(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いた破砕物搬出方法に使用する破砕機運転管理方法、並びに積込機及び移動式破砕機を用いた破砕物搬出方法に使用する破砕機運転管理方法
(51)【国際特許分類】
E02F 7/00 20060101AFI20241107BHJP
E21D 9/12 20060101ALI20241107BHJP
E21F 13/08 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
E02F7/00 C
E02F7/00 E
E21D9/12 B
E21D9/12 K
E21F13/08
(21)【出願番号】P 2019148711
(22)【出願日】2019-08-14
【審査請求日】2022-07-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(73)【特許権者】
【識別番号】592093833
【氏名又は名称】青山機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】副島 幸也
(72)【発明者】
【氏名】山中 純士
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】古屋野 浩志
【審判官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-333318(JP,A)
【文献】特開2012-86224(JP,A)
【文献】特開2017-209595(JP,A)
【文献】特表2004-533680(JP,A)
【文献】特開2007-93469(JP,A)
【文献】特開2009-281068(JP,A)
【文献】特開2008-070955(JP,A)
【文献】特開11-10023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 5/00- 7/10
E21D 1/00- 9/14
E21F 1/00-17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルを掘削する際に発生する掘削物を含む破砕物を積込機で運搬し、移動式破砕機に投入することにより、破砕物を前記移動式破砕機の操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の振動フィーダで破砕装置へ送り、前記操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の前記破砕装置で破砕して、破砕後の破砕物を前記操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の搬送コンベアを介してベルトコンベアに受け渡しし、前記ベルトコンベアにより搬出するトンネル内で積込機、移動式破砕機及びベルトコ ンベアを用いた破砕物搬出方法に使用する破砕機運転管理方法であって、
前記移動式破砕機に、前記振動フィーダの破砕物の送り動作中の負荷及び前記破砕装置の破砕物の破砕動作中の負荷を各別に計測し、当該各負荷の情報を無線で送信する振動フィーダ情報送信機及び破砕装置情報送信機と、前記破砕装置の破砕物の破砕状況を撮像し、当該破砕状況の画像情報を無線で送信する破砕状況画像情報送信機と、前記搬送コンベアの動作状況を監視し、前記搬送コンベアの動作状況の情報を無線で送信する搬送コンベア情報送信機とを搭載し、
前記破砕状況画像情報送信機として、監視カメラに送信機を組み込んで前記監視カメラにより撮像した画像データを前記送信機で送信する形式を採用し、前記監視カメラを前記トンネル内で前記破砕装置の上方
の、掘削物の破砕状況を捉え得る適宜の位置に
、前記移動式破砕機から引き離して設置
し、
前記移動式破砕機の操作部に、前記移動式破砕機の前記振動フィーダ、前記破砕装置及び前記搬送コンベアを外部機器により無線で遠隔操作するための通信機を併設し、
前記外部機器として通信機能付きのモバイル端末を用い、前記モバイル端末を前記振動フィーダ情報送信機及び前記破砕装置情報送信機、前記破砕状況画像情報送信機、前記搬送コンベア情報送信機並びに前記操作部の通信機と無線で接続して、
前記積込機から、前記モバイル端末で、前記移動式破砕機による破砕物の破砕動作中の前記各送信機から前記各情報を受信して、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの動作状況を破砕物の破砕状況とともにモニタリングし、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの動作状況、及び破砕物の破砕状況に応じて、前記操作部を無線により遠隔操作し、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアをコントロールする、
ことを特徴とする積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いた破砕物搬出方法にお ける破砕機運転管理方法。
【請求項2】
トンネルを掘削する際に発生する掘削物を含む破砕物を積込機で運搬し、移動式破砕機に投入することにより、破砕物を前記移動式破砕機の操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の振動フィーダで破砕装置へ送り、前記操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の前記破砕装置で破砕して、破砕後の破砕物を前記操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の搬送コンベアで搬出するトンネル内で積込機及び移動式破砕機を用いた破砕物搬出方法に使用する破砕機運転管理方法であって、
