(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】機能性薬効粒子およびその製造方法ならびに口腔内崩壊錠
(51)【国際特許分類】
A61K 47/26 20060101AFI20241107BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241107BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241107BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20241107BHJP
A61K 9/26 20060101ALI20241107BHJP
A61P 1/00 20060101ALN20241107BHJP
A61K 9/50 20060101ALN20241107BHJP
A61K 9/62 20060101ALN20241107BHJP
【FI】
A61K47/26
A61K9/20
A61K47/38
A61K31/4439
A61K9/26
A61P1/00
A61K9/50
A61K9/62
(21)【出願番号】P 2020122357
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】591040753
【氏名又は名称】東和薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142594
【氏名又は名称】阪中 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100090686
【氏名又は名称】鍬田 充生
(72)【発明者】
【氏名】岡本 憲明
(72)【発明者】
【氏名】谷吉 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】三宅 克紀
(72)【発明者】
【氏名】山下 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】金安 勇気
(72)【発明者】
【氏名】中村 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】北田 幸二
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118936(JP,A)
【文献】国際公開第2011/019045(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬効成分を含む球状核部と、この球状核部を被覆し、かつ放出制御層およびマンニトールを含む最外層を含むコート部とで形成されている薬効粒子であって、
前記マンニトールの割合が、前記最外層中95質量%以上であり、
前記最外層に含まれるマンニトールの割合が、前記薬効粒子中4
~15質量
%であ
り、かつ
粒子硬度が400gf以上である薬効粒子。
【請求項2】
前記放出制御層が腸溶層である請求項1記載の薬効粒子。
【請求項3】
前記コート部が前記腸溶層と前記球状核部との間に介在する遮蔽層をさらに含む請求項2記載の薬効粒子。
【請求項4】
前記コート部として、前記球状核部の上に、第1の遮蔽層、第2の遮蔽層、第1の腸溶層、中間層、第2の腸溶層および最外層が順次積層されている請求項1~3のいずれか一項に記載の薬効粒子。
【請求項5】
前記最外層が崩壊剤を含まない請求項1~
4のいずれか一項に記載の薬効粒子。
【請求項6】
前記薬効成分が、エソメプラゾールあるいはその塩および/または溶媒和物である請求項1~
5のいずれか一項に記載の薬効粒子。
【請求項7】
中心粒径が460~550μmである請求項1~
6のいずれか一項に記載の薬効粒子。
【請求項8】
球状核部をコート部で被覆して薬効粒子を得る請求項1~
7のいずれか一項に記載の薬効粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の薬効粒子を含む口腔内崩壊錠。
【請求項10】
速崩壊性粒子をさらに含む請求項
9記載の口腔内崩壊錠。
【請求項11】
前記速崩壊性粒子が、糖アルコールおよびカルメロースを含み、結晶セルロースの割合が粒子中1質量%未満である請求項
10記載の口腔内崩壊錠。
【請求項12】
前記速崩壊性粒子が薬効成分を含まない請求項
10または
11記載の口腔内崩壊錠。
【請求項13】
薬効成分を含む球状核部と、この球状核部を被覆し、かつ放出制御層およびマンニトールを含む最外層を含むコート部とで形成されている薬効粒子において、
前記マンニトールの割合を前記最外層中95質量%以上に調整し、
前記最外層に含まれるマンニトールの割合を前記薬効粒子中4
~15質量
%に調整
し、かつ
粒子硬度を400gf以上に調整することにより、この薬効粒子を含む口腔内崩壊錠を調製するための打錠におけるクラックの発生を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内崩壊錠を調製するための機能性薬効粒子およびその製造方法ならびに前記粒子を含む口腔内崩壊錠に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内崩壊錠(OD錠)は、消化管内で薬効成分を放出するように設計された固形製剤の嚥下が困難な患者、高齢者、小児が服用するために、口腔内の唾液によって短時間で崩壊するように設計された錠剤である。このOD錠は、通常、薬効成分が機能性コーティング層で被覆された薬効含有粒子と、賦形剤などを含む他の成分と混合して圧縮打錠する方法によって調製されている。しかし、OD錠では、口腔内崩壊性が必要とされるため、錠剤の機械的特性を維持するのが困難であり、打錠による障害が発生し易い。特に、機能性コーティング層が腸溶層(腸溶性コーティング層)である場合、積層数が多くなるため、硬くなり、打錠障害が発生し易い。打錠障害が抑制された固形製剤としては、以下の固形製剤などが知られている。
【0003】
特開平3-240723号公報(特許文献1)には、打錠に際して、錠剤の上杵側の表面が剥がれるキャッピングや、原料医薬品粉体が杵や臼に付着するヒッツキやギシツキなどの打錠障害を抑制された錠剤として、薬剤を含む細粒が、乳糖水性懸濁液で流動コーティングされている打錠用顆粒を含む錠剤が開示されている。この文献には、打錠障害を有する薬剤として、マンニットが例示されている。
【0004】
特許第5366558号公報(特許文献2)には、製剤に含まれる細粒の被覆膜の一部が打錠時に破壊されて、苦みのマスキング効果や耐酸性が低下することが抑制された製剤として、細粒の最外層が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する被覆層で被覆され、医薬活性成分の放出が制御された細粒Aを含有する口腔内崩壊性固形製剤が開示されている。この文献には、前記細粒Aと、医薬活性成分の放出速度が前記細粒Aとは異なる細粒Bとを組み合わせた口腔内崩壊性固形性も開示されており、前記細粒Bには、口腔内崩壊錠の強度向上を目的として、マンニトールでオーバーコートしてもよいことが記載されている。実施例では、細粒Bとして、メタクリル酸コポリマーLD7.63gを含む腸溶性細粒260mgに対して10mgのマンニトールでオーバーコートしている。
【0005】
特許第6440313号公報(特許文献3)には、錠剤の側面に傷が生じるバインディングや錠剤の少なくとも一方の凸部が帽子錠に剥離するピッキング等の打錠障害が抑制された積層錠として、薬効成分を含む層を、制酸剤と、乳糖、マンニトールおよびソルビトールから選ばれる1種以上と、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムから選ばれる1種以上の崩壊剤とを含む層で被覆した積層錠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平3-240723号公報
【文献】特許第5366558号公報
【文献】特許第6440313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者等は、腸溶層がコーティングされた機能性薬効粒子と薬効成分を含まない速崩壊性粒子とを混合して打錠することにより口腔内崩壊錠を調製する際に、得られた口腔内崩壊錠自身の側面において、厚み方向に略垂直な方向に沿ってクラックが発生することに気付いた。このようなクラックが発生する原因は明確には不明であるが、腸溶層がコーティングされた機能性薬効粒子は硬く塑性変形し難いため、前記機能性薬効粒子の周辺に空隙が生じ易くなってクラックが発生すると推定できる。しかし、特許文献1~3のいずれにも、錠剤自身のクラックの抑制については記載されてない。また、特許文献1および3には、口腔内崩壊錠についても記載されていない。
【0008】
従って、本発明の目的は、口腔内崩壊錠を調製するために打錠しても、錠剤自体におけるクラックの発生を抑制できる機能性薬効粒子およびその製造方法ならびに口腔内崩壊錠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、薬効成分を含む球状核部と、この球状核部を被覆し、かつ放出制御層およびマンニトールを含む最外層を含むコート部とで形成されている薬効粒子(機能性薬効粒子)おいて、前記最外層に含まれるマンニトールの割合を前記薬効粒子中4質量%以上に調整することにより、口腔内崩壊錠を調製するために打錠しても、錠剤自体におけるクラックの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の薬効粒子(機能性薬効粒子)は、薬効成分を含む球状核部と、この球状核部を被覆し、かつ放出制御層およびマンニトールを含む最外層を含むコート部とで形成されている薬効粒子であって、前記最外層に含まれるマンニトールの割合が、前記薬効粒子中4質量%以上である。前記放出制御層は腸溶層であってもよい。前記コート部は、前記腸溶層と前記球状核部との間に介在する遮蔽層をさらに含んでいてもよい。前記コート部として、前記球状核部の上に、第1の遮蔽層、第2の遮蔽層、第1の腸溶層、中間層、第2の腸溶層および最外層が順次積層されていてもよい。前記薬効粒子の粒子硬度は400gf以上であってもよい。前記最外層は、崩壊剤を含まなくてもよい。前記薬効成分は、エソメプラゾールあるいはその塩および/または溶媒和物であってもよい。前記薬効粒子の中心粒径は460~550μmであってもよい。
