(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20241107BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H01L21/306 E
H01L21/304 642A
H01L21/304 642F
H01L21/304 651J
(21)【出願番号】P 2020130002
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2019236758
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】武知 圭
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-244162(JP,A)
【文献】特開2009-141165(JP,A)
【文献】特開平06-154784(JP,A)
【文献】国際公開第2014/020693(WO,A1)
【文献】特開2004-327826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を貯留する貯留空間を有し、前記貯留空間に貯留される前記処理液に基板を浸漬することで前記基板を処理する処理槽と、
前記貯留空間内で前記基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の下方側に設けられ、前記貯留空間に前記処理液を吐出して前記貯留空間内で前記処理液の流れを形成する処理液吐出部と、
前記貯留空間内において前記基板保持部に保持された前記基板の下方側に配置される配管および前記処理液の流れの方向に前記配管から突設され
、柱状形状を有する中空状の突設部位を有し、前記配管を介して前記突設部位を送られてきた気体を前記突設部位の先端
の中央部に設けられた気泡吐出口から吐出して前記貯留空間に貯留された前記処理液内に気泡を供給する気泡供給部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
処理液を貯留する貯留空間を有し、前記貯留空間に貯留される前記処理液に基板を浸漬することで前記基板を処理する処理槽と、
前記貯留空間内で前記基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の下方側に設けられ、前記貯留空間に前記処理液を吐出して前記貯留空間内で前記処理液の流れを形成する処理液吐出部と、
前記貯留空間内において前記基板保持部に保持された前記基板の下方側に配置される配管および前記処理液の流れの方向に前記配管から突設され
、先端に向かうにしたがって外径寸法が小さくなる先細り形状を有する中空状の突設部位を有し、前記配管を介して前記突設部位を送られてきた気体を前記突設部位の先端に設けられた気泡吐出口から吐出して前記貯留空間に貯留された前記処理液内に気泡を供給する気泡供給部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記突設部位は樹脂材料で構成されている基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記突設部位は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択された少なくとも1つのものから構成されている基板処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の基板処理装置であって、
前記突設部位の先端はプラズマ処理を受けている基板処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、
前記基板保持部は複数の前記基板を水平方向に互いに離間しながら保持し、
前記気泡供給部は、前記水平方向に延設された前記配管の側壁に前記突設部位を複数個前記水平方向に配列して設け、
前記水平方向において前記基板と前記突設部位とが交互に位置し、
前記突設部位の各々は前記水平方向において隣接する前記基板の間に向けて前記気泡吐出口から前記気泡を供給する基板処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか一項に記載の基板処理装置であって、
前記処理槽は、前記基板を処理している間、前記処理液吐出部から供給された前記処理液を前記貯留空間の上方開口からオーバーフローさせる基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理槽に貯留された薬液や純水などの処理液に基板を浸漬するとともに処理液内で上記基板に気泡を供給して処理する基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造分野においては、半導体装置の高密度化と大容量化に対応するために高アスペクト比の凹部を形成する技術が要望されている。例えば三次元NAND型不揮発性半導体装置(以下「3D-NANDメモリ」という)の製造過程においては、シリコン酸化膜(SiO2膜)とシリコン窒化膜(SiN膜)を多数積層した積層体に対して積層方向に凹部を形成した後、凹部を介してSiN膜をウエットエッチングにより除去する工程が含まれる。この工程を実行するために、例えば特許文献1に記載の基板処理装置を用いることが検討されている。
【0003】
