(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20241107BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20241107BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H01L23/40 D
H01L23/36 D
H05K7/20 F
H05K7/20 B
(21)【出願番号】P 2020118446
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2023-03-22
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】長澤 聰
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 健太
(72)【発明者】
【氏名】木原 正行
(72)【発明者】
【氏名】植木 政瑛
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-243434(JP,A)
【文献】特開2009-026870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/40
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に実装された電気部品と、
前記回路基板と対向するキャビネットと、
熱伝導性を有しており、前記電気部品に接触する第1接触部、及び前記キャビネットに接触する少なくとも1つの第2接触部を有する熱伝導部材と、
前記回路基板と前記キャビネットとが対向する方向に弾性を有する弾性部と、を備え、
前記第1接触部及び前記第2接触部は、前記回路基板と前記キャビネットとが対向する方向において互いに離れており、
前記弾性部は、前記第1接触部と前記第2接触部との少なくとも一方に対して、前記第1接触部と前記第2接触部とが互いに離れる方向に弾性力を作用させ、
前記熱伝導部材は可撓性があり、前記第1接触部と前記第2接触部とを接続する接続部を有し、
前記接続部は曲線状に形成されており、前記接続部の長さは前記電気部品と前記キャビネットとの間の長さよりも長
く、
前記弾性部は、互いに対向する前記第1接触部と前記第2接触部との間に配置されており、前記第1接触部を前記電気部品に押し付ける方向及び前記第2接触部を前記キャビネットに押し付ける方向に弾性力を作用させる、
電気機器。
【請求項2】
前記弾性部は、前記熱伝導部材とは別体に構成されている、
請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記第2接触部は、前記キャビネットに固定されており、
前記弾性部は、前記第1接触部と前記キャビネットとの間に配置されており、前記第1接触部に対して弾性力を作用させる、
請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、シート状に形成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2接触部は、複数の第2接触部を含み、
前記第1接触部は、前記複数の第2接触部のうち少なくともいずれか2つの第2接触部の間に形成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記弾性部は、ばねである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記キャビネットは、熱伝導性を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項8】
前記熱伝導部材は、グラファイトである、
請求項1に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、グラファイトゴムを備えた放熱装置が記載されている。グラファイトゴムは、基板(回路基板)に実装された半導体モジュール(電気部品)に固定されている。また、グラファイトゴムは、筐体(キャビネット)に張り付けられたグラファイトシートと接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の主な目的は、電気部品の放熱性の向上を図ることができる電気機器を提供することにある。
【0005】
第1態様に係る電気機器は、電気部品と、キャビネットと、熱伝導部材と、弾性部と、を備えている。前記電気部品は、回路基板に実装されている。前記キャビネットは、前記回路基板と対向する。前記熱伝導部材は、熱伝導性を有しており、前記電気部品に接触する第1接触部、及び前記キャビネットに接触する少なくとも1つの第2接触部を有する。前記弾性部は、前記回路基板と前記キャビネットとが対向する方向に弾性を有する。前記第1接触部及び前記第2接触部は、前記回路基板と前記キャビネットとが対向する方向において互いに離れている。前記弾性部は、前記第1接触部と前記第2接触部との少なくとも一方に対して、前記第1接触部と前記第2接触部とが互いに離れる方向に弾性力を作用させる。
