(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】リハビリ装置
(51)【国際特許分類】
A63B 21/16 20060101AFI20241107BHJP
A63B 22/06 20060101ALI20241107BHJP
A63B 21/22 20060101ALI20241107BHJP
A63B 22/12 20060101ALI20241107BHJP
A63B 23/035 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A63B21/16
A63B22/06
A63B21/22
A63B22/12
A63B23/035
(21)【出願番号】P 2024070450
(22)【出願日】2024-04-24
【審査請求日】2024-04-24
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】524158243
【氏名又は名称】睿▲徳▼輔具股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100217434
【氏名又は名称】万野 秀人
(72)【発明者】
【氏名】シュイ ロイ ミン
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-109072(JP,A)
【文献】特開2011-217993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/004538(US,A1)
【文献】台湾特許出願公開第202106274(TW,A)
【文献】中国特許出願公開第111346343(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113274254(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114272081(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
A61H 1/00- 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に設置されて使用者が載せられるキャリアを跨るように用いられるリハビリ装置であって、
前記設置面に移動可能に構成されると共に、前記キャリアを跨る際に前記キャリアの両側にそれぞれ位置し、且つ、前記設置面に直交する高さ方向に沿って延伸する2本の縦柱と、前記高さ方向に直交する幅方向に沿って前記2本の縦柱の間に接続されると共に、前記2本の縦柱に対して前記高さ方向における位置が上限位置と下限位置との間に調整可能、且つ、前記キャリアを跨る際に前記キャリアの上方に位置する横枠とを有する横枠手段と、
前記幅方向に沿って前記横枠手段の前記横枠に対し移動可能に前記横枠に取り付けられるコネクターと、
揺動可能に前記コネクターに接続されると共に、前記キャリアに乗せられる使用者が操作してリハビリテーションを行えるように構成されたリハビリ手段と、を備え、
仰向けの状態で前記キャリアに乗せられる使用者が両足で前記リハビリ手段を操作し、もしくは座った状態で前記キャリアに乗せられる使用者が両手で前記リハビリ手段を操作することができる
リハビリ装置。
【請求項2】
各前記縦柱はいずれも上方に向かって開口する中空通路を画成する内表面を有するように中空に形成されており、
前記横枠は前記高さ方向に沿って延伸して2つの前記縦柱それぞれが有する前記中空通路内にそれぞれ挿入する2つの可動管部と、前記幅方向に沿って延伸するように2つの前記可動管部の間に接続される横管部と、を有するように構成される上、前記横管部の外表面において上側と下側にそれぞれ向かって開口するように形成される2本のレール溝を有しており、
前記コネクターは、前記横管部の前記外表面に沿って摺動可能に装着される少なくとも1つのスリーブと、対応する1つの前記レール溝内に嵌め込める形状に形成された上係合部材と、前記少なくとも1つのスリーブに螺合することで、前記上係合部材を前記横管部に押し当てるきつさを調整可能な螺合部材と、を有する、
請求項1に記載のリハビリ装置。
【請求項3】
前記コネクターは、前記スリーブを上下1つずつ有すると共に、2つの前記スリーブの間に前記幅方向に沿って延伸する通過孔が形成されており、また、2つの前記スリーブにおける1つに前記螺合部材が螺合し、他の1つのスリーブの内表面には、対応する1つの前記レール溝内に嵌め込める形状に形成された下係合部材が配置され、前記下係合部材と前記上係合部材はそれぞれ1つの前記レール溝に対応して嵌め込まれるように構成される、
