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特許7583587タグ装置、及びそれを備えるピッキング管理システム
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  • 特許-タグ装置、及びそれを備えるピッキング管理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】タグ装置、及びそれを備えるピッキング管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
B65G1/137 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020197091
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085417
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】高田 良平
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰
(72)【発明者】
【氏名】太田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】森谷 雅則
(72)【発明者】
【氏名】弥栄 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 克哉
(72)【発明者】
【氏名】松山 和弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 剛英
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 慎人
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-111362(JP,A)
【文献】特開2019-038677(JP,A)
【文献】特開2017-007867(JP,A)
【文献】特開2010-130457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
G06K 19/00 - 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の物品を識別する第1識別情報を記憶する第1メモリを備え、前記第1識別情報に基づいて前記一の物品に対する作業を行うための第1処理に用いられる第1タグと、
前記一の物品を識別する第2識別情報を記憶する第2メモリを備え、前記作業を行うための第2処理に用いられる第2タグと、
前記第1メモリと前記第2メモリとを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第1メモリにおける前記第1識別情報が更新された場合、更新された前記第1識別情報に基づいて前記第2メモリ内の前記第2識別情報を更新し、
前記第1タグは、前記第1処理において第1通信媒体装置と通信を行う第1通信装置をさらに備え、
前記第2タグは、前記第2処理において第2通信媒体装置と通信を行う第2通信装置をさらに備え、
前記第1通信装置は、前記第1処理において前記第1通信媒体装置から前記作業に関する第1作業情報を通信し、
前記第2通信装置は、前記第2処理において前記第2通信媒体装置から前記作業に関する第2作業情報を通信し、
前記作業は、前記一の物品を作業者が取り出すピッキング作業を含み、
前記第1タグは、前記第1通信装置において、前記第1作業情報として、前記第1識別情報に対応する前記一の物品に対する前記ピッキング作業の開始を指示するピッキング指示情報を前記第1通信媒体装置から受信し、
前記第2タグは、前記第2通信装置において、前記第2作業情報として、前記第2識別情報に対応する前記一の物品に対する前記ピッキング作業の終了を示す終了情報を前記第2通信媒体装置に対して送信する、タグ装置。
【請求項2】
前記一の物品の位置を報知する報知部をさらに備え、
前記第1タグは、前記ピッキング指示情報として前記報知部に前記一の物品の位置を報知させる報知部制御情報を受信し、
前記第2タグは、前記第2通信装置において、前記終了情報として、前記第2メモリ内の前記第2識別情報を読み出して前記第2通信媒体装置へ送信する、請求項に記載のタグ装置。
【請求項3】
前記第1タグは、前記第1通信媒体装置との間でRF信号を送受信する第1RFタグであり、
前記第2タグは、前記第2通信媒体装置との間でRF信号を送受信する第2RFタグである、請求項1又は2に記載のタグ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のタグ装置と、
ピッキング管理装置と
を備え、
前記ピッキング管理装置は、
