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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】吸着ユニット
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/44 20060101AFI20241107BHJP
   B29C 33/46 20060101ALI20241107BHJP
   B29C 45/40 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
B29C33/44
B29C33/46
B29C45/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024135650
(22)【出願日】2024-08-15
(62)【分割の表示】P 2023025003の分割
【原出願日】2023-02-21
(65)【公開番号】P2024149799
(43)【公開日】2024-10-18
【審査請求日】2024-08-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522029659
【氏名又は名称】有限会社落合製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 昭年
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/236495(WO,A1)
【文献】特開2021-11076(JP,A)
【文献】特開2010-23260(JP,A)
【文献】特開2015-223716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00, 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板に固定され、樹脂成型機の型開した金型に保持された成形品を吸着可能な吸着ユニットであって、
前記成形品に接触した状態で吸着する吸着パッドと、
前記吸着パッドを保持している樹脂製の本体部と、
前記本体部の下端に設けられ、前記金属板に対して移動可能に磁力で固定される磁石部と、
を備える、吸着ユニット。
【請求項2】
前記本体部は、前記吸着パッドと連通している貫通部を有し、
負圧発生部に吸引される空気が流れる流路と前記貫通部とを連通している継手を更に備える、
請求項1に記載の吸着ユニット。
【請求項3】
前記本体部の長手方向は、前記金属板の法線方向と平行であり、
前記吸着パッドは、前記本体部の長手方向に伸縮可能に配置されている、
請求項1に記載の吸着ユニット。
【請求項4】
前記本体部の長手方向は、前記金属板の法線方向と平行であり、
前記吸着パッドは、前記本体部の長手方向と直交する直交方向に伸縮可能に配置されている、
請求項1に記載の吸着ユニット。
【請求項5】
前記本体部の上端に設けられ、前記直交方向に前記吸着パッドを前記本体部に対して移動させる移動部材を更に備える、
請求項4に記載の吸着ユニット。
【請求項6】
前記本体部と前記磁石部の間に交換可能に設けられた円筒状のスペーサを更に備え、
前記スペーサは、樹脂製である、
請求項1に記載の吸着ユニット。
【請求項7】
前記本体部の下端に設けられ、前記金属板を貫通している複数の孔部のうちの一の孔部に係止可能な係止部を更に備える、
請求項1に記載の吸着ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成型機の成形品を吸着可能な吸着ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
成形品取出装置は、樹脂成型機である射出成型機が射出成形した成形品を吸着して取り出すための吸着ユニットを有する。吸着ユニットは、例えば、ホルダーに保持された吸着パッドによって成形品を真空吸着する(下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4796338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、成形品の形状や大きさは様々であるため、成形品に合わせて吸着ユニットを配置させる必要がある。しかし、従来では、吸着ユニットを所定のレール上に沿って設置するため、設置位置の自由度が低く、成形品に応じた吸着ユニットの位置調整には多大な時間を要する。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、成形品に合わせて容易に位置を調整可能な吸着ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、金属板に固定され、樹脂成型機の型開した金型に保持された成形品を吸着可能な吸着ユニットであって、前記成形品に接触した状態で吸着する吸着パッドと、前記吸着パッドを保持している樹脂製の本体部と、前記本体部の下端に設けられ、前記金属板に対して移動可能に磁力で固定される磁石部と、を備える、吸着ユニットを提供する。
【0007】
また、前記本体部は、前記吸着パッドと連通している貫通部を有し、負圧発生部に吸引される空気が流れる流路と前記貫通部とを連通している継手を更に備えることとしてもよい。
