(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20241107BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L23/02 F
H01L23/02 J
(21)【出願番号】P 2019201375
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-09-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】菊池 芳郎
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0117443(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0126426(US,A1)
【文献】特開2005-050940(JP,A)
【文献】特開2011-066169(JP,A)
【文献】特開2020-004770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明封止部材と実装基板とが接合され、少なくとも1つの光学素子を収容する空間を有するパッケージであって、
前記透明封止部材に設けられ、前記実装基板とともに前記空間を形成する凹部と、
前記透明封止部材と前記実装基板とのうちの一方に設けられ、前記透明封止部材と前記実装基板とが接合される部分に位置する凸部と、
を有し、
前記凸部は、前記空間への接合材の進入を抑制する段差もしくはテーパを有し、
前記凸部の突出端は、前記透明封止部材と前記実装基板とのうちの他方に接触し、
前記段差もしくは前記テーパは、前記接合材の位置よりも内側の位置に形成されている、パッケージ。
【請求項2】
請求項1記載のパッケージにおいて、
前記段差もしくは前記テーパの傾斜角が20°以上90°以下である、パッケージ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパッケージにおいて、
前記段差もしくは前記テーパは環状に形成されている、パッケージ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のパッケージにおいて、
複数の前記段差もしくは前記テーパが環状に配列されている、パッケージ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のパッケージにおいて、
前記凸部は、前記段差を有し、
前記段差は、断面矩形状の一部である、パッケージ。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のパッケージにおいて、
前記凸部は、前記テーパを有し、
前記テーパは、断面くさび形状の一部であって、前記テーパの高い部分が前記光学素子に近接する位置にある、パッケージ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のパッケージにおいて、
前記段差もしくは前記テーパの高さが10~500μmである、パッケージ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のパッケージにおいて、
前記段差もしくは前記テーパの幅は、少なくとも50μmであり、
前記段差の幅は、前記凸部のうちの、前記空間側の端面から、前記空間とは反対側の端面までの寸法であり、
前記テーパの幅は、前記凸部の前記空間側の端面から、前記空間とは反対側における前記テーパの終点までの寸法である、パッケージ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のパッケージにおいて、
前記段差もしくは前記テーパの角部が湾曲している、パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品に用いられるパッケージに関し、例えばLED(発光ダイオード)、LD(半導体レーザー)等に用いて好適なパッケージ及び透明封止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紫外線を出射する光学素子(例えばLEDやLD等)を有する光学部品は、光学素子を外気や水分から保護するために、透明封止部材が必要である。光学素子が実装された実装基板と透明封止部材との接合には、メタライズや樹脂接着剤が用いられる。
【0003】
特許文献1には、半導体素子が実装された金属製の放熱板と、該放熱板の上面に銀ロウ等のロウ材によって接合された金属製の枠体と、枠体の上面にロウ材によって接合されたセラミックス製の蓋体とで構成された筐体が開示されている。
【0004】
