(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】製氷装置、およびそれを備えた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25C 1/24 20180101AFI20241107BHJP
F25C 1/10 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
F25C1/24 306A
F25C1/10 301C
(21)【出願番号】P 2020190635
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】江 浩丹
(72)【発明者】
【氏名】中田 恵美子
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-243220(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108426395(CN,A)
【文献】特開2005-326035(JP,A)
【文献】国際公開第2010/060613(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/24
F25C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に角度を成す第1面及び第2面を有する製氷部材を備え、
前記第1面には、第1製氷セルが設けられており、
前記第2面には、前記第1製氷セルとは形状が異なる第2製氷セルが設けられて
おり、
前記第1製氷セルを用いた製氷を行う状態において、前記第1面は上方を向く上面であり、前記第2面は前記第1面に交差する方向の側面である、
製氷装置。
【請求項2】
前記第1製氷セルおよび前記第2製氷セルの少なくとも一方を変形させる変形機構をさらに備える、
請求項1に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記変形機構は、前記製氷部材を回動する駆動部と、前記第2製氷セルを変形させる変形部材と、を備える、
請求項2に記載の製氷装置。
【請求項4】
前記製氷部材は、前記第1製氷セルが複数設けられた第1製氷部と、前記第2製氷セルが複数設けられた第2製氷部とを有し、
前記第1製氷部と前記第2製氷部との間に、前記変形部材が挿入される隙間が形成されている、
請求項
3に記載の製氷装置。
【請求項5】
前記製氷部材は、前記第2製氷セルから前記第1製氷セル側に向かって突出しており、前記隙間に挿入された前記変形部材と当接する突出部をさらに有する、
請求項4に記載の製氷装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の製氷装置が備えられた、冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷装置、およびそれを備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製氷皿内の区画の大きさを変えることで、大きさの異なる2種類の氷を製氷する製氷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷蔵庫の製氷装置では、製氷皿の同一面に2種類の大きさの氷を製氷できるものの任意の1種類の氷だけを作ることが困難であった。本開示は、上記の問題に鑑みなされた製氷装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る製氷装置は、相互に角度を成す第1面及び第2面を有する製氷部材を備え、前記第1面には、第1製氷セルが設けられており、前記第2面には、前記第1製氷セルとは形状が異なる第2製氷セルが設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】第1の実施形態に係る製氷装置を示す平面図である。
【
図5】第2製氷部での製氷状態を示す断面図である。
【
図7】第2の変形部材および第2製氷部での製氷状態を示す断面図である。
【
図8】第2の変形部材および第2製氷部での離氷状態を示す断面図である。
【
図22】第2製氷セルの形状の変形例1を示す平面図である。
【
図23】第2製氷セルの形状の変形例2を示す平面図である。
【
図24】第2製氷セルの形状の変形例3を示す平面図である。
【
図25】第2製氷セルの形状の変形例4を示す平面図である。
【
図26】第2製氷セル同士と給水溝の配置位置1とねじれで生じる力との関係を示す模式図である。
【
図27】第2製氷セル同士と給水溝の配置位置2とねじれで生じる力との関係を示す模式図である。
【
図28】第2製氷セル同士と給水溝の配置位置3とねじれで生じる力との関係を示す模式図である。
【
図29】第2製氷セル同士と給水溝の配置位置4とねじれで生じる力との関係を示す模式図である。
【
図30】第2製氷セルの形状の変形例5を示す平面図である。
【
図31】第2製氷セルの形状の変形例6を示す平面図である。
【
図32】第2製氷セルの形状の変形例7を示す平面図である。
【
図33】第2製氷セルの形状の変形例8を示す平面図である。
【
図34】第2製氷セルの形状の変形例9を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0008】
[冷蔵庫の概要]
図1は、製氷装置付冷蔵庫を示す側面断面図である。なお、
