(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】シャンプーボウル及び理美容装置
(51)【国際特許分類】
A45D 44/02 20060101AFI20241107BHJP
A47C 1/04 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A45D44/02 A
A47C1/04
(21)【出願番号】P 2024542076
(86)(22)【出願日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2024003513
【審査請求日】2024-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】高田 知明
(72)【発明者】
【氏名】中川 隼一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正美
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-159674(JP,A)
【文献】特開2003-38239(JP,A)
【文献】実公平3-50815(JP,Y2)
【文献】実公平4-26531(JP,Y2)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0054353(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2231728(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D44/02
A47C 1/04- 1/11
E03C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と当該底部の周縁から立ち上がった周壁部とで囲まれた施術空間を有するシャンプーボウルであって、
前記周壁部が、
被施術者の首が配置される首配置壁部と、
前記首配置壁部の左右に連接された隅壁部と、
前記施術空間に対して前記首配置壁部と反対側にある頂部壁部と、
前記隅壁部と前記頂部壁部とに連接された側壁部と、を有し、
前記頂部壁部の曲率が前記側壁部の曲率よりも小さい場合の仮想頂部壁部と比較して、前記頂部壁部が、外側に向かって弧状に湾曲して張り出していて、前記頂部壁部の曲率が、前記側壁部の曲率よりも大きく形成された
ことで、丸みを帯びた三角形状である、
ことを特徴とするシャンプーボウル。
【請求項2】
前記
側壁部のうち、前記頂部壁部の近傍の部位の左右の幅が、前記隅壁部同士の左右の幅よりも狭まっている、
ことを特徴とする請求項1に記載されたシャンプーボウル。
【請求項3】
前記
隅壁部及び前記側壁部が、外側に向かって弧状に湾曲していて、
前記周壁部の曲率が、前記隅壁部、前記頂部壁部、前記側壁部の順に大きい、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたシャンプーボウル。
【請求項4】
前記
側壁部の高さと、前記首配置壁部に取り付けられた頭部支持装置の高さとが一致する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたシャンプーボウル。
【請求項5】
前記首配置壁部の上端部から前記底部までの距離よりも、前記首配置壁部の上端部から前記隅壁部の上端部までの距離の方が長い、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたシャンプーボウル。
【請求項6】
シャワーヘッドが設置された設置部から前記頂部壁部の上端部までの距離よりも、前記設置部から前記底部までの距離の方が長い、
ことを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載されたシャンプーボウル。
【請求項7】
被施術者が利用する施術台と、
前記施術台の背もたれ部の後側に配置された請求項1又は請求項2に記載されたシャンプーボウルと、を有する、