【0011】
本発明には、球状核部をコート部で被覆して薬効粒子を得る前記薬効粒子の製造方法も含まれる。
【0012】
本発明には、前記薬効粒子を含む口腔内崩壊錠も含まれる。前記口腔内崩壊錠は、速崩壊性粒子をさらに含んでいてもよい。前記速崩壊性粒子は、糖アルコールおよびカルメロースを含み、結晶セルロースの割合が粒子中1質量%未満であってもよい。前記速崩壊性粒子は、薬効成分を含まなくてもよい。
【0013】
本発明には、薬効成分を含む球状核部と、この球状核部を被覆し、かつ放出制御層およびマンニトールを含む最外層を含むコート部とで形成されている薬効粒子において、前記最外層に含まれるマンニトールの割合を前記薬効粒子中4質量%以上に調整することにより、この薬効粒子を含む口腔内崩壊錠を調製するための打錠におけるクラックの発生を抑制する方法も含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、薬効成分を含む球状核部と、この球状核部を被覆し、かつ放出制御層およびマンニトールを含む最外層を含むコート部とで形成されている薬効粒子において、前記最外層に含まれるマンニトールの割合が前記薬効粒子中4質量%以上に調整されているため、口腔内崩壊錠を調製するために打錠しても、錠剤自体におけるクラックの発生を抑制できる。特に、特定の速崩壊性粒子と組み合わせて口腔内崩壊錠を調製すると、製剤設計性を担保しつつ、高度にクラックの発生を抑制できるともに、口腔内崩壊性および服用感も向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[球状核部]
本発明の薬効粒子(機能性薬効粒子)は、中心部に球状核部を含み、この球状核部は薬効成分(有効成分または活性成分)を含んでいる。
【0016】
薬効成分としては、慣用または新規のいずれの薬効成分も利用でき、例えば、滋養強壮保健薬、解熱鎮痛消炎薬、向精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、胃腸薬、制酸剤、鎮咳去痰剤、歯科口腔用薬、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、骨格筋弛緩薬などが挙げられる。これらのうち、胃液(胃酸)で分解され易く、腸溶層が必要な薬効成分(例えば、エソメプラゾールあるいはその塩および/または溶媒和物などの抗潰瘍剤など)が好ましい。
【0017】
この球状核部は、このような薬効成分を含み、略球状であれば特に限定されないが、通常、薬効成分単独で形成された球状核部や、薬効成分と賦形剤などの他の成分との複合体で形成された球状核部である。
【0018】
薬効成分の割合は、薬効成分の種類に応じて、球状核部中10質量%以上であってもよく、例えば20質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上であり、最も好ましくは50質量%以上である。球状核部が前記複合体で形成されている場合、薬効成分の割合は、球状核剤中10~90質量%であってもよく、例えば20~80質量%、好ましくは30~70質量%、さらに好ましくは40~60質量%である。薬効成分の割合が少なすぎると、薬効粒子の粒径が大きくなるため、製剤設計性が低下する虞がある。
【0019】
薬効成分単独で形成された球状核部としては、例えば、薬効成分の球形結晶などが挙げられる。
【0020】
複合体で形成された球状核部としては、例えば、薬効成分を含む組成物で球状賦形剤の表面を被覆した複合体などが挙げられる。
【0021】
球状賦形剤としては、慣用の製剤用球形核粒子を利用できる。球状賦形剤を構成する賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、ショ糖、白糖、粉末還元麦芽糖水アメなどの糖類;ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖水飴(マルチトール)、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、ブドウ糖を醗酵させた4炭糖(例えば、エリスリトールなど)などの糖アルコール;微結晶セルロース、結晶セルロース、粉末セルロースなどのセルロース類;メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)などのアルキルセルロースなどが挙げられる。これらの賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、乳糖、白糖などの糖類、マンニトールなどの糖アルコール、結晶セルロースなどのセルロース類が好ましく、乳糖などの糖類と結晶セルロースなどのセルロース類との組み合わせが特に好ましい。
【0022】
球状賦形剤の割合は、薬効成分100質量部に対して、例えば1~50質量部、好ましくは5~40質量部、さらに好ましくは10~30質量部、最も好ましくは15~25質量部である。
【0023】
球状賦形剤を被覆する組成物は、薬効成分に加えて結合剤をさらに含んでいてもよい。
【0024】
結合剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン類(ポビドン、酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体など)、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸系ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸共重合体など)、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルなどの合成高分子;カルボキシメチルセルロース(カルメロースまたはCMC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースまたはHPMC)などのセルロースエーテル類;酢酸セルロースなどのセルロースエステル類などが挙げられる。
【0025】
これらの結合剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ヒプロメロースなどのヒドロキシC2-4アルキルC1-2アルキルセルロースが好ましい。
【0026】
結合剤の割合は、薬効成分100質量部に対して、例えば5~100質量部、好ましくは10~80質量部、さらに好ましくは30~70質量部、最も好ましくは40~60質量部である。結合剤の割合が少なすぎると、薬効成分を球状各部表面に付着させるのが困難となる虞があり、逆に多すぎると、薬効粒子の粒径が大きくなる虞がある。
【0027】
前記組成物は、薬効成分に加えて、賦形剤をさらに含んでいてもよい。この賦形剤としては、前記球状賦形剤の項で例示された賦形剤などが挙げられる。前記賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記賦形剤のうち、マンニトールなどの糖アルコールが好ましく、D-マンニトールが特に好ましい。
【0028】
賦形剤の割合は、薬効成分100質量部に対して、例えば1~30質量部、好ましくは2~20質量部、さらに好ましくは3~15質量部、最も好ましくは5~10質量部である。賦形剤の割合が少なすぎると、薬効粒子の側面割れ防止性が低下する虞があり、逆に多すぎると、薬効粒子の粒径が大きくなる虞がある。
【0029】
前記組成物は、薬効成分に加えて、慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0030】
慣用の添加剤としては、例えば、崩壊剤、滑沢剤、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスコルビン酸、ステビア、カンゾウ粗エキス、単シロップなど)、着香剤または清涼化剤(ヨーグルトミクロン、ペパーミントミクロン、メントール、ジンジャーオイルなど)、抗酸化剤[ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、クエン酸など]、防腐剤または保存剤(安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類など)、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤などが挙げられる。
【0031】
崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、クロスポビドンコポリマーなどの架橋ポリビニルピロリドン類;カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)などのセルロースエーテル類;寒天、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビンガム、アラビアガム、トラガントガム、プルラン、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ペクチン、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどの多糖類;ゼラチン、カゼイン、ダイズタンパク質などのタンパク質類;タルク、軽質無水ケイ酸などの無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどのケイ酸類;ベントナイト、合成ヒドロタルサイト、カオリンなどの鉱物類などが挙げられる。