前記第1通信媒体装置を介して前記ピッキング指示情報を前記第1タグに送信するとともに、前記第2通信媒体装置を介して前記終了情報を前記第2タグから受信する、ピッキング管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグ装置、及びそれを備えるピッキング管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流倉庫や工場等における物品に対する作業を管理する技術として、RF(Radio Frequency)タグ等の無線通信装置を用いた技術が普及している。特許文献1には、物品等のピッキングにRFタグを利用したピッキングシステムが開示されている。このピッキングシステムでは、ピッキング作業者の手首にRFIDリーダライタが装着され、ピッキング対象物を収納した対象物収納庫が配置された作業棚の天井にRFタグが設けられている。ピッキング作業者が対象物収納庫に手を伸ばしてピッキングする動作により、RFIDリーダライタがRFタグを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-137748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のピッキングシステムのように、ピッキング作業時に、物品に対して設けられたRFタグに記録された物品の情報を読み取る場合、ピッキング作業に際してRFタグに物品の情報を予め設定しなければならない。つまり、物品のピッキング作業のために、物品の情報をRFタグに記録する処理と物品の情報をRFタグから読み出す処理の2つの処理が発生する。これらの処理を行うタイミングや場面は異なるため、処理ごとのRFタグが設けられる方が作業を遂行しやすい場合もある。この場合、物品に対して設けられた各RFタグには、同じ物品に対応する情報が記録されている必要がある。例えば、ピッキング対象物品の入れ替え等が行われた際、物品の入れ替えに際して、物品に対応する複数のRFタグには共通の物品の情報が記憶されていなければ、適切にピッキング作業を行うことができない。そのため、物品の入り替え等が生じる度に、物品に対応する複数のRFタグのそれぞれに対して、同じ物品に対応する情報を記憶させなければならない。
【0005】
本発明は、一の物品に対する作業を支援するために複数の処理を行う場合、各処理を行うための物品に関する情報の設定を容易且つ確実に行い得るタグ装置、及びそれを備えるピッキング管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタグ装置は、第1タグ、第2タグ、及び制御部を備える。第1タグは、一の物品を識別する第1識別情報を記憶する第1メモリを備え、第1識別情報に基づいて一の物品に対する作業を行うための第1処理に用いられる。第2タグは、一の物品を識別する第2識別情報を記憶する第2メモリを備え、当該作業を行うための第2処理に用いられる。制御部は、第1メモリと第2メモリとを制御し、第1メモリにおける第1識別情報が更新された場合、更新された第1識別情報に基づいて第2メモリの第2識別情報を更新する。
【0007】
また、本発明に係るピッキング管理システムは、タグ装置とピッキング管理装置とを備える。タグ装置は、第1タグ、第2タグ、及び制御部を備える。第1タグは、一の物品を識別する第1識別情報を記憶する第1メモリを備え、第1識別情報に基づいて一の物品に対する作業を行うための第1処理に用いられる。第2タグは、一の物品を識別する第2識別情報を記憶する第2メモリを備え、当該作業を行うための第2処理に用いられる。制御部は、第1メモリと第2メモリとを制御し、第1メモリにおける第1識別情報が更新された場合、更新された第1識別情報に基づいて第2メモリの第2識別情報を更新する。第1タグは、第1処理において第1通信媒体通信装置と通信を行う第1通信装置をさらに備える。第2タグは、第2処理において第2通信媒体装置と通信を行う第2通信装置をさらに備える。第1通信装置は、第1処理において第1通信媒体装置から作業に関する第1作業情報を取得する。第2通信装置は、第2処理において第2通信媒体装置から作業に関する第2作業情報を取得する。作業は、一の物品を作業者が取り出すピッキング作業を含む。第1タグは、第1通信装置において、第1作業情報として、第1識別情報に対応する一の物品のピッキング作業の開始を指示するピッキング指示情報を第1通信媒体装置から受信する。第2タグは、第2通信装置において、第2作業情報として、第2識別情報に対応する一の物品のピッキング作業の終了を示す終了情報を第2通信媒体装置に対して送信する。ピッキング管理装置は、第1通信媒体装置を介してピッキング指示情報を送信するとともに、第2通信媒体装置を介して終了情報を受信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るタグ装置、及びそれを備えるピッキング管理システムによれば、一の物品に対する作業を支援するために複数の処理を行う場合、各処理を行うための物品に関する情報の設定を容易且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態におけるピッキング管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2A図2Aは、物流倉庫内におけるピッキング作業のイメージ図である。