ことを特徴とする理美容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャンプーボウル及び理美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアサロン等の理美容施設には、シャンプーやスカルプマッサージ等の施術に用いられる装置として、例えば、下記特許文献1に記載された理美容用椅子(以下、「文献公知1発明」と記す。)がある。文献公知1発明は、被施術者が座る椅子と、この椅子の後方に設置されたシャンプーボウルとを有している。椅子の背もたれ部が倒れると、被施術者の頭部がシャンプーボウルに置かれ、施術者は、シャンプーボウルの内側で被施術者の頭部を施術する。
【0003】
施術に際し、施術者は、シャンプーボウルの側方に立って被施術者の頭部を横から扱う場合の他、近年では、シャンプーボウルの後方に立って被施術者の頭部を頭頂部側から扱う場合(以下、「バックシャンプー」と記す。)が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シャンプーボウルの形状は様々であり、例えば、文献公知1発明であれば、概ね横長の楕円形状であるし、他では、四角形状の場合もある。しかし、特にバックシャンプーに適したシャンプーボウルの形状は、未だ確立されていない。すなわち、文献公知1発明では、バックシャンプーに際して、施術者にとって施術し易い大きさや形状等は考慮されていない。
【0006】
本開示は、上記の実情に鑑みて提案されたものであり、バックシャンプーに適した大きさや形状に設計されたシャンプーボウル及び理美容装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係るシャンプーボウルは、底部と当該底部の周縁から立ち上がった周壁部とで囲まれた施術空間を有するものであって、前記周壁部が、被施術者の首が配置される首配置壁部と、前記首配置壁部の左右に連接された隅壁部と、前記施術空間に対して前記首配置壁部と反対側にある頂部壁部と、前記隅壁部と前記頂部壁部とに連接された側壁部と、を有し、前記頂部壁部の曲率が前記側壁部の曲率よりも小さい場合の仮想頂部壁部と比較して、前記頂部壁部が、外側に向かって弧状に湾曲して張り出していて、前記頂部壁部の曲率が、前記側壁部の曲率よりも大きく形成された、ことを特徴とする。
【0008】
本開示に係るシャンプーボウルは、前記隅壁部及び前記側壁部が、外側に向かって弧状に湾曲していて、前記周壁部の曲率が、前記隅壁部、前記頂部壁部、前記側壁部の順に大きい、ことを特徴とする。
【0009】
本開示に係るシャンプーボウルは、前記側壁部の高さと、前記首配置壁部に取り付けられた頭部支持装置の高さとが一致する、ことを特徴とする。
【0010】
本開示に係るシャンプーボウルは、前記首配置壁部の上端部から前記底部までの距離よりも、前記首配置壁部の上端部から前記隅壁部の上端部までの距離の方が長い、ことを特徴とする。
【0011】
本開示に係るシャンプーボウルは、シャワーヘッドが設置された設置部から前記頂部壁部の上端部までの距離よりも、前記設置部から前記底部までの距離の方が長い、ことを特徴とする。
【0012】
本開示に係る理美容装置は、被施術者が利用する施術台と、前記施術台の背もたれ部の後側に配置された上記のシャンプーボウルと、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係るシャンプーボウルは、底部と当該底部の周縁から立ち上がった周壁部とで囲まれた施術空間を有するものであって、周壁部が、被施術者の首が配置される首配置壁部と、首配置壁部の左右に連接された隅壁部と、施術空間に対して首配置壁部と反対側にある頂部壁部と、隅壁部と頂部壁部とに連接された側壁部と、を有し、頂部壁部の曲率が側壁部の曲率よりも小さい場合の仮想頂部壁部と比較して、頂部壁部が、外側に向かって弧状に湾曲して張り出していて、頂部壁部の曲率が、側壁部の曲率よりも大きく形成され、シャワーヘッドが、頂部壁部の内側に配置されている。頂部壁部が張り出した分だけ、施術空間が広くなる。施術者が頂部壁部の後側から施術する際、施術空間は、施術者側に向けて広がっているため、特にバックシャンプーに適している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルを有する理美容装置の非施術状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルを有する理美容装置の非施術状態の側面図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルを有する理美容装置の施術状態の斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルを有する理美容装置の施術状態の側面図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルの斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルの上面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルの底面図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルの前面図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルの側面図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルの後面図である。
【
図11】
図11は、
図8のXI-XI断面であって、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示に係るシャンプーボウルは、隅壁部及び側壁部が、外側に向かって弧状に湾曲していて、周壁部の曲率が、隅壁部、頂部壁部、側壁部の順に大きい。この構成により、周壁部の形状は、概ね三角形となる。側壁部のうち、頂部壁部の近傍の部位は、隅壁部と比較して幅が狭まっていることから、被施術者の頭部に近い。バックシャンプー時に、施術者は、側壁部に腕を置くところ、腕を置く部位が、被施術者の頭部に近いため、施術者は、手で被施術者の頭部を掴みつつ、腕を側壁部に置くことができる。なお、仮に、シャンプーボウルの周壁部が、横長の楕円形状や四角形状であった場合、頭頂部の近傍では、周壁部の曲率が小さいため、周壁部は頭部に近くない。したがって、バックシャンプー時に、施術者が手で被施術者の頭部を掴んだとき、周壁部が当たるのは、肘に近い位置となり、この姿勢は、施術者にとって、バックシャンプーに適しているとは言えない。
【0016】
本開示に係るシャンプーボウルは、側壁部の高さと、首配置壁部に取り付けられた頭部支持装置の高さとが一致する。施術者が腕を側壁部に置き、手で被施術者の頭部を掴んだときの腕の姿勢が、概ね真っすぐとなるため、手首を回転させることで、手を頭頂部や後頭部に届かせることができる。
【0017】
本開示に係るシャンプーボウルは、首配置壁部の上端部から前記底部までの距離よりも、首配置壁部の上端部から隅壁部の上端部までの距離の方が長い。バックシャンプーでは、施術者が被施術者の頭頂部側から施術するため、シャワーヘッドからの湯水が首配置壁部や隅壁部側に飛散する。本開示では、隅壁部が高いことから、湯水が隅壁部を乗り越えることが抑止される。
【0018】
本開示に係るシャンプーボウルは、シャワーヘッドが設置された設置部から頂部壁部の上端部までの距離よりも、設置部から底部までの距離の方が長い。バックシャンプーでは、施術者が被施術者の頭頂部側から施術するため、施術者の手元側である頂部壁部側の施術空間が広いと便利である。一方で、頂部壁部が高いと、施術者が手を施術空間に入れ辛くなる。本開示では、頂部壁部が低く、底部が深いため、バックシャンプーに適している。
【0019】
本開示に係る理美容装置は、被施術者が利用する施術台と、施術台の背もたれ部の後側に配置された上記のシャンプーボウルとを有している。よって、上記したシャンプーボウルと同様の効果を奏する。
【0020】
以下、本開示の実施形態に係るシャンプーボウルを図面に基づいて説明する。
図1ないし4には、本実施形態に係るシャンプーボウル9が備えられた理美容装置1が示されている。
図1及び2には、シャンプーボウル9による施術が実行される前の状態である非施術状態の理美容装置1が示され、
図3及び4には、シャンプーボウル9による施術が可能な状態である施術状態の理美容装置1が示されている。なお、以下では、理美容装置1において、施術台2がある方向を前側(Front)とし、シャンプーボウル9がある方向を後側(Back)とし、側方をそれぞれ左右側(Right Side、Left Side)とし、高さ方向をそれぞれ上側及び下側(Up、Down)とする(
図1参照)。
【0021】