図1において、左側が冷蔵庫1の正面側、右側が冷蔵庫1の背面側となる。
【0009】
冷蔵庫1は、例えば、筐体2の内部に、冷蔵庫1に対して横方向に伸びる仕切壁3を備える。仕切壁3により、筐体2の内部空間は上下に二分されている。例えば、筐体2の内部空間のうち仕切壁3より上方の空間は冷蔵室4であり、下方の空間は冷凍室5である。ただし、これに限定されず、筐体2の内部空間のうち仕切壁3より上方の空間が冷凍室5、下方の空間が冷蔵室4であってもよい。
【0010】
筐体2の正面側には、冷蔵室4への出し入れ口となる上側の開口部と、冷凍室5への出し入れ口となる下側の開口部とが設けられている。筐体2における正面の上側縁部には、上側の開口部を開閉可能に扉6が取り付けられている。また、筐体2における正面の下側縁部には、下側の開口部を開閉可能に扉7が取り付けられている。扉6と扉7とはそれぞれ独立して筐体2に取り付けられており、それぞれ個別に開閉可能である。また、仕切壁3の上面を覆って底面板14が設けられている。底面板14は、冷蔵室4の底面を構成する板状部材である。筐体2の奥側面を覆う仕切壁15が設けられている。すなわち、冷蔵室4は、例えば、筐体2のうち上側の部分と、仕切壁3と扉6と仕切壁15とにより囲まれた空間である。冷蔵室4には、例えば、上下3段に内部を仕切る仕切棚11a、11b、11cが配置されている。
【0011】
冷蔵室4内には、製氷用の水を貯水し、給水するための給水装置12が設けられている。給水装置12は、製氷用の水を貯水する給水タンク12aと、給水タンク12aに貯水された水を製氷部材31に送る給水ポンプ12bとを備えている。給水タンク12aは、冷蔵室4の底面板14上に配置される。給水ポンプ12bは、冷蔵室4内の奥に設けられた仕切壁15の内部に配置される。
【0012】
給水タンク12aは、給水ポンプ12bと着脱可能な構成となっている。給水タンク12aは、水を補充する際に、冷蔵室4の正面の開口部から出し入れすることができる。給水タンク12aは、冷蔵室4の奥に押し込みながら特定の位置に到達すると、同給水タンク12aと給水ポンプ12bとが接続される。給水パイプ13aは、冷蔵室4に設けられた一端から冷凍室5に設けられた他端にかけて、仕切壁3を貫通して設けられている。給水パイプ13aの一端は給水ポンプ12bと連結され、給水パイプ13aの他端は、冷凍室5の天面(仕切壁3の下面)から冷凍室5内へ突出する給水ノズル13bに連結される。給水装置12は、給水ポンプ12bが運転されることにより、給水タンク12a内の水を、給水パイプ13aを介して給水ノズル13bから製氷部材31の第1製氷部33の第1製氷セル34および第2製氷部35の第2製氷セル36へ給水することができる。
【0013】
底面板14の下面(仕切壁3の上面との対向面)には、給水タンク12a内の水の凍結を防ぐための凍結防止ヒータ(図示しない)が設けられる。
【0014】
冷凍室5には、例えば、製氷装置30と、製氷装置30の下方に設けられた上下3段に並ぶ引出式のケースとが設けられている。例えば、上下3段に並ぶ引出式のケースとして、最上段に貯氷ケース21aが設けられ、中段に第1冷凍食品用ケース21bが設けられ、最下段に第2冷凍食品用ケース21cが設けられている。最上段の貯氷ケース21aは、製氷装置30の下方に設けられている。そして貯氷ケース21aは、製氷装置30で製氷され、製氷装置30から落下した氷を貯める。第1冷凍食品用ケース21bおよび第2冷凍食品用ケース21cは、それぞれ、例えば、冷凍食品を収容するケースである。
【0015】
冷凍室5の奥側には、仕切壁22で仕切られた空間に蒸発器23が配設される。また、冷凍室5の奥側下部には、圧縮機24が設けられる。冷蔵庫1では、圧縮機24で圧縮され凝縮器(図示しない)で放熱した冷媒が蒸発器23の内部で蒸発することにより、蒸発器23の表面温度が下がり、冷蔵室4及び冷凍室5を冷却するための冷気が生成される。そして、生成された冷気が冷気循環ファン25により仕切壁15や仕切壁22の奥側に形成されたダクトに送り込まれ、ダクトを通じて冷蔵室4及び冷凍室5に所定量の冷気が送り込まれる。これにより冷蔵室4では冷蔵温度に調整され、冷凍室5では冷凍温度に調整される。蒸発器23の下方側には、蒸発器23に付着した霜を融かすための除霜用ヒータ26が配置される。
【0016】
冷凍室5のうち、天井部5aと貯氷ケース21aとの間に、製氷室20が設けられている。製氷室20には、製氷する製氷装置30が設けられている。以下製氷装置30について詳説する。
【0017】
[製氷装置30の構成]
図2は、第1の実施形態に係る製氷装置30を示す平面図である。
図3は、
図2のIII-III線断面図である。
【0018】
図2および
図3に示すように、製氷装置30は、製氷室20(
図1参照)に配置されている。製氷装置30は、例えば、製氷本体30-1と、製氷部材31と、変形機構41とを含む。
【0019】
製氷部材31は、相互に角度を成す第1面(上面)31-1及び第2面(側面)31-2を有する。第1面31-1には、第1製氷セル34が設けられている。また、第2面31-2には、第1製氷セル34とは形状が異なる第2製氷セル36が設けられている。第1製氷セル34および第2製氷セル36はそれぞれ、貯められた水を凍らせて製氷するための凹部である。例えば、第1製氷セル34は、第1面31-1に複数設けられており、第2製氷セル36は第2面31-2に複数設けられている。なお、第1製氷セル34および第2製氷セル36それぞれが設けられる個数は任意である。
【0020】