図2B図2Bは、実施形態における無線通信装置の外観を示す模式図である。
図3A図3Aは、実施形態における第1リーダライタの概略構成を示すブロック図である。
図3B図3Bは、実施形態における第2リーダライタの概略構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態におけるピッキング管理システムの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態に係るピッキング管理システム及びタグ装置について説明する。なお、本実施形態では、物流倉庫等における物品の配送に際し、作業者が倉庫から物品を取り出すピッキング作業にタグ装置及びピッキング管理システムが用いられる場合を例に説明する。図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
図1は、本実施形態におけるピッキング管理システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、ピッキング管理システム1は、無線通信装置10、第1リーダライタ20、第2リーダライタ30、及び外部サーバ40を含む。本実施形態において、無線通信装置10は、タグ装置の一例である。また、第1リーダライタ20は第1通信媒体装置の一例であり、第2リーダライタ30は第2通信媒体装置の一例である。外部サーバ40は、ピッキング管理装置の一例である。
【0012】
図2Aは、物流倉庫内におけるピッキング作業のイメージ図である。図2Aにおいて、図1に示す構成と同じ構成には図1と同じ符号が付されている。図2Aに示すように、棚2aに物品2bが複数保管される。棚2aにおいて、各物品2bの位置近傍に無線通信装置10が設けられる。つまり、無線通信装置10は、ピッキング作業の対象となる物品2bごとに設置される。棚2aの上面に第1リーダライタ20が設けられている。第2リーダライタ30はピッキング作業者3の腕に装着される。なお、本実施形態において、棚2aに設置された無線通信装置10はそれぞれ、図示しない電源と電気的に接続され、電力が供給される。
【0013】
図1に戻り、第1リーダライタ20及び第2リーダライタ30は、外部サーバ40との間で無線通信を行う。無線通信装置10と第1リーダライタ20及び第2リーダライタ30との間は無線通信が行われる。外部サーバ40は、ピッキング作業の対象となる各物品に関する情報やピッキング作業の進捗状況等、ピッキング作業に関する情報を管理する。
【0014】
本実施形態において、ピッキング管理システム1は、ピッキング作業において以下の一連の処理を行う。まず、ピッキング管理システム1は、外部サーバ40からの指示に応じて、初期設定処理、報知処理(第1処理の一例)、及び作業完了報告処理(第2処理の一例)を行う。初期設定処理は、第1リーダライタ20により物品に関する情報を無線通信装置10に設定する処理である。また、報知処理は、外部サーバ40からの物品のピッキング指示に応じて、第1リーダライタ20により物品の位置を無線通信装置10において報知させる処理である。作業完了報告処理は、ピッキング作業者がピッキング作業を行った際、ピッキングされた物品に関する情報を第2リーダライタ30から外部サーバ40へ送信する処理である。以下、ピッキング管理システム1の各構成について具体的に説明する。
【0015】
(無線通信装置10の構成)
図1に示すように、無線通信装置10は、第1RFタグ110、第2RFタグ120、制御部130、及び報知部140を備える。第1RFタグ110は第1タグの一例であり、第2RFタグ120は第2タグの一例である。なお、第1タグ及び第2タグは、一の物品を識別するため情報を電子的に書き換え可能な媒体を示す。
【0016】
第1RFタグ110は、第1RF回路部111、第1制御回路112、第1メモリ113、第1入出力部114、及びアンテナ115を含む。本実施形態において、第1RFタグ110は、例えばアクティブ型RFタグである。
【0017】
第1RF回路部111は、第1通信装置の一例である。第1RF回路部111は、アンテナ115を介して第1リーダライタ20との間で無線通信を行う。本実施形態において、第1RF回路部111は、例えば、第1無線通信方式として860~960MHzの周波数帯(ISO/IEC18000-6)のRF信号を第1リーダライタ20との間で通信する。第1RF回路部111は、アンテナ115を介して受信したRF信号を復調する機能と、第1制御回路112から入力されるベースバンド信号を変調してアンテナ115へ出力する機能とを有する。