【0006】
第2態様に係る電気機器では、第1態様において、前記弾性部は、前記熱伝導部材とは別体に構成されている。
【0007】
第3態様に係る電気機器では、第2態様において、前記第2接触部は、前記キャビネットに固定されている。前記弾性部は、前記第1接触部と前記キャビネットとの間に配置されており、前記第1接触部に対して弾性力を作用させる。
【0008】
第4態様に係る電気機器では、第1態様~第3態様のいずれか1つの態様において、前記熱伝導部材は、シート状に形成されている。
【0009】
第5態様に係る電気機器では、第1態様~第4態様のいずれか1つの態様において、前記少なくとも1つの第2接触部は、複数の第2接触部を含む。前記第1接触部は、前記複数の第2接触部のうち少なくともいずれか2つの第2接触部の間に形成されている。
【0010】
第6態様に係る電気機器では、第1態様~第5態様のいずれか1つの態様において、前記弾性部は、ばねである。
【0011】
第7態様に係る電気機器では、第1態様~第6態様のいずれか1つの態様において、前記キャビネットは、熱伝導性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態の電気機器の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の電気機器の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の電気機器における弾性部及び熱伝導部材の概略構成図である。
【
図4】
図4は、同上の電気機器のキャビネットの変形時における、弾性部及び熱伝導部材の状態を示す図である。
【
図5】
図5は、熱伝導部材の変形例の概略構成図である。
【
図6】
図6は、弾性部の第1変形例の概略構成図である。
【
図7】
図7は、弾性部の第2変形例の概略構成図である。
【
図8】
図8は、弾性部の第3変形例の概略構成図である。
【
図9】
図9は、2つの熱伝導部材の配置例を示す図である。
【
図10】
図10は、3つの熱伝導部材の配置例を示す図である。
【
図12】
図12は、弾性部と熱伝導部材との一体構成の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(実施形態)
本実施形態に係る電気機器1について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0015】
本実施形態では、電気機器1が、動画、静止画などの画像を表示する表示装置1である場合を例に説明する。以下の説明では、電気機器1を表示装置1という場合がある。
【0016】
本実施形態では、表示装置1は、アンテナからのテレビ放送信号を受信する受信回路、受信したテレビ放送信号に基づいた映像を表示させる表示回路等を備えており、テレビ受信装置としても機能する。
【0017】
以下では、
図1に示した上下左右前後それぞれの矢印が示す向きを基準にして説明する。ただし、これらの方向は、説明のために便宜上規定した方向であって、使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0018】
表示装置1は、パネルモジュール2と、回路基板30と、電気部品31と、キャビネット4と、熱伝導部材5と、弾性部6と、を備えている。
【0019】
パネルモジュール2は、表示パネル21、及びシャーシ22を備えている。
【0020】
表示パネル21は、平面視が矩形状に形成されており、前面を表示面211として画像を表示するように構成されている。表示パネル21は、前方から順に配置された液晶パネル、光学シート群、導光板等を備えている。パネルモジュール2は、光源ユニットを更に備えている。導光板は、光源ユニットから照射された光を光学シート群に導くように構成されている。導光板と光学シート群によって、光源からの光が液晶パネルの背面に均一に照射される。液晶パネルは、駆動回路からの制御信号によって、光の透過率を変化させることで画像を表示面211に表示する。
【0021】
シャーシ22は、平面視が矩形の金属板により形成されている。シャーシ22は、表示パネル21を後方から全体的に覆うように配置されており、表示パネル21を支持している。
【0022】
回路基板30は、箔状の導体が配線されたプリント配線板(PWB : Printed Wiring Board)であり、矩形板状に形成されている。回路基板30は、シャーシ22の後面に固定されている。具体的には、回路基板30は、シャーシ22との間に円筒状のボスが介在しており、シャーシ22と接触しないようにシャーシ22に固定されている。なお、