前記移動式破砕機に、前記振動フィーダの破砕物の送り動作中の負荷及び前記破砕装置の破砕物の破砕動作中の負荷を各別に計測し、当該各負荷の情報を無線で送信する振動フィーダ情報送信機及び破砕装置情報送信機と、前記破砕装置の破砕物の破砕状況を撮像し、当該破砕状況の画像情報を無線で送信する破砕状況画像情報送信機と、前記搬送コンベアの動作状況を監視し、前記搬送コンベアの動作状況の情報を無線で送信する搬送コンベア情報送信機とを搭載し、
前記破砕状況画像情報送信機として、監視カメラに送信機を組み込んで前記監視カメラにより撮像した画像データを前記送信機で送信する形式を採用し、前記監視カメラを前記トンネル内で前記破砕装置の上方
の、掘削物の破砕状況を捉え得る適宜の位置に
、前記移動式破砕機から引き離して設置
し、
前記移動式破砕機の操作部に、前記移動式破砕機の前記振動フィーダ、前記破砕装置及び前記搬送コンベアを外部機器により無線で遠隔操作するための通信機を併設し、
前記外部機器として通信機能付きのモバイル端末を用い、前記モバイル端末を前記振動フィーダ情報送信機及び前記破砕装置情報送信機、前記破砕状況画像情報送信機、前記搬送コンベア情報送信機並びに前記操作部の通信機と無線で接続して、
前記積込機から、前記モバイル端末で、前記移動式破砕機による破砕物の破砕動作中の前記各送信機から前記各情報を受信して、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの動作状況を破砕物の破砕状況とともにモニタリングし、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの動作状況、及び破砕物の破砕状況に応じて、前記操作部を無線により遠隔操作し、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアをコントロールする、
ことを特徴とする積込機及び移動式破砕機を用いた破砕物搬出方法における破砕機運転管理方法。
【請求項3】
振動フィーダ情報送信機、破砕装置情報送信機、破砕状況画像情報送信機、搬送コンベア情報送信機、及び操作部の通信機とモバイル端末は、WiFi、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線を含む近距離用無線通信により無線接続する請求項1又は2に記載の破砕機運転管理方法。
【請求項4】
振動フィーダ情報送信機として、振動フィーダの駆動電流を計測する振動フィーダ用の電流計に送信機を組み込んで前記電流計により計測した電流値データを前記送信機で送信する方式を採用する請求項1乃至3のいずれかに記載の破砕機運転管理方法。
【請求項5】
破砕装置情報送信機として、破砕装置の駆動電流を計測する破砕装置用の電流計に送信機を組み込んで前記電流計により計測した電流値データを前記送信機で送信する方式を採用する請求項1乃至4のいずれかに記載の破砕機運転管理方法。
【請求項6】
搬送コンベア情報送信機として、搬送コンベアに送信機を組み込んだ回転計を設置して前記回転計により計測した前記搬送コンベアの回転数、回転速度を前記送信機で送信する方式を採用する請求項1乃至5のいずれかに記載の破砕機運転管理方法。
【請求項7】
モバイル端末として、通信機能付きのノート形パソコン又はタブレットを採用する請求項1乃至6のいずれかに記載の破砕機運転管理方法。
【請求項8】
モバイル端末で操作部を無線により遠隔操作して行う振動フィーダ、破砕装置、搬送コンベアのコントロールに、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの運転、停止及び動作速度の調整を含む請求項1乃至7のいずれかに記載の破砕機運転管理方法。
【請求項9】
モバイル端末で受信した各送信機からの各情報を前記モバイル端末に記録保存する請求項1乃至8のいずれかに記載の破砕機運転管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルを掘削する際に発生する掘削物を含む破砕物を積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いて搬出する、積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いた破砕物搬出方法、並びに破砕物を積込機及び移動式破砕機を用いて搬出する積込機及び移動式破砕機を用いた破砕物搬出方法に使用する破砕機運転管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルを掘削する際に発生する掘削物を含む破砕物の搬出に使用する、積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いた破砕物搬出方法について、特許文献1に、次のように、記載されている。
【0003】
トンネルを構築する際、掘削により岩片や土砂等のズリと呼ばれる掘削物が発生し、そのズリをトンネル坑外へ搬出しなければならない。このズリを搬出する方法として、ダンプトラックによりトンネル坑外へ搬出する方法がある。しかしながら、この方法では、ダンプトラックによる排気ガスや粉塵が発生し、トンネル坑内の環境を悪化させるという問題や、車両災害による安全上の問題があった。また、トンネルの長さが数kmといった長い長大トンネルでは、その輸送コストが膨大なものになるという問題もあった。