特許文献2には、石英等のガラスによって構成された集光レンズをレンズ保持部材に接着剤で接合した紫外線発光素子用のパッケージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-237335号公報
【文献】特開2007-311707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蓋体を実装基板に樹脂接合する際に、樹脂が光学素子の配置空間にはみ出すことがある。この場合、光学素子からの出射光が、はみ出した樹脂によって遮られて、全体の光透過率が低下するおそれがある。
【0007】
また、蓋体を実装基板に樹脂接合する際に、加圧、加熱を実施する場合がある。この場合、上述したはみ出した樹脂の一部が、加熱等によって揮発し、その揮発成分が光学素子に付着することによって、光学素子並びに光学部品が劣化するおそれがある。
【0008】
一方、蓋体を実装基板に金属接合する場合は、予めメタライズによって形成された金属層上にAuSn(金錫)等の半田を積層して、加圧加熱接合する。その際、半田が外に漏れる場合がある。半田が光学素子の配置空間に入ると、光遮断と共に配線が短絡するおそれがある。
【0009】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、透明封止部材と実装基板とが接合されて構成されるパッケージにおいて、樹脂や半田等の接合材が光学素子の配置空間にはみ出すことを回避でき、また、接合材の一部や揮発成分が光学素子等に付着するのを抑制することができるパッケージ及び透明封止部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、透明封止部材と実装基板とが接合され、少なくとも1つの光学素子を収容する空間を有するパッケージであって、前記透明封止部材と前記実装基板とが接合される部分に、前記空間への接合材の進入を抑制する段差もしくはテーパを有する。
【0011】
本発明の第2の態様は、実装基板と接合される接合面を有する透明封止部材であって、前記透明封止部材の内部への接合材の進入を抑制する段差もしくはテーパを有する。
【発明の効果】
【0012】
上記第1の態様のパッケージによれば、透明封止部材を実装基板に接合する際に、接合材の収容空間への進入を、段差もしくはテーパが抑制するため、光学素子からの出射光が、接合材によって遮られることがほとんどなくなり、全体の光透過率の低下を抑えることができる。また、透明封止部材を実装基板に接合する際に、加圧、加熱を実施した場合においても、段差もしくはテーパによって、接合材の収容空間への進入が抑制されているため、例えば接合材が樹脂の場合、樹脂の揮発成分が光学素子に付着する等の現象を抑えることができる。例えば接合材が半田等の場合、光遮断と共に配線が短絡する現象を抑えることができる。これは、光学素子並びに光学部品の品質の劣化を抑えることにつながる。
【0013】
上記第2の態様の透明封止部材によれば、透明封止部材を実装基板に接合する際に、接合材の収容空間への進入を、段差もしくはテーパが抑制するため、光学素子からの出射光が、接合材によって遮られることがほとんどなくなり、全体の光透過率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1Aは第1の実施の形態に係るパッケージ(第1パッケージ)を示す縦断面図であり、
図1Bは第1パッケージを分解して示す縦断面図である。
【
図2】
図2Aは第1パッケージの透明封止部材に形成された段差の第1の例を示す拡大断面図であり、
図2Bは上記段差の第2の例を示す拡大断面図である。
【
図3】
図3Aは第1パッケージの透明封止部材に形成された段差の第3の例を示す拡大断面図であり、
図3Bは上記段差の第4の例を示す拡大断面図である。
【
図4】
図4Aは透明体の台座の底面に段差を有する凸部を円環状に形成した例を示す底面図であり、
図4Bは段差を有する複数の凸部を円環状に配列した例を示す底面図であり、
図4Cは段差を有する凸部を矩形環状に形成した例を示す底面図であり、
図4Dは段差を有する複数の凸部を矩形環状に配列した例を示す底面図である。
【
図5】
図5Aは凸部における収容空間側の端面の位置を透明体の内周面の位置に合わせた例を示す拡大断面図であり、
図5Bは上記端面の位置を、透明体の台座の外周側にずらした例を示す拡大断面図である。
【
図6】
図6Aは
図2Aに示す凸部の収容空間側の端面を傾斜面とした例を示す拡大断面図であり、
図6Bは
図3Aに示す凸部の収容空間側の端面を傾斜面とした例を示す拡大断面図である。
【
図7】
図7Aは比較例に係るパッケージを示す縦断面図であり、
図7Bは比較例に係るパッケージを分解して示す縦断面図である。
【
図8】