【0018】
第1RF回路部111は、第1リーダライタ20からの自機を示すIDを含む応答要求信号を受信した場合、アンテナ115を介してIDを含む応答信号を第1リーダライタ20へ送信し、第1リーダライタ20との間で通信を確立する。第1RF回路部111は、第1リーダライタ20から初期設定処理を指示するコマンドを含むRF信号を受信する。初期設定処理は、ピッキング対象物品の識別情報を第1RFタグ11に設定する処理である。また、第1RF回路部111は、第2処理において、第1リーダライタ20から報知処理を指示するコマンドを含むRF信号を受信する。
【0019】
第1制御回路112は、CPU(Central Processing Unit)とメモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))とを含む。第1制御回路112は、CPUがROMに予め記憶されたプログラムを実行することにより、第1RF回路部111で復調された信号に含まれるコマンドに従ってピッキング作業に関する処理を行う。
【0020】
具体的には、第1制御回路112は、初期設定処理及び報知処理に際して、第1RF回路部111により、第1リーダライタ20との間で通信を確立する。第1制御回路112は、初期設定処理を指示する初期設定コマンドを含むRF信号を受信した場合、初期設定コマンドで指示された物品の識別情報を第1メモリ113に記憶させ、第1メモリ113に記憶させた物品の識別情報を第1入出力部114を介して制御部130へ出力する。また、第1制御回路112は、物品の位置を報知してピッキング作業の開始を指示するコマンドを含むRF信号(ピッキング指示情報、報知部制御情報の一例)を受信した場合、報知を指示する報知指示情報を第1入出力部114を介して制御部130へ出力する。
【0021】
第1メモリ113は、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やFRAM(登録商標)(Ferroelectric Random Access Memory)等の不揮発性メモリを含む。第1メモリ113は、自機のID情報や物品の識別情報(第1識別情報の一例)等を記憶する。
【0022】
第1入出力部114は、制御部130と電気的に接続された入出力インタフェースである。第1入出力部114は、第1制御回路112の制御の下、物品の識別情報及び報知指示情報を制御部130へ出力する。
【0023】
アンテナ115は、第1リーダライタ20との間でRF信号を送受信する。つまり、アンテナ115は、第1リーダライタ20から受信したRF信号を第1RF回路部111へ出力したり、第1RF回路部111からのRF信号を第1リーダライタ20へ送信したりする。
【0024】
第2RFタグ120は、第2RF回路部121、第2制御回路122、第2メモリ123、第2入出力部124、及びアンテナ125を含む。本実施形態において、第2RFタグ120は、例えばアクティブ型RFタグである。
【0025】
第2RF回路部121は、第2通信装置の一例である。第2RF回路部121は、アンテナ125を介して第2リーダライタ30との間で無線通信を行う。本実施形態において、第2RF回路部121は、例えば、第2無線通信方式として13.56MHzの周波数帯(ISO/IEC18000-3)のRF信号を第2リーダライタ30との間で通信する。第2RF回路部121は、アンテナ125を介して受信したRF信号を復調する機能と、第2制御回路122から入力された信号を変調してアンテナ125へ出力する機能とを有する。
【0026】
第2RF回路部121は、第2リーダライタ30からの応答要求信号を受信した場合、自機を示すIDを含む応答信号をアンテナ115を介して第2リーダライタ30へ送信し、第2リーダライタ30との間で通信を確立する。第2RF回路部121は、作業完了報告処理において、ピッキングした物品の識別情報の読み出しを指示する読み出しコマンドを含むRF信号を第2リーダライタ30から受信する。
【0027】
第2制御回路122は、CPUとメモリ(ROM及びRAM)とを含む。第2制御回路122は、CPUがROMに予め記憶されたプログラムを実行することにより、第2制御回路122と接続された各部を制御し、ピッキング作業に関する処理を行う。具体的には、第2制御回路122は、初期設定処理に際し、第2入出力部124を介して制御部130から取得した識別情報、すなわち、第1RFタグ110の第1メモリ113に記憶された物品の識別情報(第1識別情報の一例)に相当する識別情報(第2識別情報の一例)を第2メモリ123に記憶させる。また、第2制御回路122は、作業完了報告処理に際し、第2RF回路部121により、第2リーダライタ30との間で通信を確立し、第2リーダライタ30から読み出しコマンドを含むRF信号を受信した場合、ピッキング作業終了を示す終了情報として、第2メモリ123に記憶された物品の識別情報を読み出し、読み出した識別情報を第2リーダライタ30へ送信する。