請求項2に記載のリハビリ装置。
【請求項4】
前記上係合部材は互いの方向が反対する斜面を2つ有し、前記下係合部材は前記幅方向に沿って間を開けて且つ互いの方向が反対する2つの対応斜面を有し、
各前記斜面の前記横管部に当たる摩擦力は、前記螺合部材が対応する1つの前記スリーブに螺合する深さに正の相関がある、
請求項3に記載のリハビリ装置。
【請求項5】
前記リハビリ手段は、負荷を提供する負荷機構と、前記負荷機構に連動するように接続するリハビリ操作部とを有し、
前記キャリアに乗せられる使用者は両手もしくは両足を用いて前記負荷機構が提供する負荷に対抗して前記リハビリ操作部を動かすことでリハビリテーションを行う、
請求項2に記載のリハビリ装置。
【請求項6】
前記リハビリ手段の前記リハビリ操作部は、前記負荷機構に連動するように接続する1対のペダルと、前記ペダルに接続する1対のハンドル付きロープと、を有する、
請求項5に記載のリハビリ装置。
【請求項7】
前記リハビリ手段は、1対の滑車機構を更に有し、各前記滑車機構は、前記幅方向に沿って移動可能に配置される滑車台と、前記高さ方向及び前記幅方向に直交する長さ方向に沿って前記滑車台から延伸する滑車アーム、前記長さ方向に沿って移動可能に前記滑車アームに取り付けられる少なくとも1つの滑車装着部材と、前記少なくとも1つの滑車装着部材に回転自在に取り付けられる少なくとも1つの固定滑車と、を有しており、前記ハンドル付きロープのロープ部分は、前記少なくとも1つの固定滑車を通過するように配置される、
請求項6に記載のリハビリ装置。
【請求項8】
前記コネクターは、前記横管部に取り付けられる少なくとも1つのスリーブを有し、前記少なくとも1つのスリーブは、前記高さ方向に沿って下方へ延伸する延伸部を有し、前記リハビリ手段は、前記幅方向において間を開けて前記延伸部に枢支される1対のフック部が形成されると共に、内部に前記負荷機構が収容されるハウジングを有する、
請求項5に記載のリハビリ装置。
【請求項9】
前記延伸部は、前記幅方向に延伸して貫通するように形成される保持孔と、
前記保持孔の両端の開口の周りにおいてそれぞれ環状に並ぶ複数の係合突起が形成される2つの環状係合面と、を有しており、
前記リハビリ手段は、前記幅方向に沿って前記延伸部に形成される前記保持孔を挿通すると共に、中空の棒状体に形成されて内表面に雌ねじが形成される中空雌ねじ棒と、前記中空雌ねじ棒の前記雌ねじに対応する雄ねじを有するねじ部及び前記ねじ部の端部にあるヘッド部をそれぞれ有し、2つの前記フック部にそれぞれ対応して前記幅方向に沿って前記ねじ部で挿通してから前記中空雌ねじ棒内にねじ込まれる2つの締め付けねじと、2つの締め付けねじそれぞれのヘッド部と2つの前記環状係合面との間に介在する2つの摩擦部材と、
2つの前記摩擦部材とこの2つの前記摩擦部材のそれぞれに隣接する前記中空雌ねじ棒の端部との間にそれぞれ介在する2つのばね部材と、を有する摩擦固定機構を有し、
前記摩擦固定機構が有する各前記摩擦部材は、対応する前記環状係合面に形成される複数の係合突起と嵌め合う摩擦係合面を有し、
また、各前記ばね部材は前記摩擦部材と前記中空雌ねじ棒の端部との間に介在することにより、前記摩擦部材を前記中空雌ねじ棒及び前記環状係合面から離れさせる力を常に前記摩擦部材に与え、
各前記摩擦係合面の対応する各前記環状係合面との間に生じる摩擦力は、各前記締め付けねじが前記中空雌ねじ棒内にねじ込まれる深さと正の関係をもつ、
請求項8に記載のリハビリ装置。
【請求項10】
前記横枠手段には複数のキャスターユニットが取り付けられ、
各前記縦柱は前記高さ方向及び前記幅方向に直交する長さ方向に沿って延伸する下保持台と、前記下保持台から前記高さ方向に沿って上方へ延伸して上方に向かって開口する中空通路を画成する内表面を有するように中空に形成される垂直管部と、を有し、
前記横枠は、前記高さ方向に沿って延伸して各前記垂直管部内に可動的に挿し込まれる1対の可動管部と、前記幅方向に沿って延伸するように前記1対の可動管部の間に接続される横管部と、を有し、
各前記キャスターユニットが各前記縦柱がそれぞれ有する前記下保持台に取り付けられることにより、各前記下保持台及びリハビリ装置全体が前記設置面に移動可能に構成される、
請求項1に記載のリハビリ装置。
【請求項11】
前記横枠手段が有する2つの前記下保持台にはそれぞれ持ち上げ機構が取り付けられており、
各前記持ち上げ機構は、いずれも、
下方に開口するように前記下保持台から延伸する2つの固定部と、
前記高さ方向で移動できるように対応する前記固定部の下側に取り付けられる2つの可動台と、
各前記可動台に枢支される少なくとも2つの第1のリンクと、