ここで、第1製氷セル34と第2製氷セル36との形状が異なるとは、例えば、相似形であって、大きさ(すなわち体積)が異なる場合も含むものとする。第1製氷セル34および第2製氷セル36は、それぞれ、例えば、略四角錐台、扁平な直方体、平面視したときハート型または楕円形など、種々の形状であってもよい。
【0021】
このように製氷部材31における相互に角度を成す第1面(上面)31-1及び第2面(側面)31-2には2種類の形状が異なる氷が製氷される。このように、製氷装置30によると、相互に角度を成す第1面31-1及び第2面31-2にそれぞれ製氷することができる。このため、製氷部材31によると、互いに形状が異なる製氷セルが同一面に設けられた製氷部材と比べて、製氷部材31を大きくする必要がなくなる。この結果、製氷装置30自体を小型化することができる。また、互いに形状が異なる製氷セル毎に製氷することができるので、例えば第2製氷セル36だけで製氷することが容易にできる。
【0022】
変形機構41は、第1面31-1に設けられた第1製氷セル34および第2面31-2に設けられた第2製氷セル36の少なくとも一方を変形させる。例えば、変形機構41は、第1面31-1に設けられた第1製氷セル34を変形させるためのストッパ部32aや規制部30-1b2、および第2面31-2に設けられた第2製氷セル36を変形させるための変形部材43を備える。変形機構41は、第1製氷セル34および第2製氷セル36を変形させて、第1製氷セル34および第2製氷セル36から氷を剥離させる。これにより、第1製氷セル34および第2製氷セル36それぞれから氷を取り出す。以下、製氷装置30が備える各部材について詳説する。
【0023】
製氷本体30-1は、下方向が開放されて、前壁部30-1aと後壁部30-1bと、第1側壁部30-1cと、第2側壁部30-1dとが組み合わされた枠状構造である。すなわち、例えば、前壁部30-1aと後壁部30-1bとは互いに平行に配置される。第1側壁部30-1cと第2側壁部30-1dとは互い平行に配置される。第1側壁部30‐1cは、前壁部30-1aと後壁部30-1bとのそれぞれの互いに対向する一方の端部同士を接続するように配置される。第2側壁部30‐1dは、前壁部30-1aと後壁部30-1bとのそれぞれの互いに対向する他方の端部同士を接続するように配置される。このように、製氷本体30-1は枠状構造となっている。製氷本体30-1は、天井部5aに垂設されている。製氷本体30-1は天井部5aに固定するための上壁部を有してもよい。製氷本体30-1によって枠状に囲まれた内部の空間には、製氷部材31と変形機構41とが設けられている。
【0024】
例えば、製氷本体30-1のうち、前壁部30-1aには、後述する変形機構41のモータ42が配設される。製氷本体30-1のうち、後壁部30-1bには、後述する製氷部材13の受動軸31aを支持する軸受け部30-1b1と、製氷部材31の回転を規制する規制部30-1b2とが設けられる。
【0025】
軸受け部30-1b1は、後壁部30-1bに形成された貫通孔である。軸受け部30-1b1内部に受動軸31aの一端が挿入されている。なお、軸受け部30-1b1は、受動軸31aの先端部を支持できればよく、貫通孔ではなく後壁部30-1bの内面(前壁部30-1aと対向する側の面)が凹んだ凹部であってもよい。
【0026】
規制部30-1b2は、例えば、後壁部30-1bのうち、内面に設けられた凸状の部分である。規制部30-1b2は、後述する製氷部材31のストッパ部32aと当接することで、製氷部材31の回転を規制する。例えば、規制部30-1b2は、後壁部30-1bにおいて、軸受け部30-1b1が形成された高さより高い位置(鉛直方向の上方側)に設けられている。
【0027】
製氷部材31は、第1面(上面)31-1が開放される筐体である。製氷部材31の第1面(上面)31-1に第1製氷部33が設けられており、製氷部材31の第2面(側面)31-2に第2製氷部35が設けられている。第1製氷部33は、第1面(上面)31-1に設けられた複数の凹部であり、上述した複数の第1製氷セル34と、隣接する第1製氷セル34同士を繋ぐ複数の給水溝33a1、33b1とを含む。第2製氷部35は、第2面(側面)31-2に設けられた複数の凹部であり、上述した複数の第2製氷セル36と、隣接する第2製氷セル36同士を繋ぐ複数の給水溝35-1とを含む。例えば、各第1製氷セル34は、略四角錐台の氷を製造する凹形状である。また、例えば、各第2製氷セル36は、略直方体形状の氷を製造する凹形状である。
【0028】
製氷部材31は、第1面(上面)31-1を法線方向から見た平面視において、例えば、前端の側壁部32-4および後端の側壁部32-5が両短辺であり、前端の側壁部32-4および後端の側壁部32-5それぞれを繋ぐ両辺が長辺である矩形である。前端の側壁部32-4は、製氷本体30-1のうち前壁部30-1aと対向する側面である。後端の側壁部32-5は、製氷本体30-1のうち後壁部30-1bと対向する側面である。平面視したときの両長辺のうち一方の長辺は、第2面(側面)31-2である。なお、製氷部材31を平面視したときの形状は矩形に限定されない。
【0029】