【0032】
滑沢剤としては、例えば、脂肪酸またはその金属塩(ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウムなどの脂肪酸またはその塩;含水二酸化ケイ素(含水無水ケイ酸)、二酸化ケイ素などの酸化ケイ素;ジメチルポリシロキサンなどのポリオルガノシロキサン;硬化油、カカオ脂などの油脂類;ミツロウ、サラシミツロウ、カルナウバロウ、ラノリン、パラフィン、ワセリンなどのワックス類などが挙げられる。
【0033】
可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの親水性可塑剤;トリアセチン、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、ラウリル酸、ステアリルアルコール、セタノールなどの脂溶性可塑剤などが挙げられる。
【0034】
界面活性剤としては、例えば、重量平均分子量300~6000のポリエチレングリコールなどのマクロゴール類;プルロニック(登録商標)、ポロクサマーなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ポリソルベート80などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート類);ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化油;モノステアリン酸グリセリンなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖ラウリン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル;ラウリル硫酸ナトリウムなどの脂肪酸金属塩などが挙げられる。
【0035】
pH調整剤としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸;酢酸、クエン酸などの有機酸;水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基;アミン類などの有機塩基などが挙げられる。
【0036】
着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用レーキ色素、ベンガラ、ウコン抽出液、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、カロチン液、タール色素、カラメルなどが挙げられる。
【0037】
これら慣用の添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。慣用の添加剤の割合は、薬効成分100質量部に対して50質量部以下(例えば0.1~50質量部)であってもよく、例えば30質量部以下、好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下であってもよい。
【0038】
球状核部の形状は、球状であれば、特に限定されず、球形度(真球度)は0.6以上(例えば0.6~0.99程度)であってもよく、例えば0.7以上(例えば0.7~0.98)、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上、最も好ましくは0.95以上である。球形度が小さすぎると、均一なコート部を形成するのが困難となる虞がある。
【0039】
球状核部の中心粒径(D50)は、250μm以下(例えば10~250μm)であってもよく、例えば50~210μm、好ましくは100~200μm、さらに好ましくは130~180μm、最も好ましくは140~160μmである。球状核部の中心粒径が小さすぎると、薬効が低下する虞があり、逆に大きすぎると、製剤設計性が低下するとともに、用途によっては服用感が低下する虞がある。
【0040】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、中心粒径(D50)などの粒子径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて体積基準で測定できる。D50は、粒子径分布の小粒子側から累積50体積%となる粒子の粒径を意味する。
【0041】
[放出制御層]
本発明の薬効粒子は、前記球状核部を被覆するコート部をさらに含み、このコート部は放出制御層を含んでいる。
【0042】
放出制御層は、有効成分(活性成分)であるエソメプラゾールの放出を制御できる層であればよく、放出速度を制御する徐放層や移動を制御する移動制御層などであってもよいが、胃液に対して溶解せず、かつ腸液に対して溶解する腸溶層(腸溶性コーティング層)が好ましい。
【0043】
腸溶層は、腸溶性ポリマーを含む。腸溶性ポリマーとしては、慣用の腸溶性ポリマーを利用できる。慣用の腸溶性ポリマーとしては、例えば、セルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCF)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートなどのセルロース誘導体;メタクリル酸-アクリル酸エチル共重合体(メタクリル酸コポリマーLD)、メタクリル酸-アクリル酸n-ブチル共重合体、メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(メタクリル酸コポリマーL,S)などの(メタ)アクリル系ポリマー;ポリビニルアセテートフタレートなどが挙げられる。これらの腸溶性ポリマーは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、メタクリル酸コポリマーLD、アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル共重合体などの(メタ)アクリル系共重合体が好ましい。
【0044】
腸溶性ポリマーの割合は、腸溶層中10質量%以上であってもよく、例えば30~95質量%、好ましくは50~90質量%、さらに好ましくは60~85質量%、最も好ましくは70~80質量%である。腸溶性ポリマーの割合が少なすぎると、腸溶性や生体利用性が低下する虞がある。
【0045】
腸溶層は、腸溶性ポリマーに加えて、可塑剤をさらに含んでいてもよい。可塑剤としては、前記球状核部の項で例示された可塑剤などが挙げられる。前記可塑剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記可塑剤のうち、クエン酸トリエチルなどの脂溶性可塑剤が好ましい。
【0046】
可塑剤の割合は、腸溶性ポリマー100質量部に対して、例えば5~80質量部、好ましくは10~50質量部、さらに好ましくは20~40質量部、最も好ましくは30~35質量部である。可塑剤の割合が少なすぎると、均一な腸溶層を形成するのが困難となる虞があり、逆に多すぎると、腸溶性が低下する虞がある。
【0047】
腸溶層は、腸溶性ポリマーに加えて、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。界面活性剤としては、前記球状核部の項で例示された界面活性剤などが挙げられる。前記界面活性剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記界面活性剤のうち、グリセリン脂肪酸エステル、ポリソルベート類が好ましく、モノステアリン酸グリセリンなどのグリセリンモノC8-24脂肪酸エステルが特に好ましい。
【0048】
界面活性剤の割合は、腸溶性ポリマー100質量部に対して、例えば1~30質量部、好ましくは2~20質量部、さらに好ましくは3~10質量部、最も好ましくは4~8質量部である。界面活性剤の割合が少なすぎると、均一な腸溶層を形成するのが困難となる虞があり、逆に多すぎると、腸溶性が低下する虞がある。
【0049】
腸溶層は、腸溶性ポリマーに加えて、滑沢剤をさらに含んでいてもよい。滑沢剤としては、前記球状核部の項で例示された滑沢剤などが挙げられる。前記滑沢剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記滑沢剤のうち、含水二酸化ケイ素などの酸化ケイ素が好ましい。
【0050】
滑沢剤の割合は、腸溶性ポリマー100質量部に対して、例えば0.01~3質量部、好ましくは0.05~1質量部、さらに好ましくは0.1~0.5質量部である。
【0051】
腸溶層は、腸溶性ポリマーに加えて、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、前記球状核部の項で例示された賦形剤、結合剤、崩壊剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤、着香剤または香料、清涼化剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の合計割合は、腸溶性ポリマー100質量部に対して、例えば10質量部以下(例えば0.1~10質量部)であり、好ましくは5質量部以下である。
【0052】
放出制御層(特に、腸溶層)は、単層であってもよく、複数層の組み合わせであってもよい。複数層の組み合わせとしては、2層以上であればよく、例えば2~4層である。複数層の組み合わせである場合、腸溶層間(例えば、2層の場合、第1の腸溶層と第2の腸溶層との間)には、後述する中間層が介在していてもよい。これらのうち、口腔内崩壊錠にクラックが発生し易く、本発明の効果が発現し易い点から、複数層の組み合わせが好ましく、2~3層の組み合わせがさらに好ましく、2層の組み合わせが最も好ましい。
【0053】