基板処理装置を用いて上記ウエットエッチングを行う場合、SiN膜のエッチャントの一例であるリン酸を含む薬液が処理液として用いられる。より具体的には、基板処理装置では、処理槽の内部に形成された貯留空間の内底部に噴出管が配置され、当該噴出管から処理液が貯留空間に供給される。このため、処理槽では、処理液が処理槽からオーバーフローされながら処理槽に一定量だけ貯留される。そして、処理槽に貯留された処理液に上記凹部構造を有する基板が浸漬される。また、基板処理装置では、噴出管と同様に、気泡供給管が貯留空間の内底部に配置され、貯留空間の内底部からオーバーフロー面に向かって気泡が供給される。これらの気泡は処理液内で上昇して基板に供給される。こうした基板への気泡供給により凹部に対して新鮮な処理液を迅速かつ連続して供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-200821号公報
【文献】特開2003-40649号公報
【文献】特開2009-98270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には気泡供給管の詳しい構成は記載されていないが、基板処理装置では多孔質材料をパイプ状に仕上げたもの(特許文献2)や筒状部材に対して複数の貫通孔を一定間隔で列状に設けたもの(特許文献3)などが気泡供給管として多用されている。これらの気泡供給管に対して窒素ガスなどの気体がガス供給源から送給されると、当該気体が気泡供給管の表面に設けられた複数の開口(多孔質孔や貫通孔)から吐出され、これによって処理液内に気泡が供給される。こうして供給される気泡のサイズは開口寸法よりも大きくなる。というのも、気泡は次のようにして供給されるからである。すなわち、気泡の発生直後においては気泡供給管の表面のうち開口の周囲に気泡は密着する。そして、時間経過に伴って密着領域が開口を中心として放射状に広がった後で、気泡が気泡供給管の開口および密着領域から離脱して処理液内に供給される。
【0006】
このように従来技術では、気泡サイズは気泡の吐出口として機能する開口の寸法よりも大きくなり、気泡供給による基板表面への新鮮な処理液の供給を効果的に行うことが難しいという問題がある。また、特許文献1や特許文献3に記載の基板処理装置では、複数の基板を一定の間隔だけ離間させながら一括して処理するため、基板間への気泡の入り込みが困難となる。したがって、従来の基板処理装置では、基板処理の品質を向上させるのにも一定の限界があった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、処理槽に貯留される処理液に基板を浸漬するとともに処理液中で上記基板に気泡を供給して処理する基板処理装置において、気泡サイズを小さくして処理品質を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1態様は、基板処理装置であって、処理液を貯留する貯留空間を有し、 貯留空間に貯留される 処理液に基板を浸漬することで 基板を処理する処理槽と、 貯留空間内で 基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、 基板保持部に保持された 基板の下方側に設けられ、 貯留空間に 処理液を吐出して 貯留空間内で 処理液の流れを形成する処理液吐出部と、 貯留空間内において 基板保持部に保持された 基板の下方側に配置される配管および 処理液の流れの方向に 配管から突設され、柱状形状を有する中空状の突設部位を有し、 配管を介して 突設部位を送られてきた気体を 突設部位の先端の中央部に設けられた気泡吐出口から吐出して 貯留空間に貯留された 処理液内に気泡を供給する気泡供給部と、を備えることを特徴としている。
この発明の第2態様は、基板処理装置であって、処理液を貯留する貯留空間を有し、 貯留空間に貯留される 処理液に基板を浸漬することで 基板を処理する処理槽と、 貯留空間内で 基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、 基板保持部に保持された 基板の下方側に設けられ、 貯留空間に 処理液を吐出して 貯留空間内で 処理液の流れを形成する処理液吐出部と、 貯留空間内において 基板保持部に保持された 基板の下方側に配置される配管および 処理液の流れの方向に 配管から突設され、先端に向かうにしたがって外径寸法が小さくなる先細り形状を有する中空状の突設部位を有し、 配管を介して 突設部位を送られてきた気体を 突設部位の先端に設けられた気泡吐出口から吐出して 貯留空間に貯留された 処理液内に気泡を供給する気泡供給部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、気泡供給部の気泡吐出口は配管ではなく、配管から突設された突設部位の先端に設けられている。このため、気泡供給部のうち気泡が気泡吐出口から離脱して処理液に供給される直前まで密着している密着領域は突設部位の先端面に限定され、配管の側壁に気泡吐出口を設けたときよりも狭小化することができる。その結果、気泡サイズを小さくして処理品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態を装備する基板処理システムの概略構成を示す平面図である。
【
図2】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の概略構成を示す模式図である。
【
図3】
図2に示す基板処理装置の主要構成を模式的に示す分解組立斜視図である。
