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特許7583516リン含有バイオマスの固形物燃焼装置およびその燃焼方法、ならびにリン含有バイオマスエネルギー回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】リン含有バイオマスの固形物燃焼装置およびその燃焼方法、ならびにリン含有バイオマスエネルギー回収方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 7/00 20060101AFI20241107BHJP
   F23K 1/00 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
F23G7/00 104B
F23G7/00 102B
F23K1/00 A ZAB
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019070033
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2020169740
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-07-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 明恵
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】槙原 進
【審判官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-34301(JP,A)
【文献】特開2016-199622(JP,A)
【文献】特開2015-120164(JP,A)
【文献】特開2015-194308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 7/00
F23K 1/00
C02F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン含有バイオマスとカルシウム含有物質とを混合し、燃焼させるリン含有バイオマスの固形物燃焼装置であって、
前記カルシウム含有物質の合計質量中のカルシウム含有率が質量%以下であり、
前記カルシウム含有物質が、製紙汚泥であり
固形物燃焼装置に供給する前記リン含有バイオマスの合計質量をM1、水分をW、固形物中のリン含有率をC1とし、前記カルシウム含有物質の合計質量をM2、前記カルシウム含有物質の合計質量に対するカルシウム含有率をC2とする場合に、M2≧M1×C1×(1-W/100)/C2である、
リン含有バイオマスの固形物燃焼装置。
【請求項2】
前記リン含有バイオマス固形物中のリン含有率が15質量%以上である、請求項1に記載のリン含有バイオマスの固形物燃焼装置。
【請求項3】
固形物燃焼装置に供給する前記リン含有バイオマスの合計質量をM1、水分をW、固形物中のリン含有率をC1とし、前記カルシウム含有物質の合計質量をM2、前記カルシウム含有物質の合計質量に対するカルシウム含有率をC2とする場合に、M2>M1×C1×(1-W/100)/C2である、請求項1又は2に記載のリン含有バイオマスの固形物燃焼装置。
【請求項4】
前記固形物燃焼装置が流動床方式もしくは循環流動床方式である、請求項1~のいずれか1項に記載のリン含有バイオマスの固形物燃焼装置。
【請求項5】
リン含有バイオマスとカルシウム含有物質とを混合燃焼させるリン含有バイオマスの燃焼方法であって、
前記カルシウム含有物質の合計質量中のカルシウム含有率が質量%以下であり、
前記カルシウム含有物質が、製紙汚泥であり
固形物燃焼装置に供給する前記リン含有バイオマスの合計質量をM1、水分をW、固形物中のリン含有率をC1とし、前記カルシウム含有物質の合計質量をM2、前記カルシウム含有物質の合計質量に対するカルシウム含有率をC2とする場合に、M2≧M1×C1×(1-W/100)/C2である、
リン含有バイオマスの燃焼方法。
【請求項6】
前記リン含有バイオマス固形物中のリン含有率が15質量%以上である、請求項に記載のリン含有バイオマスの燃焼方法。
【請求項7】
前記リン含有バイオマスと前記カルシウム含有物質とを固形物燃焼装置で混合燃焼させるリン含有バイオマスの燃焼方法であって、前記固形物燃焼装置に供給する前記リン含有バイオマスの合計質量をM1、水分をW、固形物中のリン含有率をC1とし、前記カルシウム含有物質の合計質量をM2、前記カルシウム含有物質の合計質量に対するカルシウム含有率をC2とする場合に、M2>M1×C1×(1-W/100)/C2である、請求項又はに記載のリン含有バイオマスの燃焼方法。
【請求項8】
前記リン含有バイオマスと前記カルシウム含有物質とを固形物燃焼装置で混合燃焼させるリン含有バイオマスの燃焼方法であって、前記固形物燃焼装置が流動床方式もしくは循環流動床方式である、請求項のいずれか1項に記載のリン含有バイオマスの燃焼方法。
【請求項9】
