用されており、鼻と顎の部分で接着テープを折り曲げている。(B)は、接着テープを粘着層として8枚使用したマスク本体の斜視図である。(A),(B)ともに、丸で囲んだ部分は接着テープを分割できる箇所を示しており、接着テープの分離開始部を設置できる場所を示している。
【
図16】
図16は、紐なしマスクの接着層として用いられる連結領域を有する接着テープの模式的な平面図である。
【
図17】
図17は、接着テープの連結領域に長手方向に沿って連続して又は不連続に一条の分離用溝条部が設けられ、連結領域の長手方向の一端に、分離開始部として長手方向に長尺なスリットが形成された接着テープの構成例を示す模式的な平面図である。
【
図18】
図18は、長手方向の一端に分離開始部として長手方向に長尺なスリットが形成された接着テープを採用したマスク本体における上記スリットの機能の説明に供するマスク本体の斜視図と一部拡大図である。
【
図19】
図19は、長手方向に沿って設けた互いに平行な2本の分離用溝条部の間を引き裂き経路とした連結領域を有する接着テープと一端から延設されたリボン状の把持部が形成されていることを特徴とする構成例を示す模式的な平面図である。
【
図20】
図20は、上記2本の分離用溝条部の間を引き裂き経路とした連結領域を有する接着テープを採用したマスク本体における上記引き裂き経路と延設されたリボン状の把持部の機能の説明に供するマスク本体の斜視図と一部拡大図である。
【
図21】
図21は、引き裂きテープにて引き裂き経路を形成した連結領域を有する接着テープと連結領域の長手方向の一端に分離開始部として長手方向に長尺な二条のスリットと長手方向に長尺なリボン状の把持部と他端まで連続した引き裂きテープ部の構成例を示す模式的な平面図である。
【
図22】
図22は、連結領域の長手方向の一端に、分離開始部として長手方向に長尺なスリットと長手方向に沿って引き裂き容易な配向フィルムからなる連結領域を有する接着テープの構成例を示す模式的な平面図である。
【
図23】
図23は、連結領域の長手方向の一端に、分離開始部として長手方向に長尺な二条のスリットと長手方向に延設されたリボン状の把持部および長手方向に沿って引き裂き容易な配向フィルムからなる連結領域を有する接着テープの他の構成例を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る紐なしマスク100の外観斜視図である。
【0039】
この紐なしマスク100は、略扇型形状の2枚のフィルタ部材1L,1Rを重ねた状態で弧部2(2L,2R)を全長に亘って連結密閉してなるマスク本体10を備え、該マスク本体10の顔面と相対する面に上記略扇型形状の直線部3L1,3L2,3R1,3R2により形成される周縁3に沿って全周に亘って上記マスク本体10の内部と外部の間の通気を遮断する粘着層20(20A,20B)が設けられている。
【0040】
この紐なしマスク100のマスク本体10は、その基本形状を
図2の(A)に示すように、中心角θが略60°の略扇型形状の2枚のフィルタ部材1L,1Rを重ねた状態で弧部2(2L、2R)を全長に亘って連結密閉してなる。
【0041】
ここで、マスク本体10の形状は、扇型形状でなくてもよく、
図2の(B)に破線で示すように、弧部2(2L,2R)の形状を曲率の異なる円弧2aや放物線の一部2b,2cとするなど、2辺が直線で、1辺が外側に湾曲した弧をもつ略扇型形状とすることができる。
【0042】
また、略扇型形状のマスク本体10の中心角θは、60°以外の角度としてもよい。
【0043】
すなわち、この紐なしマスク100のマスク本体10は、弧部2の形状と中心角θを変えることにより、使用者の顔面の立体形状に合わせてフィットする各種立体形状の紐なしマスクを実現することができる。
【0044】
この紐なしマスク100は、上記2枚のフィルタ部材1L,1Rが略扇型形状の不織布からなり、マスク本体10を折り畳むと略扇型の形状で、上記2枚のフィルタ部材1L,1Rにしわが寄らない。不織布等からなる2枚のフィルタ部材1L,1Rの連結には、例えば、超音波溶着による接合、ミシン糸等による縫合、ホットメルト接着剤等による接着、ヒートシール、その他の各種接合技術を適用することができる。
【0045】
また、上記粘着層20は、片面又は両面に接着層を有する2本の接着テープ20A,20Bからなる。
【0046】
すなわち、上記マスク本体10は、その周縁部を上下2本の直線状の接着テープ20A,20Bで囲うことができる略扇型形状となっている。
【0047】
また、この紐なしマスク100における上記粘着層20(20A,20B)は、上記マスク本体10の顔面と相対する面が剥離材24L,24Rにより覆われており、この剥離材24L,24Rを除去することにより、上記マスク本体10を顔面に装着可能とする。
