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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】水中油型乳化固形化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20241107BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20241107BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241107BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241107BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20241107BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241107BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20241107BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241107BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241107BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20241107BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/06
A61K8/73
A61K8/92
A61K8/31
A61K8/37
A61Q1/00
A61Q17/04
A61Q19/00
A61Q1/10
A61Q1/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020172437
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022063984
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水島 浩平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝行
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-118386(JP,A)
【文献】特開平05-178723(JP,A)
【文献】特開2020-083781(JP,A)
【文献】特開2020-121940(JP,A)
【文献】国際公開第2019/088056(WO,A1)
【文献】特開2003-95862(JP,A)
【文献】特開2018-172305(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143663(WO,A1)
【文献】特開2014-114291(JP,A)
【文献】特開2016-222612(JP,A)
【文献】特開2017-52706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D);
(A)(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルからなる群から選択される単量体由来の構成単位(a)と、イタコン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる群から選択される単量体由来の構成単位(b)と、を含む重合体、
(B)寒天、
(C)油剤、および
(D)水
を含有する水中油型乳化固形化粧料であって、
前記成分(A)の配合量が0.001~4質量%、前記成分(B)の配合量が0.01~10質量%である、水中油型乳化固形化粧料
【請求項2】
前記成分(C)の配合量が3~50質量%である、請求項1に記載の水中油型乳化固形化粧料。
【請求項3】
さらに、成分(E)HLB10.0以上のノニオン系界面活性剤を含む、請求項1また は2に記載の水中油型乳化固形化粧料。
【請求項4】
前記成分(E)が糖骨格を有するノニオン系界面活性剤である、請求項3に記載の水中油型乳化固形化粧料。
【請求項5】
前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量比(A)/(B)が0.001~1 5である、請求項1~4のいずれか1項に記載の水中油型乳化固形化粧料。
【請求項6】
さらに、成分(F)フッ素化合物処理粉体、リン脂質処理粉体、アミノ酸処理粉体、およびN-アシルアミノ酸処理粉体よりなる群から選ばれる1種または2種以上を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の水中油型乳化固形化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化化粧料は、油溶性の有効成分、例えばエモリエント油剤、紫外線吸収剤、油溶性の薬剤等を効率的に皮膚上に展開できることから、化粧料に用いられてきた剤型であり、その使いやすさからスキンケア化粧料だけでなく、メイクアップ化粧料においても多用されている。中でも、水中油型乳化化粧料は、連続相が水性成分で構成されているため、化粧料として用いられた場合に、軽いなめらかなのび、さっぱりとした使用感が得られ、かつ、肌への化粧料への密着性や化粧持続性を向上させるといった特徴を有する。
【0003】
このような水中油型乳化化粧料に、みずみずしさ、清涼感といった感触を付与する目的で、あるいは、固形状とする目的で、寒天が配合される場合がある。一方で、寒天を配合すると肌への化粧料の密着性や化粧持続性が低下する場合があった。このような問題点を解決するために、特許文献1では、寒天を配合した水中油型固形化粧料において、ポリエチレングリコールを配合している。特許文献1においては、ポリエチレングリコールを配合することで、肌への密着性や化粧持続性が向上するとある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-95862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化粧料に形状保持性を担保する目的で水中油型化粧料に寒天を配合すると、化粧料が硬くなる。これに起因して、消費者が指や塗布具などで化粧料を取ろうとすると化粧料がとれにくくなり(化粧料のとれが悪くなり)、指や塗布具などに化粧料が適量付着しにくいという現象がみられる。逆に、化粧料のとれをよくしようと寒天の配合量を減らすと、長期間保管後に形状保持性が維持されないといった問題が生ずる。すなわち、寒天を配合した水中油型乳化化粧料において、固形状を維持する形状保持性と、化粧料のとれはトレードオフの関係にあった。
【0006】
そこで、本発明は、長期間保管後であっても固形状を保持しつつ、化粧料のとれが良好な水中油型乳化固形化粧料を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、化粧料を肌上に適用した際に滑らかに伸び広がる水中油型乳化固形化粧料を提供することである。さらに、本発明の他の目的は、化粧料を適用した際に肌への化粧料の密着性が高く、当該化粧料の効果が持続した水中油型乳化固形化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の成分(A)~(D);
(A)(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルからなる群から選択される単量体由来の構成単位(a)と、イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される単量体由来の構成単位(b)と、を含む重合体、
(B)寒天、
(C)油剤、および
(D)水
を含有する水中油型乳化固形化粧料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長期間保管後であっても固形状を保持しつつ、化粧料のとれが良好な水中油型乳化固形化粧料を提供することが可能となる。また、本発明によれば、化粧料を肌上に適用した際に滑らかに伸び広がる水中油型乳化固形化粧料を提供することが可能となる。さらに、本発明によれば、化粧料を適用した際に肌への化粧料の密着性が高く、当該化粧料の効果が持続した水中油型乳化固形化粧料の提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。
【0011】
本発明の第一実施形態は、次の成分(A)~(D);(A)(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルからなる群から選択される単量体由来の構成単位(a)と、イタコン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる群から選択される単量体由来の構成単位(b)と、を含む重合体、(B)寒天、(C)油剤、および(D)水を含有する水中油型乳化固形化粧料である。
【0012】
上述したように、固形化粧料において化粧料の形状保持性と、塗布具などへの付着性が適度によいといういわゆるとれのよさとは、トレードオフの関係にあり、両立させることが困難である。一方で、本実施形態の構成とすることで、固形の形状を保持したまま、とれが向上する。また、本実施形態の化粧料は、肌上に化粧料を適用した際に滑らかに伸び広がり、化粧料の肌への密着性が高く、さらには、化粧料が長時間にわたってその効果を発揮する(化粧持ちがよい)。
【0013】
本実施形態の化粧料が上記効果を奏する詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように考えられる。なお、以下のメカニズムは本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0014】