【0028】
第2メモリ123は、EEPROM(登録商標)やFRAM(登録商標)等の不揮発性メモリを含む。第2メモリ123は、自機を示すID情報や物品の識別情報(第2識別情報の一例)等のデータを記憶する。
【0029】
第2入出力部124は、制御部130と電気的に接続された入出力インタフェースである。第2入出力部124は、制御部130から出力された物品の識別情報を取得し、取得した物品の識別情報を第2制御回路122へ出力する。
【0030】
アンテナ125は、第2リーダライタ30との間でRF信号を送受信する。つまり、アンテナ125は、第2リーダライタ30から受信したRF信号を第2RF回路部121へ出力したり、第2RF回路部121からのRF信号を第2リーダライタ30へ送信したりする。
【0031】
制御部130は、例えばMCU(Micro Controller Unit)で構成される。制御部130は、MCUが、内蔵されたROMに予め記憶されたプログラムを実行することにより、制御部130と接続された各部を制御する。具体的には、制御部130は、第1メモリ113において第1識別情報が更新(記録及び変更を含む)された場合に、更新された第1識別情報に基づいて、第2メモリ123における第2識別情報を更新させる。つまり、制御部130は、第1メモリ113と第2メモリ123とに共通の物品を示す識別情報を記憶させるメモリ制御処理を行う。本実施形態では、第1メモリ113に識別情報が新規に記録された場合(初期設定処理)を主として説明するが、第1メモリ113に予め記録された識別情報が別の識別情報に更新された場合も初期設定処理と同様である。具体的には、制御部130は、第1RFタグ110で更新された識別情報を第1RFタグ110の第1入出力部114から取得し、第2RFタグ120の第2入出力部124へ出力する。また、制御部130は、第1入出力部114から出力された報知指示に基づいて、報知部140を制御する。
【0032】
報知部140は、制御部130の制御の下、無線通信装置10に対応する物品2bの位置等の情報を報知する。
【0033】
図2Bは、本実施形態における無線通信装置10の外観を示す模式図である。図2Bに示すように、無線通信装置10は、報知部140として、LED(Light Emitting Diode)ランプ140aと表示器140bとを含む。LEDランプ140a及び表示器140bは、ピッキング作業者3(図2A参照)が視認可能な無線通信装置10の一の側面に設けられている。
【0034】
LEDランプ140aは、LEDを含み、制御部130の制御の下、点灯又は消灯する。表示器140bは、例えば液晶ディスプレイである。表示器140bは、制御部130の制御の下、ピッキング対象の物品No.等の任意の情報を表示する。
【0035】
(第1リーダライタ20の構成)
図3Aは、実施形態における第1リーダライタ20の概略構成を示すブロック図である。図3Aに示すように、第1リーダライタ20は、第1RF通信部211、第1通信部212、第1制御部213、第1記憶部214、及びアンテナ215を含む。第1リーダライタ20は、第1RFタグ110と同じ通信規格に対応し、第1RFタグ110との間で無線通信を行う。
【0036】
第1RF通信部211は、アンテナ215を介して無線通信装置10の第1RFタグ110に第1RFタグのIDを含む応答要求信号を送信し、第1RFタグ110からの応答信号の受信により第1RFタグ110との間で通信を確立する。第1RF通信部211は、第1制御部213からのベースバンド信号を変調したRF信号を送信し、受信したRF信号を復調して第1制御部213へ出力する。
【0037】
第1通信部212は、インターネット網N(図1参照)を介して外部サーバ40との間で通信するインタフェースである。第1通信部212は、ピッキング作業を支援するための各種情報を外部サーバ40から取得し、取得した情報を第1制御部213へ出力する。
【0038】
第1制御部213は、CPU及びメモリ(ROM及びRAM)を含む。第1制御部213は、CPUが、ROMに予め記憶されたプログラムを実行することにより、第1制御部213と接続された各部を制御する。具体的には、第1制御部213は、第1通信部212を介して外部サーバ40からピッキング作業に関する情報を取得する。すなわち、第1制御部213は、外部サーバ40からピッキング対象物品の識別情報を取得して第1記憶部214に記憶させる。また、第1制御部213は、第1RF通信部211により第1RFタグ110との間で通信を確立し、第1記憶部214に記憶された識別情報を含む初期設定処理コマンドを第1RF通信部211を介して第1RFタグ110へ送信する。また、第1制御部213は、第1記憶部214に記憶された識別情報を含む、物品のピッキング作業の開始を指示するピッキング指示コマンド(第1作業情報、及びピッキング指示情報の一例)を第1RF通信部211を介して第1RFタグ110へ送信する。