【0048】
また、この紐なしマスク100のマスク本体10には、把持部30L,30Rが上記略扇型形状のフィルタ部材1(1L,1R)の中心部近傍に設けられている。把持部30L,30Rは、後述する
図9の(A),(B),(C),(D),(E),(F)に示すように、直線テープ状部材やT字状部材からなり、マスク本体10の左右に配置され、着脱時の把持手段として機能する。
【0049】
すなわち、上記略扇型形状のフィルタ部材1(1L,1R)の中心部近傍に設けられた把持部30L,30Rは、上記粘着層20により上記マスク本体10を顔面に装着した状態で、上記マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で上記フィルタ部材1(1L,1R)を上記顔面から取り外すための取り外し機構として機能する。
【0050】
さらに、この紐なしマスク100のマスク本体10には、上記2枚のフィルタ部材1L,1Rの各中心部近傍から弧部2(2L,2R)の頂部に向かって延びた棒状の2本の補強部材40L,40Rが設けられている。
【0051】
上記2本の補強部材40L,40Rは、上記2枚のフィルタ部材1L,1Rの顔面と相対する面に設けられた幅1mm程度のプラスチックや金属の棒状部材からなり、後述するように、拡開された上記2枚のフィルタ部材1L,1Rによる立体形状を保持し、上記2枚のフィルタ部材1L,1Rの呼吸(吸込み時)によってマスクの形が崩れるのを防止することができる。
【0052】
ここで、上記マスク100のマスク本体10の形状は、略扇型形状としたが、
図3の(A)に示すように扇型形状の中心側を切り取った形状のフィルタ部材1A、
図3の(B)に示すように円弧の一部を直線にした形状のフィルタ部材1B、
図3の(C),(D)に示すように円弧を複数の直線で近似した形状のフィルタ部材1C、1Dなど、線と曲線の組み合わせによる任意の外形を有するフィルタ部材を採用してマスク本体10を構成することができる。
【0053】
さらに、
図4の(A),(B)に示すように扇型形状の2辺の直線部分を曲線にしたフィルタ部材1E、1Fを採用してマスク本体10を構成することも可能である。フィルタ部材1E、1Fの外周部分に折り目を設けておくこともできる。
【0054】
マスク本体10のフィルタ部材1は、上下方向に展開可能な複数のプリーツを折り込んだものとすることができる。
【0055】
例えば、
図5の(A)に示すマスク本体10Aのように、扇型形状のフィルタ部材1Gに上下方向に展開可能な複数のプリーツ11Aを放射状に折り込んでおくことができる。このマスク本体10Aは、複数のプリーツ11Aを折り畳んだ状態のフィルタ部材1の周縁に沿って全周に亘って折り目が設けられている。
【0056】
また、
図5の(B)に示すマスク本体10Bのように、上下方向に展開可能な複数のプリーツ11Bが水平方向に折り込まれたフィルタ部材1Hからなるものとすることができる。このマスク本体10Bは、複数のプリーツ11Bを折り畳んだ状態のフィルタ部材1Hの周縁に沿って全周に亘って熱圧着や超音波溶着によりリークプルーフ処理が施された状態で内部と外部の間の通気を遮断する粘着層20(20A,20B)が設けられている。
【0057】
上記マスク本体10Bは、
図6の(A)に展開図を示すような形状の一枚のフィルタ部材1Hを畳むことにより、
図6の(B)に示すように上下方向に展開可能な複数のプリーツ11Bが水平方向に折り込まれた菱形形状のフィルタ部材1Hからなる。なお、
図6の(A)に展開図において、一点鎖線は山折り線を示し、破線は谷折り線を示している。
【0058】
このように複数のプリーツ11Aを折り畳んだ マスク本体10A ,10Bは、使用時に、口元を動かし易い。
【0059】
また、上記2本の接着テープ20A,20Bには、それぞれ 上記フィルタ部材1(1L,1R)が接着される領域と使用者の顔面に接着される領域との境界部分が長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造の片面接着テープ又は両面接着テープを用いることができる。
【0060】
図7の(A),(B)は、上記紐なしマスク100における粘着層20として用いられる片面接着テープ20Sの構造とマスク本体10の装着の装着状態の説明に供する図であり、(A)は片面接着テープ20Sの斜視図であり、(B)はマスク本体10の装着の装着状態を示す側面図である。
【0061】
片面接着テープ20Sは、
図7の(A)に示すように、粘着剤層21が片面に形成された基材層22からなり、顔面50に接着される粘着剤層21の領域が第1の剥離材24Aにより被覆されている。また、上記基材層22の表面は第2の剥離材24Bにより被覆されている。
【0062】