放出制御層(特に、腸溶層)の割合(複数層の組み合わせの場合、各層の割合)は、球状核部100質量部に対して、例えば30~200質量部、好ましくは50~150質量部、さらに好ましくは80~100質量部、最も好ましくは90~95質量部である。放出制御層の割合が少なすぎると、放出制御性が低下する虞があり、逆に多すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0054】
放出制御層(特に、腸溶層)の平均厚み(複数層の組み合わせの場合、各層の平均厚み)は、例えば10~40μm、好ましくは15~35μm、さらに好ましくは20~30μmである。
【0055】
[中間層]
複数の放出制御層間に介在する中間層は、結合剤を含んでいてもよい。結合剤としては、前記球状核部の項で例示された結合剤などが挙げられる。前記結合剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記結合剤のうち、ヒプロメロースなどのヒドロキシC2-4アルキルC1-2アルキルセルロースが好ましい。複数の放出制御層(特に、腸溶層)の間に中間層を介在させることにより、放出制御層の制御機能を調整できる。
【0056】
中間層は、結合剤に加えて、賦形剤をさらに含んでいてもよい。賦形剤としては、例えば、前記球状核部の項で例示された賦形剤の他、タルク、軽質無水ケイ酸などの無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素(含水無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどのケイ酸類;酸化マグネシウム、酸化チタンなどの金属酸化物;沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;乳酸カルシウムなどの乳酸塩;無水リン酸水素カルシウム、リン酸一水素カルシウムなどのリン酸塩;ベントナイト、合成ヒドロタルサイト、カオリンなどの鉱物類も賦形剤として利用できる。これらの賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、タルクなどのケイ酸塩が好ましい。
【0057】
賦形剤の割合は、結合剤100質量部に対して、例えば30~200質量部、好ましくは50~150質量部、さらに好ましくは90~100質量部である。賦形剤の割合が少なすぎると、中間層の機械的特性が低下する虞があり、逆に多すぎると、層間密着性が低下する虞がある。
【0058】
中間層は、結合剤に加えて、滑沢剤をさらに含んでいてもよい。滑沢剤としては、前記球状核部の項で例示された滑沢剤(タルクおよび含水二酸化ケイ素を除く)などが挙げられる。前記滑沢剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記滑沢剤のうち、含水二酸化ケイ素などの酸化ケイ素が好ましい。
【0059】
滑沢剤の割合は、結合剤100質量部に対して、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.5~5質量部、さらに好ましくは1~3質量部である。
【0060】
中間層は、結合剤に加えて、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、前記球状核部の項で例示された崩壊剤、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤、着香剤または香料、清涼化剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の合計割合は、結合剤100質量部に対して、例えば10質量部以下(例えば0.1~10質量部)であり、好ましくは5質量部以下である。
【0061】
中間層の割合(複数層の組み合わせの場合、各層の割合)は、球状核部100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは3~80質量部、さらに好ましくは5~50質量部、最も好ましくは10~30質量部である。中間層の割合が少なすぎると、腸溶層の機械的特性が低下する虞があり、逆に多すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0062】
中間層の平均厚み(複数層の組み合わせの場合、各層の平均厚み)は、例えば1~15μm、好ましくは2~10μm、さらに好ましくは3~8μmである。中間層の厚みが薄すぎると、腸溶層の機械的特性が低下する虞があり、逆に厚すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0063】
[遮蔽層]
前記コート部は、前記放出制御層に加えて、前記球状核部と前記放出制御層との間に介在する遮蔽層をさらに含んでいてもよい。前記放出制御層の構成成分(特に、腸溶層の腸溶性ポリマー)は、カルボキシル基などの官能基を有しているため、放出制御層と球状核部との間に遮蔽層を介在させることにより、球状核部の薬効成分が前記官能基によって薬効が低下するのを抑制できる。なお、この遮蔽層は、後述するように、第1の遮蔽層であってもよい。
【0064】
(第1の遮蔽層)
遮蔽層(第1の遮蔽層)は、賦形剤(第1の賦形剤)を含む。賦形剤としては、例えば、前記中間層の項で例示された賦形剤などが挙げられる。これらのうち、タルクなどのケイ酸塩、酸化チタンなどの金属酸化物が好ましく、ケイ酸塩と金属酸化物との組み合わせが特に好ましい。
【0065】
賦形剤の割合は、遮蔽層中10質量%以上であってもよく、例えば30~95質量%、好ましくは50~93質量%、さらに好ましくは70~90質量%、最も好ましくは75~85質量%程度である。賦形剤の割合が少なすぎると、薬効が低下する虞がある。
【0066】
遮蔽層(第1の遮蔽層)は、賦形剤に加えて、結合剤をさらに含んでいてもよい。結合剤としては、前記球状核部の項で例示された結合剤などが挙げられる。前記結合剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記結合剤のうち、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2-4アルキルセルロースが好ましい。
【0067】
結合剤の割合は、賦形剤100質量部に対して、例えば3~100質量部、好ましくは5~50質量部、さらに好ましくは10~30質量部、最も好ましくは15~25質量部である。結合剤の割合が少なすぎると、遮蔽層の機械的特性が低下する虞があり、逆に多すぎると、薬効が低下する虞がある。
【0068】
遮蔽層(第1の遮蔽層)は、賦形剤に加えて、滑沢剤をさらに含んでいてもよい。滑沢剤としては、前記球状核部の項で例示された滑沢剤(タルクおよび含水二酸化ケイ素を除く)などが挙げられる。前記滑沢剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記滑沢剤のうち、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、含水二酸化ケイ素などの酸化ケイ素が好ましく、C8-24脂肪酸金属塩と酸化ケイ素との組み合わせが特に好ましい。
【0069】
滑沢剤の割合は、賦形剤100質量部に対して、例えば1~20質量部、好ましくは2~10質量部、さらに好ましくは3~8質量部である。
【0070】
遮蔽層(第1の遮蔽層)は、賦形剤に加えて、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、前記球状核部の項で例示された崩壊剤、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤、着香剤または香料、清涼化剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の合計割合は、賦形剤100質量部に対して、例えば10質量部以下(例えば0.1~10質量部)であり、好ましくは5質量部以下である。
【0071】
遮蔽層(第1の遮蔽層)の割合は、球状核部100質量部に対して、例えば30~150質量部、好ましくは50~120質量部、さらに好ましくは70~100質量部、最も好ましくは80~90質量部である。遮蔽層の割合が少なすぎると、薬効が低下する虞があり、逆に多すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0072】
遮蔽層(第1の遮蔽層)の平均厚みは、例えば10~40μm、好ましくは15~35μm、さらに好ましくは20~30μmである。遮蔽層の厚みが薄すぎると、薬効が低下する虞があり、逆に厚すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0073】
遮蔽層は、このような遮蔽層単独の層であってもよいが、遮蔽層の強度が向上するとともに、口腔内崩壊錠のクラックが発生し易く、本発明の効果が発現し易い点から、複数の遮蔽層の組み合わせが好ましく、前記遮蔽層で形成された第1の遮蔽層と、腸溶層側に形成された第2の遮蔽層(第1の遮蔽層の上に積層された第2の遮蔽層)との組み合わせが特に好ましい。
【0074】
(第2の遮蔽層)
第2の遮蔽層は、賦形剤(第2の賦形剤)を含む。第2の賦形剤としては、前記中間層の項で例示された賦形剤などが挙げられる。前記賦形剤のうち、タルクなどのケイ酸塩が好ましい。
【0075】
第2の賦形剤の割合は、第2の遮蔽層中10質量%以上であってもよく、例えば10~90質量%、好ましくは30~85質量%、さらに好ましくは50~80質量%、最も好ましくは60~70質量%程度である。第2の賦形剤の割合が少なすぎると、薬効が低下する虞がある。
【0076】
第2の遮蔽層は、第2の賦形剤に加えて、結合剤をさらに含んでいてもよい。結合剤としては、前記球状核部の項で例示された結合剤などが挙げられる。前記結合剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記結合剤のうち、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2-4アルキルセルロースが好ましい。