製氷部材31の前端の側壁部32-4は、変形機構41のモータ42の回転軸42aに軸支されて固定される。製氷部材31の後端の側壁部32-5は、受動軸31aが設けられている。受動軸31aは、基部が製氷部材31の後端の側壁部32-5に固定または回転可能に支持され、基部とは反対側の端部である先端部は、上述のように軸受け部30-1b1に回転可能に支持または固定されている。すなわち、製氷部材31は、回転軸42aおよび受動軸31aによって、製氷本体30-1に、回転可能に支持されている。製氷部材31の後端の側壁部32-5には、後端の側壁部32-5から、製氷本体30-1の後壁部30-1bへ近づく方向に突出する凸状のストッパ部32aが設けられている。ストッパ部32aは、第1製氷部33から離氷させる際に、規制部30-1b2と当接することで、回転軸42aおよび受動軸31aを中心に回転する製氷部材31の回転を規制する。
【0030】
ストッパ部32aは、例えば、上面が、製氷部材31の上面と同一平面に含まれるように、後端の側壁部32-5に設けられている、なお、ストッパ部32aが製氷部材31に設けられる位置は、特に限定されず、回転軸42aおよび受動軸31aを中心に回転する製氷部材31が、第1製氷部33から離氷させる際に、ストッパ部32aと規制部30-1b2とが当接する位置であればよい。
【0031】
製氷部材31には、長手方向の一方を第1の側壁部32-1(
図4参照)としており、第1の側壁部32-1の端部には、下面を開放状態となすように断面視略逆L字形の第2の側壁部32-2(
図4参照)が一体的に連設されている。製氷部材31は、例えば、可撓性を有し、例えば低温でも弾性を失わない合成樹脂により形成されている。
【0032】
第1製氷部33は、第1面(上面)31-1の平面視(法線方向から見たとき)において、回転軸42aから受動軸31aへの方向である軸方向(X方向)に延びる縦区画壁33a及び軸方向に直交する方向(Y方向)に延びる横区画壁33bにより複数の領域に区画されている。第1製氷部33は、区画された領域毎に設けられた第1製氷セル34を含む。例えば、第1製氷部33に設けられた複数の第1製氷セル34は、軸方向に対して直交する方向に2列並設され、軸方向に4列並設される。縦区画壁33aの一部および各横区画壁33bには、各第1製氷セル34,・・,34に給水するための給水溝33a1、33b1がそれぞれ形成される。
【0033】
第1製氷部材31の各第1セル34内の氷を離氷させるには、変形機構41のモータ42の回転駆動によって、例えば基準位置から一方に、回転軸42aおよび受動軸31aを中心に約120度回転させる。すると、製氷部材31の製氷部材31のストッパ部32aが製氷本体30-1の後壁部30-1bの規制部30-1b2に当接する。これにより、製氷部材31の回転が規制される。さらに、製氷部材31のストッパ部32a側が回転を規制された状態で、モータ42の回転駆動により第1製氷部材31の前端の側壁部32-4が捩られることで、各第1製氷セル34内の氷が離氷して落下し、下方の貯氷ケース21a(
図1参照)に貯氷される。
【0034】
第2製氷部35は、第2面(側面)31-2の平面視(法線方向から見たとき)において、回転軸42aから受動軸31aへの方向である軸方向に並んで、略凹状の第2製氷セル36が複数設けられている。第2面(側面)31-2には、例えば、軸方向に第2製氷セル36が7個設けられる。上述のように、第2製氷部35は、第2製氷セル36,36同士の間に設けられた、第2製氷セル36,36同士を通水させるための略凹状の給水溝35-1を含む。例えば、第2製氷セル36の体積は、第1製氷セル34の体積よりも小さい。すなわち、第2製氷セル36の形状は、第1製氷セル34の形状とは異なる。
【0035】
第1製氷部33と第2製氷部35との間に隙間Sが形成される。具体的には隣り合う第2の側壁部32-2と第1の側壁部32-1との間には、所定間隔の隙間S(
図4参照)が設けられている。この隙間Sには、第2製氷部35の氷を離氷するための後述する変形機構41の変形部材43が挿入される。変形部材43は、第2の側壁部32-2を押圧して、第2製氷セル36内の氷を押し出すように作用する。換言すると、例えば、製氷部材31が基準位置から他方向に約15度回転して、隙間Sに変形部材43が差し込まれて、変形部材43の先端部43-1が第2の側壁部32-2を押圧して、各第2製氷セル36を変形させて、各第2製氷セル36内から氷が離氷されることとなる。
【0036】
変形機構41は、製氷部材31の短辺側の端部を回動自在に支持している。変形機構41は、製氷部材31を回動する駆動部のモータ42と、第2製氷セル36を変形させる変形部材43と、を備える。具体的には、製氷部材31の端部に固定する回転軸42aと、同回転軸42aを回転するモータ42と、変形部材43と、を備えている。
【0037】
変形部材43は、例えば略三角柱を横臥し、断面視(変形部材43の長手方向に直交するY方向に切った断面を見た場合)で先端部(隙間S(
図4参照)に近い端部)を鋭角とする略三角形状をなす。変形部材43は、第2製氷部35によって製造された氷を第2製氷部35から離氷させるものである。変形部材43の長手方向の両端部43-3,43-4は、製氷本体30-1の前壁部30-1aと後壁部30-1bとに配設される。変形部材43の先端部43-1は、第2の側壁部32-2と第1の側壁部32-1との開口に沿うように位置決めされている。例えば、変形部材43の長さは、第2の側壁部32-2の長さと略同じ程度である。変形部材43の幅員は、下端部43-2から先端部43-1に向かって、漸次幅狭としている。なお、変形部材43は、第2製氷部35の氷が離氷されるように作用されればよく、後述する他の形状であってもよい。
【0038】
次に、製氷部材31の第1製氷部33および第2製氷部35における製氷から離氷までの状態について説明する。