この片面接着テープ20Sは、例えば、基材層22が長手方向に裂けて幅方向に分割容易な一配向フィルムからなり、上記フィルタ部材1(1L,1R)が接着される領域と使用者の顔面に接着される領域との
図7の(A)に破線にて示す境界部分が長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造となっている。
【0063】
フィルタ部材1(1L,1R)が粘着剤層21に接合された片面接着テープ20Sは、上記剥離材24Aを剥がして除去することにより、上記剥離材24Aが除去された領域の粘着剤層21を顔面50に貼付けることができ、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)が粘着剤層21に接合された紐なしマスク100を、
図7の(B)に示すように、顔面50に装着可能とする粘着層20として用いることができる。
【0064】
なお、上記基材層22の表面を覆う第2の剥離材24Bは、上記剥離材24Aを剥がして紐なしマスク100を顔面50に装着する際に上記基材層22が破損されるのを防止する保護部材として機能し、マスク取付けの後捨てられる。
【0065】
上記フィルタ部材1(1L,1R)が接着される領域と使用者の顔面に接着される領域との境界部分が長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造の片面接着テープ20Sにより顔面50に貼付けられたマスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)は、上記マスク本体10の上記把持部30L,30Rを把持することにより、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、フィルタ部材1(1L,1R)のみを剥がして取り外すことができる。
【0066】
また、
図8の(A),(B)は、上記粘着層20として用いられる両面接着テープ20Wの構造と上記マスク本体10の装着の装着状態の説明に供する図であり、(A)は両面接着テープ20Wの構造を拡大して模式的に示す斜視図であり、(B)は上記マスク本体10の装着の装着状態を示す側面図である。
【0067】
両面接着テープ20Wは、
図8の(A)に示すように、フィルタ部材1(1L,1R)に接合される第1の粘着剤層21と、基材層22と、第2の粘着剤層23とがこの順に積層されており、上記第1の粘着剤層21の粘着力は、上記第2の粘着剤層23の粘着力よりも弱く、上記第2の粘着剤層23が剥離材24により被覆されている。
【0068】
この両面接着テープ20Wは、上記剥離材24を剥がして除去することにより、上記第2の粘着剤層23を顔面50に貼付けることができ、
図8の(B)に示すように、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)が第1の粘着剤層21に接合された紐なしマスク100を顔面50に装着可能とする粘着層20として用いることができる。
【0069】
そして、この両面接着テープ20Wは、上記第1の粘着剤層21の粘着力が上記第2の粘着剤層23の粘着力よりも弱いので、顔面50に装着されたマスク本体10の上記把持部30L,30Rを把持することにより、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、フィルタ部材1(1L,1R)のみを剥がして取り外すことができる。
【0070】
図9の(A),(B),(C),(D),(E),(F)は、上記マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で上記フィルタ部材1(1L,1R)を上記顔面50から取り外すための取り外し機構として上記マスク本体に設けられた把持部30L,30Rの各種形状を示す側面図である。(A)は直線テープ状部材を用いたリボン状の把持部30Aを示し、(B)は直線テープ状部材を用いたリボン状の把持部30Bを示し、(C)はリボン状部が延設されたT字状部材を用いたT字状の把持部30Cを示し、(D)はT字状部材を用いたT字状の把持部30Dを示し、(E)は足長のT字状部材を用いたT字状の把持部30Eを示し、(F)は足長のT字状部材を用いたT字状の把持部30Fを示している。
【0071】
図9の(A)に示す直線テープ状部材を用いたリボン状の把持部30Aは、一端が上記略扇型形状のフィルタ部材1(1L,1R))の中心部近傍に接合されており、外側に延びた他端側を把持することにより、上記マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、上記マスク本体10を取り扱うことのできる把持手段として機能する。
【0072】
また、