寒天は、高分子鎖が複雑に絡まりあう網目構造を有するため、化粧料の固形状態を保持するために寒天が配合される場合がある。しかしながら、固形化粧料に形態を付与するために一定量以上寒天を化粧料に配合すると、寒天のネットワーク構造が強固になり、化粧料が硬くなるため、化粧料のとれが悪化する。一方、本実施形態における成分(A)は、構造中にポリオキシアルキレンアルキルエーテル鎖を有する。このポリオキシアルキレンアルキルエーテル鎖が、成分(B)と相互作用し、成分(B)の固化力を成分(A)が減少させる(若干クリーム状になる)ため、固形化粧料でありながらとれが良くなり、また肌上に適用した際には滑らかに伸び広がる。また、肌上でも成分(A)および成分(B)によって形成されるゲル構造が保持されることで、肌への密着感を上げ、さらに、化粧持ちにも優れる。一方、成分(A)の親油性部分(アルキル鎖)に成分(C)による油滴(乳化滴)が保持され、更に成分(A)および(B)で構成されるゲル構造が油滴の動きを抑えるため油滴の合一を防ぎ、乳化安定性が向上し、長期間での保管後であっても固形状を維持するものと考えられる。
【0015】
また、成分(A)は、構造中にポリオキシアルキレンアルキルエーテル鎖を有することで、該ポリオキシエチレンアルキルエーテル鎖部分で成分(B)とともに水をうまく抱え込むことができるため、化粧料を肌に塗布する際にみずみずしさを付与し、また化粧料を肌上で滑らかに伸び広げることができる。
【0016】
なお、本発明における固形化粧料における固形は、ババロア状で横倒しすると流動性を有する半固形状態であるジェル状とは明確に区別され、横倒ししても流動しない状態を指す。具体的には、固形化粧料は、測定試料をφ75mm、高さ52mmのポリプロピレン製ジャー容器にエアスペースが生じないように充填し、ふたをして30℃恒温槽にて一昼夜放置した後、荷重測定機(FUDOH社製)による、2cmφ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件の場合、0.1g以上であることが好ましい。
【0017】
以下、本実施形態を構成する各成分について説明する。
【0018】
(成分(A):(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルからなる群から選択される単量体由来の構成単位(a)と、イタコン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる群から選択される単量体由来の構成単位(b)と、を含む重合体(以下、単に成分(A)の重合体と称する))
成分(A)の重合体は、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選択される単量体(a)と、イタコン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる群から選択される単量体(b)と、を共重合することにより得られる。好ましくは、アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選択される単量体と、イタコン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる群から選択される単量体と、を共重合することにより得られる。結合様式としては、特に制限されず、ブロック結合、ランダム結合等、いずれであってもよい。また、他の単量体を含有していても良く、架橋構造を有していても良い。他の単量体を含む場合は、他の単量体は、全単量体に対して10モル%未満(下限0モル%)が好ましく、5モル%以下(下限0モル%)がより好ましく、1モル%以下(下限0モル%)がさらに好ましい。ここで、構成単位(a)、構成単位(b)の含有量は、製造段階の単量体(a)、単量体(b)の添加量と一致する。
【0019】
構成単位(a)と、構成単位(b)との含有比は特に限定されず、例えば、モル比で、構成単位(a):構成単位(b)=1:100~100:1である。
【0020】
成分(A)の重合体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体等が挙げられる。また、クロスポリマー(架橋体)であってもよく、クロスポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマー等が挙げられる。
【0021】
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。
【0022】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおいて、アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1~22であり、より好ましくは炭素数1~18であり、更に好ましくは1~8である。(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなどが挙げられる。
【0023】
イタコン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル/(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおける、ポリオキシアルキレンの付加モル数は、好ましくは10~30であり、より好ましくは12~25であり、さらに好ましくは20~25である。ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンなどが挙げられるが、ポリオキシエチレンであることが好ましい。イタコン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおける、アルキルエーテルのアルキル基は、好ましくは炭素数12~24であり、更に好ましくは炭素数16~22である。イタコン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル/(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、具体的には、アクリル酸とポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルとのエステル、メタクリル酸とポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルとのエステル、アクリル酸とポリオキシエチレン(25)ベヘニルエーテルとのエステル、メタクリル酸とポリオキシエチレン(25)ベヘニルエーテルとのエステル、イタコン酸とポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルクロスポリマーとのエステルがより好ましい。なお、括弧内の数値は、酸化エチレンの付加モル数を表す。
【0024】
成分(A)の重合体としては、より具体的には、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル共重合体、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(25)べへニルエーテル共重合体などの(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体;アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル共重合体、アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体などの(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体;アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルクロスポリマーなどの(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマー;アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルクロスポリマーなどの(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマーなどを例示することができる。なお、括弧内の数値は、酸化エチレンの付加モル数を表す。
【0025】
中でも、成分(A)としては、形状保持性および化粧料のとれの観点からアクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレンべへニルエーテル共重合体、アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルクロスポリマーであることが好ましい。
【0026】
アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー)の市販品としては、例えば、商品名:アキュリン(登録商標)22(ローム・アンド・ハース社製)、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(25)べへニルエーテル共重合体((アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー)の市販品としては、例えば、商品名:アキュリン28(ローム・アンド・ハース社製)、商品名:NOVETHIX(登録商標) L-10(ルブリゾール社製))、アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルコポリマー((アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー)の市販品としては、例えば、商品名:STRUCTURE(登録商標)2001(アクゾノーベル社製)、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルクロスポリマーの市販品としては、例えば、商品名:アキュリン88(ローム・アンド・ハース社製)などを例示することができる。