請求項のいずれか1項に記載のリン含有バイオマスの燃焼方法を用いたリン含有バイオマスエネルギー回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン含有バイオマスの固形物燃焼装置およびその燃焼方法、ならびにリン含有バイオマスエネルギー回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、下水汚泥やし尿汚泥、畜産廃棄物等の未利用バイオマスからのエネルギー回収が注目されている。これらバイオマスからエネルギーを回収する方法としては、直接燃焼による方法の他に、嫌気消化によるバイオガス回収やガス化発電が知られ、この中で直接燃焼による方法は、嫌気消化やガス化発電に伴う返流水や溜出水の処理がなく、有利である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】下水汚泥焼却炉の閉塞危険性評価方法及び閉塞防止方法(東京都下水道局技術調査年報-2016-Vo1.40 P.135-148)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バイオマスの燃焼処理や燃焼によるエネルギー回収は広く実施されているが、高濃度でリンを含有する場合、五酸化リンによる灰の融点降下を原因とするスケール障害が生じるリスクが高まる。対策として、先行技術文献1では、ポリ鉄の添加を推奨しているが、ポリ鉄は高価である上、焼却後の灰が赤褐色となり、灰の有効利用先の制限要因となる問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、新設、既設を問わず、薬品等のコスト押し上げ要因となる添加助剤を用いずにスケール障害を防ぎ、リン含有バイオマスの固形物燃焼装置およびその燃焼方法、ならびにリン含有バイオマスエネルギー回収方法を提供することである。
【0006】
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明の構成と、本発明の好ましい構成を以下に記載する。
【0007】
[1] リン含有バイオマスとカルシウム含有物質とを混合し、燃焼させるリン含有バイオマスの固形物燃焼装置。
[2] リン含有バイオマス固形物中のリン含有率が15質量%以上である[1]に記載のリン含有バイオマスの固形物燃焼装置。
[3] カルシウム含有物質の合計質量中のカルシウム含有率が12質量%以下である[1]または[2]に記載のリン含有バイオマスの固形物燃焼装置。
[4] 固形物燃焼装置に供給するリン含有バイオマスの合計質量をM1、水分をW、固形物中のリン含有率をC1とし、カルシウム含有物質の合計質量をM2、カルシウム含有物質の合計質量に対するカルシウム含有率をC2とする場合に、M2>M1×C1×(1-W/100)/C2である [1]~[3]のいずれか一つに記載のリン含有バイオマスの固形物燃焼装置。
[5] 固形物燃焼装置が流動床方式もしくは循環流動床方式である[1]~[4]のいずれか一つに記載のリン含有バイオマスの固形物燃焼装置。
[6] リン含有バイオマスとカルシウム含有物質とを混合燃焼させるリン含有バイオマスの燃焼方法。
[7] リン含有バイオマス固形物中のリン含有率が15質量%以上である[6]に記載のリン含有バイオマスの燃焼方法。
[8] カルシウム含有物質の合計質量中のカルシウム含有率が12質量%以下である[6]または[7]に記載のリン含有バイオマスの燃焼方法。
[9] リン含有バイオマスとカルシウム含有物質とを固形物燃焼装置で混合燃焼させるリン含有バイオマスの燃焼方法であって、固形物燃焼装置に供給するリン含有バイオマスの合計質量をM1、水分をW、固形物中のリン含有率をC1とし、カルシウム含有物質の合計質量をM2、カルシウム含有物質の合計質量に対するカルシウム含有率をC2とする場合に、M2>M1×C1×(1-W/100)/C2である[6]~[8]のいずれか一つに記載のリン含有バイオマスの燃焼方法。
[10] リン含有バイオマスとカルシウム含有物質とを固形物燃焼装置で混合燃焼させるリン含有バイオマスの燃焼方法であって、固形物燃焼装置が流動床方式もしくは循環流動床方式である[6]~[9]のいずれか一つに記載のリン含有バイオマスの燃焼方法。
[11] [6]~[10]のいずれか一つに記載のリン含有バイオマスの燃焼方法を用いたリン含有バイオマスエネルギー回収方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リン含有バイオマスを燃焼する際に問題となる、煙道や水管等へのスケールや釜詰まりの障害を、薬品等のコスト押し上げ要因となる添加助剤を用いずに防止できる固形物燃焼装置およびその燃焼方法を提供できる。さらに、水管へのスケールが減ることから、水管の伝熱効率を高い状態で維持でき、リン含有バイオマスから高効率でエネルギーを回収する方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0010】
[リン含有バイオマス]