図2では、1つの回路基板30のみを記載しているが、電気機器1は、複数の回路基板30を備えていてもよい。
【0023】
電気部品31は、例えば、抵抗、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)等であり、回路基板30に実装されている。回路基板30に電気部品31が実装されることにより、電気回路が構成される。電気回路は、例えば、光源ユニット、駆動回路等に電力を供給する電源回路である。なお、電気回路は、電源回路に限らず、他の回路(例えば駆動回路、制御回路など)であってもよい。また、実際は、回路基板30には複数の電気部品31が実装されているが、
図2では、複数の電気部品31のうち1つの電気部品31を代表として概略的に記載している。
【0024】
キャビネット4は、パネルモジュール2、回路基板30等を全体的に後方から覆うように構成されている。
図3に示すように、キャビネット4は、ベース41と、熱拡散部42と、を有している。
【0025】
ベース41は、前面が開口した合成樹脂製のカバーであり、シャーシ22、回路基板30等が露出しないように後方から覆っている。
【0026】
熱拡散部42は、熱伝導性を有する部材で構成されている。本実施形態では、熱拡散部42は、グラファイトで構成されている。本開示における「熱伝導性を有する」とは、例えばABS樹脂(ABS : Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の合成樹脂よりも熱伝導率が高いことを意味する。合成樹脂の熱伝導率が0.2[W/(m・K)]程度であるのに対し、熱拡散部42の熱伝導率は、600~2000[W/(m・K)]程度である。熱拡散部42の熱伝導率は、合成樹脂の熱伝導率の100倍以上であることが好ましく、1000倍以上であることがより好ましい。
【0027】
熱拡散部42は、シート状に形成されており、ベース41の前面に設けられている。したがって、ベース41における熱拡散部42が設けられている部分は、熱拡散部42により熱が拡散されるので局所的な温度差が低減する。また、熱拡散部42では、厚さ方向の熱伝導率に比べて、厚さ方向に直交する面方向の熱伝導率が高い。これにより、ベース41の局所的な温度差がより低減する。
【0028】
このように本実施形態のキャビネット4は、ベース41に熱拡散部42が設けられた構成であるので、熱伝導性を有する。
【0029】
なお、本実施形態では、熱拡散部42は、グラファイトで構成されているが、例えば銅、銀等の金属により構成されていてもよい。また、本実施形態では、キャビネット4は、熱拡散部42を備えることにより熱伝導性を有しているが、熱拡散部42は必須の構成ではない。例えば、キャビネット4は、金属製のベース41を備えることにより、熱伝導性を有する構成であってもよい。
【0030】
熱伝導部材5は、熱伝導性を有する部材で構成されている。本実施形態では、熱伝導部材5は、グラファイトで構成されている。熱伝導部材5の熱伝導率は、600~2000[W/(m・K)]程度である。熱伝導部材5の熱伝導率は、例えばABS樹脂等の合成樹脂の熱伝導率の100倍以上であることが好ましく、1000倍以上であることがより好ましい。
【0031】
図3に示すように、熱伝導部材5は、第1接触部51と、一対の第2接触部52と、一対の接続部53と、を有する。熱伝導部材5は、矩形のシート状に形成されている。熱伝導部材5の長手方向の一端側から、第2接触部52、接続部53、第1接触部51、接続部53、第2接触部52の順に構成されている。熱伝導部材5では、厚さ方向の熱伝導率に比べて、厚さ方向に直交する面方向の熱伝導率が高い。
【0032】
第1接触部51は、熱伝導部材5における長手方向の中央部分である。熱伝導部材5は、第1接触部51が、回路基板30に実装された電気部品31に接触するように設けられている。第1接触部51は、電気部品31に接触することにより、電気部品31との間で直接的な熱の移動が行われる。言い換えれば、第1接触部51は、電気部品31と熱的に結合する。
【0033】
第2接触部52は、熱伝導部材5における長手方向の端部分である。本実施形態では、熱伝導部材5は、一対の第2接触部52を備えている。一対の第2接触部52のうち、一方の第2接触部52は、熱伝導部材5における長手方向の一方の端部分であり、他方の第2接触部52は、熱伝導部材5における長手方向の他方の端部分である。したがって、第1接触部51は、2つの第2接触部52の間に形成されている。
【0034】
熱伝導部材5は、第2接触部52が、キャビネット4に接触するように設けられている。第2接触部52は、キャビネット4に接触することにより、キャビネット4との間で直接的な熱の移動が行われる。言い換えれば、第2接触部52は、キャビネット4と熱的に結合する。本実施形態では、熱伝導部材5は、第2接触部52が、キャビネット4における熱拡散部42に接触するように設けられている。したがって、第2接触部52は、キャビネット4における熱拡散部42と熱的に結合しており、熱拡散部42との間で直接的な熱の移動が行われる。
【0035】
接続部53は、熱伝導部材5における第1接触部51と第2接触部52との間の部分である。本実施形態では、熱伝導部材5は、一対の接続部53を備えている。一対の接続部53のうち、一方の接続部53は、第1接触部51と一方の第2接触部52との間の部分であり、他方の接続部53は、第1接触部51と他方の第2接触部52との間の部分である。
【0036】
このように、熱伝導部材5は、第1接触部51が回路基板30に実装された電気部品31と接触し、第2接触部52がキャビネット4と接触するように設けられている。したがって、第1接触部51及び第2接触部52は、回路基板30とキャビネット4とが対向する前後方向において互いに離れている。
【0037】
本実施形態では、第2接触部52は、キャビネット4に固定されている。例えば、第2接触部52は、接着剤、両面テープ等によりキャビネット4に固定されている。一方、第1接触部51は、電気部品31に接触しているが、電気部品31には固定されていない。
【0038】
また、熱伝導部材5は、可撓性を有しており、一対の接続部53が撓むように設けられている。つまり、接続部53の長さは、電気部品31とキャビネット4との間の長さよりも長い。本開示における「接続部53の長さ」とは、接続部53に隣接する第1接触部51と第2接触部52との間における面に沿った寸法である。
【0039】
図3に示すように、弾性部6は、ばね61と、第1接触板621と、第2接触板622と、を有しており、キャビネット4と、熱伝導部材5における第1接触部51と、の間に配置されている。
【0040】
ばね61は、金属製のコイルばねであり、弾性を有している。ばね61は、第1接触板621及び第2接触板622に挟まれるように設けられている。
【0041】
第1接触板621は、一面がばね61の一端と接触し、他面が第1接触部51と接触するように設けられている。第2接触板622は、一面がばね61の他端と接触し、他面がキャビネット4における熱拡散部42と接触するように設けられている。
【0042】
弾性部6は、ばね61が縮むように弾性変形した状態で、キャビネット4と第1接触部51との間に配置されている。したがって、弾性部6は、キャビネット4及び第1接触部51に対して弾性力を作用させる。言い換えれば、弾性部6は、第1接触部51に対して、第1接触部51と第2接触部52とが互いに離れる方向に弾性力を作用させる。
【0043】
また、本実施形態では、弾性部6は、ばね61の長さが、自然長よりも短く、かつ密着長よりも長い。したがって、弾性部6は、キャビネット4と第1接触部51との間において、ばね61が伸縮可能な状態で配置されている。
【0044】
また、本実施形態では、弾性部6は、ばね61(コイルばね)を有しているため、ばね61の伸縮方向と直交する方向の弾性も有している。つまり、弾性部6は、回路基板30とキャビネット4とが対向する前後方向、及び前後方向に直交する方向に弾性を有している。
【0045】
このように、本実施形態の表示装置1は、熱伝導部材5を備えている。熱伝導部材5は、回路基板30とキャビネット4との間に配置されており、回路基板30に実装された電気部品31に接触する第1接触部51と、キャビネット4に接触する第2接触部52と、第1接触部51と第2接触部52とを接続する接続部53と、を有している。第1接触部51は、電気部品31に接触しているので、電気部品31との間で直接的な熱の移動が行われる。第2接触部52は、キャビネット4に接触しているので、キャビネット4との間で直接的な熱の移動が行われる。つまり、電気部品31が駆動することにより発生した熱を、第1接触部51、接続部53、及び第2接触部52を介して、キャビネット4に移動させることができる。言い換えれば、電気部品31から発生した熱を、熱伝導部材5を介してキャビネット4に放熱することができる。
【0046】
さらに、本実施形態の表示装置1は、弾性部6を備えている。弾性部6は、第1接触部51とキャビネット4との間に配置されており、第1接触部51に対して、第1接触部51と第2接触部52とが離れる方向に弾性力を作用させる。つまり、弾性部6は、第1接触部51に対して、第1接触部51を電気部品31に押し付けるように弾性力を作用させる。これにより、第1接触部51と電気部品31との密着性が向上し、第1接触部51と電気部品31との間における伝熱効率が向上するので、電気部品31の放熱性が向上する。
【0047】
また、
図4に示すように、熱、経年劣化等によってキャビネット4が変形した場合、電気部品31とキャビネット4との間の距離が変化するおそれがある。