各前記固定部と各前記第1のリンクに枢支される少なくとも2つの第2のリンクと、
各前記第1のリンクに接続されると共に、操作され得る第1の連動部材と、を有し、
また、各前記キャスターユニットの下端と前記下保持台との間の前記高さ方向における距離を第1の高さ距離とし、
各前記可動台の下端と前記下保持台との間の前記高さ方向における距離を第2の高さ距離とすると、
前記第1の連動部材の前記高さ方向に沿った前記下保持台に対する接触位置と非接触位置との間の移動により、
前記接触位置では前記第2の高さ距離が前記第1の高さ距離より短いため各前記キャスターユニットは前記設置面に接触し、
前記非接触位置では前記第2の高さ距離が前記第1の高さ距離より長いため各前記キャスターユニットは前記設置面に接触せず、
前記第1の連動部材が操作され且つ、前記接触位置から前記非接触位置に移動する過程において、前記第1の連動部材は各前記第1のリンクと各前記第2のリンクとを駆動し、且つ、各前記第1のリンクと各前記第2のリンクが各前記可動台の各前記固定部に対する相對移動を駆動する、
請求項10に記載のリハビリ装置。
【請求項12】
各前記持ち上げ機構は、4本の前記第1のリンクと4本の前記第2のリンクと、
各前記第2のリンクに接続されて且つ操作され得る2本の第2の連動部材と、を有し、
各前記第1のリンクは2本ずつ対となって対応する前記可動台の両側に枢支され、
各前記第2のリンクは2本ずつ対となって対応する前記固定部の両側に枢支され、
各前記第2の連動部材は対となった2つの前記第2のリンクに接続され、各前記第2の連動部材が操作される過程において、各前記第2の連動部材は対応する前記第2のリンク及び対応する前記第1のリンクを駆動し、且つ、対応する前記第1のリンク及び対応する前記第2のリンクにより前記第1の連動部材を前記非接触位置から前記接触位置に駆動する、
請求項11に記載のリハビリ装置。
【請求項13】
前記横枠手段は、互いに接続される前記垂直管部と前記可動管部とを接続させるように前記垂直管部内に配置されることにより、各前記可動管部を保持する2つの保持部材を更に有する、
請求項10に記載のリハビリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリハビリ装置に関し、特に両手もしくは両足のリハビリテーションを行えるリハビリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は特許文献1に記載される従来のリハビリ装置の一例が使用される様子が示される説明図であり、図示のように、このリハビリ装置1はベッドの上方に配置される横枠部材11と、横枠部材11に取り付けられる2本のロープ12とを有する。この2本のロープ12はそれぞれ両端に装着部121を有するので、使用者の両手及び両足に装着部121を装着することにより、腕の動きで足の動きをサポートしたり、もしくは逆に足の動きで腕の動きをサポートするリハビリテーション運動を行うことができる。
【0003】
しかしながら、このリハビリ装置1はベッドでしか使用できず、そして横枠部材11の高さも決まっているので、適用範囲が限られている欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の欠点を解決すべく、本発明は場所の制限を受けず、且つ異なる姿勢でリハビリテーションを行うことができるリハビリ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明は設置面に設置されて使用者が載せられるキャリアを跨るように用いられるリハビリ装置であって、
前記設置面に移動可能に構成されると共に、前記キャリアを跨る際に前記キャリアの両側にそれぞれ位置し、且つ、前記設置面に直交する高さ方向に沿って延伸する2本の縦柱と、前記高さ方向に直交する幅方向に沿って前記2本の縦柱の間に接続されると共に、前記2本の縦柱に対して前記高さ方向における位置が上限位置と下限位置間との間に調整可能、且つ、前記キャリアを跨る際に前記キャリアの上方に位置する横枠とを有する横枠手段と、
前記幅方向に沿って前記横枠手段の前記横枠に対し移動可能に前記横枠に取り付けられるコネクターと、
揺動可能に前記コネクターに接続されると共に、前記キャリアに乗せられる使用者が操作してリハビリテーションを行えるように構成されたリハビリ手段と、を備え、