【
図5】リフタに保持される複数の基板と気泡吐出口との配置関係を示す模式図である。
【
図6】第1実施形態に係る基板処理装置の比較例を示す模式図である。
【
図7】本発明に係る基板処理装置の第2実施形態で用いられる気泡供給部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に係る基板処理装置の第1実施形態を装備する基板処理システムの概略構成を示す平面図である。基板処理システム1は、収納器載置部2と、シャッタ駆動機構3と、基板移載ロボット4と、姿勢変換機構5と、プッシャ6と、基板搬送機構7と、処理ユニット8と、制御部9を備えている。以下の各図における方向を統一的に示すために、
図1に示すようにXYZ直交座標軸を設定する。ここでXY平面が水平面を表す。また、Z軸が鉛直軸を表し、より詳しくはZ方向が鉛直方向である。
【0012】
収納器載置部2では、基板Wを収納した収納器が載置される。本実施形態では、収納器の一例として、水平姿勢の複数枚(たとえば25枚)の基板WをZ方向に積層した状態で収納可能に構成されたフープFが用いられている。フープFは、未処理の基板Wを収納した状態で収納器載置部2に載置されたり、処理済の基板Wを収納するために、空の状態で収納器載置部2に載置されたりする。フープFに収納される基板Wは、この実施形態では、3D-NANDメモリを形成する半導体ウエハであり、高アスペクト比の凹部を有している。
【0013】
収納器載置部2に対して(+Y)方向側で隣接するプロセス空間内には、シャッタ駆動機構3、基板移載ロボット4、姿勢変換機構5、プッシャ6、基板搬送機構7および処理ユニット8が配置されている。収納器載置部2とプロセス空間とは、開閉自在なシャッタ31を装備する隔壁(図示省略)により区画されている。シャッタ31はシャッタ駆動機構3に接続されている。シャッタ駆動機構3は制御部9からの閉指令に応じてシャッタ31を閉成して収納器載置部2とプロセス空間とを空間的に分離する。逆に、シャッタ駆動機構3は制御部9からの開指令に応じてシャッタ31を開放し、収納器載置部2とプロセス空間とを連通させる。これにより、フープFからプロセス空間への未処理基板Wの搬入および処理済基板WのフープFへの搬出が可能となる。
【0014】
上記した基板Wの搬入出処理は基板移載ロボット4によって行われる。基板移載ロボット4は水平面内で旋回自在に構成されている。基板移載ロボット4は、シャッタ31が開放された状態で、姿勢変換機構5とフープFとの間で複数枚の基板Wを受け渡しする。また、姿勢変換機構5は、基板移載ロボット4を介してフープFから基板Wを受け取った後やフープFに基板Wを受け渡す前に、複数枚の基板Wの姿勢を起立姿勢と水平姿勢との間で変換する。
【0015】
姿勢変換機構5の基板搬送機構7側(同図中の+X方向側)にプッシャ6が配置され、姿勢変換機構5と基板搬送機構7との間で起立姿勢の複数枚の基板Wを受け渡しする。また、基板搬送機構7は、同図に示すようにプッシャ6に対向した位置(以下「待機位置」という)から処理ユニット8を構成する処理部81~85が配列された配列方向(同図中のY方向)に沿って水平方向に移動する。
【0016】
基板搬送機構7は一対の懸垂アーム71を備えている。この一対の懸垂アーム71の揺動によって複数の基板Wを一括保持と保持解除を切替可能となっている。より具体的には、各アーム71の下縁が互いに離れる方向に水平軸周りで揺動して複数枚の基板Wを開放し、各アーム71の下縁を互いに接近させる方向に水平軸周りに揺動して複数枚の基板Wを挟持して保持する。また、
図1への図示を省略しているが、基板搬送機構7はアーム移動部とアーム揺動部とを有している。これらのうちアーム移動部は、処理部81~85が配列された配列方向Yに沿って一対の懸垂アーム71を水平移動させる機能を有している。このため、この水平移動によって一対の懸垂アーム71は処理部81~85の各々に対向した位置(以下「処理位置」という)および待機位置に位置決めされる。
【0017】
一方、アーム揺動部は上記アーム揺動動作を実行する機能を有しており、基板Wを挟持して保持する保持状態と、基板Wの挟持を解除する解除状態とを切り替える。このため、この切替動作と、処理部81、82の基板保持部として機能するリフタ810aや処理部83、84の基板保持部として機能するリフタ810bの上下動とによって、リフタ810と懸垂アーム71との間での基板Wの受け渡しを行うことが可能となっている。また、処理部85に対向する処理位置では、処理部85と懸垂アーム71との間での基板Wの受け渡しを行うことが可能となっている。さらに、待機位置では、プッシャ6を介して姿勢変換機構5と懸垂アーム71との間での基板Wの受け渡しを行うことが可能となっている。
【0018】
処理ユニット8には、上記したように5つの処理部81~85が設けられているが、それぞれ第1薬液処理部81、第1リンス処理部82、第2薬液処理部83、第2リンス処理部84および乾燥処理部85として機能する。これらのうち第1薬液処理部81および第2薬液処理部83は、それぞれ、同種または異種の薬液を処理槽821に貯留し、その薬液中に複数枚の基板Wを一括して浸漬させて薬液処理を施す。第1リンス処理部82および第2リンス処理部84は、それぞれ、リンス液(たとえば純水)を処理槽821に貯留し、そのリンス液中に複数枚の基板Wを一括して浸漬させて、表面にリンス処理を施すものである。これら第1薬液処理部81、第1リンス処理部82、第2薬液処理部83および第2リンス処理部84は本発明に係る基板処理装置の第1実施形態に相当しており、処理液の種類が相違するものの装置の基本構成は同一である。なお、装置構成および動作については後で