本発明のリン含有バイオマスは、リン酸の形態でリンを含有する生物由来物質を含む物質である。具体的には、下水処理場やし尿処理場で発生する汚泥の他、畜産系や水産系の残渣も含まれる。リン含有率としては、固形物あたりの濃度で5質量%以上含有するものを対象とし、好ましくは15質量%以上の高濃度で含有する場合に本発明は効果を遺憾なく発揮することができる。ここで、リン含有率とは、リン含有バイオマスの固形物中に含有されるリン元素の質量%である。
【0011】
本発明において、リン含有バイオマスに含まれる水分は特に限定されるものではないが、リン含有バイオマスの固形物中、水分含有率が5~50質量%であることが好ましく、10~35質量%であることがさらに好ましく、15~25質量%であることが特に好ましい。高水分の場合、燃焼時に水分の蒸発潜熱ロスによりバイオマスエネルギーの回収率が低下し、さらに排ガス量が増えるデメリットもある。一方、低水分の場合、バイオマスが有する自己発熱現象によるバイオマスの温度上昇が大きくなり、自然発火のリスクが高まる懸念がある。
【0012】
リン含有バイオマスに含まれるリン酸は、燃焼過程で五酸化リンとなる。五酸化リンは融点が350℃と低いため、燃焼装置の火炉内で溶融状態となり、他の燃焼物や飛灰と混じってスラリー化した後、燃え殻の搬送経路や煙道や水管の表面で融点以下の温度となって、これら装置にスラリーごと固着し、燃え殻や燃焼物の搬送障害や排ガスの排出障害、排気ガス送風機の負荷増、水管の伝熱効率の低下によるエネルギー回収率の低下等の悪影響を与える。
【0013】
リン酸は、カルシウムと結合して、安定したリン酸三カルシウムの結晶となる。リン酸三カルシウムの融点は、1670℃と一般的な火炉内温度より高温であるため、予めリン酸三カルシウムの状態で火炉に入れば、溶融して前記搬送や伝熱の障害を生じる虞がない。
【0014】
[カルシウム含有物質]
カルシウム含有物質として、生石灰や消石灰、水産系残渣(ホタテの貝殻等)は、有機物含有が少なく、発熱量が少ないことから大量での添加は困難である課題がある。カルシウム濃度が高いことから計算上は少量添加でも十分と推察していたが、発明者らが鋭意検討した結果、高濃度少量添加となることからリン含有バイオマス全体に行き渡らず、局所的な反応に留まり、フリーのリン酸が残留することが判明した。鋭意検討を重ねた結果、総重量に対して数パーセント程度の比較的少ない重量濃度でカルシウムを含むカルシウム含有物質の添加が有効であることが判明した。さらに検討を進めた結果、製紙汚泥は、有機物を含み、前記リン含有バイオマスと性状が似ていることから均等な混合が容易で、カルシウム含有物質として最適であることを見出した。製紙汚泥は、ペーパースラッジもしくは製紙スラッジ、さらに略してPSとも呼称される製紙工場やパルプ工場で発生する排水汚泥であり、活性汚泥の余剰汚泥の他、パルプの製造工程や精選工程で製品から取り除かれた除外物(リジェクト)、前記パルプの製造工程や精選工程で生じた排水の処理で生じた汚泥(加圧浮上処理のフロス等)、広義には工場内で製品にならなかった紙、例えば耳紙(トリム)や損紙、抄紙機内で循環するウェットブロークやドライブローク、コートブロークが含まれることもある。紙は原料として軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムを使っているため、製紙汚泥もこれらに由来するカルシウムを高濃度で含んでいる。製紙スラッジは、カルシウムのみでなく、他の無機成分、パルプや余剰汚泥微生物の菌体等の有機物、水分から構成されている。水分は、ロータリースクリーンで濃縮後、スクリュープレスで脱水され、製紙スラッジの水分含有率として70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。高水分の場合、水分の蒸発潜熱により回収できるエネルギーが減ったり、火炉内温度の低下、燃焼排ガス量の増加などのデメリットがある。固形物中の無機分(灰分)は、熱回収上は少ない方が望ましいが、低灰分、すなわち高有機分は繊維質原料が汚泥の流失を意味することから、製品歩留まり上好ましくない。前記灰分は、25~75質量%であることが好ましく、35~65質量%であることがさらに好ましく、45~55質量%であることが特に好ましい。さらにカルシウム含有率は、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、8質量%以下であることが特に好ましい。ここで、カルシウム含有率は、水分込みペーパースラッジの合計質量に対する含有するカルシウム元素の質量%である。
【0015】
[リン含有バイオマスとカルシウム含有物質の混合方法]
リン含有バイオマスとカルシウム含有物質の混合方法は、燃焼装置の火炉に入る前に混合されることが望ましいが、必ずしも火炉に入る前に混合されず、別の搬送系統から運ばれ、火炉内で混合されても良い。
【0016】
燃焼装置の火炉に入る前にリン含有バイオマスとカルシウム含有物質の混合する方法には、燃焼装置付属の燃焼物受け入れバンカー等で混合する方法の他に、脱水前のリン含有バイオマスと脱水前のカルシウム含有物質を混合して脱水する方法、脱水前のリン含有バイオマスに脱水したカルシウム含有物質を添加して脱水する方法、脱水前のカルシウム含有物質に脱水したリン含有バイオマスを添加して脱水する方法がある。特に製紙汚泥は繊維質を多く含むため、脱水前のリン含有バイオマスに脱水した製紙汚泥を添加して脱水することで、脱水後水分減の効果も期待できる。前記脱水後水分減は、脱水機がスクリュープレス脱水機である場合特に効果が大きい。
