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特許7583573ガスバリア性コーティング剤、ガスバリア性コーティング層、および積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ガスバリア性コーティング剤、ガスバリア性コーティング層、および積層体
(51)【国際特許分類】
   C09D 105/00 20060101AFI20241107BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20241107BHJP
【FI】
C09D105/00
C09D7/63
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020178585
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2021195524
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2020102913
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-001375(JP,A)
【文献】特開2013-027322(JP,A)
【文献】特開2008-189692(JP,A)
【文献】特表2009-506218(JP,A)
【文献】特開2008-238475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基を有する多糖類と、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物と、アルコールと、水を含有するガスバリア性コーティング剤であり、
前記ガスバリア性コーティング剤に含まれる固形分は5質量%以上であり、
前記ガスバリア性コーティング剤に含まれる固形分において、固形分のバイオマス度が25%以上であることを特徴とするガスバリア性コーティング剤。
【請求項2】
前記ガスバリア性コーティング剤中、前記カルボキシル基を有する多糖類と、前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物の合計の割合が、5質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性コーティング剤。
【請求項3】
前記ガスバリア性コーティング剤中、前記アルコールの割合が15質量%以上60質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性コーティング剤。
【請求項4】
前記カルボキシル基を有する多糖類は、ペクチンであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のガスバリア性コーティング剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のガスバリア性コーティング剤から形成されることを特徴とするガスバリア性コーティング層。
【請求項6】
基材、および請求項5に記載のガスバリア性コーティング層を有することを特徴とする積層体。
【請求項7】
前記基材が、基紙またはプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項6に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性コーティング剤、ガスバリア性コーティング層、および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品、電子部材等に使用される包装材料では、内容物を保護するために、酸素や水蒸気等の気体を遮断するガスバリア性を有するコーティング剤が用いられている。また、環境保全の観点から、天然資源(バイオマス)を利用したガスバリア性を有するコーティング剤も知られている(特許文献1-3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-334600号公報
【文献】特開2008-49606号公報
【文献】国際公開第2011/118520号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような天然資源(バイオマス)を利用したガスバリア性を有するコーティング剤は、固形分濃度を濃くした場合、コーティング剤が増粘してゲル化する等の問題があることが分かった。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、固形分濃度を高めることができるバイオマスを利用したガスバリア性コーティング剤を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、ガスバリア性コーティング剤から形成されるガスバリア性コーティング層、および当該コーティング層を有する積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、カルボキシル基を有する多糖類と、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物と、アルコールと、水を含有するガスバリア性コーティング剤に関する。
【0008】
また、本発明は、前記ガスバリア性コーティング剤から形成されるガスバリア性コーティング層に関する。
【0009】
また、本発明は、基材、および前記ガスバリア性コーティング層を有する積層体に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガスバリア性コーティング剤における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。ただし、本発明は、この作用メカニズムに限定されない。
【0011】
本発明のガスバリア性コーティング剤は、カルボキシル基を有する多糖類と、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物と、アルコールと、水を含有する。アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物は、ガスバリア性に優れ、また、カルボキシル基を有する多糖類は、当該アルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物により中和されることによって、アルコールに対する溶解性が向上して、ゲル化を抑制できるため、ガスバリア性コーティング剤の固形分濃度を高めることができると推定される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のガスバリア性コーティング剤は、カルボキシル基を有する多糖類と、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物と、アルコールと、水を含有する。
【0013】
<カルボキシル基を有する多糖類>
前記カルボキシル基を有する多糖類は、公知のものが使用でき、例えば、ペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸等のカルボキシル基を元来有する多糖類(天然由来の多糖類)等が挙げられる。また、前記カルボキシル基を有する多糖類は、例えば、デンプン、アミロース、アミロペクチン、デキストリン、グリコーゲン、シクロデキストリン、セルロース、アガロース、イヌリン、グルコマンナン、キチン、キトサン等の多糖類の分子内の官能基(例えば、水酸基、アミノ基等)の少なくとも一部を化学修飾してカルボキシル基を導入したものであってもよい。これらの中でも、ガスバリア性コーティング剤に含まれる固形分のバイオマス度を高める観点から、カルボキシル基を元来有する多糖類が好ましく、耐水性等のコーティング膜強度を高める観点から、ペクチンがより好ましい。前記カルボキシル基を有する多糖類は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
<アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物>
前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物は、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合反応したものであればよく、前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
<アルコール>
前記アルコールは、公知のものが使用でき、例えば、炭素数1~10程度のアルコールが挙げられるが、コーティング剤の乾燥性やアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物の安定性を高める観点から、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、iso-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の炭素数2~4の低級アルコールを含むことが好ましい。前記アルコールは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
前記ガスバリア性コーティング剤中、前記カルボキシル基を有する多糖類と、前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物の合計の割合は、ガスバリア性コーティング剤に少なくともアミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物を含むことにより、3質量%以上とすることができる。前記ガスバリア性コーティング剤中、前記カルボキシル基を有する多糖類と、前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物の合計の割合は、ガスバリア性コーティング層の耐水性及びバリア性を向上させる観点から、4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、そして、ガスバリア性コーティング層の耐水性及びバリア性を向上させる観点から、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましい。
【0017】
前記カルボキシル基を有する多糖類と前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物との質量比(カルボキシル基を有する多糖類/アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物)は、ガスバリア性コーティング層の耐水性及びバリア性を向上させる観点から、0.2以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましく、そして、ガスバリア性コーティング層の耐水性及びバリア性を向上させる観点から、1.2以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.7以下であることがさらに好ましい。
【0018】
前記ガスバリア性コーティング剤中、前記アルコールの割合は、ガスバリア性コーティング剤の塗装性や保管安定性等を高め、前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物の析出を防止する観点から、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、そして、ガスバリア性コーティング剤の塗装性や保管安定性等を高め、前記カルボキシル基を有する多糖類のゲル化を防止する観点から、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。なお、前記アルコールは、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物によって発生するアルコールも含む。
【0019】
前記ガスバリア性コーティング剤中、前記水の割合は、ガスバリア性コーティング剤のハンドリング性が良好となる粘度に調整する観点から、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、そして、カルボキシル基を有する多糖類のゲル化を防止し、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物の析出を防止する観点から、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。なお、前記水は、アルコキシシラン化合物の加水分解縮合反応に使用する水も含む。
【0020】
前記ガスバリア性コーティング剤は、ガスバリア性コーティング層の耐水性及びバリア性を向上させる観点から、塩基性化合物(ただし、前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物は含まない。)を含んでいてもよい。前記塩基性化合物は、公知のものが使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、N、N-ジメチルエタノールアミン、N、N-ジエチルエタノールアミン、N、N-ジブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等の有機塩基性化合物等が挙げられる。これらの中でも、ガスバリア性コーティング層の耐水性を向上させる観点から、アンモニアが好ましい。前記塩基性化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
前記ガスバリア性コーティング剤は、必要に応じて、スクロース等の二糖類;デンプン、アミロース、アミロペクチン、デキストリン、グリコーゲン、シクロデキストリン、セルロース、アガロース、イヌリン、グルコマンナン、キチン、キトサン等のカルボキシル基を有する多糖類以外のその他の多糖類;ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール系樹脂等のガスバリア性樹脂;紫外線吸収剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤、防腐剤、フィラー等の添加剤を使用してもよい。
【0022】
前記ガスバリア性コーティング剤の固形分(ただし、前記塩基性化合物は含まない。)中、前記カルボキシル基を有する多糖類と、前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物の合計の割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
【0023】
前記ガスバリア性コーティング剤は、前記ガスバリア性コーティング剤に含まれる固形分(ただし、前記塩基性化合物は含まない。)において、固形分のバイオマス度が25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。
【0024】