図9の(B)に示す直線テープ状部材を用いたリボン状の把持部30Aは、一端が上記略扇型形状のフィルタ部材1(1L,1R)の中心部近傍に接合されており、内側に延びた他端側を把持することにより、上記マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、上記マスク本体10を取り扱うことのできる把持手段として機能する。
【0073】
さらに、
図9の(C),(D),(E),(F)に示すT字状部材を用いたT字状の把持部30C,30D,30E,30Fは、それぞれ3つの端部が上記略扇型形状のフィルタ部材1(1L,1R)の中心部近傍に接合されており、T字状部を把持することにより、上記マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R))に最小限の接触で、上記マスク本体10を取り扱うことのできる把持手段として機能する。
【0074】
次に、
図10の(A),(B),(C),(D)は、本発明に係る紐なしマスクの具体例を示す図であり、(A)はマスク本体10を閉じた状態の紐なしマスク100Aの側面図、(C)はマスク本体10を開いた状態の紐なしマスクマスク100Aの外観斜視図、(B)はマスク本体10を開いた状態の紐なしマスクマスク100Aの正面図、(D)はマスク本体10を開いた状態の紐なしマスクマスク100Aの内側を示す背面図である。
【0075】
この紐なしマスクマスク100Aは、略扇型形状のフィルタ部材1(1L,1R)の中心部近傍に接合されたT字状の把持部30CL,30CRをマスク本体10の左右を備え、T字状部を把持することにより、上記マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、上記マスク本体10を取り扱うことができるようになっている。
【0076】
この紐なしマスクマスク100Aは、
図11の(A),(B)に示すように、マスク本体10の左右を備えるT字状の把持部30CL,30CRを親指と人差し指で把持することにより、上記マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、上記マスク本体10を拡開して、
図11の(C),(D)に示すように、上記マスク本体10を顔面50に押し当てることにより、上記マスク本体10の周縁3に沿って全周に亘って設けられた粘着層20(20A,20B)が顔面50に貼り付き、上記マスク本体10が顔面50に貼着される。
【0077】
このようにして顔面50に貼着された上記マスク本体10は、上記マスク本体10の周縁3に沿って全周に亘って設けられた粘着層20(20A,20B)が顔面50に貼り付けられることにより、
図12の(A),(B)に示すように、上記略扇型形状のフィルタ部材1(1L,1R)の外周縁をなす直線部分の4つの交点P1,P2,P3,P4が顔面形状のプロファアイル上で重要な鼻の上部位置P1、顎の右側位置P2、顎の下側位置P3、顎の左側位置P4に対応して固定されることにより、顔面50にフィットする立体形状を保持することができる。
【0078】
さらに、この紐なしマスク100Aは、上述の如く上記2枚のフィルタ部材1L,1Rの各中心部近傍から弧部2(2L,2R)の頂部に向かって延びた棒状の2本の補強部材40L,40Rがマスク本体10に設けられているので、顔面50に貼り付けられたマスク本体10は、拡開された2枚のフィルタ部材1L,1Rによる立体形状を適正に保持することができ、上記2枚のフィルタ部材1L,1Rの頂部位置P5が呼吸(吸込み時)によって移動することなく、マスクの形が崩れるのを防止することができる。
【0079】
図13の(A),(B),(C),(D)は、上記具体例の紐なしマスク100Aを装着した状態を示す図であり、(A)は頭部模型に装着した紐なしマスク100Aの正面図、(B)は頭部模型に装着した紐なしマスク100Aの左側下方から見た側面図、(C)は頭部模型に装着した紐なしマスク100Aの左側上方から見た側面図、(D)は頭部模型に装着した紐なしマスク100Aの左側から見た側面図である。
【0080】
この紐なしマスク100Aにおけるマスク本体10のフィルタ部材1は、装着者の口及び鼻を覆う大きさで、上下の縁を有し、上縁が、装着者の鼻及び頬を横切って延びるように配置され、下縁 が、装用者の口の下に延びるように配置される。
【0081】
このようにして顔面50に貼着された上記マスク本体10は、上記粘着層20(20A,20B)により、上記マスク本体10の周縁3における上記マスク本体10の内部と外部の間の通気を確実に遮断することができる。
【0082】
次に、
図14の(A),(B)は、顔面50に貼着された上記具体例の紐なしマスクマスク100Aの取り外し作業の手順の説明に供する図であり、(A)は取り外し作業の第1段階を示し、(B)は、取り外し作業の第2段階を示している。