図8Aは第2の実施の形態に係るパッケージ(第2パッケージ)を示す縦断面図であり、
図8Bは第2パッケージを分解して示す縦断面図である。
【
図9】
図9Aは第3の実施の形態に係るパッケージ(第3パッケージ)を示す縦断面図であり、
図9Bは第3パッケージを分解して示す縦断面図である。
【
図10】
図10Aは第4の実施の形態に係るパッケージ(第4パッケージ)を示す縦断面図であり、
図10Bは第4パッケージを分解して示す縦断面図である。
【
図11】
図11Aは第4パッケージの実装基板に形成された段差の第1の例を示す拡大断面図であり、
図11Bは上記段差の第2の例を示す拡大断面図である。
【
図12】
図12Aは第4パッケージの実装基板に形成された段差の第3の例を示す拡大断面図であり、
図12Bは上記段差の第4の例を示す拡大断面図である。
【
図13】
図13Aは実装基板の上面に段差を有する凸部を円環状に形成した例を示す上面図であり、
図13Bは段差を有する複数の凸部を円環状に配列した例を示す上面図であり、
図13Cは段差を有する凸部を矩形環状に形成した例を示す上面図であり、
図13Dは段差を有する複数の凸部を矩形環状に配列した例を示す上面図である。
【
図14】
図14Aは凸部における収容空間側の端面の位置を透明体の内周面の位置に合わせた例を示す拡大断面図であり、
図14Bは上記端面の位置を、透明封止部材の外周側にずらした例を示す拡大断面図である。
【
図16】
図16Aは第5の実施の形態に係るパッケージ(第5パッケージ)を示す縦断面図であり、
図16Bは第5パッケージを分解して示す縦断面図である。
【
図17】
図17Aは第6の実施の形態に係るパッケージ(第6パッケージ)を示す縦断面図であり、
図17Bは第6パッケージを分解して示す縦断面図である。
【
図18】
図18Aは第7の実施の形態に係るパッケージ(第7パッケージ)を示す縦断面図であり、
図18Bは第7パッケージを分解して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るパッケージ及び透明封止部材の実施の形態例を
図1A~
図18Bを参照しながら説明する。
【0016】
先ず、第1の実施の形態に係るパッケージ(以下、第1パッケージ10Aと記す)を有する光学部品(以下、第1光学部品100Aと記す)は、
図1A及び
図1Bに示すように、上記第1パッケージ10Aと、第1パッケージ10Aに収容される少なくとも1つの光学素子12とを有する。光学素子12は例えば紫外光13を出射する。
【0017】
第1パッケージ10Aは、光学素子12が実装される平板状の第1実装基板14Aと、第1実装基板14A上に例えば有機系の樹脂を介して接合される第1透明封止部材18Aとを有する。樹脂としては、例えばエポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤等を好ましく使用することができる。なお、第1実装基板14Aの表面には、配線等が形成されている。
【0018】
また、第1実装基板14Aと第1透明封止部材18Aとの接合は、上述した樹脂接合のほか、金属接合が挙げられる。金属接合は、第1実装基板14Aのうち、第1透明封止部材18Aとの接合面、並びに第1透明封止部材18Aのうち、第1実装基板14Aとの接合面に、予めメタライズによって形成された金属層上にAuSn(金錫)等の半田を積層して、加圧加熱接合する手法である。
【0019】
従って、上述した「樹脂接合の有機系の樹脂」や「金属接合の半田」を区別せずに言う場合は、単に「接合材16」と記す。
【0020】
光学素子12は、図示しないが、例えばサファイヤ基板(熱膨張係数:7.7×10-6/℃)上に、量子井戸構造を具備したGaN系結晶層が積層されて構成されている。光学素子12の実装方法としては、例えば結晶層構成面を第1透明封止部材18Aに対面させて実装し、光出射面12aとして機能させる、いわゆるフェイスアップ実装を採用することができる。
【0021】
すなわち、光学素子12から導出された端子(図示せず)と、第1実装基板14A上に形成された回路配線(図示せず)とを例えばボンディングワイヤ(図示せず)にて電気的に接続する。もちろん、光出射面12aを第1実装基板14Aに対面させて実装し、サファイヤ基板の裏面を光出射面として機能させる、いわゆるフリップチップ実装も好ましく採用することができる。
【0022】
第1透明封止部材18Aは、例えば平板状の第1実装基板14A上に固定された透明体20を具備し、透明体20は、下面開口の凹部、すなわち、収容空間22を有する。透明体20は、第1実装基板14A上に固定された環状の台座24と、該台座24上に一体に形成されたレンズ体26とを有する。収容空間22はドーム形状とされている。
【0023】