【0039】
図4に示す製氷装置30は、製氷部材31の第1製氷部33の第1面(上面)31-1を、給水ノズル13b(
図1参照)に対向するように上方に向けた状態で、給水ノズル13bから所定の水量が給水されて、第1製氷部33の各第1製氷セル34に貯水される。具体的には、まず、第1製氷部33のうち給水ノズル13bに対向する第1製氷セル34に給水されると、各第1製氷セル34同士をつなぐ複数の給水溝33a1、33b1を経由して通水されて複数の第1製氷セル34に給水される。その後、第1製氷部33が冷やされて所定時間経過後または第1製氷部33に設けた温度センサによって製氷が完了したと判断すると、変形機構41が第1製氷セル34の氷を離氷させるように作動する。このとき第1製氷部33の第1製氷セル34には、略四角錐台の形状の氷が製氷されている。以下、変形機構41の動作についてさらに詳説する。
【0040】
図3に示す製氷装置30では、変形機構41のモータ42を駆動させて、軸支する製氷部材31を所定方向(
図3では、紙面手前側が上へ移動する方向)に回転させる。例えば、製氷部材31では、基準位置から一方方向に約120度回動されて、製氷部材31のストッパ部32aが製氷本体30-1の後壁部30-1bに設けられた規制部30-1b2に当接し、製氷部材31の回動が制限される。さらに、モータ42が引き続き駆動力を製氷部材31に加えると、ストッパ部32aを支点として製氷部材31の第1面31-1が捻られることになる。製氷部材31は、ストッパ部32aを支点として捻られると、製氷部材31の第1面(上面)31-1が下方を向くように変形されるので、各第1製氷セル34内の氷が離氷されて落下し、貯氷ケース21aに貯氷される。製氷部材31は、変形機構41のモータ42が逆方向に駆動されて、基準位置に戻される。
【0041】
次に、第2製氷部35における製氷から離氷までの状態について説明する。
【0042】
図4に示すように、製氷装置30は、製氷部材31の第1製氷部33を上方に向けられた状態で、かつ、第2製氷部35が側方に向けられた状態である。変形部材43は、その先端部43-1が製氷部材31の第1の側壁部32-1と第2の側壁部32-2の開口に位置した状態で製氷本体30-1に配設される。
【0043】
そして、変形機構41(
図2参照)のモータ42が駆動されると、
図5に示すように、製氷部材31が例えば一方方向に約90度回転される。これにより、製氷部材31は、製氷部材31の第2面(側面)31-2側の第2製氷部35が上方を向けられた状態となる。なお、このときの回転方向は、第1製氷セル34内の氷を離氷するために製氷部材31を回転させる方向と同じである。第2製氷部35には、給水ノズル13bから所定水量が給水され、各第2製氷セル36に貯水される。具体的には、第2製氷部35のうち給水ノズル13bに対向する第2製氷セル36に給水され、各第2製氷セル36同士をつなぐ複数の給水溝35-1、35-1を介して通水されて複数の第2製氷セル36,・・,36に給水される。その後、第2製氷部35が冷やされて製氷が完了すると、第2製氷部35の第2製氷セル36には、扁平な略直方体形状の氷Cが製氷される。
【0044】
図6に示すように、変形機構41(
図2参照)のモータ42を駆動させて、製氷部材31を回転させて元の状態(基準位置)に戻し、さらに、製氷部材31を回転させる。変形部材43の先端部43-1が可撓性を有する製氷部材31の第1の側壁部32-1と第2の側壁部32-2との隙間Sに挿入され、徐々に各第2製氷セル36の底部が押圧されて、各第2製氷セル36が変形される。第2製氷セル36の変形にともない氷Cが確実に離氷されて落下し、貯氷ケース21a(
図1参照)に貯氷される。
【0045】
かかる製氷装置30によれば、上述した通り製氷部材31の第1面31-1の第1製氷部33と第2面31-2の第2製氷部35にそれぞれ大きさの異なる氷を製氷することができる。そして、上述のように、第1面(上面)31-1と第2面(側面)31-2とは相互に角度を成すため、第1面と第2面とが同一平面である場合と比べて、装置自体を小型化することができる。かかる冷蔵庫によれば、上記製氷装置30を備えることで、小さな設置スペースに2種類の氷を製氷する同製氷装置を備えことが可能となる。また、第1製氷セル34と第2製氷セル36の製氷工程が異なるため、ユーザは第1製氷セル34で製氷された氷と第2製氷セル36で製氷された氷を任意に選択して製氷することができる。例えば、第2製氷セル36で製氷された氷が不要なユーザは、第1製氷セル34のみで製氷させることができ、また、第1製氷セル34と第2製氷セル36との製氷比率を任意に設定することもできる。 また、第2製氷部35における製氷から離氷までの動作は、第1製氷部33における製氷から離氷までの動作の一部(基準位置から約90度までの回転範囲)に加えて、第1製氷部33における製氷から離氷までの動作では使用していなかった、基準位置を超える角度(約-15度)を利用することで、実現するため、製氷部材31のモータ42や筐体を大きく変更せずに、第2製氷部35を追加することができる。
【0046】
図7に示すように変形部材43は、第1面31-1に平行な第3面となす角度θが鋭角となるように製氷本体30-1の前壁部30-1aと後壁部30-1bとに架設されてもよい。
【0047】