【0004】
そこで、長大トンネルでは、ベルトコンベアが使用されることが多くなっている。ベルトコンベアを使用したズリの搬出では、トンネルの切羽において発生したズリを、ホイールローダなどの積込機にて移動式破砕機まで運搬する。移動式破砕機は、積込機により投入されたズリを破砕し、後方のベルトコンベアに破砕したズリを積み込む。ベルトコンベアは、トンネル坑外まで延び、積み込まれたズリをトンネル坑外へ搬出する。
【0005】
このようなトンネル工事では、トンネル掘削の進捗に伴い掘削ズリの運搬距離が必然的に長くなる。そのため、ベルトコンベアにはトンネル掘削の進捗に合わせてベルトコンベアの延長を伸ばすことが可能な連続ベルトコンベアが使用されることが多く、この連続ベルトコンベアで、掘削ズリが切羽から坑外まで連続的に運搬される。また、この連続ベルトコンベアには、その一設備として、現場状況に合わせて移動させることが可能な移動式破砕機(移動式クラッシャー)が併せて使用されるので、この移動式破砕機と連続ベルトコンベアの組み合わせが連続ベルトコンベアシステムと呼ばれる。さらに、移動式破砕機への原石の積み込みには積込機としてホイールローダやバックホーなどの重機が使用されるので、移動式破砕機と積込機は1セットになっている。このような積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いた破砕物搬出方法では、移動式破砕機がトンネル坑内の切羽の付近に設置されて、切羽の掘削により発生したズリ(岩塊)を積込機で運搬し、移動式破砕機に投入することにより、移動式破砕機でズリをベルトコンベアで運搬するのに適した砕石サイズに破砕して、後方のベルトコンベアによりトンネル坑外まで搬出する。
この連続ベルトコンベアシステムを用いることにより、ズリをダンプで運搬する場合に比べて、ダンプによる排気ガスの排出を抑制できる他、車両の往来が低減するため、安全面・環境面で優位となり、また、複数台になるダンプトラックのオペレータを削減できることから、人員の省力化が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ダンプトラックによるズリ(破砕物)の運搬の場合、1台のダンプトラックにトラブルが発生しても、他のダンプトラックによりズリの運搬を継続できるが、連続ベルトコンベアシステムでは、トラブル時の代用が無いことから、設備の保守が非常に重要となり、とりわけ、移動式破砕機にあっては、この破砕機の処理能力を超えたズリの投入や異物の混入など様々なトラブルに対する処置が必要となる。このため、従来は、移動式破砕機のズリの投入部の周囲に人員配置を行い、破砕機の操作と監視に当たらせ、トラブルが発生したときは他の作業に従事していた作業員が対応に当たるという事後処理の対策を採っていた。トンネル工事の現場では、通常、1班に付き5-7名の編成で掘削作業を行うが、移動式破砕機の監視のために作業員を割り当てるのは作業効率上のロスが大きく、また、この監視の作業員は重機による作業が行われる場所に近接する位置にいるので、安全性に懸念がある。そこで、監視の作業員を配置することなしに監視の作業員を置くのと同等以上の効果を見込める対策が求められる。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いた破砕物搬出方法において、簡単な方法で低コストに、破砕機の操作、監視専任の作業員を不要として、人員の省力化と作業員の安全確保を図ること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明(1)は、
トンネルを掘削する際に発生する掘削物を含む破砕物を積込機で運搬し、移動式破砕機に投入することにより、破砕物を前記移動式破砕機の操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の振動フィーダで破砕装置へ送り、前記操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の前記破砕装置で破砕して、破砕後の破砕物を前記操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の搬送コンベアを介してベルトコンベアに受け渡しし、前記ベルトコンベアにより搬出するトンネル内で積込機、移動式破砕機及びベルトコ ンベアを用いた破砕物搬出方法に使用する破砕機運転管理方法であって、
前記移動式破砕機に、前記振動フィーダの破砕物の送り動作中の負荷及び前記破砕装置の破砕物の破砕動作中の負荷を各別に計測し、当該各負荷の情報を無線で送信する振動フィーダ情報送信機及び破砕装置情報送信機と、前記破砕装置の破砕物の破砕状況を撮像し、当該破砕状況の画像情報を無線で送信する破砕状況画像情報送信機と、前記搬送コンベアの動作状況を監視し、前記搬送コンベアの動作状況の情報を無線で送信する搬送コンベア情報送信機とを搭載し、
前記破砕状況画像情報送信機として、監視カメラに送信機を組み込んで前記監視カメラにより撮像した画像データを前記送信機で送信する形式を採用し、前記監視カメラを前記トンネル内で前記破砕装置の上方の、掘削物の破砕状況を捉え得る適宜の位置に、前記移動式破砕機から引き離して設置し、
前記移動式破砕機の操作部に、前記移動式破砕機の前記振動フィーダ、前記破砕装置及び前記搬送コンベアを外部機器により無線で遠隔操作するための通信機を併設し、
前記外部機器として通信機能付きのモバイル端末を用い、前記モバイル端末を前記振動フィーダ情報送信機及び前記破砕装置情報送信機、前記破砕状況画像情報送信機、前記搬送コンベア情報送信機並びに前記操作部の通信機と無線で接続して、