【0077】
結合剤の割合は、第2の賦形剤100質量部に対して、例えば5~100質量部、好ましくは10~80質量部、さらに好ましくは20~70質量部、最も好ましくは30~50質量部である。結合剤の割合が少なすぎると、第2の遮蔽層の機械的特性が低下する虞があり、逆に多すぎると、薬効が低下する虞がある。
【0078】
第2の遮蔽層は、第2の賦形剤に加えて、滑沢剤をさらに含んでいてもよい。滑沢剤としては、前記球状核部の項で例示された滑沢剤(タルクおよび含水二酸化ケイ素を除く)などが挙げられる。前記滑沢剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記滑沢剤のうち、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、含水二酸化ケイ素などの酸化ケイ素が好ましく、C8-24脂肪酸金属塩と酸化ケイ素との組み合わせが特に好ましい。
【0079】
滑沢剤の割合は、第2の賦形剤100質量部に対して、例えば1~20質量部、好ましくは3~15質量部、さらに好ましくは5~10質量部である。
【0080】
第2の遮蔽層は、第2の賦形剤に加えて、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、前記球状核部の項で例示された崩壊剤、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤、着香剤または香料、清涼化剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の合計割合は、第2の賦形剤100質量部に対して、例えば10質量部以下(例えば0.1~10質量部)であり、好ましくは5質量部以下である。
【0081】
第2の遮蔽層の割合は、球状核部100質量部に対して、例えば3~80質量部、好ましくは5~50質量部、さらに好ましくは10~30質量部、最も好ましくは20~25質量部である。第2の遮蔽層の割合が少なすぎると、第1の遮蔽層を補強する効果が低下する虞があり、逆に多すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0082】
第2の遮蔽層の平均厚みは、例えば1~15μm、好ましくは2~10μm、さらに好ましくは3~8μmである。第2の遮蔽層の厚みが薄すぎると、第1の遮蔽層を補強する効果が低下する虞があり、逆に厚すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0083】
[最外層]
前記コート部の最外層は、薬効粒子中4質量%以上のマンニトールを含んでおり、本発明では、薬効粒子の表面がマンニトールを特定の割合で含むことにより、口腔内崩壊錠を調製するために打錠しても、錠剤自体におけるクラックの発生を抑制できる。最外層によってクラックの発生が抑制される原因は明確ではないが、マンニトールを特定の割合で含む最外層が応力を吸収することによって、薬効粒子の硬度が高い場合でも塑性変形して薬効の粒子の周辺に空隙が発生するのを抑制していると推定できる。
【0084】
マンニトールとしては、D-マンニトールが好ましい。マンニトールの安息角は、例えば30~70°、好ましくは40~65°、さらに好ましくは45~60°、最も好ましくは50~55°である。安息角が小さすぎると、速崩壊性粒子の機械的特性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、口腔内崩壊性が低下する虞がある。
【0085】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、安息角は、JIS R9301-2-2に準拠して測定できる。
【0086】
最外層に含まれるマンニトールの割合は、薬効粒子中4質量%以上(例えば4~30質量%程度)であればよいが、錠剤のクラックを抑制でき、かつ生産性も高い点から、好ましくは5~25質量%、さらに好ましくは7~20質量%、より好ましくは8~15質量%、最も好ましくは9~12質量%である。
【0087】
マンニトールの割合は、最外層中50質量%以上であってもよく、例えば80質量%以上(80~100質量%)、好ましくは90~99.99質量%、さらに好ましくは95~99.9質量%、最も好ましくは98~99.5質量%である。マンニトールの割合が少なすぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0088】
最外層は、マンニトールに加えて、前記球状核部の項で例示された着色剤をさらに含んでいてもよい。前記着色剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記着色剤のうち、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄が好ましい。
【0089】
着色剤の割合は、マンニトール100質量部に対して、例えば0.01~5質量部、好ましくは0.05~3質量部、さらに好ましくは0.1~2質量部、最も好ましくは0.5~1.5質量部である。
【0090】
最外層は、マンニトールに加えて、他の糖アルコールをさらに含んでいてもよい。他の糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖水飴(マルチトール)、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、ブドウ糖を醗酵させた4炭糖(例えば、エリスリトールなど)などが挙げられる。他の糖アルコールの割合は、マンニトール100質量部に対して、例えば50質量部以下(例えば0.1~50質量部)、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0091】
最外層は、マンニトールに加えて、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、前記球状核部の項で例示された賦形剤、結合剤、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、甘味剤または矯味剤、着香剤または香料、清涼化剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の合計割合は、マンニトール100質量部に対して、例えば10質量部以下(例えば0.1~10質量部)であり、好ましくは5質量部以下である。
【0092】
最外層は、崩壊剤を実質的に含まないのが好ましく、崩壊剤を含まないのが特に好ましい。崩壊剤としては、前記球状核部の項で例示された崩壊剤などが挙げられ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムを含まないのが好ましい。
【0093】
最外層の割合は、球状核部100質量部に対して、例えば15~100質量部、好ましくは20~80質量部、さらに好ましくは30~60質量部、最も好ましくは40~50質量部である。最外層の割合が少なすぎると、クラックが発生する虞があり、逆に多すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0094】
最外層の平均厚みは、例えば1~15μm、好ましくは2~10μm、さらに好ましくは3~8μmである。最外層の厚みが薄すぎると、クラックが発生する虞があり、逆に厚すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0095】
[薬効粒子の特性および製造方法]
本発明の薬効粒子は、高い粒子硬度を有していてもよい。本発明では、薬効粒子の硬度が高くても、機能性粒子を含む口腔内崩壊錠を打錠して製造しても、錠剤にクラックが発生するのを抑制できる。
【0096】
本発明の薬効粒子の粒子硬度は350gf以上(特に400gf以上)であってもよく、例えば400~600gf、好ましくは450~550gf、さらに好ましくは470~530gf、最も好ましくは480~520gfである。粒子硬度が低すぎると、クラックの発生が抑制されるため、本発明の効果が十分に発現しない虞がある。
【0097】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、粒子硬度は、慣用のテクスチャーアナライザーを用いて測定でき、詳細には、実施例に記載の方法で測定できる。
【0098】
本発明の薬効粒子の中心粒径(D50)は、例えば460~550μm、好ましくは470~530μm、さらに好ましくは490~520μm、最も好ましくは495~510μmである。粒径が小さすぎると、本発明の効果が十分に発現しない虞があり、逆に大きすぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0099】
本発明の薬効粒子は、球状核部をコート部で被覆することにより製造できる。
【0100】
球状核部の調製方法は、球状核部の種類に応じて適宜選択でき、慣用の方法であってもよい。球状核部が複合体(薬効成分を含む組成物で球状賦形剤の表面を被覆した複合体)である場合は、球状核部に対して、薬効成分を含む組成物を慣用のコーティング方法でコーティングしてもよい。慣用のコーティング方法としては、例えば、塗布、噴霧、含浸・浸漬、パンコーティング、流動層コーティング、転動コーティング、転動流動コーティングなどが挙げられる。これらのうち、流動層コーティング、転動流動コーティングが好ましく、転動流動コーティングが特に好ましい。
【0101】
コート部のコーティング方法としても、前記慣用の方法を利用でき、流動層コーティング、転動流動コーティングが好ましく、転動流動コーティングが特に好ましい。コート部は、層毎に異なるコーティング方法でコーティングしてもよく、全ての層を同一の方法でコーティングしてもよい。生産性などの点から、全ての層を同一のコーティング方法でコーティングするのが好ましく、全ての層を転動流動コーティングするのが特に好ましい。