図2ないし
図5を参照しつつ詳述する。
【0019】
図1に示すように、第1薬液処理部81と、これに隣接する第1リンス処理部82とが対になっており、第2薬液処理部83と、これに隣接する第2リンス処理部84とが対になっている。そして、リフタ810aは第1薬液処理部81および第1リンス処理部82において本発明の「基板保持部」として機能するのみならず、第1薬液処理部81で薬液処理された基板Wを第1リンス処理部82に移すための専用搬送機構としても機能する。また、リフタ810bは第2薬液処理部83および第2リンス処理部84において本発明の「基板保持部」として機能するのみならず、第2薬液処理部83で薬液処理された基板Wを第2リンス処理部84に移すための専用搬送機構としても機能する。
【0020】
このように構成された処理ユニット8では、リフタ810aの3本の支持部材(
図2中の符号812)が基板搬送機構7の一対の懸垂アーム71から複数枚の基板Wを一括して受け取り、後で詳述するように、処理槽から処理液をオーバーフローさせるオーバーフロー工程と処理槽に貯留された処理液内に気泡を供給する気泡供給工程とを実行しながら、第1薬液処理部81の処理槽中に下降させて薬液中に浸漬させる(浸漬工程)。さらに、所定の薬液処理時間だけ待機した後に、リフタ810aは複数枚の基板Wを保持する支持部材を薬液中から引き上げ、第1リンス処理部82へと横行させ、さらに、薬液処理済の基板Wを保持したまま支持部材を第1リンス処理部82の処理槽(
図2中の符号821)内へと下降させてリンス液中に浸漬させる。所定のリンス処理時間だけ待機した後、リフタ810aは、リンス処理済の基板Wを保持したまま支持部材を上昇させてリンス液中から基板Wを引き上げる。この後、リフタ810aの支持部材から基板搬送機構7の一対の懸垂アーム71に複数枚の基板Wが一括して渡される。
【0021】
リフタ810bも同様に、基板搬送機構7の一対の懸垂アーム71から複数枚の基板Wを一括して受け取り、この複数枚の基板Wを第2薬液処理部83の処理槽821中に下降させて薬液中に浸漬させる。さらに、所定の薬液処理時間だけ待機した後に、リフタ810bは、支持部材を上昇させて薬液中から薬液処理済の複数枚の基板Wを引き上げ、第2リンス処理部84の処理槽へと支持部材を横行させ、さらに、この支持部材を第2リンス処理部84の処理槽821内へと下降させてリンス液中に浸漬させる。所定のリンス処理時間だけ待機した後、第2リフタ810bは、支持部材を上昇させてリンス液中から基板Wを引き上げる。この後、第2リフタ810bから基板搬送機構7に複数枚の基板Wが一括して渡される。なお、第1薬液処理部81、第1リンス処理部82、第2薬液処理部83および第2リンス処理部84の各々に本発明の「基板保持部」として機能するリフタを設ける一方、処理部81~84に対する基板Wの搬入出を基板搬送機構7や専用の搬送機構で行うように構成してもよい。
【0022】
乾燥処理部85は、複数枚(たとえば52枚)の基板Wを起立姿勢で配列した状態で保持することができる基板保持部材(図示省略)を有しており、減圧雰囲気中で有機溶剤(イソプロピルアルコール等)を基板Wに供給したり、遠心力によって基板W表面の液成分を振り切ったりすることにより、基板Wを乾燥させるものである。この乾燥処理部85は、基板搬送機構7の一対の懸垂アーム71との間で基板Wの受渡可能に構成されている。そして、リンス処理後の複数枚の基板Wを一括して基板搬送機構7から受け取り、この複数枚の基板Wに対して乾燥処理を施す。また、乾燥処理後においては、基板保持部材から基板搬送機構7に複数枚の基板Wが一括して渡される。
【0023】
次に、本発明に係る基板処理装置について説明する。
図1に示す基板処理システムに装備された第1薬液処理部81、第1リンス処理部82、第2薬液処理部83および第2リンス処理部84では、使用される処理液が一部相違しているが、装置構成および動作は基本的に同一である。そこで、以下においては、本発明に係る基板処理装置の第1実施形態に相当する第1薬液処理部81の構成および動作について説明し、第1リンス処理部82、第2薬液処理部83および第2リンス処理部84に関する説明を省略する。
【0024】
図2は本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の概略構成を示す模式図である。
図3は
図2に示す基板処理装置の主要構成を模式的に示す分解組立斜視図である。
図4は
図2の部分断面図である。
図5はリフタに保持される複数の基板と気泡吐出口との配置関係を示す模式図である。第1薬液処理部81は例えばリン酸を含む薬液を処理液として用いて基板Wの表面に形成された凹部を介してシリコン窒化膜をエッチング除去する装置である。この第1薬液処理部81は、
図2および
図3に示すように、基板Wに対して第1薬液処理を行うための処理槽821を備えている。この処理槽821は、平面視で長方形をなす底壁821aと、底壁821aの周囲から立ち上がる4つの側壁821b~821eとで構成された上方開口のボックス構造を有する。このため、処理槽821は底壁821aと側壁821b~821eとで囲まれた貯留空間821f内で処理液を貯留しながらリフタ810aに保持される複数の基板Wを一括して浸漬可能となっている。また、処理槽821は(+Z)方向に開口された上方開口821gを有し、当該貯留空間821fから処理液をオーバーフローさせることが可能となっている。