【0027】
成分(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0028】
成分(A)の配合量は、化粧料に対して、0.001質量%以上であることが好ましく、化粧持ち、安定性を考慮すると、0.005質量%以上であることがより好ましく、化粧料のとれ、肌上での伸び広がり、化粧料の肌への密着性を考慮すると、0.01質量%以上であることがさらに好ましく、本発明の効果がより一層得られることから、0.05質量%以上であることが特に好ましい。また、成分(A)の配合量は、肌への密着性を考慮すると、4質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。
【0029】
成分(A)は通常塩基性物質で中和して用いられる。この際、用いられる塩基性物質としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどの無機塩基;L-アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。これらの塩基性物質は、成分(A)を中和するのに十分な量を添加すればよいが、塩基性物質の添加量は、成分(A)に対して、例えば、20~150質量%である。
【0030】
(成分(B):寒天)
成分(B)の寒天は、天然高分子であり、その産地、起源等は問わず何れのものも使用可能である。また、この寒天は、ゼリー強度を調整するために、酸処理して分子を切断させた、いわゆる低強度寒天(特開平5-317008号公報に開示)を用いても良い。成分(B)のゼリー強度は、特に限定されないが、20~2000g/cmのものが好ましく、より好ましくは30~1000g/cmである。ここでゼリー強度とは1.5質量%(以下、単に「%」と記す)となるように寒天を水に加熱溶解し、20℃で15時間放置、凝固せしめたゲルについて、その表面1cm当たり20秒間耐え得る最大質量のことを言う(日寒水式測定法)。
【0031】
成分(B)の寒天としては、例えば、伊那寒天PS-84、Z-10、AX-30、AX-100、AX-200、T-1、S-5、M-7、UP-16、UP-37、CS-16A、CS-420、CS-670、XY-908(以上、伊那食品工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0032】
成分(B)寒天の含有量は、特に制限されるものではないが、肌への密着性や化粧料の安定性を考慮すると、化粧料全量中0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、成分(B)寒天の含有量は、特に制限されるものではないが、化粧料のとれを考慮すると、化粧料全量中10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0033】
成分(B)に対する成分(A)の含有質量比(A)/(B)は、化粧持ち、安定性を考慮すると、0.001以上であることが好ましく、化粧料のとれ、肌上での伸び広がり、化粧料の肌への密着性を考慮すると、0.002以上であることがより好ましく、本発明の効果が一層奏されることから0.01以上であることがさらに好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比(A)/(B)は、本発明の効果が一層されることから、15以下であることが好ましく、肌への密着性を考慮すると10以下であることがより好ましく、肌への密着性、化粧持ち、形状保持性を考慮すると、5以下であることがさらにより好ましい。本発明の好適な一実施形態は、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比(A)/(B)は、0.001~15である。
【0034】
(成分(C):油剤)
本明細書において、油剤とは、水に不溶(難溶性)の油溶性化合物を指し、例えば、水への溶解度(1013.25hPa、20℃)が2g/100gHO未満の物質を指す。
【0035】
油剤としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン(ミネラルオイル)、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン等の炭化水素類、アブラナ種子油、アボカド油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、オリーブ油、キウイ種子油、ブドウ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、セージ油、大豆油、チャ種子油、トウモロコシ油、ナタネ油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ひまわり種子油、ブドウ種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ油、ホホバ種子油、マカデミアナッツ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油等の動植物油;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル(デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10)、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット(テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル)、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、炭酸ジアルキル、トリメリト酸トリトリデシル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、安息香酸アルキル(C12-15)、ポリヒドロキシステアリン酸等のエステル類;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類;オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール、2-デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール等の高級アルコール類;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)、シクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、オレイル変性ジメチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性ジメチルポリシロキサン、アルキル変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油類;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類;酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ポリシリコーン-15等の紫外線吸収剤;ゼアキサンチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、α-カロテン、β-カロテン、γ-カロテン、δ-カロテン、リコペン等のカロテン類およびそれらの誘導体、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、酢酸トコフェロールなどのビタミンE類またはその誘導体、レチノール又はその誘導体、パルミチン酸アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル等のアスコルビン酸の油溶性誘導体、セラミドなどの油溶性成分;カカオ脂、シアバター、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、水添ヤシ油、ワセリン、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-ジ(オクチルドデシル/コレステリル/ベヘニル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等のペースト状の油剤;パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ミツロウ等のワックス類;ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコールなどの高級アルコール類;パルミチン酸セチル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール、フィトステロール、ステアリル変性ポリシロキサン、硬化油、パーム油等が挙げられる。
【0036】
油剤としては、みずみずしさ/滑らかな伸び広がりが得られることから、少なくとも液状油剤を用いることが好ましい。油剤中の液状油は、70質量%以上(上限100質量%)であることが好ましく、80質量%以上(上限100質量%)であることがより好ましく、90質量%以上(上限100質量%)であることがさらに好ましい。また、所望の化粧効果(みずみずしい感触、肌への密着性)が得られやすいことから、油剤として少なくともエステル油を含むことが好ましい。なお、液状油剤とは、25℃で液状の(流動性を有する)油を指す。
【0037】
成分(C)の含有量は、5質量%以上であることが好ましい。本願では、成分(A)を含有することで、油剤を比較的多く配合しても製剤の安定性が高く、所望の化粧効果(みずみずしい感触、肌への密着性)が得られやすい。成分(C)の含有量は、10質量%以上であることがより好ましい。また、乳化安定性を考慮すると、成分(C)の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、肌への密着性を考慮すると30質量%以下であることがより好ましい。