図1ないし4に示されているとおり、理美容装置1は、被施術者(図示省略)が利用する施術台2と、この施術台2の後方に配置されて被施術者の頭部が置かれるシャンプーボウル9とを有している。施術台2は、被施術者が横たわるシート部3と、このシート部3を下から支持した昇降部4とを有している。シート部3は、被施術者が座る座部5と、この座部5の前方に連結されて被施術者の脚が載せられる脚置き部6と、座部5の後方に連結されて被施術者の上半身が載せられる背もたれ部7とを有している。シート部3は、座部5の左右側に配置されて被施術者の腕が載せられる肘置き部(図示省略)を有している場合もある。施術台2は、昇降部4が稼働して上下に伸縮することで、シート部3が昇降し、また、背もたれ部7が倒れ又は起きることでシート部3の角度が変化する。背もたれ部7が倒れると、シート部3は、水平又は概ね水平となる。施術台2の姿勢は、施術者(図示省略)に操作されることで、任意に変化するし、また、予め決定された姿勢に、自動的に変化する。
【0022】
シャンプーボウル9は、被施術者が、シート部3に仰向けに横たわった状態で頭部を置き、施術を受けるためのものである。施術者は、シャンプーボウル9の後側に立ち(又はスツールに座り)、被施術者の頭部及び頭髪を施術する。施術は、例えば、シャンプー、スカルプマッサージ、カラー、パーマ、アイメイク等が含まれる。シャンプーボウル9は、台座部10の上に設置されている。シャンプーボウル9は、底部14と周壁部15とから構成され、概ね半球状である。シャンプーボウルにおいて、底部14には、排水口11が形成され、周壁部15の内面には、給湯水の止水栓12や、給湯水が放出されるシャワーヘッド13等が設置されている。周壁部15のうち、シート部3と対面する前側の一部は陥没し、頭部支持装置8が取り付けられている。頭部支持装置8は自在に着脱される。頭部支持装置8には、被施術者の首や頭部が置かれる。
【0023】
ここで、シャンプーボウル9を図面に基づいて詳説する。
図5ないし11には、シャンプーボウル9の外観及び断面が示されている。
【0024】
図5ないし11に示されているとおり、シャンプーボウルは、底部14と、この底部14の周縁から立ち上がった周壁部15とを有している。底部14と周壁部15とで囲まれたシャンプーボウル9の内側は、施術空間であり、この施術空間に被施術者の頭部が置かれる。シャンプーボウル9は、前後方向を中心線35とした場合に、左右対称である(
図6参照)。
【0025】
周壁部15は、この周壁部15の前側を構成する首配置壁部16と、周壁部15の左右側のうち、前側寄りを構成して首配置壁部16の左右に連接された隅壁部17と、周壁部15の後側を構成して施術空間に対して首配置壁部16と反対側に在る頂部壁部18と、周壁部15の左右側を構成して隅壁部17と頂部壁部18とに連接された側壁部19とを有している。周壁部15は、上側を構成する上側周壁部20と、下側を構成する下側周壁部21とに区分され、上下各周壁部20,21は、段違いに連接されている。下側周壁部21の施術空間は、上側周壁部20の施術空間よりも狭く、上側周壁部20の施術空間は、下側周壁部21の施術空間よりも広い。上下各周壁部20,21は、上側に向かうにしたがって外側に傾斜している。
【0026】
首配置壁部16は、周壁部15における他の部位よりも低く形成され、被施術者の首を通すための凹状の首載置空間をシャンプーボウル9の縁に形成している。首配置壁部16の上端部には、前側平坦面22が形成されている(
図11)。前側平坦面22は、外側に向かって張り出した平坦な面である。前側平坦面22の前端部は、上側に向けて僅かに突出している。首配置壁部16は、前側平坦面22を境界とした内側が下側周壁部21の一部を構成し、前側平坦面22を境界とした外側が上側周壁部20の一部を構成している。前側平坦面22には、頭部支持装置8が着脱される。よって、前側平坦面22には、頭部支持装置8を介して、被施術者の首が配置される。
【0027】
隅壁部17は、首配置壁部16よりも高く形成され、隅壁部17の上端部は、首配置壁部16の前側平坦面22よりも上側に在る。隅壁部17は、上側に向かって伸びると共に、外側に向かって緩やかに傾斜している。側壁部19には、側壁段部23が形成されている。側壁段部23は、外側に向けて張り出し、上面に止水栓12等が設置されている。側壁部19は、側壁段部23を境界とした内側が下側周壁部21の一部を構成し、側壁段部23を境界とした外側が上側周壁部20の一部を構成している。頂部壁部18には、シャワーヘッド13の設置部として、後側平坦面24が形成されている。後側平坦面24は、外側に向かって張り出した平坦な面であり、シャワーヘッド13が設置されている。シャワーヘッド13は、シャンプーボウル9の中心線35上に在る。後側平坦面24と側壁段部23とは、連接されている。頂部壁部18は、後側平坦面24を境界とした内側が下側周壁部21の一部を構成し、後側平坦面24を境界とした外側が上側周壁部20の一部を構成している。