レンズ体26の底面の平面形状は例えば円形状、台座24の外形形状(平面形状)は例えば正方形状である。もちろん、レンズ体26の底面の平面形状を楕円形状、トラック形状等にしてもよいし、台座24の外形形状を円形状、長方形状、三角形状、六角形状等の多角形状にしてもよい。
【0024】
このような形状の第1透明封止部材18Aの製法は、粉末焼結法を好ましく採用することができる。例えば成形型にシリカ粉体と有機化合物とを含む成形スラリーを鋳込み、有機化合物相互の化学反応、例えば分散媒と硬化剤もしくは硬化剤相互の化学反応により固化させた後、成形型から離型し、その後、焼成することによって、第1透明封止部材18Aを作製することができる。
【0025】
第1透明封止部材18Aの寸法としては、第1透明封止部材18Aの高さが0.5~10mm、台座24の外径が3.0~100mm、台座24の高さが0.2~1mmである。レンズ体26は、底部の最大長さが2.0~10mm、最大高さが0.5~10mmであり、アスペクト比として0.3~1.0等が挙げられる。
【0026】
また、光学素子12の寸法としては、厚みが0.005~0.5mm、図示しないが、上面から見た縦の寸法が0.5~2.0mm、横の寸法が0.5~2.0mmである。
【0027】
このような構成により、第1光学部品100Aは、第1実装基板14Aの下面14aから光学素子12の光出射面12aまでの高さをha、第1実装基板14Aの下面14aから接合材16の上面(第1台座24Aの下面)までの高さをhbとしたとき、ha>hbである。
【0028】
そのため、光学素子12から出射される紫外光13の配光角が180°以上であったとしても、光学素子12の光出射面12aから横方向に出射した紫外光13は、第1透明封止部材18Aの台座24に直接当たり、第1実装基板14Aと第1透明封止部材18Aとの接合部、すなわち、接合材16にはほとんど当たることがない。
【0029】
さらに、第1パッケージ10Aは、
図1A~
図2Bに示すように、少なくとも第1透明封止部材18Aと第1実装基板14Aとが接合される部分に、収容空間22への接合材16の進入を抑制する段差30を有する。特に、第1パッケージ10Aでは、第1透明封止部材18Aの底面に凸部32が一体に形成されることで、段差30が形成される。もちろん、第1透明封止部材18Aの底面に凸部32を別体で設けるようにして、段差30を形成してもよい。以下、同様である。
【0030】
ここで、段差30の例について、
図2A~
図6Bを参照しながら説明する。
図2A及び
図2Bに示すように、段差30としては、傾斜角が90°の段差(凸部32の断面形状が矩形状)や、
図3A及び
図3Bに示すように、傾斜角θが90°未満の段差(凸部32の断面形状がくさび形状)等が挙げられる。傾斜角θが20°未満であると、接合材16のはみ出し抑制効果が十分でない。もちろん、傾斜角θが90°よりも大きい段差も採用することができるが、段差30の先端部が脆くなり易い。
【0031】
なお、上述では、傾斜角θが20°以上90°以下の「段差」と定義しているが、傾斜角θが90°の場合を「段差」、傾斜角θが20°以上90°未満の場合を「テーパ」と定義することもできる。従って、上記段差30は、収容空間22への樹脂や金属層の進入を抑制する「段差30もしくはテーパ30」と定義する。
【0032】
また、「断面」とは、パッケージの底面に対して垂直であり、且つ、レンズ体26を上から見た場合のパッケージの中心を通る面をいう。段差30もしくはテーパ30の高さの測定方法は、パッケージを切断することにより取得した断面を、測長顕微鏡又は走査型電子顕微鏡を用いて測長する。
【0033】
また、
図4A及び
図4C(底面図)に示すように、段差30もしくはテーパ30が形成された凸部32は、環状に形成されていてもよいし、
図4B及び
図4D(底面図)に示すように、段差30もしくはテーパ30が形成された複数の凸部32が、環状に配列されていてもよい。なお、一例として、
図4A及び
図4Bは、円環状に形成、あるいは配列された凸部32を示し、
図4C及び
図4Dは、矩形環状に形成、あるいは配列された凸部32を示す。これらの凸部32は、
図1Aにも示すように、第1実装基板14Aと樹脂接合あるいは金属接合される部分のうち、光学素子12に近接する位置に形成され、段差30もしくはテーパ30は、凸部32のうち、接合材16と対向する位置に形成されている。
【0034】
図2A及び
図3Aに示すように、凸部32の角部は、鋭角状であってもよいが、
図2B及び
図3Bに示すように、凸部32の角部は、丸まっている方が好ましい。第1実装基板14Aとの接触の際などに凸部32の角部が欠けるという現象を回避することができる。
【0035】
また、好ましくは、
図2A~