【0102】
[口腔内崩壊錠]
本発明の口腔内崩壊錠(OD錠)は、前記薬効粒子を含んでいればよいが、口腔内崩壊性を向上させるために、前記薬効粒子と速崩壊性粒子とを含むOD錠用組成物を打錠して得られるOD錠が好ましい。
【0103】
(速崩壊性粒子)
OD錠に含まれる速崩壊性粒子は、崩壊剤を含む組成物で形成されていればよく、OD錠の速崩壊性粒子として利用されている速崩壊性粒子であってもよい。速崩壊性粒子としては、薬効成分を含んでいてもよいが、製剤設計性などの点から、薬効成分を含まない粒子が好ましく、クラックの発生を抑制できるとともに、口腔内崩壊性および服用感も向上できる点から、糖アルコールおよびカルメロースを含み、結晶セルロースの割合が粒子中1質量%未満である速崩壊性粒子が特に好ましい。
【0104】
糖アルコールは賦形剤として配合される。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖水飴(マルチトール)、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、ブドウ糖を醗酵させた4炭糖(例えば、エリスリトールなど)などが挙げられる。これらの糖アルコールは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトールなどが汎用され、マンニトールが好ましく、D-マンニトールが特に好ましい。
【0105】
糖アルコール(原料糖アルコール)の形状は、特に限定されず、無定形状、繊維状、楕円体状、球状、平板状、粉粒状などであってもよく、通常、無定形状、粉粒状などである。
【0106】
糖アルコール(原料糖アルコール)の平均粒径(D50)は、例えば1~350μm、好ましくは5~250μm、さらに好ましくは20~150μmである。糖アルコールの粒径が小さすぎると、速崩壊性粒子の機械的特性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、服用感が低下する虞がある。
【0107】
糖アルコール(特に、マンニトール)の割合は、速崩壊性粒子中30質量%以上であってもよく、例えば30~95質量%、好ましくは50~90質量%、さらに好ましくは60~85質量%、より好ましくは65~80質量%、最も好ましくは70~75質量%である。糖アルコールの割合が少なすぎると、服用感が低下する虞があり、逆に多すぎると、口腔内崩壊性が低下する虞がある。
【0108】
前記速崩壊性粒子は、糖アルコールに加えて、崩壊剤としてカルメロースをさらに含む。速崩壊性粒子では、結晶セルロースを実質的に含有させることなく、糖アルコールとカルメロースとを組み合わせることにより、口腔内崩壊性だけでなく、服用感も向上できる。特に、糖アルコールに加えて、さらに後述するエチルセルロース、ケイ酸類およびクロスポビドンと組み合わせることにより、カルメロースの導水性が他の成分と相乗作用を示すためか、口腔内崩壊性および服用感を高度に向上できるとともに、口腔内崩壊錠に必要な機械的特性も担保できる。
【0109】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、酸型化率は、遊離のカルボキシル基と、塩を形成しているカルボキシル基との合計モル数に対する遊離のカルボキシル基のモル数の割合を意味し、酸またはアルカリ滴定や核磁気共鳴スペクトルなどの慣用の方法を利用して測定できる。
【0110】
カルメロースにおいて、カルボキシメチル基の平均置換度(または平均エーテル化度)は、例えば、0.1~1、好ましくは0.2~0.8、さらに好ましくは0.3~0.7、最も好ましくは0.4~0.6である。平均置換度が低すぎると、口腔内崩壊性が低下する虞がある。なお、この平均置換度は、セルロースを構成するグルコース単位の6位のヒドロキシル基に対する置換度(置換割合)の平均値であり、最大値は1である。
【0111】
カルメロース(原料カルメロース)の形状は、特に限定されず、無定形状、繊維状、楕円体状、球状、平板状、粉粒状などであってもよく、通常、無定形状、粉粒状などである。
【0112】
カルメロース(原料カルメロース)の平均粒径(D50)は、例えば1~70μm、好ましくは3~50μm、さらに好ましくは5~30μmである。カルメロースの粒径が小さすぎると、口腔内崩壊性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、服用感が低下する虞がある。
【0113】
カルメロースの嵩比重は、例えば100~800g/リットル、好ましくは200~500g/リットル、さらに好ましくは300~400g/リットルである。
【0114】
カルメロースの割合は、糖アルコール100質量部に対して1~100質量部程度の範囲から選択でき、例えば3~50質量部、好ましくは5~45質量部、さらに好ましくは10~40質量部、より好ましくは20~35質量部、最も好ましくは25~30質量部である。カルメロースの割合は、粒子中3~50質量%であってもよく、好ましくは5~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%、最も好ましくは15~25質量%である。カルメロースの割合が少なすぎると、口腔内崩壊性が低下する虞があり、逆に多すぎると、服用感が低下する虞がある。
【0115】
前記速崩壊性粒子は、糖アルコールおよびカルメロースに加えて、結合剤としてエチルセルロースをさらに含んでもよい。
【0116】
エチルセルロースの形状は、特に限定されず、無定形状、繊維状、楕円体状、球状、平板状、粉粒状などであってもよく、通常、無定形状、粉粒状などである。
【0117】
エチルセルロースの平均粒径(D50)は、例えば1~60μm、好ましくは3~45μm、さらに好ましくは5~15μmである。エチルセルロースの粒径が小さすぎると、速崩壊性粒子の機械的特性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、服用感が低下する虞がある。
【0118】
エチルセルロースの割合は、糖アルコール100質量部に対して、例えば0.1~10質量部、好ましくは1~5質量部、さらに好ましくは1.5~4質量部、最も好ましくは2~3.5質量部である。エチルセルロースの割合は、速崩壊性粒子中0.1~10質量%であってもよく、好ましくは0.5~5質量%、さらに好ましくは1~3質量%、最も好ましくは1.5~2.5質量%である。エチルセルロースの割合が少なすぎると、粒子の機械的特性が低下する虞があり、逆に多すぎると、口腔内崩壊性が低下する虞がある。
【0119】
前記速崩壊性粒子は、糖アルコールおよびカルメロースに加えて、結合剤および/または崩壊剤としてケイ酸類をさらに含んでもよい。ケイ酸類は、一般的には賦形剤として利用されることが多いが、本発明では、糖アルコールおよびカルメロースと組み合わせることにより、硬度の向上に加えて、口腔内崩壊性および服用感にも寄与し、無水ケイ酸を選択することにより、導水性が向上するためか、口腔内崩壊性および服用感を高度に向上できる。
【0120】
ケイ酸類としては、例えば、前記中間層の項で賦形剤として例示されたケイ酸類などが挙げられる。前記ケイ酸類は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、無水ケイ酸が好ましく、軽質無水ケイ酸が特に好ましい。
【0121】
ケイ酸類(原料ケイ酸類)の形状は、特に限定されず、無定形状、繊維状、楕円体状、球状、平板状、粉粒状などであってもよく、通常、無定形状、粉粒状などである。
【0122】
ケイ酸類(特に、無水ケイ酸)の平均粒径(D50)は、例えば0.1~30μm、好ましくは0.5~10μm、さらに好ましくは1~5μm、最も好ましくは2~4μmである。ケイ酸類の粒径が小さすぎると、口腔内崩壊性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、服用感が低下する虞がある。
【0123】
ケイ酸類(原料ケイ酸類)のBET比表面積は、例えば50~1000m2/g、好ましくは100~500m2/g、さらに好ましくは150~450m2/g、最も好ましくは200~400m2/gである。比表面積が小さすぎると、硬度が低下する虞があり、逆に大きすぎると、口腔内崩壊性が低下する虞がある。
【0124】
ケイ酸類の割合は、糖アルコール100質量部に対して、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.3~5質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部、最も好ましくは1~2質量部である。ケイ酸類の割合は、粒子中0.1~5質量%であってもよく、好ましくは0.3~3質量%、さらに好ましくは0.5~2質量%、最も好ましくは0.5~1.5質量%である。ケイ酸類の割合が少なすぎると、硬度の向上効果や口腔内崩壊性が低下する虞があり、逆に多すぎると、服用感が低下する虞がある。
【0125】
前記速崩壊性粒子は、糖アルコールおよびカルメロースに加えて、崩壊剤としてクロスポビドンをさらに含んでもよい。
【0126】
クロスポビドン(原料クロスポビドン)の形状は、特に限定されず、無定形状、繊維状、楕円体状、球状、平板状、粉粒状などであってもよく、通常、無定形状、粉粒状などである。
【0127】
クロスポビドンの平均粒径(D50)は、例えば0.5~50μm、好ましくは1~30μm、さらに好ましくは3~20μm、最も好ましくは5~10μmである。クロスポビドンの粒径が小さすぎると、口腔内崩壊性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、服用感が低下する虞がある。
【0128】