【0083】
すなわち、この紐なしマスクマスク100Aの取り外し作業の第1段階では、顔面50に貼着されたマスク本体10の左右に設けられている把持部30CL,30CRの一方を親指と人差し指で把持することにより、マスク本体10のフィルタ部材1L,1Rに最小限の接触で、フィルタ部材1L,1Rのみを顔面50にから引き剥がして取り除くことができる。
図14の(A)には、顔面50に貼着されたマスク本体10の左側に設けられている把持部30CLを親指と人差し指で把持してフィルタ部材1L、フィルタ部材1Rの順に顔面50にから引き剥がされる例が示されている。
【0084】
取り外し作業の第2段階では、上記取り外し作業の第1段階でマスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)のみが取り除かれて顔面50に残存する粘着層20(20A,20B)の一端を親指と人差し指で把持して顔面50にから引き剥がして除去する。
図14の(B)には、テープ部材20Aを一端を親指と人差し指で把持して顔面50にから引き剥がしている状態が示されている。
【0085】
このように、顔面50にマスク本体10が貼着された紐なしマスクマスク100Aは、上記第1段階と第2段階の2段階の取り外し作業により、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、顔面50から取り除くことができる。
【0086】
ここで、本発明に係る紐なしマスク100では、上述の如く片面又は両面に接着剤層21,23を有する2本の接着テープ20A,20Bからなる粘着層20を備えることにより、マスク本体10を使用者の顔面50に貼着して、上記マスク本体10の周縁3における上記マスク本体10の内部と外部の間の通気を確実に遮断することができ、上記第1段階と第2段階の2段階の取り外し作業により、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、顔面50から取り除くことができる。
【0087】
本発明に係る紐なしマスク100,100Aにおいて、上記粘着層20は、上記フィルタ部材1(1L,1R)が接着される領域と上記顔面50に接着される領域と境界部分に、長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造の連結領域を有する2本の接着テープ20A,20Bからなるものとすることができ、これにより、上記取り外し作業の第1段階において、上記連結領域が長手方向に裂けて、上記フィルタ部材1(1L,1R)が接着された上記粘着層20の領域と上記顔面50に接着された上記粘着層20の領域とが分離され、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、顔面50からフィルタ部材1(1L,1R)のみを簡単に取り除くことができる。
【0088】
ここで、上述の如く、略扇型形状の2枚のフィルタ部材1L,1Rを重ねた状態で弧部2(2L、2R)を全長に亘って連結密閉してなるマスク本体10の場合、略扇型形状の直線部3L
1,3L
2,3R
1,3R
2により形成される周縁3に沿って全周に亘って囲う上下2本の直線状の接着テープ20A,20Bは、上記マスク本体10の内部と外部の間の通気を遮断する粘着層20として機能させることができ、
図15の(A)に示すように、略扇型形状の二辺の各両端に位置する端部に、分離開始部用の分割部分31AR,31ALを形成しておくことにより、接着テープの分離開始部を設置する可能性があるので、上記取り外し作業の第1段階において、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)のみを簡単に取り除くことができ、鼻と顎の部分では接着テープを折り曲げている。
【0089】
また、上記上下2本の直線状の接着テープ20A,20Bをそれぞれ複数に分割してもよく、例えば、
図15の(B)に示すマスク本体10Cのように、上記上下2本の直線状の接着テープ20A,20Bを4分割テープ20AR
1(20AL
1),20AR
2,(20AL
2)と4分割テープ20BR
1(20BL
1),20BR
2,(20AL
2)にして、接着テープの各両端に位置する端部に、分離開始部用の分割部分31AR
1(31AL
1),31AR
2,(31AL
2)に長尺なスリットまたは把持部を形成することもできる。また、略扇型形状の二辺の各中央に位置する分割部分に接着テープの分離開始部32AR
1(32AL
1),32BR
1,(32BL
1)を形成することもできる。
【0090】
また、長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造の連結領域を有する接着テープ20A,20Bには、例えば