図3Bに示すように、段差30もしくはテーパ30(凸部32の高さhc)が10~500μmであり、凸部32の幅Wが少なくとも50μmである。なお、凸部32の幅Wは、第1パッケージ10Aの大きさ、すなわち、接合材16が塗布される部分(接合材塗布部34)の面積が過剰に狭くならない幅にすることが好ましい。
【0036】
図5Aに示すように、凸部32における収容空間22側の端面32aの位置を、透明体20の内周面20aの位置に合わせてもよい。
図5Bに示すように、接合材16が塗布される部分(接合材塗布部34)の面積が過剰に狭くならないことを条件に、上記端面32aの位置を、台座24の外周側にずらしても構わない。また、
図6A及び
図6Bに示すように、凸部32における収容空間22側の端面32aは傾斜面であってもよい。これらの変形例は、後述する第2パッケージ10B以降の構成についても同様である。
【0037】
ここで、第1パッケージ10Aの効果について、比較例と共に、
図7A及び
図7Bも参照しながら説明する。
【0038】
先ず、比較例に係るパッケージ200は、
図7A及び
図7Bに示すように、透明封止部材18と実装基板14とが接合される部分に、段差30もしくはテーパ30を有しない。従って、透明封止部材18を実装基板14に接合する際に、接合材16が光学素子12の収容空間22にはみ出すことがある。この場合、光学素子12からの紫外光13が、はみ出した接合材16によって遮られて、全体の光透過率が低下するおそれがある。
【0039】
また、比較例に係るパッケージ200において、透明封止部材18を実装基板14に接合する際に、加圧、加熱を実施すると、上述したはみ出した接合材16の一部が、加熱等によって揮発し、その揮発成分が光学素子12に付着することによって、光学素子12並びに光学部品が劣化するおそれがある。
【0040】
比較例に係るパッケージ200において、透明封止部材18を実装基板14に金属接合する場合、予めメタライズによって形成された金属層上に例えばAuSn(金錫)等の半田を積層して、加圧加熱接合する。その際、半田が外に漏れる場合がある。半田が光学素子12の収容空間22に入ると、光遮断と共に配線が短絡するおそれがある。
【0041】
これに対して、
図1A及び
図1B等に示す第1パッケージ10Aは、上述したように、少なくとも第1透明封止部材18Aと第1実装基板14Aとが接合される部分に、収容空間22への接合材16の進入を抑制する段差30もしくはテーパ30を有する。
【0042】
そのため、第1透明封止部材18Aを第1実装基板14Aに接合する際に、接合材16の収容空間22への進入を、段差30もしくはテーパ30が抑制するため、光学素子12からの紫外光13が、接合材16によって遮られることがほとんどなくなり、全体の光透過率の低下を抑えることができる。
【0043】
また、第1透明封止部材18Aを第1実装基板14Aに接合する際に、加圧、加熱を実施した場合においても、段差30もしくはテーパ30によって、接合材16の収容空間22への進入が抑制されているため、接合材16の揮発成分(接合材が接着剤の場合)が光学素子12に付着する等の現象を抑えることができる。これは、光学素子12並びに第1光学部品100Aの品質の劣化を抑えることにつながる。
【0044】
また、第1透明封止部材18Aを第1実装基板14Aに金属接合する場合、予めメタライズによって形成された金属層上に例えばAuSn(金錫)等の半田を積層して、加圧加熱接合する。その際、半田が外に漏れる場合がある。しかし、第1光学部品100Aにおいては、段差30もしくはテーパ30によって、接合材16(この場合、半田)の収容空間22への進入が抑制されているため、接合材16による配線間の短絡や接点間の短絡を回避することができる。
【0045】
次に、第2の実施の形態に係るパッケージ(以下、第2パッケージ10Bと記す)を有する光学部品(以下、第2光学部品100Bと記す)は、
図8A及び
図8Bに示すように、上記第2パッケージ10Bと、第2パッケージ10Bに収容される少なくとも1つの光学素子12とを有する。
【0046】
第2パッケージ10Bは、第2実装基板14Bと、第2透明封止部材18Bとを有する。第2実装基板14Bは、上面開口の収容空間22を有し、該収容空間22に光学素子12が実装される。第2透明封止部材18Bは、第2実装基板14B上に収容空間22を閉塞するように、接合材16を介して接合される。
【0047】
第2透明封止部材18Bは、第2実装基板14B上に固定された透明体20を具備する。透明体20は、第1透明封止部材18Aの透明体20のような収容空間22が形成されていない。すなわち、第2透明封止部材18Bの透明体20は、第2実装基板14B上に固定された台座24と、該台座24上に一体に形成された中実のレンズ体26とを有する。
【0048】
そして、第2パッケージ10Bは、
図8A及び