前記積込機から、前記モバイル端末で、前記移動式破砕機による破砕物の破砕動作中の前記各送信機から前記各情報を受信して、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの動作状況を破砕物の破砕状況とともにモニタリングし、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの動作状況、及び破砕物の破砕状況に応じて、前記操作部を無線により遠隔操作し、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアをコントロールする、
ことを要旨とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明(2)は、
トンネルを掘削する際に発生する掘削物を含む破砕物を積込機で運搬し、移動式破砕機に投入することにより、破砕物を前記移動式破砕機の操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の振動フィーダで破砕装置へ送り、前記操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の前記破砕装置で破砕して、破砕後の破砕物を前記操作部での操作に基づいて作動する前記移動式破砕機の搬送コンベアで搬出するトンネル内で積込機及び移動式破砕機を用いた破砕物搬出方法に使用する破砕機運転管理方法であって、
前記移動式破砕機に、前記振動フィーダの破砕物の送り動作中の負荷及び前記破砕装置の破砕物の破砕動作中の負荷を各別に計測し、当該各負荷の情報を無線で送信する振動フィーダ情報送信機及び破砕装置情報送信機と、前記破砕装置の破砕物の破砕状況を撮像し、当該破砕状況の画像情報を無線で送信する破砕状況画像情報送信機と、前記搬送コンベアの動作状況を監視し、前記搬送コンベアの動作状況の情報を無線で送信する搬送コンベア情報送信機とを搭載し、
前記破砕状況画像情報送信機として、監視カメラに送信機を組み込んで前記監視カメラにより撮像した画像データを前記送信機で送信する形式を採用し、前記監視カメラを前記トンネル内で前記破砕装置の上方の、掘削物の破砕状況を捉え得る適宜の位置に、前記移動式破砕機から引き離して設置し、
前記移動式破砕機の操作部に、前記移動式破砕機の前記振動フィーダ、前記破砕装置及び前記搬送コンベアを外部機器により無線で遠隔操作するための通信機を併設し、
前記外部機器として通信機能付きのモバイル端末を用い、前記モバイル端末を前記振動フィーダ情報送信機及び前記破砕装置情報送信機、前記破砕状況画像情報送信機、前記搬送コンベア情報送信機並びに前記操作部の通信機と無線で接続して、
前記積込機から、前記モバイル端末で、前記移動式破砕機による破砕物の破砕動作中の前記各送信機から前記各情報を受信して、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの動作状況を破砕物の破砕状況とともにモニタリングし、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの動作状況、及び破砕物の破砕状況に応じて、前記操作部を無線により遠隔操作し、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアをコントロールする、
ことを要旨とする。
【0011】
また、上記各破砕機運転管理方法は、次のように具体化される。
(1)振動フィーダ情報送信機、破砕装置情報送信機、破砕状況画像情報送信機、搬送コンベア情報送信機、及び操作部の通信機とモバイル端末は、WiFi、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線を含む近距離用無線通信により無線接続する。
(2)振動フィーダ情報送信機として、振動フィーダの駆動電流を計測する振動フィーダ用の電流計に送信機を組み込んで前記電流計により計測した電流値データを前記送信機で送信する方式を採用する。
(3)破砕装置情報送信機として、破砕装置の駆動電流を計測する破砕装置用の電流計に送信機を組み込んで前記電流計により計測した電流値データを前記送信機で送信する方式を採用する。
(4)搬送コンベア情報送信機として、搬送コンベアに送信機を組み込んだ回転計を設置して前記回転計により計測した前記搬送コンベアの回転数、回転速度を前記送信機で送信する方式を採用する。
(5)モバイル端末として、通信機能付きのノート形パソコン又はタブレットを採用する。
(6)モバイル端末で操作部を無線により遠隔操作して行う振動フィーダ、破砕装置、搬送コンベアのコントロールに、前記振動フィーダ、前記破砕装置、前記搬送コンベアの運転、停止及び動作速度の調整を含む。
(7)モバイル端末で受信した各送信機からの各情報を前記モバイル端末に記録保存する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の破砕機運転管理方法(1)、(2)によれば、移動式破砕機に、振動フィーダ情報送信機及び破砕装置情報送信機、破砕状況画像情報送信機、搬送コンベア情報送信機とを搭載し、移動式破砕機の操作部に、移動式破砕機の振動フィーダ、破砕装置、搬送コンベアを外部機器により無線で遠隔操作するための通信機を併設し、外部機器として通信機能付きのモバイル端末を用い、モバイル端末を振動フィーダ情報送信機、破砕装置情報 