【0038】
(成分(D):水)
本発明の水中油型乳化固形化粧料は、通常、成分(D)の水を含む。成分(D)の水は、溶媒として使用され、水中油型乳化固形化粧料を構成する前記成分およびその他成分の残部となる。水は不純物を含まないことが好ましく、そのような観点から、RO水や脱イオン水、蒸留水、精製水などを用いるのが好ましい。
【0039】
成分(D)の含有量は、20質量%以上が好ましく、90質量%以下が好ましい。
【0040】
(成分(E):HLBが10.0以上であるノニオン系界面活性剤)
本実施形態においては、製剤の保管安定性を考慮すると、成分(E)HLBが10.0以上であるノニオン系界面活性剤をさらに含むことが好ましい。HLBが10.0以上であるノニオン系界面活性剤は、親水部が比較的大きく、成分(A)および(B)とで形成されるゲル構造に入り込みやすいので、乳化滴の分散性が向上するものと考えられる。安定性が一層向上することから、HLBが12.0以上であるノニオン系界面活性剤をさらに含むことがより好ましい。なお、ノニオン系界面活性剤のHLBは通常20.0以下であり、18.0以下であってもよい。
【0041】
成分(E)としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレン糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(水添ひまし油)、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、成分(B)との相性がよいので、HLBが10.0以上であるノニオン系界面活性剤は、糖骨格を有するノニオン系界面活性剤であることが好ましい。糖骨格を有するノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、糖脂肪アルコールエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、成分(E)としては、ポリオキシエチレン糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであることがさらに、好ましい。
【0042】
ポリオキシエチレン糖脂肪酸エステルは、糖脂肪酸エステルのポリエチレングリコール誘導体である。糖脂肪酸エステルとしては、炭素数12~22の飽和もしくは不飽和の脂肪酸と、糖類もしくは炭素数1~8のアルキル基を含有するアルキル糖類と、の反応によって取得される化合物である。糖類としては、グルコース、ショ糖、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、マンノース、マルトース、トレハロース、メリビオース、ラフィノース、またはリボースが挙げられる。中でも、糖脂肪酸エステルとしては、グルコースまたはアルキルグルコースの脂肪酸エステルであることが好ましい。アルキルグルコースは、炭素数1~8、好ましくは炭素数1~4のグルコースのエーテル、より好ましくはメチルグルコースである。好ましいエステルには、混合物の総重量に対してモノおよびジエステル誘導体が少なくとも50重量%で、かつ通常はモノエステル誘導体が95重量%を超えない割合での、モノ、ジ、トリおよびテトラエステル誘導体の混合物を含有させることができる。糖脂肪酸エステルとしては、具体的には、パルミチン酸メチルグルコースもしくはパルミチン酸エチルグルコースなどのパルミチン酸アルキルグルコース、セスキステアリン酸メチルグルコースなどのセスキステアリン酸アルキルグルコースが挙げられる。ポリオキシエチレン糖脂肪酸エステルとしては、グルコースまたはアルキルグルコースの脂肪酸エステルのポリエチレングリコール誘導体であることが好ましい。ポリオキシエチレンの付加モル数は、5~30が好ましく、10~25がより好ましい。さらに具体的には、ポリオキシエチレン糖脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレン(20)セスキステアリン酸メチルグルコース(市販品としては、例えば、GLUCAMATE(登録商標) SSE-20(ルブリゾール社製))などが挙げられる。
【0043】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、具体的には、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(POE)(6)ソルビタン(市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) TO-106V 日光ケミカルズ社製(HLB10.0))、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(POE)(20)ソルビタン(ポリソルベート80、市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) TO-10V 日光ケミカルズ社製、レオドール(登録商標) TW-O120V 花王社製など)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(POE)(40)ソルビタン(オレイン酸PEG-40ソルビタン、市販品としては、例えば、EMALEX ET-8040 日本エマルジョン社製など)、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート85、市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) TO-30V 日光ケミカルズ社製(HLB11.0))、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20(市販品としては、レオドール(登録商標)TW-L 120 花王社製))、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)(60)ソルビタン(ポリソルベート60、市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) TS-10V 日光ケミカルズ社製(HLB14.9))、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)(20)ソルビタン(ポリソルベート65、市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) TS-30V 日光ケミカルズ社製(HLB10.5))、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)(20)ソルビタン(市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) TI-10V 日光ケミカルズ社製(HLB15.0))などが挙げられる。
【0044】
ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、具体的には、モノラウリン酸POE(6)ソルビット(市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) GL-1 日光ケミカルズ社製)、POE(60)テトラステアリン酸ソルビット(市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) GS-460 日光ケミカルズ社製)、POE(30)テトラオレイン酸ソルビット(市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) GS-430NV 日光ケミカルズ社製)、POE(40)テトラオレイン酸ソルビット(市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) GS-430NV 日光ケミカルズ社製)、POE(60)テトラオレイン酸ソルビット(市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) GS-460V 日光ケミカルズ社製)などが挙げられる。
【0045】
ショ糖脂肪酸エステルは、炭素数6~22の直鎖または分岐の脂肪酸と、スクロースからなるエステル化合物であり、脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、カプロレイン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられ、またヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、パーム油脂肪酸などの混合脂肪酸も挙げることができる。これらの中で、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、パーム油脂肪酸などを主成分とする脂肪酸組成が、より好ましく、ラウリン酸が最も好ましい。またスクロースに対するエステル置換度としては、置換度が1であるモノ脂肪酸スクロース、置換度が2であるジ脂肪酸スクロース、置換度が3であるトリ脂肪酸スクロース等を挙げることができる。これらの中で、置換度が1であるモノ脂肪酸スクロースが主成分であることがより好ましく、モノステアリン酸スクロースが最も好ましい。
【0046】
なお、括弧内の数値は、酸化エチレンの付加モル数を表す。
【0047】
成分(E)は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0048】
HLBは、ノニオン系界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィンの式により求められる。
【0049】
成分(E)の配合量は、製剤の安定性、化粧料のとれや滑らかな伸び広がりを考慮すると、化粧料に対して0.01~10質量%であり、0.05~5質量%であり、0.1~2質量%である。