【0008】
また、前記本体部の長手方向は、前記金属板の法線方向と平行であり、前記吸着パッドは、前記本体部の長手方向に伸縮可能に配置されていることとしてもよい。
【0009】
また、前記本体部の長手方向は、前記金属板の法線方向と平行であり、前記吸着パッドは、前記本体部の長手方向と直交する直交方向に伸縮可能に配置されていることとしてもよい。
【0010】
また、前記本体部の上端に設けられ、前記直交方向に前記吸着パッドを前記本体部に対して移動させる移動部材を更に備えることとしてもよい。
【0011】
また、前記本体部と前記磁石部の間に交換可能に設けられた円筒状のスペーサを更に備え、前記スペーサは、樹脂製であることとしてもよい。
【0012】
また、前記本体部の下端に設けられ、前記金属板を貫通している複数の孔部のうちの一の孔部に係止可能な係止部を更に備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、成形品に合わせて容易に位置を調整可能な吸着ユニットを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一の実施形態に係る成形品取出装置1の構成を説明するための模式図である。
図2】成形品取出装置1の構成を説明するためのブロック図である。
図3】吸着ユニット20の構成を説明するための模式図である。
図4】吸着ユニット20を分解した状態を説明するための模式図である。
図5】スペーサ30が設けられていない吸着ユニット20を示す模式図である。
図6】複数の吸着ユニット20の位置調整を説明するための模式図である。
図7】第1変形例を説明するための模式図である。
図8】第1変形例に係る吸着ユニット120の構成を示す模式図である。
図9】第2変形例に係る金属板10を示す模式図である。
図10】第2変形例に係る吸着ユニット220の金属板10への固定方法を説明するための模式図である。
図11】第3変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<成形品取出装置の概要>
本発明の一の実施形態に係る成形品取出装置1の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、一の実施形態に係る成形品取出装置1の構成を説明するための模式図である。図2は、成形品取出装置1の構成を説明するためのブロック図である。成形品取出装置1は、樹脂成型機100の型開した金型110に保持された成形品200を取り出すための装置である。
【0017】
樹脂成型機100は、一例として射出成型機である。樹脂成型機100は、金型110と、エジェクタピン112を有する。金型110は、キャビティ内に溶融樹脂を充填して成形品200を成形する。金型110は、開閉可能な雄型と雌型で構成されている。エジェクタピン112は、金型110が開いた際に、金型110に保持された成形品200を押し出す。
【0018】
成形品取出装置1は、金型110が開いた状態でエジェクタピン112が成形品200を押し出すと、成形品200を吸着保持して取り出す。成形品取出装置1は、図1に示すように、金属板10と、吸着ユニット20と、流路部40を有する。また、成形品取出装置1は、図2に示すように、負圧発生部50と、移動機構60と、検知部70と、制御部80を有する。
【0019】
金属板10は、平板状に形成されている。金属板10は、ここでは矩形を成しているが、これに限定されない。金属板10は、待機位置と、成形品を取り出す取出位置(図1に示す位置)との間で移動可能である。待機位置は、金属板10が金型110から離れて待機する位置である。金属板10が待機位置に位置する際に、樹脂成型機100が成形品200を射出成形する。
【0020】
吸着ユニット20は、金属板10に互いに離間するように複数設けられている。複数の吸着ユニット20は、成形品200を吸着可能である。例えば、吸着ユニット20は、金属板10が取出位置に位置する際に、エジェクタピン112によって押し出された成形品200を真空吸着する。複数の吸着ユニット20は、詳細は後述するが、金属板10に対して容易に位置を調整可能に取り付けられている。これにより、大きさや形状が異なる成形品200であっても、複数の吸着ユニット20の位置を調整することで、成形品200を適切に取り出すことが可能となる。
【0021】
流路部40は、複数の吸着ユニット20と負圧発生部50を連結している。流路部40は、複数の吸着ユニット20の各々から負圧発生部50に吸引される空気が流れる流路を成している。流路部40は、例えば変形可能なチューブである。チューブを変形させたり、長さが異なるチューブに変更させたりことで、吸着ユニット20の位置を調整しやすくなっている。なお、流路部40は、チューブに代えてホースであってもよい。
【0022】
負圧発生部50は、吸着ユニット20内を負圧にする装置である。例えば、負圧発生部50は、流路部40を介して吸着ユニット20内の空気を吸い込むことで、吸着ユニット20内を負圧にする。
【0023】
移動機構60は、吸着ユニット20及び流路部40が設けられた金属板10を移動させる機構である。具体的には、移動機構60は、金属板10を待機位置と取出位置の間で移動させる。移動機構60は、例えば、金属板10を移動させる駆動源(モータ)と、金属板10の移動をガイドするガイド部材とを含む。なお、移動機構60は、吸着ユニット20が吸着した成形品200を金属板10と共に、成形品200の後処理工程(具体的には、成形品200に残存する不用部を切除する工程)を行う場所に移動させてもよい。