製氷部材31は、製氷部材31の側面側の第2製氷部35が上方を向けられた状態となる。第2製氷部35には、給水ノズル13bから所定水量が給水され、各第2製氷セル36に貯水される。具体的には、第2製氷部35のうち給水ノズル13bに対向する第2製氷セル36に給水され、各第2製氷セル36同士をつなぐ複数の給水溝35-1、35-1を介して通水されて複数の第2製氷セル36,・・,36に給水される。その後、第2製氷部35が冷やされて所定時間経過後に製氷が完了すると、第2製氷部35の第2製氷セル36には、略直方体形状の氷Cが製氷される。以下、変形機構41の動作について詳説する。
【0048】
図7に示すように、製氷装置30では、変形機構41のモータ42を駆動させて、製氷部材31を回転させて元の状態(基準位置)に戻し、さらに、製氷部材31を回転させる。
図8に示すように、変形部材43の先端部43-1が可撓性を有する製氷部材31の第1の側壁部32-1と第2の側壁部32-2との隙間Sに対して、斜め方向に挿入され、徐々に各第2製氷セル36の底部が押圧されて、各第2製氷セル36が変形される。第2製氷セル36の変形にともない氷Cが確実に離氷されて落下し、貯氷ケース21a(
図1参照)に貯氷される。離氷の際に、製氷部材31を回転させる回転角度が小さくても、変形部材43の先端部43-1が隙間Sの開口から斜め方向に挿入されて、各第2製氷セル36の底部を確実に押圧することが可能となる。
【0049】
[変形部材の変形例]
図9から
図12は、変形部材の変形例である。なお、図面については、同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
図9および
図10に示す変形部材63は、例えば略四角柱形を横臥し、断面視で略縦長矩形をなす。
【0051】
変形部材63の軸方向の両端部63-3,63-4は、製氷本体30-1の前壁部30-1aと後壁部30-1bとに配されて、変形部材63が架設されている。変形部材63の先端部63-1は、第2の側壁部32-2と第1の側壁部32-1との開口に沿うように位置決めされている。
【0052】
かかる構成によれば、変形部材63の先端部63-1が、可撓性を有する製氷部材31の第1の側壁部32-1と第2の側壁部32-2との隙間S(例えば
図4参照)に挿入される。変形部材63の先端部63-1が、徐々に第2製氷部35の各第2製氷セル36の底部側を押圧することにより、各第2製氷セル36を変形させられる。第2製氷セル36の変形にともない氷Cが確実に離氷されて落下し、貯氷ケース21aに貯氷される。
【0053】
図11から
図13に示す変形部材73は、例えば略三角錘形を横臥し、断面視で略三角形をなす。変形部材73の軸方向の両端部73-3,73-4のうち、断面視略三角形の小さい側の一端部が製氷本体30-1の前壁部30-1a(例えば
図2および
図3参照)に配設され、断面視略三角形の大きい側の他端部が製氷本体30-1の後壁部30-1b(例えば
図2および
図3参照)に配設される。
【0054】
かかる構成によれば、変形部材73の先端部73-1が、可撓性を有する製氷部材31の第1の側壁部32-1(例えば
図4参照)と第2の側壁部32-2との隙間Sに挿入される。変形部材73は、製氷本体30-1の後壁部30-1b側の一端の先端部73-1が最初に隙間Sに挿入され、前壁部30-1a側の他端の先端部73-1が最後に隙間Sに挿入される。このとき、後壁部30-1b側の第2製氷セル36から前壁部30-1a側の第2製氷セル36までの各第2製氷セル36の底部が傾斜した先端部73-1で順に押圧され、各第2製氷セル36が順に変形される。各第2製氷セル36が順番に変形されることでセル内の氷Cが順番に離氷されて落下し、貯氷ケース21aに貯氷される。
【0055】
[実施形態2]
第2の実施形態に係る製氷装置130について、
図14および
図15を参照しながら説明する。第2の製氷装置130は、第2製氷部135の各第2製氷セル136に製氷した氷を離氷するための変形機構141の構成が異なる。なお、第2の実施形態の構成要素には、第1の実施形態の構成要素に、100番台の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
図14及び
図15に示すように、変形機構141は、製氷部材131の短辺側の端部を回動自在に支持している。具体的には、変形機構141は、製氷部材131の端部に固定する回転軸142aと、同回転軸142aを回転するモータ142と、変形部材143と、を備えている。
【0057】
変形部材143は、製氷本体130-1の後壁部130-1bに片持ち支持される。すなわち、変形部材143は、後壁部130‐1bから、製氷部材131の下側面と重なるように突出した凸形状である。第2の側壁部32-2の端部には、凸状の第2ストッパ部132bが設けられる。なお、変形部材143は、軸方向の端部を製氷本体30-1の前壁部30-1aに配設するようにしてもよい。
【0058】
次に、製氷部材131の第1製氷部133における製氷から離氷までの状態については、第1の実施形態に係る製氷装置30の第1製氷部33と同じ作用であるため重複説明を省略する。また、第2製氷部135における製氷までの状態については、第1の実施形態に係る製氷装置30の第2製氷部35と同じ作用であるため重複説明を省略する。
【0059】
第2製氷部135の製氷が完了すると、変形機構141が第2製氷セル136の氷を離氷させるように作動する。このとき第2製氷部135の第2製氷セル136には、略直方体形状の氷が製氷されている。以下、変形機構141の動作について詳説する。
【0060】
図14及び
図15に示すように、変形機構141は、モータ142を駆動させて製氷部材131が回転されて元の状態(