クロスポビドンの割合は、糖アルコール100質量部に対して、例えば3~20質量部、好ましくは5~15質量部、さらに好ましくは6~10質量部、最も好ましくは7~9質量部である。クロスポビドンの割合は、粒子中3~15質量%であってもよく、好ましくは5~10質量%、さらに好ましくは5~8質量%、最も好ましくは6~7質量%である。クロスポビドンの割合が少なすぎると、口腔内崩壊性が低下する虞があり、逆に多すぎると、粒子の機械的特性が低下する虞がある。
【0129】
前記速崩壊性粒子は、経口製剤に配合される慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、前記球状核部の項で例示された崩壊剤(クロスポビドンを除く)、賦形剤(糖アルコールおよびエチルセルロースを除く)、結合剤(カルメロースを除く)、滑沢剤、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤、着香剤または清涼化剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤などが挙げられる。
【0130】
これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、速崩壊性粒子中50質量%以下(例えば0.01~50質量%)であってもよく、例えば30質量%以下、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下(例えば0.1~5質量%)である。
【0131】
前記速崩壊性粒子は、口腔内崩壊性と服用感とを両立させる点から、微結晶セルロースまたは結晶セルロースを実質的に含まないのが好ましい。そのため、前記速崩壊性粒子において、結晶セルロースの割合は、速崩壊性粒子中1質量%未満であり、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であり、結晶セルロースを含まないのが最も好ましい。速崩壊性粒子中に結晶セルロースが含まれると、口腔内崩壊性、服用感ともに低下する。
【0132】
前記速崩壊性粒子は、口腔内崩壊性と服用感とを両立させる点から、デンプン類を実質的に含まないのが好ましく、デンプンを実質的に含まないが特に好ましい。
【0133】
デンプン類としては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプンなどのデンプン;アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプン、酸化デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウムなどのデンプン誘導体などが挙げられる。
【0134】
前記速崩壊性粒子において、デンプン類(特に、トウモロコシデンプンなどのデンプン)の割合は、速崩壊性粒子中1質量%未満であり、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であり、デンプン類を含まないのが最も好ましい。速崩壊性粒子中にデンプン類(特に、デンプン)が含まれると、口腔内崩壊性、服用感ともに低下する。
【0135】
前記速崩壊性粒子の形状は、特に限定されず、無定形状、繊維状、楕円体状、球状、平板状、粉粒状などであってもよく、無定形状、粉粒状、球状が好ましく、球状などの等方形状が特に好ましい。
【0136】
前記速崩壊性粒子の平均粒径(D50)は、例えば10~200μm、好ましくは30~150μm、さらに好ましくは50~100μm、最も好ましくは70~80μmである。速崩壊性粒子の粒径が小さすぎると、口腔内崩壊性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、服用感が低下する虞がある。
【0137】
前記速崩壊性粒子の10体積%粒径(D10)は、例えば1μm以上(例えば1~75μm)、好ましくは5μm以上(例えば5~50μm)、さらに好ましくは10μm以上(例えば10~40μm)、より好ましくは20μm以上(例えば20~35μm)、最も好ましくは25μm以上(例えば25~30μm)である。D10が小さすぎると、口腔内崩壊性が低下する虞がある。
【0138】
前記速崩壊性粒子の90体積%粒径(D90)は、例えば300μm以下(例えば80~300μm)、好ましくは250μm以下(例えば100~250μm)、より好ましくは200μm以下(例えば130~200μm)、最も好ましくは180μm以下(例えば150~180μm)である。D90が大きすぎると、服用感が低下する虞がある。
【0139】
前記OD錠用組成物において、速崩壊性粒子の割合は、薬効粒子100質量部に対して、例えば10~1000質量部、好ましくは30~500質量部、さらに好ましくは50~300質量部、より好ましくは80~200質量部、最も好ましくは100~150質量部である。速崩壊性粒子の割合が少なすぎると、口腔内崩壊性および服用感が低下する虞があり、逆に多すぎると、製剤設計性が低下する虞がある。
【0140】
(速崩壊性粒子の製造方法)
前記速崩壊性粒子は、慣用の造粒方法、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、混合・攪拌造粒法、噴霧乾燥造粒法、振動造粒法などの造粒方法で造粒することより得られる。これらのうち、生産性などの点から、流動層造粒法が好ましい。
【0141】
流動層造粒法としては、慣用の方法を利用できるが、速崩壊性粒子が糖アルコール、カルメロース、エチルセルロース、ケイ酸類およびクロスポビドンを含む場合、クロスポビドン以外の成分を予め流動層造粒機で混合し、クロスポビドンを含む水系分散液(造粒液)を噴霧して造粒する方法が好ましい。固体状の糖アルコールと固体状のカルメロースとを混合することにより、口腔内崩壊性と服用感とを両立できる速崩壊性粒子を調製し易くなる。
【0142】
前記造粒液に含まれる溶媒としては、特に制限されないが、水や低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのC1-4アルコールなど)、脂肪族ケトン(例えば、アセトンなど)またはこれらの混合溶媒が汎用され、安全性の面から、水および/またはエタノールが好ましく、水が特に好ましい。溶媒の割合は、クロスポビドン100質量部に対して、例えば1000~2000質量部、好ましくは1200~1800質量部、さらに好ましくは1400~1600質量部である。
【0143】
(他の成分)
前記OD錠用組成物は、薬効粒子および速崩壊性粒子に加えて、賦形剤、崩壊剤、流動化剤、滑沢剤、甘味剤または矯味剤、着香剤または清涼化剤をさらに含んでいてもよい。
【0144】
賦形剤としては、前記球状核部の項で例示された賦形剤をさらに含んでいてもよい。前記賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記賦形剤のうち、結晶セルロースなどのセルロース類、エチルセルロースなどのアルキルセルロースが好ましく、アルキルセルロースが特に好ましい。賦形剤の割合は、薬効粒子100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは3~50質量部、さらに好ましくは5~40質量部、最も好ましくは10~30質量部である。
【0145】
崩壊剤としては、前記球状核部の項で例示された崩壊剤をさらに含んでいてもよい。前記崩壊剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記崩壊剤のうち、クロスポビドンなどの架橋ポリビニルピロリドン類が好ましい。崩壊剤の割合は、薬効粒子100質量部に対して、例えば1~50質量部、好ましくは2~30質量部、さらに好ましくは3~20質量部、最も好ましくは5~15質量部である。
【0146】
流動化剤としては、タルク、軽質無水ケイ酸などの無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどのケイ酸類などが例示できる。前記流動化剤のうち、軽質無水ケイ酸などの無水ケイ酸が好ましい。流動化剤の割合は、薬効粒子100質量部に対して、例えば0.05~5質量部、好ましくは0.1~3質量部、さらに好ましくは0.3~1質量部である。
【0147】
滑沢剤としては、前記球状核部の項で例示された滑沢剤などが挙げられる。前記滑沢剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記滑沢剤のうち、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩が好ましい。滑沢剤の割合は、薬効粒子100質量部に対して、例えば0.05~5質量部、好ましくは0.1~3質量部、さらに好ましくは0.3~1質量部である。
【0148】
甘味剤または矯味剤としては前記球状核部の項で例示された甘味剤または矯味剤などが挙げられる。甘味剤または矯味剤の割合は、薬効粒子100質量部に対して、例えば0.1~5質量部、好ましくは0.5~3質量部、さらに好ましくは1~2質量部である。
【0149】
着香剤または清涼化剤としては前記球状核部の項で例示された着香剤または清涼化剤などが挙げられる。着香剤または清涼化剤の割合は、薬効粒子100質量部に対して、例えば0.01~3質量部、好ましくは0.05~1質量部、さらに好ましくは0.1~0.5質量部である。
【0150】
本発明のOD錠の錠剤径は、例えば3~20mm、好ましくは5~15mm、さらに好ましくは7~12mm、最も好ましくは8~11mmである。
【0151】
本発明のOD錠の製造方法としては、このようなOD錠用組成物を用いて打錠する方法であればよく、慣用の方法を利用できる。
【実施例】
【0152】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において使用した原料および評価した方法を以下に示す。また、使用した原料の重量は全て固形分重量である。