図16に示す接着テープ201のように、上記フィルタ部材1が接着された接着剤層21Aの領域AR1と上記顔面50に接着される粘着剤層20Bの領域AR2との境界部分に連結領域AR3有し、この連結領域AR3に長手方向に沿って連続して又は不連続に設けられた引き裂き経路28を有するものを用いることができる。
【0091】
ここで、上記接着テープ201は、
図16に破線にて示すように、上記引き裂き経路28を有する連結フィルム26を備えるものであっても良い。
【0092】
上記連結フィルム26は、上記フィルタ部材1が接着される第1の接続領域AR1と、上記連結領域AR3と、上記顔面50に接着される領域AR2に接着される接続領域AR4を有し、少なくとも上記接続領域AR1に上記フィルタ部材1が接着される接着剤層21Aが形成されている。
【0093】
なお、上記連結フィルム26の全ての領域AR1、AR3、AR4に接着剤層が形成されていてもよい。
【0094】
すなわち、上記マスク100,100Aにおける上記粘着層20は、上記フィルタ部材1が接着される接着剤層21Aが形成された第1の接続領域AR1と、上記連結領域AR3と、上記顔面50に接着される領域AR2に接着される第2の接続領域AR4を有する連結フィルム26と、上記顔面50に接着される領域AR2を有する接着テープ201とからなるものとすることができる。
【0095】
この接着テープ201は、連結領域AR3に引き裂き経路28が設けられていることにより、連結領域AR3が長手方向に裂けて、幅方向に容易に2分割することができる。
【0096】
したがって、この接着テープ201を2本の接着テープ20A,20Bに用いることにより、上記取り外し作業の第1段階において、上記連結領域AR3が長手方向に裂けて、上記フィルタ部材1(1L,1R)が接着された上記接着剤層21Aの領域AR1と上記顔面50に接着された上記粘着剤層21Bに2分割して、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)に最小限の接触で、顔面50からフィルタ部材1(1L,1R)のみを簡単に取り除くことができる。
【0097】
長手方向に裂けて幅方向に分割容易な構造の連結領域を有する接着テープ20A,20Bには、例えば
図17に示す接着テープ201Aのように、上記フィルタ部材1が接着された接着剤層21Aの領域AR1と上記顔面50に接着される粘着剤層20Bの領域AR2との境界部分に連結領域AR3有し、この連結領域AR3に長手方向に沿って連続して又は不連続に設けられた分離用溝条部25を有するものを用いることができる。
【0098】
ここで、上記接着テープ201には、例えば
図17に示す接着テープ201Aのように、上記接着テープ201における連結領域AR3の長手方向の一端に、分離開始部として長手方向に長尺なスリット27が形成された構造を採用することができる。
【0099】
このスリット27が形成された接着テープ201Aでは、上記スリット27が分離開始部として機能し、上記スリット27の部分から、上記分離用溝条部25に沿った引き裂き経路28より簡単に裂けて幅方向に2分割することができる。
【0100】
このスリット27が形成された接着テープ201Aを上記2本の接着テープ20A,20Bとして採用したマスク本体10では、
図18に示すように、略扇型形状の二辺の各両端に位置する端部に分離開始部用の分割部分31AR,31ALの近傍に上記スリット27が形成されることにより、上記スリット27の部分から上記分離用溝条部25に沿ってより簡単に裂けて幅方向に2分割することができ、上記取り外し作業の第1段階において、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)のみを簡単に取り除くことができる。
【0101】
また、例えば
図19に示す接着テープ201Bのように、上記接着テープ201における連結領域AR3に長手方向に沿って互いに平行な2本の分離用溝条部25A,25Bを設けて上記2本の分離用溝条部25A,25Bに沿った引き裂き経路28A,28Bを有するものとし、上記2本の分離用溝条部25A,25Bの間を引き裂き部29とし、その長手方向の一端から分離開始部として長手方向に延びた糸状把持部29Aを備える構造としてもよい。
【0102】
この糸状把持部29Aが延設された引き裂き経路28を備える接着テープ201Bでは、上記糸状把持部29Aが分離開始部として機能し、上記糸状把持部29Aの部分から上記引き裂き部29を上記引き裂き経路28A,28Bに沿って引き裂いて取り除くことにより、結領域AR3が簡単に裂けて幅方向に2分割することができる。
【0103】
上記2本の分離用溝条部25A,25Bの間を引き裂き引き裂き部29とした接着テープ201Bを上記2本の接着テープ20A,20Bとして採用したマスク本体10では、