図16参照)に戻り、さらに、回転させる。製氷部材131の第2ストッパ部132bが製氷本体130-1aの後壁部130-1bに設けた片持ち支持の変形部材143に当接し、製氷部材131の回動が制限される。さらに、モータ142が引き続き駆動力を製氷部材131に加えると、第2ストッパ部132bを支点として第2面131-2が捻られることになる。換言すると、製氷部材131は、第2ストッパ部32bを支点として捻られると、製氷部材131の第2面131-2が下方を向くように変形されると、製氷部材131内の氷Cが離氷されて落下し、貯氷ケース21aに貯氷される。
【0061】
かかる製氷装置130によれば、上述した通り製氷部材131の第1面131-1の第1製氷部133と第2面131-2の第2製氷部135にそれぞれ大きさの異なる氷を製氷することができ、装置自体を小型化することができる。
【0062】
[製氷部材の変形例]
製氷部材の変形例について、
図17から
図21を参照しながら説明する。以下で説明する製氷部材31は、第2製氷部35の第2製氷セル36から第1製氷部33の第1製氷セル34側に向かって突出しており、隙間Sに挿入された変形部材43と当接する突出部37をさらに有する。
【0063】
図17に示す第2製氷部35には、第2の側壁部32-2に第1の側壁部32-1へ向かって突出する突出部37が形成されている。換言すると、突出部37は、第2製氷セル36の凹部よりも下側、かつ、第1製氷部33と第2製氷部35との接続部とは反対側に位置している。
【0064】
また、突出部37は、第2の側壁部32-2よりも第1の側壁部32-1側に位置している部分を有しており、その部分で変形部材43(
図18参照)に当接する。
【0065】
上記製氷部材31の第2製氷部35において、製氷を行い、略直方体形状の氷Cが製氷される。製氷装置30では、変形機構41(
図3参照)のモータ42(
図3参照)を駆動させて、製氷部材31を回転させて元の状態(基準位置)に戻し、さらに、製氷部材31を回転させる。
図18に示すように、変形部材43の先端部43-1が可撓性を有する製氷部材31の第1の側壁部32-1と第2の側壁部32-2との隙間Sに挿入され、徐々に各第2製氷セル36の底部側の突出部37を押圧する。各第2製氷セル36の底部および側部が変形される。第2製氷セル36の変形にともない氷Cが確実に離氷されて落下し、貯氷ケース21a(
図1参照)に貯氷される。
【0066】
上記突出部37は、第2の側壁部32-2の長手方向の全長にわたり形成したが、
図19に示すように、突出部37は、第2の側壁部32-2の長手方向の一部にのみ形成してもよい。例えば、各第2製氷セル36が形成されている部分に所定の間隔を設けて、各突出部37を設けてもよい。従って、突出部37に当接することで第2製氷セル36が適度に変形されて同第2セル内の氷が離氷される。
【0067】
さらに、
図20に示すように、突出部37が、第2製氷部35の略コ字形状の外縁の先端から第1の側壁部32-1に向かって突出するように形成されてもよい。換言すると、突出部37は、第1製氷部33と第2製氷部35との接続部とは反対側に位置している。
【0068】
また、突出部37の外縁の先端は、第2製氷セル36の底部よりも第1製氷部33側に位置している部分を有しており、その部分で変形部材43に当接する。
【0069】
上記第2製氷部35において略直方体形状の氷Cが製氷される。変形部材43の先端部43-1が第2製氷部35の外縁の先端の突出部37を押圧しながら変形して、第1の側壁部32-1と第2の側壁部32-2との隙間Sに挿入される。第2製氷セル36の変形にともない氷Cが確実に離氷されて落下し、貯氷ケース21a(
図1参照)に貯氷される。
【0070】
上記突出部37は、第2製氷部35の略コ字形状の外縁の先端の長手方向の全長にわたり形成したが、
図21に示すように、第2製氷部35の略コ字形状の外縁の長手方向の一部にのみ形成してもよい。例えば、各第2製氷セル36が形成されている部分に所定の間隔を設けて、各突出部37を設けてもよい。従って、突出部37に当接することで第2製氷セル36が適度に変形されて同第2製氷セル36内の氷Cが離氷される。
【0071】
[第2のセル形状の変形例]
図22から
図25は、第2製氷セルの形状の変形例である。
【0072】
図22に示す第2製氷セル36は、例えば、ハート型の形状である。隣り合うセルの外縁の少なくとも一部同士が略平行となるように複数の第2製氷セル36を配置している。例えば、第2製氷部35は、ハート型の第2製氷セル36と逆ハート型の第2製氷セル36とのユニットを複数配置している。また、各第2製氷セル36同士は、長手方向に平行に設ける給水溝35-1によって連通される。従って、第2製氷セル36同士の間に薄い部分ができて第2製氷部35全体としての剛性を低下させることができるので、変形を促進できる。
【0073】
図23に示す第2製氷セル36は、例えば、楕円型の形状である。例えば、各第2製氷セル36同士は、長手方向に平行に設ける給水溝35-1によって連通される。従って、第2製氷セル36同士の間に薄い部分ができて第2製氷部35全体としての剛性を低下させることができるので、変形を促進できる。
【0074】