【0025】
処理槽821の周囲にオーバーフロー槽822が設けられ、当該オーバーフロー槽822と処理槽821の側壁821b~821eとでオーバーフローした処理液を回収する回収空間822aが形成されている。また、処理槽821およびオーバーフロー槽822の下方と側方とを囲うように外容器823が設けられている。
【0026】
オーバーフロー槽822の回収空間822aの一部、より具体的には、側壁821dの(-X)方向側の空間にフロー配管系839が配置されている。フロー配管系839のインレットは処理液供給部832に接続され、アウトレットは処理液吐出部830のフロー管831に接続されている。このため、制御部9からの処理液供給指令に応じて処理液供給部832が作動すると、処理液がフロー配管系839を介して複数のフロー管831に同時供給される。その結果、フロー管831から処理液が吐出され、貯留空間821fに貯留される。なお、フロー管831の詳しい構成などについては後で詳述する。
【0027】
また、処理槽821からオーバーフローした処理液はオーバーフロー槽822に回収される。このオーバーフロー槽822には処理液回収部833が接続されている。制御部9からの処理液回収指令に応じて処理液回収部833が作動すると、オーバーフロー槽822に回収された処理液が処理液回収部833を経由して処理液供給部832に送液されて再利用に供せられる。このように本実施形態では、処理槽821に対して処理液を循環供給しながら処理液を貯留空間821fに貯留可能となっている。
【0028】
処理液が貯留された貯留空間821fに対して複数の基板Wを一括して保持しながら浸漬させるために、
図2に示すように、リフタ810aが設けられている。このリフタ810aは、複数枚の基板Wを基板搬送機構7(
図1)との間で受け渡しを行う「受渡位置」と、貯留空間821fとの間で昇降可能に構成されている。リフタ810aは、背板811と、3本の支持部材812と、延出部材813とを備えている。背板811は、処理槽821の側壁821bに沿って底壁821aに向けて延出されている。支持部材812は、背板811の下端部側面から(-X)方向に延出されている。本実施形態では、3本の支持部材812が設けられている。各支持部材812では、複数のV字状の溝812aが一定のピッチでX方向に配設されている。各溝812aは基板Wの厚さより若干幅広のV字状の溝812aが(+Z)方向に開口して形成され、基板Wを係止可能となっている。このため、3本の支持部材812によって基板搬送機構7により搬送されてくる複数の基板Wを一定の基板ピッチPT(
図5)で一括して保持可能となっている。また、延出部材813は、背板811の上端部背面から(+X)方向に延出されている。リフタ810aは、
図2に示すように全体としてL字状を呈している。なお、リフタ810aの最上昇位置は、基板搬送機構7が複数枚の基板Wを保持した状態であっても支持部材812の上方を通過できる高さに設定されている。
【0029】
処理槽821の(+X)方向側には、リフタ駆動機構814が設けられている。リフタ駆動機構814は、昇降モータ815と、ボールネジ816と、昇降ベース817と、昇降支柱818と、モータ駆動部819とを備えている。昇降モータ815は、回転軸を縦置きにした状態で基板処理システム1のフレーム(図示省略)に取り付けられている。ボールネジ816は、昇降モータ815の回転軸に連結されている。昇降ベース817は、ボールネジ816に一方側が螺合されている。昇降支柱818は、基端部側が昇降ベース817の中央部に取り付けられ、他端部側が延出部材813の下面に取り付けられている。制御部9からの上昇指令に応じてモータ駆動部819が昇降モータ815を駆動させると、ボールネジ816が回転し、昇降ベース817とともに昇降支柱818が上昇する。これによって支持部材812が受渡位置に位置決めされる。また、制御部9からの下降指令に応じてモータ駆動部819が昇降モータ815を逆方向に駆動させると、ボールネジ816が逆回転し、昇降ベース817とともに昇降支柱818が下降する。これによって、支持部材812に保持される複数の基板Wが一括して貯留空間821fに貯留された処理液に浸漬される。
【0030】
貯留空間821fでは、支持部材812に保持される複数の基板Wの下方側、つまり(-Z)方向側に処理液吐出部830と気泡供給部840とが配設されている。処理液吐出部830は処理液供給部832からフロー配管系839を介して供給される処理液を貯留空間821fに吐出するものであり、気泡供給部840は貯留空間821fに貯留された処理液内に窒素ガスの気泡V(
図5)を供給するものであり、それぞれ以下のように構成されている。
【0031】
処理液吐出部830は、
図3および
図4に示すように、X方向に延設されたフロー管831を有している。本実施形態では4本のフロー管831がY方向に互いに離間して配置されている。各フロー管831の(-X)方向端部はフロー配管系839のアウトレットと接続され、(+X)方向端部は封止されている。また、各フロー管831の側壁には複数の処理液吐出口834が一定の間隔でX方向に配列するように穿設されている。本実施形態では、
図4に示すように、各処理液吐出口834は(-Z)方向に向けて設けられている。このため、フロー管831に供給されてきた処理液は配管内部を(+X)方向に流れ、各処理液吐出口834から底壁821a、つまり貯留空間821fの内底面821hに向けて吐出される。そして、処理液は