【0028】
図6に示されているとおり、上側周壁部20において、両側壁部19は、後側で頂部壁部18を介して連接され、前側で両隅壁部17を介して首配置壁部16の両端に連接されている。頂部壁部18は、中心線35上にあり首配置壁部16の中心と対面している。よって、シャンプーボウル9は、単一の頂部壁部18及び二つの隅壁部17を頂点とした概ね三角形状である。上側周壁部20の頂部壁部18、隅壁部17及び側壁部19は、外側に向かって弧状に湾曲しているため、三角形状は、丸みを帯びている。上側周壁部20の第一湾曲部位26の曲率、第二湾曲部位27の曲率、第三湾曲部位28の曲率は、隅壁部17、頂部壁部18、側壁部19の順に大きい(第一湾曲部位26の曲率>第二湾曲部位27の曲率>第三湾曲部位28の曲率)。ここで、頂部壁部18は、仮に、頂部壁部18の第二湾曲部位27の曲率が側壁部19の第三湾曲部位28の曲率よりも小さかった場合の仮想頂部壁部25と比較して、仮想頂部壁部25よりも外側に張り出している。換言すれば、仮に、シャンプーボウル9が横長の楕円形状であった場合の頂部壁部相当部位と比較して、シャンプーボウル9が三角形状である頂部壁部18は、外側に張り出している。
【0029】
上側から視して、上側周壁部20の隅壁部17は、首配置壁部16よりも外側に張り出しているが、上側周壁部20の隅壁部17は、上端部の第一湾曲部位26の曲率と下端部の第四湾曲部位29の曲率とが異なる。詳説すれば、
図7に示されているとおり、隅壁部17の下端部の第四湾曲部位29の曲率は、上端部の第一湾曲部位26の曲率よりも小さい。よって、下側から視して、上側周壁部20の下端部の周縁は、首配置壁部16が、隅壁部17よりも外側に張り出している。すなわち、上側周壁部20は、上側に向かうにしたがって外側に傾斜しているところ、隅壁部17も上側に向かうにしたがって外側に傾斜したことで、上端部においては首配置壁部16よりも外側に張り出しているため、隅壁部17の上端部の第一湾曲部位26の曲率と、隅壁部17の下端部の第四湾曲部位29の曲率とで異なることになる。なお、
図6及び7では、第一湾曲部位26、第二湾曲部位27、第三湾曲部位28及び第四湾曲部位29は、特定の一点のみを指し示しているが、第一湾曲部位26の曲率、第二湾曲部位27の曲率、第三湾曲部位28の曲率及び第四湾曲部位29の曲率は、図示した特定の一点の曲率を意味するのではない。各部位26,27,28,29の曲率は、隅壁部17、頂部壁部18及び側壁部19の適当な範囲における曲率である。
【0030】
図11に示されているとおり、首配置壁部16の上端部(前側平坦面22)から底部14までの距離30よりも、前側平坦面22から隅壁部17の上端部までの距離31の方が長い。また、シャワーヘッド13が設置された後側平坦面24から頂部壁部18の上端部までの距離32よりも、後側平坦面24から底部14までの距離33の方が長い。
【0031】
図10及び11に示されているとおり、側壁部19のうち、頂部壁部18の近傍の高さと、首配置壁部16に取り付けられた頭部支持装置8のうち、被施術者のうなじや後頭部近傍が置かれるボール部8aの高さとが、概ね一致している(図中線34参照)。
【0032】
以上のとおり、本実施形態が構成されている。次に、本実施形態の効果を説明する。
【0033】
上記したとおり、本実施形態では、上側周壁部20の頂部壁部18は、仮想頂部壁部25よりも外側に張り出しており、頂部壁部18の第二湾曲部位27の曲率は、側壁部19の第三湾曲部位28の曲率よりも大きい(
図6参照)。したがって、頂部壁部18が張り出した分だけ、施術空間が広くなる。頂部壁部18の後ろ側にいる施術者にとって、施術空間が施術者側に向けて広がっているため、バックシャンプーに適している。
【0034】
本実施形態では、上側周壁部20は、単一の頂部壁部18及び二つの隅壁部17を頂点とし、上側周壁部20の第一湾曲部位26の曲率、第二湾曲部位27の曲率、第三湾曲部位28の曲率は、隅壁部17、頂部壁部18、側壁部19の順に大きく(第一湾曲部位26の曲率>第二湾曲部位27の曲率>第三湾曲部位28の曲率)、頂部壁部18、隅壁部17及び側壁部19が外側に向かって弧状に湾曲したことで、丸みを帯びた三角形状である(