仰向けの状態で前記キャリアに乗せられる使用者が両足で前記リハビリ手段を操作し、もしくは座った状態で前記キャリアに乗せられる使用者が両手で前記リハビリ手段を操作することができるリハビリ装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、本発明のリハビリ装置は、キャリアに対して移動可能、且つ、キャリアに対するリハビリ手段の高さ及び角度が調整可能になっているので、仰向けの状態でキャリアに乗せられる使用者が両足でリハビリ手段を操作し、もしくは座った状態でキャリアに乗せられる使用者が両手でリハビリ手段を操作することできるので、様々な場合に適用可能で、例えば、キャリアの種類や使用者の体形を問わず、且つ、使用者が各種姿勢で使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】特許文献1に記載される従来のリハビリ装置の一例が示される前面図である。
【
図2】本発明のリハビリ装置の第1の実施例がキャリアを跨る様子が示される斜視図である。
【
図4】同実施例における横枠とコネクターとリハビリ手段とが示される一部分解斜視図である。
【
図6】
図5におけるVI‐VI線に沿った断面図である。
【
図7】同実施例における縦柱及び持ち上げ機構の構成が示される一部分解斜視図である。
【
図8】同実施例における第1の連動部材が接触位置にある様子が示される一部側面図である。
【
図9】同実施例における第1の連動部材が非接触位置にある様子が示される一部側面図である。
【
図10】ベッドとしてのキャリアに仰向けの状態で乗せられる使用者が両足で同実施例のリハビリ手段を操作する様子が示される説明図である。
【
図11】ベッドとしてのキャリアに座った状態で乗せられる使用者が両手で同実施例のリハビリ手段を操作する様子が示される説明図である。
【
図12】ソファとしてのキャリアに寄りかかった状態で乗せられる使用者が両足で同実施例のリハビリ手段を操作する様子が示される説明図である。
【
図13】椅子としてのキャリアに座った状態で乗せられる使用者が両手で本発明の第2の実施例のリハビリ手段を操作する様子が示される説明図である。
【
図14】本発明の第3の実施例のリハビリ手段の構成が示される斜視図である。
【
図15】同実施例における各滑車機構が横枠に装着される様子が示される断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下は図面を参照して本発明のリハビリ装置の各実施形態について詳しく説明する。
【0010】
図2と
図3に本発明のリハビリ装置の1つの実施例が示されており、図示のようにこの実施例のリハビリ装置は設置面2に設置されて使用者が載せられるキャリア3を跨るように用いられるものである。本実施例におけるキャリア3は図示のように使用者が仰向けの状態もしくは座った状態で載せられるベッドであり、そしてこのリハビリ装置は横枠手段4とコネクター5とリハビリ手段6とを備える。
【0011】
ちなみに、設置面2とはキャリア3が設置される面であり、例えば地面、床面など、キャリア3が設置可能な面であれば設置面2になり得る。
【0012】
そしてキャリア3とはリハビリテーションを行う使用者が載せられるものであり、例えばベッドやソファや椅子やマットなど、リハビリテーションを行う使用者が載せられ得るものであればキャリア3になり得る。
【0013】
横枠手段4は、設置面2に移動可能に構成されると共に、幅方向Xにおいて互いに間を開けてキャリア3を跨る際にキャリア3の両側にそれぞれ位置し、且つ、設置面2及び幅方向Xに直交する高さ方向Zに沿って延伸する2本の縦柱41と、キャリア3を跨る際にキャリア3の上方に位置するように幅方向Xに沿って2本の縦柱41の間に接続される横枠42と、2本の縦柱41に2つずつ取り付けられるキャスターユニット43と、各縦柱41にそれぞれ取り付けられる持ち上げ機構44と、各縦柱41にそれぞれ配置される保持部材45と、を有する。
【0014】
また、各縦柱41はそれぞれ高さ方向Z及び幅方向Xに直交する長さ方向Yに沿って延伸する下保持台411と、下保持台411から高さ方向Zに沿って上方へ延伸して上方に向かって開口する中空通路413を画成する内表面が形成されるように中空に形成された垂直管部412と、を有する。
【0015】
図4と
図5と
図6に示されるように、この実施例において、横枠42は高さ方向Zに沿って延伸して2つの縦柱41それぞれが有する中空通路413内にそれぞれ可動的に挿入する2つの可動管部421と、幅方向Xに沿って延伸するように2つの可動管部421の間に接続される横管部422と、を有するように構成される上、横管部422の外表面423において上側と下側にそれぞれ向かって開口するように形成される2本のレール溝424を有する。この実施例において、各レール溝424の断面はV字形になっている。
【0016】