図4中の実線矢印で示すように貯留空間821fの内底面821hを経由して上方に流れ、処理槽821の底壁821aから上方開口821g、つまりオーバーフロー面に向う処理液の流れFを形成する。こうして、処理液の上昇流が基板Wの下方側に形成される。なお、発明内容の理解を容易とするため、4本のフロー管831のうち最も(-Y)方向側に配置されたものを「フロー管831a」と称し、(+Y)方向側に順次配置されるものをそれぞれ「フロー管831b」、「フロー管831c」および「フロー管831d」と称する。また、これらを区別しない場合には、上記のように単に「フロー管831」と称する。
【0032】
気泡供給部840は、
図3ないし
図5に示すように、複数(本実施形態では4本)のバブラー841を有している。各バブラー841は、X方向に延設されたバブル配管842と、バブル配管842から上方、つまり(+Z)方向に突設される複数の突設部位843を有している。各バブル配管842の一方端部は窒素ガスを供給するガス供給部844と接続され、他方端部は封止されている。複数の突設部位843は一定の基板ピッチPTと同じピッチPTでバブル配管842の上方側壁に設けられている。各突設部位843は
図3に示すように中空円柱形状を有し、上端面の中央部に気泡吐出口845が設けられている。本実施形態では、樹脂材料、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択された少なくとも1つのもので構成された長尺樹脂管の表面に対して切削加工と穿設加工を施すことでバブル配管842と複数の突設部位843とを一体的に形成している。ここで、バブル配管842と、複数の突設部位843とを個別に準備し、バブル配管842に対して複数の突設部位843を取り付けて一体化させてもよいことは言うまでもない。
【0033】
このように構成された気泡供給部840では、制御部9からの気泡供給指令に応じてガス供給部844が窒素ガスを気泡供給部840に供給すると、バブル配管842を流れる窒素ガスが気泡吐出口845から上方に向けて吐出する。これによって、窒素ガスの気泡Vが貯留空間821fに貯留された処理液に供給され、鉛直方向Zにおいて処理液吐出口834よりも高い位置からオーバーフロー面に向う方向、つまり(+Z)方向に気泡Vが供給される。これらの気泡Vは処理液中を上昇し、基板Wの表面の処理液を新鮮な処理液に置換することを促進する。なお、ガス供給部844としては、例えば窒素ガスが充填されたボンベから窒素ガスを供給する構成であってもよいし、基板処理システム1が設置される工場に設けられたユーティリティを用いてもよい。
【0034】
また、
図4に示すように、4本のバブラー841は、3つのバブラーボード851により下方から支持されることで、リフタ810aに保持された基板Wの下方側かつ処理液吐出口834の上方側で固定的に配置されている。ここでも、発明内容の理解を容易とするため、4本のバブラー841のうち最も(-Y)方向側に配置されたものを「バブラー841a」と称し、(+Y)方向側に順次配置されるものをそれぞれ「バブラー841b」、「バブラー841c」および「バブラー841d」と称する。また、これらを区別しない場合には、上記のように単に「バブラー841」と称する。一方、バブラーボード851についても同様に、バブラーボード851のうち最も(-Y)方向側に配置されたものを「バブラーボード851a」と称し、(+Y)方向側に順次配置されるものをそれぞれ「バブラーボード851b」および「バブラーボード851c」と称する。また、これらを区別しない場合には、上記のように単に「バブラーボード851」と称する。
【0035】
バブラーボード851a~851cはいずれもX方向に延設されたプレート形状を有している。これらのうちバブラーボード851aは、
図4に示すように、鉛直方向Zにおいて処理液吐出口834よりも高い位置でフロー管831aとフロー管831bとの間に配置されるとともに固定部材(図示省略)により処理槽821に固定されている。そして、当該バブラーボード851aの上面にバブラー841aが次の配置関係を満足するように固定されている。その配置関係とは、
図5に示すように、バブラー841aに取り付けられた突設部位843が上方を向いていることと、X方向において基板Wと気泡吐出口845とが交互に位置するということである。このように配置することで気泡吐出口845から供給された気泡VはX方向において隣接する基板Wの間に向けて気泡Vを吐出され、効率的な薬液処理が実行される。なお、この配置関係はその他のバブラー841b~841dについても同様である。
【0036】
バブラーボード851bは鉛直方向Zにおいて処理液吐出口834よりも高い位置でフロー管831bとフロー管831cとの間に配置されるとともに固定部材(図示省略)により処理槽821に固定されている。そして、当該バブラーボード851bの上面にバブラー841b、841cがY方向に一定間隔だけ離間しながら固定されている。さらにバブラーボード851cは鉛直方向Zにおいて処理液吐出口834よりも高い位置でフロー管831cとフロー管831dとの間に配置されるとともに固定部材(図示省略)により処理槽821に固定されている。そして、当該バブラーボード851cの上面にバブラー841dが固定されている。このようにバブラーボード851a~851cは気泡供給部840を下方から支持する機能を有している。
【0037】