前記ガスバリア性コーティング剤は、前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物および/またはその加水分解縮合物を含むが、カルボキシル基を有する多糖類のゲル化を抑制する観点から、pHが2.0以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましく、そして、ガスバリア性コーティング剤の保管安定性を向上させる観点から、pHが8.0以下であることが好ましく、pHが7.0以下であることがより好ましい。
【0025】
前記ガスバリア性コーティング剤は、塗工適性の観点から、粘度(製造後の初期の粘度)が1~1000mPa・sであることが好ましく、5~500mPa・sであることがより好ましく、10~200mPa・sであることがさらに好ましい。
【0026】
前記ガスバリア性コーティング剤を調製する方法としては、特に限定されず、例えば、上記の成分を順番に、あるいは同時に添加して、攪拌装置や分散装置で混合して調製すればよい。
【0027】
<ガスバリア性コーティング層、積層体>
本発明のガスバリア性コーティング層は、前記ガスバリア性コーティング剤から形成される乾燥被膜である。また、本発明の積層体は、基材、および前記ガスバリア性コーティング層を有する。前記積層体は、通常、前記基材に前記ガスバリア性コーティング剤を塗工して得られる。前記ガスバリア性コーティング剤の塗工方法は、特に限定されず、例えば、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータ、ダイコータ、スプレーコータ等の各種塗工装置を用いた塗工方法が挙げられる。
【0028】
前記ガスバリア性コーティング層の塗着量(乾燥膜厚)は、通常、0.1g/m以上であることが好ましく、0.5g/m以上であることがより好ましく、そして、10g/m以下であることが好ましく、5g/m以下であることがより好ましい。
【0029】
前記基材としては、例えば、従来から紙製バリア材料で使用されているパルプ等の基紙;従来から軟包装で使用されているポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン等からなる各種プラスチックフィルム、及びこれらの2種以上からなる複合フィルムが挙げられる。前記基材は、金属蒸着処理、コロナ放電処理、表面コート処理等がされていてもよい。
【0030】
前記積層体には、必要に応じて、上述の基材およびガスバリア性コーティング層の他、さらにヒートシールを可能とする熱可塑性樹脂層、印刷層、保護層等を積層することができる。この場合、積層する各層は、溶融押出により積層してもよく、接着剤を用いて積層してもよい。
【実施例
【0031】
以下に本発明を実施例等によって説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
【0032】
<調製例1>
<カルボキシル基を有する多糖類の水溶液の調製>
ペクチン混合物(商品名「LM-100AS-HP」、三晶社製)10質量部にイオン交換水90部を加えて、90℃で1時間撹拌してペクチン水溶液(ペクチン濃度5.5質量%、スクロース濃度4.5質量%)を得た。
【0033】
<ポリビニルアルコールの水溶液の調製>
ポリビニルアルコール(商品名「PVA-105」、クラレ製)10質量部にイオン交換水90質量部を加えて、95℃で1時間撹拌してPVA水溶液(固形分10質量%)を得た。
【0034】
<アミノ基を有するアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物の調製(1)>
3-アミノプロピルトリメトキシシラン20.4質量部にイオン交換水64.6質量部を加えて、撹拌しながらエタノール14.7質量部、加水分解触媒としての1規定塩酸0.3質量部を加え、50℃で1時間加熱して、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)加水分解縮合物の水溶液(固形分12.5質量%)を得た。
【0035】
<アミノ基を有するアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物の調製(2)>
3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン18.2質量部にイオン交換水66.8質量部を加えて、撹拌しながらエタノール14.7質量部、加水分解触媒としての1規定塩酸0.3質量部を加え、50℃で1時間加熱して、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(AEAPTES)加水分解縮合物の水溶液(固形分12.5質量%)を得た。
【0036】
<アルコキシシラン化合物の加水分解縮合物の調製>
テトラエトキシシラン(商品名「高純度正珪酸エチル」、多摩化学工業社製)43.3質量部にイオン交換水41.7質量部を加えて、撹拌しながらエタノール14.7質量部、加水分解触媒としての1規定塩酸0.3質量部を加え、50℃で1時間加熱して、テトラエトキシシラン(TEOS)加水分解縮合物の水溶液(固形分12.5質量%)を得た。
【0037】
<実施例1>
<ガスバリア性コーティング剤の製造>
上記のペクチン水溶液30質量部、上記のAPTMS加水分解縮合物の水溶液32質量部、エタノール20質量部、およびイオン交換水18質量部を室温で10分撹拌混合して、実施例1のガスバリア性コーティング剤を製造した。なお、ガスバリア性コーティング剤のpHは、5.0であった。
【0038】
<ガスバリア性コーティング層を有する積層体の作製>
ポリプロピレンフィルムフィルム(商品名「P-2161」、東洋紡社製)上に、上記で得られたガスバリア性コーティング剤を、No.6ワイヤバーにて塗布し、ドライヤーにて乾燥後、60℃にて1日エージング処理して、ガスバリア性コーティング層(塗着量が約0.6g/m)を形成し、ガスバリア性コーティング層を有する積層体を作製した。
【0039】
<実施例2-8、比較例1-3>
表1の配合に従い、実施例1と同様の操作によって、各実施例および比較例のガスバリア性コーティング剤を製造し、ガスバリア性コーティング層を有する積層体を作製した。ただし、比較例1のガスバリア性コーティング剤は、ゲル化してしまったため、ガスバリア性コーティング層を有する積層体を作製できなかった。
【0040】
上記の実施例および比較例で得られた、ガスバリア性コーティング層を有する積層体について以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0041】
<高湿度下におけるガスバリア性の評価>
上記で得られたガスバリア性コーティング層を有する積層体を、25℃、90%RHの雰囲気下に72時間放置後、JIS 7126 B法に準じて、酸素透過率測定装置(Mocon社製、製品名「OX-TRAN1/50」を用いて、酸素透過率(OTR値)(単位:(cc/m・day・atm))を測定した。なお、測定は、25℃において、90%RHの雰囲気下で行った。100(cc/m・day・atm)以下を合格基準とした。
【0042】
<耐水性の評価>
上記で得られたガスバリア性コーティング層を有する積層体のコーティング層面を、水で濡らした綿棒でこすり、下記評価基準に従って評価した。
○:塗膜が溶ける、または剥がれるまでに4往復以上を要する。
×:3往復以内に塗膜が溶ける、または剥がれる。
【0043】
【表1】
【0044】
表1中、APTMSエタノール溶液(固形分12.5質量%)は、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)を、エタノールに混合した溶液を示す。