図8Bに示すように、第1パッケージ10Aと同様に、少なくとも第2透明封止部材18Bと第2実装基板14Bとが接合される部分に、収容空間22への接合材16の進入を抑制する段差30もしくはテーパ30を有する。第2パッケージ10Bにおいても、第2透明封止部材18Bの底面に凸部32が一体又は別体に形成されることで、段差30もしくはテーパ30が形成される。
【0049】
なお、第2透明封止部材18Bの製法、第2透明封止部材18Bの寸法、段差並びに凸部32の形状等は、上述した第1透明封止部材18Aと同様であるため、その重複説明を省略する。以下、同様である。
【0050】
次に、第3の実施の形態に係るパッケージ(以下、第3パッケージ10Cと記す)を有する光学部品(以下、第3光学部品100Cと記す)は、
図9A及び
図9Bに示すように、第3パッケージ10Cと、第3パッケージ10Cに収容される少なくとも1つの光学素子12とを有する。
【0051】
第3パッケージ10Cは、第3実装基板14Cと、第3透明封止部材18Cとを有する。第3実装基板14Cは、上述した第2実装基板14Bと同様に、上面開口の収容空間22を有する。第3透明封止部材18Cは、第3実装基板14C上に固定された透明体20を具備する。透明体20は、第3実装基板14C上に固定された台座24と、該台座24上に一体に形成された中実のレンズ体26とを有する。
【0052】
そして、第3透明封止部材18Cは、第2パッケージ10Bと同様に、第3実装基板14C上に収容空間22を閉塞するように、例えば接合材16を介して接合される。
【0053】
特に、第3パッケージ10Cは、少なくとも第3透明封止部材18Cと第3実装基板14Cとが接合される部分に、収容空間22への接合材16の進入を抑制する段差30もしくはテーパ30を有する。すなわち、第3透明封止部材18Cの底面に、収容空間22の開口面積よりも大きい面積を有する盤状(平面形状が円、四角形、多角形等)の凸部32が一体に形成されることで、段差30もしくはテーパ30が形成される。
【0054】
段差30もしくはテーパ30の断面形状は、上述した
図2A~
図3Bに示す形状と同様に、傾斜角が90°の段差や、傾斜角が90°未満の段差等が挙げられる。この場合、凸部32の角部は、鋭角状であってもよいが、丸まっている方が好ましい。
【0055】
次に、第4の実施の形態に係るパッケージ(以下、第4パッケージ10Dと記す)を有する光学部品(以下、第4光学部品100Dと記す)は、
図10A及び
図10Bに示すように、第4パッケージ10Dと、第4パッケージ10Dに収容される少なくとも1つの光学素子12とを有する。
【0056】
第4パッケージ10Dは、第4実装基板14Dと、第4透明封止部材18Dとを有する。第4実装基板14Dは、上述した第1実装基板14A(
図1B参照)と同様の構成を有し、第4透明封止部材18Dは、上述した第1透明封止部材18A(
図1B参照)と同様の構成、すなわち、光学素子12が収容される収容空間22を有する。
【0057】
そして、この第4パッケージ10Dは、少なくとも第4透明封止部材18Dと第4実装基板14Dとが接合される部分に、収容空間22への接合材16の進入を抑制する段差30もしくはテーパ30を有する。特に、第4パッケージ10Dでは、
図10Bに示すように、第4実装基板14Dの上面に凸部32が一体又は別体に形成されることで、段差30もしくはテーパ30が形成される。
【0058】
ここで、段差30もしくはテーパ30の例について、
図11A~
図15Bを参照しながら説明する。
【0059】
図11A及び
図11Bに示すように、段差30もしくはテーパ30としては、傾斜角が90°の段差(凸部32の断面形状が矩形状)や、
図12A及び
図12Bに示すように、傾斜角θが90°未満の段差30もしくはテーパ30(凸部32の断面形状がくさび形状)等が挙げられる。
【0060】
また、
図13A及び
図13C(上面図)に示すように、段差30もしくはテーパ30が形成された凸部32は、環状に形成されていてもよいし、
図13B及び
図13D(上面図)に示すように、段差30もしくはテーパ30が形成された複数の凸部32が、環状に配列されていてもよい。なお、一例として、
図13A及び
図13Bは、円環状に形成、あるいは配列された凸部32を示し、
図13C及び
図13Dは、矩形環状に形成、あるいは配列された凸部32を示す。これらの凸部32は、
図11Aにも示すように、第4実装基板14Dと接合される部分のうち、光学素子12に近接する位置に形成され、段差30もしくはテーパ30は、凸部32のうち、接合材16と対向する位置に形成されている。
【0061】
図11A及び
図12Aに示すように、凸部32の角部は、鋭角状であってもよいが、
図11B及び
図12Bに示すように、丸まっている方が好ましい。透明体20との接触の際などに凸部32の角部が欠けるという現象を回避することができる。
【0062】