送信機、破砕状況画像情報送信機、搬送コンベア情報送信機、操作部の通信機と無線で接続して、積込機から、モバイル端末で、移動式破砕機による破砕物の破砕動作中の各送信機から各情報を受信して、振動フィーダ、破砕装置、搬送コンベアの動作状況を破砕物の破砕状況とともにモニタリングし、振動フィーダ、破砕装置、搬送コンベアの動作状況、及び破砕物の破砕状況に応じて、操作部を無線により遠隔操作し、振動フィーダ、破砕装置、搬送コンベアをコントロールするので、破砕機の操作、監視専任の作業員を不要として、人員の省力化と作業員の安全確保を図ることができ、特に、この方法では、破砕状況画像情報送信機として、監視カメラに送信機を組み込んで監視カメラにより撮像した画像データを送信機で送信する形式を採用して、この監視カメラをトンネル内で破砕装置の上方の、掘削物の破砕状況を捉え得る適宜の位置に、移動式破砕機から引き離して設置するので、掘削物の破砕状況を確実に捉えた画像データがモバイル端末へ送信され、この画像データにより、作業者は、振動フィーダ、破砕装置、搬送コンベアを破砕物の破砕状況に応じてコントロールすることができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【0013】
また、本発明の破砕機運転管理方法(1)、(2)によれば、振動フィーダ情報送信機、破砕装置情報送信機、破砕状況画像情報送信機とモバイル端末を、WiFi、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線を含む近距離用無線通信により無線接続するものとし、振動フィーダ情報送信機として、振動フィーダの駆動電流を計測する振動フィーダ用の電流計に送信機を組み込んで電流計により計測した電流値データを送信機で送信する方式を、破砕装置情報送信機として、破砕装置の駆動電流を計測する破砕装置用の電流計に送信機を組み込んで電流計により計測した電流値データを送信機で送信する方式を、搬送コンベア情報送信機として、搬送コンベアに送信機を組み込んだ回転計を設置して回転計により計測した搬送コンベアの回転数、回転速度を送信機で送信する方式を、破砕状況画像情報送信機として、監視カメラに送信機を組み込んで監視カメラにより撮像した画像データを送信機で送信する形式を、それぞれ、採用し、モバイル端末として、通信機能付きのノート形パソコン又はタブレットを用いることで、上記の方法及びその方法に基づく作用効果を簡単な方法でかつ低コストに実現することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態における積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いた破砕物搬出方法に使用する破砕機運転管理方法を示す図((a)同方法の全体的なイメージを示す図(b)は同法において使用する移動式破砕機及び同方法の要部のイメージを示す図)
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1に積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いた破砕物搬出方法に使用する破砕機運転管理方法を示している。
【0016】
図1に示すように、この破砕機運転管理方法(以下、本方法という。)は、トンネルを掘削する際に発生する掘削物を含む破砕物を積込機1で運搬し、移動式破砕機2に投入することにより、破砕物を移動式破砕機2の操作部24での操作に基づいて作動する移動式破砕機2の振動フィーダ21で破砕装置22へ送り、操作部24での操作に基づいて作動する移動式破砕機2の破砕装置22で破砕して、破砕後の破砕物を操作部24での操作に基づいて作動する移動式破砕機2の搬送コンベア23を介してベルトコンベア3に受け渡しし、ベルトコンベア3により搬出する積込機1、移動式破砕機2及びベルトコンベア3を用いた破砕物搬出方法に使用するものである。なお、ここでは、トンネル坑内の切羽を掘削して発生した掘削物を積込機1、移動式破砕機2及びベルトコンベア3を用いてトンネル坑外へ搬出する破砕物搬出方法について例示し、本方法の説明を進める。
【0017】
また、この破砕物搬出方法で用いられる積込機1、移動式破砕機2、ベルトコンベア3は建設現場で一般的に使用されるもので、その概要は次のとおりである。
【0018】
積込機1には、ホイールローダやバックホーなどの重機が使用される。ここではホイールローダ(以下、ホイールローダ1という。)を使用する。ホイールローダ1は、操作室を有する車体、車体に軸支され、リフトシリンダに作動連結されるブーム、ブームの先端に取り付けられ、リンク機構を介してチルトシリンダに作動連結されるアタッチメントとしてのバケットなどからなり、トンネル坑内で、オペレータが操作室に乗り込み、オペレータの操作により、バケットを地上面近くに配置して掘削物などの原石に突入させながらブームを上昇させることにより原石をバケットに掬い取り、車体を走行させて原石を運搬し、自走式破砕機2などに投入する。
【0019】