図20に示すように、略扇型形状の二辺の各両端に位置する端部に初期カット用の尾部31AR,31ALの近傍に上記糸状把持部29Aが形成されることにより、上記糸状把持部29Aの部分から、上記引き裂き経路28A,28Bに沿って結領域AR3が簡単に裂けて幅方向に2分割することができ、上記取り外し作業の第1段階において、マスク本体10のフィルタ部材1(1L,1R)のみを簡単に取り除くことができる。
【0104】
さらに、例えば
図21に示す接着テープ201Cのように、上記接着テープ201Bにおける2本の分離用溝条部25A,25Bの間の引き裂き部29を引き裂きテープ29Bにて形成し、上記接着テープ201における連結領域AR3の長手方向の一端における上記引き裂きテープ29Bの両側に分離開始部として長手方向に長尺な2本のスリット27A,27Bを形成するとともに、上記引き裂きテープ29Bを糸状把持部29Aまで延設した構造としてもよい。
【0105】
この接着テープ201Cは、上記2本のスリット27A,27Bと糸状把持部29Aが離開始部として機能し、上記糸状把持部29Aを把持して上記引き裂きテープ29Bを一端側から引っ張ることにより、上記引き裂きテープ29Bに沿って連結領域AR3が簡単に裂けて、幅方向に2分割することができる。
【0106】
図22に示すように、上記2本の接着テープ20A,20Bの各連結領域AR3は、長手方向に沿って引き裂き容易な配向フィルムからなるものとすることにより、上記分離用溝条部25,25A,25Bや引き裂きテープ29Bを必要とすることなく、一端からその長手方向に裂けて幅方向に2分割することができる。
【0107】
すなわち、上記接着テープ201A,201B,201Cは、上記連結領域AR3を長手方向に沿って引き裂き容易な配向フィルムからなるものとするにより、例えば、
図22に示す接着テープ201Dや
図23に示す接着テープ201Eのように、一端から長手方向に裂けて、幅方向に2分割することができる。
【0108】
図22に示す接着テープ201Dは、上記接着テープ201Aにおける連結領域AR3に分離用溝条部25設けることなく、長手方向に沿って引き裂き容易な一配向フィルム26Aにて上記連結領域AR3構成したものである。
【0109】
この接着テープ201Dは、連結領域AR3が手方向に沿って引き裂き容易な一配向フィルム26Aにて構成されているので、上記接着テープ201Aと同様に、スリット27の部分から、長手方向に沿って簡単に裂けて、幅方向に2分割することができる。
【0110】
また、
図23に示す接着テープ201Eは、上記接着テープ201Cにおける連結領域AR3に分離用溝条部25A,25B及び引き裂きテープ29Bを設けることなく、長手方向に沿って引き裂き容易な一配向フィルム26Aにて上記連結領域AR3を構成したものである。
【0111】
この接着テープ201Eは、連結領域AR3が手方向に沿って引き裂き容易な一配向フィルム26Aにて構成されているので、上記接着テープ201Cと同様に糸状把持部29Aを把持して引っ張ることにより、上記連結領域AR3が長手方向に沿って簡単に裂けて、幅方向に2分割することができる。
【0112】
上記接着テープ201D,201Eは、
図22、
図23に破線にて示すように、一配向フィルム26Aを用いた連結フィルム26を備えるものであっても良いが、一配向フィルム26Aにて構成された基材層を有する片面又は両面の接着テープであれば、連結フィルムを必要としない。
【符号の説明】
【0113】
1(1L,1R),1A~1H フィルタ部材、2(2L,2R) 弧部、3 周縁、3L1,3L2,3R1,3R2 略扇型形状の直線部、10,10A,10B マスク本体、11A,11B プリーツ、20 粘着層、20A,20B,201,201A,201B,201C,201D,201E 接着テープ、20S 片面接着テープ、20W 両面接着テープ、20AR1,20AL1,20AR2,20AL2,20BR1,20BL1,20BR2,20AL2 4分割テープ、21,21A,21B,23 粘着剤層、22 基材層、24,24L,24R,24A,24B 剥離材、25,25A,25B 分離用溝条部、26 連結フィルム、26A 一配向フィルム、27,27A,27B スリット、28,28A,28B 引き裂き経路、29 引き裂き部、29A 糸状把持部、29B 引き裂きテープ、30L,30R,30A~30F 把持部、31AR,31BR,31AL,31BL,31AR1,31BR1,31BL1,31AL1,31AR2,31AL2 ,31BR2,31BL2,32AR1(32AL1),32BR1,(32BL1) 分割部分、40L,40R 補強部材、50 顔面、100,100A 紐なしマスク、