【0039】
第1記憶部214は、EEPROM(登録商標)等の不揮発性メモリを含む。第1記憶部214は、第1制御部213の制御の下、ピッキング対象物品の識別情報等のデータを保持する。
【0040】
アンテナ215は、第1RFタグ110との間でRF信号を送受信する。
【0041】
(第2リーダライタ30の構成)
図3Bは、実施形態における第2リーダライタ30の概略構成を示すブロック図である。図3Bに示すように、第2リーダライタ30は、第2RF通信部311、第2通信部312、第2制御部313、第2記憶部314、及びアンテナ315を含む。第2リーダライタ30は、第2RFタグ120と同じ通信規格に対応し、第2RFタグ120と無線通信を行う。
【0042】
第2RF通信部311は、アンテナ315を介して無線通信装置10の第2RFタグ120に応答要求信号を送信し、第2RFタグ120からの応答信号の受信により第2RFタグ120との間で通信を確立する。第2RF通信部311は、第2制御部313からのベースバンド信号を変調したRF信号を送信し、受信したRF信号を復調して第2制御部313へ出力する。
【0043】
第2通信部312は、インターネット網N(図1参照)を介して外部サーバ40との間で通信を行うインタフェースである。第2通信部312は、外部サーバ40からピッキング作業に関する各種情報を取得し、取得した情報を第2制御部313へ出力する。
【0044】
第2制御部313は、CPUとメモリ(ROM及びRAM)とを含む。第2制御部313は、CPUが、ROMに予め記憶されたプログラムを実行することにより、第2制御部313と接続された各部を制御する。具体的には、第2制御部313は、第2RF通信部311により第2RFタグ120との間で通信を確立し、ピッキングされた物品の識別情報を読み出す読み出しコマンド(第2作業情報の一例)を含むRF信号を第2RFタグ120へ送信する。また、第2制御部313は、読み出しコマンドに対して、第2RFタグ120から送信された識別情報を第2記憶部314へ記憶させる。また、第2制御部313は、第2RFタグ120から識別情報を取得した場合、第2記憶部314へ記憶させた識別情報(終了情報の一例)を含む完了報告情報を生成し、第2通信部312を介して外部サーバ40へ出力する。つまり、完了報告情報は、外部サーバ40から指示された物品のピッキング作業が完了したことを示すピッキング完了情報の一例である。
【0045】
第2記憶部314は、EEPROM(登録商標)等の不揮発性メモリを含む。第2記憶部314は、物品の識別情報等のデータを保持する。
【0046】
アンテナ315は、第2RFタグ120との間でRF信号を送受信する。
【0047】
(動作)
図4は、本実施形態におけるピッキング管理システム1の動作フロー図である。
【0048】
まず、ピッキング管理システム1における初期設定処理について説明する。第1リーダライタ20は、第1制御部213により、第1通信部212を介して外部サーバ40からピッキング対象物品の識別情報と、ピッキング対象物品に対応する第1RFタグ110のID情報とを取得する(ステップS11)。取得された識別情報は、第1制御部213により第1記憶部214へ記憶される。
【0049】
続いて、第1リーダライタ20は、識別情報を指定した初期設定コマンドを含むRF信号を送信する(ステップS12)。すなわち、第1制御部213は、第1RF通信部211により、取得したID情報に対応する無線通信装置10の第1RFタグ110との間で通信を確立し、第1記憶部214に記憶させた識別情報を指定した初期設定コマンドを含むベースバンド信号を第1RF通信部211へ出力する。そして、第1RF通信部211においてベースバンド信号を変調したRF信号を生成し、生成したRF信号をアンテナ215から送信する。
【0050】
無線通信装置10は、第1RFタグ110において、第1リーダライタ20から送信されたRF信号をアンテナ115を介して受信し、受信したRF信号を第1RF回路部111において復調する(ステップS21)。
【0051】
そして、無線通信装置10は、第1RF回路部111で復調された信号に初期設定コマンドが含まれている場合、初期設定コマンドで指定された識別情報を第1メモリ113に記憶し、その識別情報と同じ識別情報を第2RFタグ120へ記憶させる(ステップS22)。
【0052】