自走式破砕機2は、クローラ式の走行装置2C上に、ホッパ20、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23、パワーユニット及びインバータ(図示省略)、操作部24などが搭載されて構成される。ホッパ20は上下に開口を有する略逆角錐形の箱状をなし、走行装置2C上の上方に設置され、このホッパ20に掘削物が投入される。振動フィーダ21は例えばグリズリフィーダが採用され、ホッパ20の下端の下方に設置され、この振動フィーダ21でホッパ20から投入された掘削物を破砕装置22に向けて送り込む。破砕装置22は多数の破砕歯を有する固定歯と多数の破砕歯を有し固定歯に対向して揺動可能に設けられる可動歯とを有し、振動フィーダ21の一端に設置され、ホッパ20内に投入され、振動フィーダ21によって破砕装置22に送られた掘削物を固定歯と可動歯との間で細かく破砕し、下方に落下させる。搬送コンベア23はベルトコンベアからなり、搬送コンベア23の基端側が破砕装置22の下側に配置され、搬送コンベア23の先端側が走行装置2Cから斜め上方に延び配置されて設置され、この搬送コンベア23で破砕装置24により破砕されて破砕装置24の下方に落下された掘削物をベルトコンベア3へ搬送する。パワーユニットは電動モータを駆動源とする油圧ユニットで、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23を駆動する。インバータはパワーユニットの電動モータの駆動電圧及び周波数を制御し、電動モータの回転速度を調整する。操作部24は振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23それぞれの、運転スイッチ、停止スイッチ、インバータの調整部、振動フィーダ21、破砕装置22それぞれの駆動電流を計測表示する電流計(図示省略)を含む各種の操作スイッチ(図示省略)、計測機器(図示省略)が設けられ、この操作部24の操作により振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23を操作する。
【0020】
ベルトコンベア3は、トンネル掘削の進捗に合わせてベルトコンベアの延長を伸ばすことが可能な連続ベルトコンベア31と、連続ベルトコンベア3の先端のベルトコンベアの先端部を支持するテールピース台車32とからなる。連続ベルトコンベア31はトンネルの坑口からトンネル坑内の移動式破砕機2の近辺までトンネル坑内の一側に沿って複数の支持部材を介して地盤上所定の高さに設置される。テールピース台車32はトンネル坑内の移動式破砕機2に近接して移動式破砕機2の搬送コンベア23の下方に設置され、テールピース台車32に搭載されるテールプーリー(図示省略)に連続ベルトコンベア31の先端から延びるベルトが巻き掛けられてこのベルトが連続ベルトコンベア31へ折り返される。このようにして移動式破砕機2から連続ベルトコンベア31にズリが受け渡しされ、この連続ベルトコンベア31でズリをトンネル坑外に向けて搬送する。
【0021】
図1に示すように、本方法では、移動式破砕機2に、振動フィーダ情報送信機及び破砕装置情報送信機と、破砕状況画像情報送信機と、搬送コンベア情報送信機とを搭載し、移動式破砕機の操作部24に、移動式破砕機2を外部機器により無線で遠隔操作するための通信機を併設し、外部機器として通信機能付きのモバイル端末4を用い、モバイル端末4を振動フィーダ情報送信機及び破砕装置情報送信機、破砕状況画像情報送信機、搬送コンベア情報送信機並びに操作部24の通信機と、WiFi、Bluetooth、特定小電力無線を含む近距離用無線通信により無線で接続して、積込機1から、モバイル端末4で、移動式破砕機2による破砕物の破砕動作中の各送信機から各情報を受信して、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23の動作状況を破砕物の破砕状況とともにモニタリングし、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23の動作状況、及び破砕物の破砕状況に応じて、操作部24を無線により遠隔操作し、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23をコントロールする。
【0022】
本方法において、振動フィーダ情報送信機及び破砕装置情報送信機はそれぞれ、振動フィーダ21の破砕物の送り動作中の負荷及び破砕装置22の破砕物の破砕動作中の負荷を各別に計測し、当該各負荷の情報を無線で送信するもので、振動フィーダ情報送信機として、振動フィーダ21の駆動電流を計測する振動フィーダ用の電流計に近距離用無線通信用の送信機を組み込んで、電流計により計測した電流値データを送信機で送信する方式を採用し、破砕装置情報送信機として、破砕装置22の駆動電流を計測する破砕装置用の電流計に近距離用無線通信用の送信機を組み込んで電流計により計測した電流値データを送信機で送信する方式を採用する。この場合、各送信機は電流計用に使用される一般製品の送信機でよい。また、各電流計に通信機能を備えていれば、それを用いればよい。
【0023】
本方法において、破砕状況画像情報送信機は、破砕装置22の破砕物の詰まり、閉塞などを含む破砕物の破砕状況を撮像し、当該破砕状況の画像情報を無線で送信するもので、破砕状況画像情報送信機として、監視カメラ5に近距離用無線通信用の送信機を組み込んで監視カメラ5により撮像した画像データを送信機で送信する形式を採用する。この場合、監視カメラ5、送信機はそれぞれ、一般製品の監視カメラ(ビデオカメラ)、監視カメラに使用される一般製品の送信機でよい。また、監視カメラに通信機能を備えていれば、それを用いればよい。なお、監視カメラ5は破砕装置22の上方で、掘削物の破砕状況を捉えることのできる適宜の位置に設置する。
【0024】
本方法において、搬送コンベア情報送信機は、搬送コンベア23のスリップ、破断などを含む動作状況を監視し、搬送コンベア23の動作状況の情報を無線で送信するもので、搬送コンベア情報送信機として、搬送コンベア23に近距離用無線通信用の送信機を組み込んだ回転計を設置して回転計により計測した搬送コンベア23の回転数、回転速度を送信機で送信する方式を採用する。この場合、回転計、送信機はそれぞれ、ベルトコンベア用の一般製品である回転計、この種の回転計に使用可能な一般製品である送信機でよい。また、回転計に通信機能を備えていれば、それを用いればよい。
【0025】