図6参照)。頂部壁部18の近傍の部位は、隅壁部17と比較して幅が狭まっていることから、被施術者の頭部に近い。バックシャンプー時に、施術者は、側壁部19に腕を置くところ、腕を置く部位が、被施術者の頭部に近いため、施術者は、手で被施術者の頭部を掴みつつ、腕を側壁部19に置くことができる。
【0035】
本実施形態では、側壁部19のうち、頂部壁部18の近傍の高さと、首配置壁部16に取り付けられた頭部支持装置8のボール部8aの高さとが、概ね一致している(
図10及び11参照)。施術者が腕を側壁部19に置き、手で被施術者の頭部を掴んだときの腕の姿勢が、概ね真っすぐとなるため、手首を回転させることで、手を頭頂部や後頭部に届かせることができる。
【0036】
本実施形態では、首配置壁部16の上端部(前側平坦面22)から底部14までの距離30よりも、前側平坦面22から隅壁部17の上端部までの距離31の方が長い(
図10及び11参照)。バックシャンプーでは、施術者が被施術者の頭頂部側から施術するため、シャワーヘッド13からの湯水が首配置壁部16や隅壁部17側に飛散するが、隅壁部17が高いことから、湯水が隅壁部17を乗り越えることが抑止される。
【0037】
本実施形態では、シャワーヘッド13が設置された後側平坦面24から頂部壁部18の上端部までの距離32よりも、後側平坦面24から底部14までの距離33の方が長い(
図10及び11参照)。バックシャンプーでは、施術者が被施術者の頭頂部側から施術するため、施術者の手元側である頂部壁部18側の施術空間が広いと便利である。一方で、頂部壁部18が高いと、施術者が手を施術空間に入れ辛くなる。本実施形態では、頂部壁部18が低く、底部14が深いため、バックシャンプーに適している。
【0038】
なお、本開示の他の実施形態では、上側周壁部の頂部壁部が、仮想頂部壁部よりも外側に張り出していて、頂部壁部の曲率が側壁部の曲率よりも大きい限りにおいて、側壁部の曲率や隅壁部の曲率は任意である。
別の他の実施形態は、頭部支持装置を有していない。この場合、首配置壁部の前側平坦面に、非施術者の首が直接置かれる。
別の他の実施形態は、側壁部のうち、頂部の近傍の高さと、首配置壁部に取り付けられた頭部支持装置のうち、被施術者のうなじや後頭部高近傍が置かれるボール部の高さとが、一致していない。
別の他の実施形態は、側壁部のうち、頂部の近傍の高さと、首配置壁部に取り付けられた頭部支持装置のうち、被施術者のうなじや後頭部高近傍が置かれるボール部の高さとが、完全に一致している。
別の他の実施形態は、首配置壁部の上端部(前側平坦面)から底部までの距離よりも、前側平坦面から隅壁部の上端部までの距離の方が短い。
別の他の実施形態は、首配置壁部の上端部(前側平坦面)から底部までの距離と、前側平坦面から隅壁部の上端部までの距離とが概ね同じである。
別の他の実施形態は、後側平坦面から頂部壁部の上端部までの距離よりも、後側平坦面から底部までの距離の方が短い。
別の他の実施形態は、後側平坦面から頂部壁部の上端部までの距離と、後側平坦面から底部までの距離とが概ね同じである。
【0039】
以上、本開示の実施形態を詳述したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。そして本開示は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 理美容装置
2 施術台
3 シート部
4 昇降部
5 座部
6 脚置き部
7 背もたれ部
8 頭部支持装置
8a ボール部
9 シャンプーボウル
10 台座部
11 排水口
12 止水栓
13 シャワーヘッド
14 底部
15 周壁部
16 首配置壁部
17 隅壁部
18 頂部壁部
19 側壁部
20 上側周壁部
21 下側周壁部
22 前側平坦面
23 側壁段部
24 後側平坦面(設置部)
25 仮想頂部壁部
26 第一湾曲部位
27 第二湾曲部位
28 第三湾曲部位
29 第四湾曲部位
30~33 距離
34 線
35 中心線
【要約】
バックシャンプーに適した大きさや形状に設計されたシャンプーボウル及び理美容装置を提供する。
シャンプーボウル(9)は、底部(14)と、この底部の周縁から立ち上がった周壁部(15)とによって囲まれた施術空間を有しており、周壁部は、首配置壁部(16)と、この首配置壁部の左右に連接された隅壁部(17)と、首配置壁部と反対側に在る頂部壁部(18)と、隅壁部と頂部壁部とに連接された側壁部(19)とを有しており、頂部壁部が、第二湾曲部位(27)の曲率が第三湾曲部位(28)の曲率よりも小さかった場合の仮想頂部壁部(25)よりも外側に張り出している。