図24に示す第2製氷部35には、複数のセルユニット38が設けられていてもよい。複数のセルユニット38のそれぞれは、複数の第2製氷セル36を有する。換言すると、複数の第2製氷セル36は、少なくとも一の方向に沿って配された複数のセルユニット38を構成するように配されていてもよい。例えば、ハート形状の第2製氷セル36を4つ配して、クローバー状のセルユニット38を形成し、複数のセルユニット38を長手方向に並べて配している。各第2製氷セル36同士は、給水溝35-1によって連通される。従って、セルユニット同士の間に薄い部分ができて第2製氷部全体としての剛性を低下させることができるので、変形を促進できる。
【0075】
図25に示すように、第2製氷部35は、複数の第2製氷セル36,・・,36に、相互に形状が異なる複数種類の第2製氷セルが含まれていてもよい。換言すると、第2製氷部35は、ハート形状と楕円形状と逆ハート形状にそれぞれ形成している。さまざまな形状に形成した第2製氷部35を第2面31-2上に配列している。隣り合う第2製氷セル36同士は、給水水35-1で連通されている。従って、第2製氷セル36同士の間に薄い部分ができて第2製氷部35全体としての剛性を低下させることができるので、変形を促進できる。
【0076】
図26から
図29は、第2製氷部35をねじれ変形される際に生じる力Fを示すものである。図中の矢印は、駆動部により回転方向を示している。上述した第2の実施形態に係る製氷装置において、氷離の際に第2製氷部35がねじれ変形されており、第2製氷セル36同士を接続する長手方向(水平方向)の給水溝35-1には互いに反発する方向の力F,Fが生じる(
図26参照)。よって、反発しあう力F,Fにより長手方向に隣接する第2製氷セル36同士が変形して、第2製氷セル36内の氷が離氷しやすくなる。
【0077】
また、
図27に示す第2製氷部35は、第2製氷セル36同士を接続する短辺方向(垂直方向)の給水溝35-1が形成されており、第2製氷セル36同士には反発する方向の力F,Fが生じる。よって、反発しあう力F,Fにより第2製氷セル36同士が変形して第2製氷セル36内の氷が離氷しやすくなる。
【0078】
さらに、第2製氷部35をねじれ変形させる場合には、第2製氷セル36同士を接続する給水溝35-1を水平方向に対して傾斜した方向に延びるように形成してもよい。例えば、
図28に示すように、第2製氷部35には、対角線方向に沿って給水溝35-1を形成してもよい。このように構成することにより、第2製氷部35のねじれ変形に対する剛性を低下させることができる。よって、第2製氷部35の各第2製氷セル36がねじれ変形しやすくなり、氷が離氷しやすくなる。
【0079】
例えば、
図29に示すように、第2製氷部35には、対角線方向に沿って第2製氷セル36同士を、給水溝35-1を介して対向するように形成してもよい。よって、各第2製氷部35には、第2の面の対角線が給水溝35-1を交差するように通過している場合は、ねじれ変形させたときに第2製氷セル36が大きく変形しやすい。従って、氷離時に第2製氷セル36内の氷が損傷しにくく、所望の形状の氷が得られやすい。
【0080】
図30から
図34に示す各第2製氷部35には、複数の第2製氷セル36が、対角線方向に沿って配列されている。また、各第2製氷セル36の一部は、対角線方向に跨るように形成されている。換言すると、隣り合う第2製氷セル36をつなぐ給水溝35-1が対角線方向とは傾斜した方向に延伸しており、給水溝35-1と対角線とが交差している。
【0081】
図30に示す第2製氷部35は、複数のハード形状の第2製氷セル36を対角線方向に沿って、複数のハート形状の第2製氷セル36が互い違い配列される。また、
図31に示す第2製氷部35は、複数の星形状の第2製氷セル36を対角線方向に沿って、第2製氷セル36同士を近接するように配列される。
図32に示す第2製氷部35は、星形状の第2製氷セル36とハート形状の第2製氷セル36とを対角線方向に交互に配列される。
図33に示す第2製氷部35は、複数の五角形の第2製氷セル36を対角線方向に沿って、複数の第2製氷セル36が互い違い配列される。
【0082】
図34に示す第2製氷部35は、多角形状の第2製氷セル36を対角線方向を挟んで対向するように配列される。対角線を挟んで隣り合う第2製氷セル36をつなぐ給水溝35-1が対角線方向とは傾斜した方向に延伸している。給水溝35-1と対角線とが交差している。従って、上述した各第2製氷部35によれば、氷離時に第2製氷セル36内の氷が損傷しにくく、所望の形状の氷が得られやすい。
【0083】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 冷蔵庫、2 筐体、3 仕切壁、4 冷蔵室、5 冷凍室、6、7 扉、11a、11b、11c 仕切棚、12 給水装置、12a 給水タンク、12b 給水ポンプ、13a 給水パイプ、13b 給水ノズル、14 底面板、15 仕切壁、20 製氷室、21a 貯氷ケース、21b 第1冷凍食品用ケース、21c 第2冷凍食品用ケース、22 仕切壁、23 蒸発器、24 圧縮機、25 冷気循環ファン、26 除霜用ヒータ、27 仕切壁、30 製氷装置、30-1 製氷本体、30-1a 前壁部、30-1b 後壁部、30-1b1 軸受け部、30-1b2 規制部、30-1c 第1側壁部、30-1d 第2側壁部、31 製氷部材、31a 受動軸、32a ストッパ部、32-1 第1の側壁部、32-2 第2の側壁部、33 第1製氷部、33a 縦区画壁、33a1 給水溝、33b 横区画壁、33b1 給水溝、34 第1製氷セル、35 第2製氷部、給水溝 35-1、36 第2製氷セル、41 変形機構、42 モータ、42a 回転軸、43 変形部材、43-1 先端部、43-2 下端部、43-3,43-4 端部