【0024】
検知部70は、樹脂成型機100の状態を検知する。例えば、検知部70は、樹脂成型機100が成形品200の射出成形を行ったかを検知する。具体的には、検知部70は、金型110の開閉状態を検知可能であり、金型110が開くと射出成形が完了したと判定する。なお、検知部70は、金属板10の位置を検知してもよい。
【0025】
制御部80は、成形品取出装置1の動作を制御する。例えば、制御部80は、検知部70が射出成形の完了を検知すると、移動機構60によって金属板10を待機位置から取出位置へ移動させると共に、負圧発生部50によって吸着ユニット20内を負圧にする。これにより、金属板10が取出位置に位置する成形品取出装置1は、エジェクタピン112によって押し出された成形品200を吸着保持する。その後、成形品取出装置1は、金属板10を待機位置へ移動させることで、成形品200を樹脂成型機100から取り出すことになる。
【0026】
<吸着ユニットの詳細構成>
吸着ユニット20の詳細構成について、図3及び図4を参照しながら説明する。金属板10に固定されている複数の吸着ユニット20の構成は同様であるので、以下では、一の吸着ユニット20を例に挙げて説明する。
【0027】
図3は、吸着ユニット20の構成を説明するための模式図である。図4は、吸着ユニット20を分解した状態を説明するための模式図である。吸着ユニット20は、図3及び図4に示すように、本体部22と、吸着パッド24と、磁石部26と、ニップル28と、スペーサ30と、ネジ部材32を有する。
【0028】
本体部22は、図3に示すように、吸着パッド24を保持している。本体部22は、吸着パッド24が着脱可能に装着される装着部22a(図4)を有する。装着部22aは、本体部22の上端部である。
【0029】
本体部22は、金属板10の法線方向(図1に示す左右方向)に沿うように配置されている。すなわち、本体部22の長手方向が、金属板10の法線方向と平行になっている。本体部22は、樹脂製である。これにより、本体部22を金属で形成する場合に比べて、本体部22を軽量化できる。また、図3及び図4には示されていないが、本体部22の更なる軽量化のために、本体部22の外周面には溝が形成されている。
【0030】
本体部22の内部には、図4に示すように貫通部23aが形成されている。貫通部23aは、本体部22の装着部22aとニップル28の間を連通するように形成されている。このため、貫通部23aは、吸着パッド24及び流路部40と連通している空間としての機能を有する。本体部22の下端部には、ネジ部材32が螺合するネジ穴23bが形成されている。
【0031】
吸着パッド24は、成形品200に接触した状態で吸着する。吸着パッド24は、ここではゴム製であり、長手方向に伸縮可能となっている。吸着パッド24は、金属板10の法線方向に沿って配置されており、成形品200の金属板10に対向する主面202(図1)に接触した状態で吸着する。吸着パッド24は、主面202に接触可能な接触面24aを有する。
【0032】
吸着パッド24の内部は、長手方向に沿って空洞となっている。吸着パッド24が成形品200に接触する接触面24aの中央には、開口24b(図6参照)が形成されている。これにより、負圧発生部50によって、開口24bを介して吸着パッド24の内部の空洞に空気が流れる。なお、吸着パッド24は、交換可能である。例えば、成形品200の形状や大きさに適した、直径や長さが異なる吸着パッド24に交換可能である。
【0033】
磁石部26は、本体部22の下端に設けられ、金属板10に対して移動可能に磁力で固定される。磁石部26は、下面26aにて金属板10に固定される。作業者が磁石部26に対して磁力より大きな力を作用させることで、磁石部26を含む吸着ユニット20が金属板10に対して移動可能となる。これにより、吸着ユニット20を金属板10に対して任意の位置に固定することができる。
【0034】
磁石部26の中央には、図4に示すように、貫通孔26bが形成されている。貫通孔26bは、ネジ部材32が挿通可能な大きさとなっている。また、磁石部26は、中央底部に貫通孔26bと連通するように設けられた係合部26cを有する。係合部26cは、ネジ部材32の頭部32bと係合可能である。
【0035】
ニップル28は、本体部22と流路部40(具体的にはチューブ)を繋ぐ継手である。ニップル28は、本体部22の外周面に固定されている。ニップル28の内部は、空洞となっており、本体部22の貫通部23aと連通している。
【0036】
スペーサ30は、図3に示すように本体部22と磁石部26の間に設けられている。スペーサ30は、ここでは中空の円筒部材である。スペーサ30は、交換可能である。例えば、長さが異なるスペーサ30が、着脱可能に装着される。金属板10と成形品200の吸着部分との距離に適したスペーサ30を装着することで、吸着パッド24が成形品200を適切に吸着できる。
【0037】