図3に示されるように、本実施例において、各保持部材45は空気圧シリンダーもしくは油圧シリンダーを用いて構成され、互いに接続される垂直管部412と可動管部421とを接続させるように垂直管部412内の中空通路413に配置されることにより、各可動管部421を保持し、且つ、可動管部421に接続されるピストンロッド451を用いて可動管部421の垂直管部412に対する高さ方向Zにおける相対移動を駆動すると共に、横枠42を保持する。
【0017】
注意すべきは、各保持部材45の構成としてはシリンダーとピストンロッド451との組み合わせに限定されず、例えばモータやネジといった構成を用いて可動管部421と垂直管部412との相対位置を制御することも考えられる。
【0018】
横枠42は可動管部421が縦柱41が有する中空通路413内にそれぞれ可動的に挿入し、且つ、保持部材45で可動管部421と垂直管部412との相対移動を駆動する構成により、2本の縦柱41に対して高さ方向Zにおける位置が上限位置(
図9参照)と下限位置(
図10参照)との間に調整可能であり、具体的には、横枠手段4がキャリア3を跨る際に、横枠42が上限位置にある場合は横枠42の横管部422がキャリア3から比較的離れていて、そして下限位置にある場合は横枠42の横管部422がキャリア3に比較的近づく 。
【0019】
図2と
図8と
図9に示されるように、各キャスターユニット43は2つで対となって対応する下保持台411に取り付けられており、各キャスターユニット43は回転自在且つ設置面2において走行可能なキャスター431を有する。また、各キャスターユニット43の下端(即ちキャスター431の下端)と下保持台411との間の高さ方向Zにおける距離は第1の高さ距離H1と定義する。
【0020】
図7と
図8と
図9に示されるように、各持ち上げ機構44はいずれも、下方に開口するように下保持台411から延伸する2つの固定部441と、高さ方向Zで移動できるように対応する固定部441の下側に取り付けられる2つの可動台442と、各可動台442に枢支される少なくとも2つの第1のリンク443と、各固定部441と各第1のリンク443に枢支される少なくとも2つの第2のリンク444と、各第1のリンク443に接続されると共に、操作され得る第1の連動部材445と、各第2のリンク444に接続されて且つ操作され得る2本の第2の連動部材446と、を有する。
【0021】
各可動台442の下端と下保持台411との間の高さ方向Zにおける距離は第2の高さ距離H2と定義する。
【0022】
各第1のリンク443は2本ずつ対となって対応する可動台442の両側に枢支され、各第2のリンク444は2本ずつ対となって対応する固定部441の両側に枢支される。すなわち、第1のリンク443及び第2のリンク444の数に関しては2本に限らず、固定部441及び固定部441の下側に取り付けられる可動台442の数に対応しており、例えば1つの可動台442に1本のみの第1のリンク443が枢支することも可能である。
【0023】
第1の連動部材445は高さ方向Zに沿って横枠42に対して
図8に示される接触位置と
図9に示される非接触位置との間に揺動し、第1の連動部材445の高さ方向Zに沿った下保持台411に対する接触位置と非接触位置との間の移動により、接触位置では第2の高さ距離H2が第1の高さ距離H1より短いため各キャスターユニット43は設置面2に接触し、非接触位置では第2の高さ距離H2が第1の高さ距離H1より長いため各キャスターユニット43は設置面2に接触しない。このため、第1の連動部材445が操作され且つ、接触位置から非接触位置に移動する過程において、第1の連動部材445は各第1のリンク443と各第2のリンク444とを駆動し、且つ、各第1のリンク443と各第2のリンク444が各可動台442の各固定部441に対する相對移動を駆動する。
【0024】
各第2の連動部材446は対となった2つの第2のリンク444に接続される。このため、各第2の連動部材446が操作される過程において、各第2の連動部材446は対応する第2のリンク444及び対応する第1のリンク443を駆動し、且つ、対応する第1のリンク443及び対応する第2のリンク444により第1の連動部材445を非接触位置から接触位置に駆動する。
【0025】
図4~
図6に示されるように、コネクター5は、幅方向Xに沿って横枠手段4の横枠42に対し移動可能に横枠42に取り付けられ、具体的には、横管部422の外表面423に沿って幅方向Xにおいて摺動可能に装着される上下1つずつのスリーブ52と、2つのスリーブ52にねじ込まれる結合固定させる4つの螺子53と、上側にあるスリーブ52と横管部422との間に介在し、横管部422に形成される上側のレール溝424内に嵌め込める形状に形成された上係合部材54と、上側にあるスリーブ52と螺合且つ貫通してから上係合部材54に当接する螺合部材55と、を有し、2つのスリーブ52の間に幅方向Xに沿って延伸する通過孔51が形成されることにより、横管部422は幅方向Xに沿って2つのスリーブ52の間を通過することができる。