【0050】
化粧料中に含まれるノニオン系界面活性剤の総HLBは、14.2以上であることが好ましく、15.0以上であることがより好ましい。総HLBは、各ノニオン系界面活性剤のHLB値をその配合比率(質量%)に基づいて相加平均したものである。
【0051】
総HLB=Σ(HLB×A(%)/100)
HLBは、ノニオン系界面活性剤AのHLB値を示す。
【0052】
A(%)は、HLBの値を有するノニオン系界面活性剤Aのノニオン系界面活性剤中の配合比率を示す。
【0053】
(粉体)
本実施形態では、さらに粉体を含むことが好ましい。粉体を添加することで、成分(B)寒天と成分(A)とのゲル構造に粉体が入り込み、化粧品のトレが一層向上する。また、粉体を添加することで、化粧料の肌への密着性が一層上がり化粧持ちがより向上する、さらには、油剤のべたつきを緩和することが可能となる。
【0054】
粉体(表面処理を受ける場合は、被表面処理粉体)としては、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、有色顔料類、複合粉体類、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などが挙げられる。
【0055】
無機粉体類としては、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、雲母(マイカ)、合成雲母、セリサイト、合成セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、シリカ、ガラス末などが挙げられる。
【0056】
光輝性粉体類としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン(酸化チタン被覆雲母)、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、二酸化珪素・酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダーなどが挙げられる。
【0057】
有機粉体類としては、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸粉体、N-アシルリジン、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルとポリイソプレンの複合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンコポリオールクロスポリマーなどの部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型アルキル変性シリコーン、(ラウリルジメチコン・PEG)クロスポリマーなどの部分架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、例えば、INCI名称で、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0058】
有色顔料類としては、赤色酸化鉄(ベンガラ)、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄色酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒色酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をアルミニウムなどでレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などが挙げられる。タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号などが挙げられる。
【0059】
複合粉体類としては、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆チタン・マイカ、酸化亜鉛被覆チタン・マイカ、硫酸バリウム被覆チタン・マイカ、有機顔料処理チタン・マイカ、二酸化珪素・酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素などが挙げられる。
【0060】
中でも、粉体を比較的多く配合するメイクアップ化粧料において本発明の効果がより発揮されることから、粉体としては着色粉体であることが好ましい。
【0061】
着色粉体としては、酸化チタンなどの白色粉体;酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色顔料;γー酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料;水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料;紺青、群青等の無機青色系顔料;タール系色素系顔料またはレーキ化タール系色素系顔料;天然色素顔料またはレーキ化天然色素;酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化鉄被覆雲母チタン、天然色素被覆雲母チタン等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等の金属粉末顔料;またはこれらの粉体を複合化した複合粉体等を例示することができる。
【0062】
粉体は、表面処理されていてもよい。
【0063】
表面処理としては、フッ素化合物処理、リン脂質処理、アミノ酸処理、N-アシルアミノ酸処理、シリカ処理、アルミナ処理、水酸化アルミニウム処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理、油剤処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理などが挙げられる。これらの表面処理は、単独であっても2種以上を併用してもよい。
【0064】
これらの表面処理の中でも、フッ素化合物処理、リン脂質処理、アミノ酸処理、N-アシルアミノ酸処理であることが好ましい。すなわち、本発明の好適な形態は、成分(F)フッ素化合物処理粉体、リン脂質処理粉体、アミノ酸処理、およびN-アシルアミノ酸処理粉体よりなる群から選ばれる1種または2種以上をさらに含む。これらの表面処理により、成分(A)および(B)で形成されるゲル構造中での粉体の分散性が向上し、化粧料のとれ、みずみずしい感触、肌への密着性および化粧持ちが一層向上する。
【0065】
フッ素化合物処理におけるフッ素化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸およびこの塩、パーフルオロポリエーテル、フルオロアルコキシシラン、パーフルオロアルキルアルコキシシラン(例えば、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン)、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸およびこの塩、パーフルオロアルキルシランなどが挙げられる。中でも、本発明の効果が奏しやすいことから、パーフルオロアルキルアルコキシシランであることが好ましく、パーフルオロオクチルトリエトキシシランであることがより好ましい。
【0066】
リン脂質処理におけるリン脂質としては、大豆由来リン脂質、大豆由来水素添加リン脂質、卵黄由来リン脂質、卵黄由来水素添加リン脂質、水素添加リゾリン脂質等が挙げられる。
【0067】
アミノ酸処理におけるアミノ酸としては、例えば、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸ならびにこれらの塩などが挙げられる。
【0068】
N-アシルアミノ酸処理におけるN-アシルアミノ酸としては、具体的には、例えば、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、オレイリルグルタミン酸、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ミリストイルアスパラギン酸、オレイリルアスパラギン酸、ヤシ油脂肪酸アスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリシン、パルミトイルサルコシンならびにこれらの塩などが挙げられる。
【0069】
表面処理剤の処理量は未処理粉体に対して0.1~30質量%が好ましく、より好ましくは0.5~20質量%であり、さらに好ましくは1~10質量%である。
【0070】
表面処理粉体の平均粒径は、0.1~100μmが好ましく、更に好ましくは0.1~50μmである。なお、本明細書において平均粒径は、卓上走査型電子顕微鏡(proX PREMIUM、ジャスコインタナショナル社製)を用いて、加速電圧5~15kV、拡大率1000~25000倍にて測定し、得られた画像データの任意の視野の粒子50個から算出する。
【0071】
表面処理の方法は従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒に表面処理剤と処理を施される粉体粒子を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の表面処理粉体を得ることができる。また、表面処理剤である数種類の化合物を同時に表面処理することもでき、何れか一つの化合物で予め表面処理をしてから、更に他の化合物を表面処理することもできる。
【0072】
粉体は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0073】