本方法において、移動式破砕機2の操作部24の通信機は、移動式破砕機2の振動フィーダ21、破砕装置22及び搬送コンベア23を外部機器により無線で遠隔操作するためのもので、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23をコントロールする制御信号等を送受信する近距離用無線通信用の一般製品である通信機を採用する。
【0026】
本方法において、モバイル端末4は、一般的に使用される通信機能付きのタブレット又はノート形パソコンを採用する。ここではタブレット(以下、タブレット4という。)を用いる。このタブレット4で、振動フィーダ21及び破砕装置22の各電流計、監視カメラ5、搬送コンベア23の回転計の各送信機から、各情報をデジタルデータとして、近距離用無線通信により受信することで、振動フィーダ21及び破砕装置22、搬送コンベア23の動作状況を掘削物の破砕状況とともに確認し、移動式破砕機2の操作部24を近距離用無線通信により遠隔操作して振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23をコントロールし、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23の運転、停止及びインバータの周波数の調整を行い、また、このタブレット4で受信した各送信機からの各情報をタブレット4(の記録部)に記録保存する。
【0027】
このように本方法では、タブレット4を振動フィーダ21の送信機及び破砕装置22の送信機、監視カメラ5の送信機、搬送コンベア23の回転計の送信機、操作部24の通信機と無線で接続して、ホイールローダ1から、タブレット4で、移動式破砕機2による破砕物の破砕動作中の振動フィーダ21及び破砕装置22の各電流計、監視カメラ5、搬送コンベア23の回転計の各送信機から振動フィーダ21及び破砕装置22、監視カメラ5、搬送コンベア23の各情報、すなわち、振動フィーダ21及び破砕装置22の電流値、監視カメラ5による掘削物の破砕画像、搬送コンベア23の回転数及び回転速度を受信して、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23の動作状況を破砕物の破砕状況とともにモニタリングし、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23の動作状況、及び破砕物の破砕状況に応じて、操作部24を無線により遠隔操作し、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23をコントロールする。
【0028】
図1にトンネル坑内の切羽を掘削して発生した掘削物をホイールローダ1、移動式破砕機2及びベルトコンベア3を用いてトンネル坑外へ搬出する破砕物搬出方法とともに、本方法の具体例を併せて示している。
【0029】
図1に示すように、まず、ホイールローダ1のオペレータがタブレット4を携帯してホイールローダ1に乗り込み、タブレット4を運転席の近傍に設置して、振動フィーダ21の送信機及び破砕装置22の送信機、監視カメラ5の送信機、搬送コンベア23の回転計の送信機、操作部24の通信機と無線接続し、このタブレット4で、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23それぞれの、運転スイッチをONにし、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23をそれぞれ、動作状態にする。そして、ホイールローダ1で、トンネルの切羽において発生したズリの運搬作業を開始する。既述のとおり、ホイールローダ1のオペレータによる操作で、ズリをバケットに掬い取り、自走式破砕機2まで運搬して、自走式破砕機2のホッパ20へ投入する。ホッパ20から投入された掘削物は振動フィーダ21で破砕装置22へ送られ、破砕装置22の固定歯と可動歯との間で細かく破砕され、下方に落下される。破砕装置22から落下されたズリは搬送コンベア23に積み込まれ、搬送コンベア23で連続ベルトコンベア31に向けて搬送され、テールピース台車32上で連続ベルトコンベア31に受け渡しされ、連続ベルトコンベア31でトンネルの坑口へ搬送される。この一連の作業が繰り返される。この作業の繰り返しの間、ホイールローダ1のオペレータはズリ置き場と移動式破砕機2との間を行き来しながら、ホイールローダ1内でタブレット4を使って、移動式破砕機2による破砕物の破砕動作中に振動フィーダ21、破砕装置22の各電流計の送信機、搬送コンベア23の回転計の送信機から送信される振動フィーダ21、破砕装置22の電流値や搬送コンベア23の回転数及び回転速度を見て、振動フィーダ21、破砕装置22及び搬送コンベア23の動作状況を確認し、監視カメラ5の送信機から送信される掘削物の破砕状況の画像を見て掘削物の破砕状況を遠隔監視する。振動フィーダ21、破砕装置22の各電流計や搬送コンベア23の回転計に異常値が表示された場合や掘削物の破砕状況の画像から掘削物の破砕状況に異常が見られた場合は、その程度に応じて、タブレット4からの無線操作により移動式破砕機2のインバータの調整を行い、振動フィーダ21、破砕装置22及び搬送コンベア23の動きを各別に又は全体的に減速して、掘削物の流れを調整し、振動フィーダ21、破砕装置22の各電流計や搬送コンベア23の回転計が正常値に戻れば、インバータの調整を行い、振動フィーダ21、破砕装置22及び搬送コンベア23の動きを各別に又は全体的に加速して(通常の動きに戻して)、掘削物の流れを調整する。