【0017】
固形物燃焼装置に供給するリン含有バイオマスの総重量をM1、水分をW、固形物中のリン含有率をC1とし、カルシウム含有物質の合計質量をM2、カルシウム含有物質合計質量中のカルシウム含有率をC2とする場合に、M2は、0.5×M1×C1×(1-W/100)/C2から求まる質量以上とすることが好ましく、0.8×M1×C1×(1-W/100)/C2から求まる質量以上とすることがさらに好ましく、M1×C1×(1-W/100)/C2から求まる質量以上とすることが特に好ましい。前記条件を満たすM2とすることで、燃焼装置火炉内で生じた灰の融点が火炉内温度以下となることが防止でき、リン含有バイオマスが持ち込むリン酸による燃焼障害を防止できる。
【0018】
[燃焼装置]
燃焼装置は固形物を燃焼できる装置であれば特に制限はないが、ストーカー方式が好ましく、流動床方式がさらに好ましく、循環流動床方式が特に好ましい。
【0019】
本発明の燃焼装置の好ましい形態では、燃焼装置内に蒸気発生用の水管を置き、リン含有バイオマスの燃焼により生じた熱エネルギーを蒸気エネルギーに回収することが好ましい。回収した蒸気エネルギーから蒸気タービンにより電力を回収することがさらに好ましく、蒸気タービンの抽汽を熱利用する電熱併利用(コージェネレーション)とすることが熱の総利用効率を最大化でき特に好ましい。
【実施例
【0020】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す燃焼物、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0021】
[実施例1]
水分Wが20質量%、固形分中のリン含有率C1が23質量%のリン含有バイオマスAを合計質量M1として100gに対して、合計質量に対するカルシウム含有率C2が8質量%である製紙汚泥を合計質量M2として230g(M2=M1×C1×(1-W/100)/C2)を混合した試料を10サンプル用意し、各々別のルツボに入れて850℃で4時間灰化し、灰化後に灰がルツボに付着しないことを合格として評価したところ、10試料中10試料が合格であった。リン含有バイオマスA 100gに製紙汚泥を混合、灰化後の不溶融合格率は、表1に示すとおりであった。
【0022】
[実施例2]
水分Wが83質量%、固形分中のリン含有率C1が29質量%のリン含有バイオマスBを合計質量M1として100gに対して、合計質量に対するカルシウム含有率C2が8質量%である製紙汚泥を合計質量M2として62g(M2=M1×C1(1-W/100)/C2)を混合した試料を10サンプル用意し、各々別のルツボに入れて850℃で4時間灰化し、灰化後に灰がルツボに付着しないことを合格として評価したところ、10試料中10試料が合格であった。リン含有バイオマスB 100gに製紙汚泥を混合、灰化後の不溶融合格率は、表2に示すとおりであった。
【0023】
[比較例1]
水分Wが83質量%、固形分中のリン含有率C1が29質量%のリン含有バイオマスBを合計質量M1として100gに対して、合計質量に対するカルシウム含有率C2が8質量%である製紙汚泥を合計質量M2として50g(M2=0.8×M1×C1×(1-W/100)/C2)を混合した試料を10サンプル用意し、各々別のルツボに入れて850℃で4時間灰化し、灰化後に灰がルツボに付着しないことを合格として評価したところ、10試料中3試料が不合格であった。リン含有バイオマスB 100gに製紙汚泥を混合、灰化後の不溶融合格率は、表2に示すとおりであった。
【0024】
[比較例2]
水分Wが20質量%、固形分中のリン含有率C1が23質量%のリン含有バイオマスAを合計質量M1として100gに対して、合計質量に対するカルシウム含有率C2が58質量%である生石灰を合計質量M2として9g(M2=M1×C1×(1-W/100)/C2)を混合した試料を10サンプル用意し、各々別のルツボに入れて850℃で4時間灰化し、灰化後に灰がルツボに付着しないことを合格として評価したところ、10試料中7試料が不合格であった。リン含有バイオマスA 100gに生石灰スラリを混合、灰化後の不溶融合格率は、表3に示すとおりであった。
【0025】
[比較例3]
水分Wが83質量%、固形分中のリン含有率C1が29質量%のリン含有バイオマスBを合計質量M1として100gに対して、合計質量に対するカルシウム含有率C2が58質量%である生石灰を合計質量M2として32g(M2=M1×C1×(1-W/100)/C2)を混合した試料を10サンプル用意し、各々別のルツボに入れて850℃で4時間灰化し、灰化後に灰がルツボに付着しないことを合格として評価したところ、10試料中4試料が不合格であった。リン含有バイオマスB 100gに生石灰スラリを混合、灰化後の不溶融合格率は、表4に示すとおりであった。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】