粉体の含有量の下限は特に限定されるものではないが、水中油型乳化固形化粧料に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。粉体が一定以上存在することで、成分(A)および成分(B)をメインとするネットワーク構造が適度に崩れ、その結果弾力性・滑らかな伸び広がりを併せ持つ製剤が得られると考えられる。粉体の含有量の上限は特に限定されるものではないが、水中油型乳化固形化粧料に対して、50質量%以下であることが好ましい。また、化粧料のとれおよび化粧料の弾力性の付与の観点からは、粉体の含有量は、水中油型固形化粧料に対して、5~35質量%であることがより好ましく、本発明の効果がより一層発揮されることから、15~25質量%であることがさらに好ましい。なお、粉体の含有量における「粉体」が表面処理されている場合には、表面処理粉体全体の含有量を粉体の含有量とする。
【0074】
(その他の成分)
本実施形態の水中油型乳化固形化粧料は、上記成分の他、成分(E)以外の界面活性剤、成分(A)、(B)以外の水溶性高分子、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、アルコール類、美容成分、抗菌剤、ステロール類、香料、キレート剤(EDTAなど)等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができる。
【0075】
本実施形態の水中油型乳化固形化粧料は、ファンデーション、コンシーラー、アイカラー(アイシャドウ)、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、チーク、口紅、リップグロスなどのメイクアップ化粧料;リップクリーム、日焼け止め化粧料、化粧用下地、美容液や乳液をはじめとしたスキンケア化粧料などに適用可能であり、好ましくは、本願効果の発揮が一層期待される、ファンデーション、アイカラー、化粧用下地、日焼け止め化粧料、チークなどのメイクアップ化粧料である。またその使用法は、手や指で使用する方法、パフやスポンジ等に含浸させて使用する方法などが挙げられる。
【0076】
本実施形態の水中油型乳化固形化粧料は、公知の乳化方法であれば特に限定されることなく製造可能である。具体的には、分散乳化法、転相乳化法、転相温度乳化法等が挙げられる。製造方法としては、例えば、成分(B)および成分(D)に成分(C)を添加して乳化し、これに成分(A)を添加した後、加熱溶融し、脱泡後、皿やジャー容器に流し込み、室温まで冷却固化して得る。
【実施例
【0077】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
【0078】
実施例1~23および比較例1~7:メイクアップ化粧料
下記表1に示す処方のメイクアップ化粧料を調製した。
【0079】
(製造方法)
1.成分(8)と一部の精製水(成分(32))を混合し、90℃で溶解する。
2.80℃付近で成分(9)~(11)と成分(12)~(18)との混合物を1.に添加し、乳化する。
3.80℃付近で成分(1)~(7)/一部の精製水(成分(32))の混合液を2.に添加し、混合する。
4.80℃付近でトリエタノールアミン(成分(19))/一部の精製水(成分(32))の混合液を3.に添加し、中和する。
5.4.を40℃以下まで冷却する。
6.一部の成分(20)および(21)の混合物を加え、さらに成分(22)~(31)および一部の成分(20)の混合物を5.に添加し、粉体を分散する。
7.6.を脱泡する。
8.7.を90℃で溶解した後、ジャー容器に充填し、室温まで冷却して固化させる。
【0080】
評価1:指への付着量の適量性(とれ)
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的にはジャー容器に充填した各試料を指で触れた際に、付着する試料の付着量が実使用において適切な量であるかについて評価した。
(評価基準)
(評点):(評価)
3 :指への付着量が適切である、
2 :指への付着量がわずかに多い、もしくはわずかに不足している、
1 :指への付着量が多い、もしくは付着量が不足している、
0 :指への付着量が多過ぎる、もしくは全く指につかない。
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
評価2:化粧料を肌に塗布した後の伸び広がり
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には各試料をウレタン製化粧塗布用マットを用いて肌に塗布した後に化粧料の広がりを評価した。
(評価基準)
(評点):(評価)
3 :良好、
2 :普通、
1 :やや不良、
0 :不良。
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×。
【0081】
評価3:密着性
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には各試料を顔に塗布してもらい、肌に塗布した後に感触として化粧料の肌への密着感を感じるかどうか評価した。
(評価基準)
(評点):(評価)
3 :良好、
2 :普通、
1 :やや不良、
0 :不良。
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×。
【0082】
評価4:化粧持ち
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には各試料を肌に適量塗布し、その化粧持ち(=化粧効果の持続)が充分であるかどうかを評価した。
(評価基準)
(評点):(評価)
3 :化粧持ちが良く、化粧効果が長く持続して感じられる
2 :化粧持ちが良く化粧効果も十分感じられるが、僅かに不十分である
1 :化粧持ちが悪く化粧効果の持続性が不十分である
0 :肌に付着せず化粧効果を発揮しない。
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×。
【0083】
評価5:安定性
5-1.安定性(分離)
各試料について、40℃で3か月保管した後、目視による評価を行った。
(評価基準)
◎: 直後と変化なし、
○: 試料表面のキメが悪化、
△: 試料表面に油滴が少量染み出している、
×: 試料が二層に分離している。
【0084】
5-2.安定性(形状保持)
各試料について、試料を充填したジャー容器を横倒しした状態で40℃で3か月保管した後、目視による評価を行った。
(評価基準)
◎: 直後と変化なし、
○: わずかに試料表面が柔らかくなり、試料表面の一部がわずかに動いている、
△: 試料がわずかに動き容器との隙間ができている
×: 試料が動き容器から漏れている。
【0085】
各評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1-1】
【0087】
【表1-2】
【0088】
【表1-3】
【0089】
以上の結果より、実施例1~23のメイクアップ化粧料は、とれ、伸び広がり、肌への密着性、化粧持ち、安定性(分離、形状保持性)の全ての項目において良好な結果が得られた。一方、成分(A)を配合しない、または代わりに他の水溶性高分子を用いた比較例1~5は、形状保持性の項目以外のすべての項目で劣る結果となった。成分(B)を配合していない比較例6は、保管後の形状保持性が著しく低下し、また、肌への密着性も著しく低下する結果となった。
【0090】
・実施例24:水中油型乳化固形化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー(成分A)(*1)
0.3%
2.寒天(成分B)(*4) 1.0%
3.ジカプリン酸PG(成分C) 5.0%
4.スクワラン(成分C) 2.0%
5.水添ポリイソブテン(成分C) 1.0%
6.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(成分C) 6.0%
7.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(成分C)
1.5%
8.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(成分C)
1.5%
9.セトステアリルアルコール(成分C) 1.0%
10.PEG-80水添ヒマシ油(成分E)(HLB:15.0)(*12)
0.3%
11.セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース(成分E)(HLB:15.0)(*6) 0.2%
12.PEG-40水添ヒマシ油(成分E)(HLB:12.5)(*13)
0.5%
13.ジ(C12-15)パレス-8リン酸(成分E)(HLB:11.5)(*14)
0.2%
14.ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB:4.0)(*15)
0.3%
15.トリエタノールアミン 0.3%
16.1,3-ブチレングリコール 8.0%
17.グリセリン 2.0%
18.香料 0.1%
19.メチルパラベン 0.1%
20.レシチン0.5%処理および水酸化アルミニウム3%処理酸化チタン(成分F)
(平均粒子径:0.25μm) 8.0%
21.ジメチコン・水酸化アルミニウム・含水シリカ処理酸化チタン
(平均粒子径:0.030μm)(*16) 5.0%
22.レシチン0.5%処理ベンガラ(成分F) 0.3%
23.レシチン0.5%処理黄酸化鉄(成分F) 2.0%
24.レシチン0.5%処理黒酸化鉄(成分F) 0.2%
25.レシチン1%処理タルク(成分F)(平均粒子径:10.5μm)
3.0%
26.酸化亜鉛(平均粒子径0.3μm) 5.0%
27.精製水(成分D) 残量
(*12)NIKKOL HCO-80(日光ケミカルズ社製)
(*13)NIKKOL HCO-40(日光ケミカルズ社製)
(*14)NIKKOL DDP-8(日光ケミカルズ社製)
(*15)コスモール42V(日清オイリオ社製)
(*16)SMT-500SAM(テイカ社製)
(製造方法)
A.成分2と一部の精製水(成分27)を90℃で加温し、溶解物を得た。
B.成分3~14を80℃で加温し、混合物を得た。
C.80℃付近で、Aで得られた溶解物にBで得られた混合物を加え、乳化した。