また、好ましくは、段差30もしくはテーパ30(凸部32の高さhc)が10~500μmであり、凸部32の幅Wが少なくとも50μmである。これにより、実装基板と透明体とを接着固定するのに十分な接着層の収容容積を確保することができる。なお、凸部32の幅Wは、パッケージの大きさ、すなわち、接合材16が塗布される部分(接合材塗布部34)の面積が過剰に狭くならない幅にすることが好ましい。
【0063】
図11A、
図11B、
図12A、
図12B及び
図14Aに示すように、凸部32における内方の端面32aの位置は、透明体20の内周面20aの位置(収容空間22の外周の位置)に合わせてもよい。
図14Bに示すように、接合材16が塗布される部分(接合材塗布部34)の面積が過剰に狭くならないことを条件に、上記端面32aを、第4透明封止部材18Dの外周側にずらしても構わない。また、
図15A及び
図15Bに示すように、収容空間22側の端面32aは傾斜面であってもよい。これらの変形例は、後述する各種パッケージの構成についても同様である。
【0064】
次に、第5の実施の形態に係るパッケージ(以下、第5パッケージ10Eと記す)を有する光学部品(以下、第5光学部品100Eと記す)は、
図16A及び
図16Bに示すように、第5パッケージ10Eと、第5パッケージ10Eに収容される少なくとも1つの光学素子12とを有する。
【0065】
第5パッケージ10Eは、上述した第2パッケージ10B(
図8A及び
図8B参照)と同様の構成を有するが、凸部32による段差30もしくはテーパ30が第5実装基板14Eの上面に形成されている点で異なる。
【0066】
段差30もしくはテーパ30及び凸部32の形状については、上述した
図11A~
図15Bに示す各種形状を採用することができる。
【0067】
次に、第6の実施の形態に係るパッケージ(以下、第6パッケージ10Fと記す)を有する光学部品(以下、第6光学部品100Fと記す)は、
図17A及び
図17Bに示すように、第6パッケージ10Fと、第6パッケージ10Fに収容される少なくとも1つの光学素子12とを有する。
【0068】
第6パッケージ10Fは、上述した第1パッケージ10Aと同様に、光学素子12が実装される平板状の第6実装基板14Fと、第6実装基板14F上に接合材16を介して接合される第6透明封止部材18Fとを有する。
【0069】
第6透明封止部材18Fは、例えば平板状の第6実装基板14F上に固定された透明体20を具備する。透明体20の外形は上面が平坦な箱状であり、矩形状の収容空間22を有する。
【0070】
この第6パッケージ10Fにおいても、段差30もしくはテーパ30及び凸部32の形状について、上述した
図2A~
図5B並びに
図11A~
図15Bに示す各種形状を採用することができる。
【0071】
次に、第7の実施の形態に係るパッケージ(以下、第7パッケージ10Gと記す)を有する光学部品(以下、第7光学部品100Gと記す)は、
図18A及び
図18Bに示すように、第7パッケージ10Gと、第7パッケージ10Gに収容される少なくとも1つの光学素子12とを有する。
【0072】
第7パッケージ10Gは、上述した第3パッケージ10C(
図9A及び
図9B参照)とほぼ同様の構成を有するが、透明体20の形状が異なり、上面が平坦な板状である。すなわち、中実のレンズ体26が省略された形状を有する。
【0073】
この第7パッケージ10Gにおいても、段差30もしくはテーパ30及び凸部32の形状について、上述した
図2A~
図5B並びに
図11A~
図15Bに示す各種形状を採用することができる。
【0074】
[実施形態のまとめ]
[1] 本実施形態に係るパッケージは、透明封止部材(18:18A~18G)と実装基板(14:14A~14G)とが接合され、少なくとも1つの光学素子(12)を収容する空間(22)を有するパッケージ(10:10A~10E)であって、透明封止部材(18)と実装基板(14)とが接合される部分に、空間(22)への接合材(16)の進入を抑制する段差(30)もしくはテーパ(30)を有する。
【0075】
上記構成によれば、透明封止部材18を実装基板14に接合する際に、接合材16(樹脂や金属等)の収容空間22への進入を、段差30もしくはテーパ30が抑制するため、光学素子12からの出射光(例えば紫外光13)が、接合材16によって遮られることがほとんどなくなり、全体の光透過率の低下を抑えることができる。
【0076】
また、透明封止部材18を実装基板14に接合する際に、加圧、加熱を実施した場合においても、段差30もしくはテーパ30によって、接合材16の収容空間22への進入が抑制されているため、接合材16の揮発成分が光学素子12に付着する等の現象を抑えることができる。これは、光学素子12並びに光学部品(100:100A~100G)の品質の劣化を抑えることにつながる。