具体的には、第1制御回路112により、初期設定コマンドで指定された識別情報(第1識別情報)を第1メモリ113へ記憶させる。そして、第1制御回路112は、第1メモリ113へ記憶させた識別情報と同じ識別情報を第1入出力部114を介して制御部130へ出力する。制御部130は、第1RFタグ110から出力された識別情報を第2入出力部124を介して第2制御回路122へ出力する。第2制御回路122は、制御部130から出力された識別情報に相当する識別情報(第2識別情報)を第2メモリ123に記憶させる。これにより、ピッキング作業対象の物品の識別情報が第1RFタグ110及び第2RFタグ120に記憶される。
【0053】
初期設定処理の後、ピッキング管理システム1は外部サーバ40からの指示に応じて報知処理と作業完了報告処理とを順次行う。具体的には、まず、第1リーダライタ20は、外部サーバ40から、ピッキング作業対象物品の識別情報と、ピッキング対象物品のID情報とを含むピッキング指示を受信する(ステップS13)。そして、第1リーダライタ20は、ピッキング作業対象物品の識別情報を指定したピッキング指示コマンドを含むRF信号を送信する(ステップS14)。より具体的には、第1リーダライタ20において、第1制御部213は、第1RF通信部211により、ピッキング指示で指定されたID情報に対応する無線通信装置10の第1RFタグ110との間で通信を確立し、外部サーバ40から指示された物品の識別情報を指定したピッキング指示コマンドを含むベースバンド信号を第1RF通信部211へ出力する。そして、第1RF通信部211においてベースバンド信号を変調したRF信号を生成し、生成したRF信号をアンテナ215から送信する。
【0054】
無線通信装置10は、第1RFタグ110において、第1リーダライタ20から送信されたRF信号をアンテナ115を介して受信し、受信したRF信号を第1RF回路部111において復調する(ステップS23)。無線通信装置10は、第1RF回路部111で復調された信号にピッキング指示コマンドが含まれている場合において、ピッキング指示コマンドで指定された識別情報に基づいて、LEDランプ140aを点灯する(ステップS24)。具体的には、第1RFタグ110における第1制御回路112は、RF信号を復調した信号にピッキング指示コマンドが含まれ、ピッキング指示コマンドで指定された識別情報と第1メモリ113内の識別情報とが一致する場合、第1入出力部114を介して制御部130へ報知指示情報を出力する。制御部130は、第1RFタグ110からの報知指示情報に基づき、報知部140のLEDランプ140aを点灯する。これにより、ピッキング作業者(図2A)は、LEDランプ140aが点灯された無線通信装置10に対応する物品2bがピッキング作業対象の物品であると認識することができる。
【0055】
ステップS24の後、ピッキング作業者3は、LEDランプ140aが点灯された無線通信装置10に対応するピッキング作業対象物品を取り出す(ピッキング作業)。ピッキング作業者3は、ピッキング作業の際、第2リーダライタ30をその無線通信装置10に向ける。このとき、第2リーダライタ30と無線通信装置10との間で通信が確立される。つまり、第2リーダライタ30からの応答要求信号に対し、無線通信装置10の第2RFタグ120が応答信号を送信することにより第2リーダライタ30と第2RFタグ120との間で通信を確立する。
【0056】
第2リーダライタ30は、第2RFタグ120と通信を確立後、読み出しコマンドを含むRF信号をアンテナ315を介して送信する(ステップS31)。具体的には、第2制御部313は、読み出しコマンドを含むベースバンド信号を第2RF通信部311に出力する。そして、第2RF通信部311でベースバンド信号を変調したRF信号を生成し、アンテナ315からRF信号を送信する。
【0057】
無線通信装置10は、第2RFタグにおいて、第2リーダライタ30から送信されたRF信号をアンテナ125を介して受信し、受信したRF信号を第2RF回路部121において復調する(ステップS25)。
【0058】
無線通信装置10は、第2RF回路部121で復調された信号に読み出しコマンドが含まれている場合、第2メモリ123に記憶された識別情報を含むRF信号をアンテナ125から送信する(ステップS26)。つまり、第2制御回路122は、第2メモリ123に記憶された識別情報を含むベースバンド信号を第2RF回路部121に出力し、ベースバンド信号を変調したRF信号を第2RF回路部121で生成し、アンテナ125から送信する。
【0059】
第2リーダライタ30は、アンテナ315を介して識別情報を含むRF信号を受信し、第2RF通信部311において、受信したRF信号を復調する(ステップS32)。第2リーダライタ30は、復調した信号から識別情報を取得し、取得した識別情報を含む作業完了報告情報を、第2通信部312を介して外部サーバ40へ送信する(ステップS33)。具体的には、第2制御部313は、第2RF通信部311で復調された信号から識別情報を取得して第2記憶部314へ記憶する。そして、第2制御部313は、第2記憶部314に記憶させた識別情報を含む作業完了報告情報を生成し、第2通信部312から外部サーバ40へ送信する。これにより、外部サーバ40から指示された物品のピッキング作業が完了したことが外部サーバ40へ通知される。