また、破砕装置22に掘削物が詰まったり異物が混入したり振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23のいずれかに故障が発生したりするなど緊急事態が生じた場合は、ホイールローダ1による掘削物のホッパ20への投入を中断して、タブレット4からの無線操作により振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23を停止させて、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23のいずれか故障した箇所の修理や調整を行う。また、振動フィーダ21、破砕装置22の各電流計の送信機、搬送コンベア23の回転計の送信機から送信される振動フィーダ21、破砕装置22の各電流値、搬送コンベア23の回転数及び回転速度、監視カメラ5からの掘削物の破砕状況の画像の各データはタブレット4に記録保存しておく。これらのデータを今後の作業解析などに利用することで技術の一層の向上に役立てることができる。
【0030】
以上説明したように、本方法では、移動式破砕機2に、振動フィーダ情報送信機及び破砕装置情報送信機、破砕状況画像情報送信機、搬送コンベア情報送信機とを搭載し、移動式破砕機2の操作部24に、移動式破砕機2の振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23を外部機器により無線で遠隔操作するための通信機を併設し、外部機器として通信機能付きのタブレット4を用い、タブレット4を振動フィーダ情報送信機、破砕装置情報送信機、破砕状況画像情報送信機、搬送コンベア情報送信機、操作部24の通信機と無線で接続して、ホイールローダ1から、タブレット4で、移動式破砕機2による破砕物の破砕動作中の各送信機から各情報を受信して、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23の動作状況を破砕物の破砕状況とともにモニタリングし、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23の動作状況、及び破砕物の破砕状況に応じて、操作部24を無線により遠隔操作し、振動フィーダ21、破砕装置22、搬送コンベア23をコントロールするので、ホイールローダのオペレータのワンマンオペレーションにより、破砕機2の操作、監視専任の作業員を不要とし、作業員を2名から1名に削減して人員の省力化を実現し、併せて、作業員が従来のように移動式破砕機2上で破砕装置22などを監視する必要がなく、また、作業中の重機の周囲から作業員を排除することができ、さらに、移動式破砕機2にトラブルが発生したときでも、移動式破砕機2をこの移動式破砕機2から離れた場所で速やかに停止できることでトラブルの拡大を防止することができるなど、作業員の安全確保を図ることができる。さらに、振動フィーダ21、破砕装置22の各電流計の送信機、搬送コンベア23の回転計の送信機から送信される振動フィーダ21、破砕装置22の各電流値、搬送コンベア23の回転数及び回転速度、監視カメラ5からの掘削物の破砕状況の画像の各データをタブレット4に記録保存しておくことで、今後の作業解析などに利用することができ、技術向上の知見として役立てることができる。
【0031】
また、本方法によれば、振動フィーダ情報送信機、破砕装置情報送信機、破砕状況画像情報送信機とタブレット4を、WiFi、Bluetooth、特定小電力無線を含む近距離用無線通信により無線接続するものとし、振動フィーダ情報送信機として、振動フィーダ21の駆動電流を計測する振動フィーダ用の電流計に送信機を組み込んで電流計により計測した電流値データを送信機で送信する方式を、破砕装置情報送信機として、破砕装置22の駆動電流を計測する破砕装置用の電流計に送信機を組み込んで電流計により計測した電流値データを送信機で送信する方式を、搬送コンベア情報送信機として、搬送コンベア23に送信機を組み込んだ回転計を設置して回転計により計測した搬送コンベア23の回転数、回転速度を送信機で送信する方式を、破砕状況画像情報送信機として、監視カメラ5に送信機を組み込んで監視カメラにより撮像した画像データを送信機で送信する形式を、それぞれ、採用し、モバイル端末として、通信機能付きのタブレット4を用いることで、上記の方法及びその方法に基づく作用効果を簡単な方法でかつ低コストに実現することができる。
【0032】
なお、この実施の形態では、トンネル坑内の切羽を掘削して発生したズリを積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いてトンネル坑外へ搬出する破砕物搬出方法を例示して、本方法について説明したが、本方法は、ビルなどの構造物を破壊することで発生する建設廃材などのガラを積込機、移動式破砕機及びベルトコンベアを用いて搬出する破砕物搬出方法においても同様に適用することができ、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0033】
また、この実施の形態では、移動式破砕機から掘削物(破砕物)をベルトコンベアに受け渡しする場合を例示したが、移動式破砕機から破砕物をダンプトラックに直接受け渡しする場合にも本方法を同様に適用することができ、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 積込機(ホイールローダ)
2 移動式破砕機
2C クローラ式の走行装置
20 ホッパ
21 振動フィーダ
22 破砕装置
23 搬送コンベア
24 操作部
3 ベルトコンベア
31 連続ベルトコンベア
32 テールピース台車
4 モバイル端末(タブレット)
5 監視カメラ