また、バブラーボード851a~851cは鉛直方向Zにおいて処理液吐出口834よりも高い位置にてフロー管831a~831dの間に配置されているため、上記支持機能以外に、貯留空間821fの内底面821hを経由して上方に流れる処理液の流れFを規制する機能を有している。バブラーボード851a~851cは互いに離間して処理液の流通経路となる貫通部位852a、852bを形成している。そして、貫通部位852a、852bにフロー管831b、831cの下端部が入り込むように配置されている。また、フロー管831b、831cと同一高さ位置で、フロー管831aがバブラーボード851aの(-Y)方向側に配置されるとともにフロー管831dがバブラーボード851aの(+Y)方向側に配置されている。しかも、バブラーボード851a~851cおよびフロー管831a~831dのうち互いに隣接するもの同士の間に隙間86が形成されている。このため、処理液の上昇流のうちバブラーボード851の下面に向かって流れる処理液(以下「分流対象液」という)の流れFは当該下面で規制され、水平面内で振り分けられる。例えば
図4の部分拡大図では、バブラーボード851cの下面に向う分流対象液の流れFはバブラーボード851cとフロー管831cとの隙間86を流れる処理液の流れF5とバブラーボード851cとフロー管831dとの隙間86を流れる処理液の流れF6とに分流される。また、他のバブラーボード851a、851bにおいても、バブラーボード851cと同様に、分流対象液の流れFが規制されて複数の処理液の流れF1~F4に分流される。
【0038】
このように本実施形態では、貯留空間821fの内底面821hを経由して上方に流れる処理液の一部(分流対象液)の流れFが複数の流れF1~F6に分流されてオーバーフロー面に向けて上昇する。このように本実施形態では、バブラーボード851a~851cは貯留空間821fの内底面821hを経由して上方に流れる処理液の少なくとも一部を分流対象液とし、当該分流対象液の流れFを複数の上昇流に分流してリフタ810aに保持された基板Wに案内しており、分流部850(
図3)として機能している。
【0039】
なお、
図2ないし
図5を参照しつつ本発明に係る基板処理装置の第1実施形態に相当する第1薬液処理部81の構成について説明したが、第2薬液処理部83も処理液の種類が同種または異種である点を除き、第1薬液処理部81と同一の構成を有し、本発明に係る基板処理装置の第1実施形態に相当している。また、第1リンス処理部82および第2リンス処理部84は、処理液が純水やDIW(deionized water)などのリンス液である点を除き、第1薬液処理部81と同一の構成を有し、本発明に係る基板処理装置の第1実施形態に相当している。
【0040】
以上のように、本実施形態では、バブル配管842から複数の突設部位843を上方に突設するとともに各突設部位843の先端に設けられた気泡吐出口845から窒素ガスを吐出して処理液内に気泡Vを供給している。このため、気泡Vのサイズを小さくすることができる。その詳しい理由を、
図6に示す比較例と本実施形態(
図5)とを対比しながら説明する。
【0041】
図6は第1実施形態に係る基板処理装置の比較例を示す模式図である。この比較例では、バブル配管842の側壁に気泡吐出口845を設け、当該気泡吐出口845から窒素ガスを吐出して処理液内に気泡Vを供給している。この場合、気泡Vの発生直後においては、バブル配管842の側壁表面のうち気泡吐出口845の周囲で気泡Vが密着する。このように気泡Vがバブラー841と密着する領域(以下「密着領域」という)は時間経過に伴ってバブラー841の表面に沿って広がっていき、例えば
図6の部分拡大図に示すように気泡Vは比較的大きな略ドーム状に成長する。その後で、気泡Vは気泡吐出口845および密着領域から離脱して処理液内に供給される。
【0042】
これに対し、本実施形態では、気泡Vの発生直後において気泡Vが密着するのは突設部位843の先端面である。このため、時間経過に伴って密着領域は気泡吐出口845を中心に放射状に広がるが、当該先端面の周縁(突設部位843の先端段差箇所)に到達すると、例えば
図5の部分拡大図に示すように、密着領域の広がりが規制される。これによって、気泡Vの成長は止まり、この時点で気泡Vは気泡吐出口845および密着領域から離脱して処理液内に供給される。このように第1実施形態では、処理液内への供給直前まで気泡Vが密着している密着領域は突設部位843の先端面に限定される。その結果、第1実施形態では気泡Vのサイズは比較例(
図6)に比べて小さく、処理品質を高めることができる。
【0043】
特に、第1薬液処理部81は高アスペクト比の凹部を介してSiN膜をウエットエッチングするため、本発明を第1薬液処理部81に適用することは3D-NANDメモリの製造に重要である。すなわち、ウエットエッチング性能を高めるためには凹部の内部と外部との間で処理液の置換を良好に行う必要がある。また、凹部の底付近にエッチング反応に伴うシリコン析出が発生するが、処理液の置換により上記シリコンを凹部から排出することが可能となる。この液置換を安定的かつ継続して発現させるためには、凹部の内部と外部との濃度差、つまり濃度勾配を大きくする必要がある。さらに言えば、これらを満足させるためには、気泡サイズの低減により基板Wの表面に新鮮な処理液を効率的に供給することが重要な技術事項となる。この点について、気泡Vのサイズを効果的に小さくすることができる第1薬液処理部81によれば、当該気泡Vにより新鮮な処理液の供給を促し、SiN膜のウエットエッチングを良好に行うことができる。