図4では、一例として、回路基板30に対してキャビネット4が傾くように変形した状態を記載している。なお、
図4では、キャビネット4の変形を強調するように記載しており、キャビネット4が実際に変形した状態と異なる場合がある。本実施形態の表示装置1では、キャビネット4の変化に追従するように弾性部6が弾性変化するので、弾性部6が、第1接触部51に対して、第1接触部51を電気部品31に押し付けるように弾性力を作用させることができる。したがって、キャビネット4が変形した場合であっても、第1接触部51と電気部品31との接触状態を維持することができるので、電気部品31の放熱性が維持される。
【0048】
ここで、比較例として、電気部品31とキャビネット4とでグラファイトゴムを挟むことにより、電気部品31の熱をキャビネット4に伝える構成がある。しかしながら、グラファイトゴムは、弾性率が比較的低い。そのため、キャビネット4が変形して電気部品31とキャビネット4との間の距離が変化した場合、グラファイトゴムがキャビネット4の変形に追従できず、グラファイトゴムと電気部品31との間、又はグラファイトゴムとキャビネット4との間に隙間が生じ、電気部品31の放熱性が低下する。
【0049】
一方、本実施形態の表示装置1は、上述したように、弾性部6を備えているため、熱伝導部材5と電気部品31との間、及び熱伝導部材5とキャビネット4との間に隙間が生じることが抑制され、電気部品31の放熱性が維持される。
【0050】
また、本実施形態では、熱伝導部材5は、2つの第2接触部52を備えている。したがって、熱伝導部材5は、第2接触部52が1つの場合に比べて、キャビネット4との接触面積が増加する。これにより、熱伝導部材5とキャビネット4との間における伝熱効率が向上するので、電気部品31の放熱性が向上する。
【0051】
なお、熱伝導部材5が、複数の第2接触部52を有することは必須ではない。
図5に示すように、熱伝導部材5は、1つの第2接触部52を有する構成であってもよい。また、
図5に示すように、熱伝導部材5は、第2接触部52から延長するように形成された延長部54を備えた構成であってもよい。つまり、第2接触部52は、熱伝導部材5における端部でなくてもよい。
【0052】
また、第2接触部52は、キャビネット4における熱拡散部42に接触している。したがって、電気部品31から熱伝導部材5を介してキャビネット4に移動された熱は、熱拡散部42によって拡散される。これにより、キャビネット4における局所的な温度上昇が抑制され、熱等によるキャビネット4の変形を抑制することができる。
【0053】
なお、キャビネット4において、熱伝導性を有することは必須ではなく、熱拡散部42が省略されていてもよい。
【0054】
また、弾性部6は、ばね61と第1接触部51とで挟まれた第1接触板621を有しており、第1接触板621を介してばね61の弾性力を第1接触部51に作用させる。したがって、弾性部6は、第1接触板621を備えていない構成に比べて、第1接触部51に対して弾性力を作用させる面積が増加する。これにより、第1接触部51と電気部品31との密着性が向上し、第1接触部51と電気部品31との間における伝熱効率が向上するので、電気部品31の放熱性が向上する。
【0055】
また、弾性部6は、ばね61とキャビネット4とで挟まれた第2接触板622を有している。したがって、弾性部6は、第2接触板622を備えていない構成に比べて、キャビネット4との接触面積が増加するので、キャビネット4に対する位置ずれを抑制することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、弾性部6は、第1接触板621及び第2接触板622を有しているが、第1接触板621及び第2接触板622が省略されていてもよいし、第1接触板621及び第2接触板622のうちいずれか一方のみを有する構成であってもよい。
【0057】
また、熱伝導部材5は、2つの第2接触部52がキャビネット4に固定されている。したがって、2つの第2接触部52の間に形成された第1接触部51と、キャビネット4とで、弾性部6を挟み込むように保持することができるので、弾性部6の設置が容易となり表示装置1の組立性が向上する。
【0058】
また、弾性部6におけるばね61は、金属製のコイルばねであるので、巻数、線径等を調整することにより、電気部品31とキャビネット4との間の寸法、第1接触部51に作用させる弾性力の大きさ等の調整が容易となる。また、ばね61は、金属製のコイルばねであるので、熱による弾性力の変化等が、比較的小さい。
【0059】
(変形例)
次に、表示装置1の変形例について説明する。以下に説明する各変形例は、上述した実施形態、又は変形例同士の構成を適宜組み合わせて適用可能である。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0060】
(第1変形例)