【0077】
[2] 本実施形態において、段差(30)もしくはテーパ(30)の傾斜角が20°以上90°以下であることが好ましい。
【0078】
[3] 本実施形態において、透明封止部材(18)及び実装基板(14)の少なくとも一方は、接合される部分に凸部(32)を有し、段差(30)もしくはテーパ(30)は、凸部(32)のうち、接合材(16)と対向する位置に形成されている。これにより、透明封止部材18を実装基板14に接合する際に、接合材16の収容空間22への進入を、効率よく凸部32の段差30もしくはテーパ30によって抑制することができる。
【0079】
[4] 本実施形態において、段差(30)もしくはテーパ(30)は環状に形成されている。これにより、環状に形成された段差30もしくはテーパ30によって、接合材16の収容空間22への進入を抑制することができる。
【0080】
[5] 本実施形態において、複数の段差(30)もしくはテーパ(30)が環状に配列されている。この場合も、環状に配列された複数の段差30もしくはテーパ30によって、接合材16の収容空間22への進入を抑制することが可能となる。
【0081】
[6] 本実施形態において、段差(30)もしくはテーパ(30)は、実装基板(14)と接合される部分のうち、光学素子(12)に近接する位置に形成されている。段差30もしくはテーパ30を光学素子12に近接する位置に形成することで、接合材16の収容空間22への進入を抑制することが可能となる。
【0082】
[7] 本実施形態において、段差(30)は、断面矩形状の一部である。断面矩形状の一部のうち、接合材16と対向する面が段差30を構成することになり、接合材16の収容空間22への進入を抑制することが可能となる。
【0083】
[8] 本実施形態において、テーパ(30)は、断面くさび形状の一部であって、テーパ(30)の高い部分が光学素子(12)に近接する位置にある。断面くさび形状の凸部32のうち、接合材16と対向する面が傾斜面を構成し、光学素子12に近づくに従って、接合材16の進入する空間が狭くなる。その結果、接合材16の収容空間22への進入を抑制することが可能となる。
【0084】
[9] 本実施形態において、段差(30)もしくはテーパ(30)の高さ(hc)(例えば実装基板(14)の板面と垂直な方向の高さ)が10~500μmであることが好ましい。10μm未満の場合、接合材(接着層)の量が少なくなり、実装基板14もしくは透明封止部材18に対する接着力を確保するのが困難となる。500μmを超えると、段差30もしくはテーパ30の強度が低下し、破損するおそれがある。また、10μm未満の場合、接合材16のはみ出し抑制効果が十分でない。500μmを超えると、光学素子12との高さ関係(ha>hb)が成立しなくなり、その結果、紫外光13が接合材16に当たるおそれがある。
【0085】
[10] 本実施形態において、段差(30)もしくはテーパ(30)の幅は、パッケージの大きさ、すなわち、接合材16が塗布される部分(接合材塗布部34)の面積が過剰に狭くならない幅にすることが好ましい。すなわち、少なくとも50μmであることが好ましい。50μm未満であると、接合材16のはみ出し抑制効果が十分でない。
【0086】
[11] 本実施形態において、段差(30)もしくはテーパ(30)の角部が湾曲していること、すなわち、角部が丸まっていることが好ましい。実装基板14との接触の際などに凸部32の角部が欠けるという現象を回避することができる。
【0087】
[12] 本実施形態に係る透明封止部材(18)は、実装基板(14)と接合される接合面(接合材塗布部34)を有する透明封止部材(18)であって、透明封止部材(18)内部への接合材(16)の進入を抑制する段差(30)もしくはテーパ(30)を有する。
【0088】
上記構成によれば、透明封止部材18を実装基板14に接合する際に、接合材16の収容空間22への進入を、段差30もしくはテーパ30が抑制するため、光学素子12からの出射光が、接合材16によって遮られることがほとんどなくなり、全体の光透過率の低下を抑えることができる。
【0089】
なお、本発明に係るパッケージ及び透明封止部材は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0090】
10A~10G…第1パッケージ~第7パッケージ
12…光学素子
12a…光出射面
13…紫外光
14A~14G…第1実装基板~第7実装基板
14a…下面
16…接合材
18A~18G…第1透明封止部材~第7透明封止部材
20…透明体
20a…内周面
22…収容空間
24…台座
26…レンズ体
30…段差もしくはテーパ
32…凸部
32a…端面
100A~100G…第1光学部品~第7光学部品
200…パッケージ(比較例)