スペーサ30は、本体部22と同様に樹脂製である。これにより、スペーサ30を軽量化できる。また、スペーサ30の外周面には、更なる軽量化のために、溝が形成されていてもよい。吸着ユニット20の大部分を成す本体部22及びスペーサ30が樹脂であることで、吸着ユニット20の軽量化を実現しやすくなる。これにより、金属板10に複数の吸着ユニット20が固定されていても、移動機構60(図2)が金属板10を高速に移動させることができるので、生産性が向上する。
【0038】
図5は、スペーサ30が設けられていない吸着ユニット20を示す模式図である。吸着ユニット20は、図5に示すように、スペーサ30を外した状態でも使用可能である。このようにスペーサ30を使用することで、金属板10に対する吸着パッド24の高さを自在に調整しやすくなる。
【0039】
ネジ部材32は、本体部22と磁石部26を固定させる。本体部22と磁石部26の間にスペーサ30が位置する場合には、ネジ部材32は、スペーサ30を挟んで本体部22と磁石部26を固定させる。ネジ部材32は、図4に示すように、ネジ部32aと、頭部32bを有する。
【0040】
ネジ部32aは、ここでは雄ネジであり、本体部22のネジ穴23bと螺合する。頭部32bは、磁石部26の係合部26cと係合可能である。ネジ部32aがネジ穴23bと螺合し、かつ頭部32bが係合部26cと係合することで、本体部22と磁石部26が固定される。
【0041】
ネジ部材32は、スペーサ30と同様に交換可能である。例えば、スペーサ30の長さに応じた長さのネジ部材32に交換可能である。具体的には、図5に示す吸着ユニット20に用いられるネジ部材32の長さは、図3に示す吸着ユニット20に用いられるネジ部材32の長さよりも短い。
【0042】
<吸着ユニットの位置調整>
金属板10に対する吸着ユニット20の位置調整の例について、図6を参照しながら説明する。
【0043】
図6は、複数の吸着ユニット20の位置調整を説明するための模式図である。図6(a)には調整前の吸着ユニット20及び流路部40が示され、図6(b)には調整後の吸着ユニット20及び流路部40が示されている。図6に示す矢印は、負圧発生部50が空気を吸引する際の空気の流れる向きを示している。また、空気の逆流を防ぐための栓44が、設けられている。なお、図6では、3つの吸着ユニット20が金属板10に固定されているが、4つ以上の吸着ユニット20が金属板10に固定されてもよい。
【0044】
作業者は、例えば成形品200が大きい場合には、複数の吸着ユニット20が均等な位置で吸着保持できるように、複数の吸着ユニット20の位置を調整する。具体的には、作業者は、図6(a)に示す3つの吸着ユニット20の間隔を広げるように、図6(b)に示すように金属板10に対する固定位置をずらす。前述したように吸着ユニット20は磁力で金属板10に固定されているが、作業者が大きな力を加えることで吸着ユニット20を金属板10に対して移動できる。なお、作業者は、成形品200の重量が重い場合には、4つ以上の吸着ユニット20で成形品200を吸着保持してもよい。
また、作業者は、成形品200の主面202で吸着ユニット200が吸着できる平面が限られている場合には、当該平面を吸着ユニット20が吸着保持できるように、複数の吸着ユニット20の位置を調整してもよい。
【0045】
流路部40であるチューブは変形可能であるので、3つの吸着ユニット20を移動させても、各チューブは3つの吸着ユニット20との連結状態を維持しやすい。なお、作業者は、吸着ユニット20の移動量が多い場合には、長いチューブに交換してもよい。
【0046】
<変形例>
(第1変形例)
図7は、第1変形例を説明するための模式図である。図8は、第1変形例に係る吸着ユニット120の構成を示す模式図である。
【0047】
上記の実施形態では、吸着ユニット20が、成形品200の主面202(金属板10に対向する面)に接触した状態で吸着することとした。これに対して、第1変形例においては、吸着ユニット120が成形品200の側面204に接触した状態で吸着する点で相違する。
【0048】
成形品200が図7に示すように複雑な形状となっている場合には、吸着ユニット120が成形品200の主面を吸着することが困難である。そこで、第1変形例においては、成形品200の両側に位置する吸着ユニット120が、成形品200の側面204に接触した状態で吸着している。これにより、成形品200の主面側の形状が複雑であっても、吸着ユニット120が成形品200を適切に吸着できる。
【0049】
吸着ユニット120は、金属板10の法線方向と直交する直交方向(図7に示す上下方向)に吸着パッド24を移動させる移動部材130を有する。移動部材130は、図8に示すように、本体部22の上端に設けられている。吸着パッド24が直交方向に移動することで、吸着パッド124を成形品200の側面204に接触させたり側面204から離間させたりしやすくなる。
【0050】
移動部材130は、ここではエアシリンダーである。移動部材130は、図8に示すように、シリンダー部131と、ロッド132を有する。シリンダー部131は流路部133と繋がっており、シリンダー部131内には流路部133を介して空気が供給されている。ロッド132は、シリンダー部131内の空気圧によって直交方向(図8に示す矢印方向)に移動する。
ロッド132の先端には、本体部22及び吸着パッド24が取り付けられている。シリンダー部131は、二つのスペーサ140及び磁石部26を挟んで、金属板10に固定されている。シリンダー部131は、ネジ部材(ネジ部材32と同様形状)によって金属板10に固定されている。