上述した例では、弾性部6は、ばね61を有する構成であったが、これに限らない。
図6に示すように、弾性部6は、例えばポリウレタンフォーム等の樹脂製の発泡体63を有する構成であってもよい。発泡体63は、矩形体状に形成されており、弾性を有する。発泡体63は、弾性変形した状態で、キャビネット4と第1接触部51との間に配置されている。これにより、弾性部6は、第1接触部51に対して弾性力を作用させる。
【0061】
また、上述した例では、弾性部6は、コイルばねであるばね61を有する構成であったが、ばねの種類はコイルばねに限らない。弾性部6は、屈曲板ばねであるばね61A(
図7参照)を有する構成であってもよいし、楕円筒状に形成された板ばねであるばね61B(
図8参照)を有する構成であってもよい。
図8に示す例では、弾性部6は、第1接触部51とばね61とで挟まれる第1接触板621を更に有している。ばね61A,61Bの材料は、金属であってもよいし、樹脂であってもよい。
【0062】
(第2変形例)
上述した例では、表示装置1は、1つの熱伝導部材5を有する構成であったが、これに限らず、複数の熱伝導部材5を有する構成であってもよい。
図9に示す例では、2つの熱伝導部材5が、第1接触部51同士が重なり、かつ第2接触部52同士が重ならないように設けられている。
図10に示す例では、3つの熱伝導部材5が、第1接触部51同士が重なり、かつ第2接触部52同士が重ならないように設けられている。本変形例の表示装置1では、複数の熱伝導部材5を有しているので、1つの熱伝導部材5を有する構成に比べて、複数の熱伝導部材5とキャビネット4との接触面積が増加し、電気部品31とキャビネット4との間における伝熱効率が向上するため、電気部品31の放熱性がより向上する。
【0063】
このように、熱伝導部材5の数を調整することにより、電気部品31とキャビネット4との間における伝熱効率を調整することができる。
【0064】
また、上述した例では、熱伝導部材5は、1つ又は2つの第2接触部52を有する構成であったが、3つ以上の第2接触部52を有する構成であってもよい。
図11に示す例では、熱伝導部材5は、4つの第2接触部52を有している。4つの第2接触部52は、矩形状の第1接触部51の4辺に接続部53を介して接続している。熱伝導部材5は、4つの第2接触部52を有することによって、2つの第2接触部52を有する構成に比べて、キャビネット4との接触面積が増加するので、電気部品31とキャビネット4との間における伝熱効率が向上し、電気部品31の放熱性がより向上する。また、
図11に示す例では、各第2接触部52は、台形状に形成されているので、キャビネット4との接触面積がより増加し、電気部品31の放熱性がより向上する。
【0065】
このように、1つの熱伝導部材5における第2接触部52の数、大きさを調整することにより、電気部品31とキャビネット4との間における伝熱効率を調整することができる。
【0066】
(その他の変形例)
上述した例では、弾性部6は、熱伝導部材5と別体に構成されているが、これに限らず、
図12に示すように、熱伝導部材5と一体に構成されていてもよい。この場合、第1接触部51と第2接触部52との間において、撓むように設けられた接続部53が弾性部6として機能する。
【0067】
また、上述した例では、熱伝導部材5は、第2接触部52が第1接触部51から離れる方向に曲げられているが、第2接触部52が第1接触部51と対向するように曲げられていてもよい。この場合、弾性部6は、第1接触部51と第2接触部52との間に配置され、第1接触部51と第2接触部52との両方に対して、第1接触部51と第2接触部52とが互いに離れるように弾性力を作用させる。つまり、弾性部6は、第1接触部51を電気部品31に押し付けるように弾性力を作用させ、第2接触部52をキャビネット4に押し付けるように弾性力を作用させる。これにより、第1接触部51と電気部品31との密着性が向上し、かつ第2接触部52とキャビネット4との密着性が向上するので、電気部品31とキャビネット4との間における伝熱効率が向上するので、電気部品31の放熱性が向上する。
【0068】
また、上述した例では、第2接触部52は、キャビネット4に固定されているが、これに限らず、キャビネット4に固定されていなくてもよい。
【0069】
また、上述した例では、第1接触部51は、電気部品31に固定されていないが、これに限らず、電気部品31に固定されていてもよい。この場合、弾性部6は、第2接触部52に対して、弾性力を作用させるように構成されていてもよい。
【0070】
また、上述した例では、熱伝導部材5は、グラファイトで構成されているが、これに限らず、例えば、シート状の金属で構成されていてもよい。
【0071】
また、上述した例では、電気機器1は、表示装置1であったが、表示装置1に限らず、他の機器(例えば、映像等を記録するレコーダー、パソコン、スマートフォン等)であってもよい。