【0026】
図6において上側にあるスリーブ52の内表面には対応する上側のレール溝424に向かって開口する凹部521が形成される。
【0027】
図6において下側にあるもう1つのスリーブ52は、対応する下側のレール溝424内に嵌め込める形状でもう1つのスリーブ52の内表面に形成された下係合部材522と、高さ方向Zに沿って下保持台411へ延伸する延伸部523と、を有する。
【0028】
上係合部材54は互いの方向が反対する斜面541を2つ有し、下係合部材522は幅方向Xに沿って間を開けて且つ互いの方向が反対する2つの対応斜面を有し、各斜面の横管部422に当たる摩擦力は、螺合部材55がスリーブ52に螺合する深さに正の相関がある。
【0029】
すなわち、螺合部材55は
図6において上側にあるスリーブ52と螺合し且つ貫通してから上係合部材54に当接することで、スリーブ52との螺合具合で上係合部材54を横管部422に押し当てるきつさを調整することができる。
【0030】
このため、上側にあるスリーブ52が有する上係合部材54が横管部422の上側のレール溝424内に対応して嵌め込まれ、且つ、下側にあるスリーブ52が有する下係合部材522が横管部422の下側のレール溝424内に対応して嵌め込まれることにより、上下1つずつのスリーブ52を有するコネクター5は横管部422の外表面423に沿って摺動することができる。
【0031】
延伸部523は、幅方向Xに延伸して貫通するように形成される保持孔525と、保持孔525の両端の開口の周りにおいてそれぞれ環状に並ぶ複数の係合突起が形成される2つの環状係合面524と、を有する。
【0032】
リハビリ手段6は、揺動可能にコネクター5に接続されると共に、キャリア3に乗せられる使用者が操作してリハビリテーションを行えるように構成されたものであり、幅方向Xにおいて間を開けて延伸部523に枢支される1対のフック部611が形成されると共に、内部に後述する負荷機構62が収容されるハウジング61と、回転可能にハウジング61内に配置されて回転駆動されるフィードバックとして負荷を提供する負荷機構62と、負荷機構62に連動(回転駆動)するように接続するリハビリ操作部63と、コネクター5における延伸部523とハウジング61との間に配置される摩擦固定機構64と、を有する。
【0033】
1対のフック部611は、幅方向Xにおいて互いに間を開けて延伸部523を両者の間に挟むように形成される。
【0034】
この実施例におけるリハビリ操作部63は、使用者により動かされるペダルであり、ペダルとしてのリハビリ操作部63による伝動で負荷機構62が使用者により回転駆動されると、フィードバックとして負荷を使用者に提供する。
【0035】
摩擦固定機構64は、幅方向Xに沿って延伸部523に形成される保持孔525を挿通すると共に、中空の棒状体に形成されて内表面に雌ねじが形成される中空雌ねじ棒641と、中空雌ねじ棒641の雌ねじに対応する雄ねじを有するねじ部及びねじ部の端部にあるヘッド部をそれぞれ有し、2つのフック部611にそれぞれ対応して幅方向Xに沿ってねじ部で挿通してから中空雌ねじ棒641内にねじ込まれる2つの締め付けねじ642と、2つの締め付けねじ642それぞれのヘッド部と2つの環状係合面524との間に介在する2つの摩擦部材643と、2つの摩擦部材643とこの2つの摩擦部材643のそれぞれに隣接する中空雌ねじ棒641の端部との間にそれぞれ介在する2つのばね部材645と、を有する。
【0036】
各摩擦部材643は、対応する環状係合面524に形成される複数の係合突起と嵌め合う摩擦係合面644を有し、また、各ばね部材645は摩擦部材643と中空雌ねじ棒641の端部との間に介在することにより、摩擦部材643を中空雌ねじ棒641及び環状係合面524から離れさせる力を常に摩擦部材643に与え、各摩擦係合面644の対応する各環状係合面524との間に生じる摩擦力は、各締め付けねじ642が中空雌ねじ棒641内にねじ込まれる深さと正の関係をもつ。
【0037】
図2と
図3に示されるように、本発明のリハビリ装置は使用前においては、各垂直管部412と各可動管部421との対応関係を利用して、高さ方向Zに沿って横枠42を最も高い位置である上限位置と、最も低い位置である下限位置との間に移動可能、もしくは必要に応じて上限位置と下限位置との間に移動することができる。また、横枠42が移動する過程においては、各保持部材45のピストンロッド451で支持横枠42の可動管部421を保持することで、横枠42を位置決めすることができる。これにより、横枠42がリハビリ手段6と共に移動することで、リハビリ手段6の高さ方向Zにおける高さを調整することができる。