【0044】
また、
図5の部分拡大図に示すように、X方向において基板Wと気泡吐出口845とが交互に位置するようにバブラー841dに配置されているため、小サイズの気泡Vを互いに隣接する基板Wの間に向けて効率的に供給することができる。その結果、基板処理(薬液処理やリンス処理)を高品質で行うことができる。
【0045】
このように第1実施形態では、(+Z)方向が本発明の「処理液の流れの方向」の一例に相当している。また、バブル配管842が本発明の「配管」の一例に相当している。また、X方向が本発明の「水平方向」に相当している。
【0046】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、バブル配管842から中空円柱状の突設部位843を設けたバブラー841を用いて気泡Vを供給しているが、バブラー841の構成はこれに限定されるものではない。例えば
図7に示すように中空円錐台形状の突設部位846をバブル配管842から突設したものを用いてもよい(第2実施形態)。この第2実施形態によれば、突設部位846の先端面の表面積は第1実施形態で採用した中空円柱形状の突設部位843のそれよりも狭く、より小サイズの気泡Vを供給することができる。その結果、基板処理をさらに高品質で実行することができる。
【0047】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、突設部位843、846の先端面は円形であるが、当該形状はこれに限定されるものではなく、任意である。例えば
図8に示すように先端面が楕円形状を有する突設部位847、848を用いてもよい。要は、柱状形状または先端に向かうにしたがって外径寸法が小さくなる先細り形状を有する突設部位を用いるのが好ましい。
【0048】
また、突設部位843、846~848の先端に対してプラズマ処理を施してもよい。このプラズマ処理により当該先端、つまり気泡吐出口845の周囲が親水化されて気泡Vの離脱が促進される。その結果、気泡Vのサイズをさらに小さくすることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、処理液吐出部830は4本のフロー管831を含んでいるが、フロー管831の本数はこれに限定されるものではなく、貯留空間821fや基板Wのサイズ等に応じて設定するのが望ましい。また、気泡供給部840に含まれるバブラー841の本数は4本であるが、バブラー841の本数はこれらに限定されるものではなく、貯留空間821fや基板Wのサイズ等に応じて設定するのが望ましい。また、分流部850に含まれるバブラーボード851の枚数は3枚であるが、バブラー841の本数はこれらに限定されるものではなく、貯留空間821fや基板Wのサイズ等に応じて設定するのが望ましい。
【0050】
また、上記実施形態では、バブラー841を分流部850のバブラーボード851により支持して貯留空間821fに貯留された処理液内で固定的に配置するとともに、当該バブラーボード851により内底面821hを経由して上方に流れる処理液の流れFを複数の流れに分流させている。ここで、例えばバブラーボード851を処理槽821に直接的に固定する、つまり分流部850を設けない基板処理装置に対して本発明を適用してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、窒素ガスをバブラー841に送り込んで窒素ガスの気泡Vを処理液内に供給しているが、窒素ガス以外のガスを本発明の「気体」として用いてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、フロー管831から処理液を貯留空間821fの内底面821hに向けて吐出する基板処理装置に本発明を適用しているが、本発明の処理液の供給態様はこれに限定されるものではない。例えば基板の下方側から上方や斜め上方に向けて吐出したり、特許文献1のように貯留空間の内底面に沿って吐出する基板処理装置に対して本発明を適用してもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、リン酸を含む薬液により薬液処理を行う基板処理装置やリンス処理を行う基板処理装置に対して本発明を適用しているが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、上記薬液やリンス液以外の処理液に基板を浸漬させるとともに処理液内で上記基板に気泡を供給して基板処理を行う基板処理技術全般に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明は、処理槽に貯留される貯留された薬液や純水などの処理液に基板を浸漬するとともに処理液中で上記基板に気泡を供給して処理する基板処理装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
81…第1薬液処理部(基板処理装置)
82…第1リンス処理部(基板処理装置)
83…第2薬液処理部(基板処理装置)
84…第2リンス処理部(基板処理装置)
810,810a,810b…リフタ(基板保持部)
821…処理槽
821f…貯留空間
821g…上方開口
830…処理液吐出部
840…気泡供給部
841,841a~841d…バブラー
842…バブル配管
843、846~848…突設部位
845…気泡吐出口
V…気泡
W…基板