D.80℃付近で、Cで得られた乳化物に、成分1と一部の精製水(成分27)の混合物を加えて混合後、更に成分15と一部の精製水(成分27)の混合物を加え、中和した。
E.Dで得られた混合物を40℃付近まで冷却後、一部の成分16および成分17~19の混合物を加え、さらに成分20~26および一部の成分16の混合物を加え、粉体分散物を得た。
F.Eで得られた分散物を脱泡後、90℃付近まで加温溶解した後、溶解物を容器に充填し、室温まで冷却することで固形のファンデーションを得た。
【0091】
・実施例25:水中油型乳化固形化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー(成分A)(*1)
0.5%
2.(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー(成分A)(*2)
0.3%
3.寒天(成分B)(*4) 1.0%
4.寒天(成分B)(*17) 0.3%
5.寒天(成分B)(*18) 0.2%
6.イソノナン酸イソトリデシル(成分C) 2.0%
7.エチルヘキサン酸セチル(成分C) 2.0%
8.リンゴ酸ジイソステアリル(成分C) 1.0%
9.ジメチコン(成分C) 1.5%
10.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C) 0.5%
11.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 0.5%
12.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(成分C) 3.0%
13.ポリシリコーン-15(成分C) 2.0%
14.ワセリン(成分C) 0.3%
15.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(成分C) 0.2%
16.酢酸トコフェロール(成分C) 0.1%
17.ベヘニルアルコール(成分C) 0.5%
18.ステアリン酸(成分C) 0.5%
19.PEG-30フィトステロール(成分E)(HLB:18.0)(*19)
0.4%
20.ポリソルベート60(成分E)(HLB:14.9)(*20)
0.4%
21.セスキステアリン酸メチルグルコース(HLB:6.6)(*21)
0.2%
22.ステアリン酸グリセリル(HLB:4.0)(*22) 0.5%
23.トリエタノールアミン 1.3%
24.1,3-ブチレングリコール 5.0%
25.DPG 5.0%
26.マツリカ花エキス、ブドウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、ビフィズス菌培養溶解質、サトザクラ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、アセチルグルタミン酸、テアニン、グリシン、加水分解ヒアルロン酸、ヒアルロン酸Naの混合物(美容成分の混合物)
1.0%
27.香料 0.1%
28.フェノキシエタノール 0.1%
29.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理および水酸化アルミニウム3%処理酸化チタン(成分F)(平均粒子径:0.25μm) 10.0%
30.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理ベンガラ(成分F)
0.2%
31.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理黄酸化鉄(成分F)
1.5%
32.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理黒酸化鉄(成分F)
0.1%
33.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理セリサイト(成分F)(平均粒子径12.5μm) 3.0%
34.ハイドロゲンジメチコン0.75%処理酸化亜鉛(平均粒子径0.3μm)
3.0%
35.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(*23)
1.0%
36.ポリメタクリル酸メチル(*24) 0.5%
37.精製水 残量

(*17)Z-10(伊那食品工業社製)
(*18)UP-16(伊那食品工業社製)
(*19)NIKKOL BPS-30(日光ケミカルズ社製)
(*20)NIKKOL TS-10V(日光ケミカルズ社製)
(*21)Glucate SS(Lubrizol社製)
(*22)NIKKOL MGS-AV(日光ケミカルズ社製)
(*23)KSP-100(信越化学工業社製)
(*24)マツモトマイクロスフェアーM101(松本油脂製薬社製)
(製造方法)
A.成分3~5と一部の精製水(成分37)を90℃で加温し、溶解物を得た。
B.成分6~22を80℃で加温し、混合物を得た。
C.80℃付近で、Aで得られた溶解物にBで得られた混合物を加え、乳化した。
D.80℃付近で、Cで得られた乳化物に、成分1~2と一部の精製水(成分37)の混合物を加えて混合後、更に成分23と一部の精製水(成分37)の混合物を加え、中和した。
E.Dで得られた混合物を40℃付近まで冷却後、一部の成分24および成分25~28の混合物を加え、さらに成分29~36および一部の成分24の混合物を加え、粉体分散物を得た。
F.Eで得られた分散物を脱泡後、90℃付近まで加温溶解した後、溶解物を容器に充填し、室温まで冷却することで固形のファンデーションを得た。
【0092】
・実施例26:水中油型乳化固形化粧料(チーク)
(成分) (含有量)
1.(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー(成分A)(*2)
0.5%
2.寒天(成分B)(*4) 1.2%
3.ミネラルオイル(成分C) 5.0%
4.テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(成分C) 3.5%
5.トリメリト酸トリトリデシル(成分C) 1.0%
6.オリーブ油(成分C) 0.3%
7.ミツロウ(成分C) 0.2%
8.ヒマワリ種子油(成分C) 0.1%
9.パラフィン(成分C) 0.1%
10.マイクロクリスタリンワックス(成分C) 0.1%
11.セラミド2(成分C) 0.01%
12.セラミド3(成分C) 0.01%
13.ポリソルベート80(成分E)(HLB:15.0)(*5)0.8%
14.ミリスチン酸ポリグリセリル-10(成分E)(HLB:14.0)(*25)
0.5%
15.ステアリン酸ポリグリセリル-10(成分E)(HLB:12.0)(*26)
0.5%
16.セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB:4.5)(*27)
0.3%
17.トリエタノールアミン 0.5%
18.1,3-ブチレングリコール 8.0%
19.ジグリセリン 1.0%
20.水溶性コラーゲン、アセチルヒアルロン酸Na、アスコルビン酸、ローヤルゼリーエキス、オレンジ花水の混合物(美容成分の混合物) 0.5%
21.キサンタンガム 0.1%
22.香料 0.1%
23.フェノキシエタノール 0.2%
24.ベンガラ(*28) 0.3%
25.赤色226号 0.05%
26.赤色202号 0.04%
27.黄色4号 0.01%
28.酸化鉄被覆マイカ(*29) 0.1%
29.酸化チタン被覆マイカ(*30) 0.1%
30.ラウロイルリシン2%処理マイカ(成分F)(平均粒子径18μm)
2.0%
31.ラウロイルリシン2%処理合成金雲母(成分F)(平均粒子径12.5μm)
1.0%
32.硫酸バリウム(平均粒子径32.5μm) 0.5%
33.シリカ(*31) 0.3%
34.精製水 残量
(*25)NIKKOL Decaglyn 1-M(日光ケミカルズ社製)
(*26)NIKKOL Decaglyn 1-SV(日光ケミカルズ社製)
(*27)コスモール182V(日清オイリオ社製)
(*28)R-516P(チタン工業社製)
(*29)CLOIZONNE CERISE FLAMBE 550Z(BASF社製)
(*30)COSMETICA SUPER WHITE N-8000S(CQV社製)
(*31)ゴッドボールD11-796C(鈴木油脂工業社製)
(製造方法)
A.成分2と一部の精製水(成分34)を90℃で加温し、溶解物を得た。
B.成分3~16を80℃で加温し、混合物を得た。
C.80℃付近で、Aで得られた溶解物にBで得られた混合物を加え、乳化した。
D.80℃付近で、Cで得られた乳化物に、成分1と一部の精製水の混合物を加えて混合後、更に成分17と一部の精製水の混合物を加え、中和した。
E.Dで得られた混合物を40℃付近まで冷却後、一部の成分18および成分19~23の混合物を加え、さらに、成分24~33および一部の成分18の混合物を加え、粉体分散物を得た。
F.Eで得られた分散物を脱泡後、90℃付近まで加温して溶解した後、溶解物を容器に充填し、室温まで冷却することで固形のチークを得た。
【0093】
・実施例27:水中油型乳化固形化粧料(アイシャドウ)
(成分) (含有量)
1.(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー(成分A)(*3)
0.2%
2.寒天(成分B)(*32) 1.0%
3.トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(成分C) 6.0%
4.シクロペンタシロキサン(成分C) 2.0%
5.イソドデカン(成分C) 2.0%
6.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/ステアリル/ベヘニル)(成分C) 0.2%
7.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(成分C)
0.1%
8.テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(成分C) 0.01%