【0038】
図2と
図7と
図8と
図9に示されるように、本発明のリハビリ装置はキャリア3の位置に対応して移動し、もしくは所定の位置に固定することができる。所定の位置に固定する場合は、使用者は足を使って高さ方向Zに沿って各第1の連動部材445を踏み下ろすことで、各第1の連動部材445を接触位置から非接触位置に移動する過程において、各第1のリンク443と各第2のリンク444を移動させ、且つ、各第1のリンク443と各第2のリンク444で各可動台442と各固定部441の相對移動を駆動し、各第1の連動部材445が非接触位置に到達すると、各第1のリンク443及び各第2のリンク444により構成された4リンク構造に外力による働きが存在しない場合、死点に固定されて動くことができない。この際、各可動台442の下端と下保持台411との間の高さ方向Zにおける距離である第2の高さ距離H2が各キャスターユニット43の下端(キャスター431の下端)と下保持台411との間の高さ方向Zにおける距離である第1の高さ距離H1より長く、すなわち下保持台411が可動台442と固定部441により持ち上げられているため、下保持台411に取り付けられる各キャスターユニット43の下端(キャスター431の下端)は設置面2から離れて設置面に接触せず、本発明のリハビリ装置はその場に固定される。
【0039】
また、本発明のリハビリ装置を移動する必要がある場合は、使用者は高さ方向Zに沿って足で各第2の連動部材446を踏み下ろせば、各第2の連動部材446が移動する過程で各第2のリンク444及び各第1のリンク443を動かし、そして各第1のリンク443及び各第2のリンク444を通じて各第1の連動部材445を死点位置から離れさせて非接触位置から接触位置に切り替えることができる。この際、各可動台442は下保持台411に対して持ち上げられるようになり各可動台442の下端と下保持台411との間の高さ方向Zにおける距離である第2の高さ距離H2が各キャスターユニット43の下端(キャスター431の下端)と下保持台411との間の高さ方向Zにおける距離である第1の高さ距離H1より短くなっているので、各キャスターユニット43の下端(キャスター431)が設置面2に接触するようになる。このため、各キャスターユニット43の下端にあるキャスター431が設置面2に接触しながら回転することで、本発明のリハビリ装置を設置面2にある所望の位置に移動することができる。
【0040】
図2と
図4と
図5と
図6に示されるように、螺合部材55を緩ませる(上側にあるスリーブ52と螺合し且つ貫通してから上係合部材54に当接する螺合部材55の螺合しているスリーブ52にねじ込まれる深さを浅くすることで上係合部材54を横管部422に押し当てる力を弱くする)ことで、各スリーブ52が横枠42の横管部422に沿って移動し、リハビリ手段6の幅方向Xにおける位置を調整することができる。そして所望の位置に到達してから、螺合部材55をきつく締め付ける(螺合部材55の螺合しているスリーブ52にねじ込まれる深さを深くすることで上係合部材54を横管部422に押し当てる力を強くする)と、上係合部材54及び下係合部材522が横管部422の外表面423にきつく当てられることによる摩擦力で各スリーブ52を横枠42の横管部422に固定することができる。
【0041】
本発明のリハビリ装置は使用上の必要に応じて、締め付けねじ642が中空雌ねじ棒641にねじ込まれる深さを浅くすることで、各摩擦部材643と対応する延伸部523との間の摩擦力を緩ませることができる。この際、各摩擦係合面644と対応する各環状係合面524との摩擦接触は解除されないが、摩擦力が比較的に弱くなっているため、フック部611によりコネクター5の延伸部523に取り付けられるリハビリ手段6は延伸部523に対して揺動可能になっている。また、リハビリ手段6がコネクター5の延伸部523に対して揺動する際、各摩擦係合面644と各環状係合面524との摩擦接触により「カッ」、「カッ」、「カッ」といった音及び振動する感覚が発生するため、リハビリ手段6の延伸部523に対する揺動角度を段階的に確認及び調整することができる。また、各締め付けねじ642が中空雌ねじ棒641内に深くねじ込まれる場合は、各摩擦部材643は対応する締め付けねじ642とばね部材645の間に挟まれるので、各摩擦係合面644と各環状係合面524は互いに強く押し合ってリハビリ手段6のコネクター5に対する揺動角度を一時的に固定する。