【0060】
実施形態では、第1リーダライタ20は、物品2bが保管された棚2aに配置され、ピッキング作業対象の物品の識別情報を無線通信装置10に設定する処理や物品の位置を無線通信装置10に報知させる報知処理に用いられる。第2リーダライタ30は、ピッキング作業者3に装着され、ピッキング作業時に物品2bの識別情報を無線通信装置10から読み出す作業完了報告処理に用いられる。無線通信装置10は、第1リーダライタ20及び第2リーダライタ30の各通信規格に対応したRFタグを備え、共通の物品の識別情報が各RFタグに記憶される。そのため、報知処理及び作業完了報告処理をそれぞれ行う第1リーダライタ20及び第2リーダライタ30の通信規格が異なっていても、処理に応じたリーダライタを用いて無線通信装置10に対して処理を行うことができる。このように、一の物品に対する作業を支援するための各処理を行うタイミングや場面が異なる場合、無線通信装置10において、処理ごとに異なるRFタグを備えることにより、それぞれの処理に適した通信手段(リーダライタ)を用いることができるため、作業効率を向上させることができる。
【0061】
また、第1RFタグ110の第1メモリ113において物品の識別情報が更新された場合、更新された識別情報に基づいて第2RFタグ120の第2メモリ123において同様に識別情報が更新される。そのため、物品の入れ替え等が生じた場合、RFタグごとに識別情報を書き換える場合と比べ、より容易且つ確実に各RFタグに共通の物品の識別情報を設定することができる。
【0062】
以上、図面(図1図4)を参照して本発明に係るタグ装置及びピッキング管理システムの実施形態について説明した。但し、タグ装置及びピッキング管理システムは、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下、上記実施形態の変形例を説明する。
【0063】
[変形例]
(1)実施形態では、1つの物品に対する作業を支援するために互いに異なる2つの処理(第1処理及び第2処理)を行う場合を例に説明したが、1つの作業に対して3つ以上の処理を行う場合や、1つの処理の中に3つ以上の処理が含まれる場合も実施形態と同様に無線通信装置を構成すればよい。つまり、例えば互いに異なる3つの処理を処理ごとに異なるリーダライタを用いて行う場合、無線通信装置10において、各リーダライタの通信規格に対応した3つのRFタグが設けられていればよい。この場合、実施形態と同様に、例えば物品の識別情報を一のRFタグに設定する初期設定処理において、他のRFタグの各メモリにも同じ識別情報を記憶させる。
【0064】
(2)実施形態における第1RFタグ110と第1リーダライタ20との無線通信、第2RFタグ120と第2リーダライタ30との無線通信の通信規格は一例であり、これに限定されない。要は、物品に対する作業を支援する処理ごとに通信規格が異なっていればよい。
【0065】
(3)実施形態における第1RFタグ110及び第2RFタグ120は、アクティブ型RFタグを例に説明したが、第1リーダライタ20及び第2リーダライタ30からの電力供給によって送受信を行うパッシブ型RFタグであってもよい。
【0066】
(4)実施形態において、第1RFタグ110及び第2RFタグ120は、互いに異なる通信規格に対応するが、互いに同じ通信規格に対応してもよい。この場合、共通のリーダライタを用いてピッキング作業に関する各処理が行われてもよい。
【0067】
(5)実施形態において、第1タグ及び第2タグは第1通信媒体装置及び第2通信媒体装置と無線通信を行うが、第1通信媒体装置及び第2通信媒体装置との間の通信は有線通信であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、倉庫や工場内に設けられた物品のピッキング又は検品等の作業に用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 :ピッキング管理システム
2b :物品
10 :無線通信装置
20 :第1リーダライタ
30 :第2リーダライタ
40 :外部サーバ
110 :第1RFタグ
111 :第1RF回路部
112 :第1制御回路
113 :第1メモリ
114 :第1入出力部
120 :第2RFタグ
121 :第2RF回路部
122 :第2制御回路
123 :第2メモリ
124 :第2入出力部
130 :制御部
140 :報知部
140a :LEDランプ
140b :表示器
211 :第1RF通信部
212 :第1通信部
213 :第1制御部
214 :第1記憶部
311 :第2RF通信部
312 :第2通信部
313 :第2制御部
314 :第2記憶部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4