9.ポリソルベート80(成分E)(HLB:15.0)(*5) 1.0%
10.イソステアリン酸PEG-20グリセリル(成分E)(HLB:13.0)(*33) 0.5%
11.ステアレス-2(HLB:8.0)(*34) 0.3%
12.ステアロイルメチルタウリンNa(*35) 0.3%
13.トリエタノールアミン 0.2%
14.1,3-ブチレングリコール 10.0%
15.エタノール 5.0%
16.ヒドロキシプロピルメチルセルロース(*36) 0.1%
17.アルカリゲネス産生多糖体 0.1%
18.香料 0.1%
19.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理ベンガラ(成分F)
0.2%
20.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理黄酸化鉄(成分F)
0.5%
21.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理黒酸化鉄(成分F)
0.05%
22.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理セリサイト
(成分F)(平均粒子径12.5μm) 3.0%
23.酸化チタン・酸化スズ被覆ホウケイ酸(Ca/Al)(*37)
1.0%
24.酸化チタン・シリカ被覆マイカ(*38) 3.0%
25.酸化チタン・酸化鉄被覆マイカ(*39) 1.0%
26.(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/K/ケイ素)(*40)3.0%
27.精製水 残量
(*32)AX-200(伊那食品工業社製)
(*33)EMALEX GWIS-120(日本エマルジョン社製)
(*34)NIKKOL BS-2(日光ケミカルズ社製)
(*35)NIKKOL SMT(日光ケミカルズ社製)
(*36)メトローズ60SH4000(信越化学工業社製)
(*37)マイクログラスメタシャインMT1080RS(日本板硝子社製)
(*38)TIMIRON SPLEMDID RED(メルク社製)
(*39)TIMICA RADIANT GOLD 222G(BASF社製)
(*40)ミクロマイカMK-200K(片倉コープアグリ社製)
(製造方法)
A.成分2と一部の精製水(成分27)を90℃で加温し、溶解物を得た。
B.成分3~12を80℃で加温し、混合物を得た。
C.80℃付近で、Aで得られた溶解物にBで得られた混合物を加え、乳化した。
D.80℃付近で、Cで得られた乳化物に、成分1と一部の精製水(成分27)の混合物を加えて混合後、更に成分13と一部の精製水(成分27)の混合物を加え、中和した。
E.Dで得られた混合物を40℃付近まで冷却後、一部の成分14および成分15~18の混合物を加え、さらに成分19~26および一部の成分14の混合物を加え、粉体分散物を得た。
F.Eで得られた分散物を脱泡後、90℃付近まで加温して溶解した後、溶解物を容器に充填し、室温まで冷却することで固形のアイシャドウを得た。
【0094】
・実施例28:水中油型乳化固形化粧料(日焼け止め)
(成分) (含有量)
1.(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー(成分A)/トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル/1,3-ブチレングリコール/セスキイソステアリン酸ソルビタン/PPG-8セテス-20(成分E)(HLB:12.5)/水の混合物(*41)
0.8%
2.寒天(成分B)(*42) 0.7%
3.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(成分C) 6.0%
4.ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(成分C) 3.0%
5.メチルトリメチコン(成分C) 3.0%
6.安息香酸アルキル(C12-15)(成分C) 2.0%
7.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(成分C)
2.0%
8.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(成分C)
2.0%
9.メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(成分C)
1.0%
10.セトステアリルアルコール(成分C) 0.5%
11.ポリヒドロキシステアリン酸(成分C) 0.3%
12.オレイン酸PEG-40ソルビタン(成分E)(HLB:16.0)(*43)
0.5%
13.ステアリン酸スクロース(成分E)(HLB:13.0)(*44)
0.5%
14.パルミチン酸ソルビタン(HLB:6.7)(*45) 0.3%
15.トリエタノールアミン 0.8%
16.1,3-ブチレングリコール 5.0%
17.グリセリン 3.0%
18.メチルグルセス-10 2.0%
19.カルボマー 0.1%
20.香料 0.1%
21.メチルパラベン 0.1%
22.酸化亜鉛(平均粒子径:0.02μm) 8.0%
23.レシチン1%処理タルク(成分F)(平均粒子径:9.5μm) 3.0%
24.窒化ホウ素(*46) 1.0%
25.精製水(成分D) 残量
(*41)ニコムルスSE-W(日光ケミカルズ社製)
(*42)AX-200(伊那食品工業社製)
(*43)EMALEX ET-8040(日本エマルジョン社製)
(*44)TEGO Care SE 121 MB(エボニックジャパン社製)
(*45)NIKKOL SP-10V(日光ケミカルズ社製)
(*46)CCS102-JA Boron Nitride Powder(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(製造方法)
A.成分2と一部の精製水(成分25)を90℃で加温し、溶解物を得た。
B.成分3~14を80℃で加温し、混合物を得た。
C.80℃付近で、Aで得られた溶解物にBで得られた混合物を加え、乳化した。
D.80℃付近で、Cで得られた乳化物に、成分1と一部の精製水(成分25)の混合物を加えて混合後、更に成分15と一部の精製水(成分25)の混合物を加え、中和した。
E.Dで得られた混合物を40℃付近まで冷却後、一部の成分16および成分17~21の混合物を加え、さらに成分22~24と一部の成分16の混合物を加え、粉体分散物を得た。
F.Eで得られた分散物を脱泡後、90℃付近まで加温溶解した後、溶解物を容器に充填し、室温まで冷却することで固形状の日焼け止めを得た。
【0095】
・実施例29:水中油型乳化固形化粧料(クリーム)
(成分) (含有量)
1.(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー(成分A)(*1)
0.3%
2.寒天(成分B)(*47) 1.0%
3.ミネラルオイル(成分C) 5.0%
4.ホホバ種子油(成分C) 2.5%
5.メドウフォーム油(成分C) 1.0%
6.マカデミアンナッツ油(成分C) 0.5%
7.ブドウ種子油(成分C) 0.5%
8.水添ヤシ油(成分C) 0.3%
9.イソヘキサデカン(成分C) 0.2%
10.ポリソルベート20(成分E)(HLB:16.7)(*7)0.8%
11.ポリソルベート80(成分E)(HLB:14.0)(*4)0.4%
12.ステアリン酸ソルビタン(成分E)(HLB:4.5)(*48)
0.2%
13.オレイン酸ソルビタン(成分E)(HLB:4.3)(*49)
0.1%
14.トリエタノールアミン 0.3%
15.1,3-ブチレングリコール 10.0%
16.DPG 3.0%
17.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.2%
18.アセチルグルコサミン、ポリクオタニウム-51、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、カワラヨモギ花エキス、チョウジエキス、ローヤルゼリーエキス、水溶性コラーゲン、グリシルグリシン、加水分解エラスチン、アセチルヒアルロン酸Na、アボカドエキス、ハイビスカス花エキス、ワカメエキス、酒粕エキス、PCA-Na、イガイグリコーゲンの混合物(美容成分の混合物)
0.5%
19.香料 0.2%
20.フェノキシエタノール 0.1%
21.ラウロイルアスパラギン酸Na1%処理マイカ(成分F)(平均粒子径:19μm) 2.0%
22.ナイロン-12(*50) 0.5%
23.ポリメチルシルセスキオキサン(*51) 0.5%
24.精製水(成分D) 残量
(*47)UP-37(伊那食品工業社製)
(*48)NIKKOL SS-10V(日光ケミカルズ社製)
(*49)NIKKOL SO-10V(日光ケミカルズ社製)
(*50)ガンツパールGPA-550(アイカ工業社製)
(*51)トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(製造方法)
A.成分2と一部の精製水を90℃で加温し、溶解物を得た。
B.成分3~13を80℃で加温し、混合物を得た。
C.80℃付近で、Aで得られた溶解物にBで得られた混合物を加え、乳化した。
D.80℃付近で、Cで得られた乳化物に、成分1と一部の精製水(成分24)の混合物を加えて混合後、更に成分14と一部の精製水(成分24)の混合物を加え、中和した。
E.Dで得られた混合物を40℃付近まで冷却後、一部の成分15および成分16~20の混合物を加え、さらに成分21~23および一部の成分15の混合物を加え、粉体分散物を得た。
F.Eで得られた分散物を脱泡後、90℃付近まで加温溶解した後、溶解物を容器に充填し、室温まで冷却することで固形状のクリームを得た。
【0096】
実施例24~29の水中油型乳化固形化粧料は、とれ、伸び広がり、肌への密着性、化粧持ち、安定性(分離、形状保持性)の全ての項目において良好な結果が得られた。