【0042】
図10と
図11とに示されるように、本発明のリハビリ装置は使用上の必要に応じて、キャリア3の位置に対して移動自在になっている上、使用者の体形や姿勢や好みに応じてリハビリ手段6の高さ及び角度が調整可能になっている。このため、仰向けの状態でキャリア3に乗っている使用者が両足でリハビリ手段6を操作し、もしくは座った状態でキャリア3に乗っている使用者が両手でリハビリ手段6のリハビリ操作部63を動かすことで負荷機構62が提供する負荷に対抗してリハビリテーションを行うことができる。
【0043】
ちなみに、本発明のリハビリ装置が適用するキャリア3はベッドに限らず、例えば
図12に示されるソファや、マットや机、あるいは各種の台といった、座ったり仰向けになったりすることができるように使用者が載せられ得るものであればキャリア3になり得る。
【0044】
また、リハビリ手段6が有するリハビリ操作部63の数に関しては上記2つのペダルに限定されず、例えば
図13に示される第2の実施例のように、負荷機構62に連動するように接続する1対のペダル63と、ペダルに接続する1対のハンドル付きロープ65と、を有するように、合計4つのリハビリ操作部を有する構成も可能である。
【0045】
更に、ハンドル付きロープ65としてのリハビリ操作部がペダルとしてのリハビリ操作部63に取り付けられる構成に限定されず、例えば
図14及び
図15に示される第3の実施例のように、リハビリ手段6は幅方向Xにおいて可動的に横枠42に取り付けられる1対の滑車機構66を更に有し、各滑車機構66は、幅方向Xに沿って移動可能に横枠42に配置される滑車台661と、滑車台661を横枠42に固定する第1の固定部材662と、高さ方向Z及び幅方向Xに直交する長さ方向Yに沿って滑車台661から延伸する滑車アーム663と、長さ方向に沿って移動可能に滑車アーム663に取り付けられる2つの滑車装着部材664と、各滑車装着部材664に回転自在に取り付けられる固定滑車665と、滑車装着部材664を滑車アーム663に固定するための第2の固定部材666と、を有する。ハンドル付きロープ65のロープ部分は、対応する固定滑車665を通過するように配置される。
【0046】
このように、使用者は両足で各リハビリ操作部63(ペダル)を操作して負荷機構62(
図4参照)を回転駆動してリハビリテーションを行うことができ、そして両手でハンドル付きロープ65を操作して負荷機構62を回転駆動してリハビリテーションを行うこともできる。ちなみに、各滑車台661の位置に関しては、各滑車機構66の横枠42に装着される幅方向Xの位置と、滑車装着部材664の滑車アーム663に取り付けられる長さ方向Yの位置を変更することで、使用者の体形に応じて調整することができる。
【0047】
以上説明をまとめると、本発明のリハビリ装置は以下の利点を有する。
【0048】
本発明のリハビリ装置は、キャリア3に対して移動可能、且つ、キャリア3に対するリハビリ手段6の高さ及び角度が調整可能になっているので、仰向けの状態でキャリア3に乗せられる使用者が両足でリハビリ手段6を操作し、もしくは座った状態でキャリア3に乗せられる使用者が両手でリハビリ手段6を操作することできるので、様々な場合に適用可能で、例えば、キャリアの種類や使用者の体形を問わず、且つ、使用者が各種姿勢で使用可能となる。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
2 設置面
3 キャリア
4 横枠手段
41 縦柱
411 下保持台
412 垂直管部
413 中空通路
42 横枠
421 可動管部
422 横管部
423 外表面
424 レール溝
43 キャスターユニット
431 キャスター
44 持ち上げ機構
441 固定部
442 可動台
443 第1のリンク
444 第2のリンク
445 第1の連動部材
446 第2の連動部材
45 保持部材
451 ピストンロッド
5 コネクター
51 通過孔
52 スリーブ
521 凹部
522 下係合部材
523 延伸部
524 環状係合面
525 保持孔
53 螺子
54 上係合部材
541 斜面
55 螺合部材
6 リハビリ手段
61 ハウジング
611 フック部
62 負荷機構
63 リハビリ操作部
64 摩擦固定機構
641 中空雌ねじ棒
642 締め付けねじ
643 摩擦部材
644 摩擦係合面
645 ばね部材
65 ハンドル付きロープ
66 滑車機構
661 滑車台
662 第1の固定部材
663 滑車アーム
664 滑車装着部材
665 固定滑車
666 第2の固定部材
X 幅方向
Z 高さ方向
Y 長さ方向
H1 第1の高さ距離
H2 第2の高さ距離