【0153】
[評価方法]
(粒径分布)
粒径分布(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、商品名「マスターサイザー3000」)を用いて、体積基準で測定した。
【0154】
(粒子硬度)
粒子硬度は、テクスチャーアナライザー(SMS社製、商品名「テクスチャーアナライザーTA.XT Plus」)を用いて、治具として3mm径の平面プローブを用いて下記条件で顆粒を圧縮し、顆粒が破損して圧力が低下する極大圧力を顆粒強度として測定した。
【0155】
ロードセル:5kg
プローブ速度:0.1mm/sec
トリガー重量:1gから2000gまで圧縮。
【0156】
(錠剤硬度)
錠剤硬度は、ERWEKA型錠剤硬度計(ERWEKA社製、商品名「錠剤硬度計 TBH425TD」を用いて、電動錘荷重により圧子で錠剤に荷重を負荷する方法で測定した。
【0157】
(クラック発生の有無)
得られた口腔内崩壊錠の側面を目視で観察して評価した。
【0158】
比較例1~6
[薬効粒子の調製]
薬効粒子は以下の手順で調製した。使用した原料の1錠当たりの質量は表1に示す。なお、最外層に使用した原料の1錠当たりの質量は表2に示す。
【0159】
(球状核部の調製)
1)乳糖・結晶セルロース球状顆粒(フロイント産業社製、商品名「ノンパレル-105(グレード150)」)を転動流動層造粒乾燥機に投入した。
【0160】
2)精製水とエタノール(日本アルコール産業社製、規格含量99.5体積%)とを混和し、混和液にエソメプラゾールマグネシウム水和物(Aurobindo社製)およびヒプロメロース(信越化学工業社製、商品名「TC-5R」)を溶解・分散させ、この液を全量スプレーしてコーティングした後、乾燥した。
【0161】
3)乾燥品とタルク(日本タルク社製、商品名「MICRO ACE P-3」)を混合し、混合末を30M篩および100M篩で分級し、30M篩を通過し、100M篩に残存した粒子を球状核部とした。
【0162】
(第1の遮蔽層の被覆工程)
1)球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。
【0163】
2)精製水とエタノールとを混和し、混和液にヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達社製、商品名「HPC-SL」)を溶解させた後、タルク(MICRO ACE P-3)およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製、グレード「植物性(太平)」)を分散させ、分散液Aを調製した。
【0164】
3)別途、酸化チタン(フロイント産業社製、商品名「酸化チタン FG」)を精製水に分散させ、100M篩でろ過し、ろ過液Bを調製した。
【0165】
4)分散液Aとろ過液Bとを混和し、この液を全量スプレーしてコーティングした後、乾燥した。
【0166】
5)乾燥品と含水二酸化ケイ素(富士シリシア化学社製、商品名「アドソリダー-102」)とを混合し、混合末を30M篩および100M篩で分級し、30M篩を通過し、100M篩に残存した粒子を第1の遮蔽層被覆粒子として調製した。
【0167】
(第2の遮蔽層の被覆工程)
1)第1の遮蔽層被覆粒子を転動流動層造粒乾燥機に投入した。
【0168】
2)精製水とエタノールとを混和し、混和液にヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SL)を溶解させ、続いてタルク(MICRO ACE P-3)およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製、グレード「植物性(太平)」)を分散させ、この液を全量スプレーしてコーティングした後、乾燥した。
【0169】
3)乾燥品と含水二酸化ケイ素(アドソリダー-102)とを混合し、混合末を30M篩および100M篩で分級し、30M篩を通過し、100M篩に残存した粒子を第2の遮蔽層被覆粒子として調製した。
【0170】
(第1の腸溶層の被覆工程)
1)第2の遮蔽層被覆粒子を転動流動層造粒乾燥機に入れた。
【0171】
2)メタクリル酸コポリマーLD(Evonik社製、商品名「オイドラギットL30D-55」)、ポリソルベート80(三洋化成工業社製、商品名「ポリソルベート80」)、クエン酸トリエチル(森村商事社製、商品名「シトロフレックス2(SC-60)」)およびモノステアリン酸グリセリン(理研ビタミン社製、商品名「モノステアリン酸グリセリン P-100 10K」)を精製水に分散させた分散液を混和し、100M篩でろ過した液を全量スプレーしてコーティングした後、乾燥した。
【0172】
3)乾燥品と含水二酸化ケイ素(アドソリダー-102)とを混合し、混合末を30M篩および100M篩で分級し、30M篩を通過し、100M篩に残存した粒子を第1の腸溶層被覆粒子として調製した。
【0173】
(中間層の被覆工程)
1)第1の腸溶層被覆粒子を転動流動層造粒乾燥機に投入した。
【0174】
2)精製水にヒプロメロース(TC-5R)およびタルク(MICRO ACE P-3)を溶解・分散させ、この液を全量スプレーしてコーティングした後、乾燥した。
【0175】
3)乾燥品と含水二酸化ケイ素(アドソリダー-102)とを混合し、混合末を30M篩および100M篩で分級し、30M篩を通過し、100M篩に残存した粒子を中間層被覆粒子として調製した。
【0176】
(第2の腸溶層の被覆工程)
1)中間層被覆粒子を転動流動層造粒乾燥機に入れた。
【0177】
2)メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギットL30D-55)、ポリソルベート80(三洋化成工業社製)、クエン酸トリエチル(SC-60)およびモノステアリン酸グリセリン(P-100 10K)を精製水に分散させた分散液を混和し、100M篩でろ過した液を全量スプレーしてコーティングした後、乾燥した。
【0178】
3)乾燥品と含水二酸化ケイ素(アドソリダー-102)とを混合し、混合末を22M篩および100M篩で分級し、22M篩を通過し、100M篩に残存した粒子を第2の腸溶層被覆粒子とした。
【0179】
(最外層の被覆工程)
1)第2の腸溶層被覆粒子を転動流動層造粒乾燥機に投入した。
【0180】
2)精製水にD-マンニトール(ROQUETTE社製、商品名「PEARLITOL 50C」)を溶解させ、続いて黄色三二酸化鉄(癸巳化成社製)、三二酸化鉄(癸巳化成社製)を分散させ、200M篩でろ過したろ過液を全量スプレーしてコーティングした後、乾燥した。
【0181】
3)乾燥品を22M篩および100M篩で分級し、22M篩を通過し、100M篩に残存した粒子を薬効粒子とした。得られた薬効粒子の中心粒径(D50)は494μmであり、粒子硬度は484.5gfであった。
【0182】
【0183】
[速崩壊性粒子の調製]
速崩壊性粒子は以下の手順で調製した。使用した原料の1錠当たりの質量は表2に示す。
【0184】
1)流動層造粒乾燥機に、D-マンニトール、エチルセルロース、軽質無水ケイ酸およびカルメロースを投入し、クロスポビドンを精製水に分散した造粒液で造粒し、続いて乾燥し、速崩壊性粒子を調製した。
【0185】
[OD錠の調製]
OD錠は以下の手順で調製した。使用した原料の1錠当たりの質量は表2に示す。
【0186】
1)薬効粒子、速崩壊性粒子、結晶セルロース(旭化成社製、商品名「セオラスKG-802」)、クロスポビドン(BASFジャパン社製、商品名「コリドンCL-F」、タイプA)、エチルセルロース(THE DOW CHEMICAL社製、商品名「エトセルスタンダード7FPプレミアム」)、アスパルテーム(味の素社製)、香料を混合し,さらにステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製、グレード「植物性(太平)」)を入れて混合し、打錠末を得た。
【0187】
2)得られた打錠末をロータリー式打錠機を用いて打錠し、錠剤径9mm、厚み5.4mm、硬度60NのOD錠を調製した。
【0188】
得られたOD錠の評価結果を表2に示す。
【0189】
【0190】
表2の結果から明らかなように、比較例1~6では、小さい剤径ではクラックが発生した。
【0191】
実施例1~6
薬効粒子の最外層中のD-マンニトール量を表3に示す割合に変更し、速崩壊性粒子の組成も表3に示す割合に変更する以外は比較例1~6と同様にしてOD錠を調製した。得られたOD錠の評価結果を表3に示す。
【0192】
【0193】
表3の結果から明らかなように、実施例1~6では、幅広い剤径でクラックの発生を抑制できた。
【0194】
実施例7~13
薬効粒子の最外層中のD-マンニトール量を表4に示す割合に変更し、速崩壊性粒子の組成も表4に示す割合に変更する以外は比較例1~6と同様にしてOD錠を調製した。得られたOD錠の評価結果を表4に示す。
【0195】
【0196】
表4の結果から明らかなように、実施例7~13では、幅広い剤径でクラックの発生を抑制できた。
【0197】
実施例14~18
薬効粒子の最外層中のD-マンニトール量を表5に示す割合に変更し、速崩壊性粒子の組成も表5に示す割合に変更する以外は比較例1~6と同様にしてOD錠を調製した。得られたOD錠の評価結果を表5に示す。
【0198】
【0199】
表5の結果から明らかなように、実施例14~18では、幅広い剤径でクラックの発生を抑制できた。
【0200】
実施例19および20
実施例と同様の方法で表6および7に示す組成のOD錠を調製した。
【0201】
【0202】
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明の薬効粒子は、各種薬効成分を含む口腔内崩壊錠を調製するための機能性薬効粒子として利用でき、特に、胃液(胃酸)で分解され易く、腸溶層が必要な薬効成分を含む口腔内崩壊錠を調製するための機能性薬効粒子として好適である。