上記では、スペーサ140が用いられているが、スペーサ140を用いずに、シリンダー部131は磁石部26を挟んで金属板10に固定されていてもよい。磁石部26が二つあることで、シリンダー部131を金属板10に固定する際にシリンダー部131が回転することを防止できる。吸着ユニット120の上記以外の構成は、前述した吸着ユニット20と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0051】
(第2変形例)
図9は、第2変形例に係る金属板10を示す模式図である。図10は、第2変形例に係る吸着ユニット220の金属板10への固定方法を説明するための模式図である。
【0052】
第2変形例の金属板210には、前述した金属板10とは異なり、金属板210を貫通している多数の孔部212が形成されている。孔部212は、金属板210の長手方向の一端側から他端側に亘って所定間隔で複数設けられている。金属板210に多数の貫通孔である孔部212を設けることで、金属板210を軽量化することができる。
【0053】
吸着ユニット220は、図10に示すように、金属板210の孔部212に係止可能な係止部228を有する。係止部228は、本体部22の下端(具体的には、スペーサ30の下端)に設けられている。係止部228が孔部212に係止することで、吸着ユニット220が金属板210に固定される。金属板210の広範囲に孔部212が形成されているので、所望の孔部212に係止部228を係止させることで、吸着ユニット220の金属板210の所望の位置に固定させやすくなる。
【0054】
図10には図示していないが、スペーサ30と係止部228の間に磁石部を設けてもよい。この磁石部は、図3に示す磁石部26よりも小型である。磁石部を設けることで、吸着ユニット220が金属板210から外れにくくなる。
なお、吸着ユニット220の他の構成は、前述した吸着ユニット20と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0055】
(第3変形例)
図11は、第3変形例を説明するための模式図である。
第3変形例においては、成形品200の射出残渣部を把持可能な把持ユニット90が金属板10に設けられている。また、金属板10の中央には、成形品200の射出残渣部を通すための孔12が設けられている。
【0056】
把持ユニット90は、成形品200の射出残渣部を挟んで支持する挟持部92を有する。挟持部92は、金属板10の孔12の部分に配置されている。挟持部92は、開閉可能であり、閉じる状態で射出残渣部を挟持し、開いた状態で射出残渣部を解放する。なお、挟持部92の開閉は、例えば、アクチュエータによって電磁的に行われたり、空気(正圧の空気)の供給を受けて行われたりする。把持ユニット90は、例えば、樹脂成型機100のエジェクタピン112の動作に連動して動作する。
【0057】
複数の吸着ユニット20は、把持ユニット90(具体的には、挟持部92)の周囲に配置されている。例えば、吸着ユニット20は、挟持部92を囲むように配置されている。このように吸着ユニット20が挟持部92の周囲に配置されていることで、挟持部92及び複数の吸着ユニット20が、成形品200の姿勢を安定しやすくなる。
なお、第3変形例の吸着ユニット20の構成は、図3で示す構成と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0058】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の成形品取出装置1は、金属板10に互いに離間した状態で設けられ成形品200を吸着可能な複数の吸着ユニット20と、吸着ユニット20の各々から負圧発生部50に吸引される空気が流れる流路部40とを備える。また、吸着ユニット20は、樹脂製の本体部22と、本体部22の下端に設けられ金属板10に対して移動可能に磁力で固定される磁石部26を有する。
複数の吸着ユニット20の磁石部26の各々が、金属板10に対して移動可能に磁力で固定されていることで、複数の吸着ユニット20の金属板10への固定位置を自在に調整できる。また、本体部22が樹脂製であることで、吸着ユニット20が軽量化されるため、金属板10が移動する際に吸着ユニット20が重さによって金属板10から外れることを抑制できる。これにより、例えば射出成形の度に成形品200の大きさや形状が変わっても、吸着ユニット20の位置調整に要する時間を短くできると共に、成形品200の姿勢を安定させるように吸着保持することができる。
さらに、金属板10に固定された複数の吸着ユニット20を軽量化することで、金属板10を高速に移動させることができるので、成形品200の生産性が向上する。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0060】
1 成形品取出装置
10 金属板
20 吸着ユニット
22 本体部
24 吸着パッド
26 磁石部
30 スペーサ
40 流路部
50 負圧発生部
100 樹脂成型機
110 金型
120 吸着ユニット
130 移動部材
200 成形品
202 主面
204 側面
212 孔部
228 係止部
図1
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